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「さよなら歌舞伎町」の版間の差分

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『'''さよなら歌舞伎町'''』(さよならかぶきちょう)は、[[廣木隆一]]監督による2014年の日本の映画。[[歌舞伎町]]のラブホテルでの1日を描いた群像劇である<ref>{{cite web|url=http://eiga.com/movie/80641/critic/|title=歌舞伎町のラブホテルでの1日を舞台に人々の哀歓を謳う群像劇|work=映画.com|author=[[高崎俊夫]]|date=2015-01-20|accessdate=2015-03-03}}</ref>。
『'''さよなら歌舞伎町'''』(さよならかぶきちょう)は、[[廣木隆一]]監督による2015公開の日本の映画(製作は2014年)。[[歌舞伎町]]のラブホテルでの1日を描いた群像劇である<ref>{{Cite web|和書|url=https://eiga.com/movie/80641/critic/|title=歌舞伎町のラブホテルでの1日を舞台に人々の哀歓を謳う群像劇|work=映画.com|author=[[高崎俊夫]]|date=2015-01-20|accessdate=2015-03-03}}</ref>。
主演は[[染谷将太]]と[[前田敦子]]。


== あらすじ ==
== あらすじ ==
一流ホテルで働くことを夢見る徹([[染谷将太]])は、自分が実際にはラブホテルの店長であることを、家族や恋人には伏せていた。ある日、彼の勤めるホテル・アトラスにアダルトビデオの撮影隊がやって来る。彼がピザを届けに部屋へ入ると、そこには妹の美優([[樋井明日香]])の姿があった。故郷の塩市で保育士を目指していた彼女は、[[東日本大震災]]で実家の工場が潰れたのち、東京でAV女優の職に就いたのだという。撮影後、帰途につく美優は徹に呼び止められ、最初の相手もAVだったのかと聞かれる。美優は首を横に振り、2人のあいだのわだかまりは消えてゆく。
一流ホテルで働くことを夢見る徹([[染谷将太]])は、自分が実際にはラブホテルの店長であることを、家族や恋人には伏せていた。ある日、彼の勤めるホテル・アトラスにアダルトビデオの撮影隊がやって来る。彼がピザを届けに部屋へ入ると、そこには妹の美優([[樋井明日香]])の姿があった。故郷の塩市で保育士を目指していた彼女は、[[東日本大震災]]で実家の工場が潰れたのち、東京でAV女優の職に就いたのだという。撮影後、帰途につく美優は徹に呼び止められ、最初の相手もAVだったのかと聞かれる。美優は首を横に振り、2人のあいだのわだかまりは消えてゆく。


徹と同棲している恋人の沙耶([[前田敦子]])は、音楽家としてメジャー・デビューを目指しているが、枕営業のため、音楽プロデューサーの竹中([[大森南朋]])とホテル・アトラスに入室する。沙耶は部屋の外で徹と口論したのち、竹中と関係をもつ。その後、竹中は「あまり無理するなよ」と沙耶に言い残し、部屋を出て行く。
徹と同棲している恋人の沙耶([[前田敦子]])は、音楽家としてメジャー・デビューを目指しているが、枕営業のため、音楽プロデューサーの竹中([[大森南朋]])とホテル・アトラスに入室する。沙耶は部屋の外で徹と口論したのち、竹中と関係をもつ。その後、竹中は「あまり無理するなよ」と沙耶に言い残し、部屋を出て行く。
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里美([[南果歩]])は、駆け落ち相手の康夫([[松重豊]])をアパートメントに匿いながら、ホテル・アトラスの従業員として働いている。傷害事件で指名手配中の2人は、あと1日で時効成立を迎える。そんな折、夫と子供のいる刑事の理香子([[河井青葉]])が、同僚の竜平([[宮崎吐夢]])と入室する。里美の正体に気づいた理香子は、寿司を届けに来た里美を取り押さえ、部屋に引き入れる。逮捕に乗り気でない竜平は、里美と理香子を残して帰ってしまう。トイレに入った里美は康夫に電話し、ひとりで逃げるよう伝えたのち、携帯電話を破壊する。非常ベルが鳴らされた隙に、里美は理香子を振り切り、ホテルを飛び出して行く。
里美([[南果歩]])は、駆け落ち相手の康夫([[松重豊]])をアパートメントに匿いながら、ホテル・アトラスの従業員として働いている。傷害事件で指名手配中の2人は、あと1日で時効成立を迎える。そんな折、夫と子供のいる刑事の理香子([[河井青葉]])が、同僚の竜平([[宮崎吐夢]])と入室する。里美の正体に気づいた理香子は、寿司を届けに来た里美を取り押さえ、部屋に引き入れる。逮捕に乗り気でない竜平は、里美と理香子を残して帰ってしまう。トイレに入った里美は康夫に電話し、ひとりで逃げるよう伝えたのち、携帯電話を破壊する。非常ベルが鳴らされた隙に、里美は理香子を振り切り、ホテルを飛び出して行く。


ブティック店を開業するという夢をもつヘナ([[イ・ウンウ]])は、不法残留により、近日中に韓国へ帰るつもりでいる。一方、蕎麦と日本酒の店の開店資金を貯めている恋人のチョンス([[ロイ (俳優)|ロイ]])は、もうしばらく韓国料理店で働くつもりでいる。チョンスは、眠っている彼女のバッグを探り、コールガールである彼女の名刺を見つける。日本での最後の出勤日に、ヘナはホテル・アトラスに入室する。ヘナは男の客に目隠しをさせられる。浴槽で体を洗われているうち、ヘナは男がチョンスであることに気づく。泣いて謝るヘナに、チョンスは、自分も女性客から金を受け取って関係をもったと告げる。2人は抱擁を交わし、お互いの嘘を許しあう。ホテルからの帰り道で、チョンスはヘナにプロポーズする。2人は一緒に韓国へ帰ることを決心する。
ブティック店を開業するという夢をもつヘナ([[イ・ウンウ]])は、不法残留により、近日中に韓国へ帰るつもりでいる。一方、蕎麦と日本酒の店の開店資金を貯めている恋人のチョンス([[ロイ (俳優)|ロイ]])は、もうしばらく朝鮮料理店で働くつもりでいる。チョンスは、眠っている彼女のバッグを探り、コールガールである彼女の名刺を見つける。日本での最後の出勤日に、ヘナはホテル・アトラスに入室する。ヘナは男の客に目隠しをさせられる。浴槽で体を洗われているうち、ヘナは男がチョンスであることに気づく。泣いて謝るヘナに、チョンスは、自分も女性客から金を受け取って関係をもったと告げる。2人は抱擁を交わし、お互いの嘘を許しあう。ホテルからの帰り道で、チョンスはヘナにプロポーズする。2人は一緒に韓国へ帰ることを決心する。


風俗のスカウトの正也([[忍成修吾]])は、家出少女の雛子([[我妻三輪子]])とホテル・アトラスに入室する。雛子の不幸な生い立ちを聞いた正也は、眠りについた彼女をその場に残し、この仕事から足を洗うために組織の元へ向かう。所持金を持たない雛子は、正也が退室したことによって、従業員控え室で正也の帰りを待つ羽目になる。その頃、正也はバッティングセンターで組織員たちから暴行を受けていた。無銭宿泊として従業員たちが警察への通報を検討する中、傷だらけの正也が雛子を迎えに戻ってくる。2人はファストフード店へ行き、山盛りのチキンナゲットを食べるという雛子の夢が叶えられる。
風俗のスカウトの正也([[忍成修吾]])は、家出少女の雛子([[我妻三輪子]])とホテル・アトラスに入室する。雛子の不幸な生い立ちを聞いた正也は、眠りについた彼女をその場に残し、この仕事から足を洗うために組織の元へ向かう。所持金を持たない雛子は、正也が退室したことによって、従業員控え室で正也の帰りを待つ羽目になる。その頃、正也はバッティングセンターで組織員たちから暴行を受けていた。無銭宿泊として従業員たちが警察への通報を検討する中、傷だらけの正也が雛子を迎えに戻ってくる。2人はファストフード店へ行き、山盛りのチキンナゲットを食べるという雛子の夢が叶えられる。
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早朝の神社で、徹は境内の階段に腰掛けていた。そこへ沙耶がやって来るが、徹は振り返りもせずに沙耶を残して立ち去る。ひとり部屋に帰った沙耶は、ギターを爪弾きながら歌ううち、涙をこぼす。
早朝の神社で、徹は境内の階段に腰掛けていた。そこへ沙耶がやって来るが、徹は振り返りもせずに沙耶を残して立ち去る。ひとり部屋に帰った沙耶は、ギターを爪弾きながら歌ううち、涙をこぼす。


徹は故郷の塩市へ向かうバスに乗り込む。そのバスには美優も乗っているが、2人はお互いの存在に気づいていない。バスは高速道路を走って行く。
徹は故郷の塩市へ向かうバスに乗り込む。そのバスには美優も乗っているが、2人はお互いの存在に気づいていない。バスは高速道路を走って行く。


== キャスト ==
== キャスト ==
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*録音 - [[西條博介]]
*録音 - [[西條博介]]
*編集 - [[菊池純一 (編集)|菊池純一]]
*編集 - [[菊池純一 (編集)|菊池純一]]
*主題歌 - [[meg]] with [[Sweep|SWEEP]]「Believe in love」
*主題歌 - [[meg (ジャズシンガー)|meg]] with [[Sweep|SWEEP]]「Believe in love」
*製作 - [[藤岡修]]
*製作 - 久保忠佳、藤岡修
*配給 - [[東京テアトル]]
*製作総指揮 - [[久保忠佳]]
*宣伝 - 東京テアトル/ミラクルヴォイス
*制作 - ダブル・フィールド
*製作 - 映画「さよなら歌舞伎町」製作委員会(ギャンビット、パピネット)


== 上映 ==
== 上映 ==
2014年9月7日、第39回[[トロント国際映画祭]]「コンテンポラリー・ワールド・シネマ」部門にて上映された<ref>{{cite web|url=http://eiga.com/news/20140911/19/|title=染谷将太×前田敦子「さよなら歌舞伎町」がトロントで世界初披露 廣木隆一監督が歌舞伎町への思い語る|work=映画.com|date=2014-09-11|accessdate=2014-12-19}}</ref>。10月6日、第19回[[釜山国際映画祭]]「アジア映画の窓」部門にて上映された<ref>{{cite web|url=http://www.tokyo-sports.co.jp/entame/entertainment/319930/|title=元AKB前田敦子 2度目の釜山映画祭に感激|work=東京スポーツ|date=2014-10-06|accessdate=2014-12-19}}</ref>。11月23日、第15回[[東京フィルメックス]]にて特別招待作品として上映された<ref>{{cite web|url=http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/11/24/kiji/K20141124009341300.html|title=前田敦子 初めてだった「1カ月、みっちり練習しました」|work=Sponichi Annex|date=2014-11-24|accessdate=2014-12-19}}</ref>。日本では2015年1月24日に全国公開された<ref>{{cite web|url=http://news.mynavi.jp/news/2015/01/25/063/|title=「さよなら歌舞伎町」前田敦子と染谷将太に聞く AKB48メンバーに一番人気の染谷との共演に…|work=マイナビニュース|date=2015-01-25|accessdate=2015-04-13}}</ref>。
2014年9月7日、第39回[[トロント国際映画祭]]「コンテンポラリー・ワールド・シネマ」部門にて上映された<ref>{{Cite web|和書|url=https://eiga.com/news/20140911/19/|title=染谷将太×前田敦子「さよなら歌舞伎町」がトロントで世界初披露 廣木隆一監督が歌舞伎町への思い語る|work=映画.com|date=2014-09-11|accessdate=2014-12-19}}</ref>。10月6日、第19回[[釜山国際映画祭]]「アジア映画の窓」部門にて上映された<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/96545|title=元AKB前田敦子 2度目の釜山映画祭に感激|work=東京スポーツ|date=2014-10-06|accessdate=2014-12-19}}</ref>。11月23日、第15回[[東京フィルメックス]]にて特別招待作品として上映された<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/11/24/kiji/K20141124009341300.html|title=前田敦子 初めてだった「1カ月、みっちり練習しました」|work=Sponichi Annex|date=2014-11-24|accessdate=2014-12-19}}</ref>。日本では2015年1月24日に全国公開された<ref>{{Cite web|和書|url=http://news.mynavi.jp/news/2015/01/25/063/|title=「さよなら歌舞伎町」前田敦子と染谷将太に聞く AKB48メンバーに一番人気の染谷との共演に…|work=マイナビニュース|date=2015-01-25|accessdate=2015-04-13|archiveurl=https://web.archive.org/web/20150201070301/http://news.mynavi.jp/news/2015/01/25/063/|archivedate=2015年2月1日|deadlinkdate=2018年3月}}</ref>。

2016年6月、[[イタリア]]のタッカー・フィルムの配給で『''TOKYO LOVE HOTEL''』のタイトルで公開<ref>{{cite news|url=https://www.cinematoday.jp/news/N0082561|title=染谷将太×前田敦子『さよなら歌舞伎町』、イタリア公開決定!|newspaper=シネマトゥデイ|date=2016-05-10|accessdate=2016-05-11}}</ref>。


== 評価 ==
== 評価 ==
『[[Variety (アメリカ合衆国の雑誌)|Variety]]』のリチャード・カイパースは「いくつかの挿話はいささか感傷的すぎるが、ここには、好奇心をそそる状況に置かれた興味深い人物たちが描かれている」と指摘した<ref>{{cite web|url=http://variety.com/2014/film/reviews/film-review-kabukicho-love-hotel-1201326383/|title=Film Review: ‘Kabukicho Love Hotel’|work=Variety|first=Richard|last=Kuipers|date=2014-10-28|accessdate=2014-12-19}}</ref>。『Twitch Film』のクウェントン・ベレットは「廣木隆一の現代劇に充満する都会的な不安は本作でも見られるが、かわいらしさと過激な性表現をあわせもつ本作は、他の作品よりもはるかに親しみやすく、観客を満足させる」と評した<ref>{{cite web|url=http://twitchfilm.com/2014/10/busan-2014-review-kabukicho-love-hotel-a-raunchy-charmer.html|title=Busan 2014 Review: KABUKICHO LOVE HOTEL, A Raunchy Charmer|work=Twitch Film|first=Kwenton|last=Bellette|date=2014-10-13|accessdate=2015-03-03}}</ref>。
『[[Variety (アメリカ合衆国の雑誌)|Variety]]』のリチャード・カイパースは「いくつかの挿話はいささか感傷的すぎるが、ここには、好奇心をそそる状況に置かれた興味深い人物たちが描かれている」と指摘した<ref>{{cite web|url=http://variety.com/2014/film/reviews/film-review-kabukicho-love-hotel-1201326383/|title=Film Review: ‘Kabukicho Love Hotel’|work=Variety|first=Richard|last=Kuipers|date=2014-10-28|accessdate=2014-12-19}}</ref>。『Twitch Film』のクウェントン・ベレットは「廣木隆一の現代劇に充満する都会的な不安は本作でも見られるが、かわいらしさと過激な性表現をあわせもつ本作は、他の作品よりもはるかに親しみやすく、観客を満足させる」と評した<ref>{{cite web|url=http://twitchfilm.com/2014/10/busan-2014-review-kabukicho-love-hotel-a-raunchy-charmer.html|title=Busan 2014 Review: KABUKICHO LOVE HOTEL, A Raunchy Charmer|work=Twitch Film|first=Kwenton|last=Bellette|date=2014-10-13|accessdate=2015-03-03|archiveurl=https://web.archive.org/web/20150928081827/http://twitchfilm.com/2014/10/busan-2014-review-kabukicho-love-hotel-a-raunchy-charmer.html|archivedate=2015年9月28日|deadlinkdate=2018年3月}}</ref>。


『[[The Japan Times]]』のマーク・シリングは「いつもの通り、廣木は女性の主人公との仕事に手腕を発揮している」と述べた<ref>{{cite web|url=http://www.japantimes.co.jp/culture/2015/01/21/films/film-reviews/sayonara-kabukicho-life-love-shinjukus-red-light-district/|title=Sayonara Kabukicho: Life and love in Shinjuku’s red-light district|work=The Japan Times|first=Mark|last=Schilling|date=2015-01-21|accessdate=2015-03-03}}</ref>。『Film Business Asia』のデレク・エリーは、最も印象的な役者としてイ・ウンウを挙げ、「彼女とロイがお互いに秘密を打ち明ける浴室の場面は、本作で最も感動的である」と述べた<ref>{{cite web|url=http://www.filmbiz.asia/reviews/kabukicho-love-hotel|title=Kabukicho Love Hotel|work=Film Business Asia|first=Derek|last=Elley|date=2014-11-11|accessdate=2015-03-03}}</ref>。
『[[The Japan Times]]』のマーク・シリングは「いつもの通り、廣木は女性の主人公との仕事に手腕を発揮している」と述べた<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.japantimes.co.jp/culture/2015/01/21/films/film-reviews/sayonara-kabukicho-life-love-shinjukus-red-light-district/|title=Sayonara Kabukicho: Life and love in Shinjuku’s red-light district|work=The Japan Times|first=Mark|last=Schilling|date=2015-01-21|accessdate=2015-03-03}}</ref>。『Film Business Asia』のデレク・エリーは、最も印象的な役者としてイ・ウンウを挙げ、「彼女とロイがお互いに秘密を打ち明ける浴室の場面は、本作で最も感動的である」と述べた<ref>{{cite web|url=http://www.filmbiz.asia/reviews/kabukicho-love-hotel|title=Kabukicho Love Hotel|work=Film Business Asia|first=Derek|last=Elley|date=2014-11-11|accessdate=2015-03-03}}</ref>。


=== 受賞 ===
=== 受賞 ===
* 第14回ニューヨーク・アジア映画祭・ライジングスター賞(2015年) - [[染谷将太]]<ref>{{cite web|url=http://www.cinematoday.jp/page/N0073423|title=染谷将太がニューヨーク・アジア映画祭でライジング・スター賞を受賞!|publisher=シネマトゥデイ|date=2015-05-22|accessdate=2015-05-22}}</ref>
* 第14回ニューヨーク・アジア映画祭・ライジングスター賞(2015年) - [[染谷将太]]<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.cinematoday.jp/news/N0073423|title=染谷将太がニューヨーク・アジア映画祭でライジング・スター賞を受賞!|publisher=シネマトゥデイ|date=2015-05-22|accessdate=2015-05-22}}</ref>
*第37回[[ヨコハマ映画祭]](2016年)<ref>{{cite web|url=http://news.walkerplus.com/article/72212/|title=綾瀬はるかや広瀬すずも爆笑!樹木希林の爆笑スピーチ|publisher=Movie Walker|date=2016-02-07|accessdate=2016-02-08}}</ref>
*第37回[[ヨコハマ映画祭]](2016年)<ref>{{Cite web|和書|url=https://moviewalker.jp/news/article/72212/|title=綾瀬はるかや広瀬すずも爆笑!樹木希林の爆笑スピーチ|publisher=Movie Walker|date=2016-02-07|accessdate=2016-02-08}}</ref>
** 助演女優賞(河井青葉、『[[お盆の弟]]』と合わせて受賞)
** 助演女優賞(河井青葉、『[[お盆の弟]]』と合わせて受賞)
** 日本映画ベストテン・第10位
** 日本映画ベストテン・第10位
*[[日本映画プロフェッショナル大賞#2016年(第25回)|第25回日本映画プロフェッショナル大賞]](2016年)<ref>{{cite news|url=http://natalie.mu/eiga/news/180925|title=「バクマン。」が日本映画プロフェッショナル大賞でベストワン&作品賞|newspaper=映画ナタリー|date=2016-03-25|accessdate=2016-03-25}}</ref>
*[[日本映画プロフェッショナル大賞#第25回(2015年度)|第25回日本映画プロフェッショナル大賞]](2016年)<ref>{{cite news|url=https://natalie.mu/eiga/news/180925|title=「バクマン。」が日本映画プロフェッショナル大賞でベストワン&作品賞|newspaper=映画ナタリー|date=2016-03-25|accessdate=2016-03-25}}</ref>
** 主演男優賞(染谷将太、『[[ソレダケ / that’s it]]』と合わせて)
** 主演男優賞(染谷将太、『[[ソレダケ / that’s it]]』と合わせて)


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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
*{{Official website|www.sayonara-kabukicho.com}}
*{{Official website|web.archive.org/web/20161006023455/http://sayonara-kabukicho.com/}}
*{{Movielink|allcinema|349723|さよなら歌舞伎町}}
*{{Allcinema title|349723|さよなら歌舞伎町}}
*{{Movielink|kinejun|81233|さよなら歌舞伎町}}
*{{Kinejun title|81233|さよなら歌舞伎町}}
*{{Movielink|eiga|80641|さよなら歌舞伎町}}
*{{映画.com title|80641|さよなら歌舞伎町}}
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[[Category:ハピネットの映画作品]]
[[Category:ハピネットの映画作品]]
[[Category:荒井晴彦の脚本映画]]

2024年2月21日 (水) 21:58時点における版

さよなら歌舞伎町
TOKYO LOVE HOTEL
監督 廣木隆一
脚本 荒井晴彦
中野太
製作 藤岡修
製作総指揮 久保忠佳
出演者 染谷将太
前田敦子
音楽 つじあやの
主題歌 meg with SWEEP「Believe in love」
撮影 鍋島淳裕
製作会社 ギャンビット
ハピネット
配給 東京テアトル
公開 カナダの旗 カナダ 2014年9月7日(トロント
日本の旗 日本 2015年1月24日
イタリアの旗 イタリア 2016年6月
上映時間 135分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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さよなら歌舞伎町』(さよならかぶきちょう)は、廣木隆一監督による2015年公開の日本の映画(製作は2014年)。歌舞伎町のラブホテルでの1日を描いた群像劇である[1]。 主演は染谷将太前田敦子

あらすじ

一流ホテルで働くことを夢見る徹(染谷将太)は、自分が実際にはラブホテルの店長であることを、家族や恋人には伏せていた。ある日、彼の勤めるホテル・アトラスにアダルトビデオの撮影隊がやって来る。彼がピザを届けに部屋へ入ると、そこには妹の美優(樋井明日香)の姿があった。故郷の塩竈市で保育士を目指していた彼女は、東日本大震災で実家の工場が潰れたのち、東京でAV女優の職に就いたのだという。撮影後、帰途につく美優は徹に呼び止められ、最初の相手もAVだったのかと聞かれる。美優は首を横に振り、2人のあいだのわだかまりは消えてゆく。

徹と同棲している恋人の沙耶(前田敦子)は、音楽家としてメジャー・デビューを目指しているが、枕営業のため、音楽プロデューサーの竹中(大森南朋)とホテル・アトラスに入室する。沙耶は部屋の外で徹と口論したのち、竹中と関係をもつ。その後、竹中は「あまり無理するなよ」と沙耶に言い残し、部屋を出て行く。

里美(南果歩)は、駆け落ち相手の康夫(松重豊)をアパートメントに匿いながら、ホテル・アトラスの従業員として働いている。傷害事件で指名手配中の2人は、あと1日で時効成立を迎える。そんな折、夫と子供のいる刑事の理香子(河井青葉)が、同僚の竜平(宮崎吐夢)と入室する。里美の正体に気づいた理香子は、寿司を届けに来た里美を取り押さえ、部屋に引き入れる。逮捕に乗り気でない竜平は、里美と理香子を残して帰ってしまう。トイレに入った里美は康夫に電話し、ひとりで逃げるよう伝えたのち、携帯電話を破壊する。非常ベルが鳴らされた隙に、里美は理香子を振り切り、ホテルを飛び出して行く。

ブティック店を開業するという夢をもつヘナ(イ・ウンウ)は、不法残留により、近日中に韓国へ帰るつもりでいる。一方、蕎麦と日本酒の店の開店資金を貯めている恋人のチョンス(ロイ)は、もうしばらく朝鮮料理店で働くつもりでいる。チョンスは、眠っている彼女のバッグを探り、コールガールである彼女の名刺を見つける。日本での最後の出勤日に、ヘナはホテル・アトラスに入室する。ヘナは男の客に目隠しをさせられる。浴槽で体を洗われているうち、ヘナは男がチョンスであることに気づく。泣いて謝るヘナに、チョンスは、自分も女性客から金を受け取って関係をもったと告げる。2人は抱擁を交わし、お互いの嘘を許しあう。ホテルからの帰り道で、チョンスはヘナにプロポーズする。2人は一緒に韓国へ帰ることを決心する。

風俗のスカウトの正也(忍成修吾)は、家出少女の雛子(我妻三輪子)とホテル・アトラスに入室する。雛子の不幸な生い立ちを聞いた正也は、眠りについた彼女をその場に残し、この仕事から足を洗うために組織の元へ向かう。所持金を持たない雛子は、正也が退室したことによって、従業員控え室で正也の帰りを待つ羽目になる。その頃、正也はバッティングセンターで組織員たちから暴行を受けていた。無銭宿泊として従業員たちが警察への通報を検討する中、傷だらけの正也が雛子を迎えに戻ってくる。2人はファストフード店へ行き、山盛りのチキンナゲットを食べるという雛子の夢が叶えられる。

廊下で羞恥プレイを繰り広げているカップルに絡まれた徹は、業を煮やし、非常ベルを押す。客が一斉に部屋から出て来る。徹は今まで心に秘めていた思いをぶちまけて、自転車で夜の街へと走り出す。大通りを走っていた里美は、徹から自転車を譲り受け、感謝の言葉を述べて走り去る。途中で合流した里美と康夫は、街を自転車で駆けつづける。やがて、ビルの電光掲示板が時効成立の0時を指し、それを見た2人は抱き合って喜ぶ。

早朝の神社で、徹は境内の階段に腰掛けていた。そこへ沙耶がやって来るが、徹は振り返りもせずに沙耶を残して立ち去る。ひとり部屋に帰った沙耶は、ギターを爪弾きながら歌ううち、涙をこぼす。

徹は故郷の塩竈市へ向かうバスに乗り込む。そのバスには美優も乗っているが、2人はお互いの存在に気づいていない。バスは高速道路を走って行く。

キャスト

スタッフ

上映

2014年9月7日、第39回トロント国際映画祭「コンテンポラリー・ワールド・シネマ」部門にて上映された[2]。10月6日、第19回釜山国際映画祭「アジア映画の窓」部門にて上映された[3]。11月23日、第15回東京フィルメックスにて特別招待作品として上映された[4]。日本では2015年1月24日に全国公開された[5]

2016年6月、イタリアのタッカー・フィルムの配給で『TOKYO LOVE HOTEL』のタイトルで公開[6]

評価

Variety』のリチャード・カイパースは「いくつかの挿話はいささか感傷的すぎるが、ここには、好奇心をそそる状況に置かれた興味深い人物たちが描かれている」と指摘した[7]。『Twitch Film』のクウェントン・ベレットは「廣木隆一の現代劇に充満する都会的な不安は本作でも見られるが、かわいらしさと過激な性表現をあわせもつ本作は、他の作品よりもはるかに親しみやすく、観客を満足させる」と評した[8]

The Japan Times』のマーク・シリングは「いつもの通り、廣木は女性の主人公との仕事に手腕を発揮している」と述べた[9]。『Film Business Asia』のデレク・エリーは、最も印象的な役者としてイ・ウンウを挙げ、「彼女とロイがお互いに秘密を打ち明ける浴室の場面は、本作で最も感動的である」と述べた[10]

受賞

脚注

  1. ^ 高崎俊夫 (2015年1月20日). “歌舞伎町のラブホテルでの1日を舞台に人々の哀歓を謳う群像劇”. 映画.com. 2015年3月3日閲覧。
  2. ^ 染谷将太×前田敦子「さよなら歌舞伎町」がトロントで世界初披露 廣木隆一監督が歌舞伎町への思い語る”. 映画.com (2014年9月11日). 2014年12月19日閲覧。
  3. ^ 元AKB前田敦子 2度目の釜山映画祭に感激”. 東京スポーツ (2014年10月6日). 2014年12月19日閲覧。
  4. ^ 前田敦子 初めてだった「1カ月、みっちり練習しました」”. Sponichi Annex (2014年11月24日). 2014年12月19日閲覧。
  5. ^ 「さよなら歌舞伎町」前田敦子と染谷将太に聞く AKB48メンバーに一番人気の染谷との共演に…”. マイナビニュース (2015年1月25日). 2015年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年4月13日閲覧。
  6. ^ “染谷将太×前田敦子『さよなら歌舞伎町』、イタリア公開決定!”. シネマトゥデイ. (2016年5月10日). https://www.cinematoday.jp/news/N0082561 2016年5月11日閲覧。 
  7. ^ Kuipers, Richard (2014年10月28日). “Film Review: ‘Kabukicho Love Hotel’”. Variety. 2014年12月19日閲覧。
  8. ^ Bellette, Kwenton (2014年10月13日). “Busan 2014 Review: KABUKICHO LOVE HOTEL, A Raunchy Charmer”. Twitch Film. 2015年9月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年3月3日閲覧。
  9. ^ Schilling, Mark (2015年1月21日). “Sayonara Kabukicho: Life and love in Shinjuku’s red-light district”. The Japan Times. 2015年3月3日閲覧。
  10. ^ Elley, Derek (2014年11月11日). “Kabukicho Love Hotel”. Film Business Asia. 2015年3月3日閲覧。
  11. ^ 染谷将太がニューヨーク・アジア映画祭でライジング・スター賞を受賞!”. シネマトゥデイ (2015年5月22日). 2015年5月22日閲覧。
  12. ^ 綾瀬はるかや広瀬すずも爆笑!樹木希林の爆笑スピーチ”. Movie Walker (2016年2月7日). 2016年2月8日閲覧。
  13. ^ “「バクマン。」が日本映画プロフェッショナル大賞でベストワン&作品賞”. 映画ナタリー. (2016年3月25日). https://natalie.mu/eiga/news/180925 2016年3月25日閲覧。 

外部リンク