コンテンツにスキップ

「フリースクール」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
Naklittle (会話 | 投稿記録)
タグ: 差し戻し済み モバイル編集 モバイルウェブ編集
タグ: モバイル編集 モバイルウェブ編集
 
(22人の利用者による、間の37版が非表示)
4行目: 4行目:
# [[アメリカ合衆国|アメリカ]]の授業料無償の公立[[小学校]]
# [[アメリカ合衆国|アメリカ]]の授業料無償の公立[[小学校]]
# アメリカのフリースクール協会([[1805年]]設立)に加入する人道主義に基づく低所得者のための授業料無償の学校
# アメリカのフリースクール協会([[1805年]]設立)に加入する人道主義に基づく低所得者のための授業料無償の学校
# [[イギリス]]の[[サマーヒル・スクール]]のような [[デモクラティック・スクール]]
# [[イギリス]]の[[サマーヒル・スクール]]のような[[デモクラティック・スクール]]
# 英米のオープン・エデュケーションを行っている[[学校]]
# 英米のオープン・エデュケーションを行っている[[学校]]
# [[オルタナティブ教育]]の理念に基づく学校([[オルタナティブ・スクール]])
# [[オルタナティブ教育]]の理念に基づく学校([[オルタナティブ・スクール]])
# [[不登校]]や[[引きこもり]]の子供大人が通う非学校的な施設(日本)
# [[不登校]]や[[引きこもり]]の小中学生高校生を対象とした学校外の学びの場(日本)
# 10代や20代の[[ニート]]や[[引きこもり]]の若者を対象とした居場所(日本)


などの意味で用いられる。(1)(2)での「フリー(free)」は、「自由」ではなく「無料」を意味する。外国では主に(3)または(5)の意味で用いられ、日本では主に(6)の意味で用いられることが多い。本項は(6)について述べる。
などの意味で用いられる。(1) と (2) の「フリー (free)」は、「自由」ではなく「無料」を意味する。外国では主に (3) または (5) の意味で用いられ、日本では主に(6)(7)の意味で用いられることが多い。本項は (6) (7)について述べる。


== 日本のフリースクールの特色 ==
== 日本のフリースクール ==
日本[[デモクラティック・スクール]]をはじめ、[[シュタイナー教育|シュタイナー学校]]、[[デンマーク]]の生涯学習の基盤となっているフォルケホイスコーレなど、ヨーロッパ新教育運動の流れを受け継ぐ学校が一部にあるが、不登校受け皿として、その学習権の保障安心してすごせる居場所を提供する施設、さらに、通信制高校の学習をサポートする[[サポート校]]など、不登校の子供を対象とした、既存の学校とは異なる機関や施設がフリースクールと総称されている。
日本は[[デモクラティック・スクール]]、[[シュタイナー教育|シュタイナー学校]]、[[デンマーク]]の生涯学習の基盤となっているフォルケホイスコーレなど、ヨーロッパ新教育運動の流れを受け継ぐ学校が一部にあるが、もっぱら不登校学びの場として、学習や居場所を提供する施設、通信制高校の学習をサポートする[[サポート校]]、不登校を対象とる機関や施設、などがフリースクールと総称される。


こうしたフリースクールの規模や活動内容はきわめて多様であってマンション事務所ビルの一室を借り、スタッフや子供を合わせて10人たないようなものから在籍数100人を超える大規模なものまであり教育レベルに大きく差があるのが現状である
フリースクールの規模や活動内容は多様で、集合住宅やビルの一室で職員や子供を合わせて10人満の小規模から在籍数100人を超える大規模まで、差異が大き


教育活動)内容は、子供の自主性を尊重し、スタッフと子どもが対等な立場で民主的に活動内容を決定するもの主流だが、既存の学のようなカリキュラムを持ち、スタッフ(教師)が主体となって、「規則正しい生活」や学習をさせる施設もある{{要出典|date=2017年5月}}。また、[[サポート校]]は、通信制高校のカリキュラムにしたがって「授業」が行われ、制服時間割、部活動、各種の学校行事などもあり、一般の学校とほとんど変わら
教育活動は、子供の自主性を尊重し活動内容を決定する事例多く見られるが、既存校を模倣したカリキュラムを職員が主体とな「規則正しい生活」や学習をさせる施設もある{{要出典|date=2017年5月}}。[[サポート校]]は、通信制高校のカリキュラムにしたが「授業」、制服時間割、部活動、各種の学校行事などもあり、既存校に酷似する。進学目的の私塾や通信制高校の学習サポート校などがフリースクールを自称する事例も散見される


ほとんどのフリースクールは、[[学校教育法]]1条に定める学校要件に該当せず、私立学校立のハードルが高いこともあって、正規の学校としての認可を受けておらず、運営者やスタッフは[[教員免許]]すら不要場合が多い。しかし1992年からは小中学校において、2009年からは高校において在籍する学校の校長の裁量により、フリースクールの民間施設に通っ期間を、学習指導要録上出席扱いするこができるようになり、進級卒業も可能である(ただし、学校によっては不認定の場合もありえまた、正規の学校から卒業資格が得られかった場合でも、[[中学校卒業程度認定試験]]や[[高等学校卒業程度認定試験]]に合格すれば、進学や就職の出願条件満たことができる。
[[学校教育法]]1条学校要件に合致せず、設置者や運営職員が[[教員免許]]を有さい施設も多い。小中学校は1992年から、高等学校2009年から、フリースクールなどの民間施設で過ごし日数が出席として算入可能とされ、進級卒業要件に算入可能となる。卒業要件に不充分な場合、[[中学校卒業程度認定試験]]や[[高等学校卒業程度認定試験]]を利用する。


フリースクールの対象年齢は、当初、小中学生の学齢期の子どもが中心であったが、しだいに[[高校生]]以上のも拡大され、さらに、フリースクールの精神による大学として、東京シューレを母体に20代の若者たちが作る[[シューレ大学]]が[[1999年]]に設立された。
[[1999年|1999]]年に東京シューレを母体に[[シューレ大学]]が設立された。

2001年にフリースクール全国ネットワークが設立された。


== 特区を利用したフリースクール ==
== 特区を利用したフリースクール ==
近年、構造改革特区制度をして、私立学校(学校法人)の認可を受けたフリースクール設立可能となった。[[2004年]]神奈川県「東京シュタイナーシューレ」が法人格を取得し、学校法人シュタイナー学園(現・[[シュタイナー学園初等部・中等部・高等部]])が設立された。[[2005年]]4月にいいずな学園グリーンヒルズ小学校が設立され、[[2006年]]11月には、フリースクールの理念に沿う形で、既存のフリーフクールとは別に不登校経験者などの子供達が通えるための学校である「学校法人東京シューレ学園」が認可され、[[2007年]]4月に[[東京シューレ]]葛飾中学校として、[[葛飾区]]の旧松南小学校に開校した。[[2008年]]4月に「学校法人北海道シュタイナー学園」による[[いずみの学校初等部・中等部]]が開設した。
構造改革特区制度を用、私立学校法人として認可を受けたフリースクール設立可能となった。[[2004年]]神奈川県「東京シュタイナーシューレ」が[[シュタイナー学園初等部・中等部・高等部|学校法人シュタイナー学園]][[2005年]]4月にいいずな学園グリーンヒルズ小学校、[[2006年]]11月に不登校経験者などを対象に「学校法人東京シューレ学園」、[[2007年]]4月に[[東京シューレ]]葛飾中学校」が[[葛飾区]]の旧松南小学校で、[[2008年]]4月に「学校法人北海道シュタイナー学園」[[いずみの学校初等部・中等部]]を、それぞれした。


== フリースクールのネットワーク ==
== フリースクールのネットワーク ==
各地に散らばるフリースクールのネットワーク化が[[2000年]]頃から進み、[[2001年]]にNPO法人フリースクール全国ネットワークが結成され、フリースクール同士の文化祭や、スポーツイベント、フリースクールスタッフの養成やスキルアップのための研修、フリースクール白書の発行などの調査研究事業のほか、国際交流事業、政策提言事業などを展開している。
各地に散らばるフリースクールのネットワーク化が[[2000年]]頃から進み、[[2001年]]に[[NPO法人]]フリースクール全国ネットワークが結成され、フリースクール同士の文化祭や、スポーツイベント、フリースクールスタッフの養成やスキルアップのための研修、フリースクール白書の発行などの調査研究事業のほか、国際交流事業、政策提言事業などを展開している。

[https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1380952.htm 教育機会の確保法]の成立に、不登校のこどもの権利擁護(学習権、生存権)の視点から積極的に提案等を行う。[https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/seigan/190/yousi/yo1902212.htm フリースクール等議員連盟]を通じた政策づくりを積極的に行っている。各都道府県においても、ネットワークを形成し政策の提案を行う。


日本におけるフリースクールのネットワーク団体の先駆けとしては[[1998年]]5月に発足したNPO法人日本フリースクール協会がある。学校教育の枠にとらわれない「学びの場・居場所作り」を目的とし、不登校・中退者・引きこもり等、電話による相談受付、書籍による情報提供、保護者・教育関係者等のためのセミナー・相談会を実施している。
日本におけるフリースクールのネットワーク団体の先駆けとしては[[1998年]]5月に発足したNPO法人日本フリースクール協会がある。学校教育の枠にとらわれない「学びの場・居場所作り」を目的とし、不登校・中退者・引きこもり等、電話による相談受付、書籍による情報提供、保護者・教育関係者等のためのセミナー・相談会を実施している。
38行目: 43行目:
{{関連項目過剰|date=2019年5月}}
{{関連項目過剰|date=2019年5月}}
* [[フリースクール一覧]]
* [[フリースクール一覧]]

=== 代表的なフリースクール ===
* [[サドベリー・バレー・スクール]]
** [[サドベリー・スクール]]
* [[サマーヒル・スクール]]
** [[学校法人きのくに子どもの村学園]]
* [[クロンララ・スクール]]
* [[N等部]]

=== フリースクールに関連する教育方法と教育問題 ===
* [[不登校]]
* [[不登校]]
* [[無認可校]]
* [[無認可校]]
57行目: 52行目:
* [[ホームスクーリング]]
* [[ホームスクーリング]]
* [[アンスクーリング]]
* [[アンスクーリング]]
* [[シュタイナー教育]] …類似した名称を冠する学校およびフリースクールが世界中に乱立している
* [[シュタイナー教育]]
* [[適応指導教室]]
* [[居場所]]
* [[ニート]]
* [[スパルタ教育]]
* [[引き出し屋]]
* [[夜間]]


=== フリースクールに関連する著名な事件 ===
=== フリースクールに関連する事件 ===
* [[戸塚ヨットスクール事件]]
* [[戸塚ヨットスクール事件]]
* [[不動塾事件]]
* [[不動塾事件]]
* [[風の子学園事件]]
* [[風の子学園事件]]
* [[東京シューレ#性暴力事件]]
* [[恩寵園事件]]
* [[恩寵園事件]]


=== フリースクールに関連する主な人物 ===
=== フリースクールに関連する人物 ===
* [[市川力]] フリースクール「東京コミュニティスクール」の初代校長に就任
* [[市川力]] フリースクール「東京コミュニティスクール」の初代校長に就任
* [[渡辺位]]
* [[渡辺位]]
72行目: 74行目:
* [[荒井裕司]] 日本フリースクール協会理事。
* [[荒井裕司]] 日本フリースクール協会理事。
* [[高橋良臣]] [[立教大学]]社会福祉研究所客員所員、NPO法人日本フリースクール協会理事
* [[高橋良臣]] [[立教大学]]社会福祉研究所客員所員、NPO法人日本フリースクール協会理事
* [[奥地圭子]]([[東京シューレ]]設立者・理事長登校拒否を考える全国ネットワーク代表、NPO法人フリースクール全国ネットワーク代表理事、全国不登校新聞社理事
* [[奥地圭子]]([[東京シューレ]]設立者)
*江川和弥([https://www.terakoyahoujyousha.com 寺子屋方丈舎理事長])[https://freeschoolnetwork.jp NPO法人フリースクール 全国ネットワーク代表理事]
* [[市川力]]([[教育学]][[博士]])(フリースクール主宰、教育評論家)
* [[市川力]]([[教育学]][[博士]])(フリースクール主宰、教育評論家)
* [[伊藤美奈子 (心理学者)]]
* [[伊藤美奈子 (心理学者)]]
86行目: 89行目:
* [[イヴァン・イリイチ]] … フリースクール運動の中で、指導的な理論のひとつになった
* [[イヴァン・イリイチ]] … フリースクール運動の中で、指導的な理論のひとつになった
* [[クリステン・コル]] …デンマークのホイ・スコーレとフリースクール運動の生みの親
* [[クリステン・コル]] …デンマークのホイ・スコーレとフリースクール運動の生みの親
*シンオー
詩吟神鶯流初代と後継者が[[寺子屋]]のように将棋、珠算、学習、詩吟、芸術をあわせもつ総合学習塾として英語教室や芸能科として1980年代からフリースクールに展開。1990年代のインターネットや郵送をつかいながら通信制ワークショップとして芸能界を目指したり、学習を内申で補う日本の制度にあわせ展開。芸能活動や経験や趣味等を活かし社会とコミュニケーションをとれるように全国展開した。


=== フリースクールを舞台とした作品 ===
=== フリースクールを舞台とした作品 ===
93行目: 94行目:


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [http://www.freeschoolnetwork.jp/ NPO法人フリースクール全国ネットワーク]
* [https://freeschoolnetwork.jp/ NPO法人フリースクール全国ネットワーク]
* [http://www.japan-freeschool.jp/ NPO法人日本フリースクール協会]
* [http://www.japan-freeschool.jp/ NPO法人日本フリースクール協会]


104行目: 105行目:
[[Category:オルタナティブ教育|*]]
[[Category:オルタナティブ教育|*]]
[[Category:教育の手法]]
[[Category:教育の手法]]
[[Category:私塾]]
[[Category:日本の教育施設 (法令外)]]

2024年2月19日 (月) 10:36時点における最新版

フリースクール: Free School)の概念はきわめて多義的で、

  1. アメリカの授業料無償の公立小学校
  2. アメリカのフリースクール協会(1805年設立)に加入する人道主義に基づく低所得者のための授業料無償の学校
  3. イギリスサマーヒル・スクールのようなデモクラティック・スクール
  4. 英米のオープン・エデュケーションを行っている学校
  5. オルタナティブ教育の理念に基づく学校(オルタナティブ・スクール
  6. 不登校引きこもりの小中学生や高校生を対象とした学校外の学びの場(日本)
  7. 10代や20代のニート引きこもりの若者を対象とした居場所(日本)

などの意味で用いられる。(1) と (2) の「フリー (free)」は、「自由」ではなく「無料」を意味する。外国では主に (3) または (5) の意味で用いられ、日本では主に(6)(7)の意味で用いられることが多い。本項は (6) (7)について述べる。

日本のフリースクール[編集]

日本はデモクラティック・スクールシュタイナー学校デンマークの生涯学習の基盤となっているフォルケホイスコーレなど、ヨーロッパ新教育運動の流れを受け継ぐ学校が一部にあるが、もっぱら不登校者の学びの場として、学習や居場所を提供する施設、通信制高校の学習をサポートするサポート校、不登校者を対象とする機関や施設、などがフリースクールと総称される。

フリースクールの規模や活動内容は多様で、集合住宅やビルの一室で職員や子供を合わせて10人未満の小規模から在籍数100人を超える大規模まで、差異が大きい。

教育活動は、子供の自主性を尊重して活動内容を決定する事例が多く見られるが、既存校を模倣したカリキュラムを職員が主体となり「規則正しい生活」や学習をさせる施設もある[要出典]サポート校は、通信制高校のカリキュラムにしたがい「授業」し、制服、時間割、部活動、各種の学校行事などもあり、既存校に酷似する。進学目的の私塾や通信制高校の学習サポート校などがフリースクールを自称する事例も散見される。

学校教育法1条の学校要件に合致せず、設置者や運営職員が教員免許を有さない施設も多い。小中学校は1992年から、高等学校は2009年から、フリースクールなどの民間施設で過ごした日数が出席として算入可能とされ、進級や卒業要件にも算入可能となる。卒業要件に不充分な場合は、中学校卒業程度認定試験高等学校卒業程度認定試験を利用する。

1999年に東京シューレを母体にシューレ大学が設立された。

2001年にフリースクール全国ネットワークが設立された。

特区を利用したフリースクール[編集]

構造改革特区制度を用い、私立学校法人として認可を受けたフリースクールが設立可能となった。2004年に神奈川県「東京シュタイナーシューレ」が学校法人シュタイナー学園2005年4月に「いいずな学園グリーンヒルズ小学校」、2006年11月に不登校経験者などを対象に「学校法人東京シューレ学園」、2007年4月に「東京シューレ葛飾中学校」が葛飾区の旧松南小学校で、2008年4月に「学校法人北海道シュタイナー学園」がいずみの学校初等部・中等部を、それぞれ設置した。

フリースクールのネットワーク[編集]

各地に散らばるフリースクールのネットワーク化が2000年頃から進み、2001年NPO法人フリースクール全国ネットワークが結成され、フリースクール同士の文化祭や、スポーツイベント、フリースクールスタッフの養成やスキルアップのための研修、フリースクール白書の発行などの調査研究事業のほか、国際交流事業、政策提言事業などを展開している。

教育機会の確保法の成立に、不登校のこどもの権利擁護(学習権、生存権)の視点から積極的に提案等を行う。フリースクール等議員連盟を通じた政策づくりを積極的に行っている。各都道府県においても、ネットワークを形成し政策の提案を行う。

日本におけるフリースクールのネットワーク団体の先駆けとしては1998年5月に発足したNPO法人日本フリースクール協会がある。学校教育の枠にとらわれない「学びの場・居場所作り」を目的とし、不登校・中退者・引きこもり等、電話による相談受付、書籍による情報提供、保護者・教育関係者等のためのセミナー・相談会を実施している。

関連項目[編集]

フリースクールに関連する事件[編集]

フリースクールに関連する人物[編集]

フリースクールを舞台とした作品[編集]

外部リンク[編集]