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{{複数の問題
ユーハバビーンのエディタブロッキング
|出典の明記 = 2012年8月
|独自研究 = 2015年7月
|特筆性 = 2015年7月 | 分野 = 特筆性
}}
'''幹線'''(かんせん)とは、[[電力網]]・配電網・電気通信網([[電話網]]など)・交通網([[道路]]網・[[鉄道]]網・航空網など)で、主要地点間を結び網の骨格をなす重要路線。

== 配電網における幹線 ==
屋内配電網における電力幹線設備とは、一般的に受変電設備の配電盤(端子ではその2次側端子)から負荷設備の電灯分電盤や動力制御盤(端子ではその1次側端子)までをいう<ref name="kitamura">{{Cite journal|和書|url=https://doi.org/10.14936/ieiej.39.240 |title=幹線設備の計画と設計 |author=北村健司 |journal=電気設備学会誌 |year=2019 |volume=39 |issue=5 |pages=240-243 |doi=10.14936/ieiej.39.240}}</ref>。

幹線方式には、電灯盤や動力盤ごとに専用の幹線で供給する方式(幹線の本数が多くなり経済的には不利だが、幹線事故が生じたときに他の幹線への波及が少ない)と電灯盤や動力盤に同一系統の大容量幹線で供給する方式(遮断機容量が大きくなるが、幹線が少なくなり経済性や施工性では有利)がある<ref name="kitamura" />。

幹線系統は、一般系(一般建物負荷)、防災系(火災時に供給する負荷)、保安系([[停電]]時に電源供給が必要な負荷)、重要・最重要系([[サーバ|サーバー]]等の重要負荷)などに分けられる<ref name="kitamura" />。

幹線設備(幹線サイズ)の材料を選定する際には、使用する負荷容量に応じた許容電流、電圧降下(配線の[[リアクタンス]]、[[表皮効果]]、負荷力率等)、配線保護等を考慮して決定される<ref name="kitamura" />。

=== 日本 ===
日本では低圧幹線は、[[単相2線式]](100Vまたは200V)、[[単相3線式]](200/100V)、[[三相3線式]](200Vまたは400V)、直流2線式(100V)に分けられる<ref name="kitamura" />。

=== インドネシア ===
インドネシアでは[[三相4線式]](380V/220V)が一般的で、幹線はNYYやNYMケーブル(PVC二重被覆ケーブル)が多かったが、許容電流が大きいXLPE/PVCケーブルが徐々に普及してきている<ref name="kamachi">{{Cite journal|和書|url=https://doi.org/10.14936/ieiej.28.201 |title=海外の電気設備の現状 |author=蒲池真 |journal=電気設備学会誌 |year=2008 |volume=28 |issue=3 |pages=201-205 |doi=10.14936/ieiej.28.201}}。</ref>。

=== フィリピン ===
フィリピンでは三相3線式(220V)が一般的で、幹線は耐熱IV電線に該当するTHHN(90℃耐熱)やTHW(75℃耐熱)の電線が普及している<ref name="kamachi" />。


== 交通網における幹線 ==
== 交通網における幹線 ==
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=== 道路網における幹線 ===
=== 道路網における幹線 ===
道路は主要幹線道路、幹線道路、補助幹線道路、区画道路などに分類される<ref name="gendai28">{{Cite book |和書 |author= 谷口栄一 |year= 2005 |title= 現代の新都市物流 |publisher= 森北出版 |page=28 }}</ref>。これを道路の階層化という<ref name="gendai28" />。
道路は主要幹線道路、幹線道路、補助幹線道路、区画道路などに分類される<ref name="gendai28">{{Cite book |和書 |author= 谷口栄一 |year= 2005 |title= 現代の新都市物流 |publisher= 森北出版 |page=28 |ISBN=4627495811}}</ref>。これを道路の階層化という<ref name="gendai28" />。


社会基盤の整備においては、商業施設・業務施設は幹線道路に隣接して立地し、大型の車両は環境対策を施した幹線道路を通行することが望ましい<ref>{{Cite book |和書 |author= 谷口栄一 |year= 2005 |title= 現代の新都市物流 |publisher= 森北出版 |page=48 }}</ref>。道路の階層化が不十分なままだと大型貨物車が補助幹線道路などの下位階層の道路を走行することになり環境や安全の面で問題を引き起こすことがある<ref name="gendai28" />。
社会基盤の整備においては、商業施設・業務施設は幹線道路に隣接して立地し、大型の車両は環境対策を施した幹線道路を通行することが望ましい<ref>{{Cite book |和書 |author= 谷口栄一 |year= 2005 |title= 現代の新都市物流 |publisher= 森北出版 |page=48 }}</ref>。道路の階層化が不十分なままだと大型貨物車が補助幹線道路などの下位階層の道路を走行することになり環境や安全の面で問題を引き起こすことがある<ref name="gendai28" />。
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日本では[[日本国有鉄道|国鉄]]末期の1981年、「日本国有鉄道経営再建促進特別措置法」(国鉄再建法)に基づいて国鉄の路線は'''幹線'''と[[地方交通線]]とに分類され、異なる運賃を適用することになった。それまでは、大都市近郊などの一部を除く全国すべての路線で同一の運賃体系を使用していた。その分類は[[JR]]にも引き継がれている。一般的な[[時刻表]]の索引地図では、幹線は黒の太線で表される。なお、路線名として○○本線と名乗っていても、地方交通線に分類された路線もある。
日本では[[日本国有鉄道|国鉄]]末期の1981年、「日本国有鉄道経営再建促進特別措置法」(国鉄再建法)に基づいて国鉄の路線は'''幹線'''と[[地方交通線]]とに分類され、異なる運賃を適用することになった。それまでは、大都市近郊などの一部を除く全国すべての路線で同一の運賃体系を使用していた。その分類は[[JR]]にも引き継がれている。一般的な[[時刻表]]の索引地図では、幹線は黒の太線で表される。なお、路線名として○○本線と名乗っていても、地方交通線に分類された路線もある。


幹線・地方交通線の区分は1977 - 1979年度の平均輸送実績によって線名単位で機械的に決められた。幹線となる基準は、次のように規定されている<ref>施行令第1条(幹線鉄道網を形成する営業線に関する基準) 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(以下「法」という。)第8条(地方交通線の選定等)</ref>。
幹線・地方交通線の区分は1977 - 1979年度の平均輸送実績によって線名単位で機械的に決められた。幹線となる基準は、次のように規定されている<ref>施行令第1条(幹線鉄道網を形成する営業線に関する基準) 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(以下「法」という。)第8条(地方交通線の選定等)</ref>。
# その路線のうちに、(イ)[[1980年]]3月31日時点で人口10万人以上の都市(主要都市)を相互に連絡し、(ロ)旅客営業キロが30kmを超え、(ハ)全ての隣接駅間で旅客輸送密度(1日1kmあたりの輸送人員)が4,000人以上である区間を有する線。35線([[函館本線]]、[[千歳線]]、[[室蘭本線]]、[[東北本線]]、[[常磐線]]、[[奥羽本線]]、[[羽越本線]]、[[磐越西線]]、[[仙石線]]、[[仙山線]]、[[上越線]]、[[信越本線]]、[[高崎線]]、[[両毛線]]、[[総武本線]]、[[内房線]]、[[東海道本線]]、[[南武線]]、[[武蔵野線]]、[[横浜線]]、[[相模線]]、[[御殿場線]]、[[中央本線]]、[[篠ノ井線]]、[[北陸本線]]、[[関西本線]]、[[阪和線]]、[[山陽本線]]、[[伯備線]]、[[山陰本線]]、[[予讃線|予讃本線]]、[[高徳線|高徳本線]]、[[鹿児島本線]]、[[長崎本線]]、[[日豊本線]])
# その路線のうちに、(イ)[[1980年]]3月31日時点で人口10万人以上の都市(主要都市)を相互に連絡し、(ロ)旅客営業キロが30kmを超え、(ハ)全ての隣接駅間で旅客輸送密度(1日1kmあたりの輸送人員)が4,000人以上である区間を有する線。35線([[函館本線]]、[[千歳線]]、[[室蘭本線]]、[[東北本線]]、[[常磐線]]、[[奥羽本線]]、[[羽越本線]]、[[磐越西線]]、[[仙石線]]、[[仙山線]]、[[上越線]]、[[信越本線]]、[[高崎線]]、[[両毛線]]、[[総武本線]]、[[内房線]]、[[東海道本線]]、[[南武線]]、[[武蔵野線]]、[[横浜線]]、[[相模線]]、[[御殿場線]]、[[中央本線]]、[[篠ノ井線]]、[[北陸本線]]、[[関西本線]]、[[阪和線]]、[[山陽本線]]、[[伯備線]]、[[山陰本線]]、[[予讃線]]、[[高徳線]]、[[鹿児島本線]]、[[長崎本線]]、[[日豊本線]])
# その路線のうちに、1.の条件にあてはまる営業線と主要都市を連絡し(ロ)と(ハ)の条件を満たす区間を有する線。9線([[根室本線]]、[[水戸線]]、[[湖西線]]、[[奈良線]]、[[紀勢本線]]、[[福知山線]]、[[呉線]]、[[土讃線|土讃本線]]、[[佐世保線]])
# その路線のうちに、1.の条件にあてはまる営業線と主要都市を連絡し(ロ)と(ハ)の条件を満たす区間を有する線。9線([[根室本線]]、[[水戸線]]、[[湖西線]]、[[奈良線]]、[[紀勢本線]]、[[福知山線]]、[[呉線]]、[[土讃線]]、[[佐世保線]])
# 貨物輸送密度が4,000t以上である線。7線([[石勝線|夕張線]]、[[白新線]]、[[山手線]]、[[青梅線]]、[[宇野線]]、[[宇部線]]、[[美祢線]])
# 貨物輸送密度が4,000t以上である線。7線([[石勝線]]、[[白新線]]、[[山手線]]、[[青梅線]]、[[宇野線]]、[[宇部線]]、[[美祢線]])


上記の条件を満たす路線を'''幹線鉄道網'''と呼び、上記の条件に満たないが、輸送密度8,000人以上の線(15線。[[赤羽線]]、[[五日市線]]、[[鶴見線]]、[[根岸線]]、[[横須賀線]]、[[川越線]]、[[外房線]]、[[成田線]]、[[伊東線]]、[[草津線]]、[[大阪環状線]]、[[桜島線]]、[[片町線]]、[[篠栗線]]、[[筑肥線]])を加えて'''幹線系線区'''と呼んだ<ref>鉄道ジャーナル1989年10月号NO.276</ref>。
上記の条件を満たす路線を'''幹線鉄道網'''と呼び、上記の条件に満たないが、輸送密度8,000人以上の線(15線。[[赤羽線]]、[[五日市線]]、[[鶴見線]]、[[根岸線]]、[[横須賀線]]、[[川越線]]、[[外房線]]、[[成田線]]、[[伊東線]]、[[草津線]]、[[大阪環状線]]、[[桜島線]]、[[片町線]]、[[篠栗線]]、[[筑肥線]])を加えて'''幹線系線区'''と呼んだ<ref>[[鉄道ジャーナル]]1989年10月号NO.276</ref>。


JR移行後に開業した路線については、利益予測を元にその路線を管轄するJRが幹線・地方交通線の別を決定している。
JR移行後に開業した路線については、利益予測を元にその路線を管轄するJRが幹線・地方交通線の別を決定している。


[[富山県]]、[[石川県]]では、[[2015年]]、[[2024年]]の北陸新幹線開業に伴い北陸本線の県内区間は全て[[あいの風とやま鉄道線]]、[[IRいしかわ鉄道線]]に転換されたためJR在来線は地方交通線のみとなっており元々JR線の存在しない沖縄県を除いた46[[都道府県]]で幹線が存在しない都道府県となった。なお、[[福井県]]も[[2024年]]春に北陸新幹線の敦賀延伸に伴い北陸本線の大聖寺駅-敦賀駅間が[[第三セクター]]である[[ハピラインふくい]]に移管されたため、幹線は[[敦賀駅]]~[[深坂トンネル]]の間のみとなった。
一部でも条件を満たす区間を有する路線は一括して幹線と定められた。このため、幹線とされた路線の中にも区間によっては[[ローカル線]]のようになっている所がある。例えば、[[関西本線]]は実質的には名古屋 - 亀山間、亀山 - 加茂間、加茂 - JR難波(旧・湊町)の3区間に分かれて運行されており、そのうち亀山 - 加茂間は非電化かつ単線の閑散区間となっている。また、1981年から改訂されていないため、状勢の変化により実態と合わなくなった路線も多い。例えば、[[美祢線]]は[[石灰石]]などの貨物輸送が多かったため幹線に指定され、その後2013年度をもって貨物輸送は廃止されたが、依然幹線のままである。

一方で、JR移行後、[[函館本線]][[上砂川支線]]<ref>この区間に限れば輸送実績は特定地方交通線の歌志内線をも下回っていた。</ref>のように幹線の[[支線]]で廃止された路線もある。幹線の本線部であっても、[[整備新幹線]]の敷設に伴って、廃止や[[第三セクター鉄道]]化された区間もある(詳しくは[[整備新幹線#並行在来線問題]])。いわば、文字通りの新しい幹線の登場によって幹線の地位から転落した事例である。


=== 幹線空港 ===
=== 幹線空港 ===
日本の国内[[航空]]では、[[東京都区部|東京]]地区(都市コードTYO:[[東京国際空港]](羽田)、[[成田国際空港]])、[[大阪市|大阪]]地区(都市コードOSA:[[大阪国際空港]](伊丹)、[[関西国際空港]])、[[札幌都市圏|札幌]]地区(都市コードSPK:[[新千歳空港]])、[[福岡都市圏|福岡]]地区(都市コードFUK:[[福岡空港]])、[[那覇市|沖縄]]地区(都市コードOKA:[[那覇空港]])を'''幹線空港'''と呼び、幹線空港同士を結ぶ路線を'''幹線'''と呼ぶ。
日本の国内[[航空]]では、[[東京都区部|東京]]地区(都市コードTYO:[[東京国際空港]](羽田)、[[成田国際空港]])、[[大阪市|大阪]]地区(都市コードOSA:[[大阪国際空港]](伊丹)、[[関西国際空港]])、[[札幌都市圏|札幌]]地区(都市コードSPK:[[新千歳空港]])、[[福岡都市圏|福岡]]地区(都市コードFUK:[[福岡空港]])、[[那覇市|沖縄]]地区(都市コードOKA:[[那覇空港]])を'''幹線空港'''と呼び、幹線空港同士を結ぶ路線を'''幹線'''と呼ぶ。


=== 路線バスにおける幹線 ===
東京地区([[首都圏 (日本)|首都圏]])に位置する[[調布飛行場]]と[[百里飛行場|茨城空港]]、大阪地区に位置する[[神戸空港]]、札幌地区に位置する[[札幌飛行場|丘珠空港]]、福岡空港と運賃計算上で同一空港と扱われる場合がある[[北九州空港]]と[[佐賀空港]]は幹線空港には含まれない。
[[国土交通省]][[自動車局]]は、以下の条件を満たす路線バスを「地域間幹線バス」とし、経常赤字が見込まれる一般乗合旅客自動車運送事業者による運行の場合は地域公共交通確保維持事業で赤字額の1/2に補助金を出している。

* 複数市町村にまたがる系統
上記のほか、便数が特に多い路線や各航空会社における基幹路線で、便宜上幹線と呼ぶ場合もある。
* 輸送量が15人~150人/日

* 2012年11月現在
* 10㎞以上
{{main|輸送密度#バスにおける輸送密度}}
** 東京国際空港 - 大阪国際空港、関西国際空港、新千歳空港、福岡空港、那覇空港
** 成田国際空港 - 大阪国際空港、関西国際空港、新千歳空港、福岡空港、那覇空港
** 大阪国際空港 - 新千歳空港、福岡空港、那覇空港
** 関西国際空港 - 新千歳空港、福岡空港、那覇空港
** 新千歳空港 - 福岡空港、那覇空港
** 福岡空港 - 那覇空港


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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* [[道路緊急ダイヤル]]
* [[道路緊急ダイヤル]]
* [[五街道]]
* [[五街道]]

{{公害}}


{{DEFAULTSORT:かんせん}}
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2024年3月17日 (日) 02:19時点における最新版

幹線(かんせん)とは、電力網・配電網・電気通信網(電話網など)・交通網(道路網・鉄道網・航空網など)で、主要地点間を結び網の骨格をなす重要路線。

配電網における幹線

[編集]

屋内配電網における電力幹線設備とは、一般的に受変電設備の配電盤(端子ではその2次側端子)から負荷設備の電灯分電盤や動力制御盤(端子ではその1次側端子)までをいう[1]

幹線方式には、電灯盤や動力盤ごとに専用の幹線で供給する方式(幹線の本数が多くなり経済的には不利だが、幹線事故が生じたときに他の幹線への波及が少ない)と電灯盤や動力盤に同一系統の大容量幹線で供給する方式(遮断機容量が大きくなるが、幹線が少なくなり経済性や施工性では有利)がある[1]

幹線系統は、一般系(一般建物負荷)、防災系(火災時に供給する負荷)、保安系(停電時に電源供給が必要な負荷)、重要・最重要系(サーバー等の重要負荷)などに分けられる[1]

幹線設備(幹線サイズ)の材料を選定する際には、使用する負荷容量に応じた許容電流、電圧降下(配線のリアクタンス表皮効果、負荷力率等)、配線保護等を考慮して決定される[1]

日本

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日本では低圧幹線は、単相2線式(100Vまたは200V)、単相3線式(200/100V)、三相3線式(200Vまたは400V)、直流2線式(100V)に分けられる[1]

インドネシア

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インドネシアでは三相4線式(380V/220V)が一般的で、幹線はNYYやNYMケーブル(PVC二重被覆ケーブル)が多かったが、許容電流が大きいXLPE/PVCケーブルが徐々に普及してきている[2]

フィリピン

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フィリピンでは三相3線式(220V)が一般的で、幹線は耐熱IV電線に該当するTHHN(90℃耐熱)やTHW(75℃耐熱)の電線が普及している[2]

交通網における幹線

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交通網(道路網・鉄道網・航空網など)の中で主要な路線を幹線と呼び、最も重要な路線は本線と呼ぶ場合もある。日本の日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(国鉄再建法)のように法律上の定義を設ける場合もある。

道路網における幹線

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道路は主要幹線道路、幹線道路、補助幹線道路、区画道路などに分類される[3]。これを道路の階層化という[3]

社会基盤の整備においては、商業施設・業務施設は幹線道路に隣接して立地し、大型の車両は環境対策を施した幹線道路を通行することが望ましい[4]。道路の階層化が不十分なままだと大型貨物車が補助幹線道路などの下位階層の道路を走行することになり環境や安全の面で問題を引き起こすことがある[3]

国鉄再建法上の幹線

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日本では国鉄末期の1981年、「日本国有鉄道経営再建促進特別措置法」(国鉄再建法)に基づいて国鉄の路線は幹線地方交通線とに分類され、異なる運賃を適用することになった。それまでは、大都市近郊などの一部を除く全国すべての路線で同一の運賃体系を使用していた。その分類はJRにも引き継がれている。一般的な時刻表の索引地図では、幹線は黒の太線で表される。なお、路線名として○○本線と名乗っていても、地方交通線に分類された路線もある。

幹線・地方交通線の区分は1977 - 1979年度の平均輸送実績によって線名単位で機械的に決められた。幹線となる基準は、次のように規定されている[5]

  1. その路線のうちに、(イ)1980年3月31日時点で人口10万人以上の都市(主要都市)を相互に連絡し、(ロ)旅客営業キロが30kmを超え、(ハ)全ての隣接駅間で旅客輸送密度(1日1kmあたりの輸送人員)が4,000人以上である区間を有する線。35線(函館本線千歳線室蘭本線東北本線常磐線奥羽本線羽越本線磐越西線仙石線仙山線上越線信越本線高崎線両毛線総武本線内房線東海道本線南武線武蔵野線横浜線相模線御殿場線中央本線篠ノ井線北陸本線関西本線阪和線山陽本線伯備線山陰本線予讃線高徳線鹿児島本線長崎本線日豊本線
  2. その路線のうちに、1.の条件にあてはまる営業線と主要都市を連絡し(ロ)と(ハ)の条件を満たす区間を有する線。9線(根室本線水戸線湖西線奈良線紀勢本線福知山線呉線土讃線佐世保線
  3. 貨物輸送密度が4,000t以上である線。7線(石勝線白新線山手線青梅線宇野線宇部線美祢線

上記の条件を満たす路線を幹線鉄道網と呼び、上記の条件に満たないが、輸送密度8,000人以上の線(15線。赤羽線五日市線鶴見線根岸線横須賀線川越線外房線成田線伊東線草津線大阪環状線桜島線片町線篠栗線筑肥線)を加えて幹線系線区と呼んだ[6]

JR移行後に開業した路線については、利益予測を元にその路線を管轄するJRが幹線・地方交通線の別を決定している。

富山県石川県では、2015年2024年の北陸新幹線開業に伴い北陸本線の県内区間は全てあいの風とやま鉄道線IRいしかわ鉄道線に転換されたためJR在来線は地方交通線のみとなっており元々JR線の存在しない沖縄県を除いた46都道府県で幹線が存在しない都道府県となった。なお、福井県2024年春に北陸新幹線の敦賀延伸に伴い北陸本線の大聖寺駅-敦賀駅間が第三セクターであるハピラインふくいに移管されたため、幹線は敦賀駅~深坂トンネルの間のみとなった。

幹線空港

[編集]

日本の国内航空では、東京地区(都市コードTYO:東京国際空港(羽田)、成田国際空港)、大阪地区(都市コードOSA:大阪国際空港(伊丹)、関西国際空港)、札幌地区(都市コードSPK:新千歳空港)、福岡地区(都市コードFUK:福岡空港)、沖縄地区(都市コードOKA:那覇空港)を幹線空港と呼び、幹線空港同士を結ぶ路線を幹線と呼ぶ。

路線バスにおける幹線

[編集]

国土交通省自動車局は、以下の条件を満たす路線バスを「地域間幹線バス」とし、経常赤字が見込まれる一般乗合旅客自動車運送事業者による運行の場合は地域公共交通確保維持事業で赤字額の1/2に補助金を出している。

  • 複数市町村にまたがる系統
  • 輸送量が15人~150人/日
  • 10㎞以上の路線

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e 北村健司「幹線設備の計画と設計」『電気設備学会誌』第39巻第5号、2019年、240-243頁、doi:10.14936/ieiej.39.240 
  2. ^ a b 蒲池真「海外の電気設備の現状」『電気設備学会誌』第28巻第3号、2008年、201-205頁、doi:10.14936/ieiej.28.201 
  3. ^ a b c 谷口栄一『現代の新都市物流』森北出版、2005年、28頁。ISBN 4627495811 
  4. ^ 谷口栄一『現代の新都市物流』森北出版、2005年、48頁。 
  5. ^ 施行令第1条(幹線鉄道網を形成する営業線に関する基準) 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(以下「法」という。)第8条(地方交通線の選定等)
  6. ^ 鉄道ジャーナル1989年10月号NO.276

関連項目

[編集]