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「慈愛の輝き」の版間の差分

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| Type = Studio
| Type = Studio
| Artist = [[ジョージ・ハリスン]]
| Artist = [[ジョージ・ハリスン]]
| Released = [[1979年]][[2月14日]]
| Released = {{Plainlist|
| Recorded = [[1978年]]7月-11
* {{flagicon|USA}} [[1979年]][[220日]]
* {{flagicon|UK}} 1979年 [[2月23日]]
* {{flagicon|JPN}} 1979年 [[2月25日]]
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| Recorded = {{Plainlist|
* [[1978年]]3月
* アミーゴ・スタジオ<ref>{{cite web|url=https://www.discogs.com/ja/label/280684-Amigo-Studios|title=Amigo Studios|publisher=Discogs |access-date=2024-01-20}}</ref>(ロサンゼルス)
* 1978年4月-10月
* [[:en: Friar Park#George Harrison and FPSHOT|フライアー・パーク・スタジオ]]([[:en: Henley-on-Thames|ヘンリー・オン・テムズ]])
* [[アソシエイテッド・インディペンデント・レコーディング|AIRスタジオ]](ロンドン)
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| Genre = [[ロック (音楽)|ロック]]
| Genre = [[ロック (音楽)|ロック]]
| Length = 39分58秒
| Length = 39分58秒
| Label = ダーク・ホース/[[ワーナー・パイオニア]](初発)<br />ダーク・ホース/[[EMIミュージック・ジャパン]](現行盤)
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| Producer = [[ジョージ・ハリスン]], ラス・タイトルマン
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*''All Music Guide'' {{Rating-5|4}} [http://www.allmusic.com/album/george-harrison-r8997 link]
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『'''慈愛の輝き'''』(じあいのかがやき, 原題:{{Lang|en|''George Harrison''}})は、[[1979年]][[2月14日]]に発表された[[ジョージ・ハリスン]]の[[スタジオ・アルバム|アルバム]]。日本国内では同年[[2月25日]]に[[ワーナー・パイオニア]]からリリースされた。
『'''慈愛の輝き'''』(じあいのかがやき, 原題:{{Lang|en|''George Harrison''}})は、[[1979年]][[2月20日]]に発表された[[ジョージ・ハリスン]]の[[スタジオ・アルバム|アルバム]]である。日本国内では同年[[2月25日]]に[[ワーナー・パイオニア]]からリリースされた。


== 解説 ==
== 解説 ==
=== 制作に至る経緯 ===
後年に[[スティーヴ・ウィンウッド]]のアルバム『バック・イン・ザ・ハイ・ライフ』や[[エリック・クラプトン]]の一連の作品で大きな成功を収めるプロデューサー、ラス・タイトルマンを共同プロデューサーに迎えて制作された[[1979年]]発表のアルバム。一時期本業の音楽活動から遠ざかり、趣味のカーレース観戦や副業として始めた映画制作に没頭していたハリスンだが、友人だったレーサー、[[ニキ・ラウダ]]の発言に触発されて再びこのアルバムで音楽活動を再開することとなった。彼の秘書をしていたオリヴィア・トリニダード・アリアスとの再婚や、彼女との間に授かった初めての息子ダーニの誕生など、同時期にハリスンの身の回りで起こったポジティヴな変化がアルバムの作風にも大きく影響している。個々の収録曲の質は極めて高いが、[[パンク・ロック]]や[[ニュー・ウェイヴ (音楽)|ニュー・ウェイヴ]]の全盛期だった1970年代後半において成功することは容易ではなかったようである。アメリカの『ビルボード』誌アルバム・チャートでは、最高位第14位、『キャッシュボックス』誌では、最高位第12位、1979年度年間ランキング74位を記録している。[[イギリス]]では最高位第39位、日本の[[オリコンチャート|オリコン]]誌で最高位第31位と、前作『[[33 1/3]]』と同程度の成績を収めるにとどまった。しかし、後年のこのアルバムに対する評価には非常に高いものがあり、「オール・シングス・マスト・パス」・「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」や「クラウド・ナイン」などの大ヒットアルバムとともに、ジョージの傑作アルバムとされている。
1976年11月、[[ワーナー・レコード|ワーナー・ブラザース・レコード]]の社長[[:en:Mo Ostin|モー・オースティン]]の助けを得て、ようやくアルバム『[[33 1/3]]』をリリースできたハリスンは、翌年2月に一連のプロモーション活動が終わるといったん音楽活動から遠ざかり{{Sfn| Rodriguez |2010|p=340}}、1977年の大半を公私にわたるパートナーであった[[:en:Olivia Harrison|オリヴィア・アリアス]]と共に[[フォーミュラ1|F1]]や[[ロードレース (オートバイ)|ロードレース]]など趣味である[[モータースポーツ]]の観戦に興じた<ref name=booklet>『慈愛の輝き』2004年リマスターCD英文ブックレット</ref>{{Sfn|Harrison |2002|p=74,378}}。シーズン中に[[フォーミュラ1|F1]]ドライバーの[[ニキ・ラウダ]]や[[ジャッキー・スチュワート]]、[[ジョディー・シェクター]]、オートバイ・レーサーの[[バリー・シーン]]や[[:en: Steve Parrish|スティーブ・パリッシュ]]らと親交を持った{{sfn|Harrison|2002|p=74}}。


10月の[[:en:1977 United States Grand Prix|F1アメリカGP]]の後、前年の大事故{{Efn|ラウダは1976年8月に行われた[[1976年ドイツグランプリ|ドイツGP]]決勝でクラッシュし、頭部の大やけどと有毒ガスの吸引で重体に陥ったが、6週間後の[[:en:1976 Italian Grand Prix|イタリアGP]]で復帰した。}}から復活して2度目のワールドチャンピオンを確定したラウダとの会話にハリスンは触発され{{Efn|ラウダは「家に帰ってリラックスして、いい曲やレコードを聴くことができるほど素敵なことはない」と言った。多くのレーシング関係者から「ジョージ・ザ・ミュージシャン」と呼ばれていたハリスンは、彼らが楽しめる曲を書こうと考えた{{sfn|Harrison|2002|p=404}}。}}、曲作りを再開しようと考えた{{Sfn|Snow|2013|p=64}}{{Sfn|Kahn|2020|p=269}}。その後、イギリスに戻って再び創作活動を始め{{Efn|[[1977年日本グランプリ (4輪)|シーズン最終戦は日本で行われた]]が、ハリスンは来日しなかった。}}、さらに[[ハワイ州|ハワイ]]・[[マウイ島]]でリラックスした時間を過ごし、島の豊かな自然環境{{Sfn|Harrison|2002|p=6}}{{Sfn|Rodriguez|2010|p=365–66}}からインスピレーションを受けながら曲作りを行った。
発売された1979年当時、原題の訳である『ジョージ・ハリスン』は、現在の『[[オール・シングス・マスト・パス]]』の邦題として使われていたため、発売元の[[ワーナー・パイオニア]]の担当者により、収録曲「'''永遠の愛'''」 の歌詞の "The guiding light in all your love shines on"のくだりから『慈愛の輝き』という邦題が考案された。


一方で、イギリスでは[[パンク・ロック]]が席巻し、アメリカでは[[ディスコ (音楽) |ディスコ・ミュージック]]が主流になりつつあった音楽業界で、自分のサウンドが受け入れられるには新たな手立てが必要であるともハリスンは考えていた。そこで1978年1月、ハリスンはオースティンのアドバイスに従い、ロサンゼルスでワーナーの専属プロデューサーである[[:en: Lenny Waronker|レニー・ワロンカー]]、[[:en:Russ Titelman|ラス・タイトルマン]]、[[テッド・テンプルマン]]と会い、最新曲のデモを聴かせた{{Sfn|Harry |2003|p=347}}{{Sfn|Kahn|2020|p=270}}。最終的にタイトルマンを共同プロデューサーに迎えることに決めた{{Efn|タイトルマンは10年前に「[[ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー]]」に衝撃を受け、[[シタール]]を習うために[[ラヴィ・シャンカール]]の音楽教室に通っていたことがあった<ref>「ラス・タイトルマンの回想/2007年ニューヨークにて」[[リトル・フィート]]『[[リトル・フィート・ファースト|ファースト]]』2008年モービル・フィデルティ盤の見開き</ref>。ハリスンがワーナー所属になったので、いつか仕事をしたいと考えていた。このレコーディングでクラプトンとウィンウッドと知己を得たタイトルマンは後年、ウィンウッドのアルバム『[[バック・イン・ザ・ハイ・ライフ]]』や、クラプトンの『[[ジャーニーマン (アルバム)|ジャーニーマン]]』などのプロデュースで大きな成功を収めた。}}。その後ハリスンはハワイに戻り、2か月間をかけて新曲を書き、以前に作曲した曲を仕上げた{{Sfn|Madinger|Easter|2000|p=457,458}}{{Sfn|Badman |2001|p=219}}{{Sfn|Harrison |2017|p=358}}{{Efn|この時期に[[マジックマッシュルーム]]から更なるインスピレーションを得て{{Sfn|White|1987|p=55}}{{Sfn|Clayson|2003|p=368}}{{Sfn|Tillery|2011|p=121}}、「ヒア・カムズ・ザ・ムーン」などを書いた。またハリスンはアリアスから妊娠を告げられており{{Sfn|Snow |2013|p=58}}、大きな幸せを感じていた。}}。
[[1991年]]に初めてCDで発売され、その後レコード会社との契約の問題から長年廃盤になっていたが、[[2004年]]3月に[[EMI]]傘下で再発された。日本でも[[EMIミュージック・ジャパン|東芝EMI]]から[[コピーコントロールCD]]でリリースされている(後に通常CDとして再発された)
。現行盤には12ページのライナー・ノーツがついており、歌詞とハリスン自身による楽曲解説([[1979年]]にイギリスのジェネシス出版から刊行された彼の自叙伝『アイ・ミー・マイン』からの転載)が掲載されている。


===レコーディング ===
== 収録曲の概要 ==
3月中旬、ハリスンはロサンゼルスに戻り、タイトルマンに出来上がった曲を聴かせた。そして、まずアリアスへのラブソングとして書きあげた「ダーク・スウィート・レディ」{{Sfn| Tillery |2011|p=121}}をアミーゴ・スタジオで録音した<ref name="Havers/uDiscover">{{cite web|url= https://www.udiscovermusic.com/behind-the-albums/george-harrison-george-harrison/ |title= Exploring the Expert Popcraft of George Harrison's Self-Titled Album |publisher= uDiscoverMusic |date= 2021-03-17|access-date= 2024-01-20}}</ref>。
1曲目の「'''愛はすべての人に'''」はアルバムからの2枚目のシングル・カット作にもなった。ギターで[[エリック・クラプトン]]、ミニ・モーグで[[スティーヴ・ウィンウッド]]がゲスト参加している。クラプトンは[[2005年]]発表の自身のアルバム『バック・ホーム』の中でこの曲をオリジナルに近いアレンジでカヴァーしている(このカバーでもウィンウッドは演奏に参加)。


4月に入ってイギリスへ戻ると、自宅の[[:en: Friar Park#George Harrison and FPSHOT|フライアー・パーク・スタジオ]]で[[アンディ・ニューマーク]]や[[ウィリー・ウィークス]]{{Efn|二人はハリスンが1974年に行った[[:en:George Harrison and Ravi Shankar's 1974 North American tour|北米ツアー]]に参加していた{{Sfn| Leng |2006|p=200, 201}}。}}、[[ニール・ラーセン]]らと共に本格的にレコーディングを開始した{{Sfn|Huntley|2006|p=156, 164}}{{Sfn|MacFarlane |2019|p=115,116}}{{Sfn|Kahn|2020|p=268}}。最初の2週間でベーシックトラックを完成させると、その後時間をかけてオーバーダビングやミキシングを行った。その間、5月に父ハロルドが亡くなり、3か月後の8月に息子[[ダーニ・ハリスン|ダーニ]]が誕生、そして9月にアリアスと正式に結婚した{{Efn|1977年6月、前妻[[パティ・ボイド]]との離婚が成立していた{{Sfn| Tillery |2011|p=94, 163}}。弁護士が驚くほどの円満な離婚で{{Sfn| Greene |2006|p=208, 09}}、1979年5月に行われたパティと[[エリック・クラプトン]]との結婚披露宴には[[ポール・マッカートニー]]、[[リンゴ・スター]]とともに参加し、ステージでお祝いの即興セッションまで行った{{Sfn| Huntley |2006|p=170}}。}}{{Efn|ハリソンは後に「レコード制作中に出産、結婚、死を経験したのは初めてだ」と語った<ref name="Clerk/Uncut">{{Cite web |title=George Harrison. By Carol Clerk : Articles, reviews and interviews from Rock's Backpages. |url=https://www.rocksbackpages.com/Library/Article/george-harrison-2 |access-date=2023-06-15 |website=www.rocksbackpages.com}}</ref>。}}。
「'''ノット・ギルティ'''」は[[1968年]]発表のビートルズのアルバム『[[ザ・ビートルズ (アルバム)|ザ・ビートルズ (ホワイト・アルバム)]]』のセッションで100以上に及ぶ膨大なテイクが録音されたにもかかわらず、収録されなかったいわくつきのナンバーである。オリジナルのヘヴィーなアレンジ([[1996年]]に発表されたビートルズの未発表音源集『[[ザ・ビートルズ・アンソロジー3]]』で聴ける)とは打って変わってジャジーなアレンジのアコースティックなバージョンに生まれ変わっている。


レコーディング・セッションには[[:en:Ray Cooper |レイ・クーパー]]や[[スティーヴ・ウィンウッド]]も参加した。旧友の[[ゲイリー・ライト]]はハリスンと共作した「イフ・ユー・ビリーヴ」の録音に参加した{{Sfn| Inglis |2010|p=71}}。また、[[エリック・クラプトン]]はハリスンの前妻[[パティ・ボイド]]を伴って訪問したときに依頼され、「[[愛はすべての人に]]」のイントロでギターを弾いた{{Sfn| Rodriguez |2010|p=72}}。ストリングスとホーンは、ロンドンの[[アソシエイテッド・インディペンデント・レコーディング|AIRスタジオ]]で加えられた{{Sfn|Madinger|Easter |2000|p=457}}。
「'''ヒア・カムズ・ザ・ムーン'''」は、タイトルからもわかるように[[ビートルズ]]時代のハリスンの代表曲「'''[[ヒア・カムズ・ザ・サン (曲)|ヒア・カムズ・ザ・サン]]<!-- 「WP:CARMEN」に基づく内部リンクの設定ですので、変更しないでください。 -->'''」の続編的な作品である。[[1978年]]に、彼が当時滞在していた[[ハワイ州|ハワイ]]・[[マウイ島]]での[[マジック・マッシュルーム]]のトリップ体験をきっかけに書かれたといわれている。この際録音されたデモ・テープは[[2004年]]にこのアルバムがデジタル・リマスターを施されて再発売されるにあたり、ボーナス・トラックとして追加収録された。この曲のみならず、本作に収録されている数曲はマウイ島で書かれたものである。この曲の次に配置されている「'''ソフト・ハーテッド・ハナ'''」も、同じような経緯で作曲された。タイトルはテンペランス・セブンの「ハード・ハーテッド・ハンナ」をもじったもので、ハナとは[[カフルイ空港]]から90kmほど南に位置する小さな町のことである。曲中で聴かれる群衆のざわめきはハナから2マイルほど離れたレストランで録音されたもの。


=== リリース ===
シングル・カットされて全米チャートで最高12位まで上昇するヒットになった「'''ブロー・アウェイ'''」は、前作『33 1/3』発売後一切本業から離れていたハリスンが活動を再開するにあたって書いたという作品。「ひょっとしてもう書けなくなっていたらどうしようと心配になったので、ある大雨の日に書いてみた」と、彼は翌年に刊行された自叙伝の中で述懐している。
1978年10月初めにはアルバムは完成し、クリスマス商戦に間に合わせて発売する予定だったが、アートワークの完成が遅れたため{{Sfn|Kahn|2020|p=268}}、翌年に延期された<ref name="RollingStone">George Harrison,Rolling Stone, 19 April 1979</ref>。


1979年2月14日、「[[ブロー・アウェイ]]」をアルバムからの先行シングル{{Efn|初めはハリスンがシングル・カットしたいと考えていた「愛はすべての人に」の予定で進んでいたが、直前に変更された。このため、第2弾シングルとなった「愛は…」の[[規格品番]]と前後している。}}として発売すると、アメリカの『ビルボード』誌の[[Billboard Hot 100|Hot 100]]では最高位16位を記録し、同誌のアダルト・コンテンポラリー・チャートでは第2位を獲得する大ヒットとなった。イギリスでは「[[二人はアイ・ラヴ・ユー]]」以来の[[全英シングルチャート|シングルチャート]]入りを果たし、最高位51位を記録した。
「'''ファースター'''」は、このアルバムを制作するきっかけにもなった[[ニキ・ラウダ]]が、[[1976年]]の[[ドイツグランプリ]]での事故から復帰したことに触発されて書かれた作品。同曲のプロモーション・ビデオにはラウダも出演している。[[1973年]]に発表された[[ジャッキー・スチュワート]]の自伝から引用した曲名については、「抽象的でよいタイトルだと思っている。車やエンジンに限らず何にでもあてはめることができるから」とコメントしている。サウンド・エフェクトとして曲の冒頭と最後に流れるレーシングカーの轟音は、[[1978年]]の[[フォーミュラ1|F1]]グランプリで録音されたものである。


しかし2月20日に発売された本作は、アメリカの『[[キャッシュボックス]]』誌では前作を上回る最高位第12位を記録したが、『ビルボード』誌アルバム・チャートでは最高位第14位、イギリスでは最高位第39位、日本の[[オリコンチャート|オリコン]]誌で最高位第31位と、前作を下回り、売り上げも思うように伸びなかった。
「'''ダーク・スウィート・レディ'''」と「'''永遠の愛'''」は、夫人となったオリヴィア・アリアスへのラヴ・ソング。後者については「“[[サムシング (ビートルズの曲)|サムシング]]”と同じくらい良い曲だと思っている」とコメントしている。前者と「'''ソフト・タッチ'''」でも、ウィンウッドがバック・コーラスなどで参加している。


なお、邦題の『慈愛の輝き』は発売元である[[ワーナー・パイオニア]]の担当者により、収録曲「永遠の愛」の歌詞{{Efn|「Guiding light in all your love shines on(あなたのすべての愛を照らす導きの光)」のくだり。}}から考案された。これは1977年に[[EMIミュージック・ジャパン|東芝EMI]]が再発していた『[[オール・シングス・マスト・パス]]』が、1971年発売当初は『ジョージ・ハリスン』の邦題を使っていたので、混同を避けるためであった。
アルバムの最後に収められている「'''イフ・ユー・ビリーヴ'''」は、元[[スプーキー・トゥース]]のメンバーでソロ・アーティストとしても「夢織り人」の全米トップ10ヒットで知られる[[ゲイリー・ライト]]との共作である。ハリスンとライトは後年にも数曲、楽曲を共作している。

1991年にCD化されたが、その後1994年に[[:en:Dark Horse Records |ダーク・ホース・レコード]]とワーナーとの配給契約が満了するとしばらくの間、廃盤状態となった{{Efn|版権は全てハリスンの下に戻ったが、10年間は他社で再発売できない契約になっていた。}}。2004年3月、デジタル・リマスタリングを施されて他のアルバムと共に[[EMI]]傘下で再発された{{Efn|日本でも[[EMIミュージック・ジャパン|東芝EMI]]から[[コピーコントロールCD]]でリリースされたが、後に通常CDとして再発された。なお現行盤には12ページのライナー・ノーツがついており、歌詞とハリスン自身による楽曲解説(1979年にイギリスの[[:en: Genesis Publications|ジェネシス出版]]から刊行された彼の自叙伝『アイ・ミー・マイン』からの転載)が掲載されている。}}。その際、ジャケット表右上のタイトルが削除され、その代わり左上にハリスンのサインが追加された。また「ヒア・カムズ・ザ・ムーン」のデモ音源がボーナス・トラックとして追加収録された。

== アートワーク ==
アートディレクションはアメリカのデザイナー兼写真家の[[:cs:Mike Salisbury (designér)|マイク・ソールズベリー]]が担当した<ref name="LP credits">Inner sleeve credits, ''George Harrison'' LP ([[:en:Dark Horse Records|Dark Horse Records]], 1979; produced by George Harrison & Russ Titelman).</ref>。ジャケット写真もソールズベリーによって、ハリスンの自宅である[[:en:Friar Park|フライアー・パーク]]の庭園で撮影された{{Sfn|Allison |2006|p=71}}。

インナー・スリーブ表面には、「ファースター」の歌詞と1978年7月に[[ブランズ・ハッチ]]で開催された[[:en:1978 British Grand Prix|イギリスGP]]で、イギリスの写真家ジェフ・ブロクサムが撮影した、ハリスンとスチュワートが並んで歩く写真が掲載された{{Sfn|Harry|2003|p=188}}。歌詞の下には、この曲がスチュワートとラウダにインスパイアされたこと、この曲をF1関係者全体に捧げること、シェクターへの特別の感謝、そして9月の[[1978年イタリアグランプリ|イタリアGP]]で事故死した[[ロニー・ピーターソン]]を偲ぶことが記載されていた<ref name="LP credits"/>。また、マウイ島のレストラン経営者ボブ・ロンギ<ref>{{Cite web |title=he long and the short of 40 years Bob Longhi’s legacy lives on with family and isle restaurants|url=https://www.mauinews.com/life/pau-hana/2017/01/the-long-and-the-short-of-40-years/|publisher=The Maui News |date= 2017-01-01 |access-date= 2024-01-20}}</ref>
に「ソフト・ハーテッド・ハナ」を捧げると記している<ref name="LP credits"/><ref name="fleetwoodmacnews">{{Cite web |title=Rock legend Stevie Nicks remembers free-spirited days with the late Bob Longhi and George Harrison |url=https://www.fleetwoodmacnews.com/2012/08/rock-legend-stevie-nicks-remembers-free.html |date= 2012-08-10|access-date=2023-06-15 |website=www.rocksbackpages.com}}</ref>。

2004年に再発された際、ジャケット表右上のタイトルが削除され、その代わり左上にハリスンのサインが追加された。


== 収録曲 ==
== 収録曲 ==
=== オリジナル・アナログ・LP ===
* All Songs by George Harrison (Except Where Noted)
{{Tracklist
#'''[[愛はすべての人に]]''' - ''Love Comes to Everyone'' (4:36)
| collapsed =
#'''[[ノット・ギルティ]]''' - ''Not Guilty'' (3:35)
| headline = サイド1
#'''ヒア・カムズ・ザ・ムーン''' - ''Here Comes The Moon'' (4:48)
| writing_credits = yes
#'''ソフト・ハーテッド・ハナ''' - ''Soft-Hearted Hana'' (4:03)
| total_length = auto
#'''[[ブロー・アウェイ]]''' - ''Blow Away'' (4:00)

#'''[[ファースター]]''' - ''Faster'' — (4:46)
| title1 = [[愛はすべての人に]]
#'''ダーク・スウィート・レディ''' - ''Dark Sweet Lady'' — (3:32)
| note1 = [[:en: Love Comes to Everyone |Love Comes to Everyone]]
#'''永遠の愛''' - ''Your Love Is Forever'' — (3:45)
| writer1 = ジョージ・ハリスン
#'''ソフト・タッチ''' - ''Soft Touch'' — (3:59)
| length1 = 4:36
#'''イフ・ユー・ビリーヴ''' - ''If You Believe'' — (2:55)

#:(Composed by George Harrison & Gary Wright)
| title2 = [[ノット・ギルティ]]
| note2 = [[:en: Not Guilty (song) |Not Guilty]]
| writer2 = ジョージ・ハリスン
| length2 = 3:35

| title3 = ヒア・カムズ・ザ・ムーン
| note3 = [[:en: Here Comes The Moon |Here Comes The Moon]]
| writer3 = ジョージ・ハリスン{{Efn|正式にはクレジットされていないが、[[フリートウッド・マック]]の[[スティーヴィー・ニックス]]は、ハワイでこの曲の作詞を手伝ったと語っている{{Sfn| Thomson |2013|p=}}<ref>{{cite web|url=https://somethingelsereviews.com/2014/01/14/my-inspiration-every-single-night-fleetwood-macs-stevie-nicks-keeps-photo-of-george-harrison-nearby/|title=‘My inspiration every single night’: Fleetwood Mac’s Stevie Nicks keeps photo of George Harrison nearby |publisher= Something Else! |access-date= 2024-01-20}}</ref><ref name="fleetwoodmacnews"/>。}}
| length3 = 4:48

| title4 = ソフト・ハーテッド・ハナ
| note4 = [[:en: Soft-Hearted Hana |Soft-Hearted Hana]]
| writer4 = ジョージ・ハリスン
| length4 = 4:03

| title5 = [[ブロー・アウェイ]]
| note5 = [[:en: Blow Away |Blow Away]]
| writer5 = ジョージ・ハリスン
| length5 = 4:00
}}
{{Tracklist
| collapsed =
| headline = サイド2
| writing_credits = yes
| total_length = auto

| title1 = [[ファースター]]
| note1 = [[:en: Faster (George Harrison song)|Faster]]
| writer1 = ジョージ・ハリスン
| length1 = 4:46

| title2 = ダーク・スウィート・レディ
| note2 = [[:en:Dark Sweet Lady|Dark Sweet Lady]]
| writer2 = ジョージ・ハリスン
| length2 = 3:32

| title3 = 永遠の愛
| note3 = [[:en: Your Love Is Forever|Your Love Is Forever]]
| writer3 = ジョージ・ハリスン
| length3 = 3:45

| title4 = ソフト・タッチ
| note4 = [[:en: Soft Touch |Soft Touch]]
| writer4 = ジョージ・ハリスン
| length4 = 3:59

| title5 = イフ・ユー・ビリーヴ
| note5 = [[:en: If You Believe (George Harrison song)|If You Believe]]
| writer5 = {{Hlist-comma|ジョージ・ハリスン|ゲイリー・ライト}}
| length5 = 4:54
}}
=== 2004年再発盤CD ===
{{Tracklist
| headline =
| writing_credits = yes
| extra_column =
| total_length = auto

| title1 = 愛はすべての人に
| note1 = Love Comes to Everyone
| writer1 = ジョージ・ハリスン
| length1 = 4:36

| title2 = ノット・ギルティ
| note2 = Not Guilty
| writer2 = ジョージ・ハリスン
| length2 = 3:35

| title3 = ヒア・カムズ・ザ・ムーン
| note3 = Here Comes The Moon
| writer3 = ジョージ・ハリスン
| length3 = 4:48

| title4 = ソフト・ハーテッド・ハナ''
| note4 = Soft-Hearted Hana
| writer4 = ジョージ・ハリスン
| length4 = 4:03

| title5 = ブロー・アウェイ
| note5 = Blow Away
| writer5 = ジョージ・ハリスン
| length5 = 4:00

| title6 = ファースター
| note6 = Faster
| writer6 = ジョージ・ハリスン
| length6 = 4:46

| title7 = ダーク・スウィート・レディ
| note7 = Dark Sweet Lady
| writer7 = ジョージ・ハリスン
| length7 = 3:32

| title8 = 永遠の愛
| note8 = Your Love Is Forever
| writer8 = ジョージ・ハリスン
| length8 = 3:45

| title9 = ソフト・タッチ
| note9 = Soft Touch
| writer9 = ジョージ・ハリスン
| length9 = 3:59

| title10 = イフ・ユー・ビリーヴ
| note10 = If You Believe
| writer10 = {{Hlist-comma|ジョージ・ハリスン|ゲイリー・ライト}}
| length10 = 4:54

| title11 = ヒア・カムズ・ザ・ムーン(アコースティック・デモ)
| note11 = Here Comes the Moon (Acoustic demo version)
| writer11 = ジョージ・ハリスン
| length11 = 4:39
}}
=== 2007年iTunes Store版ボーナス・トラック ===
{{Tracklist
| headline =
| writing_credits = yes
| extra_column =
| total_length =

| title12 = ブロー・アウェイ(デモ)
| note12 = Blow Away'' (Demo version)
| writer12 = ジョージ・ハリスン
| length12 = 3:05
}}
== 参加ミュージシャン ==
* [[ジョージ・ハリスン]] - [[ボーカル]]、[[エレクトリック・ギター]]、[[コーラス (ポピュラー音楽)|バッキング・ボーカル]]、[[エレクトリックベース|ベース]] (#6)
* [[アンディ・ニューマーク]] - [[ドラムセット|ドラム]]
* [[ウィリー・ウィークス]] – ベース
* [[ニール・ラーセン]] - [[キーボード (楽器)#電子楽器としてのキーボード|キーボード]]、[[:en:Minimoog|ミニモーグ・シンセサイザー]]
* [[:en:Ray Cooper |レイ・クーパー]] - [[打楽器|パーカッション]]
* [[スティーヴ・ウィンウッド]] – [[:en:Polymoog|ポリモーグ・シンセサイザー]]、[[ハーモニウム]]、[[:en:Minimoog|ミニモーグ・シンセサイザー]]、バッキング・ボーカル
* [[:en:Emil Richards|エミール・リチャーズ]] – [[マリンバ]]
* ゲイル・レヴァント- [[ハープ]]
* [[エリック・クラプトン]] – ギター (#1)
* [[ゲイリー・ライト]] – [[:en:Oberheim OB-X|オーバーハイムOB-X]] (#10)
* [[:en:Del Newman|デル・ニューマン]] – [[ストリングス]]、ホーン・アレンジメント

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
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=== Additional Track ===
=== 出典 ===
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※[[2004年]]にEMI/ダーク・ホースから再発された際に追加された[[ボーナス・トラック]]。
*11.'''ヒア・カムズ・ザ・ムーン [アコースティック・デモ]''' - ''Here Comes The Moon'' — (4:39)
※[[2007年]]にiTunes Store販売版に追加された未発表ボーナス・トラック。
*''Blow Away'' (Demo) (3:05)


== 演奏者 ==
== 参考文献 ==
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2024年2月18日 (日) 01:48時点における版

『慈愛の輝き』
ジョージ・ハリスンスタジオ・アルバム
リリース
録音
ジャンル ロック
時間
レーベル ダーク・ホース/ワーナー・パイオニア(初発)
ダーク・ホース/EMIミュージック・ジャパン(現行盤)
プロデュース ジョージ・ハリスン, ラス・タイトルマン
専門評論家によるレビュー
ジョージ・ハリスン アルバム 年表
33 1/3
(1976年)
慈愛の輝き
(1979年)
想いは果てなく〜母なるイングランド
(1981年)
テンプレートを表示

慈愛の輝き』(じあいのかがやき, 原題:George Harrison)は、1979年2月20日に発表されたジョージ・ハリスンアルバムである。日本国内では同年2月25日ワーナー・パイオニアからリリースされた。

解説

制作に至る経緯

1976年11月、ワーナー・ブラザース・レコードの社長モー・オースティンの助けを得て、ようやくアルバム『33 1/3』をリリースできたハリスンは、翌年2月に一連のプロモーション活動が終わるといったん音楽活動から遠ざかり[2]、1977年の大半を公私にわたるパートナーであったオリヴィア・アリアスと共にF1ロードレースなど趣味であるモータースポーツの観戦に興じた[3][4]。シーズン中にF1ドライバーのニキ・ラウダジャッキー・スチュワートジョディー・シェクター、オートバイ・レーサーのバリー・シーンスティーブ・パリッシュらと親交を持った[5]

10月のF1アメリカGPの後、前年の大事故[注釈 1]から復活して2度目のワールドチャンピオンを確定したラウダとの会話にハリスンは触発され[注釈 2]、曲作りを再開しようと考えた[7][8]。その後、イギリスに戻って再び創作活動を始め[注釈 3]、さらにハワイマウイ島でリラックスした時間を過ごし、島の豊かな自然環境[9][10]からインスピレーションを受けながら曲作りを行った。

一方で、イギリスではパンク・ロックが席巻し、アメリカではディスコ・ミュージックが主流になりつつあった音楽業界で、自分のサウンドが受け入れられるには新たな手立てが必要であるともハリスンは考えていた。そこで1978年1月、ハリスンはオースティンのアドバイスに従い、ロサンゼルスでワーナーの専属プロデューサーであるレニー・ワロンカーラス・タイトルマンテッド・テンプルマンと会い、最新曲のデモを聴かせた[11][12]。最終的にタイトルマンを共同プロデューサーに迎えることに決めた[注釈 4]。その後ハリスンはハワイに戻り、2か月間をかけて新曲を書き、以前に作曲した曲を仕上げた[14][15][16][注釈 5]

レコーディング

3月中旬、ハリスンはロサンゼルスに戻り、タイトルマンに出来上がった曲を聴かせた。そして、まずアリアスへのラブソングとして書きあげた「ダーク・スウィート・レディ」[19]をアミーゴ・スタジオで録音した[21]

4月に入ってイギリスへ戻ると、自宅のフライアー・パーク・スタジオアンディ・ニューマークウィリー・ウィークス[注釈 6]ニール・ラーセンらと共に本格的にレコーディングを開始した[23][24][25]。最初の2週間でベーシックトラックを完成させると、その後時間をかけてオーバーダビングやミキシングを行った。その間、5月に父ハロルドが亡くなり、3か月後の8月に息子ダーニが誕生、そして9月にアリアスと正式に結婚した[注釈 7][注釈 8]

レコーディング・セッションにはレイ・クーパースティーヴ・ウィンウッドも参加した。旧友のゲイリー・ライトはハリスンと共作した「イフ・ユー・ビリーヴ」の録音に参加した[30]。また、エリック・クラプトンはハリスンの前妻パティ・ボイドを伴って訪問したときに依頼され、「愛はすべての人に」のイントロでギターを弾いた[31]。ストリングスとホーンは、ロンドンのAIRスタジオで加えられた[32]

リリース

1978年10月初めにはアルバムは完成し、クリスマス商戦に間に合わせて発売する予定だったが、アートワークの完成が遅れたため[25]、翌年に延期された[33]

1979年2月14日、「ブロー・アウェイ」をアルバムからの先行シングル[注釈 9]として発売すると、アメリカの『ビルボード』誌のHot 100では最高位16位を記録し、同誌のアダルト・コンテンポラリー・チャートでは第2位を獲得する大ヒットとなった。イギリスでは「二人はアイ・ラヴ・ユー」以来のシングルチャート入りを果たし、最高位51位を記録した。

しかし2月20日に発売された本作は、アメリカの『キャッシュボックス』誌では前作を上回る最高位第12位を記録したが、『ビルボード』誌アルバム・チャートでは最高位第14位、イギリスでは最高位第39位、日本のオリコン誌で最高位第31位と、前作を下回り、売り上げも思うように伸びなかった。

なお、邦題の『慈愛の輝き』は発売元であるワーナー・パイオニアの担当者により、収録曲「永遠の愛」の歌詞[注釈 10]から考案された。これは1977年に東芝EMIが再発していた『オール・シングス・マスト・パス』が、1971年発売当初は『ジョージ・ハリスン』の邦題を使っていたので、混同を避けるためであった。

1991年にCD化されたが、その後1994年にダーク・ホース・レコードとワーナーとの配給契約が満了するとしばらくの間、廃盤状態となった[注釈 11]。2004年3月、デジタル・リマスタリングを施されて他のアルバムと共にEMI傘下で再発された[注釈 12]。その際、ジャケット表右上のタイトルが削除され、その代わり左上にハリスンのサインが追加された。また「ヒア・カムズ・ザ・ムーン」のデモ音源がボーナス・トラックとして追加収録された。

アートワーク

アートディレクションはアメリカのデザイナー兼写真家のマイク・ソールズベリーが担当した[34]。ジャケット写真もソールズベリーによって、ハリスンの自宅であるフライアー・パークの庭園で撮影された[35]

インナー・スリーブ表面には、「ファースター」の歌詞と1978年7月にブランズ・ハッチで開催されたイギリスGPで、イギリスの写真家ジェフ・ブロクサムが撮影した、ハリスンとスチュワートが並んで歩く写真が掲載された[36]。歌詞の下には、この曲がスチュワートとラウダにインスパイアされたこと、この曲をF1関係者全体に捧げること、シェクターへの特別の感謝、そして9月のイタリアGPで事故死したロニー・ピーターソンを偲ぶことが記載されていた[34]。また、マウイ島のレストラン経営者ボブ・ロンギ[37] に「ソフト・ハーテッド・ハナ」を捧げると記している[34][38]

2004年に再発された際、ジャケット表右上のタイトルが削除され、その代わり左上にハリスンのサインが追加された。

収録曲

オリジナル・アナログ・LP

サイド1
#タイトル作詞・作曲時間
1.愛はすべての人に(Love Comes to Everyone)ジョージ・ハリスン
2.ノット・ギルティ(Not Guilty)ジョージ・ハリスン
3.「ヒア・カムズ・ザ・ムーン」(Here Comes The Moon)ジョージ・ハリスン[注釈 13]
4.「ソフト・ハーテッド・ハナ」(Soft-Hearted Hana)ジョージ・ハリスン
5.ブロー・アウェイ(Blow Away)ジョージ・ハリスン
合計時間:
サイド2
#タイトル作詞・作曲時間
1.ファースター(Faster)ジョージ・ハリスン
2.「ダーク・スウィート・レディ」(Dark Sweet Lady)ジョージ・ハリスン
3.「永遠の愛」(Your Love Is Forever)ジョージ・ハリスン
4.「ソフト・タッチ」(Soft Touch)ジョージ・ハリスン
5.「イフ・ユー・ビリーヴ」(If You Believe)
  • ジョージ・ハリスン
  • ゲイリー・ライト
合計時間:

2004年再発盤CD

#タイトル作詞・作曲時間
1.「愛はすべての人に」(Love Comes to Everyone)ジョージ・ハリスン
2.「ノット・ギルティ」(Not Guilty)ジョージ・ハリスン
3.「ヒア・カムズ・ザ・ムーン」(Here Comes The Moon)ジョージ・ハリスン
4.「ソフト・ハーテッド・ハナ(Soft-Hearted Hana)ジョージ・ハリスン
5.「ブロー・アウェイ」(Blow Away)ジョージ・ハリスン
6.「ファースター」(Faster)ジョージ・ハリスン
7.「ダーク・スウィート・レディ」(Dark Sweet Lady)ジョージ・ハリスン
8.「永遠の愛」(Your Love Is Forever)ジョージ・ハリスン
9.「ソフト・タッチ」(Soft Touch)ジョージ・ハリスン
10.「イフ・ユー・ビリーヴ」(If You Believe)
  • ジョージ・ハリスン
  • ゲイリー・ライト
11.「ヒア・カムズ・ザ・ムーン(アコースティック・デモ)」(Here Comes the Moon (Acoustic demo version))ジョージ・ハリスン
合計時間:

2007年iTunes Store版ボーナス・トラック

#タイトル作詞・作曲時間
12.「ブロー・アウェイ(デモ)」(Blow Away (Demo version))ジョージ・ハリスン

参加ミュージシャン

脚注

注釈

  1. ^ ラウダは1976年8月に行われたドイツGP決勝でクラッシュし、頭部の大やけどと有毒ガスの吸引で重体に陥ったが、6週間後のイタリアGPで復帰した。
  2. ^ ラウダは「家に帰ってリラックスして、いい曲やレコードを聴くことができるほど素敵なことはない」と言った。多くのレーシング関係者から「ジョージ・ザ・ミュージシャン」と呼ばれていたハリスンは、彼らが楽しめる曲を書こうと考えた[6]
  3. ^ シーズン最終戦は日本で行われたが、ハリスンは来日しなかった。
  4. ^ タイトルマンは10年前に「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」に衝撃を受け、シタールを習うためにラヴィ・シャンカールの音楽教室に通っていたことがあった[13]。ハリスンがワーナー所属になったので、いつか仕事をしたいと考えていた。このレコーディングでクラプトンとウィンウッドと知己を得たタイトルマンは後年、ウィンウッドのアルバム『バック・イン・ザ・ハイ・ライフ』や、クラプトンの『ジャーニーマン』などのプロデュースで大きな成功を収めた。
  5. ^ この時期にマジックマッシュルームから更なるインスピレーションを得て[17][18][19]、「ヒア・カムズ・ザ・ムーン」などを書いた。またハリスンはアリアスから妊娠を告げられており[20]、大きな幸せを感じていた。
  6. ^ 二人はハリスンが1974年に行った北米ツアーに参加していた[22]
  7. ^ 1977年6月、前妻パティ・ボイドとの離婚が成立していた[26]。弁護士が驚くほどの円満な離婚で[27]、1979年5月に行われたパティとエリック・クラプトンとの結婚披露宴にはポール・マッカートニーリンゴ・スターとともに参加し、ステージでお祝いの即興セッションまで行った[28]
  8. ^ ハリソンは後に「レコード制作中に出産、結婚、死を経験したのは初めてだ」と語った[29]
  9. ^ 初めはハリスンがシングル・カットしたいと考えていた「愛はすべての人に」の予定で進んでいたが、直前に変更された。このため、第2弾シングルとなった「愛は…」の規格品番と前後している。
  10. ^ 「Guiding light in all your love shines on(あなたのすべての愛を照らす導きの光)」のくだり。
  11. ^ 版権は全てハリスンの下に戻ったが、10年間は他社で再発売できない契約になっていた。
  12. ^ 日本でも東芝EMIからコピーコントロールCDでリリースされたが、後に通常CDとして再発された。なお現行盤には12ページのライナー・ノーツがついており、歌詞とハリスン自身による楽曲解説(1979年にイギリスのジェネシス出版から刊行された彼の自叙伝『アイ・ミー・マイン』からの転載)が掲載されている。
  13. ^ 正式にはクレジットされていないが、フリートウッド・マックスティーヴィー・ニックスは、ハワイでこの曲の作詞を手伝ったと語っている[39][40][38]

出典

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