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{{大統領 |
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| 人名=厳家淦 |
| 人名 = 厳 家淦 |
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| 代数4 = 第6・8 |
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| 没地={{ROC}}[[台北市]] |
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| 元首職4 = 行政院長 |
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| 配偶者=劉期純 |
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| 元首4 = [[閻錫山]]<br>[[陳誠]]<hr>[[兪鴻鈞]]<br>陳誠 |
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| 政党=[[ファイル:Emblem of the Kuomintang.svg|15px]][[中国国民党]] |
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| 代数5 = [[File:Flag of Taiwan Province.svg|25px]] 第3 |
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| 職名5 = [[台湾省政府]]主席 |
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| 就任日5 = [[1954年]][[6月7日]] |
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| 代数6 = 第6・8 |
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| 職名6 = [[経済部 (中華民国)|経済部長]] |
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| 国名6 = {{ROC}} |
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| 就任日6 = [[1950年]][[2月10日]] |
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| 退任日6 = [[1950年]][[3月12日]] |
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| 元首職6 = 行政院長 |
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| 元首6 = 陳誠 |
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| 出生日 = [[1905年]][[10月23日]] |
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| 生地 = {{QIN1890}} [[江蘇省]][[蘇州 (古代)|蘇州府]][[呉県]]木涜鎮<br>(現:[[蘇州市]][[呉中区]]木涜鎮) |
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| 死亡日 = {{死亡年月日と没年齢|1905|10|23|1993|12|24}} |
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| 没地 = {{ROC}} [[台北市]] |
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| 出身校 = [[聖ヨハネ大学 (上海)|聖ヨハネ大学]]理工学院 |
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| 配偶者 = 葉淑英(1922年 - 1923年)<br>劉期純(1924年 - 1993年) |
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| 政党 = {{KMT}} |
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| 受賞 = 卿雲勲章<br>[[File:PER Order of the Sun of Peru - Grand Cross BAR.png|50px]] ペルー太陽勲章<br>[[File:VPD National Order of Vietnam - Grand Cross BAR.png|50px]] ベトナム共和国保国勲章 |
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{{中華圏の人物 |
{{中華圏の人物 |
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| 名前=厳家淦 |
| 名前 = 厳 家淦 |
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| 職業 = [[政治家]] |
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| 画像= |
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| 簡体字 = {{Lang|zh|严 家淦}} |
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| 画像の説明= |
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| 繁体字 = {{Lang|zh-tw|嚴 家淦}} |
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| 出生=[[1905年]][[10月23日]] |
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| ピン音 = Yán Jiāgàn |
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| 死去=[[1993年]][[12月24日]] |
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| 通用 = Yán Jia Gàn |
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| 出身地=[[江蘇省]][[蘇州市|蘇州]] |
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| 注音 = |ㄢˊ ㄐ|ㄚ ㄍㄢˋ |
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| 職業=[[政治家]] |
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| 注音二式 = Yán Jiāgàn |
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| 簡体字=严家淦 |
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| 和名 = げん かかん |
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| 繁体字=嚴家淦 |
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| 発音 = イェン ジャアガン |
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| ピン音=Yán Jiāgàn |
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| 通用= |
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| 注音=|ㄢˊ ㄐ|ㄚ ㄍㄢˋ |
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| 注音二式=Yán Jiāgàn |
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| 和名=げん かかん |
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| 発音=イェン ジャアガン |
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'''厳 家淦'''(げん かかん、[[1905年]][[10月23日]] - [[1993年]][[12月24日]])は、 |
'''厳 家淦'''(げん かかん、{{lang-zh-tw-short|'''嚴 家淦'''}}、{{注音||ㄢˊ ㄐ|ㄚ ㄍㄢˋ}}、[[1905年]][[10月23日]]〈[[光緒]]31年9月25日〉 - [[1993年]]〈[[民国紀元|民国]]82年〉[[12月24日]])は、[[中華民国]]の[[政治家]]。原名は'''静波'''だったが後に'''家淦'''に改名し、[[字]]を静波とした。[[号 (称号)|号]]は'''蘭芬'''。[[福建省]]出身の[[外省人]]である。第2代[[中華民国総統|総統]]([[1972年中華民国総統選挙|5期]]途中昇格)を務めた。 |
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台湾省財政庁長在任中、価値が急落した[[旧台湾ドル]](旧台幣)に代わって[[新台湾ドル]](新台幣)を発行する通貨改革を実施したことから、'''新台幣の父'''と呼ばれる<ref>{{cite web|title=〈「新台幣之父」本是富家子弟〉|url=http://news.singtao.ca/toronto/2012-08-21/taiwan1345536686d4042251.html|access-date=2016-03-29|archive-url=https://web.archive.org/web/20160409105336/http://news.singtao.ca/toronto/2012-08-21/taiwan1345536686d4042251.html|archive-date=2016-04-09|dead-url=yes}}</ref>。 |
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総統在任中であった[[蔣介石]]の死去に伴い、[[中華民国憲法]]の規定に従って当時[[中華民国副総統|副総統]]だった厳家淦が任期終了まで総統を務めたが、実権は中国国民党主席兼[[中華民国の首相#行政院長|行政院長]]の[[蔣経国]]が握っていた<ref>{{cite web |title=第5任 嚴總統家淦先生 |url=https://www.president.gov.tw/Page/84 |website=中華民國總統府 |accessdate=2020-10-17 |archive-date=2019-04-11 |archive-url=https://web.archive.org/web/20190411070050/https://www.president.gov.tw/Page/84 |dead-url=no }}</ref>。 |
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== 生涯 == |
== 生涯 == |
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=== 生い立ち === |
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[[上海]]の聖約翰(セント・ジョン)大学を卒業。第二次世界大戦後に台湾へ渡り、[[霧峰林家]]と交友を深める。[[1947年]]に[[台湾省]]財政庁長となり、台湾での幣制改革に力を振るった。 |
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[[File:Yen Chia-Kan c.jpg|thumb|240px|聖ヨハネ大学の卒業写真]] |
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幼少期は[[江蘇省]]木涜小学(現:江蘇省木涜実験小学)に通い、1926年(民国15年)に[[上海市|上海]]の[[聖ヨハネ大学 (上海)|聖ヨハネ大学]]を卒業した<ref name="一生">{{cite book|author=漆高儒|title=《蔣經國的一生》|date=1991-03-31|publisher=傳記文学出版社|location=[[台北市|台北]]|isbn=9578506074}}</ref>。1931年(民国20年)、京滬杭甬鉄路管理局材料処長に就任した。 |
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=== 日中戦争期 === |
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その後、経済部長・台湾省主席・財政部長を経て、[[1963年]]([[民国紀元|民国]]52年)12月、[[中華民国行政院 | 行政院]]院長に就任。[[1966年]]には[[中華民国副総統|副総統]]も兼任した。[[1975年]](民国64年)[[4月5日]]に[[蔣介石]]が任期中に病死したため、[[中華民国憲法]]の規定に沿い総統に就任。[[1978年]](民国67年)[[5月20日]]の任期終了まで総統を務めたが、実際には蔣介石の息子で国民党主席兼行政院院長だった[[蔣経国]]が党と政府の実権を掌握し、殆ど名目的な総統だった。 |
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1938年(民国27年)、{{仮リンク|福建省政府|zh|福建省政府}}建設庁長に就任し、[[日本軍]]による食糧輸入港の占領によって混乱した省内の輸送を維持するため、道路や河川の改修に努めた。1939年(民国28年)には財政庁長に就任し、戦時の財政の改善のために70以上の雑税を廃止した。その後の[[福建省 (中華民国)|福建省]]の財政は毎年赤字がなく、均衡を保つようになった。また、省内の食糧供給と[[法幣]]の[[インフレーション]]の問題を解決するため、彼は「田賦徵実」制度を実施した。物価の変動による農家の損失を防ぐために、税金を納める代わりに[[農作物]]を現物で納めさせるという制度である<ref name="一生"/>。 |
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1945年(民国34年)、{{仮リンク|中国戦時生産局|label=戦時生産局|zh|中国战时生产局}}採弁部長に就任し、[[アメリカ合衆国]]との間での[[レンドリース法]]や、[[イギリス]]、[[カナダ]]との間での[[借款]]を担当した。 |
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総統引退後は'''中華文化復興運動推行委員会会長'''や、'''国立故宮博物院管理委員会主任委員'''などの名誉職についた。1993年(民国82年)2月24日に[[台北市]]で病死。 |
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=== 台湾へ === |
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なお任期中に[[サウジアラビア]]へ公式訪問を行った。これは中華民国総統としては初めての海外公式訪問となる。 |
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1945年10月16日、[[国民政府]]は厳家淦を[[台湾省]][[台湾省行政長官公署|行政長官公署]]交通処長に任命し、それまで処長を務めていた徐学禹は免職された<ref name="民">{{cite book |editors=李新総主編,[[中国社会科学院]]近代史研究所中華民国史研究室編,韓信夫、姜克夫主編 |title=《中華民國史大事記》 |location=[[北京市|北京]] |
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|publisher=[[中華書局]] |year=2011 }}</ref>。10月24日、厳家淦は台湾省行政長官の[[陳儀]]らと共に、職務に就くために上海から[[台北市|台北]]へと飛んだ<ref name="民"/>。10月25日、厳家淦は「中国戦区台湾省受降式典」の準備処に召集され、同日に[[台北公会堂]](現:中山堂)で行われた受降式典に参加した。1946年(民国35年)、厳家淦は台湾省財政処長に任命され、[[日本]]の財産を接収して台湾省の財政を再建する任務を担当した。同時に、日本から接収した[[台湾銀行#中華民国統治時代|台湾銀行]]の[[董事長]]にも任命された<ref name="民"/>。厳家淦は台湾の名家である[[霧峰林家]]と交友関係にあった。 |
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1947年(民国36年)に[[二・二八事件]]が発生した際、陳儀の福建省政府主席時代からの部下だった行政長官公署秘書長の{{仮リンク|葛敬恩|zh|葛敬恩}}<ref group="注" name="亡命">1949年に[[中華人民共和国]]へ亡命</ref>、民政処長の{{仮リンク|周一鶚|zh|周一鶚}}<ref group="注" name="亡命"/>、財政処長の厳家淦、工鉱処長の{{仮リンク|包可永|zh|包可永}}の4人は、汚職や食糧不足を招いたとして、[[台湾人]]団体から「四凶」と呼ばれて非難され、調査を要求された<ref>{{cite web |url=http://www.ntl.edu.tw/public/Attachment/281415523478.pdf |author=許雪姫 |title=1937-1947年在上海的臺灣人《臺灣學研究》第13期 |date=2012-06 |accessdate=2023-02-13}}[[国立台湾図書館]]</ref><ref>{{cite web |url=https://quasi-quasi.com/category/%E5%A0%B1%E5%B0%8E%E6%96%87%E5%AD%B8/ |author=藍博洲 |title=《消逝在二二八迷霧中的王添灯》|archiveurl=https://web.archive.org/web/20170319195635/https://quasi-quasi.com/category/%E5%A0%B1%E5%B0%8E%E6%96%87%E5%AD%B8/ |date=2016-02-29 |archivedate=2017-03-19 |accessdate=2023-02-13 }}</ref>。当時[[彰化銀行]]の株主総会に出席するため[[台中市|台中]]に出張していた厳家淦は、彰化銀行を経営していた霧峰林家の当主である[[林献堂]]により保護され、彼の家の屋根裏に匿われた。 |
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同年4月29日、[[行政院]]第1回政務会議は[[台湾省政府]]設立に伴う各委員および各庁長の人事を承認した。{{仮リンク|丘念台|zh|丘念台}}、厳家淦、{{仮リンク|許恪士|zh|許恪士}}、楊家瑜、林献堂、{{仮リンク|朱仏定|zh|朱佛定}}、[[杜聡明]]、{{仮リンク|馬寿華|zh|馬壽華}}、劉兼善、{{仮リンク|李翼中|zh|李翼中}}、{{仮リンク|南志信|zh|南志信}}、{{仮リンク|游弥堅|zh|游彌堅}}、朱文伯、{{仮リンク|陳哲清|zh|陳啓清}}が政務委員に任命され、丘念台は民政庁長、厳家淦は財政庁長、許恪士は教育庁長、楊家瑜は建設庁長、李翼中は社会処長を兼任した<ref name="民"/>。 |
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また、1948年(民国37年)に厳家淦は台北扶輪社([[ロータリークラブ]])を設立し、初代会長に就任した<ref>{{cite web |url=https://taiwan-rotary.org/article/detail.php?id=121 |title=最新文章-老照片的故事──戰後台灣扶輪第一社 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20240214015405/https://taiwan-rotary.org/article/detail.php?id=121 |date=2021-07-28 |archivedate=2024-02-14 |accessdate=2023-02-14 }}</ref>。 |
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=== 台湾の財政改革 === |
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厳家淦は当時の台湾省内の経済の混乱に鑑みて、省政府の財政整理期間中は一時的に省政府と地方政府の収支を分割せず、省政府の軍事費は月単位で配分することを決定し、さらに省内国防建設法を制定した。また、1946年に台湾銀行は[[旧台湾ドル]](旧台幣)を発行する権限を与えられた。さらに、[[省 (行政区画)|省]]と[[県 (中華民国)|県]]・省轄市(現:[[市 (中華民国)|市]])の歳入を7対3の割合に分割し、[[日本統治時代の台湾|日本統治時代]]から続いていた[[印紙税]]を廃止して新たな印紙税を実施、{{仮リンク|筵席税|zh|筵席税}}を減税し、台湾銀行に省内での公庫制度の実施を委託した。また、それと同時に各[[郷]][[鎮]]の公庫網の整備も進めた。 |
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省内でのインフレーション発生に伴って厳家淦は[[新台湾ドル]](新台幣)の発行を計画した。厳家淦は旧台幣を廃止して代わりに新台幣を発行する通貨改革の実施を[[台湾省政府]]主席の[[陳誠]]に進言した。1949年(民国38年)6月15日、台湾省政府は「台湾省幣制改革法案」と「新台幣発行弁法」を布告、40,000旧台幣=1新台幣とする[[デノミネーション]]を実施した。これにより台湾を[[中国大陸]]での[[金円券]]の急速な価値下落による悪性インフレから切り離すことに成功した。さらに、高金利政策で流動資金を市場に吸収し、インフレと物価混乱を抑制した。 |
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同年12月6日、厳家淦は政務委員および財政庁長を免職された<ref>{{cite news|title=《總統府公報》第貳肆伍號|editors=[[中華民国総統府|総統府]]第五局|date=1949-12-31}}</ref>。 |
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=== 中華民国政府の台湾移転後 === |
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[[File:Yen Chia-kan at Police Radio Station 1956.jpg|thumb|240px|1956年、{{仮リンク|警察広播電台|label=台湾省警察広播電台|zh|警察广播电台}}で国勢調査の実施を伝える厳家淦(左)]] |
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[[File:Yen Chia-kan as Minister of Finance.jpg|thumb|240px|[[財政部 (中華民国)|財政部長]]時代]] |
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1949年12月7日、[[国共内戦]]で敗勢となった[[中国国民党]]率いる中華民国は、[[中華民国政府の台湾への移転|政府を台湾省台北市に移転した]]。 |
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厳家淦は1950年(民国39年)2月に[[経済部 (中華民国)|経済部長]]に就任し、3月には[[財政部 (中華民国)|財政部長]]に転任した。財政部長在任中は[[国防部 (中華民国)|国防部]]と交渉して軍事費の削減を行い、軍備を増強して費用を膨らませる[[中華民国国軍|軍]]の悪習の改革を行った。1951年(民国40年)11月、中央政府の総予算の編成を行い、翌1952年(民国41年)には[[会計年度]]制の再確立、税捐統一稽徵条例の実施、財政金融政策の立案を行い、現代的な予算制度を確立した。同時に、[[中華民国の首相#行政院長|行政院長]]の陳誠を補佐し、[[公有財産|公有地]]の解放や 耕作者の土地所有権などの土地政策を推進した<ref name="総統府">{{Cite web |url=http://www.president.gov.tw/Default.aspx?tabid=72 |title=嚴家淦 |accessdate=2014-08-27 |archive-date=2021-01-04 |archive-url=https://web.archive.org/web/20210104091530/https://www.president.gov.tw/Default.aspx?tabid=72 |dead-url=no }}</ref>。 |
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1954年(民国43年)、厳家淦は台湾省政府主席および保安司令に就任した<ref name="年表">{{cite book|author=陳布雷等編著|title=《蔣介石先生年表》|date=1978-06-01|publisher=傳記文学出版社|location=台北}}</ref><ref name="総統府" />。台湾省政府主席在任中は台湾の財政・経済の発展に尽力した。[[イギリス]]の[[イギリスのニュータウン|ニュータウン]]に倣って[[南投県]][[南投市]]に[[中興新村]]を建設し、台湾省政府を台北市から中興新村へ移転させた。 |
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1958年(民国47年)、財政部長の{{仮リンク|徐柏園|zh|徐柏園}}が辞任したことに伴って厳家淦が複任した。1期目の4年2か月と合わせて、約10年間財政部長を務めたことになる。2期目にはより大規模な財政改革を推し進め、「{{仮リンク|十九点財経改革措施|zh|十九點財經改革措施}}」を実施、広範囲に及ぶ投資奨励条例を制定した<ref name="財政部">{{Cite web |url=https://museum.mof.gov.tw/singlehtml/deda18ab361044e09ded1a6b632adac9?cntId=cb0d5a09c6a24748aca7608263d9aa52 |title=嚴家淦相關史料 |accessdate=2024-02-14 |archive-date=2024-02-14 |archive-url=https://web.archive.org/web/20240214014937/https://museum.mof.gov.tw/singlehtml/deda18ab361044e09ded1a6b632adac9?cntId=cb0d5a09c6a24748aca7608263d9aa52}}</ref>。 |
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1963年(民国52年)12月、厳家淦は行政院長に就任し<ref name="一生" />、1964年(民国53年)には[[大韓民国|韓国]]を訪問した<ref name="年表"/>。 |
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=== 副総統から総統への昇格 === |
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[[File:副總統嚴家淦於白宮會面美國總統尼克森.jpg|thumb|240px|1970年10月24日、厳家淦は[[アメリカ合衆国]][[ワシントンD.C.]]の[[ホワイトハウス]]で行われた[[リチャード・ニクソン]][[アメリカ合衆国大統領|大統領]]主催の国賓晩餐会に出席した。]] |
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[[File:Vice President Yen Chia-kan accepts a moon rock from U.S. Ambassador Walter P. McConaughy 副總統嚴家淦接受美國大使馬康衛贈送月球岩石.jpg|thumb|240px|1973年7月20日、[[ウォルター・パトリック・マカナギー]]駐中華民国アメリカ合衆国大使から[[月の石]]を贈られる厳家淦]] |
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1966年(民国55年)3月10日、[[蔣経国]]は[[宋美齡]]に次のような手紙を送った。 |
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{{quote| |
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「……中全会は全会一致で[[蔣介石|父]]を[[中華民国総統|総統]]候補に選出し、父が推薦する厳家淦氏を副総統候補として承認しました。」<ref name="函電上">{{cite book|editor=周美華、蕭李居|title=《蔣經國書信集——與宋美齡往來函電》(上)|year=2009|publisher=[[国史館]]|location=台北}}</ref> |
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同年3月22日、蔣経国は宋美齡に次のような手紙を送った。 |
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{{quote| |
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「……[[国民大会|国大]]には1416人の代表が出席し、厳院長が782票を獲得して[[中華民国副総統|副総統]]に選出されました。」<ref name="函電上"/> |
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厳家淦は中華民国史上初の[[文官]]出身の副総統となった。 |
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1967年(民国56年)5月6日から26日まで、厳家淦夫妻は[[アメリカ合衆国]]を訪問し、[[リンドン・ジョンソン]][[アメリカ合衆国大統領|大統領]]と会談を行った。訪米には経済部長の{{仮リンク|李国鼎|zh|李國鼎}}、[[外交部 (中華民国)|外交部]]政務次長の{{仮リンク|沈錡|zh|沈錡}}夫妻、[[行政院経済建設委員会]]秘書長の{{仮リンク|陶聲洋|zh|陶聲洋}}などが同行した。訪米中には[[ジョン・F・ケネディ]]の墓参りのため[[アーリントン国立墓地]]に訪れ、献花した。他にも、ケープカナベラル空軍基地(現:[[ケープカナベラル宇宙軍施設]])、[[ケネディ宇宙センター]]、[[国際連合本部ビル]]などを訪問した。訪米中、中華民国側は米国による支援終了後の多くの経済協力プログラムを取り決めた。米国側は在中華民国大使館に科学技術参事を設置して科学技術交流を強化することに合意し、中華民国政府は行政院に国家科学委員会(現:[[国家科学及技術委員会]])を設置して産業の高度化を推進した<ref name="財政部" /><ref>{{cite web |url=http://catalog.digitalarchives.tw/item/00/3a/1b/55.html |title=嚴家淦副總統訪美專輯 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20210104091600/http://catalog.digitalarchives.tw/item/00/3a/1b/55.html |date=2008-11-27 |archivedate=2021-10-10 |accessdate=2023-02-14 }}</ref>。 |
|||
同年7月、韓国の[[ソウル特別市|ソウル]]で開催された中華民国、米国、日本、韓国の首脳による非公式の会議に、蔣介石総統の代理として出席。 |
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1968年(民国57年)1月4日、[[タイ王国|タイ]]を訪問<ref>{{cite book |authors=呂芳上、朱文原、周美華、葉惠芬、高素蘭、陳曼華、歐素瑛編輯撰稿 |title=《中華民國建國百年大事記》 |location=台北 |publisher=国史館 |year=2012 |isbn=978-986-03-3586-6 }}</ref>。 |
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1970年(民国59年)、中華民国代表として[[国際連合総会|国連総会]]に出席。 |
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1971年(民国60年)、中華民国代表として[[ベトナム共和国]]の首都サイゴン(現:[[ホーチミン市|ホーチミン]])を訪れ、[[グエン・バン・チュー]]の[[南ベトナムの指導者#ベトナム共和国(1955年10月26日 - 1975年4月30日)|大統領]]就任式に出席。 |
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1972年(民国61年)3月3日、密かに台湾に帰国していた[[台湾独立運動|台湾独立運動家]]の[[辜寛敏]]と会談を行う<ref>{{cite book|title=逆風蒼鷹:辜寬敏的台獨人生|year=2015|editor=張炎憲、曾秋美|publisher=呉三連台湾史料基金会|location=台北}}</ref>。 |
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同年3月21日、[[1972年中華民国総統選挙|副総統選挙]]で第5期副総統に再選され、それまで副総統と兼任していた行政院長を退任し、後任に蔣経国が就任した。 |
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1974年(民国63年)、[[朝鮮独立運動|朝鮮の独立運動家]]である[[金九]]関連の史料を探しに台湾を訪れた[[韓国人]]ジャーナリストの{{仮リンク|孫忠武|ko|손충무}}と面会し、直筆の書を贈った。 |
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1975年(民国64年)4月5日、蔣介石が病死した。[[中華民国憲法]]の規定に従って副総統の厳家淦が1978年(民国67年)5月20日の任期終了まで総統に就任することになった。4月6日午前11時、厳家淦は[[中華民国総統府|総統府]]で総統就任の宣誓を行った。これにより、厳家淦は中華民国史上初の文官出身の総統となった。総統在任中、蔣経国行政院長が打ち立てた大規模[[インフラストラクチャー|インフラ]]整備計画「[[十大建設 (台湾)|十大建設]]」の実施によって[[台湾の経済]]は活況を呈し、社会秩序は比較的安定していた。同年6月18日には、防衛ミサイルの設計、試作、試験、生産を計画する「長安計画」が開始された<ref>{{cite web |url=http://www.cna.com.tw/news/aipl/201806160049-1.aspx |title=嚴家淦檔案 防禦飛彈長安計畫解密曝光 |publisher=中央社 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20180623165811/http://www.cna.com.tw/news/aipl/201806160049-1.aspx |date=2018-06-16 |archivedate=2018-06-23 |accessdate=2023-02-14 }}</ref>。 |
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1977年(民国66年)7月9日、[[サウジアラビア]]を訪問した。これは中華民国総統が行った初の海外公式訪問である。 |
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厳家淦の総統在任期間は蔣経国が行政院長・中国国民党主席の座に就いて政府と党の実権を握っていた。このため、一般的にはこの期間も蔣経国による統治の時代として扱われる。 |
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=== 総統退任後 === |
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1978年(民国67年)3月21日、[[1978年中華民国総統選挙|総統選挙]]で蔣経国が選出され、5月20日に総統に就任した。同時に厳家淦は総統を退任し、中華文化復興推行委員会(現:{{仮リンク|中華文化総会|zh|中華文化總會}})に就任した。 |
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1979年(民国68年)8月28日、宋美齢は蔣経国に次のような手紙を送った。 |
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「……[[国立故宮博物院|故宮博物院]]の文物はまさに国家の文化の神髄であり、文化財の宝庫です。普段の業務は[[葉公超|葉副主任委員]]や{{仮リンク|蔣復璁|label=蔣院長|zh|蔣復璁}}がしっかり担当していますが、[[中国]]と[[西洋]]の両方の学問に精通し、[[芸術]]、特に[[写真]]に興味を持つ厳静波氏こそ、資格や経験の有無にかかわらず、この職にふさわしい人物です。」<ref>{{cite book|editor=周美華、蕭李居|title=《蔣經國書信集——與宋美齡往來函電》(下)|year=2009|publisher=国史館|location=台北}}</ref> |
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}} |
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その結果厳家淦は故宮博物院管理委員会主任委員に任命され、1990年(民国79年)3月まで同職を務めた。 |
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1986年(民国75年)9月、厳家淦は会議中に[[脳出血]]を起こし、病院に緊急搬送された。 |
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=== 死去 === |
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1993年(民国82年)12月24日の夜、長引く脳出血の後遺症の影響で[[心不全]]となり、[[台北栄民総医院]]にて死去<ref name="中">[[中央通訊社]],台北,1994年1月22日</ref><ref name="美">[[AP通信]],台北,1994年1月22日</ref>。88歳没。1994年(民国83年)1月22日に台北栄民総医院懐遠堂で葬儀が執り行われた後、移霊礼が行われ、奉安典礼が[[中山区 (台北市)|中山区]]の[[三軍大学]](現:[[国防大学 (中華民国)|国防大学]])中正堂で行われた。総統の[[李登輝]]、行政院長の[[連戦]]などが弔問に訪れ、21発の[[弔砲]]が発射された<ref name="中"/><ref name="美"/>。その後、台北県汐止鎮(現:[[新北市]][[汐止区]])の{{仮リンク|国軍示範公墓|zh|國軍示範公墓}}に埋葬された。李登輝は次のような表彰を行った。 |
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{{cquote|厳家淦元総統は、誠実で感受性豊かな資質と豊富な知識を持つ人物だった。彼は政府の一員としてその功績を皆に知らしめた。[[福建省 (中華民国)|八閩]]では新たな試みを行い、{{仮リンク|三台 (職官)|label=三台|zh|三台 (职官)}}で素晴らしい実績を残した。経済部長、財政部長、台湾省政府主席を歴任し、経済建設の基礎を築いて金融・財政の面で大きな功績を残し、その功績はよく知られ、誰もが賞賛した。その後行政院長に就任すると百揆を総べて中道を貫き、政治は民衆と調和して八紘を向化し、道徳的かつ勤勉な努力の結果、彼の名声は高まった。[[1966年中華民国総統選挙|国民大会第4回会議]]では第4期副総統に選出されて行政院長と兼任して総統の仕事を補佐し、その優れた功績と徳によって内外から表彰された。副総統に再選されると彼は行政院長を辞職した。彼は院の献身的な一員だった。先総統の蔣公の死後、彼は憲法に従って総統職を継承した。彼は職務に勤勉で慎重で、名誉、威厳、気品のある人物であった。彼の訃報を聞いて衝撃を受け、悲しみに暮れた。高潔で賢明な人物を称えるという政府の意思を示すためにも、これは明確に称賛されるべきである。 |
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総 統 李登輝 |
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行政院長 連 戦}} |
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厳家淦は、2020年(民国109年)7月30日に97歳で死去した李登輝に次いで2番目に長寿の総統である。 |
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== 人物 == |
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厳家淦は気品に溢れ、仕事には細心の注意を払い、他人に対しては親切で愛想が良く、常に「一歩引いて考える」、「相手の立場に立って考える」ことを信条としていた<ref>{{cite book |author=呉伯卿 |chapter=〈嚴前總統家淦的勳業與風範〉 |title=《近代人物與史事》 |location=台北 |publisher=新文豊出版 |year=2003 }}</ref>。彼の言動には一貫性があり、特に「数字は嘘をつかない」として、自分の政治的見解を裏付ける数字を暗記するのが得意だった<ref name="一生"/>。 |
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かつての上司の陳儀や陳誠は、厳家淦の実務能力を高く評価していた<ref name="一生"/>。 |
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蔣介石は厳家淦を「上辺は人当たりがよいが芯はしっかりしており、[[公平無私]]な人物」と評している<ref>{{cite book |author=張玉法 |chapter=〈民國歷任元首的性格特質(1912-1988)〉 |editor=呂芳上 |title=《論民國時期領導精英》 |location=[[香港]] |publisher=商務印書館 |year=2009 |isbn=978-962-07-6426-4 }}</ref>。 |
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元[[監察院|監察院長]]の[[王作榮]]は厳家淦について、[[台湾プラスチックグループ]]の創業者の[[王永慶]]と合わせて「これまで会った中で最も聡明な2人」と評している<ref>{{cite book |chapter=王作榮:〈天才型的企業家——王永慶——「生根‧深耕」序〉 |author=王永慶 |title=《生根‧深耕》 |location=台北 |publisher=遠景出版 |year=1997 }}</ref>。 |
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== 逸話 == |
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[[File:嚴家淦故居.jpg|thumb|240px|[[台北市]][[中正区 (台北市)|中正区]]にある厳家淦故居([[台湾古跡一覧|国定古蹟]])]] |
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*史上最も長く行政院長を務めた人物である。在任期間は8年と5か月半。 |
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*[[国史館]]が出版した{{仮リンク|郭宗清|zh|郭宗清}}による回想録『大風将軍』によると、総統時代の厳家淦が軍事会議を取り仕切っていたた時、帰り際に「極秘」資料を持ち帰らずに机の上に置いたまま立ち去ろうとした。それを見た行政院長の蔣経国がすぐさま「この資料をお持ち帰りください」と言ったが、厳家淦は「私は極秘情報を携帯しておきたくない」と断り、彼の慎重さが明瞭に示された<ref>{{cite web|url=http://pnn.pts.org.tw/main/2011/10/24/%E3%80%90%E5%8F%B0%E7%81%A3%E6%AD%B7%E5%8F%B2%E9%9A%A7%E9%81%93%E3%80%911945-10-24%E3%80%8C%E5%8F%B0%E7%81%A3%E7%99%BE%E7%A7%91%E5%85%A8%E6%9B%B8%E3%80%8D%E5%9A%B4%E5%AE%B6%E6%B7%A6%E6%8A%B5%E5%8F%B0/|title=【台灣歷史隧道】1945-10-24「台灣百科全書」嚴家淦抵台|publisher=[[公共電視文化事業基金会]]|work=公視新聞網|date=2011-10-24|author=蔡漢勳|access-date=2015-02-23|archive-url=https://web.archive.org/web/20150223084505/http://pnn.pts.org.tw/main/2011/10/24/%E3%80%90%E5%8F%B0%E7%81%A3%E6%AD%B7%E5%8F%B2%E9%9A%A7%E9%81%93%E3%80%911945-10-24%E3%80%8C%E5%8F%B0%E7%81%A3%E7%99%BE%E7%A7%91%E5%85%A8%E6%9B%B8%E3%80%8D%E5%9A%B4%E5%AE%B6%E6%B7%A6%E6%8A%B5%E5%8F%B0/|archive-date=2015-02-23|dead-url=yes}}</ref>。 |
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*大の音楽好きで、大量の[[クラシック音楽]]の[[レコード]]のコレクションを所持していた。特に[[ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン|ベートーヴェン]]の[[交響曲第9番 (ベートーヴェン)|交響曲第9番]]を好み、国政の重要な問題について考える時はいつも聴いていた。2013年(民国102年)、四男の厳雋泰が厳家淦の死去20年を記念して[[台湾フィルハーモニック|国家交響楽団]]による交響曲第9番の演奏会を企画した<ref>{{cite web|url=https://read.muzikair.com/us/articles/8c188bab-b384-451b-a895-0debef5c0109|title=NSO 以貝多芬第九號交響曲獻嚴總統|work=MUZIK Air|date=2013-12-16|author=MUZIK Air編輯部|access-date=2024-02-14|archive-url=https://web.archive.org/web/20240214085420/https://read.muzikair.com/us/articles/8c188bab-b384-451b-a895-0debef5c0109|archive-date=2024-02-14}}</ref>。 |
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*[[写真|写真撮影]]が趣味で、よく庭園の風景などの[[16ミリフィルム|16ミリ映画]]を撮影していた。かつての部下の1人は、「厳家淦は見たものを決して忘れることがなく、まるで厳家淦自身の頭脳がカメラであるかのようだった」と述懐している。<ref name="財政部" /> |
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*[[江蘇省]][[蘇州市]][[呉中区]]木涜鎮にある史跡「{{仮リンク|厳家花園|zh|严家花园}}」(旧名:羨園)は厳家淦の生家である。台湾に来てからは、{{仮リンク|厳家淦故居|label=かつて台湾銀行副総裁の官舎として使われていた建物|zh|严家淦故居}}に住んだ<ref name="財政部" />。 |
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== 家族 == |
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[[File:Liu Chi-chun portrait.png|thumb|150px|劉期純(1961年)]] |
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*1人目の妻 - 葉淑英:1922年(民国10年)6月に両親の命令により[[結婚]]、1923年(民国11年)に[[出産]]により死去。 |
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*2人目の妻 - {{仮リンク|劉期純|zh|劉期純}}:1924年(民国12年)12月14日に上海で結婚。結婚生活は70年に及び、5男4女を儲けた<ref>{{cite news| title=东山的两位“总统”夫人| url=http://www.subaonet.com/cul/2012/0427/914284.shtml| publisher=蘇州新聞網| date=2012-04-27| access-date=2014-01-17| archive-url=https://web.archive.org/web/20150402125333/http://www.subaonet.com/cul/2012/0427/914284.shtml| archive-date=2015-04-02| dead-url=yes}}</ref>。 |
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*長男 - 厳雋栄:{{仮リンク|上海商業貯蓄銀行|zh|上海商業儲蓄銀行}}董事。 |
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*次男 - 厳雋森:[[中国系アメリカ人]]。美東華人学術聯誼会の第4代会長(1979年 - 1981年)を務めた。 |
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*三男 - 厳雋同:中国系アメリカ人。千橡中文学校、康谷華協の創立者の1人。 |
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*四男 - 厳雋泰:曾任唐栄公司の総経理、{{仮リンク|中華工程|zh|中华工程}}の創業者および前董事長。2016年、[[蔡英文]]総統より総統府国策顧問に任命される。 |
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*五男 - 厳雋建:{{仮リンク|科学月刊|zh|科學月刊}}の寄稿者。 |
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*長女 - 厳雋華:[[復旦大学]]を卒業。 |
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*次女 - 厳雋菊(Nora):[[バージニア大学]]政治学教授の故・冷紹烇と結婚。冷紹烇は蔣経国国際交流基金会の諮詢委員も務めた。 |
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*三女 - 厳雋芸:[[国立台湾大学]]農化系を卒業。 |
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*四女 - 厳雋荃:[[東海大学 (台湾)|東海大学]]経済系博士で、[[シティバンク銀行]]の副董事長を務めた売培源と結婚。厳雋荃は2003年(民国92年)に厳雋荃は病死し、売培源は亡き妻を偲んで東海大学女子寮に庭園を寄贈し、水路に置かれた石版に詩を刻んだ<ref>{{cite web|url=http://www2.thu.edu.tw/~bp/20061103/951102news.htm|title=追念亡妻 情定東海建花園 流水涓涓 情話綿綿 賈培源寄情荃園 五十年真愛不渝|author=葉志雲|publisher=[[中国時報]]|date=2006-11-03|accessdate=2024-02-14|archive-date=2020-12-23|archive-url=https://web.archive.org/web/20201223082208/http://www2.thu.edu.tw/~bp/20061103/951102news.htm|dead-url=no}}</ref>。 |
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== 栄典 == |
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*{{ROC}}:二等{{仮リンク|卿雲勲章|zh|卿云勋章}}(1963年6月6日)<ref>{{cite journal |title=總統令 |url=https://twinfo.ncl.edu.tw/tiqry/hypage.cgi?HYPAGE=search/merge_pdf.hpg&dtd_id=12&type=g&sysid=E1009566&jid=79007133&vol=52060700&page=%E9%A0%811-2 |journal=總統府公報 |publisher=總統府第三局 |volume=第1442號 |date=1963-06-07 |page=1页 |access-date=2023-11-27 |archive-date=2023-12-08 |archive-url=https://web.archive.org/web/20231208183233/https://twinfo.ncl.edu.tw/tiqry/hypage.cgi?HYPAGE=search/merge_pdf.hpg&dtd_id=12&type=g&sysid=E1009566&jid=79007133&vol=52060700&page=%E9%A0%811-2 |dead-url=no }}</ref> |
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*{{PER}}:[[File:PER Order of the Sun of Peru - Grand Cross BAR.png|60px]] {{仮リンク|ペルー太陽勲章|label=太陽勲章|es|Orden El Sol del Perú}}大十字光輝章(1970年4月8日)<ref>{{cite web |title=condecorados: orden el sol del peru |url=https://studylib.es/doc/8613851/condecorados--orden-el-sol-del-peru |accessdate=2019-07-24 |archive-date=2019-07-24 |archive-url=https://web.archive.org/web/20190724115526/https://studylib.es/doc/8613851/condecorados--orden-el-sol-del-peru |dead-url=no }}</ref> |
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*{{VSO}}:[[File:VPD National Order of Vietnam - Grand Cross BAR.png|60px]] 一等{{仮リンク|保国勲章 (ベトナム共和国)|label=保国勲章|vi|Bảo quốc Huân chương}}<ref>{{Cite web |title=越南總理阮高祺訪華 |url=https://memory.culture.tw/Home/Detail?Id=634343&IndexCode=online_metadata |website=memory.culture.tw |access-date=2022-08-13 |archive-date=2022-08-13 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220813052808/https://memory.culture.tw/Home/Detail?Id=634343&IndexCode=online_metadata |dead-url=no }}</ref> |
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== 脚注 == |
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{{脚注ヘルプ}} |
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=== 注釈 === |
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{{Reflist|group="注"}} |
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=== 出典 === |
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{{Reflist|2}} |
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{{先代次代|[[中華民国副総統|副総統]]|<small>[[1966年]] - [[1975年]]</small>|[[陳誠]]<br/><small>欠員期間あり</small>|[[謝東閔]]<br/><small>欠員期間あり</small>}} |
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{{先代次代|[[中華民国の首相#行政院長|行政院長]]|<small>[[1963年]] - [[1972年]]</small>|陳誠|蔣経国}} |
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{{先代次代|[[財政部 (中華民国)|財政部長]]|<small>[[1958年]] - [[1963年]]</small>|[[徐柏園]]|[[陳慶瑜]]}} |
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{{先代次代|[[行政院経済建設委員会|美援会]]主任|<small>[[1957年]]8月 - [[1958年]]7月</small>|兪鴻鈞|陳誠}} |
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{{先代次代|[[ |
{{先代次代|[[File:Flag of Taiwan Province.svg|25px]] [[台湾省政府]]主席|<small>[[1954年]] - [[1957年]]</small>|[[兪鴻鈞]]|[[周至柔]]}} |
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{{先代次代|[[行政院国軍退除役官兵輔導委員会|退輔会]]主任|<small>[[1954年]] - [[1956年]]</small>|(創設)|蔣経国}} |
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{{先代次代|[[経済部 (中華民国)|経済部長]]|<small>[[1950年]]</small>|[[関吉玉]]|徐柏園}} |
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[[Category:1993年没]] |
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[[Category:行政院長]] |
2024年2月14日 (水) 11:35時点における版
厳 家淦 嚴 家淦 | |
総統時代の公式写真
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任期 | 1975年4月5日 – 1978年5月20日 |
---|---|
副総統 | 不在 |
任期 | 1966年5月20日 – 1975年4月5日 |
総統 | 蔣介石 |
任期 | 1963年12月16日 – 1972年6月1日 |
総統 | 蔣介石 |
任期 | 1950年3月12日 - 1954年5月26日 1958年3月26日 - 1963年12月16日 |
行政院長 | 閻錫山 陳誠 兪鴻鈞 陳誠 |
任期 | 1954年6月7日 – 1957年8月16日 |
任期 | 1950年2月10日 – 1950年3月12日 |
行政院長 | 陳誠 |
出生 | 1905年10月23日 清 江蘇省蘇州府呉県木涜鎮 (現:蘇州市呉中区木涜鎮) |
死去 | 1993年12月24日(88歳没) 中華民国 台北市 |
政党 | 中国国民党 |
受賞 | 卿雲勲章 ペルー太陽勲章 ベトナム共和国保国勲章 |
出身校 | 聖ヨハネ大学理工学院 |
配偶者 | 葉淑英(1922年 - 1923年) 劉期純(1924年 - 1993年) |
厳 家淦 | |
---|---|
職業: | 政治家 |
各種表記 | |
繁体字: | 嚴 家淦 |
簡体字: | 严 家淦 |
拼音: | Yán Jiāgàn |
注音二式: | Yán Jiāgàn |
和名表記: | げん かかん |
発音転記: | イェン ジャアガン |
厳 家淦(げん かかん、繁: 嚴 家淦、注音: |ㄢˊ ㄐ|ㄚ ㄍㄢˋ、1905年10月23日〈光緒31年9月25日〉 - 1993年〈民国82年〉12月24日)は、中華民国の政治家。原名は静波だったが後に家淦に改名し、字を静波とした。号は蘭芬。福建省出身の外省人である。第2代総統(5期途中昇格)を務めた。
台湾省財政庁長在任中、価値が急落した旧台湾ドル(旧台幣)に代わって新台湾ドル(新台幣)を発行する通貨改革を実施したことから、新台幣の父と呼ばれる[1]。
総統在任中であった蔣介石の死去に伴い、中華民国憲法の規定に従って当時副総統だった厳家淦が任期終了まで総統を務めたが、実権は中国国民党主席兼行政院長の蔣経国が握っていた[2]。
生涯
生い立ち
幼少期は江蘇省木涜小学(現:江蘇省木涜実験小学)に通い、1926年(民国15年)に上海の聖ヨハネ大学を卒業した[3]。1931年(民国20年)、京滬杭甬鉄路管理局材料処長に就任した。
日中戦争期
1938年(民国27年)、福建省政府建設庁長に就任し、日本軍による食糧輸入港の占領によって混乱した省内の輸送を維持するため、道路や河川の改修に努めた。1939年(民国28年)には財政庁長に就任し、戦時の財政の改善のために70以上の雑税を廃止した。その後の福建省の財政は毎年赤字がなく、均衡を保つようになった。また、省内の食糧供給と法幣のインフレーションの問題を解決するため、彼は「田賦徵実」制度を実施した。物価の変動による農家の損失を防ぐために、税金を納める代わりに農作物を現物で納めさせるという制度である[3]。
1945年(民国34年)、戦時生産局採弁部長に就任し、アメリカ合衆国との間でのレンドリース法や、イギリス、カナダとの間での借款を担当した。
台湾へ
1945年10月16日、国民政府は厳家淦を台湾省行政長官公署交通処長に任命し、それまで処長を務めていた徐学禹は免職された[4]。10月24日、厳家淦は台湾省行政長官の陳儀らと共に、職務に就くために上海から台北へと飛んだ[4]。10月25日、厳家淦は「中国戦区台湾省受降式典」の準備処に召集され、同日に台北公会堂(現:中山堂)で行われた受降式典に参加した。1946年(民国35年)、厳家淦は台湾省財政処長に任命され、日本の財産を接収して台湾省の財政を再建する任務を担当した。同時に、日本から接収した台湾銀行の董事長にも任命された[4]。厳家淦は台湾の名家である霧峰林家と交友関係にあった。
1947年(民国36年)に二・二八事件が発生した際、陳儀の福建省政府主席時代からの部下だった行政長官公署秘書長の葛敬恩[注 1]、民政処長の周一鶚[注 1]、財政処長の厳家淦、工鉱処長の包可永の4人は、汚職や食糧不足を招いたとして、台湾人団体から「四凶」と呼ばれて非難され、調査を要求された[5][6]。当時彰化銀行の株主総会に出席するため台中に出張していた厳家淦は、彰化銀行を経営していた霧峰林家の当主である林献堂により保護され、彼の家の屋根裏に匿われた。
同年4月29日、行政院第1回政務会議は台湾省政府設立に伴う各委員および各庁長の人事を承認した。丘念台、厳家淦、許恪士、楊家瑜、林献堂、朱仏定、杜聡明、馬寿華、劉兼善、李翼中、南志信、游弥堅、朱文伯、陳哲清が政務委員に任命され、丘念台は民政庁長、厳家淦は財政庁長、許恪士は教育庁長、楊家瑜は建設庁長、李翼中は社会処長を兼任した[4]。
また、1948年(民国37年)に厳家淦は台北扶輪社(ロータリークラブ)を設立し、初代会長に就任した[7]。
台湾の財政改革
厳家淦は当時の台湾省内の経済の混乱に鑑みて、省政府の財政整理期間中は一時的に省政府と地方政府の収支を分割せず、省政府の軍事費は月単位で配分することを決定し、さらに省内国防建設法を制定した。また、1946年に台湾銀行は旧台湾ドル(旧台幣)を発行する権限を与えられた。さらに、省と県・省轄市(現:市)の歳入を7対3の割合に分割し、日本統治時代から続いていた印紙税を廃止して新たな印紙税を実施、筵席税を減税し、台湾銀行に省内での公庫制度の実施を委託した。また、それと同時に各郷鎮の公庫網の整備も進めた。
省内でのインフレーション発生に伴って厳家淦は新台湾ドル(新台幣)の発行を計画した。厳家淦は旧台幣を廃止して代わりに新台幣を発行する通貨改革の実施を台湾省政府主席の陳誠に進言した。1949年(民国38年)6月15日、台湾省政府は「台湾省幣制改革法案」と「新台幣発行弁法」を布告、40,000旧台幣=1新台幣とするデノミネーションを実施した。これにより台湾を中国大陸での金円券の急速な価値下落による悪性インフレから切り離すことに成功した。さらに、高金利政策で流動資金を市場に吸収し、インフレと物価混乱を抑制した。
同年12月6日、厳家淦は政務委員および財政庁長を免職された[8]。
中華民国政府の台湾移転後
1949年12月7日、国共内戦で敗勢となった中国国民党率いる中華民国は、政府を台湾省台北市に移転した。
厳家淦は1950年(民国39年)2月に経済部長に就任し、3月には財政部長に転任した。財政部長在任中は国防部と交渉して軍事費の削減を行い、軍備を増強して費用を膨らませる軍の悪習の改革を行った。1951年(民国40年)11月、中央政府の総予算の編成を行い、翌1952年(民国41年)には会計年度制の再確立、税捐統一稽徵条例の実施、財政金融政策の立案を行い、現代的な予算制度を確立した。同時に、行政院長の陳誠を補佐し、公有地の解放や 耕作者の土地所有権などの土地政策を推進した[9]。
1954年(民国43年)、厳家淦は台湾省政府主席および保安司令に就任した[10][9]。台湾省政府主席在任中は台湾の財政・経済の発展に尽力した。イギリスのニュータウンに倣って南投県南投市に中興新村を建設し、台湾省政府を台北市から中興新村へ移転させた。
1958年(民国47年)、財政部長の徐柏園が辞任したことに伴って厳家淦が複任した。1期目の4年2か月と合わせて、約10年間財政部長を務めたことになる。2期目にはより大規模な財政改革を推し進め、「十九点財経改革措施」を実施、広範囲に及ぶ投資奨励条例を制定した[11]。
1963年(民国52年)12月、厳家淦は行政院長に就任し[3]、1964年(民国53年)には韓国を訪問した[10]。
副総統から総統への昇格
1966年(民国55年)3月10日、蔣経国は宋美齡に次のような手紙を送った。
同年3月22日、蔣経国は宋美齡に次のような手紙を送った。
厳家淦は中華民国史上初の文官出身の副総統となった。
1967年(民国56年)5月6日から26日まで、厳家淦夫妻はアメリカ合衆国を訪問し、リンドン・ジョンソン大統領と会談を行った。訪米には経済部長の李国鼎、外交部政務次長の沈錡夫妻、行政院経済建設委員会秘書長の陶聲洋などが同行した。訪米中にはジョン・F・ケネディの墓参りのためアーリントン国立墓地に訪れ、献花した。他にも、ケープカナベラル空軍基地(現:ケープカナベラル宇宙軍施設)、ケネディ宇宙センター、国際連合本部ビルなどを訪問した。訪米中、中華民国側は米国による支援終了後の多くの経済協力プログラムを取り決めた。米国側は在中華民国大使館に科学技術参事を設置して科学技術交流を強化することに合意し、中華民国政府は行政院に国家科学委員会(現:国家科学及技術委員会)を設置して産業の高度化を推進した[11][13]。
同年7月、韓国のソウルで開催された中華民国、米国、日本、韓国の首脳による非公式の会議に、蔣介石総統の代理として出席。
1970年(民国59年)、中華民国代表として国連総会に出席。
1971年(民国60年)、中華民国代表としてベトナム共和国の首都サイゴン(現:ホーチミン)を訪れ、グエン・バン・チューの大統領就任式に出席。
1972年(民国61年)3月3日、密かに台湾に帰国していた台湾独立運動家の辜寛敏と会談を行う[15]。
同年3月21日、副総統選挙で第5期副総統に再選され、それまで副総統と兼任していた行政院長を退任し、後任に蔣経国が就任した。
1974年(民国63年)、朝鮮の独立運動家である金九関連の史料を探しに台湾を訪れた韓国人ジャーナリストの孫忠武と面会し、直筆の書を贈った。
1975年(民国64年)4月5日、蔣介石が病死した。中華民国憲法の規定に従って副総統の厳家淦が1978年(民国67年)5月20日の任期終了まで総統に就任することになった。4月6日午前11時、厳家淦は総統府で総統就任の宣誓を行った。これにより、厳家淦は中華民国史上初の文官出身の総統となった。総統在任中、蔣経国行政院長が打ち立てた大規模インフラ整備計画「十大建設」の実施によって台湾の経済は活況を呈し、社会秩序は比較的安定していた。同年6月18日には、防衛ミサイルの設計、試作、試験、生産を計画する「長安計画」が開始された[16]。
1977年(民国66年)7月9日、サウジアラビアを訪問した。これは中華民国総統が行った初の海外公式訪問である。
厳家淦の総統在任期間は蔣経国が行政院長・中国国民党主席の座に就いて政府と党の実権を握っていた。このため、一般的にはこの期間も蔣経国による統治の時代として扱われる。
総統退任後
1978年(民国67年)3月21日、総統選挙で蔣経国が選出され、5月20日に総統に就任した。同時に厳家淦は総統を退任し、中華文化復興推行委員会(現:中華文化総会)に就任した。
1979年(民国68年)8月28日、宋美齢は蔣経国に次のような手紙を送った。
その結果厳家淦は故宮博物院管理委員会主任委員に任命され、1990年(民国79年)3月まで同職を務めた。
1986年(民国75年)9月、厳家淦は会議中に脳出血を起こし、病院に緊急搬送された。
死去
1993年(民国82年)12月24日の夜、長引く脳出血の後遺症の影響で心不全となり、台北栄民総医院にて死去[18][19]。88歳没。1994年(民国83年)1月22日に台北栄民総医院懐遠堂で葬儀が執り行われた後、移霊礼が行われ、奉安典礼が中山区の三軍大学(現:国防大学)中正堂で行われた。総統の李登輝、行政院長の連戦などが弔問に訪れ、21発の弔砲が発射された[18][19]。その後、台北県汐止鎮(現:新北市汐止区)の国軍示範公墓に埋葬された。李登輝は次のような表彰を行った。
「 | 厳家淦元総統は、誠実で感受性豊かな資質と豊富な知識を持つ人物だった。彼は政府の一員としてその功績を皆に知らしめた。八閩では新たな試みを行い、三台で素晴らしい実績を残した。経済部長、財政部長、台湾省政府主席を歴任し、経済建設の基礎を築いて金融・財政の面で大きな功績を残し、その功績はよく知られ、誰もが賞賛した。その後行政院長に就任すると百揆を総べて中道を貫き、政治は民衆と調和して八紘を向化し、道徳的かつ勤勉な努力の結果、彼の名声は高まった。国民大会第4回会議では第4期副総統に選出されて行政院長と兼任して総統の仕事を補佐し、その優れた功績と徳によって内外から表彰された。副総統に再選されると彼は行政院長を辞職した。彼は院の献身的な一員だった。先総統の蔣公の死後、彼は憲法に従って総統職を継承した。彼は職務に勤勉で慎重で、名誉、威厳、気品のある人物であった。彼の訃報を聞いて衝撃を受け、悲しみに暮れた。高潔で賢明な人物を称えるという政府の意思を示すためにも、これは明確に称賛されるべきである。
総 統 李登輝 行政院長 連 戦 |
」 |
厳家淦は、2020年(民国109年)7月30日に97歳で死去した李登輝に次いで2番目に長寿の総統である。
人物
厳家淦は気品に溢れ、仕事には細心の注意を払い、他人に対しては親切で愛想が良く、常に「一歩引いて考える」、「相手の立場に立って考える」ことを信条としていた[20]。彼の言動には一貫性があり、特に「数字は嘘をつかない」として、自分の政治的見解を裏付ける数字を暗記するのが得意だった[3]。
かつての上司の陳儀や陳誠は、厳家淦の実務能力を高く評価していた[3]。
蔣介石は厳家淦を「上辺は人当たりがよいが芯はしっかりしており、公平無私な人物」と評している[21]。
元監察院長の王作榮は厳家淦について、台湾プラスチックグループの創業者の王永慶と合わせて「これまで会った中で最も聡明な2人」と評している[22]。
逸話
- 史上最も長く行政院長を務めた人物である。在任期間は8年と5か月半。
- 国史館が出版した郭宗清による回想録『大風将軍』によると、総統時代の厳家淦が軍事会議を取り仕切っていたた時、帰り際に「極秘」資料を持ち帰らずに机の上に置いたまま立ち去ろうとした。それを見た行政院長の蔣経国がすぐさま「この資料をお持ち帰りください」と言ったが、厳家淦は「私は極秘情報を携帯しておきたくない」と断り、彼の慎重さが明瞭に示された[23]。
- 大の音楽好きで、大量のクラシック音楽のレコードのコレクションを所持していた。特にベートーヴェンの交響曲第9番を好み、国政の重要な問題について考える時はいつも聴いていた。2013年(民国102年)、四男の厳雋泰が厳家淦の死去20年を記念して国家交響楽団による交響曲第9番の演奏会を企画した[24]。
- 写真撮影が趣味で、よく庭園の風景などの16ミリ映画を撮影していた。かつての部下の1人は、「厳家淦は見たものを決して忘れることがなく、まるで厳家淦自身の頭脳がカメラであるかのようだった」と述懐している。[11]
- 江蘇省蘇州市呉中区木涜鎮にある史跡「厳家花園」(旧名:羨園)は厳家淦の生家である。台湾に来てからは、かつて台湾銀行副総裁の官舎として使われていた建物に住んだ[11]。
家族
- 1人目の妻 - 葉淑英:1922年(民国10年)6月に両親の命令により結婚、1923年(民国11年)に出産により死去。
- 2人目の妻 - 劉期純:1924年(民国12年)12月14日に上海で結婚。結婚生活は70年に及び、5男4女を儲けた[25]。
- 長男 - 厳雋栄:上海商業貯蓄銀行董事。
- 次男 - 厳雋森:中国系アメリカ人。美東華人学術聯誼会の第4代会長(1979年 - 1981年)を務めた。
- 三男 - 厳雋同:中国系アメリカ人。千橡中文学校、康谷華協の創立者の1人。
- 四男 - 厳雋泰:曾任唐栄公司の総経理、中華工程の創業者および前董事長。2016年、蔡英文総統より総統府国策顧問に任命される。
- 五男 - 厳雋建:科学月刊の寄稿者。
- 長女 - 厳雋華:復旦大学を卒業。
- 次女 - 厳雋菊(Nora):バージニア大学政治学教授の故・冷紹烇と結婚。冷紹烇は蔣経国国際交流基金会の諮詢委員も務めた。
- 三女 - 厳雋芸:国立台湾大学農化系を卒業。
- 四女 - 厳雋荃:東海大学経済系博士で、シティバンク銀行の副董事長を務めた売培源と結婚。厳雋荃は2003年(民国92年)に厳雋荃は病死し、売培源は亡き妻を偲んで東海大学女子寮に庭園を寄贈し、水路に置かれた石版に詩を刻んだ[26]。
栄典
脚注
注釈
出典
- ^ “〈「新台幣之父」本是富家子弟〉”. 2016年4月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月29日閲覧。
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