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[[ファイル:Shirouma dai sekkei from Mount Shakushi.JPG|thumb|260px|right|'''万年雪'''が形成する[[雪渓]](8月初旬の[[白馬大雪渓]])]] |
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'''万年雪'''(まんねんゆき、firn、'''フィルン''')とは、[[平年値|平年]]の[[気象]]条件下で、[[積雪]]が越年するもの。主に[[標高]]の高い[[山岳]]地帯で見受けられる。[[日本]]の[[地形図]]では、9月時点の大きさにより表記される。 |
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[[画像:アンナプルナⅢ、マチャプチャレ1.jpg|thumbnail|260px|8000m級の山々に見られる'''万年雪'''([[ヒマラヤ山脈|ヒマラヤ]]連峰の[[アンナプルナ]]III峰)]] |
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'''万年雪'''(まんねんゆき)、'''フィルン'''({{Lang-de|Firn}})とは、山岳地帯の谷や斜面に夏期になっても局地的に残っている積雪([[雪渓]])がそのまま融けずに越年するもの<ref name="kodama" />。多年性雪渓ともいう<ref name="kodama" />。 |
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== 概要 == |
== 概要 == |
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山岳地帯の谷や斜面には主に地形的な要因から夏期になっても局地的に積雪が残る雪渓がみられ、残雪が融けないまま越年するものを多年性雪渓または万年雪と呼んでいる<ref name="kodama">[http://www.metsoc-hokkaido.jp/saihyo/pdf/saihyo38/saihyo38-116.pdf 兒玉裕二「大雪山の雪渓について」細氷38号(1992)] 北海道青少年科学館、2022年3月1日閲覧。</ref>。ただし「万年雪」と呼ばれているものの多年性雪渓(万年雪)は永続的に存在しているわけではなく長くても数十年である<ref name="kodama" />。 |
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万年雪は、見かけ上溶けることなく存在しているように見えるが、[[気温]]が上昇する夏場には積雪表面付近はもとより地表付近からも、かなりの[[融解]]が生じる。このため、積雪部分は数年単位という短い期間で[[新陳代謝]]が行われ、巨大化したり下方へ移動する事象はほとんど見受けられない。 |
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雪渓と[[氷河]]の異なる点は雪渓は顕著な流動現象を示さない点にある<ref name="kodama" />。ただし、雪渓にも氷河と同様に下部に流動する氷体をもつ場合があることが知られている<ref name="kodama" />。従来、日本には万年雪はあるものの[[氷河]]は存在しないと考えられていたが、2012年以降、飛騨山脈のいくつかの雪渓で氷体が流動していることが確認され氷河と認定された。 |
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== 氷河との差違 == |
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[[氷河]]の場合、新陳代謝が何万年という単位で行われること、また氷塊として移動することなどの特徴がある。 |
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[[日本]]の[[地形図]]では、面積が最小になる9月時点の大きさにより表記される。 |
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== 地球温暖化による影響 == |
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氷河と同様、[[地球温暖化]]による縮小、消失が進んでいる場所が多い<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.fujisan-net.jp/post_detail/2001583|title=縮小する富士山の永久凍土|website=富士山Net|date=2002-10-11|access-date=2023年6月20日}}</ref>。特に、真夏の気温が0℃近くまで上がる場所では、わずかな気温上昇でも致命的な融解を招く恐れがある。一般に、万年雪は岩石などに比べて色が白いので、[[アルベド]]([[太陽放射]]の反射率)が高く、周囲の気温を下げる効果がある。しかし一旦、縮小してしまうと、地表がむき出しになることによってアルベドが低くなり、周囲の気温が押し上げられて、更に融解が促進されるという悪循環(正の[[フィードバック]])に陥ることも懸念されている。 |
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またこれも氷河と同様、万年雪は夏の間、解けることによって、それよりも低い場所に水を供給している。しかし、万年雪がなくなるとそれがなくなるので、周辺の[[生態系]]に悪影響を及ぼしたり、[[水資源]]の減少を招く恐れもある。 |
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[[画像:Crater of Mount Fuji & Kengamine.jpg|thumbnail|260px|富士山[[火口]]と火口内の万年雪(8月下旬)]] |
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* [[飛騨山脈]] - [[立山連峰]]・[[後立山連峰]]には、小規模な[[氷河]]が現存する。 |
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* [[大山 (鳥取県)]] |
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== 関連項目 == |
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2024年2月29日 (木) 16:04時点における最新版
万年雪(まんねんゆき)、フィルン(ドイツ語: Firn)とは、山岳地帯の谷や斜面に夏期になっても局地的に残っている積雪(雪渓)がそのまま融けずに越年するもの[1]。多年性雪渓ともいう[1]。
概要[編集]
山岳地帯の谷や斜面には主に地形的な要因から夏期になっても局地的に積雪が残る雪渓がみられ、残雪が融けないまま越年するものを多年性雪渓または万年雪と呼んでいる[1]。ただし「万年雪」と呼ばれているものの多年性雪渓(万年雪)は永続的に存在しているわけではなく長くても数十年である[1]。
雪渓と氷河の異なる点は雪渓は顕著な流動現象を示さない点にある[1]。ただし、雪渓にも氷河と同様に下部に流動する氷体をもつ場合があることが知られている[1]。従来、日本には万年雪はあるものの氷河は存在しないと考えられていたが、2012年以降、飛騨山脈のいくつかの雪渓で氷体が流動していることが確認され氷河と認定された。
日本の地形図では、面積が最小になる9月時点の大きさにより表記される。
地球温暖化による影響[編集]
氷河と同様、地球温暖化による縮小、消失が進んでいる場所が多い[2]。特に、真夏の気温が0℃近くまで上がる場所では、わずかな気温上昇でも致命的な融解を招く恐れがある。一般に、万年雪は岩石などに比べて色が白いので、アルベド(太陽放射の反射率)が高く、周囲の気温を下げる効果がある。しかし一旦、縮小してしまうと、地表がむき出しになることによってアルベドが低くなり、周囲の気温が押し上げられて、更に融解が促進されるという悪循環(正のフィードバック)に陥ることも懸念されている。
またこれも氷河と同様、万年雪は夏の間、解けることによって、それよりも低い場所に水を供給している。しかし、万年雪がなくなるとそれがなくなるので、周辺の生態系に悪影響を及ぼしたり、水資源の減少を招く恐れもある。
万年雪がある日本の山の例[編集]
出典[編集]
- ^ a b c d e f 兒玉裕二「大雪山の雪渓について」細氷38号(1992) 北海道青少年科学館、2022年3月1日閲覧。
- ^ “縮小する富士山の永久凍土”. 富士山Net (2002年10月11日). 2023年6月20日閲覧。