「両岸経済協力枠組協議」の版間の差分
編集の要約なし |
m 外部リンクの修正 http:// -> web.archive.org (www.yomiuri.co.jp) (Botによる編集) |
||
(25人の利用者による、間の41版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
{{Infobox Treaty |
|||
| name = 両岸経済協力枠組協議 |
|||
| long_name = |
|||
| image = |
|||
| image_width = |
|||
| caption = |
|||
| type = 枠組協議 |
|||
| date_drafted = |
|||
| date_signed = {{Start date and age|2010|06|29}} |
|||
| location_signed = {{PRC}}[[重慶市]] |
|||
| date_sealed = |
|||
| date_effective = {{Start date and age|2010|09|12}} |
|||
| condition_effective = |
|||
| date_expiration = |
|||
| signatories = [[董事長]] [[江丙坤]]<hr>[[会長]] [[陳雲林]] |
|||
| parties = {{flagicon|ROC}} [[海峡交流基金会]]<hr>{{flagicon|PRC}} [[海峡両岸関係協会]] |
|||
| depositor = |
|||
| language = [[繁体字]]<hr>[[簡体字]] |
|||
| website = |
|||
| wikisource = zh:海峽兩岸服務貿易協議 |
|||
}} |
|||
{{中華圏の事物 |
{{中華圏の事物 |
||
|タイトル=両岸経済協力枠組協議 |
|タイトル=両岸経済協力枠組協議 |
||
7行目: | 28行目: | ||
|繁体字=兩岸經濟合作架構協議 |
|繁体字=兩岸經濟合作架構協議 |
||
|ピン音=<small>Liǎng'àn Jīngjì Hézuò Kuàngjià Xiéyì</small> |
|ピン音=<small>Liǎng'àn Jīngjì Hézuò Kuàngjià Xiéyì</small> |
||
|注音符号=<small>ㄌ |
|注音符号=<small>ㄌㄧㄤˇ ㄢˋ ㄐㄧㄥ ㄐㄧˋ ㄏㄜˊ ㄗㄨㄛˋ ㄐㄧㄚˋ ㄍㄡˋ ㄒㄧㄝˊ ㄧˋ</small> |
||
|台湾語= |
|台湾語= |
||
|カタカナ= |
|カタカナ= |
||
}} |
}} |
||
'''両岸経済協力枠組協議'''('''海峡兩岸經濟合作架構協議'''、Economic Cooperation Framework Agreement、略称'''ECFA''') |
'''両岸経済協力枠組協議'''(りょうがんけいざいきょうりょくわくぐみきょうぎ、'''海峡兩岸經濟合作架構協議'''、Economic Cooperation Framework Agreement、略称'''ECFA''')は、[[中華民国]]([[台湾]])と[[中華人民共和国]]([[中国]])が締結した実質的な<ref>両者の政治的関係から、政府間の協定ではなく、[[海峡両岸関係協会]](中国側の窓口機関)と[[海峡交流基金会]](台湾側の窓口機関)との取り決めの形式をとっている。そのためWTOの地域貿易協定の通報も、発効前の通報のみに留められ、WTO上の根拠を附した正式発効の通報はされていない。</ref>[[自由貿易協定]](FTA)である。日本では'''中台経済協力枠組み協定'''と呼ばれることもある。 |
||
==概要== |
==概要== |
||
[[2005年]]4月、[[連戦]][[中国国民党|国民党]]主席が訪中して[[胡錦濤]][[中国共産党総書記]]と会談した際に[[蕭万長]]の提唱した[[:zh:兩岸共同市場|両岸共同市場]](一中市場、大中華経済圏)を目指すことで合意<ref>[http://old.npf.org.tw/Symposium/s94/940615-3-NS.htm 國家政策經濟研究會,《連胡會新聞公報》,2005年4月29日] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20080219041352/http://old.npf.org.tw/Symposium/s94/940615-3-NS.htm |date=2008年2月19日 }}</ref>。 |
|||
⚫ | |||
⚫ | |||
2010年8月、台湾の[[立法院]]における審議が終了し、法的には9月に発効した。ただし、譲許内容(貿易に関する約束事項)の実施は2011年1月以降である。ECFAは台湾、中国双方において両岸協議という特殊なカテゴリーに分類されるため、通常の条約にような批准手続きが行われない。台湾の立法院は両岸協議の内容を審議し、修正や否決を行うことができる。ECFAの審議では民進党が修正同義を発したが、多数議席を占める国民党により否決された。 |
|||
2010年8月、台湾の[[立法院 (中華民国)|立法院]]における審議が終了し([[民主進歩党]]の修正動議は否決)、9月12日に発効した。中国側が石油化学製品や自動車部品など539品目、台湾側が267品目の合計806品目、貿易額で計約167億ドル(約1兆5000億円)分の関税について、2011年1月、2012年1月、2013年1月の3段階に分けて実施される。 |
|||
ECFAは |
ECFAは元々、[[2008年中華民国総統選挙|2008年総統選]]に当選した[[馬英九]]([[中国国民党|国民党]])が目玉の経済政策として掲げていたものである。背景には、[[2010年]]に[[ASEAN自由貿易地域]](AFTA)でASEANとFTAを結んだ中国などを巻き込んでアジアに巨大な経済圏([[東アジア地域包括的経済連携]]など)が築かれつつある一方、台湾は当時国交のある[[中米]]5カ国という地理的に遠い他国としかFTAを結べてない状況にあり、台湾経済の辺境化・孤立化に対する危機感があった。ECFA締結には、民進党や[[台湾団結連盟]]など野党が反対した。その理由は、[[中国本土・香港経済連携緊密化取決め]]や[[中国本土・マカオ経済連携緊密化取決め]]との類似性から、香港やマカオのように「台湾が中国に併呑される」との懸念や台湾国内の農業や中小企業へのダメージなどである。野党は「ECFA締結にあたり、国民投票を実施すべきである」と主張し、署名活動を展開した。ECFA締結直後に台湾政府が実施した世論調査によると、61.1%がECFAの協議に「満足」と回答したという<ref>[http://www.taiwanembassy.org/JP/ct.asp?xItem=149979&ctNode=1453&mp=202 陸委会:台湾の60%以上がECFA調印を評価]</ref>。 |
||
ECFA締結を契機に国交のない[[シンガポール]]や[[ニュージーランド]]ともFTA交渉が始まって締結され、台湾側は同じく国交のない日本やアメリカなどとのFTA締結に意欲をみせているが、ニュージーランドやシンガポールは先に中国とFTAを結んでおり<ref>{{Cite news|url=http://toyokeizai.net/articles/-/204499|title=良好に見える日台関係だが実は懸案山積だ|work=東洋経済ONLINE|newspaper=[[東洋経済新報社]]|date=2018-01-14|accessdate=2018-01-14}}</ref>、中国側は台湾との政治協議を開始させ将来的な国家統一を目指す構えだった。しかし、台湾側の馬英九政権は政治協議の具体的な日程を未定としている。ECFAはあくまでFTAの早期実施に過ぎず、完成度を高めるため交渉を重なる必要がある。[[第八回中華民国立法委員選挙]]と[[2012年中華民国総統選挙]]の結果次第ではECFAに反対した民進党が政権を獲得する可能性もあったが、結果は国民党が勝利して馬英九が再選した<ref>{{Cite news|url=https://web.archive.org/web/20120116082206/http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120114-OYT1T00700.htm|title=台湾総統選、馬英九氏が再選…対中融和継続へ|work=YOMIURI ONLINE|newspaper=[[読売新聞]]|date=2012-01-14|accessdate=2012-01-15}}</ref>。 |
|||
ECFA締結をめぐっては、[[民進党]]など野党が「台湾が中国に併呑される」と大規模な反対運動を展開し、台湾の国論を二分した。ECFA締結を統一への足がかりとしたい中国は、台湾の要求をことごとく受け入れて大幅に譲歩したため、中国国内に「譲歩しすぎた」との批判も出たとされる。ECFA締結直後に台湾政府が実施した世論調査によると、61.1%がECFAの協議に「満足」と回答したという<ref>[http://www.taiwanembassy.org/JP/ct.asp?xItem=149979&ctNode=1453&mp=202 陸委会:台湾の60%以上がECFA調印を評価]</ref>。 |
|||
ECFA締結を契機に、台湾側は国交のない日本やアメリカなどとのFTA締結に意欲をみせているが<ref>2010年8月、台湾と[[シンガポール]]が「経済協力協定」の締結交渉開始を決定している。</ref>、中国側は台湾との政治協議を開始させ将来的な国家統一を目指す構えであり、中台関係は新たな段階に入ったといえる。 |
|||
==脚注== |
==脚注== |
||
{{脚注ヘルプ}} |
|||
<div class="references-small"><references /></div> |
|||
<references /> |
|||
==参考資料== |
==参考資料== |
||
* [http://www. |
* [http://www.koryu.or.jp/ez3_contents.nsf/13/E1D7F906304F2F3E492577FB0029E897?OpenDocument 交流協会による情報提供(2011年4月22日)] |
||
* [https://www.koryu.or.jp/?ItemId=95&dispmid=4274 交流2010年7月号(発行交流協会) 協定の日本語訳を掲載] |
|||
* [http://www.taiwanembassy.org/JP/ct.asp?xItem=87093&ctNode=1453&mp=202 中華民国経済部国際貿易局によるQ&A(2009年4月2日)]年 |
|||
* [http://www.taiwanembassy.org/ct.asp?xItem=81393&ctNode=1453 中華民国・尹啓銘経済部長による説明(2009年3月4日)] |
* [http://www.taiwanembassy.org/ct.asp?xItem=81393&ctNode=1453 中華民国・尹啓銘経済部長による説明(2009年3月4日)] |
||
* [http://www3.jetro.go.jp/jetro-file/search-text.do?url=010011700201 台湾のWTO等加盟状況(JERTO)] |
* [http://www3.jetro.go.jp/jetro-file/search-text.do?url=010011700201 台湾のWTO等加盟状況(JERTO)] |
||
39行目: | 61行目: | ||
* [[台湾問題]] |
* [[台湾問題]] |
||
* [[国共合作]] |
* [[国共合作]] |
||
* [[ |
* [[中台関係]] |
||
* [[ひまわり学生運動]] |
|||
* [[海峡両岸サービス貿易協定]] |
|||
== 脚注 == |
|||
<div class="references-small"><references /></div> |
|||
{{DEFAULTSORT:りようかんけいさいきようりよくわくくみきようき}} |
{{DEFAULTSORT:りようかんけいさいきようりよくわくくみきようき}} |
||
⚫ | |||
⚫ | |||
⚫ | |||
[[Category:自由貿易協定]] |
[[Category:自由貿易協定]] |
||
[[Category:経済連携協定]] |
[[Category:経済連携協定]] |
||
[[Category:中華人民共和国の条約]] |
|||
[[Category:台湾の条約]] |
|||
[[en:Economic Cooperation Framework Agreement]] |
|||
⚫ | |||
[[id:Kesepakatan Kerangka Kerjasama Ekonomi]] |
|||
⚫ | |||
[[ko:양안 경제협력 기조협의]] |
|||
⚫ | |||
[[th:โครงการความร่วมมือทางเศรษฐกิจระหว่างจีน-ไต้หวัน]] |
|||
[[Category:2010年の条約]] |
|||
[[vi:Hiệp định khung Hợp tác Kinh tế]] |
|||
[[Category:胡錦濤]] |
|||
[[zh:海峽兩岸經濟合作架構協議]] |
|||
[[Category:馬英九]] |
2024年3月20日 (水) 20:59時点における最新版
種類 | 枠組協議 |
---|---|
署名 | 2010年6月29日 |
署名場所 | ![]() |
発効 | 2010年9月12日 |
署名国 | 董事長 江丙坤 会長 陳雲林 |
締約国 | ![]() ![]() |
言語 | 繁体字 簡体字 |
![]() |
両岸経済協力枠組協議 | |
---|---|
各種表記 | |
繁体字: | 兩岸經濟合作架構協議 |
簡体字: | 两岸经济合作框架协议 |
拼音: | Liǎng'àn Jīngjì Hézuò Kuàngjià Xiéyì |
注音符号: | ㄌㄧㄤˇ ㄢˋ ㄐㄧㄥ ㄐㄧˋ ㄏㄜˊ ㄗㄨㄛˋ ㄐㄧㄚˋ ㄍㄡˋ ㄒㄧㄝˊ ㄧˋ |
英文: | Economic Cooperation Framework Agreement |
両岸経済協力枠組協議(りょうがんけいざいきょうりょくわくぐみきょうぎ、海峡兩岸經濟合作架構協議、Economic Cooperation Framework Agreement、略称ECFA)は、中華民国(台湾)と中華人民共和国(中国)が締結した実質的な[1]自由貿易協定(FTA)である。日本では中台経済協力枠組み協定と呼ばれることもある。
概要
[編集]2005年4月、連戦国民党主席が訪中して胡錦濤中国共産党総書記と会談した際に蕭万長の提唱した両岸共同市場(一中市場、大中華経済圏)を目指すことで合意[2]。
2009年5月26日、胡錦濤中国共産党総書記と呉伯雄国民党主席の中台トップ会談で協議開始を合意。海峡両岸関係協会(中国側の窓口機関)と海峡交流基金会(台湾側の窓口機関)による協議を経て、2010年6月29日、中国・重慶市で正式に締結された。
2010年8月、台湾の立法院における審議が終了し(民主進歩党の修正動議は否決)、9月12日に発効した。中国側が石油化学製品や自動車部品など539品目、台湾側が267品目の合計806品目、貿易額で計約167億ドル(約1兆5000億円)分の関税について、2011年1月、2012年1月、2013年1月の3段階に分けて実施される。
ECFAは元々、2008年総統選に当選した馬英九(国民党)が目玉の経済政策として掲げていたものである。背景には、2010年にASEAN自由貿易地域(AFTA)でASEANとFTAを結んだ中国などを巻き込んでアジアに巨大な経済圏(東アジア地域包括的経済連携など)が築かれつつある一方、台湾は当時国交のある中米5カ国という地理的に遠い他国としかFTAを結べてない状況にあり、台湾経済の辺境化・孤立化に対する危機感があった。ECFA締結には、民進党や台湾団結連盟など野党が反対した。その理由は、中国本土・香港経済連携緊密化取決めや中国本土・マカオ経済連携緊密化取決めとの類似性から、香港やマカオのように「台湾が中国に併呑される」との懸念や台湾国内の農業や中小企業へのダメージなどである。野党は「ECFA締結にあたり、国民投票を実施すべきである」と主張し、署名活動を展開した。ECFA締結直後に台湾政府が実施した世論調査によると、61.1%がECFAの協議に「満足」と回答したという[3]。
ECFA締結を契機に国交のないシンガポールやニュージーランドともFTA交渉が始まって締結され、台湾側は同じく国交のない日本やアメリカなどとのFTA締結に意欲をみせているが、ニュージーランドやシンガポールは先に中国とFTAを結んでおり[4]、中国側は台湾との政治協議を開始させ将来的な国家統一を目指す構えだった。しかし、台湾側の馬英九政権は政治協議の具体的な日程を未定としている。ECFAはあくまでFTAの早期実施に過ぎず、完成度を高めるため交渉を重なる必要がある。第八回中華民国立法委員選挙と2012年中華民国総統選挙の結果次第ではECFAに反対した民進党が政権を獲得する可能性もあったが、結果は国民党が勝利して馬英九が再選した[5]。
脚注
[編集]- ^ 両者の政治的関係から、政府間の協定ではなく、海峡両岸関係協会(中国側の窓口機関)と海峡交流基金会(台湾側の窓口機関)との取り決めの形式をとっている。そのためWTOの地域貿易協定の通報も、発効前の通報のみに留められ、WTO上の根拠を附した正式発効の通報はされていない。
- ^ 國家政策經濟研究會,《連胡會新聞公報》,2005年4月29日 Archived 2008年2月19日, at the Wayback Machine.
- ^ 陸委会:台湾の60%以上がECFA調印を評価
- ^ “良好に見える日台関係だが実は懸案山積だ”. 東洋経済新報社. (2018年1月14日) 2018年1月14日閲覧。
- ^ “台湾総統選、馬英九氏が再選…対中融和継続へ”. 読売新聞. (2012年1月14日) 2012年1月15日閲覧。
参考資料
[編集]- 交流協会による情報提供(2011年4月22日)
- 交流2010年7月号(発行交流協会) 協定の日本語訳を掲載
- 中華民国経済部国際貿易局によるQ&A(2009年4月2日)年
- 中華民国・尹啓銘経済部長による説明(2009年3月4日)
- 台湾のWTO等加盟状況(JERTO)
- ASEANのFTA(JETRO、2008年4月作成資料)