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{{Infobox 艦級
[[Image:S-189 in Saint Petersburg.JPG | thumb | 300px | 613号計画型潜水艦 2007年撮影 ]]
|名称=ウィスキー型潜水艦
[[Image:Whiskey Twin Cylinder submarine.jpg | thumb | 300px | 644号計画型「ウイスキーツインシリンダー」]]
|画像=[[Image:Whiskey V class SS.svg|300px|ウィスキー型潜水艦]]
|画像説明=ウィスキー型潜水艦
|種別=
|建造所=
|運用者={{navy|SUN}}<br />{{navy|RUS}}
|前級=[[ズールー型潜水艦]]
|次級=[[ケベック型潜水艦]]<br />[[ロメオ型潜水艦]]
|建造期間=1949年 - 1958年
|就役期間=
|建造数=236隻
|排水量= 浮上時約1,080トン<br />潜航時約1,350トン<br />(型による差異あり)
|長さ=76 m<br />83.3 m (ウィスキーロングビン)
|幅=6.3 m - 6.5 m
|吃水=4.9 m
|推進=[[ディーゼル・エレクトリック方式]]
|速力= 浮上時18.5ノット<br />潜航時13ノット<br />[[シュノーケル (潜水艦)|シュノーケル]]潜航時7ノット
|航続距離= 浮上時13,500海里<br />潜航時6,000海里
|潜航深度=
|乗員=54人 (巡航ミサイル搭載型はそれ以上)
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|兵装=533mm[[魚雷発射管]]6門 (艦首4門、艦尾2門)<br />[[魚雷]]12本または[[機雷]]22基<br />25mm[[対空砲]] 1門 <br />(ウィスキーI、II、IV)<br />57mm対空砲 1門<br />(ウィスキー II)<br />1 × [[P-5 (ミサイル)|SS-N-3]][[巡航ミサイル]]<br />(ウィスキーシングルシリンダー)<br />2 × SS-N-3 巡航ミサイル<br />(ウィスキーツインシリンダー)<br />4 × SS-N-3 巡航ミサイル<br />(ウィスキーロングビン)
|備考=
}}
[[File:Przekroj ORP Orzeł (292).JPG|thumb|内部解説模型]]
[[ファイル:S-189 in Saint Petersburg.JPG|thumb|300px|サンクトペテルブルクで[[博物館船]]となったウィスキー型潜水艦{{ill2|Soviet submarine S-189|en|Soviet submarine S-189|label=S-189}}(2007年撮影)]]
[[ファイル:Whiskey Twin Cylinder submarine.jpg|thumb|300px|プロイェークト644 "ウィスキー・ツイン・シリンダー"]]
[[File:Submarine Monument Surabaya forward torpedo tubes.JPG|thumb|艦首魚雷発射管4門]]
[[File:Submarine Monument Surabaya rear torpedo tubes.JPG|thumb|艦尾魚雷発射管2門]]


'''613型潜水艦'''([[ロシア語]]:'''Подводные лодки проекта 613'''は、[[ソ海軍]][[冷戦]]期に運用した哨戒型潜水艦である。[[NATOコードネーム]]は「'''Whiskey class'''」
'''ウィスキー型潜水艦'''(ウィスキーがたせんすいかん {{lang-en|Whiskey-class submarine}})は、[[ロシア海軍|ヴィエト/ロシア海軍]][[通常動力型潜水艦]]である。1・2・3・4・5型のサブタイプの他、多くの改造型が存在する


'''ウィスキー型'''は[[NATOコードネーム]]であり、ソ連海軍の計画名は'''613型潜水艦'''(''{{lang-ru|Подводные лодки проекта 613}}'')である。
== 解説 ==


== 概要 ==
本型は、[[第二次世界大戦]]中のソ連海軍の代表的哨戒型潜水艦・[[SC型潜水艦]]の後継として計画された。当初は、SC型の後継となる予定の潜水艦は608型であり、[[1942年]]から設計が進められていた。しかし、大戦末期の[[ドイツ海軍]][[XXI型Uボート|XXI型潜水艦]]を鹵獲し、その高性能・設計思想に強い衝撃を受けたソ連海軍首脳部の意向により、旧式の設計思想に基づく608型の開発計画は破棄された。代わりに、より先進的で、特に水中行動能力を重視した設計の潜水艦として計画されたのが613型潜水艦である。
[[第二次世界大戦]]中に活躍した[[ナチス・ドイツ]]の[[UボートXXI型|XXI型]]潜水艦のデザインを大きく受けついだものであり、1949年から1958年にかけて合計236隻が生産された。


この潜水艦は当初沿岸警備潜水艦として設計されたが、1950年代から1960年代にかけてその一部が誘導ミサイル潜水艦として改造された。1956年ごろに最初の改造を受けたウィスキー型は[[P-5 (ミサイル)|P-5]] (SS-N-3 Shaddock) [[巡航ミサイル]]発射管を艦橋の後ろに1基持った物で、西側にウィスキー・シングル・シリンダー、58年から60年の間に発射管を2基に増やした物はウィスキー・ツイン・シリンダー(プロイェークト644)、さらに60年から63年の間に発射管を4基に増やした物はウィスキー・ロング・ビン(プロイェークト665)と呼ばれた<ref name="ReferenceA">Otechestvennoye Voyennoye Korablestroyeniye v tretem stoletii svoey istorii, V.N. Burov, Sudostroyeniye, Sankt Peterburg, 1995</ref>。
613型の設計は[[1948年]]、ソ連三大潜水艦設計局の一角であるルービン設計局(当時のOKB-18)によって着手された。要求性能は、排水量800t前後で533mm魚雷発射管6門を装備し、水中速力13ノットの沿岸哨戒用中型潜水艦というものであった。また、[[スノーケル]]を装備し、潜航時のディーゼル機関運転能力も要求された。


SS-N-3ミサイルを発射するためには浮上しなければならず、シングルとツインシリンダータイプは発射管が水平に配置されたので発射前にさらにこれを上方に向けなければならなかった。
本型は特に高性能と言うわけではなかったが、構造が簡単で保守性・整備性・信頼性が高く、廉価であったことから大量生産されて、冷戦初期の代表的なソ連ディーゼル潜水艦となった。[[1950年代]]に236隻が建造され、諸外国への輸出も数多く行われた。一部は[[中華人民共和国]]でも建造が行われている。


そして最終型のロングビンでさえ運用成績は悪く、ミサイル発射管と水流の摩擦による雑音も目立ち、ウィスキー型はすぐに全艦退役となった。そのうち4隻だけがウィスキー・キャンバス・バッグ(プロイェークト640)として知られる[[レーダーピケット艦]]として残され、また2隻が漁業資源調査および海洋学調査用の潜水艦として残った。
== 派生型 ==
本型は当初沿岸警備潜水艦として設計されたが、1950年代から[[1960年代]]にかけてその一部が[[巡航ミサイル潜水艦]]として改造された。


ソ連ではその後[[ロメオ型潜水艦]]が沿岸警備潜水艦、[[ジュリエット型潜水艦]]が誘導ミサイル潜水艦の役をそれぞれ受け持った。
;613P型
:1956年頃に登場した、P-5 (SS-N-3 Shaddock) 対艦ミサイル発射管1基を艦橋後部に装備した613P型である。[[西側陣営]]からはウィスキー・シングル・シリンダーと呼ばれた。


大量に建造されたこともあり退役後も解体処分が進まず、ウラジオストック軍港内の各所には放置状態で係留された艦も多く見られていた。
;644型
:1960年前後に登場した、発射管を2基に増設した型。西側からウィスキー・ツインシリンダーと呼ばれた。

;665型
:1960年から1963年の間に登場した、発射管を4基に増設した型。ウィスキー・ロングビンと呼ばれた。

P-5ミサイルを発射するためには浮上しなければならず、シングルとツインシリンダータイプは発射管が水平に配置されたので発射前にさらにこれを上方に向けなければならなかった。そして最終型のロングビンでさえ運用成績は悪く、ミサイル発射管と水流の摩擦による雑音も目立ち、ウイスキー級巡航ミサイル潜水艦型はすぐに全艦退役となった。そのうち4隻だけが640型(ウィスキー・キャンバス・バッグ)として知られるレーダーピケット艦として残された。また2隻が、漁業資源調査および海洋学調査用潜水艦として運用された。

ソ連ではその後[[ロメオ級潜水艦|633型潜水艦]]が沿岸哨戒型潜水艦、[[651型潜水艦]]が巡航ミサイル潜水艦の役割をそれぞれ受け持った。


== 輸出 ==
== 輸出 ==
通常型のみ、誘導ミサイルとレーダーピケット艦は輸出されていない。
* {{Flagicon|アルバニア}} [[アルバニア海軍|アルバニア]](4隻)
* {{Flagicon|ブルガリア}} [[ブルガリア海軍|ブルガリア]](2隻)
* {{Flagicon|中国}} [[中国人民解放軍|中国]](5隻、またソ連から供給されたパーツを元に21隻を自国生産、03型として知られる、すでに全艦退役済み)
* {{Flagicon|エジプト}} [[エジプト海軍|エジプト]](7隻)
* {{Flagicon|インドネシア}} [[インドネシア人民軍|インドネシア]](14隻、うち2隻はスペアパーツとして)
* {{Flagicon|北朝鮮}} [[朝鮮人民軍|北朝鮮]](4隻)
* {{Flagicon|ポーランド}} [[ポーランド海軍|ポーランド]](4隻)


;その他
※通常型のみ。巡航ミサイル型とレーダーピケット型は輸出されていない。
* [[ペプシ海軍]] - 財政難となっていた1989年、17隻のウィスキー型潜水艦がペプシコーラ原液との物々交換として清涼飲料水製造会社[[ペプシコ]]へ渡され、スクラップ工場への仲介とされた<ref>{{Cite web |url=https://ria.ru/20190720/1556572200.html |title=Бартер по-нашему: как CCCР обменял военный флот на газировку Pepsi |access-date=2024-02-19 |last=Новости |first=Р. И. А. |date=20190720T0800 |website=РИА Новости |language=ru}}</ref>。


== 建造 ==
* {{Flagicon|アルバニア}} [[アルバニア海軍|アルバニア]] - 4隻
ソビエトでは合計236または215隻のウィスキー級が建造された。ソビエト国防省の造船所長のVADM Burovに1969年から1983年にかけて215隻の建造が承認された<ref>Otechestvennoye Voyennoe Korablestroeniye v Tretem Stoletii Svoyey Istorii, 1995, ISBN 5-7355-0508-4</ref>。生産計画は以下を参照<ref>Conway's.</ref>。
* {{Flagicon|ブルガリア}} [[ブルガリア海軍|ブルガリア]] - 2隻
* {{Flagicon|中国}} [[中国人民解放軍|中国]] - 5隻 (またソ連から供給されたパーツを元に21隻を自国生産、03型と命名した。すでに全艦が退役)
* {{Flagicon|エジプト}} [[エジプト海軍|エジプト]] - 7隻
* {{Flagicon|インドネシア}} [[インドネシア人民軍|インドネシア]] - 14隻 (うち2隻は予備用)
* {{Flagicon|北朝鮮}} [[朝鮮人民軍|北朝鮮]] - 4隻
* {{Flagicon|ポーランド}} [[ポーランド海軍|ポーランド]] - 4隻

== 諸元 ==

{| class="wikitable" style="margin: 0em; background:#ffffff"


{| class="wikitable" border="1"
|-
|-
! 年
! colspan=2 style="color: white; height: 30px; background: navy;" | 613型潜水艦
! ゴーリキー
! ニコラエフ
! バルティック
! コモスモルスク
! 合計
|-
|-
| 1951
! 種類
| 1
| 哨戒型潜水艦
| -
| -
| -
| 1
|-
|-
| 1952
! NATOコード
| 4
| Whiskey class
| 5
| -
| -
| 9
|-
|-
|1953
! 建造数
|19
| 236隻
|11
| -
| -
|30
|-
|-
|1954
! 建造期間
|29
| 1949年 - 1958年
|14
| -
| 1
|44
|-
|-
|1955
! 運用期間
|37
| 1950年代 - 1990年代
|18
|8
|4
|67
|-
|-
|1956
! 前級
|26
| [[SC型潜水艦]]
|15
|4
|4
|49
|-
|-
|1957
! 次級
| -
| [[633型潜水艦]]
|9
|3
|2
|14
|-
|-
|1958
! 基準排水量
| -
| 水上1,050t、水中1,350t
| -
| 1
| -
| 1
|-
|-
|合計
! 全長
|116
| 76.0m
|-
|72
|16
! 全幅
|11
| 6.6m
|-
|215
! 吃水
| 4.6m
|-
! 速力
| 水上18kt、水中13kt、スノーケル時7kt
|-
! 航続力
| (水上)10kt - 8,600浬 <br> (水中) 2kt - 353浬
|-
! 可潜深度
| 170m
|-
! 可潜日数
| 30日
|-
! 乗員数
| 兵員42名+将校10名
|-
! 主機
| ディーゼル発動機2基(4,000馬力) <br> 電動機2基(2,700馬力)<br> 2軸推進
|-
! 兵装
| 533mm魚雷発射管6門(艦首4、艦尾2) <br> 533mm魚雷20本

|}
|}

== スペック ==
型によって少し異なる
* 水上排水量:1,080t
* 水中排水量:1,350t
* 全長:76.6m(ロングビンは83.3m)
* 幅:6.3 - 6.5m
* 喫水:4.9m
* 出力:水上4,000hp、水中2,500hp
* 速力:水上18.5[[ノット]]、水中13ノット、[[シュノーケル (潜水艦)|シュノーケル]]中7ノット
* 航続距離:水上13,500海里、水中6,500海里

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist|1}}

== 参考文献 ==
*{{cite book |last= Gardiner|first= Robert (ed.)|authorlink=|title= Conway's all the World's Fighting Ships 1947-1995 |origyear=1995|url= |format= |accessdate= |publisher= Conway Maritime|location= [[London]]|isbn= 0851776051|oclc= 34284130|doi=}} Also published as {{cite book |last= Gardiner|first= Robert|authorlink= |others= Chumbley, Stephen; Budzbon, Przemysław|title= Conway's all the World's Fighting Ships 1947-1995 |origyear= 1995|url= |format= |accessdate= |publisher= [[:en:United States Naval Institute|Naval Institute Press]]|location= [[アナポリス (メリーランド州)|Annapolis]], [[メリーランド州|MD]]|isbn= 1557501327|oclc= 34267261|doi=}}
* Weir, Gary E., and Boyle, Walter j. Rising Tide, The untold story of the Russian Submarines that fought the Cold War,Basic Books 2003


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[ソ連・ロシア海軍艦艇一覧]]
* [[ウィスキー・オン・ザ・ロック]]
* [[ウィスキー・オン・ザ・ロック]]

== 外部リンク ==
{{Commonscat|Whiskey class submarines|ウィスキー型潜水艦}}
* [http://www.russianwarrior.com/STMMain.htm?1947vehicle_Whiskeyhist.htm&1 History, Development, and Use of the Whiskey-class Submarine]
* [http://ship.bsu.by/main.asp?id=102726 Encyclopedia of Ships] {{ru icon}}
* [http://www.globalsecurity.org/military/world/russia/613.htm Globalsecurity.org]
* [http://russianships.info/eng/submarines/project_613.htm Whiskey class submarines - Complete Ship List (English)]

{{ソ連・ロシアの潜水艦(1945年以降)}}
{{ソ連・ロシアの潜水艦(1945年以降)}}
{{中国人民解放軍海軍の潜水艦}}

{{DEFAULTSORT:ういすきいかたせんすいかん}}
[[Category:ソ連・ロシアの潜水艦]]
[[Category:通常動力型潜水艦]]
[[Category:巡航ミサイル潜水艦]]
[[Category:ソビエト連邦の潜水艦]]
[[Category:ロシア連邦の潜水艦]]
[[Category:アルバニアの潜水艦]]
[[Category:ブルガリアの潜水艦]]
[[Category:エジプトの潜水艦]]
[[Category:インドネシアの潜水艦]]
[[Category:ポーランドの潜水艦]]
[[Category:中華人民共和国の潜水艦]]
[[Category:中華人民共和国の潜水艦]]

[[bg:Подводница проект 613]]
[[cs:Ponorka třídy Whiskey]]
[[de:Projekt 613]]
[[en:Whiskey class submarine]]
[[fi:Projekti 613]]
[[fr:Classe Whiskey]]
[[hu:613-as tervszámú tengeralattjáró]]
[[id:Kapal selam kelas Whiskey]]
[[it:Classe Whiskey]]
[[ko:프로젝트 613급 잠수함]]
[[pl:Okręty podwodne projektu 613]]
[[ru:Подводные лодки проекта 613]]
[[sv:Whiskey-klass]]
[[zh:W级潜艇]]

2024年2月19日 (月) 05:47時点における最新版

ウィスキー型潜水艦
ウィスキー型潜水艦
ウィスキー型潜水艦
基本情報
運用者  ソビエト連邦海軍
 ロシア海軍
建造期間 1949年 - 1958年
建造数 236隻
前級 ズールー型潜水艦
次級 ケベック型潜水艦
ロメオ型潜水艦
要目
排水量 浮上時約1,080トン
潜航時約1,350トン
(型による差異あり)
長さ 76 m
83.3 m (ウィスキーロングビン)
6.3 m - 6.5 m
吃水 4.9 m
推進器 ディーゼル・エレクトリック方式
速力 浮上時18.5ノット
潜航時13ノット
シュノーケル潜航時7ノット
航続距離 浮上時13,500海里
潜航時6,000海里
乗員 54人 (巡航ミサイル搭載型はそれ以上)
兵装 533mm魚雷発射管6門 (艦首4門、艦尾2門)
魚雷12本または機雷22基
25mm対空砲 1門
(ウィスキーI、II、IV)
57mm対空砲 1門
(ウィスキー II)
1 × SS-N-3巡航ミサイル
(ウィスキーシングルシリンダー)
2 × SS-N-3 巡航ミサイル
(ウィスキーツインシリンダー)
4 × SS-N-3 巡航ミサイル
(ウィスキーロングビン)
テンプレートを表示
内部解説模型
サンクトペテルブルクで博物館船となったウィスキー型潜水艦S-189英語版(2007年撮影)
プロイェークト644 "ウィスキー・ツイン・シリンダー"
艦首魚雷発射管4門
艦尾魚雷発射管2門

ウィスキー型潜水艦(ウィスキーがたせんすいかん 英語: Whiskey-class submarine)は、ソヴィエト/ロシア海軍通常動力型潜水艦である。1・2・3・4・5型のサブタイプの他、多くの改造型が存在する。

ウィスキー型NATOコードネームであり、ソ連海軍の計画名は613型潜水艦ロシア語: Подводные лодки проекта 613)である。

概要[編集]

第二次世界大戦中に活躍したナチス・ドイツXXI型潜水艦のデザインを大きく受けついだものであり、1949年から1958年にかけて合計236隻が生産された。

この潜水艦は当初沿岸警備潜水艦として設計されたが、1950年代から1960年代にかけてその一部が誘導ミサイル潜水艦として改造された。1956年ごろに最初の改造を受けたウィスキー型はP-5 (SS-N-3 Shaddock) 巡航ミサイル発射管を艦橋の後ろに1基持った物で、西側にウィスキー・シングル・シリンダー、58年から60年の間に発射管を2基に増やした物はウィスキー・ツイン・シリンダー(プロイェークト644)、さらに60年から63年の間に発射管を4基に増やした物はウィスキー・ロング・ビン(プロイェークト665)と呼ばれた[1]

SS-N-3ミサイルを発射するためには浮上しなければならず、シングルとツインシリンダータイプは発射管が水平に配置されたので発射前にさらにこれを上方に向けなければならなかった。

そして最終型のロングビンでさえ運用成績は悪く、ミサイル発射管と水流の摩擦による雑音も目立ち、ウィスキー型はすぐに全艦退役となった。そのうち4隻だけがウィスキー・キャンバス・バッグ(プロイェークト640)として知られるレーダーピケット艦として残され、また2隻が漁業資源調査および海洋学調査用の潜水艦として残った。

ソ連ではその後ロメオ型潜水艦が沿岸警備潜水艦、ジュリエット型潜水艦が誘導ミサイル潜水艦の役をそれぞれ受け持った。

大量に建造されたこともあり退役後も解体処分が進まず、ウラジオストック軍港内の各所には放置状態で係留された艦も多く見られていた。

輸出[編集]

通常型のみ、誘導ミサイルとレーダーピケット艦は輸出されていない。

その他
  • ペプシ海軍 - 財政難となっていた1989年、17隻のウィスキー型潜水艦がペプシコーラ原液との物々交換として清涼飲料水製造会社ペプシコへ渡され、スクラップ工場への仲介とされた[2]

建造[編集]

ソビエトでは合計236または215隻のウィスキー級が建造された。ソビエト国防省の造船所長のVADM Burovに1969年から1983年にかけて215隻の建造が承認された[3]。生産計画は以下を参照[4]

ゴーリキー ニコラエフ バルティック コモスモルスク 合計
1951 1 - - - 1
1952 4 5 - - 9
1953 19 11 - - 30
1954 29 14 - 1 44
1955 37 18 8 4 67
1956 26 15 4 4 49
1957 - 9 3 2 14
1958 - - 1 - 1
合計 116 72 16 11 215

スペック[編集]

型によって少し異なる

  • 水上排水量:1,080t
  • 水中排水量:1,350t
  • 全長:76.6m(ロングビンは83.3m)
  • 幅:6.3 - 6.5m
  • 喫水:4.9m
  • 出力:水上4,000hp、水中2,500hp
  • 速力:水上18.5ノット、水中13ノット、シュノーケル中7ノット
  • 航続距離:水上13,500海里、水中6,500海里

脚注[編集]

  1. ^ Otechestvennoye Voyennoye Korablestroyeniye v tretem stoletii svoey istorii, V.N. Burov, Sudostroyeniye, Sankt Peterburg, 1995
  2. ^ Новости, Р. И. А. (20190720T0800). “Бартер по-нашему: как CCCР обменял военный флот на газировку Pepsi” (ロシア語). РИА Новости. 2024年2月19日閲覧。
  3. ^ Otechestvennoye Voyennoe Korablestroeniye v Tretem Stoletii Svoyey Istorii, 1995, ISBN 5-7355-0508-4
  4. ^ Conway's.

参考文献[編集]

  • Gardiner, Robert (ed.). Conway's all the World's Fighting Ships 1947-1995. London: Conway Maritime. ISBN 0851776051. OCLC 34284130  Also published as Gardiner, Robert. Conway's all the World's Fighting Ships 1947-1995. Chumbley, Stephen; Budzbon, Przemysław. Annapolis, MD: Naval Institute Press. ISBN 1557501327. OCLC 34267261 
  • Weir, Gary E., and Boyle, Walter j. Rising Tide, The untold story of the Russian Submarines that fought the Cold War,Basic Books 2003

関連項目[編集]

外部リンク[編集]