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{{参照方法|date=2013年2月3日 (日) 19:12 (UTC)}}
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'''低地ドイツ語'''(ていちどいつご、{{lang-de-short|Niederdeutsch}}、[[低ザクセン語]]:Nedderdüütsch、{{lang-nl-short|Nederduits}})とは、広義の[[ドイツ語]]のうち、[[第二次子音推移]]の影響を受けなかった[[ドイツ]]北部の言語群を指す。<br>
'''低地ドイツ語'''(ていちドイツご、{{lang-de-short|Plattdeutsch, Niederdeutsch}}、{{lang-nds|Plattdüütsch}}、{{lang-nl-short|Nederduits}})とは、広義の[[ドイツ語]]のうち、[[第二次子音推移]]の影響を受けなかった[[ドイツ]]北部の言語群を指す。
北ドイツ語あるいは北部ドイツ語(Norddeutsch)と呼ばれることもある。<br>
大きく分けて、オランダからベルギー北部で用いられ、[[オランダ語]]、[[フラマン語]]などを含む[[低地フランク語]]、[[ニーダーザクセン州]]を中心としたドイツ北西部で用いられる[[低ザクセン語]]、おおむね[[エルベ川]]よりも東側のドイツ北東部で用いられる{{仮リンク|東低地ドイツ語|de|Ostniederdeutsch|en|East Low German}}の三つに分けられる。


== 概要 ==
[[西ゲルマン語群]]の系統である低地ドイツ語は、'''標準ドイツ語'''([[近世]]に作られた[[東中部ドイツ語]]の[[テューリンゲン・オーバーザクセン語|テューリンゲン・オーバーザクセン方言]]を母体とする)が経験した「[[第二次子音推移]]」ないし「高地ドイツ語[[子音]]推移」と呼ばれる子音変化を経験しておらず、[[英語]]や[[フリジア語]]、スカンジナビア諸言語との共通点が標準ドイツ語より多い。<br>
大きく分けて、オランダからベルギー北部で用いられ、[[オランダ語]]、[[フラマン語]]などを含む[[低地フランク語]]、[[ニーダーザクセン州]]を中心としたドイツ北西部で用いられる[[低ザクセン語]]、おおむね[[エルベ川]]よりも東側のドイツ北東部で用いられる{{仮リンク|東低地ドイツ語|de|Ostniederdeutsch|en|East Low German}}の三つに分けられる。ただし、近年では[[低地フランク語]]を低地ドイツ語とは別の言語グループとする場合が多い。
同時に[[文法]]的にも、前述の英語と多くの共通の部分がある。たとえば、低地ドイツ語の系統の[[名詞]]には、[[格]]が3つしかない(標準ドイツ語は4、英語は代名詞で3)。北部方言では、[[過去分詞]]にドイツ語やオランダ語のそれに付くようなge-が付かず、多くの南部方言ではge-の代わりにe-が使われる。このような多くの相違点から言語学的見地からは、同じ西ゲルマン語群に属する別言語扱いされ、要するに外国人から見た[[ドイツ語]]による「標準ドイツ語」と親子関係になく、むしろ[[フランス語]]に対する[[イタリア語]]・[[スペイン語]]のような兄弟言語としての立ち位置にあると考えるのが一般的な見解である。


[[西ゲルマン語群]]の系統である低地ドイツ語は、''標準ドイツ語''([[東中部ドイツ語]]の[[テューリンゲン・オーバーザクセン語|テューリンゲン・オーバーザクセン方言]]を母体として[[近世]]に作られた)が経験した「[[第二次子音推移]]」ないし「高地ドイツ語[[子音]]推移」と呼ばれる子音変化を経験しておらず、[[英語]]や[[フリジア語]]、スカンジナビア諸言語との共通点が標準ドイツ語より多い。
==分類==

同時に、[[文法]]的にも前述の英語と多くの共通の部分がある。たとえば、低地ドイツ語の系統の[[名詞]]には[[格]]が3つしかない(標準ドイツ語は4、英語は代名詞で3)。北部方言では、[[過去分詞]]にドイツ語やオランダ語のそれに付くようなge-が付かず、多くの南部方言ではge-の代わりにe-が使われる。このような多くの相違点から、言語学的見地からは同じ西ゲルマン語群に属する別言語と扱われ、要するに外国人から見た[[ドイツ語]]である「標準ドイツ語」とは親子関係になく、むしろ[[フランス語]]に対する[[イタリア語]]([[中央イタリア方言]])・[[スペイン語]]([[カステーリャ]]語)のような兄弟言語としての立ち位置にあると考えるのが一般的な見解である。

低地フランク語を除いた低地ドイツ語は、系統的には低地フランク語や[[高地ドイツ語]]よりも、むしろ[[アングロ・フリジア語群]](典型的には英語)に近いという見方もある。

== 分類 ==
*低地ドイツ語({{lang|de|Niederdeutsch}})
*低地ドイツ語({{lang|de|Niederdeutsch}})
**[[低ザクセン語]]({{lang|de|Niedersächsisch}}) - 「西低地ドイツ語」({{lang|de|Westniederdeutsch}})とも呼ぶ。[[欧州連合|EU]]から地域言語の地位を得ている。[[低地フランク語]]に属する[[オランダ語]]との言連続体に属すると考えられている。
**[[低ザクセン語]]({{lang|de|Niedersächsisch}}) - 「西低地ドイツ語」({{lang|de|Westniederdeutsch}})とも呼ぶ。[[欧州連合|EU]]から地域言語の地位を得ている。[[低地フランク語]]に属する[[オランダ語]]との[[方言連続体]]に属すると考えられている。
***シュレスヴィヒ語({{lang|de|Schleswigisch}})
***シュレスヴィヒ語({{lang|de|Schleswigisch}}) - [[シュレースヴィヒ (都市)|シュレースヴィヒ]]、[[フレンスブルク]]などで話される。
***ホルシュタイン語({{lang|de|Holsteinisch}})
***ホルシュタイン語({{lang|de|Holsteinisch}}) - [[キール (ドイツ)|キール]]、[[リューベック]]などで話される。
***ヴェストファーレン語({{lang|de|Westfälisch}}) - [[ハノーファー]]、[[ハーメルン]]、[[ミュンスター]]で話される。
***ヴェストファーレン語({{lang|de|Westfälisch}}) - [[ハーメルン]]、[[ミュンスター]]、[[ドルトムント]]で話される。
****[[オランダ低ザクセン語]]({{lang|de|Nedersaksisch}})※低ザクセン語諸方言のうち、オランダ領内で話されるもの。「低地フランク語」に属する狭義のオランダ語とは別区分。
****[[オランダ低ザクセン語]]({{lang|de|Nedersaksisch}})※低ザクセン語諸方言のうち、オランダ領内で話されるもの。「低地フランク語」に属する狭義のオランダ語とは別区分。
*****[[フローニン語]]({{lang|de|Gronings}})
*****[[フローニン語]]({{lang|de|Gronings}})
***オストファーレン語({{lang|de|Ostfälisch}}) - [[ツェレ]]、[[ブラウンシュヴァイク]]、[[ヴォルフスブルク]]、[[リューネブルク]]などで話される。
***オストファーレン語({{lang|de|Ostfälisch}}) - [[ハノーファー]]、[[ツェレ]]、[[ブラウンシュヴァイク]]、[[ヴォルフスブルク]]、[[リューネブルク]]などで話される。発音に関してはハノーファー都市部の発音が最もドイツ語の[[標準語]]に近いとされる([[舞台ドイツ語]]も参照)
***北低ザクセン語({{lang|de|Nordniedersächsisch}}) - [[ブレーメン]]、[[ハンブルク]]、[[キール (ドイツ)|キール]]などで話される。
***北低ザクセン語({{lang|de|Nordniedersächsisch}}) - [[ブレーメン]]、[[ハンブルク]]などで話される。
***オストフリース語({{lang|de|Ostfriesisch}})東フリースラント地方で話される低ザクセン語([[:de:Ostfriesisches Platt]])のことであり、[[東フリジア語]]とは異なる。
***[[オストフリース語]]({{lang|de|Ostfriesisch}})東フリースラント地方で話される低ザクセン語のことであり、[[東フリジア語]]とは異なる。
**東低地ドイツ語({{lang|de|Ostniederdeutsch}})
**東低地ドイツ語({{lang|de|Ostniederdeutsch}})
***フォアポンメルン語({{lang|de|Vorpommersch}}) - [[ロストック]]、[[シュヴェリーン]]などで話される。
***フォアポンメルン語({{lang|de|Mecklenburgisch-Vorpommersch}}) - [[ロストック]]、[[シュヴェリーン]]などで話される。
***中部ポンメルン語({{lang|de|Mittelpommersch}})
***中部ポンメルン語({{lang|de|Mittelpommersch}})
***東ポンメルン語({{lang|de|Ostpommersch}}) - ポンメルン東部で話されていたが、1945年以降の[[ドイツ人追放]]によりほぼ途絶えたが、[[ブラジル]]の[[エスピリトサント州]]のドイツ系人の間では話されている。
***東ポンメルン語({{lang|de|Ostpommersch}})
***マルク・ブラデンブルク語({{lang|de|Mark-brandenburgisch}})
***ブラデンブルク語({{lang|de|Brandenburgisch}}, {{lang|de|Märkisch-Brandenburgisch}}) - [[ブランデンブルク州]]北部・西部と[[ザクセン=アンハルト州]]北部で話される。
***低地プロイセン語({{lang|de|Niederpreußisch}})※[[バルト語派]]の影響が指摘されている。
***低地プロイセン語({{lang|de|Niederpreußisch}}) - [[バルト語派]]の影響が指摘されている。1945年以降の[[ドイツ人追放]]によりほぼ途絶えた
****[[メノナイト低地ドイツ語]]({{lang|de|Plautdietsch}}) - 低地プロイセン語の一部とみられる。南アメリカやカナダなどに移民した[[メノナイト]]によって用いられている。
**[[低地フランク語]]({{lang|de|Niederfränkisch}}) - 「低地フランコニア語」、「低地フランケン語」とも呼ばれる。
**[[低地フランク語]]({{lang|de|Niederfränkisch}}) - 「低地フランコニア語」、「低地フランケン語」とも呼ばれる。
***[[オランダ語]]({{lang|nl|Nederlands}})
***[[オランダ語]]({{lang|nl|Nederlands}})
41行目: 51行目:
****[[西フラマン語]]({{lang|nl|West-Vlaams}})
****[[西フラマン語]]({{lang|nl|West-Vlaams}})
***[[ゼーランド語|ゼーラント語]]({{lang|nl|Zeeuws}})
***[[ゼーランド語|ゼーラント語]]({{lang|nl|Zeeuws}})
***[[リンブルフ語]]({{lang|nl|Limburgs}})- ドイツでは低地フランク語の一つと捉えるが、オランダ、ベルギーでは西中部ドイツ語一つと捉えられ、見解が分かれている。
***[[リンブルフ語]]({{lang|nl|Limburgs}})- ドイツでは低地フランク語の一つと捉えるが、オランダ、ベルギーでは西中部ドイツ語一つと捉えられ、見解が分かれている。

== 対照例示 ==
{| class="wikitable"
! [[日本語]] !! '''低地ドイツ語''' !! [[オランダ語]] !! [[フリジア語]] !! [[英語]] !! [[標準ドイツ語]] !! [[スウェーデン語]]
|-
| 作る || maken, moaken, maaken || maken || meitsje || make|| machen || maka([[古語]])
|-
| [[百姓]]、身分の低い男 || Kerl || kerel || tsjirl(古語) || churl || Kerl || karl
|-
| 日 || Dag, Dach || dag || dei || day || Tag || dag
|-
| 食べる || eten, äten || eten || ite || eat || essen || äta
|-
| 10 || teihn, tian || tien || tsien || ten || zehn || tio
|-
| 座る || sitten || zitten || sitte || sit || sitzen || sitta
|-
| [[船]] || Schipp, Schepp || schip || skip || ship || Schiff || skepp
|-
| [[コショウ|胡椒]] || Peper, Päpa || peper || piper || pepper || Pfeffer || peppar
|-
| [[妻]] || Wief, Wiewer || wijf, wijven || wiif, wiven || wife, wives || Weib, Weiber || viv
|}


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
{{InterWiki|code=nds|低地ドイツ語}}
* [[亀井孝 (学者)|亀井孝]]・[[河野六郎]]・[[千野栄一]]編著、『[[言語学大辞典]]セレクション・ヨーロッパの言語』[[三省堂]]、1998年。
* [[亀井孝 (国語学者)|亀井孝]]・[[河野六郎]]・[[千野栄一]]編著、『[[言語学大辞典]]セレクション・ヨーロッパの言語』[[三省堂]]、1998年。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
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== 関連項目 ==

== 外部リンク ==

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[[sk:Dolná nemčina]]
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[[stq:Läichdüütsk]]
[[sv:Lågtyska]]
[[ta:நேதர்துவித்து மொழி]]
[[ug:شىمالىي گېرمانىيە دىئالېكتى]]
[[uk:Нижньонімецька мова]]
[[vec:Lengua todesca bassa]]
[[vls:Nederduuts]]
[[zh:低地德语]]

2024年1月2日 (火) 18:35時点における最新版

低地ドイツ語
話される地域ドイツの旗 ドイツニーダーザクセン州ブレーメン州ハンブルク州シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州メクレンブルク=フォアポンメルン州ノルトライン=ヴェストファーレン州北部、ブランデンブルク州北部、ザクセン=アンハルト州北部
オランダの旗 オランダ
ベルギーの旗 ベルギー北部
南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国
言語系統インド・ヨーロッパ語族
下位言語

低地ドイツ語(黄色)・中部ドイツ語(水色)・上部ドイツ語(緑色)の各言語群の区域

低地ドイツ語の地域

低地ドイツ語(ていちドイツご、: Plattdeutsch, Niederdeutsch低地ドイツ語: Plattdüütsch: Nederduits)とは、広義のドイツ語のうち、第二次子音推移の影響を受けなかったドイツ北部の言語群を指す。

概要

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大きく分けて、オランダからベルギー北部で用いられ、オランダ語フラマン語などを含む低地フランク語ニーダーザクセン州を中心としたドイツ北西部で用いられる低ザクセン語、おおむねエルベ川よりも東側のドイツ北東部で用いられる東低地ドイツ語ドイツ語版英語版の三つに分けられる。ただし、近年では低地フランク語を低地ドイツ語とは別の言語グループとする場合が多い。

西ゲルマン語群の系統である低地ドイツ語は、標準ドイツ語東中部ドイツ語テューリンゲン・オーバーザクセン方言を母体として近世に作られた)が経験した「第二次子音推移」ないし「高地ドイツ語子音推移」と呼ばれる子音変化を経験しておらず、英語フリジア語、スカンジナビア諸言語との共通点が標準ドイツ語より多い。

同時に、文法的にも前述の英語と多くの共通の部分がある。たとえば、低地ドイツ語の系統の名詞にはが3つしかない(標準ドイツ語は4、英語は代名詞で3)。北部方言では、過去分詞にドイツ語やオランダ語のそれに付くようなge-が付かず、多くの南部方言ではge-の代わりにe-が使われる。このような多くの相違点から、言語学的見地からは同じ西ゲルマン語群に属する別言語と扱われ、要するに外国人から見たドイツ語である「標準ドイツ語」とは親子関係になく、むしろフランス語に対するイタリア語中央イタリア方言)・スペイン語カステーリャ語)のような兄弟言語としての立ち位置にあると考えるのが一般的な見解である。

低地フランク語を除いた低地ドイツ語は、系統的には低地フランク語や高地ドイツ語よりも、むしろアングロ・フリジア語群(典型的には英語)に近いという見方もある。

分類

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対照例示

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日本語 低地ドイツ語 オランダ語 フリジア語 英語 標準ドイツ語 スウェーデン語
作る maken, moaken, maaken maken meitsje make machen maka(古語
百姓、身分の低い男 Kerl kerel tsjirl(古語) churl Kerl karl
Dag, Dach dag dei day Tag dag
食べる eten, äten eten ite eat essen äta
10 teihn, tian tien tsien ten zehn tio
座る sitten zitten sitte sit sitzen sitta
Schipp, Schepp schip skip ship Schiff skepp
胡椒 Peper, Päpa peper piper pepper Pfeffer peppar
Wief, Wiewer wijf, wijven wiif, wiven wife, wives Weib, Weiber viv

参考文献

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脚注

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関連項目

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外部リンク

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