コンテンツにスキップ

「大型自動二輪車」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
m ボットによる e-Gov法令検索のリニューアルに伴うリンク変更 https://elaws.e-gov.go.jp → https://laws.e-gov.go.jp
 
(100人を超える利用者による、間の240版が非表示)
1行目: 1行目:
{{混同|大型自動車}}
[[Image:BMW K1200S.jpg|thumb|250px|right|[[BMW]] K1200S(1170ccの大型自動二輪車)]]
{{Pathnav|日本の運転免許|frame=1}}
'''大型自動二輪車'''(おおがたじどうにりんしゃ)とは、[[日本]]における[[オートバイ]]の区分のひとつで、[[排気量]]400cc超の二輪車を指す。
{{law}}
{{複数の問題
| 出典の明記 = 2013年8月
| 独自研究 = 2013年8月
| 正確性 = 2013年8月
}}
[[Image:Yamaha_1700_VMax.jpg|thumb|250px|right|[[ヤマハ発動機|ヤマハ]]・[[ヤマハ・VMAX|VMAX]](1679ccの大型自動二輪車)]]

'''大型自動二輪車'''(おおがたじどうにりんしゃ)とは、[[日本]]の[[道路交通法]]にる[[オートバイ]]の区分のひとつで、[[排気量|総排気量]]400ccえるもの、あるいは定格出力が20kWを超えるものを指す。


==概要==
==概要==
大型自動二輪車は、道路交通法施行規則において「総排気量0.400リットルを超え、又は定格出力が20.00キロワットを超える原動機を有する二輪の自動車(側車付きのものを含む。)で、大型特殊自動車及び小型特殊自動車以外のもの」と定義されている<ref>{{Cite web|和書|url=https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=335M50000002060 |title=道路交通法施行規則(昭和三十五年十二月三日総理府令第六十号)|publisher=e-Gov |date=2019-9-19 |quote=2019年12月1日施行分|accessdate=2019-12-24}}</ref>。
車両価格が比較的高価であり、[[車検]]が必要、燃費が良くない、維持費の負担が大きいなど、日常利用には必ずしも向いているとは言えず、維持所有のためのハードルは高い一方、パワーにあふれ、所有欲を満たす、趣味性の高い乗り物といえる。

[[道路運送車両法]]では「二輪の[[小型自動車]]」に分類される。

大型二輪免許で運転でき、[[高速道路]]も走行できる。2005年4月より、[[高速道路]]での二人乗りが可能となった。ただし、20歳以上で免許の期間が3年以上(普通自動二輪のみの免許期間も合算される)などの条件がある。また、[[首都高速]]の一部は二人乗りが認められていない。

警視庁・道府県警・その他警察公務機関で[[白バイ]]として現在広く採用されている車種である。また海外においても、警察機関で大型自動二輪車が採用されている。


[[道路運送車両法]]では総排気量0.250リットルを超える二輪自動車は「二輪の[[小型自動車]]」に分類され、大型自動二輪車も含まれる<ref>道路交通法施行規則 別表第一</ref>。運輸支局への届出により[[自動車検査証]]が交付され、車両番号が指定される。したがって、[[高速自動車国道法]]では自動車として扱われ、高速道路を走行することができる。
オートバイにおける、最高峰に分類されるカテゴリであり、四輪の[[スーパーカー]]に匹敵する性能を有する市販車も存在する。故に、大型自動二輪車を運転するライダーは、高い運転技術や安全運転・法律遵守への高い意識を持つことが求められる(これは公安が認可した二輪車教習教科書の殆どに明記されている)。


運転には大型自動二輪車運転免許が必要で、18歳から取得でき<ref>http://www.unten-menkyo.com/2008/05/post_16.html</ref>、[[運転免許証]]には「大自二」と記載される。
==法律上の定義==
大型自動二輪車は、道路交通法施行規則において、次の通り定義されている。[http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35F03101000060.html]


== 運転免許および免許証の変遷 ==
:総排気量0.400リットルを超える内燃機関を原動機とする二輪の自動車(側車付きのものを含む。)で、大型特殊自動車及び小型特殊自動車以外のもの
[[1960年]]([[昭和]]35年)以降、現在の大型自動二輪免許に相当する[[運転免許証]]は「自動二輪免許」で、250ccを超えるオートバイの区分であった。また、軽免許の上位免許として、360cc以下の軽三輪車と軽四輪車を運転できた。


[[1965年]](昭和40年)[[9月1日]]に軽免許(二輪車は250cc以下、三輪車と四輪車は360cc以下)が廃止されて、二輪免許の区分が50cc超に変更されたことに伴い、この時点で小型特殊免許と[[原動機付自転車]]免許以外の運転免許証(軽免許を含む)を保有していた者に、付帯免許として与えられ、[[スラング]]で「[[ポツダム進級|ポツダム]]免許」と呼ばれた。これにより、1947年生以前の人の中には、オートバイの乗車経験が無くても大型自動二輪免許を取得している場合がある。[[1965年]](昭和40年)から、普通自動車免許、大型自動車免許では[[原動機付自転車]](50cc以下)しか運転できなくなった。二輪免許の技能教習と技能試験は、125ccの[[教習車]]を用いるように変更され、[[1972年]](昭和47年)には教習車は400ccに戻された。
==免許制度==
かつての大型二輪免許である自動二輪免許(限定なし)は、1973年以前には普通自動車免許(或いは大型自動車免許)のオマケとして付与された(いわゆる「ポツダム免許」)ため、大型二輪の乗車経験もない70代の高齢者でも大型自動二輪免許を持っているという現状がある。
しかし、1975年より[[運転免許試験場]]での[[技能試験]]または自動二輪中型限定免許からの[[限定解除審査]](共にいわゆる「一発試験」)の合格者のみに交付された、その合格者数は全受験者の一割未満ともれる難関であったがゆえに、免許そのものが高嶺の花であった。


[[1975年]](昭和50年)より[[運転免許試験場]]での[[技能試験]]または自動二輪免許(中型[[限定免許 (運転免許)|限定免許]])からの[[限定解除審査]]の合格者のみに交付された(いわゆる「[[一発試験]]」)。しかし、その合格者数は概ね全受験者の1%であったため「[[旧司法試験|司法試験]]より難し」と揶揄されるほど極めて難関で、400cc限定の無い二輪免許そのものが高嶺の花となた状況が続いた。
しかし、[[ハーレーダビッドソン]]や[[BMW]]などの海外のメーカーから「[[輸入車|輸入バイク]]が売れないのは、日本の免許制度に原因がある」(=[[非関税障壁]])と外圧がかかり、[[1996年]]9月の免許制度改正から「公認[[自動車教習所]]」で大型二輪免許の教習が受けられるようになった。(実際には認可までに時間がかかり、1997年教習開始)以前よりは容易に免許が取得できるようになってからはカテゴリーとしての人気が高まった。


こうした状況を変えたのは、日本のオートバイ製造企業やバイクユーザーではなく、[[ハーレーダビッドソン]]や[[BMWモトラッド]]の国外自動車メーカーからの『外圧』であった。「大型[[輸入車|輸入バイク]]が売れないのは[[日本の運転免許]]制度が原因で、[[非関税障壁]]となっている」と、[[1990年代]]から[[年次改革要望書]]などを通じて、強く[[規制緩和]]を求められる様になった。
なお、1996年から大型二輪免許と普通二輪免許が独立した免許となったため、現在では普通二輪免許の限定を解除して大型二輪免許を取得することはできないので注意が必要また免許が独立したことにより、別個のものと扱われるようになったため、普通二輪免許で大型自動二輪車を運転した場合、免許条件違反ではなく無免許運転扱いとなる。


これに対して「ベストライダースクール」等と称した、事前審査の免除および実技試験合格率向上のための指導講習が、[[運転免許試験場]]で行われるようになり、講習受講者の合格率が5%程度に緩和された。また[[1996年]](平成8年)9月の免許制度改正から「[[指定自動車教習所]]」で大型二輪免許の教習を受けられるようになった<ref group="注">実際には認可までに時間がかかり、1997年(平成9年)教習開始。</ref>。これによって容易に免許を取得できるようになり、大型自動二輪免許の保有者数は飛躍的に増加した。
教習所によっては、無免許または原付免許、普通免許、中型免許、大型免許、大型特殊運転免許からいきなり大型二輪免許を取得出来るところもあるが(多くの場合最低でも'''小型自動二輪'''が乗れる実力があることを前提にしてある)、教習効率等を理由に段階的な取得を薦めたり、そもそも普通二輪免許を所持しない人を対象としたコースを設けていないことも多い。


1996年(平成8年)から大型自動二輪免許と[[普通自動二輪車]]免許が独立した免許区分となったため、現在では普通自動二輪免許の[[限定免許 (運転免許)|限定免許]]を解除して大型自動二輪免許を取得することはできない。同じ理由により、普通自動二輪免許で大型自動二輪車を公道で運転した場合、免許条件違反ではなく「[[無免許運転]]」となる。
2005年6月より二輪免許にも[[オートマチック限定免許]]が創設され、400ccを超えるビッグスクーターを運転するには大型二輪AT限定免許を取得すれば乗ることができるようになった(126~400ccの場合は普通二輪AT限定免許)。しかし創設当時には650ccを超えるオートマチック車両が日本国内で生産されていなかったことから、現在でも大型二輪免許のAT限定には650ccまでの排気量限定がついており、限定解除審査に合格しないとそれ以上の排気量を持つ大型自動二輪車(AT車も含む)を運転することができない。AT限定解除するか教習車仕様の750ccのAT自動二輪を作り持込で教習を受けるか、試験場で試験を受けて合格すれば排気量制限の無いAT大型自動二輪免許が受けられるが、事実上困難である。


2005年(平成17年)6月より、二輪免許にも[[オートマチック限定免許]]が創設され、400ccを超えるAT自動二輪車は、大型二輪免許のAT限定を取得すれば乗ることができるようになった。しかし、1977年(昭和52年)4月21日に発売されたホンダEARA(エアラ)を例外とすると、新設当時には650ccを超えるオートマチック車両が日本国内で販売されていなかったことから、大型二輪免許のAT限定には、650cc以下に排気量が限定されていた。
大型二輪免許制度は日本独自のものである。だが、欧州の場合は年齢や経験により34馬力までに制限されることがある(一定期間経験をつめば解除)。2013年から欧州の免許制度が統合され、免許を取得してから2年は34馬力までということになる。また、ニュージーランドの場合初心者は250ccまでや、速度は70km/h(一般道路)の制限があったりする(これも経験をつめば自動的に解除される)。これと似たようなものに旧大型自動車免許がある(普通免許を取得してから3年間は現中型自動車免許しか運転できなかった(現在では旧制度による大型自動車免許を取得後何度も免停になる例外を除けば旧制度による大型自動車免許を持っていれば大型特殊自動車、自動二輪車及び牽引免許を必要としない自動車であればすべての自動車を運転できる))。しかしニュージーランドの場合のように自動的に制限解除がされないのは日本独特の制度である。
===初心者特例について===
免許を取得してから1年間以内に3点以上の違反をし、初心者講習を受けずに再試験になった場合や、受講後再度免許を取得してから3点以上の違反をした場合は再試験に不合格になるとその該当する車種だけ取り消しになる。通常上位免許を取得すれば該当車種の再試験は免れるが、この大型自動二輪には上位免許が存在しないため上位免許取得し初心運転期間を強制終了することが不可能である。また普通自動車も人生の中で初心運転期間終了までに通算して2年以上の運転歴(普通免許又は大型特殊免許のうちどちらか一方又は両方の免許有する期間)があれば中型免許を取得し、初心運転期間を強制終了することが出来る点でこの車種だけは特別である。また余談であるが普通自動二輪で16以上18歳未満で初心者特例の再試験に該当してしまった場合もちろん上位免許の取得という方法は使えないため再試験を受ける他ない。


2019年(令和元年)12月より、大型二輪免許のAT限定で運転できる大型二輪AT車の排気量の上限は無制限となった。これは2019年(令和元年)12月以降に新規で免許を取得した者だけではなく、既存の大型二輪免許のAT限定を保有している者も対象となる。一方で、同日より[[電動機]]など内燃機関以外を動力源とする二輪車についても、定格出力が20kWを超える場合には大型二輪に区分されるようになった。
==750ccが特別な存在となった理由==
かつては大型自動二輪車の代名詞といえばいわゆる[[ナナハン]](排気量750cc)であったが、これは[[ホンダ・ドリームCB750FOUR|CB750FOUR]]が販売された時、の四輪車を超えるスピードで走行できたことから、国内メーカーが正規に販売できるバイクの排気量を750ccまでとする業の[[工業製品の自主規制|自主規制]]が行われたためで、それが解除された近年は排気量1,000ccを超えるバイク(リッター車と呼ばれる)が大型自動二輪車の主流となっており、600ccや750ccの排気量を持つバイクは、現在ではミドルクラスと呼ばれている。


指定自動車教習所で教習を受ける場合、普通自動二輪免許やその他の自動車免許を保有していなくても直接大型二輪免許の教習を受けられることが標準化されているが、現有免許に応じて最短教習時限数が異なる<ref>{{Citation|date =2010年8月31日| title =警察庁丙運発第22号「指定自動車教習所の教習の標準」| place =日本| publisher =警察庁|loc=第5 大型二輪免許に係る技能教習の標準}}</ref>。先に普通二輪免許あるいは小型限定の普通二輪免許を取得して、段階的に大型二輪免許を取得すると、技能教習については最短教習時限数の総数は少なくなる<ref>[http://www.jmpsa.or.jp/safety/license/oogata.html 社団法人全国二輪車安全普及協会(おすすめ情報)]</ref>一方、中途段階の[[卒業検定]]や免許取得手続きは多くなる。一部の指定自動車教習所では、大型自動二輪車免許の教習条件として「普通自動二輪車免許を受けて、受けていた期間が通算して二年以上」または「普通自動車を運転できる運転免許の保有者のみ」に限定しているところもあるので、あらかじめ[[自動車教習所]]で確認が必要である。
なお国内の正規販売車が750cc以下であった時から、それを超える排気量を持つ車両が輸入および逆輸入されて国内を走っているが、750ccを超える車両が販売できる現在でも、正規販売車は騒音や馬力の規制が強いことから、規制の緩い国向けに生産された車両が逆輸入され続けている。


大型自動二輪の教習を受けている者が、普通二輪免許あるいは小型限定の教習へ移行を希望する場合は、それまでに行った技能教習は、普通自動二輪あるいは小型限定の相当する課程を修了したものとみなされる<ref>警察庁交通局運転免許課・指定自動車教習所の教習の標準 第1一般的な教習方法の標準等 4技能教習の一般的な教習方法の標準 (6)教習の移行</ref>。大型自動二輪免許あるいは普通自動二輪免許(小型限定を含む)を取得後に普通自動車免許、準中型自動車免許、大型特殊自動車免許を取得するときは、一部を除く学科講習と学科試験は免除され、技能講習および技能試験のみで取得できる。
また国内の[[フェリー]]運賃において自動二輪車は大きさや重量ではなく排気量で区別され、現在でも125cc以下、125cc超750cc以下、750cc超で運賃が区別されている事が多い。


またその逆もあり、普通自動車免許、準中型自動車免許(5t限定、AT5t限定を含む)、[[中型自動車]]免許(8t限定、AT8t限定を含む)、大型自動車免許、大型特殊自動車免許、これらの[[第二種運転免許]]を取得している者が、大型自動二輪、または、普通自動二輪(小型限定を含む)の免許を指定自動車教習所で取得する場合は、学科教習(一部を除く)と学科試験が免除されるため、技能検定を合格し、適性試験を合格すれば、運転免許試験場で[[運転免許証]]が取得できる<ref>[http://www.jama.or.jp/motorcycle/living/05_03.html 日本自動車工業会 二輪車に関する法律・制度「二輪免許と普通自動車免許は学科が共通」]</ref>。
ヨーロッパにおいては排気量によって保険料が変わり、600ccを境目に保険料が高額になる。その為ヨーロッパ向け車種には600cc以下モデルが用意されている場合が多い(出力によっても保険料が変わる。従って、600ccでもスーパースポーツなどは高くなる)。


== 750ccが特別な存在となった理由 ==
==大型自動二輪車の特徴==
かつては大型自動二輪車の代名詞といえば排気量750ccの、いわゆる[[ナナハン]]であったこれは[[ホンダ・ドリームCB750FOUR|CB750FOUR]]が販売された時、その200[[キロメートル毎|km/h]]を超える最高速度から、[[警察庁]]の要請により国内メーカーが日本で販売できるバイクの排気量を750ccまでとする、オートバイ製造企業の[[工業製品の自主規制|自主規制]]が行われたためでる。
"SS"([[スーパースポーツ]])や"US"(アルティメットスポーツ)と呼ばれる、最高時速が300km以上にまで達する車種(ただし現在は規制により構造上300km/hを超える速度は出せない)をはじめ、長距離巡航に適した「ツアラー」、[[ハーレーダビッドソン]]に代表される「[[クルーザー (オートバイ)|アメリカン]]」など車種も豊富である。中には四輪車のエンジンを積み、排気量8,000ccを超える「メガクルーザー」と呼ばれる超大型バイクも存在する。


そのため、カワサキが[[カワサキ・Z1|Z1]]の排気量を750ccに抑えた[[カワサキ・750RS|Z2]]を開発したのを皮切りに、各社とも輸出用車両のシャーシに750ccのエンジンを搭載するケースが[[1980年代]]中頃まで見られた。
日本の場合、そのほとんどは輸入車であり、国内メーカーのものでも海外に輸出したものを輸入したもの(いわゆる[[輸入車 (日本)|逆輸入車]])である。これは、国内仕様で販売されたものは大幅な[[自動車馬力規制|出力規制]]を受け、一部の例外を除いては750ccの車両において77[[馬力|ps]]、1,300cc越の車両においては100psを上限とされていたためである。なお、この規制は2007年7月に撤廃され、現在は100psを越える国内仕様車両も販売されている。


[[1988年]](昭和63年)に自主規制が撤廃されて以来、エンジン排気量1,000ccを超える「リッターマシーン」車種が多く発売されているが、国内[[フェリー]]のバイク航送料金が750ccで区別されているのは、この名残である。
大型自動二輪車共通の特徴として、大トルク出力が得られるエンジンを備えている(例としてホンダの[[ホンダ・CB400スーパーフォア|CB400SF]]が 38N・m なのに対し、[[ホンダ・CB1300スーパーフォア|CB1300SF]]は 117N・m)。これによりエンジン低回転でも安定した操縦が行なえ、また長時間運転しても疲労が少ない。大出力のエンジンに対応した剛性の高いフレームは高速走行時における操縦安定性に寄与し、ライダーは快適な運転を楽しむ事ができる。


==脚注==
一方、バイクにとって大トルク・高出力はアクセルコントロールをシビアにし、急アクセルでパワースライドを起こす危険がかなり高いため、むやみな高出力は事故の元となる。また車重が大きいため、普通自動二輪車と比べて[[立ちごけ]]を起こす可能性が高くなる(ただしスーパースポーツと呼ばれるオンロード向けのスポーツバイクについては、乾燥重量が170kgを切るものもある)。一般道路を走行するにあたってのアクセルワークはミリ単位であり、普通自動二輪車のような全開にできる機会は少ない。
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist2}}
=== 出典 ===
<references />


==関連項目==
==関連項目==
* [[運転免許]]
*[[小型自動二輪車]]
* [[オートバイ]]
*[[普通自動二輪車]]
*[[ナナハン]]
* [[ナナハン]]


==外部リンク==
==外部リンク==
*[http://www.nifukyo.or.jp/ 免許取得に関する情報(社団法人 全国二輪車安全普及協会)]
* [http://www.jmpsa.or.jp/ 免許取得に関する情報(社団法人 全国二輪車安全普及協会)]
* [http://bike.kingtop.jp/ バイク免許の取得方法]
* [https://web.archive.org/web/20160711173425/http://www.gentei.org/ 限定解除ML]
{{オートバイの形態}}
{{日本の運転免許}}
{{motorcycle-stub}}


{{DEFAULTSORT:おおかたしとうにりんしや}}
{{DEFAULTSORT:おおかたしとうにりんしや}}
[[Category:運転免許]]
[[Category:運転免許]]
[[Category:オートバイ]]
[[Category:オートバイの車両区分]]

2024年7月30日 (火) 15:24時点における最新版

日本の運転免許 > 大型自動二輪車
ヤマハVMAX(1679ccの大型自動二輪車)

大型自動二輪車(おおがたじどうにりんしゃ)とは、日本道路交通法によるオートバイの区分のひとつで、総排気量400ccを超えるもの、あるいは定格出力が20kWを超えるものを指す。

概要

[編集]

大型自動二輪車は、道路交通法施行規則において「総排気量0.400リットルを超え、又は定格出力が20.00キロワットを超える原動機を有する二輪の自動車(側車付きのものを含む。)で、大型特殊自動車及び小型特殊自動車以外のもの」と定義されている[1]

道路運送車両法では総排気量0.250リットルを超える二輪自動車は「二輪の小型自動車」に分類され、大型自動二輪車も含まれる[2]。運輸支局への届出により自動車検査証が交付され、車両番号が指定される。したがって、高速自動車国道法では自動車として扱われ、高速道路を走行することができる。

運転には大型自動二輪車運転免許が必要で、18歳から取得でき[3]運転免許証には「大自二」と記載される。

運転免許および免許証の変遷

[編集]

1960年昭和35年)以降、現在の大型自動二輪免許に相当する運転免許証は「自動二輪免許」で、250ccを超えるオートバイの区分であった。また、軽免許の上位免許として、360cc以下の軽三輪車と軽四輪車を運転できた。

1965年(昭和40年)9月1日に軽免許(二輪車は250cc以下、三輪車と四輪車は360cc以下)が廃止されて、二輪免許の区分が50cc超に変更されたことに伴い、この時点で小型特殊免許と原動機付自転車免許以外の運転免許証(軽免許を含む)を保有していた者に、付帯免許として与えられ、スラングで「ポツダム免許」と呼ばれた。これにより、1947年生以前の人の中には、オートバイの乗車経験が無くても大型自動二輪免許を取得している場合がある。1965年(昭和40年)から、普通自動車免許、大型自動車免許では原動機付自転車(50cc以下)しか運転できなくなった。二輪免許の技能教習と技能試験は、125ccの教習車を用いるように変更され、1972年(昭和47年)には教習車は400ccに戻された。

1975年(昭和50年)より、運転免許試験場での技能試験または自動二輪免許(中型限定免許)からの限定解除審査の合格者のみに交付された(いわゆる「一発試験」)。しかし、その合格者数は概ね全受験者の1%であったため「司法試験より難しい」と揶揄されるほど極めて難関で、400cc限定の無い二輪免許そのものが高嶺の花となった状況が続いた。

こうした状況を変えたのは、日本のオートバイ製造企業やバイクユーザーではなく、ハーレーダビッドソンBMWモトラッドの国外自動車メーカーからの『外圧』であった。「大型輸入バイクが売れないのは日本の運転免許制度が原因で、非関税障壁となっている」と、1990年代から年次改革要望書などを通じて、強く規制緩和を求められる様になった。

これに対して「ベストライダースクール」等と称した、事前審査の免除および実技試験合格率向上のための指導講習が、運転免許試験場で行われるようになり、講習受講者の合格率が5%程度に緩和された。また1996年(平成8年)9月の免許制度改正から「指定自動車教習所」で大型二輪免許の教習を受けられるようになった[注 1]。これによって容易に免許を取得できるようになり、大型自動二輪免許の保有者数は飛躍的に増加した。

1996年(平成8年)から、大型自動二輪車免許と普通自動二輪車免許が独立した免許区分となったため、現在では普通自動二輪車免許の限定免許を解除して大型自動二輪車免許を取得することはできない。同じ理由により、普通自動二輪車免許で大型自動二輪車を公道で運転した場合、免許条件違反ではなく「無免許運転」となる。

2005年(平成17年)6月より、二輪免許にもオートマチック限定免許が創設され、400ccを超えるAT自動二輪車は、大型二輪免許のAT限定を取得すれば乗ることができるようになった。しかし、1977年(昭和52年)4月21日に発売されたホンダEARA(エアラ)を例外とすると、新設当時には650ccを超えるオートマチック車両が日本国内で販売されていなかったことから、大型二輪免許のAT限定には、650cc以下に排気量が限定されていた。

2019年(令和元年)12月より、大型二輪免許のAT限定で運転できる大型二輪AT車の排気量の上限は無制限となった。これは2019年(令和元年)12月以降に新規で免許を取得した者だけではなく、既存の大型二輪免許のAT限定を保有している者も対象となる。一方で、同日より電動機など内燃機関以外を動力源とする二輪車についても、定格出力が20kWを超える場合には大型二輪に区分されるようになった。

指定自動車教習所で教習を受ける場合、普通自動二輪免許やその他の自動車免許を保有していなくても直接大型二輪免許の教習を受けられることが標準化されているが、現有免許に応じて最短教習時限数が異なる[4]。先に普通二輪免許あるいは小型限定の普通二輪免許を取得して、段階的に大型二輪免許を取得すると、技能教習については最短教習時限数の総数は少なくなる[5]一方、中途段階の卒業検定や免許取得手続きは多くなる。一部の指定自動車教習所では、大型自動二輪車免許の教習条件として「普通自動二輪車免許を受けて、受けていた期間が通算して二年以上」または「普通自動車を運転できる運転免許の保有者のみ」に限定しているところもあるので、あらかじめ自動車教習所で確認が必要である。

大型自動二輪の教習を受けている者が、普通二輪免許あるいは小型限定の教習へ移行を希望する場合は、それまでに行った技能教習は、普通自動二輪あるいは小型限定の相当する課程を修了したものとみなされる[6]。大型自動二輪免許あるいは普通自動二輪免許(小型限定を含む)を取得後に普通自動車免許、準中型自動車免許、大型特殊自動車免許を取得するときは、一部を除く学科講習と学科試験は免除され、技能講習および技能試験のみで取得できる。

またその逆もあり、普通自動車免許、準中型自動車免許(5t限定、AT5t限定を含む)、中型自動車免許(8t限定、AT8t限定を含む)、大型自動車免許、大型特殊自動車免許、これらの第二種運転免許を取得している者が、大型自動二輪、または、普通自動二輪(小型限定を含む)の免許を指定自動車教習所で取得する場合は、学科教習(一部を除く)と学科試験が免除されるため、技能検定を合格し、適性試験を合格すれば、運転免許試験場で運転免許証が取得できる[7]

750ccが特別な存在となった理由

[編集]

かつては大型自動二輪車の代名詞といえば排気量750ccの、いわゆる「ナナハン」であった。これはCB750FOURが販売された時、その200km/hを超える最高速度から、警察庁の要請により国内メーカーが日本で販売できるバイクの排気量を750ccまでとする、オートバイ製造企業の自主規制が行われたためである。

そのため、カワサキがZ1の排気量を750ccに抑えたZ2を開発したのを皮切りに、各社とも輸出用車両のシャーシに750ccのエンジンを搭載するケースが1980年代中頃まで見られた。

1988年(昭和63年)に自主規制が撤廃されて以来、エンジン排気量1,000ccを超える「リッターマシーン」車種が多く発売されているが、国内フェリーのバイク航送料金が750ccで区別されているのは、この名残である。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 実際には認可までに時間がかかり、1997年(平成9年)教習開始。

出典

[編集]
  1. ^ 道路交通法施行規則(昭和三十五年十二月三日総理府令第六十号)”. e-Gov (2019年9月19日). 2019年12月24日閲覧。 “2019年12月1日施行分”
  2. ^ 道路交通法施行規則 別表第一
  3. ^ http://www.unten-menkyo.com/2008/05/post_16.html
  4. ^ 警察庁丙運発第22号「指定自動車教習所の教習の標準」, 日本: 警察庁, (2010年8月31日) 
  5. ^ 社団法人全国二輪車安全普及協会(おすすめ情報)
  6. ^ 警察庁交通局運転免許課・指定自動車教習所の教習の標準 第1一般的な教習方法の標準等 4技能教習の一般的な教習方法の標準 (6)教習の移行
  7. ^ 日本自動車工業会 二輪車に関する法律・制度「二輪免許と普通自動車免許は学科が共通」

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]