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[[ファイル:Draisine-templin.jpg|thumb|300px|[[ドイツ]]・{{仮リンク|テンプリン|de|Templin|en|Templin}}-{{仮リンク|フュルステンベルク/ハーヴェル|de|Fürstenberg/Havel|en|Fürstenberg/Havel}}間を走る軌道自転車]]
'''軌道自転車'''(きどうじてんしゃ)とは、[[鉄道]][[線路 (鉄道)|線路]]上を走り、自転車のようにまたがって乗車する車両。[[自転車]]またはバイク([[オートバイ]])の部品を使して製作されている。
'''軌道自転車'''(きどうじてんしゃ)とは、運転者が乗車して[[鉄道]][[線路 (鉄道)|線路]]上を走する車両である旧来は[[自転車]][[オートバイ]]部品が多見されたが、現在は各社が専用車体を製作している。


== 概要 ==
== 概要 ==
線路上を走行する自転車、[[オートバイ|バイク]]で、'''レールバイク'''と呼称され線路上を走行するため鉄道に分類される。二輪自転車を改造した人力駆動車や新造の[[原動機|エンジン]]駆動する四輪車などがある。
[[File:BATADEN Rail Cycle.jpg|200px|thumb|四輪の軌道自転車([[一畑電車]])]]
* とくに日本では「[[レールスター]]」とも呼び、鉄道会社の見学イベントで体験乗車する機会も多い。これは旧・[[中島飛行機]]のエンジン部門であった[[富士重工業大宮製作所|大宮富士産業]]が[[1950年]]<ref name="社史2004">富士重工業(株)『富士重工業50年史 1953-2003』 (2004.07)</ref>に製造した原動機付き製品に由来するものとみられる。
線路上を走る自転車、バイクで、'''レールバイク'''と呼称されることもある。線路上を走るため、分類上鉄道である。形状は二輪自転車を改造したものや、新しく製造した四輪のものなどがある。自転車のように人力駆動するもも、バイクのように[[原動機|エンジン]]駆動するものもある。


現在、実際に[[保線]]作業で使われているものほとんどエンジン付きでエンジンで動くものは'''軌道自動自転車'''とい。通常は前にしかめないため、方向転換の際には線路から持ち上げて向きを変え必要がある。
現在[[保線]]作業では、''軌道自動自転車''と呼称されるエンジン駆動製品が多用されて。通常は前進方向線路から持ち上げて転換するが、逆進可能な製品もある。


エンジン付きの場合、運転方法はバイク同様スロットルグリップをひね、右手親指でスロットルレバーを操作する。
エンジン駆動製品バイク同様スロットルグリップ回転する、右手親指でスロットルレバーを開閉、アクセルスロットルとブレーキが一体化したレバー操作など、複数の運転方法がある。[[セルモーター|スターターモーター]]や紐を引くリコイルスタートで始動る[[スクーター]]類似製品もある。[[2010年]]11月開催の[[鉄道技術展]]で、国内主要メーカーが[[電動機|モーター]]駆動する電動式商品を発表している。


[[東海旅客鉄道]](JR東海)では[[在来線]]用として、[[日産・リーフ]]の[[リチウムイオン二次電池|リチウムイオンバッテリー]]を再利用<ref>{{Cite web|和書|date=2021-09-17 |url=https://www.netdenjd.com/articles/-/255662 |title=JR東海、軌道自動自転車に「リーフ」のバッテリー再利用 電動化へ走行試験 |publisher=[[日刊自動車新聞]] |accessdate=2021-09-20}}</ref>した[[回生ブレーキ]]付きの電動式軌道自動自転車を試験導入し、[[2021年]]([[令和]]3年)7月より[[2022年]](令和4年)3月までの予定で各種性能確認試験を行う。同社の在来線部門で使用されている207台のガソリンエンジン式軌道自動自転車を全て電動式に置き換えた場合、年間約3.4トンの[[二酸化炭素]]が削減できると言う<ref>{{Cite web|和書|date=2021-09-08 |url=https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000041373.pdf |title=在来線における電動式軌道自動自転車の試験導入について
[[スターター]]は[[セルモーター]]付のものと、発動発電機のようなリコイルスタート(勢いよく紐を引くタイプ)のものがある。
|format=PDF |publisher=東海旅客鉄道 |accessdate=2021-09-20}}</ref>。


== 使用目的 ==
== 使用目的 ==
=== 観光用 ===
=== 観光用 ===
路線に鉄道[[廃線]]を再使用した全長数[[キロメートル|km]]から10数km程度で、観光時期や週末限定で営業するものが多い。
[[ファイル:Bifuka_Torokko_Oukoku_draisines.jpg|thumb|200px|旧[[美幸線]][[トロッコ王国美深|トロッコ王国]]の軌道自転車]]
日本では、[[美幸線]]の廃線を活用した[[トロッコ王国美深]]があるほか、旧[[神岡鉄道神岡線|神岡鉄道線]]の廃線でも「レールマウンテンバイク」というイベントが春から秋にかけて開催されており、利用客が自分で運転できる([http://rail-mtb.com/ レールマウンテンバイク 公式サイト])。
[[日本]]では[[美幸線]]廃線の[[トロッコ王国美深]]、[[高千穂鉄道]]廃線の[[高千穂あまてらす鉄道]]や、旧[[神岡鉄道神岡線]]廃線などでは春から秋季に、客自身が運転する「レールマウンテンバイク」<ref>{{Cite web|和書

| url = http://rail-mtb.com/
他の国では、主に[[ドイツ]]、[[スウェーデン]]、[[ノルウェー]]、[[ポーランド]]など[[ヨーロッパ]]山岳[[観光地]]く存在しているほか、[[大韓民国|韓国]]で廃線跡活用したものなどが複数存在する。
| title = レールマウンテンバイク Gattan Go!!

| accessdate = 2010-4-19
利用客がペダルをこいで前進する場合と、[[原動機]]を備えている場合の双方があり、走行距離は数[[キロメートル|km]]から10数km程度である。営業は、週末や観光シーズンのみに限定されている場合が多い。路線は鉄道の[[廃線]]を使用することが多く、新しい形態の[[レクリエーション]]および[[スポーツ|レジャースポーツ]]として注目を集めている。
}}</ref>が催される。諸外国では[[ドイツ]]、[[スウェーデン]]、[[ノルウェー]]、[[ポーランド]]など[[ヨーロッパ]]山岳[[観光地]]見され、[[大韓民国|韓国]]で廃線跡活用などが複数散見される。


=== 線路保守用 ===
=== 線路保守用 ===
主に[[保線]]作業で使用され、災害時線路巡回や夜間等軽作業時の移動運搬用途も多い。
[[ファイル:RailVelocipede.jpg|thumb|200px|アメリカの路線復帰デモンストレーションで使用される軌道自転車]]
主に[[保線]]作業に使われる。保線用の職員が運転するものであるが、一般の人向けなどに体験乗車・運転を行っているところもある。[[小湊鐵道|小湊鉄道]]のものは年に2回(5月と11月)、一般の人でも体験運転できる。観光客向けのものとしては、廃線となった[[美幸線]]の[[トロッコ王国美深|トロッコ王国]]のものが有名である。


=== その他 ===
=== その他 ===
[[鉱山鉄道]]内での作業用に、使用される事例もある。また、[[ロシア]]東部<!--や東南アジア-->など一部地域では、沿線住民が鉄道線路を断りなく使用し、個人的に軌道自転車を運転し移動する事例もあるようである。
[[鉱山鉄道]]内作業で供される事例、[[ロシア]]東部<!--や東南アジア-->など一部国地域では、沿線住民が無許可で軌道自転車を運転し移動する事例もある。

==ギャラリー==
<gallery widths="180px" heights="150px">
ファイル:BATADEN Rail Cycle.jpg|[[一畑電車]]使用車
ファイル:Rail Cycle in Kanoya City Railway Museum.jpg|[[鹿屋駅|鹿屋市鉄道記念館]]展示車
ファイル:Bifuka_Torokko_Oukoku_draisines.jpg|旧[[美幸線]][[トロッコ王国美深|トロッコ王国]]の軌道自動自転車(左)と軌道自転車(右)
ファイル:RailVelocipede.jpg|[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の路線復帰デモンストレーションで使用される軌道自転車
File:Draisines of Maruseppu forest park.jpg|[[丸瀬布森林公園いこいの森]]([[北海道]][[遠軽町]])の軌道自転車(軌間762mm)
</gallery>

==脚注==
{{Reflist}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
*[[人車軌道]]
* [[人車軌道]]
*[[モーターカー]]
* [[モーターカー]]
*[[軌陸車]]
* [[軌陸車]]
*[[トロッコ王国美深]]
* [[トロッコ王国美深]]
* [[高千穂あまてらす鉄道]]
* [[ドライジーネ]]


==外部リンク==
== 外部リンク ==
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*[http://www.railbike.de/ ヨーロッパのレールバイク一覧] '''(英語)'''
*[http://www.2427junction.com/koreareportrb.html 旌善レールバイク] - 韓国にある観光用レールバイク
* [http://www.railbike.de/ ヨーロッパのレールバイク一覧] '''(英語)'''
* [https://www.jeongseon.go.kr/jp/tourist_attractions/leisure_sports 旌善レールバイク] - 韓国にある観光用レールバイク
* [http://www.to-ko-sangyo.co.jp/ 東光産業株式会社] - 国内の軌道自動自転車メーカー([[スーパーカート]]シリーズ)
*[{{NDLDC|1176134/11}} 『内外品使用成績比較調. 土木工事関係ノ部』](国立国会図書館デジタルコレクション)軌道自動自転車写真 1930年


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2024年2月14日 (水) 03:21時点における最新版

ドイツテンプリンドイツ語版英語版-フュルステンベルク/ハーヴェルドイツ語版英語版間を走る軌道自転車

軌道自転車(きどうじてんしゃ)とは、運転者が乗車して鉄道線路上を走行する車両である。旧来は自転車オートバイ部品流用が多見されたが、現在は各社が専用車体を製作している。

概要

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線路上を走行する自転車、バイクで、レールバイクとも呼称され、線路上を走行するため鉄道に分類される。二輪自転車を改造した人力駆動車や新造のエンジン駆動する四輪車などがある。

現在の保線作業では、軌道自動自転車と呼称されるエンジン駆動製品が多用されている。通常は前進一方向で線路から持ち上げて方向転換するが、逆進可能な製品もある。

エンジン駆動製品は、バイク同様のスロットルグリップ回転する、右手親指でスロットルレバーを開閉、アクセルスロットルとブレーキが一体化したレバー操作など、複数の運転方法がある。スターターモーターや紐を引くリコイルスタートで始動するスクーター類似製品もある。2010年11月開催の鉄道技術展で、国内主要メーカーがモーター駆動する電動式商品を発表している。

東海旅客鉄道(JR東海)では在来線用として、日産・リーフリチウムイオンバッテリーを再利用[2]した回生ブレーキ付きの電動式軌道自動自転車を試験導入し、2021年令和3年)7月より2022年(令和4年)3月までの予定で各種性能確認試験を行う。同社の在来線部門で使用されている207台のガソリンエンジン式軌道自動自転車を全て電動式に置き換えた場合、年間約3.4トンの二酸化炭素が削減できると言う[3]

使用目的

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観光用

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路線に鉄道廃線を再使用した全長数kmから10数km程度で、観光時期や週末限定で営業するものが多い。

日本では美幸線廃線のトロッコ王国美深高千穂鉄道廃線の高千穂あまてらす鉄道や、旧神岡鉄道神岡線廃線などでは春から秋季に、客自身が運転する「レールマウンテンバイク」[4]が催される。諸外国ではドイツスウェーデンノルウェーポーランドなどヨーロッパ山岳観光地に多見され、韓国では廃線跡活用などが複数散見される。

線路保守用

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主に保線作業で使用され、災害時線路巡回や夜間等軽作業時の移動運搬用途も多い。

その他

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鉱山鉄道内作業で供される事例や、ロシア東部など一部国や地域では、沿線住民が無許可で軌道自転車を運転し移動する事例もある。

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ 富士重工業(株)『富士重工業50年史 1953-2003』 (2004.07)
  2. ^ JR東海、軌道自動自転車に「リーフ」のバッテリー再利用 電動化へ走行試験”. 日刊自動車新聞 (2021年9月17日). 2021年9月20日閲覧。
  3. ^ 在来線における電動式軌道自動自転車の試験導入について” (PDF). 東海旅客鉄道 (2021年9月8日). 2021年9月20日閲覧。
  4. ^ レールマウンテンバイク Gattan Go!!”. 2010年4月19日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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