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「グアンタナモ湾収容キャンプ」の版間の差分

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[[ファイル:Camp x-ray detainees.jpg|right|thumb|250px|エックスレイ・キャンプに到着間際の収監者たち。2002年1月11日。]]
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[[ファイル:Guantanamo Bay David Hicks Cell, Reading Room Inset.jpg|right|thumb|250px|[[:en:David_Hicks|David Hicks]]が収監されていた独房。左上は読書室と言う名前の部屋(ただし本は存在しない)。[[2006年]]11月。]]
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[[ファイル:Bound,_hooded_captives,_being_flown_to_Guantanamo.png|thumb|250px|飛行機でグァンタナモ基地へ輸送されている途中の収監者たち。]]
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[[ファイル:Guantanamo detention camp Guard Tower Septembe 12 2007.jpg|thumb|250px|監視塔]]
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'''グアンタナモ湾収容キャンプ'''('''Guantanamo Bay detention camp''', Guantánamo, G-Bay, Gitmo, GTMO)は、[[キューバ]]の[[グアンタナモ湾]]の[[グァンタナモ米軍基地]]に設置されている[[アメリカ南方軍]][[グアンタナモ共同機動部隊]]運営の[[収容キャンプ]]。 [[2002年]]に[[ジョージ・W・ブッシュ]]政権時に設立され[[アフガニスタン紛争 (2001年-)|アフガニスタン紛争]]および[[イラク戦争]]に[[逮捕]]された[[テロリスト]][[被疑者]][[収容]]されている。
'''グアンタナモ湾収容キャンプ'''(グアンタナモわんしゅうようキャンプ、{{lang-en-short|'''Guantanamo Bay detention camp'''}}, Guantánamo, G-Bay, Gitmo, GTMO)は、[[キューバ]]の[[グアンタナモ湾]]の[[グァンタナモ米軍基地]]に設置されている[[アメリカ南方軍]]グアンタナモ共同機動部隊運営の収容キャンプ。 [[2002年]]に[[ジョージ・W・ブッシュ]][[政権]]時に設立され[[アフガニスタン紛争 (2001年-2021年)|アフガニスタン紛争]]および[[イラク戦争]]の過程でアメリカ軍よって[[テロリズム|テロ]]に関与しているか何らかの情報を持っていると疑われて[[強制連行]]ないし[[逮捕]]された数多くの人物が[[収容]][[監禁]][[拘禁]]されているが、[[デュー・プロセス・オブ・ロー|法の適正プロセス]]を規定した[[権利章典 (アメリカ)#修正第5条|アメリカ合衆国憲法修正第5条]]や[[アメリカ合衆国憲法修正第14条|修正第14条]]に違反する違法な[[拘束]]であると批判を受けており、キューバ政府は同基地の返還を求めている。

==施設==
* [[:en:Camp Delta (Guantanamo)|キャンプ・デルタ(Camp Delta)]] -- 2002年4月建設。 キャンプ1−6びキャンプ・エコーをす。
** [[:en:Camp one (Guantanamo)|Camp one]] -- April 2002 -- open air cages, but with plumbing
** [[:en:Camp two (Guantanamo)|Camp two]] -- open air cages, but with plumbing
** [[:en:Camp three (Guantanamo)|Camp three]] -- open air cages, but with plumbing
** [[:en:Camp four (Guantanamo)|Camp four]] -- more pleasant surroundings for the most compliant detainees
** [[:en:Camp five (Guantanamo)|Camp five]] -- permanent facility modeled after a bureau of prison maximum security facility
** [[:en:Camp six (Guantanamo)|Camp six]] -- permanent facility modeled after a bureau of prison maximum security facility
** [[:en:Camp Echo (Guantanamo)|Camp Echo]] -- isolation cells, and cells where detainees are held prior to meeting their lawyers
* [[:en:Camp Iguana (Guantanamo)|キャンプ・イグアナ(Camp Iguana)]] -- 児童の収容(-2004年閉鎖)。2005年に再開。
* [[:en:Camp X-Ray (Guantanamo)|キャンプ・エックスレイ(Camp X-Ray)]] -- 2002年1月-4月。一時的収容、被収容者はキャンプデルタへ移送。


== 施設 ==
* [[:en:Camp Delta (Guantanamo)|キャンプ・デルタ(Camp Delta)]] - 2002年4月建設。 キャンプ1から6およびキャンプ・エコーを総称
** [[:en:Camp one (Guantanamo)|Camp one]] - {{lang|en|April 2002 -- open air cages, but with plumbing}}
** [[:en:Camp two (Guantanamo)|Camp two]] - {{lang|en|open air cages, but with plumbing}}
** [[:en:Camp three (Guantanamo)|Camp three]] - {{lang|en|open air cages, but with plumbing}}
** [[:en:Camp four (Guantanamo)|Camp four]] - {{lang|en|more pleasant surroundings for the most compliant detainees}}
** [[:en:Camp five (Guantanamo)|Camp five]] - {{lang|en|permanent facility modeled after a bureau of prison maximum security facility}}
** [[:en:Camp six (Guantanamo)|Camp six]] - {{lang|en|permanent facility modeled after a bureau of prison maximum security facility}}
** [[:en:Camp Echo (Guantanamo)|Camp Echo]] - {{lang|en|isolation cells, and cells where detainees are held prior to meeting their lawyers}}
* [[:en:Camp Iguana (Guantanamo)|キャンプ・イグアナ(Camp Iguana)]] -- 児童の収容(2004年閉鎖)。2005年に再開。
* [[:en:Camp X-Ray (Guantanamo)|キャンプ・エックスレイ(Camp X-Ray)]] -- 2002年1月から4月。一時的収容、被収容者はキャンプデルタへ移送。
* [[:en:Guantanamo psychiatric ward|Guantanamo psychiatric ward]] -- 2003年3月開設。
* [[:en:Guantanamo psychiatric ward|Guantanamo psychiatric ward]] -- 2003年3月開設。
* [[:en:Strawberry Fields (Guantanamo)|Strawberry Fields]] -- [[CIA]]により運営
* [[:en:Strawberry Fields (Guantanamo)|Strawberry Fields]] -- [[CIA]]により運営
* [[:en:Camp Platinum (Guantanamo)|Camp seven]]
* [[:en:Camp Platinum (Guantanamo)|Camp seven]]
* [[:en:Camp No|Camp No]] (Camp seven)
* [[:en:Camp No|Camp No]] ({{lang|en|Camp seven}})

==略史==
*[[1970年代]]以降、[[グアンタナモ湾海軍基地]]は[[キューバ]]び[[ハイチ]]からの[[難民]]居住として使用。
*[[2001年]]、[[アフガニスタン紛争 (2001年-)|アフガニスタン紛争]]による被収容者が到着。
*[[2002年]]、設立。
*[[2002年]]1月11日、最初の20名被収容者を搬送。
*[[2003年]]、[[イラク戦争]]による被収容者搬送。 以来、被収容者は増加、[[パキスタン系イギリス人]](後に釈放)、[[イラク系カナダ人]](後に釈放)、[[イギリス人]]、[[オーストラリア人]]がテロ容疑者または関係者として収容されたが、これらの容疑者はテロリストと見なされれば裁判にかけられるもなく逮捕・長期留されるようであり、“[[犯罪者]]”と“[[捕虜]]”の処遇を使い分ける国連邦政府の都合で無期限に留されるので問題となっていた(捕虜であれば[[ジュネーヴ条約]]を適用する義務があるが犯罪者にその必要はなく、また当地はアメリカではないので合衆国憲法[[権利章典 (アメリカ)|権利章典]]の効力は及ばないなど[[国内法]]、[[国際法]]が適用されないことで有名である。しかしそもそも軍人ではない一般の犯罪者を軍施設に拘禁する事自体違法である)。

*[[2004年]]9月22日、アフガニスタンから10名搬送。
*[[2004年]]11月、米軍は被収容者に対して心理的、時に物理的な強制を加えており、[[拷問]]に等しいとする[[赤十字国際委員会]]の報告書がリーク<ref>[http://jp.reuters.com/article/usPresidentialElections/idJPJAPAN-37012020090317 赤十字報告書、CIAの尋問を「拷問」と記述] ロイター2009年3月17日</ref>、[[2006年]]5月には[[アムネスティ・インターナショナル]]からも「世界の人権状況に関する年次報告書」によって、「[[対テロ戦争]]を口実にした収容所での人権侵害」と告発された。キューバ政府同基地返還求める
*[[2008年]]11月、国大統領に当選した[[バラク・オバマ]]は、同施設の閉鎖を支持しており連邦裁判所は一部の収容者の釈放を命令している(この時点の収容者は約250人)。
*[[2009年]][[1月22日]]、[[バラク・オバマ]]は対テロ特別軍事裁判所の運用停止と1年以内の収容所閉鎖を命令
*2009年同年11月にはオバマ政権の法律顧問で就任1年以内の閉鎖を強く支持しているとされた[[グレッグ・クレイグ]]が解任<ref>{{cite web|url=http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/11/13/AR2009111300071.html |title=White House counsel poised to give up post |publisher=[[ワシントン・ポスト]] |date=2009-11-13 |accessdate=2010-02-04}}</ref><ref>[http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200911130020.html オバマ大統領の法律担当顧問を「解任」へ、グアンタナモ問題で] CNN.co.jp [[2009年]][[11月14日]]</ref>。
*[[2010年]]9月、バラク・オバマ大統領は「引き続き収容所の早期閉鎖」を目指すと発表。
*2010年12月、[[クラッパー]][[国家情報長官]]が[[グアンタナモ空軍基地]]からの釈放者の最大25%がテロ活動に復帰していると発表。その際の報道によれば、この時点で170人以上がなお収容されている<ref>[http://archive.is/KXI8Q グアンタナモの元収容者、25%がテロ復帰(CNN.News.2010.12.08)2010年12月10日閲覧]</ref>。
*[[2013年]]4月11日(アメリカ時間)、収容所の即時閉鎖を求めるデモや集会がアメリカ各地で行われ、25の人権団体から連名でオバマ大統領宛に書簡が送られた。収容所では2月から収容者がハンガーストライキを行っている。
*2016年9月、アメリカ国家情報長官室は報告書を発表し、2009年1月以降に釈放された収容者161人のうちが9人がテロ支援活動に復帰し、11人が復帰した可能性があるとした<ref>{{cite web|url=http://www.cnn.co.jp/usa/35094675.html |title=グアンタナモ収容所の4人をサウジに移送、残り55人に|publisher=CNN.co.jp |date=2017-01-06 |accessdate=2017-01-07}}</ref>。


== 略史 ==
* [[1970年代]]以降、[[グアンタナモ湾海軍基地]]は[[キューバ]]および[[ハイチ]]からの[[難民]]居住として使用。
* [[2001年]]、[[アフガニスタン紛争 (2001年-2021年)|アフガニスタン紛争]]による被収容者が到着。
* [[2002年]]、設立。
* 2002年[[1月11日]]、最初の20名被収容者を搬送。
* [[2003年]]、[[イラク戦争]]による被収容者搬送。以来、被収容者は増加、[[パキスタン]]系イギリス人(後に釈放)、[[イラク]][[カナダ|カナダ人]](後に釈放)、[[イギリス人]]、[[オーストラリア|オーストラリア人]]がテロ容疑者または関係者として収容されたが、これらの容疑者はテロリストと見なされれば[[裁判]]にかけられることもなく[[逮捕]]・長期[[勾]]されるようであり、“[[犯罪者]]”と“[[捕虜]]”の処遇を使い分ける[[アメリカ合衆国連邦政府|アメリカ政府]]の都合で無期限に留されるので問題となっていた(捕虜であれば[[ジュネーヴ条約]]を適用する義務があるが犯罪者にその必要はなく、また当地は[[アメリカ合衆国|アメリカ]]ではないので合衆国憲法[[権利章典 (アメリカ)|権利章典]]の効力は及ばないなど[[国内法]]、[[国際法]]が適用されないことで有名である。しかしそもそも軍人ではない一般の犯罪者を軍施設に拘禁する事が人道的に問題がる可能性をはらんでいる)。
* [[2004年]][[9月22日]][[アフガニスタン]]から10名搬送。
* 2004年11月、[[アメリカ軍|米軍]]は被収容者に対して心理的、時に物理的な強制を加えており、[[拷問]]に等しいとする[[赤十字国際委員会]]の報告書がリーク<ref>[http://jp.reuters.com/article/usPresidentialElections/idJPJAPAN-37012020090317 赤十字報告書、CIAの尋問を「拷問」と記述] ロイター2009年3月17日</ref>、[[2006年]]5月には[[アムネスティ・インターナショナル]]からも「世界の人権状況に関する年次報告書」によって、「[[対テロ戦争]]を口実にした収容所での[[人権蹂躙|人権侵害]]」と告発された。2008年12月から2009年4月にかけて発表された[[アメリカ合衆国上院軍事委員会]]の報告書によれば、尋問方法[[朝鮮戦争]]時代に[[中華人民共和国|中国]]が米軍捕虜に行った[[洗脳]]取り入れたものであった<ref>{{cite news|url=https://www.nytimes.com/2008/07/02/us/02detain.html |title=China Inspired Interrogations at Guantánamo|publisher=[[ニューヨーク・タイムズ]] |date=2008-07-02 |accessdate=2020-01-04}}</ref><ref>{{cite news |last=Chaddock |first=Gail Russell |url=https://www.csmonitor.com/USA/Politics/2009/0422/report-says-top-officials-set-tone-for-detainee-abuse |title=Report says top officials set tone for detainee abuse |work=[[クリスチャン・サイエンス・モニター]] |date=April 22, 2009 |accessdate=2020-01-04 }}</ref>
* [[2008年]]11月、[[アメリカ合衆国大統領|アメリカ大統領]]に当選した[[バラク・オバマ]]は、同施設の閉鎖を支持しており[[アメリカ合衆国連邦裁判所|アメリカ連邦裁判所]]は一部の収容者の[[保釈|釈放]]を命令している(この時点の収容者は約250人)。
* [[2009年]][[1月22日]]、バラク・オバマは対テロ特別軍事裁判所の運用停止と1年以内の収容所閉鎖を命令([[大統領令13492号]])。
* 2009年11月にはオバマ政権の法律顧問で就任1年以内の閉鎖を強く支持しているとされたグレッグ・クレイグが解任<ref>{{cite web|url=http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/11/13/AR2009111300071.html |title=White House counsel poised to give up post |publisher=[[ワシントン・ポスト]] |date=2009-11-13 |accessdate=2010-02-04}}</ref><ref>[http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200911130020.html オバマ大統領の法律担当顧問を「解任」へ、グアンタナモ問題で] CNN.co.jp [[2009年]][[11月14日]]</ref>。
* [[2010年]]9月、バラク・オバマ大統領は「引き続き収容所の早期閉鎖」を目指すと発表。
* 2010年12月、ジェームズ・クラッパー[[アメリカ合衆国国家情報長官|国家情報長官]]がグアンタナモ空軍基地からの釈放者の最大25%がテロ活動に復帰していると発表。その際の報道によれば、この時点で170人以上がなお収容されている<ref>[https://archive.is/KXI8Q グアンタナモの元収容者、25%がテロ復帰(CNN.News.2010.12.08)2010年12月10日閲覧]</ref>。
* [[2013年]][[4月11日]](アメリカ時間)、収容所の即時閉鎖を求めるデモや集会がアメリカ各地で行われ、25の人権団体から連名でオバマ大統領宛に書簡が送られた。収容所では2月から収容者が[[ハンガーストライキ]]を行っている。
* [[2014年]][[12月7日]]、グアンタナモ湾収容キャンプに収容されている6人を受け入れる方針を示していた[[ウルグアイ]]に、[[アメリカ軍機の一覧|アメリカ軍機]]で輸送されたその6人が到着した<ref name="外務省12"/>。これに関してウルグアイ政府は、「ウルグアイは世界中から[[移民]]を受け入れて成り立ってきた国であり、また[[平和]]のための国際的手段の世界の前衛として、歴史的に多くの[[難民]]などを受け入れてきた。グアンタナモ収容者の受け入れは、このような[[ウルグアイの歴史]]の延長線上にあり、人道的な理由によるものである。ウルグアイ政府は難民申請に応じ、彼らに対し、国際的人権保護の基準を厳密に維持するものである。また、[[米国の対キューバ禁輸措置|兄弟国キューバへの封鎖の解除]]、プエルトリコ独立の闘志で政治的囚人のオスカル・ロペス・リベラ及びキューバ人囚人アントニオ・ゲレロ、ラモン・ラバニーニョ、ヘラルド・エルナンデスの釈放を改めて要求する」という見解を表明した<ref name="外務省12">{{Cite news|url=https://www.uy.emb-japan.go.jp/japones/Info%20Uruguay/naisei%20gaiko/Naisei%20Diciemb%202014.pdf |title=定期報告(ウルグアイ内政・外交:2014年12月) |author=|publisher=[[外務省]]|date=2015-01 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20210810160036/https://www.uy.emb-japan.go.jp/japones/Info%20Uruguay/naisei%20gaiko/Naisei%20Diciemb%202014.pdf |format=PDF |archivedate=2021-08-10}}</ref>。
* [[2016年]]9月、アメリカ国家情報長官室は報告書を発表し、2009年1月以降に釈放された収容者161人のうちが9人がテロ支援活動に復帰し、11人が復帰した可能性があるとした<ref>{{cite web|url=http://www.cnn.co.jp/usa/35094675.html |title=グアンタナモ収容所の4人をサウジに移送、残り55人に|publisher=CNN.co.jp |date=2017-01-06 |accessdate=2017-01-07}}</ref>。
* [[2018年]]段階の収容者は40人。同時多発テロの実行者など大物も含まれるが、大半(40人中26人)は釈放するには危険すぎるとの理由だけで拘束が続けられている<ref>{{Cite web |date= 2018-06-05|url= https://www.afpbb.com/articles/-/3177258?page=3|title= グアンタナモ湾米軍収容所、被収容者の高齢化進む|publisher= AFP|accessdate=2018-06-05}}</ref>。
* [[2021年]][[2月12日]]、[[ジョー・バイデン]]大統領は、記者から「任期中に収容キャンプを閉鎖するのか」との質問を受け、「それを私たちが目指していることは確かだ」と述べた<ref>{{Cite web |date=2021-02-13|url=https://www.afpbb.com/articles/-/3331542?cx_part=top_topstory&cx_position=2 |title=バイデン大統領、任期中にグアンタナモ収容所閉鎖の意向 報道官 |publisher=AFP |accessdate=2021-02-13}}</ref>。
* [[2022年]][[4月2日]]、収容されていた男1人が母国アルジェリアへと移送され、収容者は残り37人となった<ref>{{Cite web |title=グアンタナモ収容者1人移送 残り37人に 米(時事通信) |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/70b8573c9ac4fdbf91310e920e830125b6b9f328 |website=Yahoo!ニュース |accessdate=2022-04-03 |language=ja}}</ref>。
<!-- 米軍としては容疑者の処罰より、「テロ組織壊滅」のための情報収集(自白・密告誘導など)を目的として拘留を行っている。 -->
<!-- 米軍としては容疑者の処罰より、「テロ組織壊滅」のための情報収集(自白・密告誘導など)を目的として拘留を行っている。 -->
<!-- 多方面からの批判を受けたブッシュ政権は2007年に施設閉鎖を検討したことがあるが、移送先の問題などが障害となり断念した。-->
<!-- 多方面からの批判を受けたブッシュ政権は2007年に施設閉鎖を検討したことがあるが、移送先の問題などが障害となり断念した。-->


== 解放された収容者の動向 ==
==関連項目==
2013年にまとめられたアメリカの報告書では、グアンタナモから解放された収容者のうち16.6%が再びテロ活動に戻ったとのデータがある<ref>{{Cite web |url=https://www.cnn.co.jp/usa/35037252.html |title=米グアンタナモ施設から移送の100人、テロ前線に復帰 |publisher=CNN |date=2013-09-15 |accessdate=2021-08-30}}</ref>。2007年に解放されたアブドゥル・カユム・ザキールは、ターリバーンに復帰後に組織内で頭角を現し、2021年の[[カブール陥落 (2021年)|カブール陥落]]で司令官として活動した。反政府組織などで活躍する人物が存在する一方、ロシアや中華人民共和国ではグアンタナモ出身者に少なからず[[中央情報局|CIA]]に取り込まれた人物がいるとの推測もされている<ref>{{Cite web |url=https://web.archive.org/web/20210831211044/https://japanese.joins.com/JArticle/282446?servcode=A00&sectcode=A00 |title=「タリバン核心に米CIA要員存在」…中国で広がる陰謀説 |publisher=中央日報 |date=2021-08-31 |accessdate=2021-08-30}}</ref>。
*[[グアンタナモ、僕達が見た真実]]』[[2007年]]1月公開、収監され拷問を受けた末に関係と判明し釈放されたパキスタン系イギリス人青年3人の体験を素材にする。監督[[マイケル・ウィンターボトム]]
*[[グンタナモ湾海軍基地|グアンタナモ湾海軍基地(Guantanamo Bay Naval Base)]]
*[[アブグレイブ刑務所]]
*[[強制収容所]]


== 脚注 ==
{{Reflist|2}}


==参照==
== 関連項目 ==
* [[グンタナモ軍基地|グアンタナモ湾海軍基地(Guantanamo Bay Naval Base)]]
{{Reflist|2}}
* [[アブグレイブ刑務所]]
* [[強制収容所]]
* [[グアンタナモ、僕達が見た真実]] - 収監され拷問を受けた無実のパキスタン系イギリス人青年3人の体験を素材にした2006年公開の映画
* [[グルジャ事件]] - この事件で無実のウイグル人がグアンタナモに収監された。
* [[モーリタニアン 黒塗りの記録]] - 14年間に渡り収監されたものの、1件も起訴されずに釈放された[[:en:Mohamedou Ould Slahi|モーリタニア人青年]]を題材にした2021年公開の映画。


==外部リンク==
== 外部リンク ==
{{Wikisource|Detention, Treatment, and Trial of Certain Non-Citizens in the War Against Terrorism}}
{{Wikisource|Detention, Treatment, and Trial of Certain Non-Citizens in the War Against Terrorism}}
{{Wikisource|Statement of Alberto J Mora on interrogation abuse, 7 July 2004}}
{{Wikisource|Statement of Alberto J Mora on interrogation abuse, 7 July 2004}}
72行目: 77行目:
*[http://thepoliticus.com/content/evolution-guantanamo-bay The Evolution of Guantanamo Bay] by William L. Pfeifer, Jr.
*[http://thepoliticus.com/content/evolution-guantanamo-bay The Evolution of Guantanamo Bay] by William L. Pfeifer, Jr.
*[http://law.shu.edu/ProgramsCenters/PublicIntGovServ/policyresearch/upload/gtmo_death_camp_delta.pdf Death in Camp Delta]
*[http://law.shu.edu/ProgramsCenters/PublicIntGovServ/policyresearch/upload/gtmo_death_camp_delta.pdf Death in Camp Delta]
*[http://www.glin.gov/view.action?glinID=215877 Summary and Full Text of Executive Order 13492 from the [[Global Legal Information Network]]]
*[http://www.glin.gov/view.action?glinID=215877 Summary and Full Text of Executive Order 13492 from the [[Global Legal Information Network]]][[Global Legal Information Network]][[Global Legal Information Network]][[Global Legal Information Network]][[Global Legal Information Network]]
*Human Rights First; [http://www.humanrightsfirst.info/pdf/USLS-080409-arbitrary-justice-report.pdf Arbitrary Justice: Trial of Guantánamo and Bagram Detainees in Afghanistan]
*Human Rights First; [http://www.humanrightsfirst.info/pdf/USLS-080409-arbitrary-justice-report.pdf Arbitrary Justice: Trial of Guantánamo and Bagram Detainees in Afghanistan]
*Human Rights First; [http://www.humanrightsfirst.info/pdf/USLS-Fact-Sheet-Gitmo-Numbers.pdf Guantánamo by the Numbers (2010)]
*Human Rights First; [http://www.humanrightsfirst.info/pdf/USLS-Fact-Sheet-Gitmo-Numbers.pdf Guantánamo by the Numbers (2010)]


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[[Category:アメリカ合衆国のスキャンダル]]
[[Category:アメリカ合衆国のスキャンダル]]

2024年3月15日 (金) 12:45時点における最新版

エックスレイ・キャンプに到着間際の収監者たち。2002年1月11日。
David Hicks収監されていた独房。左上は読書室と言う名前の部屋(ただし本は存在しない)。2006年11月。
飛行機でグァンタナモ基地へ輸送されている途中の収監者たち。
監視塔

グアンタナモ湾収容キャンプ(グアンタナモわんしゅうようキャンプ、: Guantanamo Bay detention camp, Guantánamo, G-Bay, Gitmo, GTMO)は、キューバグアンタナモ湾グァンタナモ米軍基地に設置されているアメリカ南方軍グアンタナモ共同機動部隊運営の収容キャンプ。 2002年ジョージ・W・ブッシュ政権時に設立されアフガニスタン紛争およびイラク戦争の過程でアメリカ軍によってテロに関与しているか何らかの情報を持っていると疑われて強制連行ないし逮捕された数多くの人物が収容監禁拘禁されているが、法の適正プロセスを規定したアメリカ合衆国憲法修正第5条修正第14条に違反する違法な拘束であると批判を受けており、キューバ政府は同基地の返還を求めている。

施設[編集]

略史[編集]

  • 1970年代以降、グアンタナモ湾海軍基地キューバおよびハイチからの難民居住として使用。
  • 2001年アフガニスタン紛争による被収容者が到着。
  • 2002年、設立。
  • 2002年1月11日、最初の20名の被収容者を搬送。
  • 2003年イラク戦争による被収容者を搬送。以来、被収容者は増加、パキスタン系イギリス人(後に釈放)、イラクカナダ人(後に釈放)、イギリス人オーストラリア人がテロ容疑者または関係者として収容されたが、これらの容疑者はテロリストと見なされれば裁判にかけられることもなく逮捕・長期勾留されるようであり、“犯罪者”と“捕虜”の処遇を使い分けるアメリカ政府の都合で無期限に勾留されるので問題となっていた(捕虜であればジュネーヴ条約を適用する義務があるが犯罪者にその必要はなく、また当地はアメリカではないので合衆国憲法権利章典の効力は及ばないなど国内法国際法が適用されないことで有名である。しかしそもそも軍人ではない一般の犯罪者を、軍施設に拘禁する事が人道的に問題がある可能性をはらんでいる)。
  • 2004年9月22日アフガニスタンから10名を搬送。
  • 2004年11月、米軍は被収容者に対して心理的、時に物理的な強制を加えており、拷問に等しいとする赤十字国際委員会の報告書がリーク[1]2006年5月にはアムネスティ・インターナショナルからも「世界の人権状況に関する年次報告書」によって、「対テロ戦争を口実にした収容所での人権侵害」と告発された。2008年12月から2009年4月にかけて発表されたアメリカ合衆国上院軍事委員会の報告書によれば、尋問方法は朝鮮戦争時代に中国が米軍の捕虜に行った洗脳を取り入れたものであった[2][3]
  • 2008年11月、アメリカ大統領に当選したバラク・オバマは、同施設の閉鎖を支持しておりアメリカ連邦裁判所は一部の収容者の釈放を命令している(この時点の収容者は約250人)。
  • 2009年1月22日、バラク・オバマは対テロ特別軍事裁判所の運用停止と1年以内の収容所閉鎖を命令(大統領令13492号)。
  • 2009年11月にはオバマ政権の法律顧問で就任1年以内の閉鎖を強く支持しているとされたグレッグ・クレイグが解任[4][5]
  • 2010年9月、バラク・オバマ大統領は「引き続き収容所の早期閉鎖」を目指すと発表。
  • 2010年12月、ジェームズ・クラッパー国家情報長官がグアンタナモ空軍基地からの釈放者の最大25%がテロ活動に復帰していると発表。その際の報道によれば、この時点で170人以上がなお収容されている[6]
  • 2013年4月11日(アメリカ時間)、収容所の即時閉鎖を求めるデモや集会がアメリカ各地で行われ、25の人権団体から連名でオバマ大統領宛に書簡が送られた。収容所では2月から収容者がハンガーストライキを行っている。
  • 2014年12月7日、グアンタナモ湾収容キャンプに収容されている6人を受け入れる方針を示していたウルグアイに、アメリカ軍機で輸送されたその6人が到着した[7]。これに関してウルグアイ政府は、「ウルグアイは世界中から移民を受け入れて成り立ってきた国であり、また平和のための国際的手段の世界の前衛として、歴史的に多くの難民などを受け入れてきた。グアンタナモ収容者の受け入れは、このようなウルグアイの歴史の延長線上にあり、人道的な理由によるものである。ウルグアイ政府は難民申請に応じ、彼らに対し、国際的人権保護の基準を厳密に維持するものである。また、兄弟国キューバへの封鎖の解除、プエルトリコ独立の闘志で政治的囚人のオスカル・ロペス・リベラ及びキューバ人囚人アントニオ・ゲレロ、ラモン・ラバニーニョ、ヘラルド・エルナンデスの釈放を改めて要求する」という見解を表明した[7]
  • 2016年9月、アメリカ国家情報長官室は報告書を発表し、2009年1月以降に釈放された収容者161人のうちが9人がテロ支援活動に復帰し、11人が復帰した可能性があるとした[8]
  • 2018年段階の収容者は40人。同時多発テロの実行者など大物も含まれるが、大半(40人中26人)は釈放するには危険すぎるとの理由だけで拘束が続けられている[9]
  • 2021年2月12日ジョー・バイデン大統領は、記者から「任期中に収容キャンプを閉鎖するのか」との質問を受け、「それを私たちが目指していることは確かだ」と述べた[10]
  • 2022年4月2日、収容されていた男1人が母国アルジェリアへと移送され、収容者は残り37人となった[11]

解放された収容者の動向[編集]

2013年にまとめられたアメリカの報告書では、グアンタナモから解放された収容者のうち16.6%が再びテロ活動に戻ったとのデータがある[12]。2007年に解放されたアブドゥル・カユム・ザキールは、ターリバーンに復帰後に組織内で頭角を現し、2021年のカブール陥落で司令官として活動した。反政府組織などで活躍する人物が存在する一方、ロシアや中華人民共和国ではグアンタナモ出身者に少なからずCIAに取り込まれた人物がいるとの推測もされている[13]

脚注[編集]

  1. ^ 赤十字報告書、CIAの尋問を「拷問」と記述 ロイター2009年3月17日
  2. ^ “China Inspired Interrogations at Guantánamo”. ニューヨーク・タイムズ. (2008年7月2日). https://www.nytimes.com/2008/07/02/us/02detain.html 2020年1月4日閲覧。 
  3. ^ Chaddock, Gail Russell (2009年4月22日). “Report says top officials set tone for detainee abuse”. クリスチャン・サイエンス・モニター. https://www.csmonitor.com/USA/Politics/2009/0422/report-says-top-officials-set-tone-for-detainee-abuse 2020年1月4日閲覧。 
  4. ^ White House counsel poised to give up post”. ワシントン・ポスト (2009年11月13日). 2010年2月4日閲覧。
  5. ^ オバマ大統領の法律担当顧問を「解任」へ、グアンタナモ問題で CNN.co.jp 2009年11月14日
  6. ^ グアンタナモの元収容者、25%がテロ復帰(CNN.News.2010.12.08)2010年12月10日閲覧
  7. ^ a b “定期報告(ウルグアイ内政・外交:2014年12月)” (PDF). 外務省. (2015年1月). オリジナルの2021年8月10日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210810160036/https://www.uy.emb-japan.go.jp/japones/Info%20Uruguay/naisei%20gaiko/Naisei%20Diciemb%202014.pdf 
  8. ^ グアンタナモ収容所の4人をサウジに移送、残り55人に”. CNN.co.jp (2017年1月6日). 2017年1月7日閲覧。
  9. ^ グアンタナモ湾米軍収容所、被収容者の高齢化進む”. AFP (2018年6月5日). 2018年6月5日閲覧。
  10. ^ バイデン大統領、任期中にグアンタナモ収容所閉鎖の意向 報道官”. AFP (2021年2月13日). 2021年2月13日閲覧。
  11. ^ グアンタナモ収容者1人移送 残り37人に 米(時事通信)”. Yahoo!ニュース. 2022年4月3日閲覧。
  12. ^ 米グアンタナモ施設から移送の100人、テロ前線に復帰”. CNN (2013年9月15日). 2021年8月30日閲覧。
  13. ^ 「タリバン核心に米CIA要員存在」…中国で広がる陰謀説”. 中央日報 (2021年8月31日). 2021年8月30日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

座標: 北緯19度54分8秒 西経75度5分56秒 / 北緯19.90222度 西経75.09889度 / 19.90222; -75.09889