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「日本における地震対策と体制」の版間の差分

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[[ファイル:Japan earthquake map.png|right|300px|thumb|日本の主な地震の震央。{{Color|red|赤はM 7以上}}、{{Color|blue|青は死者有り}}、{{Color|purple|紫は最大震度6以上}}<ref>{{Cite web|和書|title=世界の被害地震の表(古代から2010年まで)|url=http://iisee.kenken.go.jp/utsu/index.html|author=[[宇津徳治]]|accessdate=2013-02-11}} 1922年以前について準拠。</ref><ref>{{Cite web|和書|title=震度データベース検索|url=https://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/index.html|editor=[[気象庁]]|accessdate=2014-03-18}} 1923年以降について準拠。</ref>。(2013年2月10日作成)]]
{{出典の明記|date=2012年1月}}
'''日本における地震の対策と体制'''(にほんにおけるじしんのたいさくとたいせい)は、[[日本]]における[[地震]]([[震災]])への対策とその体制をまとめたものである。
{{独自研究|date=2012年5月}}
{{正確性|date=2012年5月}}
'''日本における地震の対策と体制'''は、[[日本]]における[[地震]]([[震災]])への対策とその体制をまとめたものである。


== 地震対策とその体制 ==
地震による災害とその被害は、典型的な[[自然災害]]に分類され、対策を通じて被害を軽減する取り組みが古くより行われてきた。現存する耐震性の高い建築物・構造物がその時代の耐震技術を伝えている。一方、地震の前触れや地震・津波への備えを謳った伝承・口承も残されてきた。しかし、19世紀から20世紀にかけての工業化、生活様式の変化、科学の発展といった様々な変化により、地震の被害やその対策は大きく様変わりした。地震に強く復興が早いインフラ(生活基盤)の整備が求められるようになり、建物の耐震性能が法的に義務付けられ、地震被害の多い地域では耐震化などの対策が進む一方、人口・政治経済が集中する都市での地震対策が重要な課題となった。一方、大規模な地震被害が発生するたびに、行政の対応、避難者の生活、復興支援など、次々と課題が生まれてきている。
地震対策とその体制について、本節では、個人や家庭、地域や防災組織、学校、企業や法人、国・自治体・公的機関に分けて説明する。


=== 個人・家庭 ===
本項では、個人や家庭が生活していく上での対策、地域や防災組織が行う対策、企業や法人が経営を行っていく上での対策、国や行政が行う対策の4つに分けて説明する。
[[ファイル:Earthquake Kit in Japan 2008.jpg|right|thumb|220px|非常持出袋の中身の例(懐中電灯、非常食、簡易医療セット、衛生用品など)]]

[[文部科学省]]は2010年に退避行動の指針を示した<ref>『[[#地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会 報告書(案)|地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会 報告書(案)]]』</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://www.irric.co.jp/risk_info/bcm/pdf/2010_03.pdf |title=地震防災研究を踏まえた退避行動のすすめ |work=BCMニュース 2010年第3号 |publisher=インターリスク総研 |format=PDF |date=2010-06-25 |accessdate=2016-06-04 }}</ref>。
== 退避行動 ==
[[文部科学省]]は2010年に国として初めて、退避行動の指針を示した<ref>2009年6月13日付読売新聞</ref><ref>それ以前は自治体などが注意を喚起していたが、科学的な検証に基づくものはなかった。</ref><ref>[http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/045/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2010/06/04/1294452_2.pdf 地震防災研究を踏まえた 退避行動等に関する作業部会 報告書 (案)] 文部科学省、2010年5月25日。</ref>。


; 推奨
; 推奨
* 外に出ない
* 外に出ない
** 大きな地震が起こった直後の行動として、耐震性の高い建物内にいる場合は屋外に出ず、安全な空間に移動する。もし耐震性に難のある建物の場合は、安全な空間を通って慌てずに屋外へ出る。移動が困難なほどの強い揺れの場合は無理に行動せず、可能なら安全な空間に移動する<ref>『[[#地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会 報告書(案)|地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会 報告書(案)]]』, pp. 51-52.</ref>。
** 地震が起こった直後の行動として、周囲に構造物が少ない開けた場所ではその場にうずくまることが奨められるが、建物・電柱・樹木などの構造物や斜面の近くでは、倒壊してくる物や飛散物を避けられる建物内の方が安全とされる。
* 頭を保護する
* 頭を保護する
** 屋内においても屋外においても、飛散物等を避けるために、(動ければ安全な場所に移動し、動けなければその場で)手の届くところに本やクッションなどがあればそれを使い、なければ手で覆うなどして、頭を保護するのが安全性は高いと考られる。
** 屋内においても屋外においても、(動ければ安全な場所に移動し、動けなければその場で)手の届くところに本やクッションなどがあればそれを使うなどして、頭を保護する<ref>『[[#地震防災研究を踏また退避行動等に関す作業部会 報告書(案)|地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会 報告書(案)]]』, pp. 44, 45, 51.</ref>
* 非常口の確保
** 余震で建物に歪みが生じ、戸やドアなどが歪んで開かなくなって脱出困難になることを防ぐため、大きな揺れが収まったらドアなどを開けて避難口を確保する<ref>『[[#地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会 報告書(案)|地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会 報告書(案)]]』, pp. 7, 52.</ref>。
; 場合により推奨
; 場合により推奨
* タンスにつかまる・机の下に隠れ
* 机の下など安全な空間移動す
** 自分から近い場所に机がある場合、また他にも安全を確保できる空間がある場合、頭を保護しながら移動する<ref>『[[#地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会 報告書(案)|地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会 報告書(案)]]』, p. 51.</ref>。タンスなど倒れにくい形状の家具に身を寄せることは従来から推奨されているが、固定されていない家具の場合はかえって危険である。万一の際に安全空間となるような措置を事前に措置を講じていない家具には近づかない<ref>『[[#地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会 報告書(案)|地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会 報告書(案)]]』, p. 44.</ref>。
** これらは、自分から近い場所にタンスや机などがある場合、また揺れが比較的小さく行動がしやすい場合に推奨される。遠い場合、揺れが大きい場合は危険性が増すのであえて行うべきではないと考えられる。
; 非推奨
; 非推奨
* 火を消す
* 火を消す
** 1990年代まで、「地震が起きたらまず火を消せ」という呼びかけが盛んに行われていたが、近年はこれが奨められなくなっている。これは、多くの[[都市ガス]][[液化石油ガス|LPガス]]事業者で、一定以上の揺れを検知すると自動でガスを遮断する[[マイコン]]内蔵のメーターが普及し、「地震発生時に火を消す」という行動がむしろ危険(着衣等着火するおそのほか、転倒や落下物による負傷、建物の倒壊や津波からの逃げ遅れ等が考られる)になったためる。
** 「地震が起きたらまず火を消せ」という呼びかけが盛んに行われていたが、近年はこれがれなくなっている<ref name="市民防災ラボsf03" />。これは、[[都市ガス]]は地震が発生すると各家庭へのガスの供給を遮断し、また多くの[[液化石油ガス|LPガス]]事業者一定以上の揺れを検知すると自動でガスを遮断する[[マイクロコントローラ|マイコン]]内蔵のメーターを設置ていることからガスレンジからの火災の発生のリスクよりも、火を消す熱せらた鍋やかんが落下して火傷を負うリスクを避けるほうを重視するうになったためであ<ref name="市民防災ラボsf03">{{Cite web|和書|url=http://bosailabo.jp/point/emergency/sf03.htm |title=「地震だ火を消せ!」から、今は「地震だ身を守!」 |work=防災のポイント 発災・避難時の対処 |publisher=市民防災ラボ |date=2009-03-31 |accessdate=2016-06-04 }}</ref><ref>『[[#地震防災研究を踏まえた退避行動に関する作業部会 報告書(案)|地震防災研究を踏また退避行動等に関す作業部会 報告書(案]]』, p. 50.</ref>。特北海道ど寒冷な地域暖房器具を使用してい時期に地震が発生した場合は、揺れが収まったら早急に暖房の火を消して火災を防ぐ<ref>[[#岡田 2014|岡田 2014]], p. 78.</ref>
* 非常口の確保
** 大きな地震により建物に歪みが生じ、戸や窓などが歪んで開かなくなって脱出困難になることを防ぐため、避難口の確保を優先せよという呼びかけも盛んに行われていた。ただ、過去事例の研究により、自分から遠い場所の避難口をあえて確保しようとする行動をとることで、危険性が高まる場合があることも分かっている。
{{節stub}}


現在居住される家屋でできる対策は、壁や筋交いを入れる補強などの事後措置に限られてくる<ref name="千葉県地震への備え">{{Cite web|和書|url=http://www.bousai.pref.chiba.lg.jp/portal/keihatsu/01_beaninf/01_earthquake/jishinnosonae.htm |title=地震への備え |work=防災まめ知識 |publisher=千葉県防災ポータルサイト |accessdate=2016-06-22 }}</ref>。既設の住宅については、[[耐震診断]]や[[リフォーム|補強]]のための費用の一部が、自治体から補助される場合がある<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.city.chiba.jp/toshi/kenchiku/jutakuseisaku/news_juukankyou.html |title=住宅の耐震診断・耐震改修補助制度 |work=くらし・地域・手続 住宅・建築物の耐震 |publisher=千葉市 |date=2016-06-14 |accessdate=2016-06-22 }}</ref>。[[家具]]の転倒を防止するために、家具自体を[[柱]]や[[梁 (建築)|梁]]に金具で固定してしまう方法がある。また、夜間に地震がある場合に備えてすぐ外に逃げられる部屋を寝室にし、転倒や落下のおそれのある家具も置かないようにするとより安全であろう<ref name="千葉県地震への備え" />。
== 個人・家庭 ==
個人が所有する住宅やその周辺では、個人による対策が必要不可欠となる。また、学校や職場、外出先などでも、一人ひとりが対策行動を行うことが、自身の安全を守ること、ひいては全体の被害抑制につながる。


=== 住宅 ===
=== 地域・自主防災組織 ===
{{see also|自主防災組織}}
[[阪神・淡路大震災]]では、死者6,000人のうち、約5,000人が[[木造]]住宅の倒壊によって圧死(その多くが即死)したとされる。したがって、出来るだけ新しい[[建築基準法]]に沿った、[[耐震補強|耐震住宅]]に住むことが望ましい。
地震による災害とその被害は、典型的には[[自然災害]]に分類され、対策を通じて被害を軽減する取り組みが古くより行われてきた。現存する耐震性の高い建築物や構造物がその時代の耐震技術を伝えている。また、地震の前触れや地震・[[津波]]への備えを謳った伝承や口承も残されてきた。しかし、19世紀から20世紀にかけての工業化、生活様式の変化、科学の発展といった様々な変化により、地震の被害やその対策は大きく様相が変化した。地震に強く復興が早い[[インフラストラクチャー|インフラ]](生活基盤)の整備が求められるようになり、建物の耐震性能が法的に義務付けられ、地震被害の多い地域では耐震化などの対策が進んだが、人口や政治経済が集中する都市での地震対策が重要な課題となった。また、大規模な地震被害が発生するたびに、行政の対応、避難者の生活、復興支援など、次々と課題が生まれている。


地震発生時の避難場所として、各自治体により地域の公園や学校などが指定されている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.city.chiba.jp/somu/kikikanri/hinanbasyoichiran.html |title=避難場所・避難所・広域避難場所に関する情報 |work=くらし・地域・手続 避難所・防災施設等 |publisher=千葉市 |date=2016-04-01 |accessdate=2016-06-22 }}</ref>。
一方、今住んでいる家でできる対策は、補強などの事後措置に限られてくる。既設の住宅については、[[耐震診断]]や[[リフォーム|補強]]のための費用の一部が、自治体から補助される場合がある。


地域住民が協力し合って大地震などの災害対策に取り組むのが[[自主防災組織]]である。家庭単位では対応が困難な大災害が発生した場合には、住民同士が助け合って(共助)被害の軽減を図る。自主防衛組織はしばしば[[町内会]]単位、あるいは町内会の下部組織、もしくはマンション単位、学区単位で構成され、災害発生時はもちろん平時にも防災活動を行っている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.pref.chiba.lg.jp/bousai/jishubousai/bousairyoku.html |title=地域の防災力向上の必要性(自主防災組織参考資料) |work=防災・安全・安心 自主防災組織 |publisher=千葉県 |date=2016-03-03 |accessdate=2016-06-22 }}</ref>。自主防災組織は、出火の防止や初期消火、住民の救出や避難誘導、負傷者の救護、食事や飲み水の配布、情報の収集や伝達といった対応を自主的に行う。被害が広範囲に及ぶような大地震では、行政や公的機関による救助や支援活動(公助)には限界があることから、自主防災組織の重要性・必要性が指摘されている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.pref.chiba.lg.jp/bousai/jishubousai/hitsuyousei.html |title=自主防災組織の必要性(自主防災組織参考資料) |work=防災・安全・安心 自主防災組織 |publisher=千葉県 |date=2013-04-01 |accessdate=2016-06-22 }}</ref>。
建物が地震に耐えられても、[[タンス]]など室内の[[家具]]が転倒することがある。家具の転倒を防止するために、[[天井]]と家具の上部に渡すつっかえ棒や、家具自体を[[柱]]や[[梁 (建築)|梁]]にL字金具で固定してしまう方法がある。


南海トラフ巨大地震で生じた津波は、地域によっては早ければ5分で住宅地に到達する。高齢などで避難時に援助が必要となる人(要援護者)の多い地域では、近隣の世帯で言わば「防災隣組」をつくり、地震が起きたら行政からの情報を待たず互いに声を掛け合い、要援護者も含めてグループで避難することで、津波による死者を減らすことが期待できる<ref name="nhk20160305">{{Cite web|和書|url=http://www.nhk.or.jp/fukayomi/maru/2016/160305.html |work=週刊 ニュース深読み |title=震災5年 “命を守る”防災はどこまで進んだ? |publisher=NHK |date=2016-03-05 |accessdate=2016-03-05 }}</ref>。
=== 職場・学校・外出先 ===
[[避難]]場所としては、市町村で[[公園]]や[[学校]]などが指定されており、各自治体から公開されている。


=== 学校 ===
商業施設や公共施設では、災害時の避難を容易にする法的基準が定められている。[[消防法]]によって、商業施設や宿泊施設などでは[[誘導灯]]の設置が義務付けられており、地震に伴う火災・停電時はもとより、明るい時でも、避難経路を確認する手段として有効である。また、同法によって、宿泊施設の各部屋や公共施設の見やすい場所に[[避難経路図]]を設置することも定められている。
2014年(平成26年)3月に中央防災会議が作成した『[[#大規模地震防災・減災対策大綱|大規模地震防災・減災対策大綱]]』においては、小学生や中学生の世代は「今後、地域防災の主体を担い、防災活動に大きな役割を果たすこととなる」と表現され、大地震や津波に関する知識や発生時の対応、地域での貢献などについての組織的かつ体系的な防災教育の必要性が謳われている<ref>『[[#大規模地震防災・減災対策大綱|大規模地震防災・減災対策大綱]]』, p. 16.</ref>。災害発生前から学校全体で防災意識を高める取り組みを続け、実際の災害時に児童・生徒が全員無事に避難できた例として、東日本大震災における[[岩手県]]の釜石市立鵜住居小学校、[[釜石市立釜石東中学校]]のケースがある。学校の校舎が[[明治三陸地震#明治三陸大津波|明治]]・昭和の両大津波の浸水区域や想定浸水区域の外にあるにもかかわらず、より安全な場所へと避難場所を3回変え、避難中の保育園児や高齢者を助けながら、地震発生時に学校にいた児童・生徒は全員が高台に避難した<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.ce.gunma-u.ac.jp/bousai/research02_3.html |title=釜石東中学校の生徒が、津波襲来前までに行ってきたEASTレスキューの活動と結果 |work=研究センター |publisher=[[群馬大学]]広域首都圏防災研究センター |date= |accessdate=2012-02-25 |url-status=dead|url-status-date=2016-02-12 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20110414020229/http://www.ce.gunma-u.ac.jp/bousai/research02_3.html |archivedate=2011-04-14 }}</ref><ref name="広報ぼうさい64">{{Cite web|和書|url=https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h23/64/special_01.html<!--2016-06-18にurl差し替え http://www.bousai.go.jp/kouhou/h23/64/special_01.html--> |title=釜石東中学校のみなさんの報告 |work=広報ぼうさい 平成23年度秋号(第64号)特集 東日本大震災から学ぶ - いかに生き延びたか |publisher=内閣府(防災担当) |date= |accessdate=2012-02-15 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|author=森本晋也(岩手県教育委員会) |url=https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo5/012/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2014/08/07/1350542_07.pdf |title=総合的な学習の時間における防災教育の実践例 - 釜石市立釜石東中学校の取組 |work=中央教育審議会スポーツ・青少年分科会学校安全部会資料 |publisher=文部科学省 |format=PDF |date=2014-06-30 |accessdate=2016-07-02 }}</ref>。釜石市内全体でも児童・生徒の多くは無事であった。この出来事は「釜石の奇跡」として広く知られることとなった<ref name="広報ぼうさい64" />([[津波てんでんこ#近年の実践例]]も参照)。


2014年(平成26年)3月に文部科学省の「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」は、学校施設に関する津波対策や地域の避難所としての機能強化についての基本的な考え方や具体的な留意点などを取りまとめた。津波対策としては学校周辺に安全な場所がない場合は校舎の高層化や高台移転の検討、避難所としては3日分の非常食や簡易トイレなどの備蓄の推進、といった内容を挙げている<ref>{{Cite web|和書|url=http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140228/dst14022800500002-n1.htm |title=学校の高台移転や高層化促進へ 津波対策で文科省 |work=産経ニュース |date=2014-02-28 |accessdate=2012-03-01 |url-status=dead|url-status-date=2016-02-12 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20140227210603/http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140228/dst14022800500002-n1.htm |archivedate=2014-02-27 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2014/03/07/1344865_1.pdf |title=(概要版)災害に強い学校施設の在り方について - 津波対策及び避難所としての防災機能の強化 |work=「災害に強い学校施設の在り方について~津波対策及び避難所としての防災機能の強化~」の取りまとめについて |publisher=文部科学省 |format=PDF |date=2014-03-07 |accessdate=2016-07-02 }}</ref><ref>調査研究協力者会議等(文教施設) 学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議 「[https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/013/toushin/1344800.htm 『災害に強い学校施設の在り方について~津波対策及び避難所としての防災機能の強化~』の取りまとめについて]」 文部科学省大臣官房文教施設企画部施設企画課、2014年3月7日。2016年7月2日閲覧。</ref>。この報告を受け、文部科学省では幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校すべての学校施設整備指針を改定した<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/013/toushin/__icsFiles/afieldfile/2014/07/25/1350224_01_2.pdf |title=学校施設整備指針の主な改正内容 |work=学校施設整備指針の改正について |publisher=文部科学省 |format=PDF |date=2014-07-25 |accessdate=2016-07-02 }}</ref><ref>調査研究協力者会議等(文教施設) 学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議 「[https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/013/toushin/1350224.htm 学校施設整備指針の改正について]」 文部科学省大臣官房文教施設企画部施設企画課、2014年7月25日。2016年7月2日閲覧。</ref>。
== 地域組織 ==
地域によっては[[自主防災組織]]が組織され、地震対策を主導・サポートしている場合がある。家庭レベルでは、これに参加したり、支援を受けたりすることができる。また、町内会や学校等と連携して地震対策を行う例もある。


== 企業 ==
=== 企業 ===
{{see also|事業継続計画|自衛消防組織}}
一般的に企業では、社員の安全確保はもとより、業務遂行や生産継続などの観点から、地震の被害を受けてからその被害を一刻も早く復旧することが求められる。経営視点では、[[事業継続マネジメント]](BCM)を通じて[[事業継続計画]](BCP)を作成し、これに沿って対策を行うのが一般的である。一定規模以上の事業所は[[自衛消防組織]]の設置が義務付けられており、地震の際の自衛防災組織の活動を計画しておくことも求められる。
一般的に企業では、大地震をはじめとする大災害が発生し被災しても、社員の安全確保はもとより、社会的責任の観点から業務遂行や生産継続を一刻も早く再開することが求められる。東日本大震災の発生前から、政府や[[地方公共団体|地方自治体]]は企業に対し[[事業継続計画]] (BCP) の必要性を説明していた<ref>[[#小川 2012|小川 2012]], p. 201.</ref>。BCPは、[[事業継続マネジメント]] (BCM) に基づいて運用すべきとされている。BCPを業務内容の変化に合わせて弾力的に運用し、非常時に備えた準備や訓練も実施して、確実な効果を発揮するように管理していくのがBCMである<ref>[[#小川 2012|小川 2012]], p. 203.</ref>。BCPを策定していたある企業が大地震発生後も業務を継続できたとしても、その取引先が業務停止となった影響を受けて業務が滞ることも想定されるため、BCPは一企業だけではなくその取引先や顧客も策定するのが望ましい<ref>[[#小川 2012|小川 2012]], pp. 205-206.</ref>。中小企業であっても、BCPは[[サプライチェーン・マネジメント]]の観点からも避けて通れないものとなっている<ref>[[#小川 2012|小川 2012]], p. 206.</ref>。


[[消防法|消防法令]]が定める用途・規模の事業所には、[[自衛消防組織]]の設置が義務付けられており、地震や火災の際の活動を計画しておくことが求められている。地震発生の際は、自衛消防組織が来客の避難誘導等にあたることになる<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/jiei_shoubou/ |title=平成21年6月1日施行 自衛消防組織の設置 |work=安心・安全 事業所向けアドバイス |publisher=東京消防庁 |accessdate=2016-06-24 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/hourei_kaisei/index.html |title=大規模地震等に対応した自衛消防力確保に係る消防法令の改正 |work=安心・安全 事業所向けアドバイス |publisher=東京消防庁 |accessdate=2016-06-24 }}</ref>。
== 国・自治体・公的機関 ==
=== 自治体の対策 ===
地震による被害が発生した場合、救助・救急や火災の消火活動を行うのは主に市町村の[[消防本部]]と[[消防団]]である。自治体による地震対策の1つとして、消防本部や消防団における、地震時の対応を想定した装備・設備の改良や訓練等が挙げられる。装備改良や訓練などは一般的に過去の事例を踏まえて行われるものであり、地震被害を経験した地域の消防からノウハウを提供してもらう必要がある。また、消防により定期的に行われている広報活動を通じて、地震への対策を市民に呼び掛ける手法も多用される。


商業施設では来所した一般客を避難誘導する訓練も重視されている。たとえば、[[東京ディズニーリゾート]]([[千葉県]])では開園時間前に、従業員の家族を一般客に見立てての防災訓練を実施している。会社内の事情を知らない人々が参加することにより、開園時間帯に地震などの災害が発生し一般客を対象に避難誘導などを行う状況に近い、実践的な訓練を行えるという<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.olc.co.jp/csr/safety/others.html |title=東京ディズニーリゾートの警備・救護・防災 |work=CSR情報 安全・安心の確保(テーマパークの安全) |publisher=[[オリエンタルランド]] |accessdate=2016-06-23 }}</ref>。2016年2月には、閉園後の時間に[[東京ディズニーシー]]で大地震を想定した防災訓練を実施し、利用客約2,700人が参加している<ref>{{Cite web|和書|url=http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20160216/5840761.html |title=ディズニーで大地震想定の訓練 |work=NHK 首都圏NEWS WEB |date=2016-02-16 |accessdate=2016-06-23 |url-status=dead|url-status-date=2017-10 |archiveurl=https://archive.is/20160216050805/http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20160216/5840761.html |archivedate=2016-02-16 }}</ref>。
他方で、自治体による防災活動の一環として、例えば耐震性の低い建物・構造物の調査・補修など、地震災害の危険箇所を調査してその対策を講じることも求められる。また、耐震性や危険箇所の情報公開を行うなどの対策も必要とされている。


=== 国・自治体・公的機関 ===
[[一次避難場所]]・[[広域避難場所]]・[[収容避難場所|避難所]]等の設定を行うのも自治体であり、その責任を負っている。また、それに関連して[[防災倉庫]]等を設置することも求められる。
{{出典の明記|section=1|date=2016年6月3日 (金) 16:00 (UTC)}}

=== 国家的対策 ===
==== 国 ====
地震対策にあたる主な国の機関を挙げる。
==== 記念日 ====
* [[防災の日]] 9月1日・・1923年(大正12年)9月1日に発生した[[関東大震災]](1960年(昭和35年)6月17日閣議了解)
* [[津波防災の日]] 11月5日・・1854年(嘉永7年)11月5日に発生した[[安政南海地震]]([[津波対策推進法]]2011年6月24日・「[[稲むらの火]]」の故事にちなむ。)
* [[防災とボランティアの日]] 1月17日・・1995年(平成7年)1月17日に発生した[[阪神・淡路大震災]](1995年12月15日の閣議了解)
* [[防災とボランティア週間]] 1月15日~21日 (1995年12月15日の閣議了解)

==== 機関 ====
国の機関(国立大学を含む)による地震対策を見てみると、日本には地震に関する組織が比較的多い。
; [[地震予知総合研究振興会]]
: [[地震予知]]と防災に関する研究を目的として、1981年1月22日に設立された[[財団法人]]。下部組織に[[地震防災評価機構]]、[[地震調査研究センター]]、[[東濃地震科学研究所]]がある。
: {{節stub}}
; [[地震調査研究推進本部]]
; [[地震調査研究推進本部]]
: 1995年の阪神・淡路大震災から、1995年7月に制定された'''地震防災対策特別措置法'''に基づいて設置された組織である(略称'''本''')。
: 1995年の阪神・淡路大震災から、1995年7月に制定された'''[[地震防災対策特別措置法]]'''に基づいて設置された組織である(略称: '''地震''')。
: 地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進について総合的かつ基本的な施策を立案することなどを目的としている(同法第7条第2項)。発足当時は、[[総理府]]に設置されていたが、[[中央省庁再編]]によって[[文部科学省]]へ移管された。本部長は文部科学大臣である。本部の下に'''政策委員会''''''地震調査委員会'''(2007年現在の委員長は[[阿部勝征]]地震調査研究センター所長)が設置されている。
: 地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進について総合的かつ基本的な施策を立案することなどを目的としている(同法第7条第2項)。発足当時は、[[総理府]]に設置されていたが、[[中央省庁再編]]によって[[文部科学省]]へ移管された。本部長は文部科学大臣である。本部の下に政策委員会と地震調査委員会が設置されている。
: 政策委員会は関係各省庁の局長級幹部、地方自治体の長、学識経験者によって構成されており、各省庁の地震に関する研究及び調査観測計画の調整、予算配分の方針、調査の成果を社会に広報するための方針など審議している。定められた観測計画に基づき、[[強震計]]、[[高感度地震計]]、[[グローバル・ポジショニング・システム|GPS]]連続観測点が全国に各1,000点ずつ整備された。この観測体制は世界随一である。また、[[地方自治体]]に交付金を配分し、[[活断層]]や地下構造の調査をさせている。
: 政策委員会は関係各省庁の局長級幹部、地方自治体の長、学識経験者によって構成されており、各省庁の地震に関する研究及び調査観測計画の調整、予算配分の方針、調査の成果を社会に広報するための方針など審議している。定められた観測計画に基づき、[[地震計#強震計、震度計|強震計]]、[[地震計#高感度地震計|高感度地震計]]、[[グローバル・ポジショニング・システム|GPS]]連続観測点が全国に各1,000点ずつ整備された。この観測体制は世界随一である。また、地方自治体に交付金を配分し、[[断層#活断層|活断層]]や地下構造の調査をさせている。
: [[地震調査委員会]]では[[国立大学法人]]や[[行政法人]]などの研究者が毎月集まり、国内の地震活動の状況について検討し、評価文を毎回公表している。大地震が発生した場合には一両日中に臨時会が招集され、検討が行われる。また、地震調査委員会の下に設置される[[長期評価部会]]では、全国の98の主要活断層や主な[[海溝型地震]]についてその危険性を検討し、発生確率や規模などを公表している。同じく[[強震動評価部会]]では、長期評価部会での評価に基づき、それらの地震が実際に発生した場合の揺れの大きさをコンピュータシミュレーションによって試算した[[地震動予測地図]]を作成する作業を進めている。2005年3月末には全国を概観した地震動予測地図の第一版が完成し、[[表層地盤増幅率]]など、各地域で将来見舞われる地震動の大きさが把握できるようになった。これは「[http://www.j-shis.bosai.go.jp/ 地震ハザードステーション]」でも公開されている。
: 地震調査委員会では[[国立大学法人]]や[[研究開発法人]]などの研究者が毎月集まり、国内の地震活動の状況について検討し、評価文を毎回公表している。大地震が発生した場合には一両日中に臨時会が招集され、検討が行われる。また、地震調査委員会の下に設置される長期評価部会では、全国の97の主要活断層や主な[[海溝型地震]]についてその危険性を検討し、発生確率や規模などを公表している。同じく強震動評価部会では、長期評価部会での評価に基づき、それらの地震が実際に発生した場合の揺れの大きさをコンピュータシミュレーションによって試算した地震動予測地図を作成する作業を進めている。2005年3月末には全国を概観した地震動予測地図の第一版が完成し、[[表層地盤増幅率]]など、各地域で将来見舞われる地震動の大きさが把握できるようになった。これは「[https://www.j-shis.bosai.go.jp/ 地震ハザードステーション]」でも公開されている。
; [[中央防災会議]]
; [[中央防災会議]]
: '''災害対策基本法'''に基づいて設置された[[内閣総理大臣]]を長とする機関であり、事務局は[[内閣府]]である。
: '''[[災害対策基本法]]'''に基づいて設置された[[内閣総理大臣]]を長とする機関であり、事務局は[[内閣府]]である。
: 会議は[[内閣総理大臣]]、全ての[[閣僚]]、指定公共機関の長4名(2007年現在は[[日本銀行]]総裁、[[日本赤十字社]]社長、[[日本放送協会|NHK]]会長、[[日本電信電話|NTT]]社長)及び学識経験者4(2007年現在は阿部勝征地震調査研究センター所長、[[重川希志依]][[富士常葉大学]]教授、[[石川嘉延]]静岡県知事、秋本敏文日本消防協会理事長)によって構成されている。国の防災基本計画の策定や重要施策の決定、'''大規模地震対策特別措置法'''に基づく[[東海地震]]の[[地震防災対策強化地域]]の指定(2002年4月見直し)、[[東南海・南海地震]]に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法に基づく[[地震防災対策推進地域]]の指定(2003年12月)などを行っている。地震のほかにも火山災害や風水害などの政策も担っている。
: 会議は内閣総理大臣、全ての[[閣僚]]、指定公共機関の長4名(2015年現在は[[日本銀行]]総裁、[[日本赤十字社]]社長、[[日本放送協会|NHK]]会長、[[日本電信電話|NTT]]社長)及び学識経験者5名によって構成されている。国の防災基本計画の策定や重要施策の決定、[[大規模地震対策特別措置法]]に基づく[[東海地震]]の[[地震防災対策強化地域]]の指定(2002年4月見直し)、[[東南海・南海地震]]に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法に基づく[[地震防災対策推進地域]]の指定(2003年12月)などを行っている。地震のほかにも火山災害や風水害などの政策も担っている。
; [[気象庁]]
; [[気象庁]]
: '''気象業務法'''に基づいて地震観測を行って、[[マグニチュード]]や[[震度]]などの地震情報を発表している。
: '''[[気象業務法]]'''に基づいて地震観測を行って、[[マグニチュード]]や[[気象庁震度階級|震度]]などの地震情報を発表している。
: また、東海地震予知のための[[地震防災対策強化地域判定会]](通称'''判定会''')を設置しており、気象庁が行っている前兆現象の観測結果から東海地震の発生が予知された場合には内閣に報告し、内閣総理大臣が警戒宣言を発令する。判定会の会長は2008年4月現在[[阿部勝征]][[東京大学]][[名誉教授]]である。[[1996年]]~2008年3月までは[[溝上恵]]東京大学名誉教授が就いていた
: また、東海地震予知のための[[地震防災対策強化地域判定会]](通称: '''判定会''')を設置しており、気象庁が行っている前兆現象の観測結果から東海地震の発生が予知された場合には内閣に報告し、内閣総理大臣が警戒宣言を発令する。
{{Gallery
; [[地震予知連絡会]]
|ファイル:Kasumigaeki common gate.jpg|地震調査研究推進本部が入る[[霞が関コモンゲート]](右側)([[東京都]][[千代田区]])
: [[国土交通省]][[国土地理院]]に設置されている。地震予知に関する観測データや研究成果などの情報交換のために設置されている。法律で設置されているわけではなく、研究者間の情報交換が主な目的であり、何か政策を決定するという類の会議ではない。通常は3か月に1回開催される。
|ファイル:Koseirodosho1.jpg|内閣府(防災担当)が入る[[中央合同庁舎第5号館]](東京都千代田区)
: 国立大学法人[[北海道大学]]、[[東北大学]]、[[東京大学]]、[[東京工業大学]]、[[名古屋大学]]、[[京都大学]]、[[九州大学]]、独立行政法人[[防災科学技術研究所]]、独立行政法人[[海洋研究開発機構]]、独立行政法人[[産業技術総合研究所]]、[[海上保安庁]]、[[気象庁]]、[[国土地理院]]から選出された30人の委員及び若干名の臨時委員と名誉委員から構成される。委員の交代はあるが、構成機関は当該機関の組織改編などを除けば変わることはほとんどないといってよい。2007年現在の会長は、[[大竹政和]]東北大学名誉教授(在任2001年4月~)である。歴代会長は[[萩原尊禮]](在任1969年4月~1981年3月)、[[浅田敏]](在任1981年4月~1991年3月)、[[茂木清夫]](在任1991年4月~2001年3月)と、その時代の地震予知研究の代表的な地震学者が会長に就任している。
|ファイル:Kisyoucho-building-200512.jpg|気象庁(東京都千代田区)
; [[地震予知研究協議会]]
}}
: [[東京大学]]地震研究所に1978年に設置された機関である。東京大学の機関であるが、「地震予知のための新たな観測研究計画の推進について」という[[建議]]に基づき、各国立大学で行われている地震予知研究の方針、観測計画や予算に関する調整を大学間で行っている。大地震発生時の緊急対応のほか、政府と大学の間の窓口としての役割も担っている。2007年現在、国内の各地域を分担するように、[[北海道大学]]・[[弘前大学]]・東北大学・東京大学・名古屋大学・京都大学・[[高知大学]]・九州大学・[[鹿児島大学]]によって運営されている。


なお日本では、過去に震災のあった日を記念日に定めており、国民の防災意識を高めるためのさまざまな行事を実施している。
地震が発生した場合、その情報を早く的確に伝えることが、被災地における混乱の防止、救助・支援の促進などにつながる。[[日本放送協会|NHK]]では、本震の最大震度が6弱以上の揺れを観測する地震の発生や、津波警報が発表された場合、国際放送([[NHKワールド]])を含む[[テレビ]]・[[ラジオ]]のすべての番組を中断して、地震や津波の情報を伝えている(8波全中)。テレビでの地震情報は[[NHK総合テレビジョン|総合テレビ]]、衛星放送全チャンネル(衛星放送は震度3以上のみ)でテロップ表示を行う([[NHK教育テレビジョン|教育テレビ]]でも稀に表示されるが、NHKワールドでは一切表示していない)。ラジオでは[[NHKラジオ第1放送|ラジオ第1放送]]で該当地域のみ番組を中断し放送される([[NHK-FM放送|FM放送]]は[[ラジオ深夜便]]の放送時のみに限られる)。FM放送は日中の放送では地震情報は放送されないが、津波が発生する可能性がある地震に限り番組を中断して放送される。[[NHKワールド・ラジオ日本]]については全国一斉に流れる場合に限りそのまま放送される。
* [[防災の日]]:9月1日 - 1923年(大正12年)9月1日に発生した[[関東大震災]](1960年(昭和35年)6月17日閣議了解)
* 津波防災の日:11月5日 - 1854年12月24日([[嘉永]]7年[[11月5日 (旧暦)|11月5日]])に発生した[[安政南海地震]]における「[[稲むらの火]]」の故事にちなむ。[[津波対策の推進に関する法律]](2011年(平成23年)6月24日施行)で制定<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.city.chiba.jp/somu/bosai/115tsunamibosai.html |title=11月5日は「津波防災の日」です |work=くらし・地域・手続 防災関連情報 |publisher=千葉市 |date=2015-03-11 |accessdate=2016-06-24 }}</ref>
* [[防災とボランティアの日]]:1月17日 - 1995年(平成7年)1月17日に発生した[[阪神・淡路大震災]](1995年12月15日の閣議了解)
* [[防災とボランティア週間]]:1月15日から同月21日まで -(1995年12月15日の閣議了解)


==== 自治体 ====
NHK以外の[[民間放送]]でも、概ね震度3以上の地震発生時、あるいは津波情報発表時にはテロップ表示を行っている。
{{独自研究|section=1|date=2016年6月25日 (土) 11:20 (UTC)}}
地震による被害が発生した場合、救助・救急や火災の消火活動を行うのは主に市町村の[[消防本部]]と[[消防団]]である。自治体による地震対策の1つとして、消防本部や消防団における、地震時の対応を想定した装備・設備の改良や訓練等が挙げられる。また、消防により定期的に行われている広報活動を通じて、地震への対策を市民に呼び掛ける手法も多用される。


自治体による防災活動の一環として、例えば耐震性の低い建物・構造物の調査・補修など、地震災害の危険箇所を調査してその対策を講じることも求められる。また、耐震性や危険箇所の情報公開を行うなどの対策も必要とされている。
このほか、コンピュータで地震や津波の情報を配信・共有する[[P2P地震情報]]などの[[ソフトウェア]]や、同報系[[市町村防災行政無線]]により、屋外スピーカーで津波情報や地震に対する警戒を広域に呼びかける手法、[[感震計]]により強い揺れを観測した際に警告を発する手法もある。また、NHKなどでは津波警報発表時や東海地震警戒宣言発表時に[[緊急警報放送]]を行っている。


一次避難場所・[[広域避難場所]]・[[収容避難場所|避難所]]等の設定を行うのも自治体であり、その責任を負っている。また、それに関連して[[防災倉庫]]等を設置することも求められる。
地震の揺れが到達する前の対策として、日本においては{{要出典範囲|現在、一部の[[鉄道]]で[[ユレダス]]が運用されている|date=2012年5月}}。また、これまでも一部で運用されてきたが、2007年10月からは一般に向けた[[緊急地震速報]]の運用が開始された。

{{節スタブ|地方自治体のBCPについて|date=2016年6月25日 (土) 11:20 (UTC)}}

==== 公的機関 ====
地震対策にあたる主な公的機関を挙げる。
; [[地震予知総合研究振興会]]
: 地震予知と防災に関する研究を目的として、1981年1月22日に設立された[[公益法人|公益財団法人]]。下部組織に[[地震防災評価機構]]、[[地震調査研究センター]]、[[東濃地震科学研究所]]がある。
; [[地震予知連絡会]]
: [[国土交通省]][[国土地理院]]に設置されている。地震予知に関する観測データや研究成果などの情報交換のために設置されている。国立大学法人[[北海道大学]]、[[東北大学]]、[[筑波大学]]、[[東京大学]]、[[東京工業大学]]、[[名古屋大学]]、[[京都大学]]、[[九州大学]]、[[統計数理研究所]]、国立研究開発法人[[防災科学技術研究所]]、国立研究開発法人[[海洋研究開発機構]]、国立研究開発法人[[産業技術総合研究所]]、[[海上保安庁]]、気象庁、[[国土地理院]]から選出された30人の委員及び若干名の臨時委員と名誉委員から構成される。
; [[地震・火山噴火予知研究協議会]]
: 東京大学地震研究所に1978年に設置された機関である。東京大学の機関であるが、「地震予知のための新たな観測研究計画の推進について」という建議に基づき、各国立大学で行われている地震予知研究の方針、観測計画や予算に関する調整を大学間で行っている。大地震発生時の緊急対応のほか、政府と大学の間の窓口としての役割も担っている。2007年現在、国内の各地域を分担するように、北海道大学・[[弘前大学]]・東北大学・東京大学・名古屋大学・京都大学・[[高知大学]]・九州大学・[[鹿児島大学]]によって運営されている。


{{節スタブ|date=2016年2月12日 (金) 12:55 (UTC)}}
大地震による災害時には、[[電話]]など[[輻輳|通信の混雑]]への対策として[[災害用伝言ダイヤル]]が設置されるなどしている。[[携帯電話]]・[[PHS]]においても[[災害用伝言板サービス]]等の同様の[[World Wide Web|ウェブ]]上サービスがある。また、自治体や民間が協力して[[臨時災害放送局]]を設置し、被災者への情報提供が行われた例もある。


== 地震対策の問題点 ==
== 大規模地震の事前の対策 ==
{{未検証|date=2012年3月|section=1}}
<ref>[http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1062/index.htm 河北新報 コルネット 特集/3.11大震災]</ref>


=== 想定 ===
=== 想定 ===
[[ファイル:Tectonic plates around Japan.png|thumb|right|200px|日本列島周辺の[[プレート]]の分布]]
[[ファイル:日本(プレート境界).jpg|thumb|right|200px|日本列島周辺のプレート境界と主な地震および活断層]]
日本では、地震に対する防災対策を進めるために調査観測体制がとられ、地震調査研究が行われてきた。
日本では、地震に対する防災対策を進めるために調査観測体制がとられ、地震調査研究が行われてきた。


想定は、過去の歴史地震による。今後起こりうる南海トラフ巨大地震などの大地震やそれに伴う津波の規模、被害範囲などを想定することは非常に難しく、想定した規模が実際に起こる最大規模の地震・津波であるとは言い切れない<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/model/pdf/chukan_matome.pdf<!--2016-06-18にurl差し替え http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/nankai_trough/chukan_matome.pdf--> |title=南海トラフの巨大地震モデル検討会中間とりまとめ |author=南海トラフの巨大地震モデル検討会 |publisher=内閣府(防災担当) |format=PDF |date=2011-12-27 |accessdate=2012-03-31 |page=5 |quote=「3.南海トラフにおける最大クラスの地震・津波の考え方」より引用:''現時点の限られた資料では、過去数千年間の地震・津波の記録だけに基づく地震・津波の震度分布・津波高の推定は難しく、仮にそれを再現したとしても、それが、今後発生する可能性のある最大クラスの地震・津波であるとは限らない。''}}</ref>。
地震学者による想定(特に確率)は、過去の歴史地震による。ところがM8クラス以上の地震は数百年-数千年の間隔で起こる<ref>[http://www.zisin.jp/modules/pico/index.php?content_id=1455 内陸大地震の謎を探る ~長町-利府断層を舞台に~]「なゐふる」第16号(1999年11月)『長町-利府断層は仙台の中心部を横切る活断層で、活動間隔は4千5百年から5千年である。これはM8を起こさないと考えられている。</ref>とされており、規模が大きいほど間隔は長いと考えられており、歴史地震から学ぶことができないことは数十年前から知られていた。それにもかかわらず、政府の海溝型巨大地震の予想は、100年程度の地震の歴史から想定されていた。地震学会の反省<ref>[http://zisin.jah.jp/pdf/SSJ_final_report.pdf 「地震学の今を問う(日本地震学会東北地方太平洋沖地震対応臨時委員会報告)2012年5月]</ref>にあったように、「空白域で地震が起きる」「ゆっくり地震によるひずみの解放」「東北地方では連動しない」などという想定である(必ずしも誤りではない)<ref>今村明恒博士が南海トラフの連動性を指摘して昭和南海地震を予知した故事や、数年前から東北地方の大津波の痕が発見されていたことも軽視されていた。</ref>。またトレンチ調査(溝を掘って地層を見る)の歴史は約20年であり<ref>2013年に立川断層が従来考えられていた逆断層ではなく、横ずれ断層であることが大規模なトレンチ調査で判明した。</ref>、津波堆積物による調査の歴史は約10年である<ref>最近海溝部の深層ボーリング調査が行われている。</ref>。原子力発電所に対する活断層調査は{{要出典範囲|不十分であったと公的に結論づけられている|date=2012年4月|title=加筆が行われた2012年1月28日 (土) 14:32 (UTC)以前に公表されていた資料の明示を求める。執筆の基となった情報と、その後に発表された情報との独自合成を避けるため。}}<ref>[http://www.tepco.co.jp/cc/direct/images/071221a.pdf 平成15年に実施した柏崎刈羽原子力発電所海域活断層の再評価に関する調査結果について]東京電力 平成19年12月21日</ref><ref>[http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh201204260091.html 「原発と活断層 立地の総点検迫られる」中国新聞2012年4月26日社説『日本原電は2004年に3, 4号機増設を申請した際も「浦底断層は活断層ではない」としていた。しかし、今年3月、この断層の地震エネルギーが想定の2倍以上と分かり、加えて基礎データを05年には得ていたことが明るみに出た。』]</ref><ref>[http://www.47news.jp/47topics/e/232099.php 『再稼働の大飯、断層調査へ 志賀原発も 専門家から要望続出 原子力安全・保安院』共同通信2012/07/17 18:23]石川県の北陸電力志賀(しか)原発1号機原子炉建屋直下を走る「S―1断層」は、活断層専門の今泉俊文東北大教授が「典型的な活断層だ。あきれてものが言えない」などと述べた。</ref><ref>[http://www.nisa.meti.go.jp/oshirase/2012/09/240914-1-1.pdf 耐震バックチェックにおける北陸電力(株)志賀原子力発電所S-1破砕帯の取り扱いに関する調査結果報告]原子力安全保安院平成24年9月14日p4『そもそも「バックチェックルール」の中で[[破砕帯]]の扱いが不明確』</ref><ref>「・D-14 破砕帯を対象としたトレンチ調査((5))トレンチ調査計画位置(当初計画位置)で実施したボーリング調査でD-14 破砕帯
を確認できなかった」(添付資料1 敦賀発電所 敷地内破砕帯の活動性評価に係る追加調査の工程見直しについて[http://www.japc.co.jp/news/press/2012/pdf/241116.pdf 敦賀発電所 敷地内破砕帯の活動性評価に係る追加調査および敷地周辺活断層の連動性評価に係る追加の地形・地質調査の工程見直しについて]日本原子力発電2012年11月16日) </ref>。津波堆積物による調査でさえ数千年程度しかさかのぼれない。
:: 「現時点の限られた資料では、過去数千年間の地震・津波の記録だけに基づく地震・津波の震度分布・津波高の推定は難しく、仮にそれを再現したとしても、それが、今後発生する可能性のある最大クラスの地震・津波であるとは限らない。」(「[http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/nankai_trough/chukan_matome.pdf 内閣府南海トラフの巨大地震モデル検討会中間とりまとめ]」、南海トラフの巨大地震モデル検討会、5頁「3. 南海トラフにおける最大クラスの地震・津波の考え方」より引用)<ref>考えられる最大の地震はM10。東北大の松澤暢教授が3,000kmの断層が60mずれるとして想定した。[http://www.asahi.com/science/update/1122/TKY201211220376.html 「最大地震はM10と推定」 地震学者、予知連で報告]朝日新聞2012年11月22日11時38分</ref>
::: 最近[[小笠原諸島]]近海での海底地形調査の結果として、巨大地震と津波を起こした可能性が示された。今まで全く研究されていないところである<ref>[http://www.nikkei.com/tech/trend/article/g=96958A90889DE1EBE6E6EAE2E5E2E2EBE2E1E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2;p=9694E0E5E2E0E0E2E3E0E4E7E2E5 M9級巨大地震 政府調査委、想定見直し 北海道や中部、危険性指摘する声 :日本経済新聞 2012/3/10 7:00 ]</ref><ref>[http://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/rzisin/kaishi_21/FP065-079.pdf 都司 嘉宣「小笠原諸島の津波史」歴史地震21号]</ref><ref>[[チリ地震津波]]や[[カスケード地震]]津波の例などにもあるように、遠隔地津波の研究は進んでいない。太平洋と周辺のほぼ全域から日本に津波が来る可能性を考えると、津波の来襲頻度は低くなく、いままで「[[ゆっくり地震]]」津波とされてきた中にも遠隔地津波があると考えられている。</ref>。
:::2012年10月、[[伊豆大島]]南方10kmに「[[大室ダシ]]」と呼ばれる[[海底火山]]が発見された。この火山が爆発した場合、[[首都圏]]に大量の[[火山灰]]と大津波が襲う可能性が指摘されている<ref>約7,000年前[[鹿児島県]][[薩摩硫黄島]]付近の海底火山の爆発で大量の降灰と大津波があったとみられている。[[1883年]]の[[インドネシア]]の[[スンダ海峡]][[クラカタウ]]山の巨大噴火では、大津波で約4万人が死亡した</ref><ref>「地震なくても津波起きる? 海底噴火、監視難しく」ナゾ謎かがく」2012年12月23日 日本経済新聞</ref><ref>[http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20121011/ 伊豆大島南方の大室ダシにおける浅海海底熱水域の活動状況の調査について]2012年10月11日 独立行政法人海洋研究開発機構 プレスリリース</ref>。


{{節スタブ|1=<nowiki />
東北地方太平洋沖地震後に日本列島全体にかかる歪みが変化し、日本中の地震発生確率が(場所によっては10倍以上)上昇した。
* 全体的な内容の加筆
:: [[島崎邦彦]]の数年前の研究でも、日本列島の地震に規則性はなく[[カオス]]的であったという{{要出典|date=2012年4月}}。[[阪神・淡路大震災]]以前には「関西に地震は来ない」という[[神話]]があり、東日本大震災以前には「東北に大きな地震・津波被害はない」という神話<ref>3.11 の2年前に出た「福島市役所における今後30年以内に震度6弱以上の揺れの確率を0.9%、仙台市4%、盛岡市0.7%(地震調査委員会、2010,12頁)」という公式予測に基づく。</ref>があった。まだ地方によっては「地震は他の地方のこと」という考えがある。
* 2016年6月報道の、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示した2016年版「全国地震動予測地図」について
::2012年12月政府の[[地震調査委員会]]は都道府県庁舎が30年以内に震度6弱以上の揺れに襲われる確率を公表した。1位の[[静岡市]]は89.7%<ref>確率を計算した静岡県庁は、静岡県内では特に地盤が固いところであり、例えば2km北の中央高校付近では確率ははるかに高いと推測される。</ref>、2位の津市は87.4%、千葉市は2010年の予想より12%上昇し75.7%となり、水戸市は2倍に(31%)上昇し62.3%となった<ref>横浜71、甲府55、大阪63、奈良70、高知66、徳島64、名古屋46、大分50。根室65、那覇25%、東京23%。</ref><ref>東京都は[[新宿区]][[西新宿]]にある都庁舎が淀橋台・[[東京礫層]]という固い地盤に載っているため揺れにくく23%であるが、新宿区内でも遙かに高いところがあるし、下町0m地帯などでははるかに揺れると考えられる。他の地域も道府県庁の地盤に左右される。また表示は小数2位まであるが、有効数字はせいぜい2桁であると公式に注記され、2010年の予測が2011年3月に示されたようにどこまで正しいか不明であり、あくまでも目安である。</ref><ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/1221.html 震度6弱以上 地域の確率は 12月21日 23時10分]</ref><ref>[http://www.jishin.go.jp/main/chousa/12_yosokuchizu/2012hikaku.pdf 都道府県庁所在地の市役所(東京は都庁)及び北海道の総合振興局・振興局庁舎付近(庁舎位置を含むメッシュの中心位置)において、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率(平均ケース)]今後の地震動ハザード評価に関する検討 ~2011年・2012年における検討結果~ 参考資料、平成24年12月21日 地震調査研究推進本部 地震調査委員会</ref>。
* 2016年6月報道の大規模地震対策特別措置法見直しについて
* 2016年7月報道の、中国地域の活断層の長期評価結果(今後30年以内に中国地方でM6.8以上の地震が起きる確率が50%)について
|date=2016年7月}}


==== 地震予知 ====
大都市圏(プレート境界がある海の中を含め)や[[諏訪盆地]]などの下には深い[[堆積層]]があり、活断層の場所を全く知ることができない<ref>プレートの位置を知ることは、技術的には可能である。活断層でも、大阪の中心部を通る[[上町断層]]や東京西部の[[立川断層]]などは、露出しているのでわかる。</ref>。また地震計を置いて直前予知をすることもできない。現在の技術力では地下数kmまでであるが、堆積層は場所によって数十kmまで及ぶ。そのため地下4km程度の周辺部に地震計を置いていた。また堆積層は地震波を強くし、思わぬところに被害を集中させる<ref>[[阪神淡路大震災]]で被害が集中した地域は軟弱地盤ではない(地盤増幅率は比較的低い)。六甲山との境が1000mほどの崖になっており、そこからの反射波が干渉して集中したという説がある。</ref>。地震波が集まるところは過去の経験から知られているが、震源・波長などにより変化することが考えられる。また過去の集中被害地に特段の対策の重点が置かれているわけでもない<ref>[[諏訪盆地]]や東京の[[下町]]などには、対策の重点が置かれている。大阪中心部の上町(うえまち)断層などの対策はほとんど進んでいない。</ref>。
{{main|地震予知}}
地震の発生を予知する研究は続いているものの、地震が発生する場所や日時を厳密に予測することは不可能だとされている<ref>[[#鎌田監修 2014|鎌田監修 2014]], p. 136.</ref>。百年から千年といった間隔で起こる大地震の場合、震源域では地震発生前に地殻変動が観測されるものの、数日から数か月といった近い将来の地震発生の予測に結びつけることは困難である。また、地震予知の誤りは社会や経済に混乱を引き起こしかねない<ref>{{Cite book |和書 |editor=数研出版編集部|editor-link=数研出版 |title=もういちど読む数研の高校地学 |publisher=数研出版 |date=2014-06-01 |isbn=978-4-410-13959-8 |page= 382 }}</ref>。


==== 過去の地震被害と想定 ====
==== 活断層の地震発生確率 ====
{{see also|地震危険度}}
地震の想定(特に住民の意識)は、直近の地震被害に引きずられるため、対策が的外れになることがある。特に役所・マスコミ・住民は業務上・心理的・財政的・知的能力の上で、多くの想定に多角的に対処できないので対策が集中されてしまい漏れが出る<ref>2012年の[[会計検査院]]の指摘によれば、津波防災宅に予算が使われてしまい、他の防災対策ができない自治体が多いという。国の予算配分があると地方負担分が生じる。</ref>。
日本列島には2,000以上の活断層があるとされる<ref>[[#岡田 2014|岡田 2014]], p. 43.</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://www.gsi.go.jp/common/000112914.pdf |title=都市圏活断層図 利用の手引 - 地震被害の軽減に向けて |publisher=国土交通省国土地理院応用地理部 |page=9 |format=PDF |date=2016-01 |accessdate=2016-06-12 }}</ref>。阪神・淡路大震災の後に政府の地震調査委員会が全国約180か所の活断層の地震発生確率を公表したが、未確認の活断層もあって予測には不確実さがある<ref>{{Cite web|和書|url=http://bizacademy.nikkei.co.jp/culture/nikkey/article.aspx?id=MMACc3000007032013 |title=活断層 どんな対策必要? - 古い建物、耐震診断・補強を。|work=日経Bizアカデミー |publisher=日本経済新聞社 |page=1 |date=2013-03-11 |accessdate=2016-06-12 }}</ref>
:阪神淡路大震災以前には、関東大震災の[[火災旋風]]の教訓が流布された。阪神淡路大震災では震度7が強調されたが、ボランティアの働きで震災は乗り越えられるという考えが広がった。両方とも津波の被害がなかったために、津波対策がおろそかになった。阪神淡路大震災と新潟県中越地震では狭い地域での被害だったので広域被害に対する対策が進まなかった。東日本大震災後は津波被害が強調されたが、過密都市圏での被害がなかったし、[[東日本大震災]](3月)、[[阪神淡路大震災]](1月)、[[新潟県中越地震]](10月)など寒い時期・地域での被害だったので、雨や暑さなどに対する対策がおろそかになった。
{{refnest|group="注"|2016年4月の熊本地震でも想定外の状況があった。4月14日夜に発生したM6.5の地震は当初は本震とされたが、のちに前震に訂正された<ref name="日経20160510" />。1926年から1995年にかけて発生したM5.5以上の内陸直下型地震153例の分析結果から政府の地震調査委員会が1998年にM6.4以上の地震を本震とする評価手法を作成<ref name="日経20160510" /><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.jishin.go.jp/main/yoshin2/yoshin2.htm |title=余震の確率評価手法について |author=地震調査研究推進本部 地震調査委員会 |publisher=地震調査研究推進本部 |date=1998-04-08 |accessdate=2016-06-02 }} {{Cite web|和書|url=https://www.jishin.go.jp/reports/research_report/aftershock/yoshin2_yoshin2/ |title=余震の確率評価手法について |author=地震調査研究推進本部 地震調査委員会 |work=計画と予算 地震調査委員会関係報告書 |publisher=地震調査研究推進本部 |date=1998-04-08 |accessdate=2016-06-02 }}</ref>し、これに沿う形で作られた気象庁のマニュアルでは(最初に起こった地震が)「M6.4以上なら本震とみる」とされていた<ref name="日経20160510" /><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.jma.go.jp/jma//kishou/tyoukan/2016/dg_20160519.html |title=長官記者会見要旨(平成28年5月19日) |work=気象庁について 長官記者会見 |publisher=気象庁 |date=2016-05-19 |accessdate=2016-06-02 |quote=''平成10年の地震調査委員会での検討結果を踏まえて、余震の確率の情報を...気象庁が発表するしくみが出来上がって...6.4以上の地震が発生した場合には、本震だと思って余震確率を発表する...マニュアルがございます。'' }}</ref><ref>{{Cite news |url=https://www.nikkei.com/article/DGXKZO02936860Z20C16A5TJM000/ |title=「本震→余震」の常識覆る 連鎖地震 浮かぶ課題 (2) 誘発の仕組み 未解明多く |newspaper=日本経済新聞 朝刊 |date=2016-05-30 |accessdate=2016-05-30 }} {{要登録}}</ref>。しかし同月16日夜半にM7.3の地震が発生したことから、同日に気象庁はこの16日の地震を本震だとし、14日の地震を前震に訂正した<ref name="日経20160510">{{Cite news |url=https://www.nikkei.com/article/DGXKASDG29H1E_S6A500C1EA1000/ |title=気象庁の敗北宣言 震度7、連鎖の衝撃(1) ルポ迫真 |newspaper=日本経済新聞 |date=2016-05-10 |accessdate=2016-05-15 }}</ref>。}}
:近い将来起こるとされる[[首都圏直下地震]]や特に[[南海トラフ]]地震では、多くの種類の被害が起こる複合災害であるとされてはいるが、その対策は進んでいない。
。活断層の活動間隔は数千年から数万年であるため、地震の発生が迫っていても30年から100年という短い期間での発生確率は低くなることから、あくまでも目安ととらえるべきだとされている<ref>{{Cite web|和書|url=http://bizacademy.nikkei.co.jp/culture/nikkey/article.aspx?id=MMACc3000007032013&page=2 |title=活断層 どんな対策必要? - 古い建物、耐震診断・補強を。|work=日経Bizアカデミー |publisher=日本経済新聞社 |page=2 |date=2013-03-11 |accessdate=2016-06-12 }}</ref>。
2013年5月、神奈川県温泉地学研究所などのチームが、伊豆半島の東―南沖に100km以上におよぶ海底断層帯があるという研究結果をまとめた。研究によれば、この断層帯は5区画に分けることができ、1区画単独ではM7前後、全てが連動すればM8級の地震を起こす可能性がある。また、陸地に近いところでは2km程度しか離れていない場所があり、短時間で津波が襲う可能性がある<ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0401B_U3A500C1CR8000/ 伊豆沖2キロに活断層 神奈川県温地研が分析]日本経済新聞 2013年5月4日 21:24</ref><ref>[http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201305050052.html 伊豆沖に100キロ超の活断層 短時間で津波到達も]中国新聞 2013年5月5日。</ref><ref>[http://www.47news.jp/CN/201305/CN2013050401001461.html 伊豆半島沖2キロに活断層か 短時間で津波到達の恐れも]2013/05/04 17:18【共同通信】</ref>。


==== 「日本の存亡に関わる」巨大な想定被害 ====
==== 被害想定 ====
{{see also|南関東直下地震|南海トラフ巨大地震|相模トラフ巨大地震|地震PML}}
東日本大震災後、国家の根幹が揺らぐような被害想定が発表されている。この想定は少し小規模ながら以前から発表されていたが、防災対策にきちんと反映されておらず、「[[震度]]と[[マグニチュード]]の違い」「[[防災ずきん]]」「[[避難袋]]」「3日分の水、[[食料]]の備蓄<ref>2012年、[[農水省]]は2週間程度自給するための備蓄を推奨するように指針を改訂する。</ref><ref>[http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/K2012082706870.html 農水省、食糧備蓄の指針作成へ 家庭対象、災害を想定]朝日新聞2012年8月28日03:02</ref><ref>[http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/pdf/110901_manual.pdf 不測時の食料安全保障マニュアル]家庭での備蓄についての記載はない。全体としても地震・火山・津波・国内での気象災害などの想定がない。</ref>」などの対策となっていた。[[東日本大震災]]は被害額10-20兆円、死者2万人、被災者750万人であり、超巨大地震ではあるが、国家の存亡をかけた超巨大地震とはいえない。[[南海トラフ]]地震という超巨大地震や、[[首都圏直下地震]]など、一桁違う地震への備えはまだである<ref>[http://www.dri.ne.jp/tohokusp/index.html 「スーパー広域災害」の応急期における課題の特徴と災害対応のあり方]阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター</ref>。
2012年(平成24年)3月の[[参議院]][[予算委員会]]公聴会において、[[藤井聡]](京都大学大学院)は西日本と首都圏で震災が発生した場合の被害額の推計として、東日本大震災発生前に中央防災会議が試算していた、112兆円から350兆円という数字を挙げている<ref>{{Cite web|和書|author=藤井聡 |url=http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/images/stories/PDF/Fujii/201201-201203/presentation/20120322councillors.pdf |title=何十兆円規模の巨大地震対策は、重要な公共投資 |work=税制・財政についての虚と実 参議院予算委員会公聴会藤井聡公述人資料 |publisher=京都大学 藤井研究室 |date=2012-03-22 |page=22 |format=PDF |accessdate=2013-01-31 |quote=''...推計被害112兆円-350兆円 1...1中央防災会議が東日本大震災発生前に試算'' }}</ref>。


[[ファイル:RuptureAreasNankaiMegathrust 2013.png|thumb|200px|M9.1の最大規模の南海トラフ巨大地震の想定震源域(2013年、地震調査研究推進本部 地震調査委員会)]]
2012年の8月に[[内閣府]]による[[南海トラフ]]連動地震の想定が公表された<ref>[http://www.bousai.go.jp/nankaitrough_info.html 南海トラフの巨大地震に関する津波高、想定浸水域、被害想定の公表について]内閣府中央防災会議作業部会と内閣府の検討会、2012年8月29日</ref>。最悪ケースでは、死者32万人、負傷者62万人、要救助者33万人、倒壊・焼失240万棟に上り、津波の最大高34mで1,000平方kmが浸水する。最小想定でも死者3.2万人、全壊・焼失棟数は94万棟としている<ref>これは、3地域の内2連動を最大として想定し、3連動や4連動を想定していないし、地震後の各種被害による2次的被害(例えば要救助者を救助できない場合など)は入っていないため、実際の被害はさらに大きくなる可能性を持つ。逆に最大被害想定は各項目ごとに発表されており、すべての最大値が同時に起こると想定されているわけではないので、実施の被害は少なくなるとしている。</ref>。
2012年8月には、[[内閣府]]より南海トラフ巨大地震の被害想定が公表された<ref>{{Cite news |url=http://dd.hokkaido-np.co.jp/cont/saigai/earthquake/earthquake/2-0021433.html |title=南海トラフ死者最大32万人想定 30都府県、津波犠牲が7割 |newspaper=[[北海道新聞]] |date=2012-08-29 |accessdate=2016-06-11 }}</ref>。最悪ケースでは、死者約32万人、負傷者約62万人、要救助者約34万人、倒壊・焼失約240万棟に上る。最小想定でも死者約3.2万人、全壊・焼失棟数約94万棟と見込まれる<ref>{{Cite web|和書|author=中央防災会議 防災対策推進検討会議 南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ |url=https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taisaku/pdf/20120829_higai.pdf<!--2016-06-11にurl差し替え--> |title=南海トラフ巨大地震の被害想定について(第一次報告) |format=PDF |pages=3, 21 |date=2012-08-29 |accessdate=2012-08-29 }}</ref>。津波については、最大高34m、浸水面積は浸水深さが微弱以上で最大約1,000[[平方キロメートル|平方km]]とされた<ref>{{Cite web|和書|author= |url=https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taisaku/pdf/20120829_2nd_report01.pdf<!--2016-06-11にurl差し替え--> |title=南海トラフの巨大地震モデル検討会(第二次報告) 津波断層モデル編 - 津波断層モデルと津波高・浸水域等について |format=PDF|date=2012-08-29 |accessdate=2012-08-29 |pages=20-26, 79-81 }}</ref>。
:::2013年3月に内閣府による被害想定が公表された。被害総額は220兆円で、内訳は建物とインフラで170兆円、企業生産の減少が45兆円、物流損失が5兆円である。また断水被害人口3,440万人、下水道3,210万人、停電2,710万人、避難者950万人、避難所収容必要数500万人、固定電話930万回線、都市ガス180万戸、帰宅困難者380万人、災害関係堆積物3億トン(がれき2.5億トン)、道路施設被害3-4万カ所、エレベーター閉じこめ2.3万人(いずれも最大のピーク時被害)などとされた。被災する可能性のある人口は6,800万人になる<ref>[http://www.jiji.com/jc/zc?k=201303/2013031800694&g=soc 経済被害220兆円=建物倒壊、企業生産低下で―南海トラフ巨大地震・内閣府推計] 時事通信(2013年3月18日)</ref><ref>[http://mainichi.jp/select/news/20130319k0000m040015000c.html 南海トラフ地震:被害想定220兆円 避難者950万人] 毎日新聞(2013年3月18日)</ref><ref>[http://www.bousai.go.jp/nankaitrough_info/20130318_kisha.pdf 南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)のポイント ~施設等の被害及び経済的な被害~]内閣府 2013年3月18日</ref><ref>[http://www.bousai.go.jp/nankaitrough_info.html 南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)について]平成25年3月18日発表 内閣府防災情報のページ</ref><ref>中央防災会議の首都直下地震の新しい想定が2013年春に出るとされていたが、9月現在公表されておらず、埼玉県は独自想定を国に先駆けて策定した。</ref>。
{{Quotation|
::: 南海トラフ地震は、[[南西諸島]]海溝地震と連動し、[[駿河湾]]から[[沖縄本島]]までが震源域になる可能性がある。[[古本宗充]]慶応大教授<ref>ふるもと むねよし。1951年3月生まれ。名古屋大学博士。2005年から名古屋大学教授。</ref>の説<ref>[http://cais.gsi.go.jp/KAIHOU/report/kaihou78/11_07.pdf 東海から琉球にかけての超巨大地震の可能性]</ref>によれば、紀元前2,000年頃にこのようなM9クラスの地震が起こった形跡があるといい<ref>Newton2011年6月号 p92-3</ref><ref>[http://event.yahoo.co.jp/bousai2011/eq_west/ 「3.11後」、見直される超巨大地震の痕跡]地震に備える!特集2011 - Yahoo! JAPAN/Newton 2011年9月号</ref>、高知県蟹ヶ池の堆積物から紀元0年前後にも同様の地震が起きた形跡がある<ref>684年[[白鳳地震]]、1099年[[康和地震]]、1707年[[宝永地震]]による堆積物の厚みが5-10cm程度に対し、紀元0年頃の津波では50cmの堆積物があるので、もっと震源が近いかM9を超える地震が起きた可能性がある。</ref>ため、周期が2,000年前後と考えられ、次の超巨大地震が近い<ref>周期から考えて、今日起こっても、300年後に起こっても不思議ではない。</ref>という。
この南海トラフ巨大地震による被害については、超広域に<br />
:::2013年10月公表の大阪府の発表によれば、南海トラフ巨大地震の最悪ケースでは国想定の死者1万人ではなく、死者13万人になるという。理由は液状化による堤防決壊で大阪市内の11区では10分以内に1.1万ヘクタールが浸水し津波に巻き込まれる。ただし10分以内に避難を開始すれば死者は堤防決壊による約8000人と他の理由の1000人になる。
わたる巨大な津波、強い揺れに伴い、西日本を中心に、<br />
<u>東日本大震災を超える</u>甚大な人的・物的被害が発生し、<br />
我が国全体の国民生活・経済活動に極めて深刻な影響が生じる、<br />
まさに<u>国難とも言える巨大災害</u>になるものと想定される。|中央防災会議、2012年<ref>{{Cite web|和書|author=中央防災会議 防災対策推進検討会議 南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ |url=https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taisaku_wg/pdf/20120719_chuukan.pdf |title=南海トラフ巨大地震対策について(中間報告) |publisher=内閣府 |format=PDF |page=1 |date=2012-07-19 |accessdate=2016-06-04 }}</ref> }}


その後、2013年3月に内閣府より詳細な被害想定が公表された。被害総額は最大ケースの想定で約220兆円(内訳は建物とインフラで約170兆円、経済活動での損失が約45兆円、道路や鉄道の不通による損失が約5兆円)と見込まれた。人的被害では最大想定で、断水被害人口約3440万人、下水道利用困難人口約3210万人、停電約2710万軒、避難者最大約950万人、避難所収容必要数約500万人、エレベーター閉じ込め被害約2.3万人、帰宅困難者はピーク時で約1000万人、被災する可能性のある人口は総計約6800万人となった。ほか、固定電話の通話不可約930万回線、都市ガス供給不可約180万戸、災害関係廃棄物(がれきなど)約2.5億トン、津波による堆積物(土砂など)約6千万トン、道路施設被害約3-4万か所(いずれも最大想定被害)などとされた<ref>{{Cite news |url=http://news.yahoo.co.jp/pickup/6074506<!--2016-06-12にurl差し替え http://www.jiji.com/jc/zc?k=201303/2013031800694&g=soc--> |title=経済被害220兆円=建物倒壊、企業生産低下で - 南海トラフ巨大地震・内閣府推計 |newspaper=時事通信 |publisher=Yahoo!ニュース |date=2013-03-18 |accessdate=2013-03-18 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://mainichi.jp/select/news/20130319k0000m040015000c.html |title=南海トラフ地震:被害想定220兆円 避難者950万人 |work=毎日新聞 |date=2013-03-18 |accessdate=2013-03-18 |url-status=dead|url-status-date=2016-02-12 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20130320063815/http://mainichi.jp/select/news/20130319k0000m040015000c.html |archivedate=2013-03-20 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|author=内閣府(防災担当) |url=https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taisaku_wg/pdf/20130318_kisha.pdf |title=南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)のポイント - 施設等の被害及び経済的な被害 |work=報道発表資料 |publisher=内閣府 |date=2013-03-18 |accessdate=2013-03-18 }}</ref><ref name="南海想定第二次報告">{{Cite web|和書|url=https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/nankaitrough_info.html<!--2016-06-12にurl差し替え--> |title=南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)について |work=内閣府防災情報のページ |publisher=内閣府 |date=2013-03-18 |accessdate=2013-03-18 }}</ref>。
首都圏直下地震については[[中央防災会議]]が2012年7月に「首都直下地震対策は、我が国の存亡に関わるもの」としている<ref>[http://www.bousai.go.jp/chubou/suishinkaigi/12/2_hontai.pdf 『南海トラフ巨大地震対策について(中間報告)』平成24年7月19日中央防災会議 防災対策推進検討会議 首都圏直下地震対策検討ワーキンググループ]</ref><ref>2003年に「(軽減策の推進は)我が国の存亡に関わる喫緊の根幹的課題」と言われている( [http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/shutochokka/houkoku.pdf 2. 検討の視点と対象エリアについて]中央防災会議・首都直下地震対策専門調査会報告p4・2003年7月)。</ref><ref>『週刊文春』によれば、京都大学教授・第2次安倍政権の内閣官房参与の[[藤井聡]](国土強靱化計画のブレーン)は2013年1月に「首都直下型地震は八年以内に間違いなく起きるだろうと思っています。」と語っている(「首都圏直下型地震は8年以内に100%起きる!」週刊文春2013年第6号p148-149より)。</ref>。死者1.1万人、負傷者21万人(うち重傷者3.7万人)、家屋損失85万棟、被害額約100兆円。帰宅困難者は東京だけで516万人<ref>2012年4月の東京都の想定。死者9,600人、負傷者14.7万人、家屋損失30万棟。東京湾北部のM7.3の地震では23区の70%の444平方kmが震度6強以上で20.1万棟が焼失。</ref><ref>[www.bousai.go.jp/syuto_higaisoutei/pdf/higai_gaiyou.pdf 首都直下地震の被害想定 (概要)2005年5月]</ref><ref>Newton2011年6月号 p92-3</ref>。
:::[[河田恵昭]]は死者3万人、がれき1億トン、被害額200-300兆円としている<ref>「社会問題としての首都直下地震 国力衰退の危機認識が必要」2012年10月16日関西大学社会安全学部第3回東京シンポジウム・2012年11月27日日本経済新聞朝刊44面</ref>。[[藤井聡]]は[[中央防災会議]]の推定として112-350兆円という数字を挙げている<ref>[http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/images/stories/PDF/Fujii/201201-201203/presentation/20120322councillors.pdf 税制・財政についての虚と実]参議院予算委員会公聴会藤井聡公述人資料 平成24年3月22日(木)p22</ref>。


[[ファイル:Great Kanto Earthquake 1923 & 1703 focal area map.png|thumb|right|200px|1923年[[関東地震|大正関東地震]](赤塗りの領域)と1703年[[元禄地震|元禄関東地震]](赤点線内の領域)の想定震源域(地震調査委員会、2004年)]]
::::河田は、過密災害により想定を遙かに上回る被害を生むかもしれず、社会の混乱が長引いた場合に日本の国力そのものが衰退すると警告している。彼は江戸時代末期安政時代(1854-56年)に大災害が連続して発生し<ref>[[安政東海地震]]、[[安政南海地震]]、[[安政江戸地震]]、[[安政江戸暴風雨]]</ref>江戸幕府解体につながったことを例に引いている<ref>「社会問題としての首都直下地震」関西大学社会安全学部 第3回東京シンポジウム 日本経済新聞2012年11月27日44面全面広告</ref>。
2003年、[[ミュンヘン再保険]]は、世界各国の大都市における自然災害リスクについて評価し、東京と[[横浜市|横浜]]を最もリスクの高い都市だと発表している<ref name="読売新聞2012-01-20">{{Cite news |title=[列島再生]災害に強い国土・後編 (6) 「大深度地下」耐震に利点 |newspaper=読売新聞 東京朝刊 |date=2012-01-20 <!--|accessdate=2012年1月21日 (土) 09:11 (UTC) -->|page=2 |quote=''工学院大では、非常用エレベーターが3週間使用できなかった。高層マンションで生活に支障を来す事例も相次ぎ...。...再保険大手のミュンヘン再保険会社が03年公表した「世界大都市の自然災害リスク指数」で、東京・横浜がワースト1となった...。'' }}</ref>。これらの都市を襲う[[南関東直下地震]](首都圏直下地震)については[[中央防災会議]]が2012年7月に「'''首都直下地震対策は、我が国の存亡に関わるもの'''」と謳っている<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/taisaku_wg/pdf/20120719_chuukan.pdf<!--2016-06-12にurl差し替え http://www.bousai.go.jp/chubou/suishinkaigi/12/2_hontai.pdf--> |title=首都直下地震対策について(中間報告) |author=中央防災会議 防災対策推進検討会議 首都圏直下地震対策検討ワーキンググループ |publisher=内閣府(防災担当) |page=1 |format=PDF |date=2012-07-19 |accessdate=2012-07-25 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/pdf/jishin_taikou.pdf |title=首都直下地震対策大綱 |author=中央防災会議 |publisher=内閣府(防災担当) |format=PDF |date=2005-09 |accessdate=2016-02-21 }}</ref>{{refnest|group="注"|2005年(平成17年)に「(軽減策の推進は)我が国の存亡に関わる喫緊の根幹的課題」と言われている<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.bousai.go.jp/kohou/oshirase/h17/pdf/houkoku.pdf<!--2016-06-12にurl差し替え http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/shutochokka/houkoku.pdf--> |author=中央防災会議「首都直下地震対策専門調査会」 |title=首都直下地震対策専門調査会報告 |publisher=内閣府(防災担当) |page=4 |format=PDF |date=2005-07 |accessdate=2012-11-03 }}</ref>。}}。予想される最大被害は、死者約1.1万人、負傷者約21万人(うち重傷者約3.7万人)、家屋の倒壊や火災による損失約85万棟、被害額約112兆円。帰宅困難者約650万人<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.bousai.go.jp/syuto_higaisoutei/pdf/higai_gaiyou.pdf |title=首都直下地震の被害想定 (概要) |publisher=内閣府(防災担当) |pages=11, 17, 18 |format=PDF |date=2005-05 |accessdate=2012-07-25 |url-status=dead|url-status-date=2016-02-12 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20051026013328/http://www.bousai.go.jp/syuto_higaisoutei/pdf/higai_gaiyou.pdf |archivedate=2005-10-26 }}</ref><ref>{{Cite journal |和書 |title=日本の連動型巨大地震(Newton Special M9地震、津波、原発事故 未曾有の大震災-次にひかえる超巨大地震-日本がこれから直面する大きな危機とは?) |journal=[[ニュートン (雑誌)|Newton]] |publisher=ニュートンプレス |date=2011年6月号 |pages=pp. 88-95 |naid=40018773260 }}(参照ページ:pp. 92-93.)</ref>。


ほか、[[北海道]]太平洋沖の[[千島海溝]]での大地震に関しては、[https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC1000000027 「 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成十六年法律第二十七号)」] <!-- 平成二十七年六月二十四日公布(平成二十七年法律第四十七号)改正、2017年4月1日施行版を閲覧。-->が制定されている。
:::1988年12月に[[国土庁]]から[[中央防災会議]]に提出された「南関東地域地震被害想定調査の結果」によれば、最悪想定ケース<ref>[[相模トラフ]]沿い、M7.9。冬の平日午後5時頃風速5mと、秋の土曜日正午頃風速10mの2ケースの結果はほぼ同じであった。</ref>で建物焼失260万棟、建物大破40万棟、被災世帯377万世帯、死者15万人、[[津波]]は[[鎌倉]]5.6m、[[三崎]]5.9m、[[芝浦]]1.5m、[[平砂浦]]4.4m。


{{節スタブ|1=<nowiki />
:::[[東京都]]だけでも[[GDP]]100兆円(世界の国の14位<ref>10位カナダ(160兆円)、11位ロシア、12位スペイン、13位オーストラリア、14位メキシコ、15位韓国、16位インドネシア</ref>)、年間予算12兆円、人口1,322万人(世界の国の69位)。東京圏の人口は約3,500万人(都市域人口としては世界一。2位ジャカルタの1.5倍。)(世界の国の36位)<ref>34位ポーランド、35位アルジェリア、36位カナダ</ref>。
* 全体的な内容の加筆
* 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の被害想定について
* 2016年6月報道の大規模地震対策特別措置法見直しについて
|date=2016年7月}}


=== 建築物等の耐震化 ===
:::[[産業技術総合研究所]]の[[GPS]]による観測によれば、[[房総半島]]東南沖には[[関東大震災]]により解消されなかった歪みが9mあるという<ref>関東大震災では6mのひずみで地震が起こった。9mという数字は一般に考えられている地殻が耐えられる歪み量をはるかに超えている。</ref>。この場所で地震が起これば、[[首都圏]]は大きな地震動に見舞われ、津波は即座に房総半島や湘南方面を襲い、[[回折]]により[[東京湾]]内に進入すると考えられている。
{{see also|耐震|耐震工事|耐震補強}}
[[ファイル:Administration Bureau of Chiba University, 19 July 2013.jpg|thumb|right|200px|耐震補強工事の例。[[千葉大学]]事務局(2013年7月撮影)]]
2013年11月に改正[[建築物の耐震改修の促進に関する法律|耐震改修促進法]]が施行され、特定建築物の耐震診断と公表が義務づけられた<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000054.html |title=建築物の耐震改修の促進に関する法律等の改正概要(平成25年11月施行) |work=政策・仕事 住宅・建築 建築 |publisher=国土交通省 |date= |accessdate=2016-06-12 }}</ref>。1981年以降の[[耐震基準]]を満たす建物を、2015年をめどに全体の9割まで増やすことが目標である<ref>{{Cite web|和書|author=防災ガイド編集部 |url=http://www.projectdesign.jp/201410/quakeproof-buildings/002213.php |title=建築物の耐震強化 住宅・建築物の耐震化を促進 |work=事業構想 |publisher=事業構想大学院大学 |accessdate=2016-06-12 }}</ref>。このうち、病院・旅館・福祉施設・学校といった多くの人が利用する施設で一定の規模以上のものなどは、2015年末までに耐震診断を受けることが義務づけられた。該当する建物は2013年現在で約4,000棟と見込まれている<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.nikoukei.co.jp/kijidetail/00254583 |title=国交省、耐震対策で今月説明会 |publisher=日本工業経済新聞社 |date=2014-05-12 |accessdate=2016-06-12 }}</ref><!--記事本文を検証できずコメントアウト <ref>{{Cite news |title=旅館・病院 耐震二の足 |newspaper=読売新聞 朝刊 |date=2013-11-25 |page=7 |accessdate=2013-12-15 }}</ref>-->。


=== 安全な地域への誘導 ===
::: [[北海道]]太平洋沖の[[千島海溝]]でも、約500年間隔でM8.6-9.0程度の十勝沖・根室沖連動地震が起こっている可能性がある。[[佐竹健治]]東京大学地震研究所教授の17世紀の[[霧多布湿原]]の津波浸水域の研究によれば、さらに[[色丹島]]沖・[[択捉島]]沖まで連動する可能性もあるという<ref>Newton2011年9月号 p94-95</ref><ref>「[http://law.e-gov.go.jp/announce/H16HO027.html 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成16年4月2日法律第27号)]」が制定されている。</ref>。
[[目黒公郎]](東京大学)らの研究によれば、2008年現在、活断層{{refnest|group="注"|研究対象となった活断層は、152の活断層帯に属する断層16,447本である<ref>{{Cite web|和書|url=http://risk-mg.iis.u-tokyo.ac.jp/Research/Panel/%E5%9C%B0%E9%9C%87%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%82%92%E5%8A%A0%E5%91%B3%E3%81%97%E3%81%9F%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3%E8%A9%95%E4%BE%A1%E3%83%BB%E5%9C%9F%E5%9C%B0%E5%88%A9%E7%94%A8/%E4%BA%BA%E5%8F%A3%E6%B8%9B%E5%B0%91%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E6%B4%BB%E6%96%AD%E5%B1%A4%E8%BF%91%E5%82%8D%E3%81%AE%E5%9C%9F%E5%9C%B0%E5%88%A9%E7%94%A8%E8%AA%98%E5%B0%8E%E7%AD%96%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E7%A0%94%E7%A9%B6.pdf |title=人口減少社会における活断層近傍の土地利用誘導策に関する研究 |work=目黒研究室 地震リスクを加味した不動産評価・土地利用 研究概要 |publisher=東京大学都市基盤安全工学研究センター |date= |accessdate=2016-06-12 }}</ref>。}}(総延長約10,300km)の周囲0.4km以内に住む人は全人口の2.3%に過ぎないという。研究では、大幅な人口減少によって空いた地域を活用し、地震や津波の被害のリスクが高い地域に住む人々を安全な地域に誘導することを提言している<ref>{{Cite journal |和書 |author=目黒公郎、大原(吉田)美保 |url=http://www.cuee.titech.ac.jp/CUEE/syutoken/activities/h19pdf/18.pdf |title=人口減少社会における活断層対策の展望 |journal=活断層研究 |publisher=日本活断層学会 |date=2008 |issue=28 |pages=pp. 89-94 |doi=10.11462/afr1985.2008.28_89 |format=PDF |accessdate=2016-06-12 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|author=大原美保、中島奈緒美、目黒公郎 |url=http://www.cuee.titech.ac.jp/CUEE/syutoken/activities/h19pdf/18.pdf |title=人口減少社会における活断層対策のあり方に関する一考察 |work=文部科学省特別教育研究経費「首都圏大震災軽減のための実践的都市地震工学研究の展開」 平成19年度成果報告シンポジウム予稿集 |publisher=[[東京工業大学]]都市地震工学センター |format=PDF |date=2008-03-28 |accessdate=2016-06-12 }}</ref>。


=== 防災訓練と防災力の向上 ===
:::[[寒川旭]]<ref>さんがわ あきら、[[産業技術総合研究所]]招聘研究員。東北大理学博士、地質調査所員。[[地震考古学]]の提唱者。</ref><ref>[http://jishin-info.jp/column-08/column-08a.shtml 地震の日本史]仙台放送</ref>は、近い将来に首都圏直下型と3連動型地震が起きる可能性が高く、「千年に一度の巨大地震の世紀になるかもしれない」と警告している。約1,000年前の[[平安時代]]には869年[[貞観地震]](東北沖津波地震)、878年[[相模・武蔵地震]](直下地震または[[相模トラフ]])、887年[[仁和地震]](南海トラフ3連動地震)が起きている<ref>[http://sankei.jp.msn.com/affairs/print/110803/dst11080301010000-c.htm 「千年に一度の巨大地震の世紀」 東海・東南海・南海3連動と首都圏直下型地震も [[平安時代]]に匹敵と地震考古学の研究者]産経ニュース2011.8.3 00:59</ref>。
==== 防災訓練 ====
{{see also|リスク・コミュニケーション}}
[[ファイル:Tokyo Bus Stop.JPG|thumb|right|200px|東京都内のバス乗降場に貼り出された、防災ブック『東京防災』の広報ポスター(2015年9月撮影)]]
国や地方自治体、関係機関には、個人や地域を対象とした防災研修や防災関係の資格制度の充実化が求められている。発災時に自力での脱出が困難な人を地域住民で救出したり負傷者に応急処置を施したりする実践的な防災訓練や、過去の大災害に基づく教訓を語り伝える活動といった防災教育の推進も求められている<ref name="大綱p15">『[[#大規模地震防災・減災対策大綱|大規模地震防災・減災対策大綱]]』, p. 15.</ref>。


また、国や地方自治体、関係機関には、住民や企業等への防災情報の提供が求められている。想定される被害や、非常食や日用品の備蓄の必要性、家屋などでの地震対策の勧めについて、パンフレットやマニュアルを作成・配布したり役所窓口やホームページなどで説明するなどして啓発を行なうべきとされている<ref name="大綱p15" />。東京都の場合は、2015年9月に都内の各家庭に対し、防災ブック『[[東京防災]]』<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.bousai.metro.tokyo.jp/book/ |title=東京防災 |work=東京都防災ホームページ |publisher=東京都 |accessdate=2016-06-18 }}</ref>の配布を開始した。首都直下地震などさまざまな災害についての情報を提供し、災害への備えを万全にしてもらうことが狙いである<ref>{{Cite web|和書|author=東京都総務局 |url=http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2015/07/20p7o400.htm |title=防災ブック「東京防災」について |work=報道発表資料 |publisher=東京都 |date=2015-07-24 |accessdate=2016-06-18 }}</ref>。
::::[[自由民主党]]<ref>[[安倍晋三]]総裁、[[石破茂]]幹事長。</ref>は2012年12月に、同月の[[衆議院]]議員選挙のための同党の[[マニフェスト]]として発表した政策集の中で、「今後数年以内に、極めて高い確率で首都直下型や[[南海トラフ]]の巨大地震が発生すると予想されています。」とし、これらの災害に備えるために「[[国土強靭化計画]]」という[[公共投資]]計画<ref>防災対策とは限らない。</ref>を発表した<ref>[http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/j_file2012.pdf 日本を取り戻す]J-ファイル2012 自民党総合政策集p.4</ref><ref>具体的な政策の内容(PDFp11、ページはp20)で、869年[[貞観地震]]、1611年[[慶長三陸地震]]、1896年[[明治三陸地震]]、1933年[[昭和三陸地震]]それぞれの2-10年後に首都圏地震、5-18年後に南海トラフ巨大地震が起こっていることを指摘している。</ref>。この計画は10年間に200兆円の投資を行うもので<ref>200兆円は「真水」(国家予算の直接投入分)ではなく、総事業費。</ref>、財源には[[建設国債]]が当てられると考えられている。


=== 防災意識 ===
==== 備蓄 ====
{{see also|非常食}}
発生確率や被害想定など、地震学の知見を広めることだけでは実際の防災行動につながらないことが明らかになった<ref>『地震の発生確率や被害想定 防災意識向上つながらず 高校・大学生140人 東大地震研調査 「映像などで疑似体験必要」』日本経済新聞 2012年10月19日 東大地震研[[大木聖子]]助教の研究</ref>。
大地震の影響で平時のような食事が用意できなくなる事態に備えて、各家庭での災害食・非常食の備蓄が推奨されている。最低3日分、可能なら7日分(1週間分)を備蓄するのが望ましい。1人分の7日分として、飲用水21リットル、アルファ米や即席ラーメン、ビスケットといった主食類を21食、肉や魚の缶詰、レトルト食品、乾物といった主菜類を21食(以上は必須)。ほかに梅干しや海苔、野菜の缶詰やジュース、即席の味噌汁やスープといった汁物、さらに果物の缶詰やジュース、調味料、嗜好品も備蓄する。非常食として特別に確保せずふだん購入している食品を多めに買い置きしたり、消費しながら買い足していくのも良い。熱源としてカセットコンロも用意しておく<ref>{{Cite web|和書|author=農林水産省大臣官房食料安全保障課 |url=https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/anpo/pdf/140205-02.pdf |title=緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド |publisher=[[農林水産省]] |pages=4,5 |format=PDF |date=2014-02 |accessdate=2016-06-18 }}</ref>。非常食は水分が少ない物や味の濃い物が多く、喉が渇きやすくなるため、飲用水を最優先に備蓄するのが望ましい<ref name="奥田2013">{{Cite web|和書|author=奥田和子 |url=https://web.archive.org/web/20131014194937/https://www.nhk.or.jp/sonae/column/20130721.html |title=第1回 災害食の選び方 - ポイントとコツ |work=そなえる防災 コラム「防災の知恵」 |publisher=NHK |date=2013-08-05 |accessdate=2016-06-18 }}</ref>。しかし、[[キリンビバレッジ]]が2013年に実施した調査によれば、家庭において飲用水のストックをしているのは調査対象の約半数であり、大地震発生後から救援が届くまでの3日間に必要だとされる、1人10リットル以上の備蓄をしている家庭は調査対象の約4%であった<ref>{{Cite web|和書|url=https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000003956.html |title=震災後の水分補給・ストックに関する調査 vol.4 約半数の家庭で水の備蓄ゼロ 3日分以上備蓄している家庭は1割に満たず 南海トラフ断水被害が大きいエリアの備蓄意識は高まる |work=プレスリリース |publisher=キリンビバレッジ |date=2013-08-19 |accessdate=2013-11-04 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://prtimes.jp/a/?c=3956&r=13&f=d3956-20130819-4010.pdf |title=(参考資料)震災後の水分補給・ストックに関する調査 vol.4 約半数の家庭で水の備蓄ゼロ 3日分以上備蓄 3日分以上備蓄している家庭は1割に満たず 南海トラフ断水被害が大きいエリアの備蓄意識は高まる |publisher=キリンビバレッジ |format=PDF |date=2013-08-19 |accessdate=2013-11-04 }}</ref>。


非常食は家の1ヶ所にまとめて置かずに分散して保管し、津波被害の予想される地域では2階にも保管するようにする。大規模災害が予想される地域に住んでいる場合、避難時に持ち出す最小限の非常食だけを自宅で保管し、残りの分は離れた地域に住む親戚などに預けて発災後に届けてもらう方法も考えられる<ref name="奥田2013" />。
また2012年(東日本大震災1年半後)の調査では、実際に防災対策を行っている人は61%である<ref>[http://news.mynavi.jp/news/2012/09/04/112/index.html?gaibu=hon 東日本大震災から約1年半。防災意識・備えは昨年と比べてやや低く]マイナビニュース2012/09/04</ref>


[[経済産業省]]は、「日常の[[トイレットペーパー]]とは別に、1ヶ月分余分にトイレットペーパーを備蓄」することを推奨している。東日本大震災では被災地のみならず全国的にトイレットペーパー不足が発生したこと、トイレットペーパーの約40%は[[静岡県]]で生産しており[[東海地震]]等が起こると深刻な供給不足となるおそれがあることを理由として挙げている<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/paper_consumergoods/20140901-05sigyoka.pdf |title=備えあれば、憂いなし。トイレットペーパーを備蓄しましょう! |author=経済産業省製造産業局紙業服飾品課 |publisher=経済産業省 |format=PDF |date=2014-09-01 |accessdate=2015-09-15 }}</ref>。
::2005年8月<ref>[[阪神・淡路大震災]]から10年、[[新潟県中越地震]]から10ヶ月、[[福岡県西方沖地震]] から5ヶ月</ref>の調査では、自分が近い将来震災に遭うと考えている人は7割だが地震対策をしている人は4割であった。地震に遭うと考えている人の中でさえ地震対策をしている人は半分である<ref>YomiuriWeekly 2005.9.11 p.18</ref>。


=== 津波対策 ===
::「日ごろから不安に思っていること」の調査で地震が1位ではあるが、2005年(78.6%)に比べ2012年11月(66.8%)では12ポイント落ちている<ref>第一生命経済研究所「ライフデザイン白書臨時調査」。「地域の災害 伝承で防ぐ・・東日本大震災2年(下)身近な変化」日本経済新聞2013年3月5日夕刊9面。</ref>。
{{see also|津波対策の推進に関する法律|津波避難施設}}
2014年(平成26年)8月開催の「第8回 日本海における大規模地震に関する調査検討会<ref group="注">国土交通省水管理・国土保全局、「第8回 日本海における大規模地震に関する調査検討会」での配布資料の一覧([https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/daikibojishinchousa/dai08kai/index.html<!--2014年8月27日 (水) 15:21 (UTC)--> リンク])、「日本海における大規模地震に関する調査検討会」の全8回の配付資料・議事要旨([https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/daikibojishinchousa/ リンク])</ref>」での報告によれば、日本海側で津波を引き起こす原因となる断層で大地震が発生した場合、30cmの高さの津波が沿岸の6道県15市町村には発震後1分以内に、14道府県の82市町村には10分以内に到達する(最大高の津波の到達時間は異なる)と予想されている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/daikibojishinchousa/dai08kai/siryou2.pdf |title=資料-2日本海における大規模地震に関する調査検討会報告(概要) |work=水管理・国土保全 日本海における大規模地震に関する調査検討会 |publisher=国土交通省 |format=PDF |date=2014-08-27 |accessdate=2014-08-27 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://www.asahi.com/articles/DA3S11318513.html |title=日本海の津波 北は高め 山陰も3-5メートル以上 国が初想定 |work=朝日新聞 |date=2014-08-27 |page=34 |accessdate=2014-08-27 |url-status=dead|url-status-date=2016-06-15 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20140827062602/http://www.asahi.com/articles/DA3S11318513.html |archivedate=2014-08-27 }} {{要登録}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://www.asahi.com/articles/ASG8Q7K1NG8QUTIL055.html |title=日本海の地震津波想定、最高23.4m 国、初の検討会 |work=朝日新聞 |date=2014-08-26 |accessdate=2016-06-15 |url-status=dead|url-status-date=2017-10 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20140827114747/http://www.asahi.com/articles/ASG8Q7K1NG8QUTIL055.html |archivedate=2014-08-27 }}</ref><ref>{{Cite news |url=http://www.bosaijoho.jp/topnews/item_6828.html |title=〈 日本海で起こる大規模地震・津波 〉 近い断層、速い津波襲来、薄い切迫感? |newspaper=防災情報新聞 無料版 |publisher=防災情報新聞社 |date=2014-09-09 |accessdate=2016-06-15 }}</ref>{{refnest|group="注"|日本海側の沖合には、[[ユーラシアプレート]]と[[北アメリカプレート]]との幅の広い境界とされる「[[日本海東縁変動帯|日本海東縁部のひずみ集中帯]]」があるが、ここに沿って連なる断層が内陸部の活断層と同様のメカニズムで地震を起こすと考えられている。津波堆積物や歴史記録が少ないこともあって研究は遅れがちであった。日本海側で津波を起こすような大地震は、太平洋側での同様の大地震に比べると発生頻度が低く規模も小さいものの、海底の地形が大きく変化して大津波となる傾向がある。また地震を起こす断層が海岸に近いため、津波は短時間で到達する<ref name="dai08kai/siryou3.pdf">{{Cite web|和書|author=日本海における大規模地震に関する調査検討会 |url=https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/daikibojishinchousa/dai08kai/siryou3.pdf |title=日本海における大規模地震に関する調査検討会報告書(案) |publisher=国土交通省 |date=2014年8月 |pages=1-2, 4, 28 |format=PDF |accessdate=2016-06-15 }}</ref>。}}。文部科学省は、日本海側の防災対策策定のために「日本海地震・津波調査プロジェクト」(2013年-2020年度)で日本海側の沖合や沿岸の地下構造の調査を実施している<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h26/honbun/1b_1s_04_01.html |title=第1部 第1章 第4節 4-1 (4) 津波避難対策の強化 〈2〉地震・津波の観測・調査 |work=平成26年版防災白書 |publisher=内閣府(防災担当) |date= |accessdate=2016-06-15 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.eri.u-tokyo.ac.jp/project/Japan_Sea/ |title=日本海地震・津波調査プロジェクト |publisher=東京大学地震研究所 |accessdate=2016-06-15 }}</ref>。


[[防潮堤]]は、津波を防ぎきれるわけではないが、避難時間を確保するなど内側の地域の被害を軽減することができる。津波到達前に地震動で壊れることのないよう、海岸堤防への耐震対策が求められている<ref>『[[#大規模地震防災・減災対策大綱|大規模地震防災・減災対策大綱]]』, p. 5.</ref>。
:: 「危険と感じる津波の高さ」という質問に対して「1m程度」と答えていた人が、震災前は71%いたのに対し、被災後は46%に減少した。大津波の報道で逆に津波への危機意識が薄れた<ref>「防災 自分の目線で着実に」日本経済新聞2013年3月19日朝刊1面。東大地震研の[[大木聖子]]助教等の調査。</ref><ref>身動きがとれない津波の高さは50cm程度であり、30cmの高さで外開きのドアが誰にも開けられなくなるし、階段の昇降は全くできなくなる。</ref>。


東日本大震災では、水門を閉める作業にあたった消防団員の多数が津波の犠牲となった。水門は津波のおそれがある場合に何らかの方法で閉鎖する必要があるが、全国(岩手県・宮城県・福島県を除く)の水門等約1万か所のうち、遠隔操作や自動で閉まるものは、2012年3月末で6%である<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1104U_T10C13A1CR8000/ |title=国交省、水門開閉自動化の手引 津波での犠牲受け 自治体に改修促す |newspaper=日本経済新聞 夕刊 |date=2013-01-15 |page=14 |accessdate=2013-01-15 }}</ref>。自動化できない水門は常時閉鎖としたり、地震発生時に閉鎖作業にあたる人の安全を確保できる体制を整えるなどの対策が必要であろう<ref>『[[#大規模地震防災・減災対策大綱|大規模地震防災・減災対策大綱]]』, pp. 5-6.</ref>。
:: 2013年の調査によれば、家庭における水の備蓄量がとても不足している。水のストックをしている家庭は約半数であり、救援が届くまでの3日間<ref>東日本大震災後の防災計画の見直しで、救援までに一週間を見込むように各種マニュアルが改訂されつつある。</ref>に必要とされる一人10リットル以上の備蓄をしている家庭は、調査対象の約4%であった<ref>[http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000003956.html 震災後の水分補給・ストックに関する調査 vol.4 約半数の家庭で水の備蓄ゼロ 3日分以上備蓄している家庭は1割に満たず 南海トラフ断水被害が大きいエリアの備蓄意識は高まる]キリンビバレッジ株式会社 2013年8月19日</ref><ref>[http://prtimes.jp/a/?c=3956&r=13&f=d3956-20130819-4010.pdf 震災後の水分補給・ストックに関する調査 vol.4:プレスリリース]キリンビバレッジ株式会社 2013年8月19日</ref><ref>質問が「2リットルのペットボトルの備蓄」であり、水の宅配便(10リットル)や500ミリリットルの備蓄は含まれていない。</ref>。
{{Gallery
|Jrb 20061121 Tsunami Evacuation Platform 001.JPG|静岡県[[焼津市]]、津波緊急待避施設(2006年11月撮影)
|Sendaiairport tunami201307.JPG|[[仙台空港]]の1階ロビーの柱に表示された、東日本大震災での津波の浸水高(2013年7月撮影)
|Genroku earthquake of return assumed tsunami height Tateyama Chiba.JPG|千葉県[[館山市]]、元禄地震が再来した場合に想定される津波の高さを示す標識(2015年5月8日撮影)
}}
{{節スタブ|date=2016年7月2日 (土) 11:32 (UTC)}}


=== 土砂災害・地盤対策 ===
:: 東日本大震災では、日本有数の津波常襲地帯である東北地方太平洋岸で、油断による大きな犠牲が出た。
2012年10月、[[防災科学技術研究所]]が、[[表層地盤増幅率]]が2.0以上(特に揺れやすい)である地域に住む人口が約2200万人であるとする分析結果を発表した。分析によれば、30年以内に26%以上の確率で震度6弱以上の揺れに襲われる地域に居住する人口は全人口の4割強にあたる約5300万人で、3%以上の確率であれば8割の約1億人であるという<ref>{{Cite web|和書|author=黒沢大陸 |url=http://www.asahi.com/special/bousai/TKY201210060266.html<!--2016-06-16にurl差し替え http://www.asahi.com/national/update/1006/TKY201210060266.html--> |title=軟弱地盤に3800万人居住 防災科研、分析結果発表へ |work=朝日新聞 |date=2012-10-06 |accessdate=2012-10-06 }}</ref>。
:::①[[石巻市]]立[[大川小学校]]・・海に近い標高が低い河川の脇にあるのも関わらず、裏山に避難せず、校庭で50分待機し、児童74名などが死亡した。
{{節スタブ|date=2016年6月16日 (木) 14:44 (UTC)}}
:::②石巻市[[日和幼稚園]]・・標高23mにあるにもかかわらず、送迎バスを低地に出し、園児5人などが死亡する(すぐ隣にある門脇小学校では、即席の渡り廊下を造って裏山に逃げて助かった。)。
:::③[[釜石市]]鵜住居地区防災センター・・津波で浸水した歴史がありながら防災訓練で避難所に使われ、200人以上が死亡した。
:::④[[南三陸町]]防災対策庁舎・・42人が死亡した。
:::⑤宮城県[[山元町]]私立ふじ幼稚園・・園庭にある送迎バスの中に避難した園児51人中8人が死亡した。園は1回も津波の避難訓練をしたことがなかった。


=== ライフラインとインフラの確保対策 ===
{{出典の明記|section=1|date=2016年6月3日 (金) 16:00 (UTC)}}


==== 訓練至上主義 ====
==== 水道 ====
[[ファイル:23.3.15 施設教導隊:給水支援⑥ 東日本大震災における災害派遣活動 47.jpg|thumb|right|200px|[[陸上自衛隊]]の東日本大震災災害派遣活動、断水地域での給水支援(2011年3月15日、陸上自衛隊撮影)]]
河田惠昭は2013年11月の大川小学校事故検証委員会で、訓練至上主義の危険性に触れた<ref>[http://diamond.jp/articles/-/44249?page=3 大川小検証委で柳田邦男さんが根拠の欠如を指摘
2013年3月に公表された南海トラフ地震の被害想定における、上水道の給水人口に対する断水人口は、地震発生直後は東海地方の3県(静岡県、愛知県、三重県)で約6-8割、四国の4県(徳島県、香川県、高知県、愛媛県)で約7-9割、九州の2県(大分県、宮崎県)で約9割と見込まれた。地震発生から1ヶ月後では、東海3県で約1-2割、四国で約1-2割、九州2県で約1割が断水したままである<ref name="20130318_shiryo2_2.pdf">{{Cite web|和書|url=http://www.bousai.go.jp/nankaitrough_info/20130318_shiryo2_2.pdf<!--2016-06-14にurl差し替え http://www.bousai.go.jp/nankaitrough_info/20130318_shiryo2_2.pdf--> |title=資料2-2 南海トラフ巨大地震の被害想定について(第二次報告) - 施設等の被害 【定量的な被害量】 |publisher=内閣府(防災担当)・|work=南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)について |pages=10, 12 |date=2013-03-18 |accessdate=2013-03-19 }}</ref>{{refnest|group="注"|地震発生から1か月後の上水道の復旧状況を想定するにあたり、津波により全壊した家屋は復旧の対象外とされている<ref name="20130318_shiryo2_2.pdf" />。}}。
遺族が「戦慄を覚えた」有識者ヒアリング]ダイヤモンド・オンライン『大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~』【第29回】 2013年11月10日 </ref>。災害対策訓練では、災害の起こり方や特性に対する科学的知識が必要とされるためである。


大地震による断水に備え、各自治体では、住民に給水するための給水拠点を地域ごとに設置したり、避難場所に災害時用の井戸を設置したりするなどの対策を行っている<ref name="サントリー">{{Cite web|和書|url=https://www.suntory.co.jp/eco/teigen/jiten/life/li_13_01.html |title=災害のときの水の大切さ |work=水大事典 水と暮らそう |publisher=[[サントリー]] |accessdate=2016-06-14 }}</ref>。また、東京都が2015年に策定した「東京水道施設整備マスタープラン」のように、上水道の耐震化を進める例もある。東京都の場合はたとえば、管路の耐震継手率は2015年現在は35%だが2022年度までに59%に引き上げる{{refnest|group="注"|首都中枢・救急医療機関等へ給水する管路での耐震継手率は2015年現在は70%だが2019年度までに100%を達成する計画である<ref name="マスタープラン概要版" />。}}。これにより給水の復旧見込みも2015年現在の30日後を2022年度までに16日後に短縮する。また大規模停電時における給水確保率58%を2021年度までに100%に、優先避難所・主要駅へ給水する管路の耐震継手率31%を2019年度までに100%に、ろ過池耐震施設率76%を2018年度までに100%に引き上げることを目指している<ref name="マスタープラン概要版">{{Cite web|和書|url=https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/suidojigyo/torikumi/seisaku/master14/pdf/masterplan.pdf |title=東京水道施設整備マスタープラン(概要版) 改訂版 |publisher=東京都水道局 |format=PDF |pages=3-5 |date=2015年2月 |accessdate=2015-09-17 }}</ref>。
====[[震災遺構]]====
災害の教訓を伝えるには、実物による遺構の保存と展示が欠かせない(例えば、広島と長崎の原爆記念公園、東京にある[[関東大震災]]を記念する「[[東京都慰霊堂]]」、神戸市の「[[阪神・淡路大震災]]記念 [[人と防災未来センター]]」、[[濃尾地震]]を記念する[[岐阜県]]の「[[地震断層観察館・体験館]]」など)。しかしいくつかの問題がある。①費用②復旧の妨げ③トラウマ(辛い記憶を思い出す遺構をみたくないという声も多い<ref>[http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/1129/ シリーズ東日本大震災 震災遺構 ~悲劇の教訓をどう伝えるか~][[NHKスペシャル]] 初回放送 2013年11月29日(金)</ref>)である。
:::[[女川町]]の交番など3施設を保存する費用が3億円の初期費用と年間1,500万円の維持費が必要であり、堤防かさ上げ工事の邪魔になるため交番のみの保存となった。[[陸前高田市]]の「[[奇跡の一本松]]」の復元保存<ref>復元保存には国の補助金が出ない。</ref>には1.7億円かかった<ref>「遺稿の行方」読売新聞2014年1月 5回連載。</ref>。[[南三陸町防災対策庁舎]]も同様な問題で、撤去の方針が決まっている。


家庭での断水対策として、1人1日3リットルの3日分で9リットル程度の飲用水の備蓄が推奨されている。このほか、ペットボトルやポリタンクに水道水を貯めておいたり、浴槽にいつも水を張るなどして、日常生活に必要な水を確保しておくことも勧められている<ref name="サントリー" />。企業などでも、飲用水を備蓄するほか、[[貯水槽|受水槽や貯水槽]]の容量の見直し、地下水や雨水の利用といった対策が考えられる。また、社屋で水冷却式の空調設備を使用している場合は空冷方式への変更も検討課題となろう<ref>{{Cite journal |和書 |author=今地裕介 |url=https://www.ntt-fsoken.co.jp/research/pdf/2013_09.pdf |title=地震によるライフライン被害の想定と対策 |journal=年報 NTTファシリティーズ総研レポート |publisher=[[NTTファシリティーズ]] |issue=24 |date=2013-06 |page=p. 56 |format=PDF |accessdate=2016-06-14 }}</ref>。
=== トラウマ ===
震災が心身に影響を及ぼす場合が多い。特に子供たちに対する影響が大きいため、心のケアが大切である。
:想定される大震災時には、心理療法士が相当不足することが考えられるし、技能に相当幅があるという。
:阪神大震災後は、被災地以外で消費意欲の落ち込みが見られたという。
# 過覚醒・・眠れない、イライラ、物音に敏感になる。
# 侵入的な再体験・・記憶がよみがえる、いやな夢や怖い夢を見る。
# 回避、まひ・・体験を本当と思えない、泣けない、震災のことを話さない。
# マイナス思考・・罪悪感、無力感、不信感。
これらを解消するには、楽しい体験や何かに挑戦する機会を与えて、気持ちを前向きにすることである<ref>「子どもの心 授業でケア 大震災後のトラウマ反応」読売新聞 2013年1月24日夕刊</ref>。
::心理学によれば、ニュースや実体験で恐怖を感じると正常な判断ができなくなる。そのため散財したり不健康なことをしたり守れない決心をしたりする。それよりはるかに有効なのは、スポーツ、読書、語らいなどである<ref>「スタンフォードの自分を変える教室」ケリー・マグゴニガル著、2012年大和書房。ISBN-13: 978-4479793632</ref>。


==== 下水道 ====
=== 防災・減災、安心・安全 ===
[[ファイル:Manhole shows subsidence occurred by 2011 Sendai earthquake.jpg|thumb|right|200px|東北地方太平洋沖地震の地震動により浮き上がったマンホール(千葉県浦安市、2011年4月1日撮影)]]
国ができることには限界があり、地震・火山・津波災害に対して「防災」は不可能であるため「減災」が対策の基本だが、現在防災が言われている。また「安心」は感情論であり、「安心」を求める論議は安全性をかえって低める結果になるという<ref>「Nippon甦れ 私の処方箋」読売新聞2013年1月3日21面 「防災から減災へ」は[[御厨貴]]氏の、「安心から安全へ」は[[北岡伸一]]氏の発言。</ref>。
[[下水道]]はインフラの中で水道に並ぶ重要性を持つ<ref name="mlit000133">{{Cite web|和書|url=https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/crd_sewerage_tk_000133.html |title=地震対策の推進 |work=政策・仕事 水管理・国土保全 下水道 |publisher=国土交通省 |accessdate=2016-06-11 }}</ref>。各家庭等からの生活排水・汚水を排除して公衆衛生を保ち、汚水を処理して周辺地域の水質を保全する。さらに、雨水を排除して浸水被害を防ぐ機能もある<ref name="国交省下水道部2012p1">[[#国土交通省水管理・国土保全局下水道部 2012|国土交通省水管理・国土保全局下水道部 2012]], p. 1.</ref>。ところが下水道が地震で被災しても、水道や電気・ガスのような代替手段・方法を確保することができない(トイレそのものは簡易トイレ等で代えられるが、汚水や生活排水を排除・処理する機能を代替するものはない)。また、下水管は道路に埋設されたり河川や鉄道路線を横断したりしており、下水管の破損が二次被害を招く可能性もある<ref name="mlit000133" />。汚水が市街地に溢れることで、感染症の発生や上水道の水源の汚染のリスクも考えられる<ref>[[#国土交通省水管理・国土保全局下水道部 2012|国土交通省水管理・国土保全局下水道部 2012]], p. 27.</ref>。


東日本大震災では、沿岸部にあった下水処理場やポンプ場が津波で被災して汚水処理ができなくなる事態が発生した<ref name="国交省下水道部2012p1" />{{refnest|group="注"|東日本大震災では、下水道の暗渠の被害は1都10県、総延長642kmに及び、下水処理場120か所が被災した<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.mlit.go.jp/common/000193183.pdf |title=東日本大震災における下水道施設被害の総括 - 委員会資料(案) |publisher=国土交通省 |format=PDF |date=2012-02-24 |accessdate=2016-06-11 }}</ref>。そのうち21か所が稼働停止し、東日本大震災発生直後の国土交通省の発表では復旧に2-3年かかると見込まれた。この時点では、[[福島第一原子力発電所|福島第一原発]]の近隣にある10か所の下水処理場は、[[東京電力福島第一原子力発電所事故|原発事故]]の影響で調査ができていなかった<ref>{{Cite news |author=鳴澤大、田中美保 |url=http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104020353.html |title=下水道復旧は数年かかる見通し 沿岸部に集中、被害深刻 |newspaper=朝日新聞 |date=2011-04-03 |accessdate=2012-10-21 }}。</ref>。}}。同じく東日本大震災では、千葉県[[浦安市]]で大規模な[[液状化現象]]によって市内の下水道の管渠の8%以上に被害が生じ、下水道ポンプ施設の一部も停止して、1万戸以上が下水道の使用制限を受ける事態となった<ref>[[#国土交通省水管理・国土保全局下水道部 2012|国土交通省水管理・国土保全局下水道部 2012]], pp. 85-90.</ref>{{refnest|group="注"|千葉県浦安市では液状化による被害が深刻であり、「トイレ難民」も多数生じた<ref>[[#ぎょうせい編 2012|ぎょうせい編 2012]], pp.16, 20, 39.</ref>。浦安市は「下水道の復旧は困難を極めた。中でも高齢者・乳幼児施設は悪戦苦闘の日々が続いた。阪神淡路大震災の時もトイレを使えないのがもっとも難儀だったと言われる。」とまとめた<ref>[[#ぎょうせい編 2012|ぎょうせい編 2012]] {{要ページ番号|date=2016-06-02}}</ref>。}}。液状化については、新潟県中越沖地震でも新潟県内で下水道の被害が発生したが、その3年前の新潟県中越地震で被災して[[耐震工事]]を施していた下水道では被害がみられなかったという<ref>[[#日本トイレ研究所 2011b|日本トイレ研究所 2011b]], p. 5.</ref>。下水道設備の耐震化には長い期間を要し、多額の費用もかかる<ref name="国交省下水道部2012p1" />。したがって、耐震化による防災だけでなく、被害をできるだけ減らす減災をも考慮した地震対策が必要となる<ref name="mlit000133" /><ref name="国交省下水道部2012p1" />。大村達夫([[東北学院大学]])は、耐震化だけではなく簡易処理施設を避難拠点近くに分散設置することが大事であるという<ref>「『重要下水道』耐震進まず」、『読売新聞』 2012年2月15日、夕刊、10面</ref>。
日本の人口は2005年頃に1億3千万人のピークを迎え、2035年に1.1億人、2045年には1億人、2065年には8千万人と急速に減少する。赤坂憲雄学習院大学教授は、50年後の日本を考えたときに巨大な防潮堤で3.11の海岸線を守るのにリアリティがあるのか、と問いかける<ref>「核心 コンクリートで固めても」土谷英夫 日本経済新聞 2013年3月11日。2013年2月18日 [[日本記者クラブ]]・シリーズ企画「3.11大震災」「東北学」</ref>。


{{節スタブ|1=マンホールトイレの整備について|date=2016年6月11日 (土) 14:27 (UTC)}}
[[伊勢湾台風]]の教訓からできた1961年[[災害対策基本法]]では防災を政府・地方自治体の責務とした。そのときから住民の行政依存と防災過保護が進んだという。[[片田敏孝]]群馬大学教授は、自分の命は自分で守る「国民強靱化」([[津波てんでんこ]])が大切だと説く<ref>「核心 コンクリートで固めても」土谷英夫 日本経済新聞 2013年3月11日</ref>。


==== 通信 ====
大地震による災害時には、各電話会社により、[[電話]]など[[輻輳|通信の混雑]]への対策として[[災害用伝言ダイヤル]]が設置されるなどしている。災害用伝言ダイヤルは、直接の被災者を対象として設計されている。[[携帯電話]]・[[PHS]]においても[[災害用伝言板サービス]]等の同様の[[World Wide Web|ウェブ]]上サービスがある<ref>『[[#大規模地震防災・減災対策大綱|大規模地震防災・減災対策大綱]]』, p. 13.</ref>。また、自治体や民間が協力して[[臨時災害放送局]]を設置し、被災者への情報提供が行われた例もある<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.soumu.go.jp/soutsu/tohoku/rinziFM.html |title=東日本大震災に際し開設された臨時災害放送局の開設状況 |work=東北総合通信局 災害対策関連状況 |publisher=総務省 |accessdate=2016-06-19 }}</ref>。


{{節スタブ|date=2016年6月23日 (木) 14:28 (UTC)}}
==== 認知的な歪み ====
<ref>[http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121021-00007484-president-bus_all 巨大地震「4年以内70%」だとなぜ怖いのか-認知的な歪み:東京女子大学名誉教授 広瀬弘忠(ひろせ・ひろただ)]プレジデント2012年10月21日(日)13時0分</ref><ref>[http://news.biglobe.ne.jp/economy/1021/pre_121021_1090543495.html 巨大地震「4年以内70%」だとなぜ怖いのか-認知的な歪み]プレジデント 2012年10月21日(日)13時0分</ref>


==== エレベーター ====
人間は大きな確率の危険は過小評価し、小さな確率の危険は過大評価する傾向がある。そのため発生確率98%の危険は軽視され、1,000年に一度の(低い確率の)危険は重視される。次に、大きな被害をもたらす危険は大きく認識されるため、1,000年に一度の巨大被害には必要以上の防災投資がなされる。また若い人は災害を過小評価し、高齢者は敏感である。そのため近い将来の被害予測に対して高齢者は大きく反応する。
国は2009年9月に[[建築基準法|建築基準法施行令]]を改正し、新設エレベーターに安全装置の設置を義務づけた。この装置により、一定の地震動を検知するとエレベーターが最寄りの階に停止し自動的に扉を開くなどして、利用者のエレベーター内への閉じ込めを防ぐことができる<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000012.html |title=エレベーターの安全に係る技術基準の見直しについて |work=政策・仕事 住宅・建築 |publisher=国土交通省 |accessdate=2012-04-29 }}</ref>。2012年度には、既設のエレベーターへの対策を進めるため国が直接改修費を補助する「既設昇降機安全確保緊急促進事業」が実施された<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000309.html |title=既設昇降機安全確保緊急促進事業の提案の募集開始(第1回)について |work=報道発表資料 |publisher=国土交通省 |date= |accessdate=2016-06-08 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://www.bureauveritas.jp/newsletter/120611/newsletter.pdf |title=建築認証事業本部 エレベーター及びエスカレーターの地震安全対策の推進 |work=Business Vision |publisher=ビューローベリタスジャパン |format=PDF |date=2012-06-11 |accessdate=2016-06-08 }}</ref><!--詳細不明の参考文献のため <ref>『日本経済新聞』 2012年4月22日 {{full|date=2016-06-04 }}</ref>-->。


また、閉じ込めに備えて、エレベーター内に飲用水や乾パン、簡易トイレなどを収めた備蓄ボックスを設置している例もある。たとえば東京都港区は、区所有の156施設にある約300基のエレベーターに備蓄ボックスを設置するため、2012年度に約1450万円の予算を計上した<ref>{{Cite news |title=エレベーター 水や食糧備蓄 震災時閉じこめに備え |newspaper=日本経済新聞 夕刊 |date=2013-02-18 |page=13 }}</ref><ref>{{Cite news |url=https://messe.nikkei.co.jp/ss/news/120421.html |title=エレベーター、水や食料備蓄、マンション・役所など収納箱 - 震災時閉じ込めに備え。|work=日経メッセ SECURITY SHOW ニュース |publisher=日本経済新聞社 |date=2013-02-18 |accessdate=2016-06-08 }}</ref>。
=== 耐震化工事の遅れ ===
2013年11月「[[改正耐震改修促進法]]」が施行され、特定建築物の耐震診断と公表が義務づけられた。1981年実施された現行の耐震基準を満たす建物を9割まで増やすことが目標だが、先行きは不明である。2013年度で約4,000棟ある<ref>「旅館・病院 耐震二の足」読売新聞2013年11月25日朝刊7面</ref>。


=== 長周期地震動対策 ===
{{see also|長周期地震動}}
長周期地震動については、[[十勝沖地震#2003年|2003年十勝沖地震]]による被害([[苫小牧市]]にある石油タンクで[[スロッシング]]による火災が発生)で広く知られるようになり、その対策が始まった<ref>{{Cite web|和書|author=北村春幸 |url=https://www.sein21.jp/NewSeinWeb/TechnicalContents/Kitamura/Kitamura0101.aspx |title= 研究雑記 長周期地震動と建築物の耐震性 第1回「『長周期地震動と建築物の耐震性』研究の契機」 |work=SEIN Web |publisher=NTTファシリティーズ |date= |accessdate=2016-06-08 }}</ref>。


2015年12月、国は南海トラフ地震による長周期地震動の揺れの想定を公表した。検討の対象となったのは、過去三百年以内に発生したM8クラスの地震5つと、これらの地震から推定したM9クラスの最大規模の地震である<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/nankaitrough_report.html |title=南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動に関する報告」について |work=内閣府防災情報のページ |date=2015-12-17 |accessdate=2015-12-17 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151217/k10010344151000.html |title=南海トラフ地震 超高層ビルの揺れ 想定を初公表 |work=NHK NEWS WEB |publisher=NHK |date=2015-12-17 |accessdate=2015-12-21 |url-status=dead|url-status-date=2016-02-12 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20151217093038/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151217/k10010344151000.html |archivedate=2015-12-17 }}</ref><ref>{{Cite news |url=http://news.yahoo.co.jp/pickup/6184440<!--2016-06-15にurl差し替え http://www.jiji.com/jc/zc?k=201512/2015121700711--> |title=三大都市圏、大きく長い揺れ=沿岸部の超高層ビル - 南海トラフ地震で推定・内閣府 |newspaper=時事通信 |publisher=Yahoo!ニュース |date=2015-12-17 |accessdate=2015-12-21}}</ref>。国土交通省は2015年に、南海トラフで百数十年に1回程度の頻度で発生する大地震の影響を受けるとみられる関東などの地域に建設する、高さ60mを超える建物や[[免震]]構造を備えた建物の設計にあたっては、[[構造計算]]の基準において「少なくとも周期 0.1 - 10 秒の成分を含み、継続時間が500秒以上の長周期地震動を用いる」とする方針を出した。また既存の建築物に対しても、安全性の再検証や必要な補強の実施を求めた<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.mlit.go.jp/common/001113878.pdf |title=(別添2)超高層建築物等における南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動への対策案について |date=2015-12-18 |author=国土交通省住宅局建築指導課 |publisher=国土交通省 |work=報道発表資料「超高層建築物等における南海トラフ沿いの巨大地震による 長周期地震動への対策案について」に関するご意見募集について |format=PDF |accessdate=2015-12-21}}</ref>。
<ref>『海岸堤防の6割、15都道府県で耐震性未確認 検査院調査 省庁庁舎や国立病院など955棟、震度6強で倒壊も』日本経済新聞2012年10月18日朝刊</ref>
<ref>[http://mainichi.jp/select/news/20121018k0000m040104000c.html 耐震基準クリア:庁舎などで56% 国や独立行政法人管理]毎日新聞 2012年10月17日 22時32分</ref>
<ref>[http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyosei/taishin/index.htm 公立学校施設の耐震化の推進:文部科学省]</ref>
<ref>「中小病院 耐震化遅れ 中越地震から8年」日本経済新聞2012年10月23日夕刊14面</ref>


=== 液状化対策 ===
2012年の会計検査院などの調査では公共インフラの耐震化が遅れている。
{{see also|液状化現象}}
:: 以下は未実施の状況である。
また、[[国土強靭化基本計画|国土強靱化]]の一環として、国は2013年から[[コンビナート]]の地震対策を進めている。コンビナートは1964年[[新潟地震]]以前の液状化対策がされていないものが多い。全国約80か所の半数の約40か所が地震・津波危険地帯の[[東京湾]]、[[伊勢湾]]、[[大阪湾]]、[[瀬戸内海]]に集中するため、同年よりこの4地域の重点調査を開始している。調査費は200-300億円、対策費は1兆円と見込まれる<ref>{{Cite news |title=コンビナート耐震強化 |newspaper=読売新聞 東京朝刊 |date=2013-01-04 |page=1 |quote=''政府は、...全国の主要コンビナートの液状化対策など防災強化に乗り出す方針を固めた。...全国85か所のコンビナートは抜本的な液状化対策や津波対策が講じられていない...。第1弾として、...東京湾、...大阪湾、伊勢湾のコンビナート約40か所を重点的に調査する。...安倍新政権は、「国土強靱(きょうじん)化」を目玉政策に掲げ、...その一環だ。...液状化現象は、1964年に発生した新潟地震をきっかけに国内でも知られるようになった。これより以前に開発されたコンビナートの大半は液状化対策が施されていないとみられる。'' }}</ref><ref>{{Cite news |url=https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0400I_U3A100C1000000/ |title=臨海コンビナートの耐震強化へ調査費 経産省 |date=2013-01-04 |newspaper=日本経済新聞 電子版 |accessdate=2013-01-14 }}</ref>。
:: 1981年の新耐震基準による「既存不適格」がそのままになっている例が多い。
{{Gallery
* 海岸の堤防では3,408kmのうち、約84km<ref>三重県の未改修195kmなどが含まれるかどうか不明である。</ref>。
|width=200
* 緊急輸送路上の橋のうち27%、避難路上の橋のうち73%、下水道管のうち79%。
|ファイル:2011 Tohoku earthquake Soil liquefaction map.png|東北地方太平洋沖地震における液状化現象の発生地点。清水建設のまとめによる。
* 高速道上にかかり1980年の新基準設定前の陸橋2,454カ所のうち、1,491カ所では工事を検討さえしていない。また635カ所は点検を一切やっておらず、点検状況が不明なのが548カ所、点検した場合も6割以上は遠くからの目視だけだという<ref>正式には、1m近くによっての目視、ハンマーによる打診、赤外線などのカメラ、ボーリングによる抜き取り検査などを行う。</ref>。
|ファイル:Liquefaction at Niigata.JPG|1964年に発生した[[新潟地震]]による液状化で大きく傾いた県営川岸町アパート
:::例えば埼玉県[[坂戸市]]の1974年建設の陸橋は交通量がほとんどないため耐震工事が行われていないが、[[関越自動車道]]をまたぐため震災時に大規模な犠牲や交通困難を引き起こすおそれがある<ref>>「1500陸橋 耐震不足 高速道路上 600カ所点検もせず」読売新聞2013年10月1日</ref>
}}
* 公立小中学校15%(診断未実施を含む耐震性のないもの18,508棟)
* 官公庁施設が39%(文科省が47%、防衛省が40%、法務省37%など)、国立大学などの教育施設が43%、大学付属病院などの医療施設が53%。最高裁庁舎(1974年)は震度6強以上で4棟が倒壊する危険がある。
* 653の災害拠点病院で35%<ref>「大地震で危ない災害拠点病院 全国49病院の病棟別耐震度、津波対策、復旧・防災力一覧」AERA 2012年12月3日号(11月26日発売)</ref>(2011年度の予算が施行されれば1割弱)。中小6,000病院の44%。
::少なくとも34の災害拠点病院が南海トラフ巨大地震による津波<ref>読売新聞の調査では、津波被害のおそれに静岡県の病院は0、和歌山県1、三重県3、愛知県3、愛媛県0。また東北・北海道地方や日本海岸などは調査対象外である。</ref>で浸水するおそれがある<ref>23病院が新設、改修工事、移転中。</ref>。
::災害拠点病院の整備費は病院自己負担だが、2012年度から年間数百万円程度の収入増が見込めるようになった<ref>『拠点病院 津波備え急務』解説スペシャル 2013年1月15日読売新聞朝刊14面</ref>。
::病院の耐震化率は、2013年3月現在で京都47%、香川50%、福島50%、岡山51%、高知54%など東南海地震地域などでまだ低い<ref>熊本県53%、高知54%、大阪55%、福岡55%、和歌山55%、岩手56%、山口56%、長野57%、徳島57%</ref><ref>[http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002y4cr-att/2r9852000002y4e8.pdf 病院の耐震改修状況調査の結果]2013年3月 厚生労働省</ref>。
* 成田空港の管制塔の耐震性が不足し、羽田空港の消防庁舎で耐震診断が行われていないなど、中部国際空港を除く12の主要空港の中で50施設に問題がある<ref>「12空港 耐震性に問題」読売新聞2012年10月27日朝刊37面</ref>。
* 被災3県を除く全国の避難所9万箇所のうち耐震化されているのは56%であるという。「東海地震が明日起きてもおかしくない」と言われ続けてきた静岡県でさえ公共施設の耐震化は16年度末までかかる。大阪府守口市の公立小中学校の耐震化率は35%である。滋賀県近江八幡市役所は2006年の耐震診断で不合格となっている。
会計検査院に対する自治体の説明では「堤防・水門などの新設に予算が使われたため、他の耐震化工事のための財源が無い」というのが多いという。


=== 防災情報対策 ===
::2013年、国は旧耐震基準<ref>昭和56年・1981年6月1日以前に建築確認を受けたもの。想定震度5強。建物の重さの2割が建物の上部に静かにかけられても大丈夫なように設定されていた。それは1948年[[福井地震]]から1972年[[八丈島東方沖地震]]まで震度6が観測されていなかったからでもあり、終戦後日本に経済的余裕がなかったからでもある。</ref>で建てられた大型商業施設・病院・小中学校5,000棟の耐震診断を罰則付きで義務づけることとした。それは未改修の建物が、平成15年に9万棟だったのが平成20年でも8万棟あるからである。義務づけるにあたり、耐震診断の補助率を50%に、耐震改修については40%に引き上げる<ref>例えば東京都武蔵野市[[吉祥寺]]の[[前進座劇場]]は耐震改修費用がかさむため存続を断念し2013年1月閉鎖された。[http://mainichi.jp/feature/news/20130107ddlk13040100000c.html 前進座劇場:30年余の歴史に幕 最終公演、9日千秋楽 /東京](毎日新聞 2013年01月07日 地方版)</ref>。
国や地方公共団体には、災害の情報や被災地地域の状況を的確かつ迅速に把握
::東京都で2012年4月に幹線道路沿いの旧耐震基準5,000棟に耐震診断を義務づけた結果、新たに1,800棟が耐震診断を受けた。また最大8割の助成制度を設けた結果、100棟が耐震改修を始めた<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130113/k10014776151000.html 国が耐震診断義務化へ 補助率引き上げも]NHK 2013年1月13日 18時44分</ref>。
{{refnest|group="注"|千葉県[[船橋市]]が東日本大震災発生時の市の対応をまとめた資料によれば、市役所や関係機関では電話が繋がりにくくテレビやインターネットからの情報収集となり、市内の情報等が得にくかった<ref name="船橋市の記録本文編">{{Cite web|和書|url=http://www.city.funabashi.lg.jp/bousai/003/shinsai/03/p020558_d/fil/WEBshiryou.pdf<!--2016-06-18にurl差し替え http://www.city.funabashi.chiba.jp/shinsai/news/p020558_d/fil/WEBhonnbunn.pdf--> |title=〈東日本大震災〉船橋市の被害状況および一連の対応に関する記録」(本文編) |publisher=船橋市 |pages=55, 56, 255, 260, 261, 301 |format=PDF |date=2012-03 |accessdate=2012-04-29 }}</ref>。部署によってはインターネットの接続制限がかかっており震災当日は情報がまったく得られなかったケースもあったという<ref name="船橋市の記録本文編" /><ref>{{Cite news |title=震災対応の「記録誌」公開 船橋市 混乱、いらだち…克明に=千葉 |newspaper=読売新聞 東京朝刊 |page=30 |date=2012-04-13 <!--|accessdate=2012年4月29日 (日) 03:14 (UTC)-->|quote=''業務用パソコンは接続制限が設けられているため、インターネットがあまり利用できなかったことなど、情報収集と伝達が不十分だった...'' }}</ref>。船橋市はまた、2012年2月に[[電気通信事業者]]の[[ウィルコム]]と5年契約を締結し、約1700万円の補正予算を組んで[[PHS]]467台を市内の避難所376か所に配置した。PHSは東日本大震災後に通信規制がなかったためで、防災無線と併せて活用する<ref>{{Cite news |url=https://www.nikkei.com/article/DGXNZO52118140V20C13A2L71000/ |title=千葉県船橋市、避難所にPHSを導入 災害時対策で |newspaper=日本経済新聞 |date=2013-02-25 |accessdate=2013-03-03 }}</ref>。}}
し、関係機関と状況を共有して連携して対応にあたることが求められている<ref>『[[#大規模地震防災・減災対策大綱|大規模地震防災・減災対策大綱]]』, p. 35.</ref>。また、情報を即時かつ直接配信できる、インターネットのホームページや[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス]] (SNS) を活用しての情報提供についてもあらかじめ検討しておく必要がある<ref>『[[#大規模地震防災・減災対策大綱|大規模地震防災・減災対策大綱]]』, p. 36.</ref>。


東日本大震災ではインターネットや携帯電話での情報交換が注目されたものの、こうした通信機器の利用を苦手とする人は今なお少なくない。災害情報の提供手段としてインターネット等が主力になっていくと「情報弱者」が「社会的弱者」になりかねない。避難所に情報提供のためインターネット端末を置く場合は銀行の[[現金自動預け払い機]]の画面のようなわかりやすい[[ユーザインタフェース]]にするなど、誰でも情報が得られる工夫も必要になるだろう<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1110/11/news075.html |title=災害に対してケータイやスマホができること |author=小寺信良、[[ITmedia]] |work=小寺信良「ケータイの力学」 |publisher=ITmedia |date=2011-10-11 |accessdate=2012-08-18 }}</ref>。
=== 地震予知と法的責任 ===
<ref>「イタリア地震「安全宣言」で学者実刑 災害リスク説明不足」日本経済新聞2012/11/11朝刊</ref>地震予知とリスクをきちんと伝えない場合の責任体制がはっきりしていないため、地震学会は「(地震学者が)防災行政に関与することを避けざるをえなくなる恐れもある」という声明<ref>[http://www.zisin.jp/pdf/SSJ20LAquilafinal20wa.20121029.pdf ラクイラ地震に関する地震研究者に対する有罪判決について(会長声明)] 日本地震学会2012年10月29日</ref>を発表した。
:: 間違った予知で地震が起きなかった場合に、経済活動が停止するので損害賠償責任の可能性が生じ、予知なしで地震が起きた場合には、賠償責任<ref>1974年[[多摩川水害]]。1992年に[[多摩川]]を管理する国の損害賠償を認める判決(東京高裁平成04年12月17日)が確定した。</ref>と刑事責任([[業務上過失致死傷罪]]=刑法211条)の可能性が生じる。[[気象庁]]は「警戒宣言の責任は気象庁長官にある」というが、学者・研究者の個人発表や警戒宣言ではない公的機関の記者会見などの責任は曖昧である。また予知情報のもとになった科学者の判断や基礎データの信頼性の有無についても同様である。警戒宣言についても気象庁長官や政府が責任を問われることはあり得る。[[大木聖子]]東大地震研助教は2009年の[[ラクイラ地震]]の事件で科学者と社会のミゾが広がったとし、[[日本経済新聞]]編集委員の滝順一は、予知に頼らない防災・減災が大切だと考えている。


=== 重要な情報の保存 ===
::: 実際に福島第1原子力発電所事故について、十分な事故防止策をとらなかったとして旧原子力安全委員会委員長が業務上過失致死傷で告訴されている。原子力発電所の活断層調査でも、事故で死傷者が出た場合に、調査した会社や研究者などが報告書の誤りについて法的責任を問われることがあり得る。
2014年現在、日本の[[データセンター]]の70%が関東地方にあるという。データセンターは建物を[[免震]]または[[制震]]構造としているが、首都直下地震が発生し大規模な停電が起きると機能を停止してしまう。停電に備えて自家発電装置もあるが、おおむね72時間で発電機の燃料がなくなると言われている。そうした事態に備えて、データセンターのデータは遠方の別のデータセンターにバックアップされているが、センターによってはバックアップを1日1回しか実施せず、そのため地震発生前の最後のバックアップ分までしか残せない可能性がある。また、データセンターのデータの利用者は、関東地方のデータセンターから遠方のデータセンターに切り替えれば直ちに業務を継続できるが、首都直下地震の影響で[[通信線路|電話線]]や[[光ケーブル]]が切断されている地域の利用者はデータセンターに接続できないという問題がある<ref>「[[#首都の生命線|首都の生命線]]」, p. 42-43.</ref>。

:: イタリアの2009年[[ラクイラ地震]]に対する予知について、2012年11月に刑事裁判で地震予知を否定して死傷者を出したとされる行政官と科学者6人に禁固6年の有罪判決が出た。これについて日本の地震学者からも困惑の声が上がった。科学者は「地震は起きないと断言できない」と内部の会議で述べたが、記者会見などで行政側に押し切られて安全宣言を補強する発言をした。民間の研究者が「地震が起きる」とネット上で発表したための騒ぎを静めるためである。公的機関に勤める民間研究者は地震前に公的処罰を受けたという<ref>[[関東大震災]]直前に[[今村明恒]]東京帝国大学助教授が雑誌「[[太陽]]」に関東地震発生の警告記事を載せ、[[大森房吉]]教授が政府の要望に応じる形で全否定をした故事を思い起こさせる。</ref>。


東日本大震災では[[戸籍]]データが津波で消失・滅失した事例があった。[[岩手県]]の[[陸前高田市]]と[[大槌町]]、[[宮城県]]の[[女川町]]と[[南三陸町]]で、津波による浸水で庁舎内にあった[[戸籍システム]]の[[サーバ]]が水没し、[[データ#磁気データ|磁気データ]]として記録されていた戸籍、計38,622件が失われた<ref name="鈴木2012">{{Cite journal |和書 |author=鈴木賢一(法務委員会調査室) |url=https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2012pdf/20120601039.pdf |title=東日本大震災に係る法務・司法分野の主な取組と今後の課題 |journal=立法と調査 |publisher=参議院 |date=2012-06 |issue=329 |pages=pp. 41-42 |format=PDF |accessdate=2016-07-02 |ref=鈴木2012 }}</ref><ref name="仙台法務局">{{Cite web|和書|url=http://houmukyoku.moj.go.jp/sendai/content/000134858.pdf |title=3 滅失した戸籍データの再製データの作成 |work=法務局における東日本大震災にかかる復興事業の紹介 |publisher=[[仙台法務局]] |format=PDF |date=2015-08-20 |accessdate=2016-07-02 |ref=仙台法務局 }}</ref><ref name="朝日新聞20110409">{{Cite news |author=鈴木拓也 |url=http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104090310.html |title=流失した戸籍謄本、4月末までに再製見通し 法相 |newspaper=朝日新聞 |date=2011-04-09 |accessdate=2016-07-02 }}</ref>
:::2013年1月18日、ラクイラ地裁は判決理由を公表した。学者が政府と癒着しメディア操作に手を貸したことが有罪の理由だとし、地震についての知識の正しさ、確かさを証明することが裁判の目的ではなく、法に定められたとおりのリスクの検討によるチェック機能が働かなかったとする。国立地球物理学火山学研究所のボスキ所長ら地震学者は以前からラクイラ付近での地震を警告していたが、検討会ではリスクを検討せず政府に従ったという<ref>[http://www.asahi.com/international/update/0119/TKY201301190047.html 政府との癒着を厳しく指弾 伊地震学者への有罪判決理由]朝日新聞 2013年1月19日13時33分</ref>。
{{refnest|group="注"|女川町では役場が浸水し、戸籍データを記録しているサーバも水没してデータが滅失した<ref name="仙台法務局" />。南三陸町では戸籍抄本などを記録しているサーバは[[南三陸町防災対策庁舎|防災対策庁舎]]にあり、津波被害を考慮して2階に設置していた<ref name="赤林2014p36">[[#赤林 2014|赤林 2014]], p. 36.</ref><ref name="NTT東日本">{{Cite web|和書|url=http://www.ntt-east.co.jp/business/case/y2012/n004/ |title=宮城県南三陸町様 |work=法人のお客さま 導入事例 |publisher=NTT東日本 |accessdate=2016-07-02 }}</ref>。本震発生時にサーバラックが倒壊し<ref name="赤林2014p36" />、その後の想定以上の巨大津波により庁舎は骨組みを残して全壊し、データも消失した<ref name="NTT東日本" />。大槌町と陸前高田市でも戸籍データを記録したサーバは破損または流失している<ref>[[#赤林 2014|赤林 2014]], p. 38.</ref>。陸前高田市では市庁舎1階のサーバルームが水没し、サーバ自体は流失しなかったが、データは消失し、[[住民基本台帳ネットワークシステム|住民基本台帳システム]]をはじめとする行政情報システムが運用不可能となった<ref>{{Cite web|和書|url=http://h50146.www5.hp.com/products/servers/news/casestudy/rikuzentakata/ |title=お客様事例:陸前高田市 |work=お客様導入事例 |publisher=[[日本ヒューレット・パッカード]] |date=2011-09-09 |accessdate=2016-07-02 }}</ref><ref>[[#赤林 2014|赤林 2014]], pp. 37-38.</ref>。大槌町では町役場庁舎2階のサーバ室が水没し、機器やメディアが一部流失したが、ラックに残っていた住基サーバからはデータを復元させることができた。住基データのバックアップテープは失われており、震災当日に職員がテープを回収して避難する途中で津波に巻き込まれて死亡し、テープも流失したと推定されている<ref name="赤林2014p36" />。}}
。震災のあった時点では、戸籍データは磁気テープに記録されたその副本が市区町村から管轄法務局に年1回送付されていた<ref name="鈴木2012" />。法務局は副本に基づいて戸籍の再製データを作成して4市町に提供し、4市町において戸籍の再編が行われた<ref name="鈴木2012" />。副本データは震災の前年の3月分までしか残っていなかったが<ref name="仙台法務局" />、前年4月以降に提出された婚姻届や出生届などで補ったり<ref name="朝日新聞20110409" />、住民に自己申告するように告知するなどした<ref name="朝日新聞20110409" />。このように東日本大震災では副本データによって戸籍を再編することができたが、データがバックアップされていなかった部分の再編には時間と労力を要した。また、市区町村庁舎と管轄法務局が同時に被災すれば、戸籍データが正本も副本も滅失する事態が考えられた{{refnest|group="注"|南三陸町では、正本データのある町役場庁舎と副本データのある仙台法務局気仙沼支局がともに被災したため、発災直後は戸籍データの正副両方の消失が懸念されたが、気仙沼支局の副本データは合同庁舎の3階にあって津波での浸水を免れていた<ref name="法務省24年度概算要求">{{Cite web|和書|url=https://www.moj.go.jp/content/000080576.pdf |title=戸籍副本データ管理システムの構築 |work=平成24年度概算要求 「日本再生重点化措置」に係る要望説明資料(11月2日) |publisher=法務省 |format=PDF |date=2011-11-02 |accessdate=2016-07-02 }}</ref><ref name="森2015p74">{{Cite journal |author=森顕登 |url=http://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/handle/2324/1515777/p073.pdf |title=【資料紹介】 「《座談会》戸籍の滅失と再製」法務省民事局『民事月報』第二六巻第二号、一九七一年 |journal=エネルギー史研究 : 石炭を中心として |publisher=九州大学附属図書館付設記録資料館産業経済資料部門 |volume=30 |page=pp.73-82 |format=PDF |date=2015-03-20 |accessdate=2016-07-02 |doi=10.15017/1515777 }}(参照ページ:p. 74)</ref>。}}。そのため、法務省は2013年(平成25年)1月に[[戸籍法]]施行規則の一部を改正し、市区町村で更新された戸籍の副本データを遠隔地にある戸籍副本サーバに送信することとした。副本データはセキュリティ性の高い[[総合行政ネットワーク]] (LGWAN) を利用して毎日送信される<ref>{{Cite web|和書|author=横須賀市市民部窓口サービス課 |url=http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/0250/koukai/kozinsingikai/documents/25-3-1.pdf |title=資料3 戸籍副本データ管理システムに係るオンライン結合による保有個人情報の外部提供について(報告) |date=2015-03-01 |accessdate=2016-07-02 }}</ref>{{refnest|group="注"|ネットワークを用いた送信については、法務省より、従前の磁気テープに記録した副本を送付する方法では事故などで個人情報の流出のおそれもあるためと説明されている<ref name="法務省24年度概算要求" /><ref name="森2015p74" />。}}。管轄法務局
{{refnest|group="注"|法務局自体の大規模災害への対策としては、法務省より業務継続計画策定の方針が示されている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.moj.go.jp/giyoumu.pdf |title=法務省業務継続計画(首都直下地震編) |publisher=法務省 |page=3 |format=PDF |date=2008-06-27 |accessdate=2016-07-02}} - 2008年(平成20年)6月27日決定、2015年(平成27年)4月10日最終修正</ref>。たとえば千葉地方法務局では非常時優先業務などの遂行に備えるべく、2016年度(平成28年度)までに全職員の非常食や簡易トイレ等を3日分備蓄し、その後も発災時に参集する要員の7日分の備蓄を進める予定である<ref>{{Cite web|和書|author=太田卓夫(千葉行政評価事務所) |url=https://www.soumu.go.jp/main_content/000370161.pdf |title=「災害時に必要な物資の備蓄に関する行政評価・監視」の結果に基づく勧告〈千葉県内の事例〉 |work=報道資料 |publisher=総務省 |date=2015-07-24 |accessdate=2016-07-02 }}</ref>。}}
は副本データを保管せず、遠隔地のサーバに保管された市区町村の副本データを管理することとなった<ref name="日立製作所">{{Cite web|和書|url=http://cgs-online.hitachi.co.jp/contents/295_1.html |title=読んでナットク!自治体ICT 戸籍副本データの管理が変わります |work=自治体ICT 応援サイト [日立]CyberGovernment Online |publisher=[[日立製作所]] |date=2012-10-10 |accessdate=2016-07-02 }}</ref>。運用は2013年9月から始まった<ref>{{Cite news |author=鈴木慶太 |url=https://xtech.nikkei.com/it/article/NEWS/20140403/548203/?rt=nocnt |title=日立製作所が戸籍副本データ管理システムを構築、災害による戸籍の滅失を防ぐ |newspaper=ITpro(日経コンピュータ) |publisher=[[日経BP|日経BP社]] |date=2014-04-03 |accessdate=2016-07-02 }}</ref>。なお、以上は戸籍がデータ化されている市区町村についての説明であり、戸籍のデータ化を行っていない市区町村では異なる対応となる<ref name="日立製作所" />。


法務省は2013年に、首都直下地震などの大規模災害時にも日本各地にある所管施設(法務局、検察庁など)を相互に結ぶネットワークを維持するべく、通信回線の二重化を図ることとした<ref name="法務省25年度概算要求">{{Cite web|和書|url=https://www.moj.go.jp/content/000103578.pdf |title=法務省情報ネットワーク(法務省NW)の更新に伴う首都直下地震等広域災害対策(通信回線の二重化) |work=平成25年度概算要求 重点要求説明資料 |page=2 |format=PDF |accessdate=2016-07-02 }}</ref>。情報の暗号化のために、法務省や所管施設間の通信は首都圏にある法務省の特定の施設を必ず経由していたが、大災害で首都圏の特定の施設や通信網が被災すれば、たとえば九州内の異なる施設同士でも通信ができなくなる。そのため、首都圏から離れた関西地方などに、首都圏の施設と同等の機能を備えた施設を併設することで、一方が被災しても一方が稼働して引き続きネットワークを運用できるようにする<ref name="法務省25年度概算要求" />。
:::1977年、アメリカ鉱山局のブレイディ博士は3年後にペルーのリマ付近で大地震が起こると予想し、報告が地質調査所([[USGS]])に届けられた。この報告が新聞に漏れて大騒ぎになった。その後彼は自説を取り消したが、告訴を受け損害賠償を求められた。裁判所は証拠不十分として告訴を受け付けなかった。1980年代[[ユネスコ]]を中心とする委員会で「地震予知憲章」を作る動きが生まれたが、未だにできてはいない<ref>「東京圏直下大地震が迫る」p.163-167。[[力武常次]]著、 講談社、1991年11月。ISBN-13: 978-4062056359 </ref><ref>その後ペルーでは2001年6月にM8.4、死者138人の、2007年8月にM8.0、死者540人の大地震が起こっている。</ref>。
{{節スタブ|date=2016年7月2日 (土) 11:32 (UTC)}}


=== 津波と防潮堤 ===
=== 応援計画 ===
2014年6月の総務省の調査によれば、岩手・宮城・福島の3県を除く44都道府県と抽出した168市町のうち、都道府県の66%・市町村の93%が被災地に地方自治体が職員を送るための応援計画を作成していなかった。総務省は、2012年9月に「防災基本計画」<ref>{{PDFLink|[https://www.bousai.go.jp/taisaku/keikaku/pdf/20111227_basic_plan.pdf 防災基本計画]}} 中央防災会議、2012年(平成24年)9月。<!--2014年6月28日 (土) 06:58 (UTC)--></ref>を修正し応援計画の作成を求めたが進捗していない旨を指摘した。また支援物資を一時集積する拠点を選定していないのが都道府県で20%、災害時に優先して燃料の提供を受ける協定を結んでいないのが、都道府県の18%・市町村の38%だった<ref>{{Cite news |url=https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2700S_X20C14A6CR8000/ |title=都道府県の66%未作成 被災地に職員「応援計画」 |newspaper=日本経済新聞 |date= |accessdate=2014-06-28<!--2014年6月28日 (土) 09:26 (UTC)--> }}</ref>。
2011年の[[三重県]]による推定では、[[熊野市]][[二木島町|二木島]]で地震発生後13分で高さ19mとなり、人間が耐えられない津波の高さといわれる50cmになるまで4分しかない。2011年の[[徳島県]]による想定では、[[牟岐町]]牟岐漁港湾口で20cmの津波の到達時間は3分であり、[[美波町]]阿部漁港奥や[[海陽町]]宍喰海岸で高さ約20mになる。


== 地震発生の警報と告知 ==
2012年3月の内閣府南海トラフ検討会発表<ref>[http://mytown.asahi.com/shizuoka/news.php?k_id=23000001204010003 地震2分後、津波到達/国の検討会試算:朝日新聞デジタル> マイタウン> 静岡>2012年04月01日]</ref>によると、1m以上の津波が揺れの収まっていない2分以内に静岡県沿岸に押し寄せる可能性が指摘された。また静岡県の広い地域で10分以内の来襲が予想された。[[下田市]](下田小学校では20分以内に7m)・[[南伊豆町]]で25.3m、[[高知県]][[黒潮町]]で34.4mという。静岡県全域での想定震度は全シナリオで震度6以上であり、15市町村で震度7が予想されている。
=== 地震警報システム ===
{{see also|地震警報システム|緊急地震速報}}
[[ファイル:Earthquake Early Warning (Japan).svg|thumb|right|220px|緊急地震速報のしくみ]]
地震が発生したのを即座に関知し日本中に知らせる[[地震警報システム]]として、[[緊急地震速報]]がある。震源に最も近い地震計が[[地震波#P波_(P-wave)|P波]]([[初期微動]])を感知するとそれを気象庁に伝え、気象庁は予想される地震の規模や震度4以上の揺れに見舞われる地域を自動計算して直ちに日本中に緊急地震速報を発信する。これにより、[[地震波#S波_(S-wave)|S波]]([[主要動]])が到達する数秒から数分前には地震発生を知ることができる<ref>[[#鎌田監修 2014|鎌田監修 2014]], p. 134.</ref>。2004年2月に一部地域での試験運用が始まり、2006年5月に先行提供開始、2007年10月からは一般に向けての提供と[[日本放送協会|NHK]]・[[民間放送|民間放送局]]での緊急地震速報の放送、および[[全国瞬時警報システム]](Jアラート)の運用が開始された。<ref name="緊急地震速報沿革">{{Cite web|和書|url=https://www.data.jma.go.jp/svd/eew/data/nc/shiryo/enkaku.html |title=緊急地震速報の沿革 |work=知識・解説 緊急地震速報について |publisher=気象庁 |accessdate=2016-06-04 }}</ref>。[[文部科学省]]は、2012年度(平成24年度)からの3年間で、国公私立の幼稚園と小中高校約5万2千校に緊急地震速報の受信端末を整備している<ref>{{Cite news |url=https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2703F_X20C11A9CR8000/ |title=緊急地震速報の受信機、全幼稚園・小中高に 文科省、3年かけ導入へ |newspaper=日本経済新聞 |date=2011-09-27 |accessdate=2016-06-04 }}</ref>。携帯電話やスマートフォンで速報を受信するサービスとしては、2007年12月に[[NTTドコモ]]が[[エリアメール]]、2008年3月に[[au (通信)|au]]が[[緊急速報メール (au)|緊急速報メール]]の提供を開始し、他会社も追随した<ref name="緊急地震速報沿革" />。[[市町村防災行政無線|防災行政無線]]が緊急地震速報を住民に知らせている市区町村もある<ref name="鎌田2014p135">[[#鎌田監修 2014|鎌田監修 2014]], p. 135.</ref>。直下型地震の場合は緊急地震速報の受信が間に合わないこともあるが、主要動が到達する前に、室内なら机の下などの安全な空間に入ったり、屋外では看板やブロック塀の側から離れたり、自動車の運転中であればゆっくり減速するとともに[[方向指示器|ハザードランプ]]で周囲に注意を促すといった対応をとることができる<ref name="鎌田2014p135" /><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.data.jma.go.jp/svd/eew/data/nc/koudou/koudou.html |title=緊急地震速報を見聞きしたときは |work=知識・解説 緊急地震速報について |publisher=気象庁 |accessdate=2016-06-19 }}</ref>。


ほか、走行中の電車や新幹線に地震動が到達する前に地震発生を知らせて停止させるシステムとして、[[ユレダス]]とその後継の[[早期地震警報システム]]がある(その項参照)。また、コンピュータで地震や津波の情報を配信・共有する[[P2P地震情報]]などの[[ソフトウェア]]や、[[感震計]]により強い揺れを観測した際に警告を発する手法もある。
::大津波警報は地震発生後1-3分で出すことが2012年の技術的限界であり、大津波警報発生前に大津波が襲来することも十分考えられる。
::[[ウェザーニュース]]は2012年2月から、青森から茨城までの区間で津波監視用レーダーの運用を始めた。沖合30kmまで監視し、最大15分前に津波をとらえる可能性があるという<ref>[http://www.asahi.com/national/update/0305/TKY201203050390.html 津波とらえるレーダー運用開始 ウェザーニューズ]2012年3月5日18時48分</ref>。
[[防潮堤]]は、津波を防ぎきれるわけではないが、避難時間を確保するために重要である。
:: [[三重県]]による点検結果によると、[[1959年]][[伊勢湾台風]]後に作られ、195kmは改修されていないため空洞化部分が少なくとも138カ所あるが、全面改修には約100億円必要とされる。最大の空洞は幅6m、深さ90cmであり、[[河田恵昭]]は『[[張り子の虎]]状態』という。
:: 釜石港の防潮堤は、津波高を4割低減、最大遡上高を5割低減、水位上昇を6分間遅らせた<ref>[http://www.pari.go.jp/info/tohoku-eq/20110401.html 釜石港における津波による被災過程を検証:平成23年4月1日:国土交通省港湾局,独立行政法人港湾空港技術研究所]</ref>。


=== テレビ・ラジオでの告知 ===
:: 東日本大震災後、千葉県で東京湾奥での津波の想定が、また(海に面していない)埼玉県<ref>東京湾まで最低20kmある。</ref>でも津波の河川遡上を想定するなどの動きが広がってきた。しかし内湾の低地、河川敷などには重要な発電所・変電所・空港・物流拠点・通信拠点・娯楽施設・放送施設・ガスタンク・石油タンク・精油所・倉庫・大企業の本社・ハイテク中小企業工場・データセンターなどが津波対策のないまま稼働しているところが多数存在する。
{{出典の明記|section=1|date=2016年6月19日 (日) 12:37 (UTC)}}
:::: 3.11で首都圏を襲った内湾津波・・・木更津港2.83m、船橋 2.4m、千葉市中央港1.87m、横浜1.6m、横須賀1.6m、
NHKでは、本震の最大[[震度]]が6弱以上の揺れを観測する地震の発生や、[[津波警報]]が発表された場合、国際放送([[NHKワールド]])を含む[[テレビ番組|テレビ]]・[[ラジオ番組|ラジオ]]のすべての番組を中断して、地震や津波の情報を伝えている(九波全中)。テレビでの地震情報は[[NHK総合テレビジョン|総合テレビ]]、衛星放送全チャンネル(衛星放送は震度3以上のみ)でテロップ表示を行う([[NHK教育テレビジョン|教育テレビ]]でも稀に表示されるが、NHKワールドでは一切表示していない)。ラジオでは[[NHKラジオ第1放送|ラジオ第1放送]]で該当地域のみ番組を中断し放送される([[NHK-FM放送|FM放送]]は[[ラジオ深夜便]]の放送時のみに限られる)。FM放送は日中の放送では地震情報は放送されないが、津波が発生する可能性がある地震に限り番組を中断して放送される。[[NHKワールド・ラジオ日本]]については全国一斉に流れる場合に限りそのまま放送される。なお、NHK以外の民間放送局でも、概ね震度3以上の地震発生時、あるいは津波情報発表時にはテロップ表示を行っている。
::: 2012年の各県の想定による津波の高さは、横浜駅東口9m、横浜港4.9m、千葉市中央区2.9m、木更津市3m・自衛隊木更津ヘリコプター基地約3m(木更津市12平方km浸水)、江戸川区新小岩付近2.11m、江東区2.55m、品川区立会川付近2.61m<ref>東京都は元禄型地震、「水門閉鎖時」を想定</ref>、などとしている<ref>[http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012042602000115.html 「千葉県の新予測 東京湾津波 最大3メートルも」2012年4月26日 東京新聞朝刊]</ref>。
:::: 千葉県2012年想定:防潮施設なし・水門開放・浸水2m以上<ref>[http://www.pref.chiba.lg.jp/bousaik/press/2012/201204tsunami.html 「津波浸水予測図(平成23年度)」平成24年4月25日千葉県防災危機管理部]</ref>
::::: 都川・・・千葉市中央区 境橋を超える付近まで
::::: 花見川・・千葉市花見川区 京葉道路花見川変電所付近まで(湾口10mケースではさらに約2km上流まで)
::::: 江戸川・・松戸市古ヶ崎 旧松戸三郷有料橋付近(対岸は埼玉県三郷市)まで
::::: 船橋市役所・湊小学校付近 0.8-2m以上
:::: 大阪府2013年想定:南海トラフ地震<ref>[http://www.pref.osaka.jp/kikikanri/bukai/index.html]大阪府最終想定、2013年8月公表</ref><ref>日本経済新聞2013年8月6日夕刊文化</ref>
::::: [[大阪駅]]完全水没、大阪駅付近浸水最大2m(「[[キタ]]」周辺には地下街が迷路のように発達し、その上東から西へ傾斜しており、浸水が心配されるが、現在の設備は大雨対策中心で津波には耐えられない<ref>[http://mainichi.jp/select/news/20130808k0000e040208000c.html 南海トラフ地震:繁華街キタに深刻な津波被害 大阪府想定]毎日新聞 2013年08月08日</ref><ref>[http://thepage.jp/detail/20130802-00010006-wordleaf まるで迷路 大阪地下街の魅力とは?]The Page 2013/8/2 20:41</ref>。)。
::::: 大阪府内浸水面積1.1万ha<ref>津波到達時間は1.5-2時間。2012年8月の内閣府推定では3,050ha。</ref>。
::::: [[関西空港]]南側100ha浸水見込み(津波到達時間は約1時間)。
:::::2014年1月公表の大阪府の想定では、大阪北港(此花区)などの被害により、最大4.4万キロリットルの石油類が流出する。対策としてタンク固定・耐震改修・非常用電源の高所配置などがあるが、津波浸水により被害が発生するので、対策を堤防などで浸水を防ぐように転換すべきだとした。


また、NHKなどでは津波警報発表時や東海地震警戒宣言発表時に[[緊急警報放送]]を行っている。
東日本大震災では、水門を閉めるために消防団員が多数犠牲になった。水門は津波のおそれがある場合に何らかの方法で閉鎖する必要があるが、全国(東日本大震災の被災3県を除く)の水門約1万カ所のうち、遠隔操作や自動で閉まるものは、2012年3月末で6%である<ref>『水門自動化の手引き 国交省 津波対策 自治体に改修促す』日本経済新聞2013年1月15日夕刊14面</ref>。東日本大震災の津波被害の教訓から他の防災対策を後回しにして津波対策をしている自治体が多いが、費用が1カ所数億円かかる場合もあるので予算不足で改修は進んでいない。
:また地震の時、水門が壊れていて動かなかったり<ref>立地上地盤が弱い場合が多く、地盤沈下などで歪んだりする。</ref>、動かすための電気や遠隔操作のための通信手段<ref>河川事務所からの通信手段が堤防地下に埋め込まれた国交省専用光ケーブルだけという場合があり、地震などで損傷を受けることがある。</ref>が損傷している場合もありうる。また、東日本大震災では大規模な防潮堤が十分に連結されておらず<ref>日本一といわれた田老町の堤防。特に7mの堤防とかさ上げした3mの部分をつなぐ鉄筋が全くない。ブロックごとの横の連結鉄筋もほとんどない。</ref><ref>例えば道路の[[ガードレール]]は一つ一つは弱いが、数十m全体がつながって衝突力を受け止める構造になっている。特に防潮堤の場合、津波が来た場合には1カ所が崩れただけで他の部分が無力化する(内側から基礎がえぐられるため。また1カ所崩れた場合にそこに力(流れ)が集中するので、まわりが順番に倒れる。)。</ref>、基礎が弱かったために順番に倒れた例もあった。


== 大規模地震発生時の対策 ==
=== 受援体制 ===
=== 受援体制 ===
援助をするためには援助の受け入れ体制が必要である。それを「受援体制」という。東日本大震災では、受援体制がなく応援の行政職員を活用できなかったり、ボランティアを断った例もあった。大都市では、名古屋、札幌、福岡、川崎、広島、北九州、千葉などが受援計画を全く策定していない<ref>『防災計画「受援」も重要 災害時 応援受け入れ態勢』読売新聞2014年1月14日解説スペシャル</ref>
援助をするためには援助の受け入れ体制が必要である。それを「受援体制」という。


{{節スタブ|date=2016年7月2日 (土) 11:32 (UTC)}}
::阪神淡路大震災では2ヶ月間で述べ100万人のボランティアが集結した。例えば西宮市役所では、登録ボランティアが4日間で3,500人、8日間で5,000人になったが、担当する職員が20人であったためパニック状態になった。
::「行政は公正でなければならないが非常時には逆機能し、機動性を失わせる」<ref>「”ブーム”が去ったあと 阪神大震災とボランティア」早瀬昇「被災地を支援する市民の会」の母体である大阪ボランティア協会の事務局長</ref>。西宮市の登録制度では、行政が被害とニーズの全体像を把握して公正に割り振る必要があったが、全体像の把握は困難で、登録制度は全く機能せず、駆けつけたのに何も仕事がない「ボランティア難民」が生まれた。その教訓を生かし、兵庫県は「兵庫ボランタリープラザ」を設置し、東日本大震災では兵庫県のスタッフが「ボランティア・インフォーメーションセンター」を設置した。センターの高橋氏は「学生がボランティアをするために、交通費の補助制度が欲しい」としている<ref>『希望のボランティア 阪神大震災、育んだ絆』「日曜に考える 熱風の日本史 第21回」日本経済新聞2014年1月19日13面</ref>


=== 複合災害 ===
=== 医療対策 ===
==== 医療機関での対策 ====
<ref>『台風・噴火同時も警戒-巨大地震 「死者32万人」回避への道』日本経済新聞2012年9月3日34面</ref>
{{see also|災害拠点病院}}
[[東日本大震災]]では、地震の他に[[津波]](大地震としては1896年[[明治三陸地震]]以来の規模)と[[原子力事故]](世界史上2番目の規模、前回は1986年の[[チェルノブイリ]]事故が史上1位)が起こったため、極めて複雑な事態となり復旧の障害となっている。
{{独自研究|section=1|date=2016年6月23日 (木) 14:28 (UTC)}}
[[ファイル:Kobe City Medical Center West Hospital f121.jpg|thumb|right|220px|兵庫県南部地震で被災した[[神戸市立医療センター西市民病院|神戸市立西市民病院]](1995年1月19日撮影、神戸市提供)]]
大地震の発生時には、病院や介護施設などで医療や介護の記録が失われ、治療などにも支障が出るおそれがある<ref name="読売20121006" />。東日本大震災では病院や施設が津波で被災するなどして多くの患者の情報が失われ、診察時には[[医師]]が患者自身から服薬中の薬を聞き取らなければならなかった事例もあった。震災後、宮城県医師会と東北大学が、県内の医療機関や介護施設などを結ぶ情報ネットワーク上でカルテ情報を共有化することを目指す「みやぎ医療福祉情報ネットワーク協議会」([http://mmwin.or.jp/ リンク])を立ち上げている<ref name="読売20121006" /><ref>{{Cite web|和書|url=http://mmwin.or.jp/html/outline/principle.html |title=一般社団法人みやぎ医療福祉情報ネットワーク協議会(MMWIN)の目的 |work=MMWIN みんなのみやぎネット |publisher=みやぎ医療福祉情報ネットワーク協議会 |accessdate=2016-06-26 }}</ref>。厚生労働省も、2012年度から十数か所の中核病院と周辺の医療機関をネットワークで結んでの同様のシステムを構築し始めている。クラウド化に伴い、ハッキングなどによる情報流出への対策が必要となる<ref name="読売20121006">{{Cite news |author=小林泰裕 |title=カルテ電子化 災害に強く クラウドで「ネット保存」 被災地の病院・介護施設 |newspaper=読売新聞 東京夕刊 |date=2012-10-06 |page=14 |quote=''東日本大震災で...は、多くの医療機関で津波などの被害により患者のデータが消失。宮城県医師会によると、...被害を受けた病院と診療所の9割にあたる163施設でカルテが失われた。県によると介護施設も200以上が被災し、多くの介護記録も失われたとみられる。...公立志津川病院は、...「どんな薬が処方されていたのか、患者さんの記憶に頼らざるを得ず、手探りだった」...。こうした反省から、同医師会と東北大などは「みやぎ医療福祉情報ネットワーク協議会」を設立。医療機関と介護施設などを情報ネットワークで結び、カルテの共有化を目指している。...厚生労働省も今年度、全国十数か所で中核病院と周辺の医療機関をネットワークで結び、相互にカルテを閲覧できる仕組み作りを始めた。...ただ、ハッキングなどによる個人情報流出への心配は残る。厚労省は...対策を示している。... }}</ref>。


{{節スタブ|date=2016年6月25日 (土) 11:20 (UTC)}}
今後予想される複合災害には次のようなものがある(発生確率や因果関係は問わない)。起こった場合、地震の規模が比較的大きくなくても、被害が非常に大きくなるおそれがある。
: (1)[[火災旋風]](2)火山爆発(3)[[豪雨]]・[[洪水]]・[[豪雪]]・[[台風]]・[[寒波]]・[[熱波]]、[[竜巻]]などの気象災害(4)世界的な[[経済危機]](5)化学工場・[[タンカー]]・自動車・列車の事故(5)ガスタンク、石油タンク、石油工場、タンカーの火災・流出<ref>最悪の事態は火災を起こした化学物質やガス満載の船が制御不能で湾の奥に突入する事態。化学工場の爆発(インドとイタリアで死者多数の事故あり)</ref>(6)外国からの戦争・侵攻・テロ・潜入工作員<ref>偽の身元を作り長期潜入者を入国させるか育てるのには、混乱した社会が最適である。</ref>(7)[[サイバーテロ]](8)[[クーデター]](9)企業・資金・人々の国外脱出(10)[[治安]]の崩壊と反動(11)[[財閥]]・[[大政翼賛会]]・[[宗教]]・[[イデオロギー]]などによる[[寡占]]化(12)複数の[[原子力発電所]]の複数の[[原子炉]]が[[メルトダウン]]する(13)大規模な[[太陽フレア]](14)[[高潮]]・[[大潮]](15)大規模な[[深層崩壊]](16)[[南関東ガス田]]などの噴出<ref>[http://jisin.jp/serial/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84/flash/4732 首都圏大地震で”巨大ガス田”炎上の危機「死者は100万人」]女性自身 週刊FLASH 2012年4月17日号</ref><ref>濱嶌良吉・元埼玉大学、前橋工科大学教授による警告</ref>(17)[[メタンハイドレート]]の浮上(18)[[連動地震]](歴史上連動地震は多数あるが、終戦直前の東海・東南海地震以外の今生きている人類の経験がない)(19)酸素を含まない気体の流出([[ニオス湖]])(20)外国での津波や火山噴出物の影響(21)[[感染症]]の流行<ref>発展途上国の地震では常に憂慮される。最近インフルエンザの流行期間が長く、弱者の死亡例が目立つ。[[新型インフルエンザ]]も懸念される。[[溶連菌]]、[[サルモネラ菌]]、[[はしか]]、[[エキノコックス]]、[[クリプトストリジウム]]、[[ヤマビル]]、[[肺炎球菌]]、O-157など[[病原性大腸菌]]なども衛生状態の悪化とともに流行するおそれがある。</ref>(22)[[隕石]]、[[隕鉄]]、[[氷隕石]]の落下と衝突(23)病原菌や毒物の流出(24)深部地震による想定外の波長、周期、継続時間、被害地域(24)ダムの決壊(25)大規模な停電<ref>広域の長期停電はきわめて深刻な事態を引き起こす。</ref>(25)経済危機、通貨危機、超インフレ、超デフレ(25)犯罪者の急増<ref>阪神大震災では自動販売機の硬貨・紙幣判別機が大量に盗まれて解析されたと言われる。</ref>(26)列車事故<ref>化学物質や病原体の流出、住宅やホームへの衝突、列車同士の衝突、地上への落下</ref>(27)国家の重要施設、人物、機関の損傷<ref>首相など重要閣僚数人が執務不能、首相官邸・防衛省・警視庁・NHK・放送アンテナ/設備・気象庁・気象業務センター・国土地理院・東大地震研・山口地上局・NTT中継回線・海底ケーブルなどの大きな損害</ref>(28)航空事故<ref>重要施設のほとんどは飛行機の衝突に耐えられない。</ref>(29)BCR(生物、化学、放射能)兵器の損傷、暴発、意図的使用<ref>BCR兵器でなくても爆弾と燃料満載の爆撃機が突入すれば、どんな原子力発電所・シェルターも無事では済まない。また「バンカーバスター」という種類の兵器にも耐えられない。</ref>。


==== 要医療者に関する対策 ====
:::「(2)火山の爆発」は、大地震と密接に関係があるという<ref>世界中で起こった過去6回のM9以上の地震のうち、数年以内に周辺地域で複数の火山の爆発がなかったのは、2011年東北地方太平洋沖地震だけである。特に心配されているのが1707年には宝永大地震の49日後に富士山の宝永大噴火が起こっていることである。</ref><ref>[http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120913/dst12091310070003-n1.htm 震災で富士山に圧力 専門家「噴火しなかったのはたまたま」]産経ニュース2012.9.13 10:04 </ref><ref>[http://www.asahi.com/national/update/1128/NGY201211280005.html 大地震と連動警戒 富士・御岳・焼岳、監視続く 東海]朝日新聞 2012年12月2日0時9分</ref>。1707年の[[宝永地震]]の49日後に[[富士山]]の[[宝永大噴火]]が起こっているし、2004年[[スマトラ島沖地震]]では数ヶ月後に火山が噴火している。[[噴火]]で付近の住民が数十万人から数百万人の避難が必要になるが、震災直後であるので移動には困難が伴う。また火山噴出物の影響は広い範囲に及ぶ。現代の電気機器・電力網・電子機器・[[航空機]]は[[火山灰]]などにきわめて脆弱であるため、直接の被害だけではなく、避難・救援活動の大きな妨げとなる。江戸時代の[[アイスランド]]の火山([[ラキ]])や最近の[[ピナツボ火山]]の爆発は世界的な気象変動と食糧危機を起こしている。
{{see also|災害医療|災害派遣医療チーム}}
:::「(21)感染症の流行」の最近の例として、2010年[[ハイチ地震]]があげられる。ネパールの平和維持部隊が持ち込んだと言われるコレラに2013年1月現在63万人以上がかかり、2010年からの3年間で8,000人が死亡したという<ref>[http://www.globalpost.com/dispatch/news/afp/130221/un-rejects-haiti-cholera-damages-claim-0 Haiti cholera outbreak: UN will not compensate victims]GlobalPost February 21, 2013 15:16</ref><ref>2013年6月のエール大学の報告では国連の責任だが、7月のジョンズホプキンス大学の研究では違う可能性も指摘された。理由はエールでは1種類のネパールの菌だが、もう一つではネパールだけではなくもう1種類の現地の菌があるという。</ref>。[[関東大震災]]では、[[赤痢]]、[[腸チフス]]、[[パラチフス]]、[[猩紅熱]]、[[ジフテリア]]、流行性[[髄膜炎]]、[[天然痘]]などが流行し感染症患者1万4千人、死者1,827が出た。
[[ファイル:23.3.13 EA:患者搬送(霞目駐屯地) 東日本大震災における災害派遣活動 16.jpg|thumb|right|220px|陸上自衛隊の東日本大震災災害派遣活動、患者搬送の様子(2011年3月13日、陸上自衛隊撮影)]]
2015年8月に木全直樹([[東京女子医科大学]]、血液浄化療法科)らが発表した調査結果によれば、首都直下地震では、医療施設の耐震性不足・自家発電装置無し・水不足などによって[[人工透析]]を受けられなくなる患者(いわゆる「透析難民」)が首都圏で2万人から3万人にのぼるおそれがあるという。透析なしの生活のタイムリミットは3日間とされる<ref>{{Cite news |url=http://mainichi.jp/articles/20150901/dde/041/040/041000c<!--2016-06-22にurl差し替え http://mainichi.jp/select/news/20150901k0000e040244000c.html--> |title=透析難民:2万人に 首都直下地震、施設の耐震不足半数 |newspaper=毎日新聞<!--(共同通信)--> |date=2015-09-01 |accessdate=2015-09-06}}</ref><ref name="日本経済新聞20150831" />が、東京都の計画によれば、大規模地震が発生し透析患者が避難する場合は、東京女子医大と[[杏林大学]]が患者の情報をまとめ、その報告を受けた都が患者の受け入れを他自治体に打診してからの避難となり<ref name="日本経済新聞20150831" /><ref>{{Cite web|和書|url=http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/koho/books.files/1shyou.pdf |title=第1章 災害時の透析医療確保に向けた対策 |work=災害時における透析医療活動マニュアル |publisher=東京都福祉保健局 |pages=8-10, 12-11 |format=PDF |year=2014 |month=3 |accessdate=2016-06-23}} - 2014年(平成26年)3月改訂版</ref>、その事務手続きに数日以上かかると見込まれている<ref name="日本経済新聞20150831">{{Cite news |url=https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG31H0Q_R30C15A8000000/ |title=東京都の透析施設、耐震性低く 他地域へ避難必要に |newspaper=日本経済新聞 |date=2015-08-31 |accessdate=2016-06-22 }}</ref>。


人工透析のほか、病院や自宅で[[人工呼吸器]]や[[人工心臓|人工心臓装置]]、[[痰]]の[[気管内吸引|吸引器]]を使用している場合も、停電によって生命維持が困難となるおそれがある。病院の場合は自家発電で機器を動かすことができるが発電機の燃料を入手できなくなる可能性もある。妊産婦や新生児の健康管理にも電気や水が不可欠である。こうした人たちは、ヘリコプターなどで電気も水も通っている病院に急いで運ぶ必要がある<ref>「[[#首都の生命線|首都の生命線]]」, p. 45.</ref>。
=== 大都市直下の地震 ===
[[首都圏直下地震]]への対策はある程度進んでいるが、他の大都市直下の地震に対する対策は進んでいない。


{{節スタブ|date=2016年6月3日 (金) 16:00 (UTC)}}
東北大学の遠田晋次教授によれば、過去90年間のM6.5以上の33回の地震のうち、80%で地上に断層が現れなかった。活断層はどこにでも潜んでおり、日本中どこでも大地震が起こると考えて欲しいという<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2013_1007.html 大地震でも“見えない”活断層
]NHK WEB特集2013年10月7日(TVニュースでも放送)</ref>。


==== 大阪 ====
: 大阪は水の都でありながら、埋め立て地である咲州庁舎への移転をはかり、東日本大震災による大きな損傷を受けた。
: 大阪には中心部(大阪城脇、中央区役所の建物の真下、環状線の真下など)を通る[[上町断層|上町断層帯]]があり、被害想定は東京の死者1万人に対し、大阪はケースによってはM7.6で約4.2万人の死者、被害額74兆円という想定(2007年中央防災会議)である。[[阪神大震災]]後地震発生確率が高まっているが、どの程度かは不明である{{要出典|date=2012年5月}}<ref>「直下地震被害想定 中部・近畿も見直し」読売新聞2014年1月1日朝刊2面</ref><ref>政府は平成26年から被害想定を見直す</ref>。
:::2012年末、上町断層(逆断層)につながる震源断層が解明され、過去の推定より大規模である(被害規模も大きくなる)ことが分かった。北は[[箕面市]]付近から南は[[岸和田市]]付近まで、南北42km、深さ15kmで、少し東側に傾いて下降している<ref>京大防災研究所の岩田知孝教授を中心とする研究グループによる。[http://www.asahi.com/national/update/0831/OSK201208310099.html 「暮らす、断層に立つこの街 大阪・上町断層帯」]朝日新聞2012年9月1日1時18分</ref>。地表面の断層はかなり枝分かれし、大阪駅、堺市役所を通るメインや、天王寺駅を通るものなど数本ある<ref>地表面の活断層が震源断層に直結しているので、活断層上の建造物の被害の規模が大きいと推測されている。また大阪平野付近は堆積層(沖積層)に主要部分が覆われているので、その中心部における地震動は大きな被害をもたらすとされている。</ref>
: 国が防災上憂慮する「密集住宅地」は大阪府内に2,300haあり、上町断層のすぐ東の大阪市生野区・城東区・東成区・阿倍野区に集中している。
: 大阪は[[南海トラフ]]地震などで、かなりの地域が水没するものと考えられているが、対策が進んでいない。

==== 名古屋 ====
: 2012年11月、名古屋大・広島大のチームが[[名古屋市]]中心部を通る2本の活断層(堀川断層<ref>[[名古屋城]]北部から[[名古屋駅]]の東を通り[[熱田神宮]]まで</ref>・尼ヶ坂断層<ref>[[尼ヶ坂駅]]から南へ</ref>)を空中写真と地質データから発見した<ref>「名古屋中心部に活断層」日本経済新聞2012年11月6日朝刊39面</ref>。
: [[名古屋]]は[[木曽川]]など河川の[[三角州]]に発達しており、[[伊勢湾台風]]・[[安八水害]]・[[東海地震]]・[[南海地震]]などで大きな地震や津波の被害を受けている。中部地方の中心地であり、近くには[[トヨタ自動車]]など日本の基幹産業が集中しているだけではなく、日本の東西を結ぶ中心地であり、陸上交通([[光ケーブル]]なども)の迂回経路がほとんど存在しない。
: 2008年12月の政府の想定では、M7.6の直下地震が起き死者1.1万人、被害総額は33兆円とされた。

==== その他の大都市 ====
*札幌・・[http://www.city.sapporo.jp/kikikanri/higoro/iza/kigyo_bosai/kigyo_bosai_01.html 月寒断層(月寒背斜に関連する断層)]
*京都・・[http://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/page/0000015490.html 花折断層]
*福岡・・[http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/katsudanso/f108_kego.htm 警固(けご)断層帯]
*仙台・・[http://jishin-info.jp/column-06/column-06b.shtml 長町ー利府線、大年寺山断層]
*千葉・・[http://ci.nii.ac.jp/naid/110004862461 千葉・大金沢断層]<ref>[http://ci.nii.ac.jp/els/110004862461.pdf?id=ART0008046625&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1380971382&cp= 千葉市緑区大金沢における活断層]</ref><ref>[http://www.chibaken.jp/zisin/ohkane.htm 千葉市緑区で「巨大断層」を確認]</ref><ref>[[千葉市]]緑区本金沢の本千葉カントリーゴルフ場の北側。[[根尾谷断層]]の6mを上回る9mの断層である。2万年前の1回の活動でできたと考えられる。[[東京湾]]の基盤断層の表れではないかとも考えられ、ここまたは他の地域での活動も考えられる。</ref>
*新潟・・1964年[[新潟地震]]
*諏訪・茅野・・[[中央構造線]]
*熊本・・[http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/katsudanso/f093_futagawa_hinagu.htm 布田川・日奈久断層帯]
*さいたま、広島、岡山・・2012年現在、都市直下の活断層は発見されていない。
*長野・・長野盆地西縁(せいえん)断層帯(1847(弘化4)年の善光寺地震)
*松本・・中央大手橋の南北方向に各500mに高さ2mの、3-16世紀に動いた活断層が存在する<ref>2006年、産総研・活断層評価チーム 近藤久雄研究員</ref>。

=== 復興・雇用 ===
東日本大震災から2年たった2013年3月現在、復興住宅<ref>3人以上の標準で65平方メートル</ref>が建設されたのは68戸にすぎない。計画では2014年3月末までに1.45万戸建設され、計画全体では2.5万戸である<ref>岩手5,600、宮城15,000、福島2,800</ref><ref>『復興「足踏み状態」 住宅再建が難航』読売新聞2013年3月6日31面「東日本大震災2年 被災地42首長アンケート」</ref>。
::仮設住宅の標準は3人以上で30平方mで、入居期間は原則2年であるが、延長されることもある。2013年2月現在4.8万戸。育児上のストレス、特にお互いの騒音トラブルが大きい。
::2013年2月現在、避難民は1,216市町村に31万5,196人、2012年3月に比べて2.9万人の減少に過ぎない。2013年8月でさえ29万人である。
::復興庁によると、2013年2月現在、全国に避難している人は31万5196人。全国1,216市区町村に散らばっている。前年3月(34万4290人)と比べて、2万9094人の減少にすぎない。自県以外への避難舎数は、福島が5万7135人、宮城7,981人、岩手1627人と続く。 入居済みの仮設住宅は4万8027戸あり、民間住宅を借り上げた「みなし仮設」は4日現在、5万9,943戸。入居期限を特例で2年から4年へ延長する<ref>[http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130311/dst13031100180002-n2.htm 「避難者いまだ31万人、不明者捜索続く 11日に追悼式」]産経新聞2013.3.11 00:16</ref>。
::2013年8月現在、防災集団移転地区334のうち着工119、完了7<ref>読売新聞2013年9月10日「集団移転予定地 造成進まず」では「計画325カ所(15,999戸)、着工予定175カ所(7,678戸)、着工済み117カ所(5,308戸)。例えば石巻市二子の集団移転地区の造成完成は2017年度以降になる。自力再建の場合は住宅ローンの利子補給はない。</ref>。区画整理51のうち計画設定済み46、着工32、完了0。福島県の除染率、住宅17.5%、道路30.1%、公立施設63.6%<ref>「復興を前に 東日本大震災から2年半」日本経済新聞2013年9月11日29面</ref>。

[[内藤廣]]は、東日本大震災からの復興が進まないのは、戦後の社会システムが機能不全を起こしているからだとする。私権とと公共の整合を怠り、技術で自然を克服するという近代思想は破綻し、全国一律という近代国家のロジックが崩れた。対策は真の意味での地方自治の復活だとする。建築としては人間の存在を肯定し、時間の経過により成熟していくことが重要だという。
:阪神大震災(直下型・都市中心部)、新潟県中越地震(山崩れ)、東日本大震災(津波と原発事故)の被災地に赴いた。その経験から、首都直下地震・南海トラフ地震では3種類の複合被害が想定されるという<ref>『内藤廣さんに聞く 近代システムの劣化 私権と公共 怠った整合 真の自治取り戻せ』日本経済新聞2013年1月26日</ref>。
::東日本大震災では、親族が多く死亡し海外居住者がいたりして権利関係が複雑だったり連絡不能で、用地取得を諦めた例がある。また用地予定地に補助金事業で取得されたものがあり、[[補助金適正化法]]の手続きに膨大な手間がかかった例がある<ref>「復興庁の指導力強化急げ」[[増田寛也]]前岩手県知事、元総務相、旧建設省出身。日本経済新聞2013年3月6日33面「経済教室」</ref>。
:::政府は東日本大震災のとき最大9ヶ月かかった①政府復興対策本部の設置②被災自治体の復旧業務の国による代行③農地や山林を宅地転用する規制の緩和策、の3点に対応する恒久法を2013年4月に閣議決定する<ref>「大災害時の迅速対応へ新法 被災地業務、国が代行 南海トラフ地震など念頭」日本経済新聞 2013年3月10日朝刊1面トップ</ref>。

多額の借金と税金を投入した復興予算の流用が[[東日本大震災]]で問題になったが、これは[[阪神淡路大震災]]で被災者とは縁遠い開発事業に使われた前例を踏襲している<ref>『震災復興「阪神」と比較』日本経済新聞2013年1月15日夕刊15面</ref><ref>[http://www.shinsaiken.jp/modules/news/article.php?storyid=154 新刊『東日本大震災 復興の正義と倫理-検証と提言50-』出版のお知らせとお願い]2012年12月 兵庫県震災復興研究センター(ISBN-13: 978-4863421035) </ref>。

東日本大震災で明らかになったことは、被災地をよみがえらせるために必要なもので最後に残るのは「雇用」であるという<ref>阿部秀保東松島市長の発言「環境未来都市創造で実現する日本再生」日本経済新聞2013年1月24日28面</ref>。震災後放射能被害などで他の都道府県に移住した人たちの過半数は、1年以上たっても生活保護を受けたままである。

::「働いていないと気が狂いそうだ」という東日本大震災被災者のつぶやきがあるように、雇用は心理面でも重要である。東日本大震災発生翌日には[[失業保険]]給付の要件が緩和され、翌月には『[http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/shigoto.html 「日本はひとつ」しごとプロジェクト]』をとりまとめた<ref>「災害復興 日本の教訓 雇用維持策 世界の先例」読売新聞 2013年3月5日朝刊13面「論点」</ref><ref>小山淑子(こやましゅくこ)[[ILO]]アジア太平洋総局危機対応専門家、雇用労働教訓発信プロジェクト総責任者</ref>。

=== 避難所・避難経路 ===
* 避難所は、地震やそれに伴う津波・火災など(および高潮・洪水など)に対しての安全性を十分に考慮して決定されているわけではない。地域住民を避難所に収容できる数を決めている場合が多い。問題点は次のようなものである(1)都心部の昼間人口に対応できていない<ref>東京都では、会社待機がきちんと行われ、自宅がすべて無事でも、交通路・小売・娯楽などで被災する市民のための避難所が不足している。</ref>。(2)避難・誘導・整理・警備・補給・看護等の人員の配置は考えられていないか不十分である。(3)物資の備蓄はきわめて少ない。(4)避難経路に危険性がある場合が多い。(5)津波危険地帯・火災危険地帯・液状化危険地帯に多数避難所が設置されている。
::(3)、(4)はきわめて重大である。例えば①日比谷公園<ref>東京都の被害想定では、千代田区内に危険箇所はなく、日比谷公園も液状化危険地帯になっていない。それゆえ広域避難場所は千代田区内にないが、東京駅・オフィスビルなど膨大な昼間人口の避難場所になりうる。</ref>は徳川時代以前は日比谷入江だったという軟弱地盤<ref>「日比谷谷」という埋没谷の上にある。</ref>を埋め立てており、[[関東大震災]]・[[安政大地震]]で大きな被害を受けている<ref>内堀通りが皇居側で崩れている写真が残っている。</ref>。②東日本大震災では多摩川を数km遡上する津波が研究者のビデオに残っており、大阪では江戸時代に河川敷で津波による多数の死者を出している、というような例があるにもかかわらず、河川敷を避難場所に設定している場合が多い。③東日本大震災では「釜石の奇跡」が起こっている。これは安全地帯とされる中学校から次の避難所へ念のため移動したが、そこからさらに移動したため助かったという事件である。④江戸川・隅田川周辺では道路が広くなり河川改修なども進んでいるが、洪水・高潮・津波を避けるための頑丈で高層の建物がまばらである。
::::[[東京都]]は2013年3月をめどに、避難場所を津波・液状化被害の点から見直す<ref>「都指定の避難場所189カ所、津波・液状化を調査」日本経済新聞2013年1月31日</ref>。また[[江戸川区]]は今後建て替える小中学校の体育館を2階に、屋上にプールと太陽光発電装置を設置して防災力を高める<ref>「小中学校の建て替え、体育館を校舎の2階に 江戸川区、水害時の避難所想定」日本経済新聞2013年1月31日</ref>。

* 避難所の収容人数は、巨大地震・超巨大地震に対応するようには用意されていない。例えば大阪市は人口268万人、昼間人口354万人だが、避難所は552カ所、60万人分しかない。大阪中心部キタの乗降客は236万人だが避難所は3カ所で宿泊可能は912人である。名古屋駅の利用客は29万人だが避難所は1カ所、1万人分である<ref>『大阪 帰宅難民「収容足りぬ」』読売新聞 2013年3月19日39面</ref>。

* 避難民の経費も膨大である。震災直前の2011年3月に34万人だった福島県いわき市には、2013年3月現在23,700人の避難者が暮らす。教育などの行政サービスはいわき市負担で国や県の負担も住民税の収入もなく、市長は受け入れの限界だと訴える。一部の避難民が原発の賠償金を受け取っていることが住民との溝を深めている<ref>[http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130227ddlk07040242000c.html
『Re−福島:東日本大震災 第2章・誰のための県?/2 「仮の町」阻む納税対立 /福島』]毎日新聞 2013年02月27日 地方版</ref>。

=== 不足する備蓄 ===
2013年8月の読売新聞の調査<ref>「避難食料 自治体0.77日分 16都府県 家庭備蓄重要に」読売新聞2013年9月1日1面トップ</ref>によると、自治体による備蓄食糧・水がかなり不足であるという<ref>首都圏1都3県で助け合っても、537万人に1.58日分の食料と0.25日分の水しかない。</ref>。
備蓄を増やすのは困難なので[[流通備蓄]]<ref>流通業者と提携し、優先的に物資を提供してもらうこと。東日本大震災では、輸送手段がなく効果的ではなかった。</ref>を導入する自治体が多い。
この状況を考えると、家庭備蓄<ref>読売の記事によれば、1週間一人あたり、水21㍑、アルファ米7食、乾パン7食、ビスケット7食、缶詰21食、カセットボンベ3本など。</ref>(7日分を推奨)も大切である。

:(以下は都道府県名・推定避難者数・食糧備蓄・水備蓄。市町村分を含む。想定は南海トラフ地震または首都圏直下地震。)

*東京・220万人・2.06日・0.25日
*千葉・146万人・0.33日・0.23日
*愛知・130万人・0.80日・0.16日
*大阪・120万人・0.68日・未集計
*神奈川・104万人・1.67日・0.34日
*静岡・90万人・未集計・未集計
*埼玉・67万人・2.63日・0.13日
*三重・56万人・0.43日・0.12日
*和歌山・45万人・0.39日・未集計
*高知・45万人・0.27日・0.13日
*愛媛・40万人・0.16日・0.05日
*徳島・36万人・0.27日・0.16日
*宮崎・31万人・0.15日・未集計
*兵庫・24万人・0.11日・0.04日
*香川・20万人・0.2日・0.17日


=== 交通対策 ===
=== 交通対策 ===
{{see also|緊急輸送道路|緊急交通路}}
関東地震の鉄道の運転可能想定(導通)確率はかなり高い(100%の想定さえある)が、東日本大震災の時は施設の損傷もなく電気が通っている路線も含め首都圏のすべての鉄道が停止した。路線の徒歩による目視点検作業<ref>震災時には必ずプロの保線作業員が行う。保線区に機材とともに常駐しているため、移動手段の確保が難しい。また深夜交代勤務のため災害の発生時刻次第では人数不足もある。トンネル部分ではハンマーによる壁の検査が必要だが、不可能に近く実行されるとは限らない。また橋脚が破損していないか目視検査が必要である。</ref>が必要なだけではなく、ターミナル駅での乗り換えの混乱<ref>将棋倒しで死亡事故が出た1954年[[二重橋事件]]や2001年[[明石花火大会歩道橋事故]]をおそれる。鉄道の大規模な交通止めやストライキなどで、混乱への対処経験を積んでいる。</ref>を考え、乗り換え先の鉄道の開通を待つからである。
{{独自研究|section=1|date=2016年6月23日 (木) 14:28 (UTC)}}
:::帰宅難民者は百万単位で発生したが、収容施設もなく、自動車は地震直後から流入と流出双方で大渋滞し「グリッドロック現象」という麻痺状態であった<ref>{{cite news |title=グリッドロック:「超」渋滞現象、震災で初確認 |newspaper=毎日新聞 |date=2012-10-03 |url=http://mainichi.jp/select/news/20121003k0000m040151000c.html |accessdate=2012-10-08}}</ref>.
地震発生後、早期に新幹線を止める早期地震警報システムがある<ref>[http://www.engineer.or.jp/cmty/bousai/BousaiQandA_Ver1_02_20090909A/chap_7/7.12.5.pdf (社)日本技術士会/防災支援委員会 防災Q&A]</ref><ref>[http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00035/2004/59-1/59-1-0743.pdf 九州新幹線地震防災システムの構築]</ref><ref>鉄道の地震警報システムにおける緊急地震速報の活用 {{doi|10.3124/segj.60.387}}</ref>。
芝浦工大の研究によれば、都心全域の渋滞は、地震直後に通行止めになった首都高速の出入り口付近から始まった。首都高速の出入り口の多く、特に都心部は、このような大規模な流出や流入に対応できるように設計されていない。出口から10m先に交差点や信号があるところさえもいくつかある<ref>首都高速都心環状線は老朽化が激しいので、2012年段階で廃止・地下化・改修などの複数案を検討中である。</ref>。マニュアルでは[[環状7号線]]で規制を行うことになっていたが対応できなかったし、大渋滞なので出入りは不可能だった。解消したのは3月12日夕方であった。
:::2012年12月7日17時22分の津波警報で、石巻市では半数以上が車を利用したため、39カ所で合計40kmの渋滞が起きた<ref>「津波避難 渋滞40キロ」日本経済新聞2013年3月6日42面</ref>。
* 安易な郊外への避難は危険である。不燃化が進んだ都市中心部と建物の間隔が広い郊外の間には木造住宅密集地(「木密」(モクミツ)という)があり<ref>東京では、大体環状6号線(山手通り)と環状7号線(環七)の間とされるが、もう少し環八通り外側に広がる。2012年の新しい東京都による被害想定では特に東京西部での火災が強調された。</ref>、都心からの避難民は、木造密集住宅地(歩行時間で1-4時間の長さになる)での建物倒壊・出火(環状に火災が広がるので「火炎リング」という)・避難民に阻まれ、また大都市圏には必ず大きな河川があるので通行止めになったりして、引き返すことが予想されるが、後ろからはまだ多くの避難民(通行止め情報は入らない可能性が高い)が避難しているのでどちらにも進めず、パニック状態になり、圧死・焼死など大きな犠牲を出すことが予想される。
** 東京都は3日の「会社待機」を義務づける条例<ref>[http://www.bousai.metro.tokyo.jp/japanese/tmg/kitakujorei.html 東京都帰宅困難者対策条例・東京都条例第17号]</ref> を平成24年3月に制定し、平成25年4月から施行する。しかしある巨大百貨店では1万人近い従業員のための条例第7条による備蓄に売り場1フロア分必要であり、不可能であるとしている。
:::条例でも客の分は要求していない。客は避難場所に誘導し、公的援助を受ける。
:::また商品が残る店に不特定多数の人間を入れたくないし、事故などの場合責任を追及される可能性があるとする。
** 避難指定道路が通行できるとは限らない。東京都条例で耐震診断が義務化された「特定緊急輸送道路」で耐震診断を受けているのは少なく、倒壊したりがれきが路上に散乱するおそれがある。また不燃化も進んでおらず、通行を妨げるおそれがある<ref>都内で旧耐震基準の建築物は約5,000棟以上と見られる。耐震改修には8割の補助が出るが、既存不適格の場合が多く、建て替えが困難である。</ref>。
** 緊急避難指定道路や重要な鉄道でも、老朽化や古い設計のため震災時に危険な橋がある。ところが国交省で把握しているのは、都道府県別の数だけであり、橋の名称・重要度・危険度は把握しておらず、対策が遅れている<ref>「震度6強で崩落する橋」AERA2012.10.1、p27-32</ref>。
::: 東日本大震災では、指定道路である茨城県行方市の国道354号の鹿行大橋が震度5-6弱で崩壊した。
::: 例えば、大阪市淀川区にある北方貨物線高架橋が危険である。国道176号、山陽新幹線、JR北方貨物線の3層構造であるが、崩壊危険度が高い。
::: 東京都足立区堀切橋が危険である。都道314号線の橋だが京成本線と併走し、東部伊勢崎線をまたいでいる。
::: 神奈川県鎌倉市腰越橋は国道134号湘南海岸線の橋だが、橋桁には大きな亀裂がある。
::: 大阪市北区の新淀川大橋も崩落の危険性がある。国道423号新御堂筋の橋で7車線、全長813mと大規模で地下鉄御堂筋線と併走するが、崩落した場合には大阪市を分断する。
:: 避難に使われる道路の下には、上水道、下水道、トンネル、地下鉄などが通っており、崩落したりするおそれがある<ref>阪神大震災では地下鉄の崩落が道路交通を妨げ、浦安市では地盤沈下した道路上につきでたマンホールが交通を妨げた。</ref>。沿岸部では道路が津波の浸水経路になり、津波が早く広く広がる原因にもなっている<ref>田老町では避難のためにきれいに整備された道路が逆に被害を拡大した。</ref>。
* 鉄道各社も駅構内で少なくとも一晩待機できるように準備中である<ref>全部の鉄道会社ではないし、備蓄量も少ない。[[JR東日本]]は3万人分、[[東京メトロ]]は10万人分という。大都市の駅でさえ駅員はかなり少ない。</ref>。
:::JR西日本は58駅に、5万人のビスケット・水を2013年始めに備蓄する。これは帰宅困難者を自治体の避難所などへ誘導するまでの間のためのものである<ref>大阪駅には3,000人分を備蓄する。想定帰宅困難者数は新幹線で1,000人、在来線で3,000人としている。</ref><ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130128/k10015107981000.html JR西日本 地震想定し駅に食料や水備蓄]NHKNewsWeb 2013年1月28日 12時17分</ref>。
:::JR東日本は首都圏30km圏内の200駅を震災時に解放するとともに、6万人分のビスケット・水を備蓄する予定である<ref>[http://sankei.jp.msn.com/life/news/130318/trd13031811090013-n1.htm JR東日本 帰宅困難者に200駅開放]産経ニュース2013.3.18 11:08</ref><ref>[http://www.jreast.co.jp/press/2012/20130307.pdf 大規模地震に対する取り組みについて]JR東日本 2013年3月5日</ref>。
:::小田急は新宿駅に2,400人分の水と防寒ブランケットを備蓄するほか、合計2.5万人分を各駅に準備する。
* 早期に新幹線を止める早期地震警報システム<ref>[http://www.engineer.or.jp/cmty/bousai/BousaiQandA_Ver1_02_20090909A/chap_7/7.12.5.pdf (社)日本技術士会/防災支援委員会 防災Q&A]</ref><ref>[http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00035/2004/59-1/59-1-0743.pdf 九州新幹線地震防災システムの構築]</ref><ref>[http://www.jstage.jst.go.jp/article/segj/60/5/387/_pdf/-char/ja/ 鉄道の地震警報システムにおける緊急地震速報の活用]</ref>およびエレベーターを止めるP波管制運転は、被害の比較的少ないP波が大きな被害をもたらすS波より先に到達することを前提としている。しかし、内陸直下型地震やプレート境界型地震のうち震源が陸地にあるものでは、P波とS波がほぼ同時に到達するため効果が少ないと考えられている<ref>海洋プレート型地震でも特に[[相模トラフ]]の場合は震源が内陸部にかかる場合があり、また震源が海洋部であっても人口密集地が近いため、効果が少ないと考えられている。</ref>。JR各社(新幹線)と首都圏の大手私鉄では[[緊急地震速報]]を活用して鉄道運行に生かしている<ref>2012年12月の首都圏(東北地方が震源、首都圏震度3、緊急地震速報の警報なし)では、平行する私鉄が列車を停止している横をJRの列車が時速80kmで走行する場面があった。</ref>。
:: 似たような仕組みである「[[緊急地震速報]]」の活用も始まっている。
::: 文部科学省は、平成24年度から全学校52,000校に受信端末を整備する。保育所や老人ホームは対象外<ref>管轄が[[厚生労働省]]であるため。</ref>である<ref>[http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20120424ddlk28040345000c.html?inb=yt「地震速報:老人ホームや保育所に 受信端末設置へ寄付募る−−神戸のNPO/兵庫」毎日新聞 2012年04月24日 地方版]</ref>。
* [[兵庫県南部地震]]([[阪神淡路大震災]])では、震度6強で23%、震度7では93%の列車が脱線した。比較的安全とされる地下鉄で天井が崩れ落ち、JR芦屋駅ではホームが崩れ、阪神電鉄・新幹線では高架橋が崩落し、神戸電鉄では擁壁が崩れ落ちた。しかし、発生が午前6時前で走行列車とその乗客は少なく、特に新幹線が発車前だったことが不幸中の幸いだった。その後対策が施されたが、100%まで行っていない。新潟地震では走行中の新幹線が脱線したが、死傷者は奇跡的になかった。
:: 首都圏のいくつかの鉄道は軟弱地盤の木造密集住宅地(「木密」(モクミツ)という)を高架で時速80-100km(新幹線は時速200km近い場合もある)で走り、擁壁や対向列車との間隔は20-50cm程度であり、ラッシュ時の運転間隔は3-5分である。
:: [[モノレール]]も不安である。特に羽田モノレール<ref>[[東京モノレール羽田空港線]]、1964年開業、跨座式・日立アルウェーグ製</ref>では、避難ロープしかなく海上を走るところが多く降りられない。線路を歩くことは全くできない<ref>2007年3月25日にクレーン車と接触し[[天王洲アイル]]駅手前で立ち往生したが脱出できず、対向車両に鉄板の橋を架けて脱出できた。2011年2月4日モノレール品川変電所火災事故では、2時間立ち往生したが、隣接発電所との接続で復旧した。2011年3月11日東日本大震災では津波警報のため長時間ストップした。耐震補強など安全対策の進行状況は安全報告書からもはっきりしない。</ref><ref>[www.tokyo-monorail.co.jp/csr/pdf/safety2011.pdf 安全報告書2011 - 東京モノレール]</ref>。
* 重要幹線が厳重に守られているわけではない。特に憂慮されているのが[[静岡県]][[由比町]]である。昔から「東海道のアキレス腱」と呼ばれており、[[東海道本線]]・[[東名高速道路]]・[[国道1号]]・[[東海道新幹線]]・基幹通信回線<ref>新幹線以外がたった一点に集中する箇所が2つもある。新幹線のトンネル出入り口まで200-400mしかない。</ref>という日本を支える大動脈が集中し、崖崩れのおそれがあり、津波や台風の影響を受けやすく、復旧工事が容易ではなく<ref>たとえばブルドーザー、架橋戦車、鉄板、ダンプ,ショベルカーなどを集中し、住宅や田畑をつぶし橋を架けて道路を造るということができない場所である。</ref>、迂回路がなく、東西日本がほぼ分断されるおそれがある<ref>1996年(平成8年)8月27日の大型トレーラー事故では、1台で国道1号と東名の両方をふさぎ大渋滞を起こした。</ref><ref>1日あたり平均通行量は、中央高速の大月-勝沼間の4.7万台。静岡県内の東名、新東名高速合計7.8万台。[http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/121202/wec12120219180003-n1.htm 笹子トンネル事故 東・名・阪の物流に影響も 物流各社、代替ルートの選定急ぐ]産経ニュース 2012.12.2 19:13 </ref>。
:: 2012年4月には約2km北に[[新東名高速道路]]([[御殿場]]~[[三ヶ日]])が開通し、代替交通路が確保できた。山岳部を縫うように走るため大震災時の交通確保に課題が残るが、応急復旧工事が容易になった。
:
::現在憂慮されているのが、静岡県[[浜名湖]]の[[弁天島]]付近である。元々浜名湖の南側は陸地であり浜名川が海に注いでいたが、1498年(明応7年)の[[明応地震]]による地盤沈下で「今切(いまぎれ)」と呼ばれる湾口が形成されて現在の浜名湖になったものである。この地盤の弱い弁天島と近くの海上付近に[[東海道本線]]、[[東海道新幹線]]、[[東海道]]([[国道1号]]本線と海側に[[浜名バイパス]])が通っている<ref>[[東名高速]]と新東名高速は数km北の浜名湖北部を通っている。</ref>。



国土交通省は[[港湾法]]を改正し、東京湾、大阪湾、伊勢湾の各湾内の航路を「緊急保全航路」として事前に指定し、緊急時には輸送船の航路を阻むがれきを国の権限で撤去・処分できるようにする<ref>{{Cite web|和書|url=http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130208/plc13020814270022-n1.htm |title=港湾内のがれき、国が処分 大地震発生時に支援物資の航路確保 |work=msn産経ニュース |date=2013-02-08 |accessdate=2016-06-08 |url-status=dead|url-status-date=2016-02-12 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20130208202210/http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130208/plc13020814270022-n1.htm |archivedate=2013-02-08 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.mlit.go.jp/report/press/port01_hh_000128.html |title=港湾法の一部を改正する法律案について |work=報道発表資料 |publisher=国土交通省 |date=2013-03-15 |accessdate=2016-06-08 }}</ref>。
::[[逢坂山]]([[滋賀県]][[大津市]]と[[京都市]][[山科区]]の間)付近では、[[東海道本線]]、[[国道1号]]、[[国道161号]][[大津バイパス]]、[[北陸線]]([[琵琶湖線]]、[[湖西線]])、[[京阪電鉄]][[京津線]]、[[琵琶湖疎水]]、[[東海道新幹線]](2km南の[[音羽山]]を通る。)が集中している。そこには[[花折断層]]・[[比叡断層]]がある<ref>『日本史の謎は「地形」で解ける』竹村公太郎(元国土交通省河川局長) 2013年</ref>。


{{節スタブ|1=空港での対策について|date=2016年7月2日 (土) 11:32 (UTC)}}
* 関東一都三県には踏切が約4,000カ所ある。地震発生時には電車が制御区間(電車が通過する時、踏切を遮断する区間)や踏切にいたりする。遮断機が下りたままだと、避難するや緊急車両の通過が困難になる<ref>『「開かずの踏切」改良探る 国交省が協議会』日本経済新聞2012年9月3日夕刊12面</ref>。


==== 交通渋滞への対策 ====
* 都市圏の道路交通は、都道府県警察本部のコンピュータによる広域制御システムによって円滑に動いている。これはセンサーと信号のネットワークであり、信号・通信路・センサーは通常の電力系統によって電力を供給され動いているが、計画停電で明らかになったように停電に弱い。災害時には、たとえ交通量が変化せず道路に異常が無いときでさえも、信号故障による渋滞や事故が予想される<ref>東北3県で停電しても消えない信号機を数百箇所設置し、増強中である。震災後に開発された4時間程度のリチウム電池と24時間程度のディーゼル発電機を電源とする。(『「消えない信号機」増設 停電でも交通マヒ回避』読売新聞2012年10月27日朝刊34面</ref>。事故の現場検証も難しい。緊急時は警官の手信号という方法もある。
大勢の人々が自動車で避難することにより大渋滞が生じ、逃げ遅れにより津波の犠牲者が増加するおそれがある<ref name="nhk20160305" />。また、三重県[[尾鷲市]]内で高齢者の多い地域を例にした避難のシミュレーションでは、車での避難者が15%を越えると渋滞がどんどんひどくなっていった(%は地域によって異なる)。東日本大震災後、市町村よりさらに細かい単位で防災計画を立てる「地区防災計画」が定められたが、計画で車使用者をあらかじめ定めるとしてもその線引きの難しさが指摘されている。高齢者なら車で避難する必要があるが、車使用の制限についての話し合いはほとんどなされていないという<ref name="nhk20160305" />。また、交通渋滞は救援側の進路も塞ぐ<ref>『[[#大規模地震防災・減災対策大綱|大規模地震防災・減災対策大綱]]』, p. 21.</ref>ほか、避難中の車が[[ガス欠]]となり路上に放置される原因ともなる<ref>『[[#大規模地震防災・減災対策大綱|大規模地震防災・減災対策大綱]]』, p. 24.</ref>。国や地方公共団体には、自動車での避難の自粛を周知するとともに、発災時に一般車両の通行制限を実施することなどが求められている<ref>『[[#大規模地震防災・減災対策大綱|大規模地震防災・減災対策大綱]]』, p. 42.</ref>。
* 鉄道の中央指令室は、安全なところにあるわけではない。[[東京メトロ]]は台東区東上野3丁目(倒壊危険度4の地域)、JR各社の[[新幹線総合指令所]]は[[東京駅]]付近(場所は非公開。地震・火災危険度1の地域)にある。JR東日本は指令所を2014年をめどに[[さいたま市]]に移転する<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/otona/railwaynews/13/etc/20121125-OYT8T00347.htm 新幹線の総合指令室、さいたま市に移転へ] 読売新聞 11月25日(日)10時13分配信</ref>。
* 災害対策で航空路と港湾は重要である。
** 2012年5月に、国土交通省は羽田など津波に襲われる可能性のある6空港<ref>仙台、羽田、中部国際、関西国際、高知、宮崎</ref>を3日以内に復旧させる「早期復旧計画」を立てる方針を固めた<ref>[http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012051302000091.html 「津波後 3日で復旧を 羽田など6空港で計画」東京新聞 2012年5月13日 朝刊]</ref>。また南海トラフ地震の被害想定では、[[高知空港]]・[[宮崎空港]]の半分以上が水没し、[[中部国際空港]]、[[関西国際空港]]、[[大分空港]]でも浸水被害発生のおそれがある<ref>[http://www.bousai.go.jp/nankaitrough_info/20130318_kisha.pdf 南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)のポイント ~施設等の被害及び経済的な被害~ p9]内閣府 2013年3月18日</ref>。
** 内湾における船舶火災、油分流出、漂流物などにより、航路封鎖がおこったり冷却水の取り入れができなくなり発電所、各種工場などの操業が危ぶまれる。化学プラントからの流出も懸念される<ref>東日本大震災では、「ガスタンク火災による有毒ガスの発生と拡散」というデマが首都圏に(小学生まで)広まった。</ref>。
::::国土交通省は港湾法を改正し、緊急時の内湾での航路を「緊急保全航路」として指定し、国の権限でがれきの処分ができるようにする<ref>[http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130208/plc13020814270022-n1.htm 港湾内のがれき、国が処分 大地震発生時に支援物資の航路確保]msn産経ニュース 2013.2.8 14:25</ref>。


=== 避難民と帰宅難民 ===
=== 燃料の供給対策 ===
自動車の燃料は物資等の輸送に不可欠であるが、燃料を供給するには、各地へ安全に輸送する手段、燃料を保管する[[油槽所]]、自動車に給油するための施設といった物流システムが確立していなければならない。また、[[ガソリンスタンド]]は燃料を各地に分散して貯蔵する言わば「災害時インフラ」の役割もあるが、スタンド自体が全国的に減少している。従って、大地震が起きる前からの対策としては、個人では乗用車の燃料の残量が1週間分を切らないようこまめに給油する、自治体では公用車をガソリン車よりディーゼル車で配備する、といった対応が挙げられよう<ref>{{Cite news |title=車こまめに給油 習慣に 災害時輸送の備え |author=小嶌正稔(東洋大学) |newspaper=読売新聞 朝刊 |date=2013-08-15 <!--|accessdate=2013年8月17日 (土) 04:02 (UTC) -->|page=11面「論点」 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.toyo.ac.jp/site/fba/32463.html |title=経営学部・小嶌正稔教授の執筆記事が読売新聞「論点」に掲載 |work=経済学部 |publisher=[[東洋大学]] |accessdate=2016-06-16 }}</ref>。
首都直下地震の例を挙げる。東京都の想定では住民の避難民が240万人だが、収容所は約28万人分が足りない<ref>足立5.6万人、太田4.9、墨田4.6、練馬4.4、目黒2.4、文京2、世田谷1.2、荒川1.2、渋谷0.5、中野0.5、新宿0.3</ref>。帰宅困難者は450<ref>中央防災会議の推計では首都圏で650</ref>万人と推定されている。
:: この中には数十万人の「高層難民」(高層マンションの水道やエレベーターが使えないため、住めない)や「液状化難民」(住宅は無事だが、インフラの破損や家屋の傾きで生活困難)、「交通難民」(道路が使えないため、物資の補給や医療・介護・教育・消火などが受けられない)「上下水道難民」(「トイレ難民」)、「電力難民」(オール電化などで、電気なしには一切生活できない)などは含まれていない。
::: 東京湾岸にある隅田川に囲まれたあるマンションでは、最低1ヶ月の籠城生活を覚悟するように管理組合が説明している。消防署は支援が難しいとし、区役所からはなるべく建物にとどまるように<ref>近隣の小学校は収容能力が小さい。[[少子化]]で住民数に比べて子供の数が少ない上に私立小学校に通学する児童の割合が大きい。また古い学校は統廃合で存在しない。</ref>言われている<ref>東京都中央区勝どき6-3-2「[[THE TOKYO TOWERS]]」、2008年建築、58階建て2棟、8,000人。</ref><ref>『行政機能持たない「街」 災害時、頼りは自助・共助』日本経済新聞2012年11月15日朝刊35面・首都圏経済・マンション誰のものか・第3部 超高層の虚実(2)</ref>。


{{節スタブ|date=2016年6月16日 (木) 14:44 (UTC)}}
東日本大震災でさえ約100万人の帰宅難民者の収容ができなかったと推定された<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120202-OYT1T00613.htm 首都直下地震、130万人避難先なし…被害想定 :読売新聞 2012年2月2日14時32分]</ref>。三菱総研の推計では、徒歩帰宅600万人、帰宅断念260万人だったという<ref>[http://www.mri.co.jp/NEWS/press/2011/__icsFiles/afieldfile/2011/06/13/nr20110613_ssu02.pdf 詳細:東日本大震災における首都圏の帰宅困難状況を踏まえた今後の帰宅困難者対策のあり方:三菱総合研究所:2011.6.13]</ref>。内閣府の推計では東京都約352万人、神奈川県では約67万人、その他の県と合わせて約515万人とする<ref>[http://www.asahi.com/national/update/1122/TKY201111220740.html asahi.com2011年11月23日18時37分]</ref>。


=== 避難 ===
東日本大震災では、[[新宿駅]]で9千人、[[渋谷駅]]で6千人が帰宅困難者となり、[[首都直下地震]]では新宿駅だけで9万人と想定されている。政府はは全国の主要駅周辺で、[[都市再生特別措置法]]の規制を緩和して対策を援助することにしている。
==== 避難所 ====
{{see also|避難所}}
[[ファイル:23.3.21 6TK:簡易浴場・入浴支援(東松島市大曲小)① 東日本大震災における災害派遣活動 30.jpg|thumb|right|200px|陸上自衛隊の東日本大震災災害派遣活動、簡易浴場を設置しての入浴支援(2011年3月21日、陸上自衛隊撮影)]]
大地震などにより自宅にいることが危険となった場合に、地域住民や地域に滞在中の人々が一時的に移動して安全を確保できる、宿泊も可能な施設が避難所である。多くの自治体では、小・中・高等学校の校舎や公民館等が避難所に指定されている。発災後、自治体の職員がそれらの施設に出向いて避難所を開設・運営する準備を行い、避難してきた住民などを受け入れる<ref name="hinanjounei">{{Cite web|和書|url=https://www.city.chiba.jp/somu/bosai/hinanjounei.html |title=地域の共助による避難所の開設・運営に向けて |work=くらし・地域・手続 避難所・防災施設等 |publisher=千葉市 |date=2016-06-02 |accessdate=2016-06-24 }}</ref>。


巨大地震発生時には、避難所となるはずの施設に自治体職員が出向くことが困難となり、避難所の開設の遅れや運営に携わる人員の不足が予想されている。そのため、たとえば千葉市では地域住民(自治会や地域防災組織など)自身が避難所の開設・運営にあたる「避難所運営委員会」の設立を推奨している<ref name="hinanjounei" />。
2012年4月の東京都による想定では、帰宅困難者517万(23区内379万、多摩地区92万人)としている。主要駅の滞留者予想は(1)新宿駅5万人(2)東京駅3. 4万人(3)上野駅2.2万人(4)池袋駅2.1万人(5)渋谷駅2万人(6)蒲田駅8千人(7)北千住駅7千人(8)品川駅6千人、などとした<ref>2012年4月20日夕刊フジでは(1)東京駅47万人(2)新宿駅36.5万人(3)渋谷駅18万人</ref>。一時滞留者は92万人以上と言われるが、2012年11月現在で東京都が確保している収容能力は7万人分である<ref>「帰宅困難者対策 備蓄品購入企業に補助 保管場所確保 固定資産税減免へ」読売新聞2012年11月15日首都圏版</ref>。


{{節スタブ|date=2016年6月22日 (水) 14:55 (UTC)}}
==== 避難民の住民登録 ====
避難民は現行の法制度上では長期旅行者と同じであり、法的地位がない。東日本大震災の時『原発被災者特例法<ref>[http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H23/H23HO098.html 「東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に対処するための避難住民に係る事務処理の特例及び住所移転者に係る措置に関する法律」(平成23年法律第98号)]</ref>』を作り、住民票を移さずに教育・福祉サービスが受けられるようにしたが、原発事故被災者に限定されている。


==== 避難民と帰宅難民 ====
被災者の[[住民登録]]は、自治体への納税、[[公民権]](選挙権と被選挙権)、住民サービスとの3点セットになっており、単純に元の自治体と避難地の2重登録とするわけには行かない。それでも[[片山善博]](元総務相)は二重登録のための法整備をすべきだという<ref>『原発避難者の支援 「二重の住民登録」検討を』読売新聞 2013年3月7日11面「編集委員が迫る東日本大震災2年(上)」青山彰久記者</ref>。
[[ファイル:新宿駅南口 (5517072840).jpg|thumb|right|200px|東北地方太平洋沖地震発生後の東京都・新宿駅南口の様子(2011年3月11日16時頃撮影)]]
[[三菱総合研究所]]の推計では、東日本大震災の際に首都圏にいて帰宅困難となった人々は、徒歩で帰宅した人が約600万人、当日の帰宅を断念した人が約260万人だったという<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.mri.co.jp/NEWS/press/2011/__icsFiles/afieldfile/2012/05/30/nr20110613_ssu02rev.pdf<!--2016-06-18にurl差し替え http://www.mri.co.jp/NEWS/press/2011/__icsFiles/afieldfile/2011/06/13/nr20110613_ssu02.pdf--> |title=東日本大震災における首都圏の帰宅困難状況を踏まえた今後の帰宅困難者対策のあり方 |publisher=三菱総合研究所 |page=1 |format=PDF |date=2011-06-13 |accessdate=2012-02-02 }}</ref>。また、首都圏の帰宅困難者のうち約3割は、買い物などの目的で外出中の人々であった。首都直下地震が発生した場合、都内に避難先のない人々は約100万人にのぼると推定されている<ref>{{Cite news |url=http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120202-OYT1T00613.htm |title=首都直下地震、130万人避難先なし…被害想定 |work=読売新聞 |date=2012-02-02 |accessdate=2012-02-02 |deadlinkdate=2017年10月 |archiveurl=https://archive.is/20120202081001/http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120202-OYT1T00613.htm |archivedate=2012年2月2日 |quote=''都内では観光や買い物などで訪れている人が多く、...避難先の施設提供が問題...。国の調査では、...首都圏にいて帰宅できなくなった人の32%が「買い物などの外出中」だったことが判明。各区などの試算では、少なくとも100万人以上が避難先がないことがわかった。'' }}</ref>。さらに、南海トラフ巨大地震での帰宅困難者は、前述のように、ピーク時で約1000万人に達すると見込まれている<ref name="南海想定第二次報告" />。


鉄道各社は、大地震によって乗客などが駅構内や列車に一時的に留まらざるを得なくなる事態に備えた準備を進めている。たとえば[[西日本旅客鉄道]](JR西日本)は、新幹線や在来線の主要駅58箇所(関西・北陸・中国地方)に、計5万食のビスケット・水と1万9千枚の断熱シートを2013年初めまでに備蓄する予定である<!--以下出典を2016-06-25に差し替え。インターネットアーカイブになかったため--><ref>{{Cite news |url=https://www.nikkei.com/article/DGXNZO47458060Z11C12A0LC0000/ |title=JR西、主要58駅に食料備蓄 巨大地震などに備え |newspaper=日本経済新聞 |date=2012-10-20 |accessdate=2016-06-25 }}</ref>。また[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)は[[東京駅]]から30km圏内の200駅を震災時に開放する方針を打ち出すとともに、計6万人分の非常食や水、毛布の備蓄を進めている<ref>{{Cite web|和書|url=http://sankei.jp.msn.com/life/news/130318/trd13031811090013-n1.htm |title=JR東日本 帰宅困難者に200駅開放 |work=msn産経ニュース |date=2013-03-18 |accessdate=2013-03-18 |url-status=dead|url-status-date=2016-02-12 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20130319053236/http://sankei.jp.msn.com/life/news/130318/trd13031811090013-n1.htm |archivedate=2013-03-19 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://www.jreast.co.jp/press/2012/20130307.pdf |title=大規模地震に対する取り組みについて |publisher=東日本旅客鉄道 |format=PDF |date=2013-03-05 |accessdate=2013-03-19 }}</ref>。[[小田急電鉄]]も、新宿駅や[[町田駅]]全ての駅に、計2.5万人分の飲用水とアルミ製ブランケットを配備した<ref>{{Cite news |author=レスポンス編集部 |url=http://response.jp/article/2013/03/29/194813.html |title=小田急、全線に2万5000人分の飲料水など配備 |newspaper=レスポンス |publisher=イード |date=2013-03-29 |accessdate=2016-06-14 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://www.odakyu.jp/program/info/data.info/7941_0404317_.pdf |title=大規模地震などの不測の事態に備えた対策を進めています。25,000名分の飲料水、レスキューシートを配備しました。|work=ニュースリリース |publisher=小田急電鉄 |format=PDF |date=2013-03-29 |accessdate=2016-06-14 }} - 第12-56号</ref>。
この問題は原発被災に限らず、地震被災、火山被災(三宅島、1983年から4年5ヶ月。有珠山、2000年3月)など各種災害にあてはまるし、首都圏直下地震・南海トラフ広域地震・富士山噴火などでは通り過ぎることのできない問題になる。


なお『[[#大規模地震防災・減災対策大綱|大規模地震防災・減災対策大綱]]』は地方自治体に対し、帰宅困難となった人が健常であれば現在留まっている地域での救援活動にも参加できうるという観点での、救援活動計画における帰宅困難者の役割について検討することを求めている<ref>『[[#大規模地震防災・減災対策大綱|大規模地震防災・減災対策大綱]]』, p. 32.</ref>。
==== 帰宅避難民の避難所は法制上あいまい ====
例えば、東京の渋谷駅<ref>初心者は必ず迷子になるきわめて複雑な地下構造であり、地盤は谷地であり、地下の暗渠には渋谷川が流れている。</ref>の避難計画の問題点が明らかになった。鉄道事業者が災害時に最優先することは鉄道運行の確保であり、そのために乗客は速やかに構内から出てもらうことが重要である<ref>東日本大震災の時、JR新宿駅から乗客を退去させ新宿駅を閉めた事例がある。</ref>。駅構内から出た乗客の行くところは渋谷区の避難所であるが、渋谷区役所の最優先は区民の安全確保であるため責任はない。東日本大震災の時に区民用の避難所に帰宅難民が押し寄せた。その時は住宅がほぼ無事だったため事なきを得たが、実際に区民の避難者が多数出た場合、行き先が曖昧になる。これはすべての場所のすべての帰宅難民についていえる<ref>[http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20131018/254748/?n_cid=nbpnbo_leaf_bn 渋谷駅・地下迷宮の責任者は誰? 東急電鉄を直撃取材!]渡辺実のぶらり防災・危機管理、日経ビジネス2013年10月23日(水)</ref><ref>[http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20131004/254207/?leaf_ra 大迷宮となる新・渋谷で災害が起きたらどうなる?]渡辺実のぶらり防災・危機管理、日経ビジネス2013年10月9日</ref><ref>[http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20131103/255449/?n_cid=nbpnbo_leaf_bn 渋谷駅の防災は? “鬼”が渋谷区に乗り込んだ!]渡辺実のぶらり防災・危機管理、日経ビジネス2013年11月6日</ref><ref>[http://allabout.co.jp/newsdig/c/54167 渋谷駅にいる時に地震が起きたら、どうするよ?]All About News Dig 中川寛子 2013年10月25日</ref>。


==== 避難弱者・震災関連死 ====
==== 避難弱者・震災関連死 ====
{{see also|災害弱者|災害関連死}}
東日本大震災では、妊婦への特別なケアができなかったという。また避難所で泣く乳幼児に苦労したという。
{{独自研究|section=1|date=2016年6月23日 (木) 14:28 (UTC)}}
2004年(平成16年)7月に[[平成16年7月新潟・福島豪雨|新潟・福島豪雨]]、[[平成16年7月福井豪雨|福井豪雨]]が発生した際、高齢者や障害者など災害時に周囲の支援や保護を必要とする人々(災害時要援護者)への援護が不十分であることが問題となった。このことを機に、国は翌2005年(平成17年)3月に「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」を策定した(翌2006年(平成18年)3月に改訂、[https://www.bousai.go.jp/taisaku/youengo/060328/ リンク])<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.city.chiba.jp/somu/kikikanri/youengo_keikaku.html |title=千葉市災害時要援護者支援計画 |work=くらし・地域・手続 千葉市の災害時要配慮者対策 |publisher=千葉市 |date=2015-03-03 |accessdate=2016-06-25 }}</ref><ref name="どう収集・管理するか">{{Cite web|和書|author=国土交通省国土政策局国土情報課 |url=http://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/gis/gis/webguide/giswg_solsht/1231/ |title=災害時要援護者情報をどう収集・管理するか |work=地方公共団体向け地理空間情報に関するWebガイドブック |publisher=国土交通省 |accessdate=2016-06-25 }}</ref>。地域に住む災害時要援護者の避難計画や支援計画を立てるにあたり、こうした人々の個人情報が必要となるが、閲覧や開示などの法令上の規定はなかった。そのため、個人情報を第三者に提供できる規定を利用して要援護者の情報を関係機関などが共有したり、要援護者として登録を希望する人のみ情報を収集したり、要援護者に該当する人に自治体の担当者や民生委員が直接働きかけて同意を得て情報を収集していた<ref name="どう収集・管理するか" />。その後起こった東日本大震災では、被災地全体の死者の約6割は65歳以上の高齢者であり、障害者の死亡率も被災地全体での死亡率と比較すると約2倍であった<ref name="指針" />。そのため国は、高齢者など避難時に支援を要する人々の名簿(避難行動要支援者名簿)の作成を市区町村に義務づけ、名簿に登録される本人の同意を得た上で避難の支援にあたる民生委員などに情報を提供し、発災時には本人の同意を得なくとも情報を支援側に提供してより実効的な避難を行えるよう、2013年(平成25年)6月に災害対策基本法を改正し、「ガイドライン」を改定した「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」({{PDFLink|[https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/youengosya/h25/pdf/hinansien-honbun.pdf リンク]}})を策定した<ref name="どう収集・管理するか" /><ref name="指針">{{Cite web|和書|url=https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/youengosya/h25/pdf/hinansien-honbun.pdf |title=避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針 |publisher=内閣府(防災担当) |year=2013 |month=8 |pages=1, 12 |format=PDF |accessdate=2016-06-25 }}</ref>。改正災害対策基本法は2014年(平成26年)4月に施行された。消防庁によると、2015年(平成27年)4月1日現在で避難行動要支援者名簿を作成済みの市町村(調査対象1,734団体)は52.2%で、2015年度末までには98.0%が作成済みとなる予定である<ref>{{Cite web|和書|author=消防庁 |url=http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h27/08/270828_houdou_1.pdf |title=避難行動要支援者の避難行動支援に係る取組状況の調査結果 |work=報道資料 |publisher=総務省 |format=PDF |date=2015-08-28 |accessdate=2016-06-25 }}</ref>。


{{節スタブ|1=高齢者の介護、乳幼児の保育について|date=2016年6月22日 (水) 14:55 (UTC)}}
[[ニート]]、[[引きこもり]]([[ネットカフェ難民]])も含め、[[住民登録]]などが機能しない住民が数百万人いる。自分の存在を証明できないので、避難所・物資配給から漏れるおそれがある。


=== ライフラインとインフラの復旧対策 ===
震災時の弱者だけではなく、「震災関連死」の問題は大きい。
[[ファイル:23.4.1 米軍との協同作業・瓦礫等の除去(湊小)② 東日本大震災における災害派遣活動 64.jpg|thumb|right|200px|陸上自衛隊の東日本大震災災害派遣活動、米軍と協同で行われたがれき等の除去作業(2011年4月1日、陸上自衛隊撮影)]]
{{節スタブ|1=地震が発生した後の電気、上下水道、都市ガス、電話、鉄道、道路などのライフラインやインフラの復旧対策について|date=2016年6月16日 (木) 14:44 (UTC)}}


=== 保健衛生対策 ===
東日本大震災における福島第一原発から避難した9高齢者福祉施設の調査によると、2回以上または県境を越えて避難した場合には前年の2倍以上の入所者が死亡した。どちらの条件にもあてはまらない場合、変化はなかったという<ref>「避難弱者: あの日、福島原発間近の老人ホームで何が起きたのか?」 相川祐里奈著、東洋経済新報社2013年</ref>。
[[ファイル:23.4.7 13B8普連:防疫活動① 東日本大震災における災害派遣活動 37.jpg|thumb|right|200px|陸上自衛隊の東日本大震災災害派遣活動での防疫作業(2011年4月7日、陸上自衛隊撮影)]]
==== トイレ ====
地震後に下水道に被害がなく使用できても上水道が使えない時は、水洗トイレでは備え付けのタンクの水で汚物を流せなくなる。1回の排泄後に必要な水の量は約8-10リットルと言われており、バケツなどで水を便器内へ流し入れることになる。下水道も使えない時は、使い捨ての非常用トイレを使ったり、便器内にゴミ袋をセットし排泄後に袋ごと捨てるなどの対応をする<ref>{{Cite web|和書|author=NPO法人プラス・アーツ監修 |url=https://web.archive.org/web/20150124064148/https://www.nhk.or.jp/sonae/bosaikazoku/toilet.html |title=災害時のトイレ術だニャン |work=NHK そなえる防災「となりの防災家族 - 1週間自宅サバイバル術」 |publisher=NHK |accessdate=2016-06-11 }}</ref>。大地震後は、停電や上下水道の使用不能を考慮すると汲み取り方式のトイレを用意せざるを得ないと予想されている<ref name="日本トイレ研究所2011a_p8">[[#日本トイレ研究所 2011a|日本トイレ研究所 2011a]], p. 8.</ref>。


避難所で必要なトイレの数は、状況によって変わるものの、おおむね100人に1台以上の割合とされている<ref>[[#日本トイレ研究所 2011b|日本トイレ研究所 2011b]], p. 6.</ref>。臨時的に設置された簡易型トイレを使用する場合、手すりやスロープがないと不自由する障害者や高齢者、汲み取り式に慣れていない子供に対する設備上の工夫や、女性や日本語を理解できない外国人が安心して使えるような配慮が必要となる<ref>[[#兵庫県避難所等におけるトイレ対策検討会 2014|兵庫県避難所等におけるトイレ対策検討会 2014]], pp. 44-45.</ref>{{refnest|group="注"|東日本大震災では、[[LGBT]]など性的マイノリティの人々が、避難所のトイレ・風呂などが男女別にしか分かれていなくて不自由したという事例があった<ref>{{Cite news |url=http://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20160321/3174341.html |title=LGBTの人たちが震災を議論 |newspaper=NHK 東北NEWS WEB |date=2016-03-21 |accessdate=2016-06-17 |deadlinkdate=2016-06-17 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20160322011035/http://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20160321/3174341.html |archivedate=2016-03-22 }}</ref>。}}。トイレを使うのを避けるため水分の摂取を控える状態が長く続くと脱水症状に至り、[[脳血管障害|脳卒中]]や[[静脈血栓塞栓症|静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)]]などのリスクが高まる。さらに免疫力も低下して[[尿路感染症]]などを起こすこともある<ref>[[#兵庫県避難所等におけるトイレ対策検討会 2014|兵庫県避難所等におけるトイレ対策検討会 2014]], p. 36.</ref>。トイレの清掃が不十分だと感染症の流行の原因となり、不潔なトイレを嫌がって避難者がトイレの我慢をすることも考えられるため、トイレの清潔を保つことが望ましい<ref>[[#兵庫県避難所等におけるトイレ対策検討会 2014|兵庫県避難所等におけるトイレ対策検討会 2014]], p. 37.</ref>。感染症拡大防止のためトイレ使用後の手指消毒を励行する<ref>[[#日本トイレ研究所 2011a|日本トイレ研究所 2011a]], p. 9.</ref>。
=== エレベーター ===
東日本大震災では[[エレベーター]]が使えなかった場合がある。15都道府県で210基のエレベーターで閉じこめがあった。たとえば[[新宿]]の[[工学院大学]](28階建て)では非常用エレベーターが3週間利用不能であった<ref>「大深度地下」耐震に利点」:読売新聞2012年1月20日</ref><ref>東日本大震災では都内だけで84件以上の閉じこめがあった。</ref><ref>久田嘉章:建築雑誌2011年5月号:日本建築学会</ref>。マンション等で非常用発電機が設置されている場合でも、本当の非常事態(火事や病人など)のために燃料を残し運転を控えた。通常階段を使って日常生活ができるのは5階程度までである。
* 2012年の首都圏直下地震に対する東京都内の被害想定では、停止するエレベーターは7,473台という<ref>比較的脆弱な家庭用エレベーター被害に対応できるか不安視されている。</ref>。
* 国は2009年9月に建築基準法施行例を改正し、新設エレベーターに安全装置の設置を義務づけた<ref>[http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000012.html 「エレベーターの安全に係る技術基準の見直しについて」国土交通省]</ref>が、既設の約70万台に対する対策は進んでいないため、改修費を補助する<ref>2012年4月22日日本経済新聞</ref>。
* 2005年7月23日の地震(東京で震度5)では、一都三県で6.4万基のエレベータが停止した。当時の東京湾北部地震の予測では30万基が停止し1.2万人が閉じこめられる。大震災時は数日間閉じこめられる可能性もあるという<ref>YomiuriWeekly2005.9.11 p13</ref>。
** 東京都港区では所有156施設の約300基のエレベーターに、備蓄ボックス<ref>内容は飲料水、乾パン、簡易トイレ、トイレットペーパーなど</ref>をおく。予算は1基約5万円。<ref>「エレベーター 水や食糧備蓄 震災寺閉じこめに備え」日本経済新聞 2013年2月18日夕刊13面</ref>。


下水道が整備されていない地域では[[浄化槽|合併型浄化槽]]を用いていることが多いが、津波で浸水した場合、[[漏電]]とそれに伴う火災や、浄化槽内に設置された消毒剤の流失が予想される。また浄化槽の内部から汚物が漏れ出した場合は周囲を[[水酸化カルシウム|消石灰]]で消毒する必要がある<ref>[[#日本トイレ研究所 2011a|日本トイレ研究所 2011a]], p. 7.</ref>。浄化槽は各家庭や施設で設置していることが多く、地震対策は遅れがちである<ref name="日本トイレ研究所2011a_p8" />。
=== 通信 ===
災害時に強い通信についていろいろな説があるが、様々な災害について当てはまるわけではない。特に通信経路は通常の通信量に若干の余裕を持たせているだけで([[アナログ]]時代には「通信呼率」という用語と「アーラン」という通信路の余裕(使用効率を示す)単位があった)、災害などでは通信が急増し機械やソフトが対応できなくなる(「[[輻輳]] ふくそう」という)<ref>「今震災ならパニック スマートフォン急増で体制整備に1年」AERA2012.4.2 p17-19 井上和典、野村昌二記者</ref>。
* [[インターネット]]は災害に強いという説がある。東日本大震災では、東北地方以外ではかなり有効であった。しかし実際の地震について常に当てはまるわけではない。東日本大震災で結局役に立ったのはラジオ、次にテレビという現実である<ref>「災害に備える情報社会」日本経済新聞2013年3月3日読書1面</ref>。
::たとえば中越地震では被災地域が狭くいろいろな外部支援サイトが立ち上がって情報提供したが、被災者の側で停電・電話回線不通・PC損壊・避難などの理由で情報を受け取ることがほとんどできなかった。東日本大震災でも同様であった<ref>「3.11被災地の証言」情報支援プロボノ・プラットフォーム編著、インプレスジャパン2012年</ref>。また首都圏(特に数カ所と近畿圏の一部)に交換機能が集中しているので首都圏が被災した場合、全国に影響が及ぶおそれが高い<ref>首都圏のある重要な大規模交換所は湾岸・河口・標高2mにあり、津波が「想定外」である。ここに電力を供給する変電所は、同じく湾岸・河口の地下にあり、津波は「想定外」である。ここから出入りする電力線・通信線は軟弱地盤の地下を通る。</ref>。
::[[坂村健]]は電源と衛星通信機能を持った公共LANアクセスポイントを指定避難場所に設置すべきだという<ref>「災害に備える情報社会」日本経済新聞2013年3月3日読書1面</ref>。
* インターネットを利用できない「情報弱者」は多数いる。それをカバーする手だては少ない。
** 避難所にネット端末とPCを配置しても、PCを使える人ごとに配置しないと活用が難しい<ref>[http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1110/11/news075.html 災害に対してケータイやスマホができること]小寺信良「ケータイの力学」:ITmedia:2011年10月11日 20時30分 更新:第11回「情報セキュリティワークショップ」車座会議座長として内容をまとめた。</ref>。
***船橋市は、東日本大震災後に通信規制がなかった[[PHS]]467台を1,700万円の予算で376カ所に配置した<ref>PHS相互の通信料は無料である</ref><ref>「千葉県船橋市、避難所にPHSを導入 災害時対策で」日本経済新聞 2013/2/25 23:42</ref>。
** 日本の海外通信のほとんど<ref>95%以上。在日米軍の多くの通信を含む。残りは日本海ケーブル、[[KDDI]]の山口地上局(山口市)など(KDDI茨城地上局は2007年廃止)。</ref>は、海中の(特に太平洋をアメリカにつなぐ)光ケーブルによっている。東日本大震災では、かなりのケーブルが切れ完全修復に数か月かかった<ref>多くをKDDIの[[ケーブル敷設船]]2隻(KDDIオーシャンリンク(KOL)およびKDDIパシフィックリンク(KPL))に頼っているため、損傷したり出航できなかったり、ケーブルや中継器がない場合などは、相当時間がかかる。</ref><ref>30年くらい昔に大西洋横断同軸ケーブルが1,000km以上にわたって10本以上切れたことがある。</ref>。
:: 海底[[光ケーブル]]によらない国際[[通信]]の多くが[[山口市]]周辺に位置し、[[アキレス腱]]となっている<ref>歴史上山口市付近での大きな地震被害が見あたらないのが選定理由の一つだが、歴史地震の調査は300年程度にとどまっている(最古は1793年の長門・周防の地震(M6.5前後、防府で被害)。</ref><ref>[http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/chugoku-shikoku/p35_yamaguchi.htm 地震調査研究推進本部&gt;中国・四国地方&gt;山口県]</ref>。[[KDDI山口衛星通信センター]]で[[インテルサット]]と[[インマルサット]](2つとも[[太平洋]]と[[インド洋]]の両方向)および[[アジアサット]]を一手に運用するほか、[[スカパーJSAT]]の[[SUPERBIRD]][[通信衛星]]の地上管制局<ref>横浜に主局、群馬と茨城に副局がある</ref>と、[[自治体衛星通信機構]](災害対策の日本全体中心)の山口管制局<ref>北海道[[美唄市]]に普段は無人のバックアップ施設がある。定期訓練や災害対策運用訓練の状況は不明である)が設置されている。</ref>がある。
* 東日本大震災のとき、インターネットによる情報収集や交換が困難だったことがあった。会社や学校におけるコンピュータには閲覧制限やフィルタリングがされて、非常時に即座に制限解除されないことがある。特に主に管理職が使う秘密情報を扱うコンピュータ・回線には厳しい制限がかけられている場合がある<ref>平日午後3時だったが、その他の時間帯では解除できる担当者が勤務していない場合が多い。</ref><ref>[http://www.city.funabashi.chiba.jp/shinsai/news/p020558_d/fil/WEBhonnbunn.pdf 「&lt;東日本大震災&gt;」船橋市の被害状況および一連の対応に関する記録」(本文編)]</ref><ref>「業務用パソコンは接続制限が設けられているため、インターネットがあまり利用できなかった。・・船橋市」読売新聞2012年4月13日地方版</ref>。
* [[電子メール]]([[パケット通信]]の一種)は最近になって電話回線と分離され、つながりやすいとされた。しかし東日本大震災では午後3時前の地震の直後に発信されたメール(都区内から都区内宛)が午後10時頃配信されたという例が多く報告されている。NY同時多発テロでは多くの市内メールが半日以上遅れた。<ref>ある状況下では電子メールなどインターネット通信の一部が自動的に破棄されることがあるが、ほとんど知られていない。</ref>
* [[東日本大震災]]では新しい通信手段([[スマートホン]]など)がつながりやすかったと言われている。しかしその後いくつもの通信障害が発生している。通信量の飛躍的増大に比べて通信手段(周波数、機械、ソフトの対応など)が絶対的に不足しているので、次回はどうなるか不確実である<ref>2012年1月25日[[NTTドコモ]]で5時間にわたって252万人に影響する大規模な通信障害が発生した。設定の2倍の接続要求(端末が基地局に対して「これから通信を始める準備をしてください」というメッセージを送ること。短いメッセージなので通常の場合では交換機に付加があまりかからないと思われていた。通常でもある間隔で端末の場所情報を基地局経由でセンターに送っている)に対する[[パケット]]交換機の能力不足であった。大きな理由の一つは[[山手線]]の50分間の不通だった。世界最高水準にあるといわれるドコモのインフラでさえスマホの一時的な限定された地域の通信量爆発に耐えられなかった。原因はシステム設計で、接続要求がソフト側で自由にできるようにしたことである。</ref><ref>阪神淡路大震災では先発のドコモに通信が集中し、後発の(インフラの割には端末が少ない)IDOがつながりやすかったという。</ref>
* [[携帯電話]]は電波を使うのでつながりやすいという説がある。しかし電波の量が不足しているので、災害時にはつながりにくい。また基地局は地上回線や地下回線で電話局とつながっており<ref>火災、地層のずれ、地震動による伸縮、液状化などの影響を受ける。
:: NTT北原安定副総裁時代(1984年)の「[[世田谷局ケーブル火災]]事故」で明らかになったように、地下トンネルも火災に弱い場合がある。</ref>、予備電源を持たないところもあり、あってもせいぜい3-24時間である。電話局もほとんどの通信を地上・架線・地中の有線(電線、光ケーブル)を使っており、災害に強い[[マイクロ波]]無線の通信容量は多くない<ref>電話局の電源も限りがある。電話局は自家発電に頼っており、災害時には給油が必要であるが、交通規制や交通困難、給油システムの障害などにより発電能力が制限され、通信も制限される場合がある。衛星通信車を配備する場合も同様である。</ref><ref>阪神淡路大震災では、兵庫県庁屋上の衛星通信システムが使えなかったため、初動が遅れた。</ref>。
:: 東日本大震災ではほとんどの携帯が使えなかったし、沿岸部では長期にわたって通信不能であった<ref>対策としてビルの高いところに高電力の広域基地局を多数作る動きがある。通信可能な量が急増する通信料に比べとても少なく一般人の利用は規制されると思われるが、重要通信は確保できそうである。</ref>
* [[災害用伝言ダイヤル]]は、直接の被災者を対象として設計されている。
* 地震観測、情報、伝言ダイヤル、行政などはNTT回線に完全に頼っている。民営化後にリストラ、電話料収入の下落<ref>競争、インターネット、[[携帯電話]]、[[IP電話]]、[[スカイプ]]など</ref>のため、どこまでNTTが堅固な設備を整えているか不明である<ref>[[ユニバーサルサービス]]付加料金に災害対策は入っていない。[[阪神淡路大震災]]ではNTT回線の不通がそのまま地震対策の遅れにつながった。KDDIやYAHOO!などを利用している場合でも、「[[ラストワンマイル]]」と呼ばれる電話局と家庭・無線中継局を結ぶ通信経路の多くはNTTが所有・保守している。</ref>
* 日本経済の中枢の一つである東証アローヘッドの夜間担当SEは一人である<ref>2012年2月2日の事件。担当の富士通SEはトラブル内容を携帯画面で確認したという。つまり携帯がつながらない災害時には対応できないかもしれない。・・『システムが止まる日~トップの無関心が招く危機』日経ビジネス2012年4月16日号 no.1637</ref><ref>東証アローヘッドのセンターは東京湾岸の低地の液状化危険地帯にある。それに電力を供給する変電所は地下にある。電力線も通信線も軟弱地盤の液状化危険地帯を数十km通っている。センターも変電所も「大きな津波は想定外」(想定は50cm未満)である。</ref>。


=== 情報問題点 ===
==== 自治体ゴミ収集 ====
大地震の後は自治体によるゴミ収集がしばらくの間不可能になることが予想される。家庭から出るゴミは、通常の生活に伴うゴミに、地震で壊れた家財類や、トイレが使用できないことから生じる汚物が加わる。ゴミの出し方や分別方法は自治体からの指示に従い、ゴミ収集再開まで家庭でゴミを保管する場合は生ゴミや汚物に消臭剤を振りかけるなどして悪臭を防ぐ工夫が必要となる<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.mlab.ne.jp/columns/bousai03_20111031/ |title=大震災発生で、マンションのゴミが出せなくなったときの対策 |work=マンション・ラボ |publisher=[[つなぐネットコミュニケーションズ]] |date=2011-10-11 |accessdate=2016-06-11 }}</ref>。
*プライバシー:安否情報のリストは人々のつながりを強化するが、そのリストを元に詐欺や売り込みなどが発生している<ref>災害に備える情報社会」坂村健、日本経済新聞2013年3月3日読書1面</ref><ref>災害時には「[[個人情報保護法]]」は超法規的に無視されている。</ref>。
*デマ:東日本大震災では多くの流言・デマが広がった<ref>「検証 東日本大震災の流言・デマ」荻上キチ著、光文社新書2011年</ref>。関東大震災では朝鮮人虐殺という悲劇が起こっている。


=== 火災旋風 ===
=== 防犯対策 ===
大地震が起こった後の混乱のさなかでも治安を保つため、警察の警備体制を保持するとともに、警察OBや地域で防犯活動にあたるボランティアなどとの協力も必要となる。[[噂|流言飛語]]は混乱を拡大するおそれもあることから、地方公共団体には、インターネットや[[地上デジタルテレビ放送]]をはじめとするさまざまな方法を用いた、誤った情報を訂正する情報や治安に関する地域ごとの情報を提供することが求められる<ref>『[[#大規模地震防災・減災対策大綱|大規模地震防災・減災対策大綱]]』, p. 37.</ref>。
[[関東大震災]]では、陸軍本所被服廠跡<ref>現在その場所(墨田区[[横網町公園]])に[[東京都慰霊堂]]がある。</ref>にいる避難民を襲った直径100m<ref>「火災はどう燃え広がる?」&lt;ナゾ謎科学&lt;サイエンス&lt;2012年5月6日日本経済新聞</ref>の[[火災旋風]]<ref>[[陸軍本所被服廠跡地惨事]]</ref>により推定3-4万人が死亡した。
: ある条件下で[[火事]]が起こり[[上昇気流]]が起こると周りを巻き込む形で[[竜巻]]のようなものができる。温度が高く風が強いので通った後を焼け野原にして進む。その経験があるにもかかわらず、地震被害想定には火災旋風が含まれていない。理由は起こる確率が不明(計算が可能なはず)であり、死者や被害額が今ある想定の10-100倍になる可能性があるにもかかわらず防災・減災対策がないからである。また幸いなことに[[関東大震災]]以来火災旋風で大きな被害を出した地震が存在していないことも理由である<ref>火災旋風は1943年[[ハンブルク空襲]]、1944-45年[[東京大空襲]]、1945年[[ドレスデン爆撃]]、[[1755年リスボン地震]]などの発生例がある。特にリスボン地震は、世界帝国ポルトガルの衰退を招いたとされている。</ref>。


{{節スタブ|date=2016年6月3日 (金) 16:00 (UTC)}}
=== 密集住宅地 ===
大都市には、「木密(もくみつ、木造密集住宅地の略)」と通称される密集住宅地がある。阪神淡路大震災での神戸市長田区のように1カ所からの火が燃え広がったり、地震のゆれにより多数の住宅が押しつぶされて被害が集中する。通常、不燃化された都心部と敷地に余裕のある郊外部の間に位置する場合と、古くからの風情ある下町低湿地(地盤が悪い)で構成される。被害が集中するだけでなく、仕事・買い物・学校などで都心部にいる多数の人たちが避難する妨げとなったり、火災旋風の発生源となり被害を大きく拡大する原因となったりする可能性が高い<ref>『経済教室木造住宅密集の解消を 不燃化・耐震化が急務』日本経済新聞「経済教室 2020東京の課題(下)2013年10月4日 山崎福寿 日本大学教授</ref>。
:: 2012年10月に国土交通省は、自治体別の面積などを発表した。大阪府7市計2,248ha<ref>[http://www.mlit.go.jp/common/000226571.pdf 別紙4:大阪府の「地震時等に著しく危険な密集市街地」の区域図]</ref>、東京都13区計1,683ha<ref>[http://www.mlit.go.jp/common/000226570.pdf 別紙3:東京都の「地震時等に著しく危険な密集市街地」の区域図]</ref><ref>山崎によれば、総面積1.6万haであり、23区の1/4に及ぶ。また政府は「地震時等に著しく危険な密集市街地」に6,000haを指定している。</ref><ref>[http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2012/01/DATA/70m1k100.pdf 「木密地域不燃化10年プロジェクト」実施方針]東京都 平成24年1月</ref>、神奈川県(横浜市と川崎市)690ha、京都府(京都市と向日市)362ha、長崎県長崎市262haなど197地区5,745haに及ぶ<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121012-OYT1T01244.htm?from=ylist 危険な密集市街地、最大は大阪府の2248ha]2012年10月13日00時04分 読売新聞</ref><ref>[http://www.mlit.go.jp/report/press/house06_hh_000102.html 「地震時等に著しく危険な密集市街地」について]国土交通省報道発表資料 2012年10月12日</ref><ref>[http://www.mlit.go.jp/common/000226568.pdf 別紙1:「地震時等に著しく危険な密集市街地」の地区数・面積一覧]国土交通省 2012年10月12日</ref>。


=== 救援と補給能力 ===
=== 遺体火葬・埋葬 ===
[[ファイル:Temporary cemetery in Ishinomaki.JPEG|thumb|right|200px|東日本大震災の際、宮城県では火葬が間に合わず、一時的に[[土葬]]する仮埋葬が行われた(宮城県石巻市、2011年6月7日撮影)]]
: 東日本大震災では、地震1年8ヶ月後の2012年11月現在で避難所生活者が32.5万人いる<ref>[http://tasukeaijapan.jp/ 助けあいジャパン]復興庁(福島県9.9万人、宮城県11.4万人、岩手県4.2万人)</ref>。
南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震では数十万人の死者が予想されており、国や地方公共団体には、遺体の保管体制や仮安置所の確保、遺体の運搬体制の確保、火葬に必要な物資の確保、さらに火葬場の耐震化や津波対策が求められている<ref name="大綱p34">『[[#大規模地震防災・減災対策大綱|大規模地震防災・減災対策大綱]]』, p. 34.</ref>。阪神・淡路大震災では、死因の約90%が家屋倒壊であり自宅で亡くなった人が多かったため、遺体の身元確認が容易であったという<ref name="舩木ら2012p467">[[#舩木ら 2012|舩木ら 2012]], p. 467.</ref>。また震災のあった地域には多数の火葬場が整備されており、その多くが地震の被害を免れて稼働することができ、1月という低温の時期であったため遺体の保存が1-2週間は可能であり、国や自治体も積極的に支援したため、6千以上の遺体の火葬・埋葬は、3週間ほどかかったものの概ね順調に進めることができたという<ref name="舩木ら2012p460">[[#舩木ら 2012|舩木ら 2012]], p. 460.</ref>
{{refnest|group="注"|阪神・淡路大震災では、神戸市の市営斎場(3か所、火葬炉51基、処理能力は1日150体)では神戸市の遺体3,860体すべてに対応できず、市営斎場で火葬したのは約2,200体で、他は他都市や近隣の府県での火葬となった。神戸市での火葬が終了したのは2月4日頃であった。[[宝塚市]]の火葬場には7基の炉があり、通常は1日3-4体を火葬しており1つの炉で連続して処理したこともなかったが、炉の損傷の恐れもあったものの緊急時として1日4体までの火葬とし、地震発生の翌日から9日間で109体(震災以外の死因を含まない数)を火葬した。また神戸市では、発災直後は死体・埋火葬許可書の交付が滞り、[[死体検案書]]の原本確認で火葬を行った。死体検案書はコピー保管とし、その後、許可書を交付し火葬証明を発行した。大規模災害に伴う混乱期であり埋火葬は自治体が応急的に行うところ、神戸市や宝塚市では市が対応できる状況ではなかったため、遺族が実施・負担した埋火葬の費用であっても市が実施したものとし、後から[[災害救助法]]の適用とした<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.bousai.go.jp/kensho-hanshinawaji/chosa/sheet/055.pdf |title=055 遺体処理 |work=内閣府 阪神・淡路大震災 総括・検証 調査シート(阪神・淡路大震災の総括・検証に係る調査) |publisher=内閣府 |format=PDF |accessdate=2012-12-01 }}</ref>。}}
。しかし、首都圏直下地震や南海トラフ巨大地震の場合は被災地域が超広範囲であり、火葬場の稼働状況や気象条件によっては火葬・埋葬や遺体の保存が非常に難しくなることが予想されている<ref name="舩木ら2012p460" />。多くの火葬場は燃料に灯油を用いているが、2012年現在東京都内にある24か所の火葬場のうち10か所は燃料に都市ガスを用い、その10か所で都内の1日の最大火葬数の80%をまかなっている<ref>[[#舩木ら 2012|舩木ら 2012]], pp. 466-467.</ref>。都市ガスは大地震後の復旧に時間がかかることから[[液化石油ガス|プロパンガス]]に切り替えるなど、ライフラインの途絶への対応が必要だとの指摘がある<ref name="舩木ら2012p469">[[#舩木ら 2012|舩木ら 2012]], p. 469.</ref>。発災が外気温の高い時期であれば遺体は早急に傷んでしまい、身元確認に支障を来すほか防疫上の問題も生じるため、遺体保存に必要な[[ドライアイス]]を調達し各安置所に適正に配布するための体制を確立しておく必要性も指摘されている<ref name="舩木ら2012p467" />。特に津波で亡くなった遺体はひどく傷んでいるため、遺体の身元確認にあたっては[[歯科医師]]も含めて多くの医師を全国から集める必要があるが、同時に、遺体の対応にあたる人々の心のケアを行う[[カウンセリング|カウンセラー]]の派遣も事前に考慮しておく必要がある<ref name="大綱p34" />。遺体を集中的に安置し遺族による確認を容易にする体制や<ref name="舩木ら2012p467" />検死と身元確認を的確に実施し速やかに遺族に引き渡せるような体制を整えることが求められている<ref name="大綱p34" />。さらに、自治体によっては大規模災害時の応援協定を葬祭関係の団体との間で締結している。全国霊柩自動車協会とは多数の遺体を緊急輸送する協定、全日本葬祭業協同組合連合会や全日本冠婚葬祭互助協会とは棺などの葬祭用品の供給協力の協定を締結するなどの事例がある<ref>[[#舩木ら 2012|舩木ら 2012]], p. 456.</ref>{{refnest|group="注"|東日本大震災の際は厚生労働省から、葬祭関係の団体のほか、全日本トラック協会には遺体の搬送について、全国建設業協会には墓地の掘削などについて、被災3県の自治体から協力依頼があった際の支援を要請する通知が出された<ref>{{Cite web|和書|author=厚生労働省健康局生活衛生課長 |url=https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000015rl0-img/2r98520000015xdd.pdf |title=健衛発0322第1号平成23年3月22日 平成23年東北地方太平洋沖地震による御遺体の埋火葬の体制の確保について |publisher=厚生労働省 |format=PDF |date=2011-03-22 |accessdate=2016-06-25 }}</ref>。}}。


{{節スタブ|1=広域火葬計画について|date=2016年6月22日 (水) 14:55 (UTC)}}
:: 南海トラフ地震では、被害地域が広く、連動の可能性が高く、自地域の被災の可能性が高いので他県や他地域の救援ができないかも知れない<ref>(創論)巨大地震にどう備えるか2段階想定、官民で知恵 東大名誉教授 阿部勝征氏 日本経済新聞2012/5/13 </ref>。また救援中ならば、次の地震発生後にすぐ出身地に戻らなければならないが、交通手段も少なく、被災民をおいていくという心理的負担も大きい。救援隊への補給自体も大問題となる<ref>軍隊が遠隔地で自立して作戦する日数は大体3日間とされる。そのために、国内では戦時のための備蓄を用意しているが、非常に少なく地域も偏っている。米海兵隊は1週間-1か月激戦できるだけの備蓄を地域で持つが、遠隔地への派遣の場合には補給が必要であるため、戦時には民間航空機を徴発することができる。</ref>。


=== 複合災害対策 ===
:: 自衛隊<ref>[http://www.mod.go.jp/j/approach/defense/saigai/pdf/kyoukun.pdf 東日本大震災への対応に関する教訓事項(最終とりまとめ)]平成24年11月防衛省</ref>は北朝鮮や[[中国]]の脅威に十分対応できなくなった。ほぼ全能力に近い10万人の動員は、交代するための予備兵力がなくなり<ref>通常の戦時、交代予備兵力は実戦配備兵力の数倍必要とされる。災害は戦時ではないが、自衛隊員にかかる負担は非常に大きい。現在全自衛隊で現役24万(うち陸上14万)、[[予備自衛官]](予備役、後備役)は6万人。また自衛隊の備蓄は多くない(昔の川柳に「偶に打つ球がないのが玉にきず」)ので、民間の需要と競合する。</ref>、新たな脅威や災害に対応する能力の欠乏を意味した。北朝鮮の偽装漁船(機関銃・大麻・覚醒剤などを持つ)などへの警戒も困難になる。
[[ファイル:Cosmo Oil explosion 20110311.png|thumb|200px|right|東日本大震災、千葉県[[市原市]]・[[コスモ石油]]千葉製油所での[[液化石油ガス|LPG]]タンク火災<ref>{{Cite web|和書|url=http://ceh.cosmo-oil.co.jp/csr/highlights/11/01.html |title=千葉製油所の火災・爆発事故について |work=CSR |publisher=[[コスモエネルギーホールディングス]] |date= |accessdate=2016-06-24 }}</ref>の様子(2011年3月11日撮影)]]
大地震の発生後の余震や降雨で、[[天然ダム]](河道閉塞)の決壊による被害や地盤の崩壊などが起こりうる。[[台風]]や[[ビューフォート風力階級#日本|暴風]]、[[高潮]]、[[集中豪雨]]、[[土砂災害]]、[[噴火|火山噴火]]{{refnest|group="注"|大地震後には火山活動が活発化することが指摘されている<ref>{{Cite web|和書|url=http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120913/dst12091310070003-n1.htm |title=震災で富士山に圧力 専門家「噴火しなかったのはたまたま」 |work=msn産経ニュース |date=2012-09-13 |accessdate=2012-10-23 |url-status=dead|url-status-date=2016-02-12 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20120913044137/http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120913/dst12091310070003-n2.htm |archivedate=2012-09-13 |quote=''防災科学技術研究所によると、地震が起きると火山地下にあるマグマだまりにひずみがかかって変形し、噴火が誘発されることがある。'' }}</ref><ref>{{Cite web|和書|author=宋光祐 |url=http://www.asahi.com/special/bousai/NGY201211280005.html<!--2016-06-23にurl差し替え http://www.asahi.com/national/update/1128/NGY201211280005.html--> |title=大地震と連動警戒 富士・御岳・焼岳、監視続く 東海 |work=朝日新聞 |date=2012-12-02 |accessdate=2012-12-02 |quote=''過去には巨大地震の後に火山が噴火した例もあり...。'' }}</ref>。1707年の[[宝永地震]]の場合、49日後に[[富士山]]の[[宝永大噴火]]が起こった<ref>[[#岡田 2014|岡田 2014]], p. 21.</ref>。また2004年の[[スマトラ島沖地震 (2004年)|スマトラ島沖地震]]では数ヶ月後に火山が噴火している<ref>[[#岡田 2014|岡田 2014]], pp. 255-256.</ref>。}}などの気象災害、[[原子力発電所]]や石油コンビナートなどでの事故や火災{{refnest|group="注"|東日本大震災では、地震の他に津波と[[原子力事故]]が起こったため、極めて複雑な事態となり復旧の障害となっている<ref name="NHK20150902">{{Cite web|和書|author=山﨑登 |url=http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/226395.html |title=くらし☆解説 「ご存知ですか?複合災害」|work=NHK解説委員室 解説アーカイブス |publisher=NHK |date=2015-09-02 |accessdate=2016-06-17 }}</ref>。}}、有害物質の漏洩による環境破壊や健康被害、といった災害が起きる可能性がある<ref name="大綱p47-48">『[[#大規模地震防災・減災対策大綱|大規模地震防災・減災対策大綱]]』, pp. 47-48.</ref>。また、濱嶌良吉(元・前橋工科大学)によれば、首都直下地震では地震動によって[[南関東ガス田]]から[[メタン|メタンガス]]が噴出し、大規模火災で生じた[[火災旋風]]にさらに勢いを与える可能性もあるという<ref>{{Cite web|和書|url=http://jisin.jp/serial/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84/flash/4732 |title=首都圏大地震で“巨大ガス田”炎上の危機「死者は100万人」|work=週刊FLASH 2012年4月17日号 |publisher=[[光文社]]「女性自身」 |date=2012-04-04 |accessdate=2013-01-13 }}</ref>。このように、ある災害の後に同規模以上の異なる災害が連続して起こる状況は'''複合災害'''と呼ばれる<ref name="NHK20150902" />。国や地方公共団体は、これらの複合災害にも対応できる体制を構築する必要がある<ref name="大綱p47-48" />。


東京都[[江戸川区]]では、首都直下地震で堤防の沈下や破壊があった後に台風が来た場合、荒川や[[江戸川]]が氾濫し東京湾からは高潮が襲ってきて区の広範囲が水没する可能性があることを区民に伝え<ref name="NHK20150902" /><ref name="江戸川区">{{Cite web|和書|url=https://www.city.edogawa.tokyo.jp/bousai/koujo/hukugosaigai.html |title=江戸川区複合災害対策 |work=江戸川区防災 公助-江戸川区の防災対策 |publisher=江戸川区 |date=2013-08-19 |accessdate=2016-06-17 }}</ref>、早期の避難や万一逃げ遅れた場合に備えた対策が必要だと説明している<ref name="江戸川区" />。
:: 警察は被災地での略奪行為に十分対応できなかったという。


南海トラフ巨大地震や[[相模トラフ巨大地震]]では、[[東海道新幹線]]や[[東名高速道路]]などの鉄道路や道路が破壊されて通行不能となる可能性がある。国や地方公共団体などには、こうした「東西分断」の事態を見越した長期的な交通網の整備が求められている<ref name="大綱p47-48" />。
:: [[東日本大震災]]では主要な[[工業地帯]]や輸入港湾・空港が無事だったのにも関わらず、首都圏・京阪神地方では[[乾電池]]・水・[[非常食]]・[[ガソリン]]・[[ビール]]・[[ラジオ]]・[[パン]]などが品切れになった。次回の大規模災害では、被災者の需要だけでも不足し、さらに今回の教訓を学習した人々の需要によって早期の品不足も予想される。


== 大規模地震後の対策 ==
:: 2012年2月豪雪で[[下北半島]]は孤立したが、自力・自衛隊の災害派遣・降雪の終わりで早期解決した。しかし2011年[[紀伊半島]]の豪雨では孤立地帯が続出し、解決に長期間かかった。現在でも[[限界集落]]と呼ばれる孤立地帯が多数あり、それは地震災害とそれに続く災害に弱い場所である。また災害時に自立して対策を施す政治・行政・消防・警察・若年労働力が県庁所在地だけではなく大都市圏でも弱い。
[[ファイル:Wakinohama house c211.jpg|thumb|right|200px|阪神・淡路大震災の際に設置された[[仮設住宅]](仮設脇ノ浜住宅。1995年2月15日撮影、[[神戸市]]提供)]]
=== 経済の復興 ===
[[スーパーマーケット]]や[[コンビニエンスストア]]では、地震によって店舗への商品の配送ができなくなる可能性がある。規模の大きな事業者であれば、被災が予想される地域以外にも店舗を置き、発災後も事業を継続できるようにする。中小規模の事業者は、複数の仕入れルートを確保しておき万一の際も商品が仕入れられるようにする、といった備えが必要であろう。製造業の場合も、中小規模の工場では遠方の工場と協力関係を結び、自社製品の設計情報や金型をお互いに相手方に預け、一方が被災や停電で操業できない場合はもう一方が製品を生産するといった対応が考えられる<ref>「[[#首都の生命線|首都の生命線]]」, p. 44.</ref>。


{{節スタブ|date=2016年6月18日 (土) 11:44 (UTC)}}
::2011年、東日本大震災による液状化により京葉ガス<ref>供給戸数約85万戸</ref>は浦安市で約9千戸でガス供給が停止した。復旧工事を急いだが、ネックとなったのは重機用の軽油の調達であった。それを乗り越えても、全戸へのガス供給復旧には2ヶ月を必要とした<ref>「京葉ガス 液状化の土砂、本格復旧阻む 供給網の耐震化、急務に」日本経済新聞2011年4月29日31面『大震災 どう乗り越える 13』</ref>。道路を掘る工事のため、上水道、下水道などとの調整が困難であった。


=== 介護・医療・保育 ===
=== 心のケア ===
[[ファイル:23.3.29 10音:音楽演奏・閖上小学校卒業式(那智が丘小)⑥ 東日本大震災における災害派遣活動 53.jpg|thumb|right|200px|陸上自衛隊の東日本大震災災害派遣活動。[[名取市立閖上小学校]]の生徒の卒業式での慰安演奏(2011年3月29日、陸上自衛隊撮影)]]
介護を必要とする人たちのケアは困難である<ref>「被災地の介護職不足 雇用誘導へ投資必要」読売新聞2012年10月2日</ref>。震災時には職員が一人一人をおんぶしたりして運んでいる。その後はトイレの負担が極めて大きい。生活の激変から新たに介助が必要になる人が多い<ref>南相馬市や石巻市では、震災後の1年間で要介護高齢者が1.4倍に増加した。</ref><ref>南相馬市の特別養護老人ホーム「福寿園」では2011年9月現在定員80人に対し入所待ちが4000人いる。</ref>。ところが介護職員は、給料も安く子育て世代のため子育てのしやすい被災地以外の場所に移住する場合が多く、不足する。21世紀中頃以降とされる<ref>政府は地震予知ができなかった教訓から、新しい地震予測では時期を書かない予定である。</ref>首都圏直下地震・東海東南海地震の時期には少子高齢化が進み、特に大都市圏では介護職員の不足と救援能力が不足していることとなる。広域災害では、物資支援・人的支援・代替介護施設・移動方法などの困難が予想される。この状況は、入院患者、手術待ち患者、慢性病患者などにとっても同様である。また[[人間ドック]]や通常の健康診断がほぼ不可能になり、気づかれないままの発病や悪化が懸念される。単なるひび・頭痛・腹痛等と診断されてしまうと、震災のかなり後でも[[トリアージ]]により初期医療がなされないため、予後が不良となる場合があり得る。このような災害弱者は「緑」タグが、急速に「黄色」や「赤」に変化しやすい<ref>国立保健医療科学院 古田穂波主任研究官</ref>ため、トリアージは理論上良いが現場ではかなりの困難が予想される。
震災が心身に影響を及ぼす場合が多い。特に子供たちに対する影響が大きいため、心のケアが大切である。想定される大震災時には、心理療法士が相当不足することが考えられ、また技能には相当な幅があるという。
# 過覚醒 - 眠れない、イライラ、物音に敏感になる。
# 侵入的な再体験 - 記憶がよみがえる、いやな夢や怖い夢を見る。
# 回避、まひ - 体験を本当と思えない、泣けない、震災のことを話さない。
# マイナス思考 - 罪悪感、無力感、不信感。
子供たちの気持ちが前向きになるような楽しい体験やチャレンジの機会を提供することは、こうした心理状態を解消する方法の一つであろう<ref>{{Cite news |title=子どもの心 授業でケア 大震災後のトラウマ反応 |newspaper=読売新聞 夕刊 |date=2013-01-24 <!--|accessdate=2013年1月28日 (月) 10:02 (UTC)--> }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20130131-OYTEW51870/ |title=子どもの心 授業でケア 大震災後のトラウマ反応 |work=yomiDr. |publisher=読売新聞社 |date=2013-01-31 |accessdate=2016-06-16 }}</ref>。


{{節スタブ|date=2016年6月18日 (土) 11:44 (UTC)}}
[[慢性病]]患者は[[糖尿病]]、[[精神病]]など数千万人になるが、必要な数量を必要な場所に運搬し、配送するのは困難である<ref>カルテや処方箋が残っていない場合もある。遠隔地へ避難している場合、病院、医院、薬局との連絡も困難が予想される。</ref>。特に心臓病・腎臓病患者など医療・薬品・自宅の電気の不足が生死に直結する場合があり、[[挫滅症候群]](ざめつしょうこうぐん、クラッシュシンドローム)などの場合で、[[トリアージ]]では重傷になるまで後回しになる。精神病などの場合危険薬品が処方されることも多いが、診察・本人確認・数量確認<ref>例えば慢性病の[[糖尿病]]で、SU剤の継続使用は膵臓を痛め、薬の切り替えでSUとDPPを併用すると低血糖で死亡する危険があるため、単純に処方できない。</ref>も困難である。


=== 震災遺構の保存 ===
トリアージに妊産婦を表すタグがないことも問題である(タグに大きく注記する場所はない)。先行事例として、東京都文京区は2012年8月に母子救護所の設置を決めた。また色覚異常(日本人の1%)の人間には赤と黒のタグの区別が難しい。緊急時には問題になると考えられている<ref><「災害時のトリアージ 妊産婦ら識別体制 必要」読売新聞2013年12月6日13面</ref>。
{{see also|震災遺構}}
大地震と震災の教訓を伝えるには、実物による[[震災遺構]]の保存と展示が欠かせないとされる<ref name="高木2012">{{Cite book|和書|author=高木秀雄 |title=三陸にジオパークを : 未来のいのちを守るために |publisher=早稲田大学出版部 |date=2012 |series=早稲田大学ブックレット : 「震災後」に考える 13 |ISBN=9784657123039 |NCID=BB09013104 |url=https://iss.ndl.go.jp/books/R100000074-I000608917-00 |pages=58-60,68,70}}</ref><ref group="注">震災遺構の例として、東京にある関東大震災を記念する「[[東京都慰霊堂]]」、神戸市の「阪神・淡路大震災記念 [[人と防災未来センター]]」、[[濃尾地震]]を記念する[[岐阜県]]の「[[地震断層観察館・体験館]]」などがある。</ref>。しかし震災遺構の保存には、費用がかかること、復旧の妨げになること、辛い記憶を思い出す遺構を見たくないという被災者からの意見が多いことなどの問題がある<ref name="高木2012" />。
{{Gallery
|ファイル:Kobe port earthquake memorial park.jpg|[[神戸港震災メモリアルパーク]](兵庫県)
|ファイル:Miracle pine tree. April 2015.JPG|[[奇跡の一本松]](岩手県陸前高田市、2015年4月撮影)
}}


== ペットの地震対策 ==
2012年現在、一人暮らしの高齢者は480万人おり急増中である。個人情報保護法によるプライバシー保護のため、役所も情報を提供できず、本人たちも[[オレオレ詐欺]]や押し売りなどの被害があるため個人情報を提供したがらない。町内会、マンション管理組合、福祉団体には法律上の守秘義務がなく、仮にあったとしても情報漏洩源を突き止めるのはほぼ不可能である。また、被災状況では、町内会・管理組合・さらには交番でさえきちんと個人情報を管理する能力が残っているとは限らない<ref>町内会、管理組合役員は持ち回り制が多く、災害時は不特定多数が出入りし、都会では顔見知りでない場合が多い。通常は簡単なてこで破れるロッカーに保存している。施錠が不完全な場合もある。</ref>。
[[ファイル:VOA Herman - April 12 2011 Namie-06.jpg|thumb|right|200px|福島第一原発事故により全町民が町外へ避難した[[福島県]][[浪江町]]に残された犬(2011年4月12日撮影、[[ボイス・オブ・アメリカ]]提供)]]
::: [[内閣府]]は「災害時要援護者名簿」の作成を市町村に求め<ref>2012年4月現在作成済みは64%</ref>、福祉団体などに平常時から開示可能にするために、[[災害対策基本法]]を改正する方針である<ref>「災害弱者の名簿開示可能」読売新聞2012年11月14日夕刊1面トップ</ref>。
[[イヌ|犬]]や[[ネコ|猫]]といった[[ペット]]は多くの家庭で家族の一員となっており、大地震の際もペットを同行して避難することを希望する事例も少なくない<ref name="市川市" />。東日本大震災をきっかけに、地方自治体が防災計画の中にペットの[[同行避難]]に関する定めを追加する事例が増えてきた。2015年6月には環境省が「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」([https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2506.html リンク])を作成している<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/disaster.html |title=ペットの災害対策 |publisher=環境省 |accessdate=2016-06-26 }}</ref>。しかし避難所でペットの受け入れができない場合、飼い主もペットと共に車中泊をして体調を崩すことがある<ref name="読売20150227">{{Cite news |url=https://web.archive.org/web/20151209180254/http://www.yomiuri.co.jp/local/iwate/feature/CO013911/20150227-OYTAT50069.html |title=いつもそばに 震災とペット (5) 避難所 中越の経験生かす |newspaper=読売新聞 岩手版 |date=2015-02-28 |accessdate=2016-06-25 }}</ref>。2016年4月の[[熊本地震 (2016年)|熊本地震]]では、ペットが避難所に入れなかったため車中泊を続けたところ、ペットが[[熱中症]]になった事例もあった<ref name="産経20160425">{{Cite news |title=「人の水もないのに犬に飲ませるのか?」 ペット同伴避難でトラブル相次ぐ 唯一のペット避難所は… |newspaper=産経新聞 |date=2016-04-25 |url=https://www.sankei.com/article/20160425-BVUWKDGH5RM7HGK6UPE4POSTSM/3/ |accessdate=2016-06-25}}</ref>。避難時にやむを得ずペットと離れた飼い主が精神的に苦しむこともある<ref name="読売20150227" />。
:::2012年11月の暴風雪による停電で、登別市の高齢者5世帯中4世帯のお年寄りは歩行器や流動食が必要で、避難所で生活できない人だった<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hokkaido/news/20121201-OYT8T00001.htm 停電が全面復旧・・・登別など]2012年12月1日 読売新聞 北海道発</ref>。


避難所では多数の人々と一緒に暮らすことになるため、ペットの飼い主には発災に備えての準備や対策が求められている。たとえば、ペットに無駄吠えをしない、トイレを決められた場所でする、ケージに入る、といった基本的なしつけをしておく。予防注射や不妊手術を行う。迷子になる場合に備えて迷子札やマイクロチップを着ける。避難時にすぐ持ち出せるようにキャリーバッグや餌(5日分)や食器、予防接種日や健康状態などの情報をまとめたものなどを準備しておく、といった対策が勧められている<ref name="市川市">{{Cite web|和書|url=http://www.city.ichikawa.lg.jp/pub01/1111000040.html |title=ペットの同行避難について |work=くらしの情報 ペット・動物 |publisher=市川市 |date=2016-01-20 |accessdate=2016-06-25 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://www.pref.niigata.lg.jp/seikatueisei/1356772474704.html |title=備えよう!ペットの災害対策 |work=健康・医療・衛生 |publisher=新潟県 |date=2015-06-05 |accessdate=2016-06-25 }}</ref>。熊本地震では、熊本市の避難所運営マニュアルに「避難所側がペット同行者に配慮」とあるものの、市民への周知が不十分だったこともありペットが入れなかった事例があった<ref name="産経20160425" />。しかし、避難所には動物を嫌う人や、ペットに不用意に触れてくる子供もいるため、飼い主側には普段以上の配慮が求められる。平時から近隣の住民との良好な関係を保ち、災害時の対応について話し合っておくことも必要であろう<ref name="市川市" />。ペットとしてはあまり一般的でない動物の場合は、避難所への同行が困難な可能性があるため、発災時の預け先を事前に確保しておく<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/aigo/bousai/doukou-hinan.html |title=『同行避難』するために・・・日ごろからの備えが大切です |work=環境・衛生 |publisher=東京都福祉保健局 |date= |accessdate=2016-06-25 }}</ref>。
女性の社会進出に伴い、女性が子育てをしながら働いている場合が多いが、保育、学童保育施設が現在も不足している。田舎では(都会でも)老人介護が家族にゆだねられている場合が多い。災害時には、職員、施設ともにさらに不足し、施設に子供・老人を連れて行くことも困難である(特に保育園、デイケアセンターなど)。東日本大震災では住居・移動手段と介護の問題から求人と求職のミスマッチが起こっている。具体的には、多数の求人がある事業所があっても、求職者が集まらず(地域の失業率は高い)操業を生産能力の数分の一に落としている会社がある。


=== 学校 ===
== その他 ==
{{雑多な内容の箇条書き|section=1|date=2016年6月3日 (金) 16:00 (UTC)}}
学校は、児童生徒を保護する場・防災教育の場・普通教育の場・避難所として考えられているが、その機能を果たせるとは限らない<ref>[http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sports/012/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/07/31/1324017_01.pdf 「東日本大震災を受けた防災教育・防災管理等に関する有識者会議」最終報告]平成24年7月25日 文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課</ref><ref>[http://memory.ever.jp/tsunami/tsunami-higeki.html 大津波の悲劇]</ref>。
{{正確性|date=2016年6月|新聞記事やウェブサイトを参考にして書かれた記述でも、参考元の内容を正確に反映しておらず誤っていることがあります |section=1}}
* 教員・管理職(校長・副校長・教頭・主幹教諭)は、教科・学級経営・生徒指導・部活動・地域連携やその他の教育・事務に追われており、防災についての意欲・知識・能力・時間も少ない場合がある<ref>学校において「命を守ること」の大切さが強調されているが、[[教育基本法]]、[[学校教育法]]における教育者の第一の義務としてあげられているわけではない。</ref>。その場合マニュアル、想定、一般常識、教育委員会<ref>教育委員会といっても、少数の事務員と教員からなる事務局が運営する。防災意識・知識が高いとは限らないし、県の教育委員会でさえ不足している場合がある。教育委員会より校長会の方が強い決定権を持つ場合も多いという。地方の小規模校は教員数人で運営しているので、有給休暇や防災研修の時間的余裕も少ない。</ref>の判断などに頼ることがある。
; 想定
** 典型が[[石巻市立大川小学校]]<ref>石巻市釜谷山根1</ref><ref>[http://saigai.gsi.go.jp/2012demwork/checkheight/index.html 【試験公開】標高がわかるWeb地図]では標高0.8-2.7m、北上川河口まで約4km。川から学校まで170m。</ref>であった。幾度も多数の犠牲者を出した津波常襲地帯にもかかわらず津波避難所を設定しておらず、教頭が在校していながら50分を低地の校庭で空費し、裏山(普段低学年児童も登っていた)に避難せず<ref>[http://www.asahi.com/national/update/0821/TKY201208210480.html 大川小の遺族と市教委が初の共同現地調査]『学校を出て約1分後に津波に襲われた。校舎裏の山には40~50秒で着くことができた。」朝日新聞2012年8月21日21時3分</ref><ref>[http://blogos.com/article/73737/ 「空白の50分」を明らかにせよ―大川小検証委への意見文]BLOGOS 中妻穣太 2013年11月15日</ref>、児童74人と教師10人が犠牲となった。有給休暇を取っていた校長は、津波後数日も登校しなかったという<ref>[http://diamond.jp/category/s-okawasyo 『大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~』]ダイヤモンドオンライン連載 2012年6月~</ref><ref>[http://www.chuokoron.jp/2011/07/post_87.html 「なぜ大川小学校だけが大惨事となったのか」][[中央公論]]2011年8月号掲載・2011年7月20日UP</ref><ref>[http://memory.ever.jp/tsunami/higeki_okawa.html 大川小学校を襲った津波の悲劇・石巻]河北新報・特集「大津波の証言」の「大津波の悲劇」</ref><ref>[http://www.e-riss.co.jp/oic/ 大川小学校事故検証委員会]</ref><ref>[http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3095.html 巨大津波が小学校を襲った~石巻・大川小学校の6か月~][[NHK]][[クローズアップ現代]]2011年9月14日(水)放送</ref>。2012年11月、文部科学省は市が設置する第三者委員会の検証作業に国が責任を持つことを明らかにした<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121104/t10013233041000.html 大川小の避難検証で国が説明会]NHK NEWSWEB2012年11月4日7時0分</ref><ref>[http://www.e-riss.co.jp/oic/_src/sc439/8E9197BF1817C2814091E590EC8FAC8Aw8DZ8E968CCC8C9F8FD892868AD48EE682E882DC82C682DF81i88C481j.pdf 「大川小学校事故検証中間取りまとめ(案)」]大川小学校事故検証委員会、2013年7月</ref>。2014年2月最終報告書がまとまり、3月1日に提出される<ref>[http://www.e-riss.co.jp/oic/_src/sc523/8E968CCC8C9F8FD895F18D908F9181i28C8E2393FA94C581j.pdf 大川小学校事故検証報告書]平成26年2月、大川小学校事故検証委員会</ref>。
* 2012年12月、地震調査委員会は都道府県庁舎が30年以内に震度6弱以上の揺れに襲われる確率を公表した。最も確率が高いとされたのは、静岡市の89.7%であった<ref>{{Cite web|和書|url=http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/1221.html |title=震度6弱以上 地域の確率は |work=NHK NEWSWEB WEB特集 |date=2012-12-21 |accessdate=2012-12-29 |url-status=dead|url-status-date=2017-10 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20130105001132/http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/1221.html |archivedate=2013-01-05 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.jishin.go.jp/main/chousa/12_yosokuchizu/2012hikaku.pdf |title=都道府県庁所在地の市役所(東京は都庁)及び北海道の総合振興局・振興局庁舎付近(庁舎位置を含むメッシュの中心位置)において、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率(平均ケース) |work=(参考資料)今後の地震動ハザード評価に関する検討 - 2011年・2012年における検討結果 - |publisher=地震調査研究推進本部 |author=地震調査委員会事務局 |format=PDF |date=2012-12-21 |accessdate=2012-12-29 }}</ref>。
** 1983年(昭和58年)5月26日 [[日本海中部地震]]では、[[男鹿半島]]加茂青砂海岸で昼食中の[[秋田県]]北秋田郡合川町(現在の[[北秋田市]])[http://www.kumagera.ne.jp/aminami/enkaku.html 合川南小学校]の児童43人が津波にのみこまれ14人が死亡した。目撃者が地震に驚いて外に飛び出した後、小学生が[[マイクロバス]]二台で到着し、引率教師2名が岩場に子供を連れて行き遊ばせ姶めるのが見え、10分後に津波にのみこまれたという<ref>読売新聞 昭和58年5月27日朝刊</ref><ref>マイクロバスに乗車しているとき。震度3-4程度の地震では地震の発生に気がつかないことがある。</ref>。
** 逆に極めて高い学校の防災意識が児童・生徒を救った例として釜石市立鵜住居小学校、[[釜石市立釜石東中学校]]<ref>『ぼうさい甲子園』の優秀賞を平成21、22年と2年連続受賞</ref>の取り組みがあげられる。学校が明治・昭和の両大津波の浸水区域や想定浸水区域の外にあるにもかかわらず、避難場所を3回変えて全員助かった<ref>学校と最初の設定避難場所は津波にのみこまれた。鵜住居小学校では最初校舎3階に避難したが、その後中学生の避難を見て、避難場所を変えた。</ref><ref>[http://www.ce.gunma-u.ac.jp/bousai/research02_3.html 釜石東中学校の生徒が、津波襲来前までに行ってきたEASTレスキューの活動と結果:群馬大学広域首都圏防災研究センター]</ref><ref>[http://www.bousai.go.jp/kouhou/h23/64/special_01.html 広報ぼうさい 平成23年度秋号(第64号)特集 東日本大震災から学ぶ~いかに生き延びたか~:内閣府]</ref>。
***2014年文部科学省は学校施設整備指針<ref>[http://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/syoushishin.pdf 小学校施設整備指針 平成21年3月]</ref><ref>[https://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/tyuushishin.pdf 中学校施設整備指針 平成21年3月]</ref><ref>[http://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/koushishin.pdf 高等学校施設整備指針 平成21年3月]</ref>を改定し、津波対策として高層化、高台移転、食糧備蓄を促す<ref>[http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140228/dst14022800500002-n1.htm 学校の高台移転や高層化促進へ 津波対策で文科省]産経ニュース 2014.2.28 00:48</ref><ref>[http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/013/007/index.htm 学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議 > 災害に強い学校施設づくり検討部会]</ref>。
* 年に1-2回防災(火災・地震)避難訓練が行われる。そのとき地震避難訓練を同時に設定し、校庭避難で終了するのが普通である<ref>最近は9月1日([[防災の日]])の始業式後に地震訓練を行い、火災訓練は別に行う場合が多くなった。</ref>。場合によっては、消防署員(大体司令補)や校長の講話・消火訓練・起震車体験・救助避難袋経験などを行う場合もある。東日本大震災後に引き渡し訓練も増えてきたが、引き渡すのが前提となっており、引き渡しの妥当性はあまり検討されていない。また時間設定(5分)をし<ref>[[消防法]]で決まっているが、学校ごとに綿密に計算されていない場合がある。</ref>、集団行動の徹底の場として考えられており、「[[津波てんでんこ]]」の教訓はほとんど生かされていない<ref>『「おはし(押さない、駆けない、しゃべらない。「おはし」、または「戻らない」を付け加えて「おかしも」』という避難訓練の基本ルール違反になる。また「てんでんこ」は安全確認点呼の妨げとなる。「一人足りなかった」は関係者の大きな失点となり、訴訟または行政処分の対象となり、特に「生徒の命を守る学校」という地域からの信頼の核心を損なう。</ref>。
* 学校には、災害避難民に対する避難物資の備蓄(自校児童生徒教職員分も)がない場合が普通である。一部先進校でも大体自校1日分である<ref>先進私立学校では3日分の備蓄がある。</ref>。
* 給食は給食センター方式が普通である。自校方式でもガスに頼っているし、朝7時過ぎから始めて4-5時間準備に、片付けに3-4時間かかる。食材は当日朝配達なので、ストックは存在しない。弁当やパンも運搬手段や製造のためのガス・水道・人員・輸送路が少ない可能性がある。
* 避難所になるということは、被災者・犠牲者の家族・友人でもある教職員が避難民やトラウマを背負った児童・生徒の世話に追われることであり、教育をする場<ref>広域災害や人口集中地帯での災害では、避難して生活する場所や授業を受ける場所(仮校舎)が不足する可能性が高い。</ref>も時間も奪われることである<ref>教職員の大事な仕事にトイレ掃除、給油、見回りなどがある。3.11では学校運営委員を委嘱し、地域のボランティアに頼った場所があるが、これは多くの場合に期待できない。学校にいない生徒の家庭訪問も必要である。ほとんどの学校で[[養護教諭]](保健の先生)が0-1人であるため、過重な負担がかかる。養護教諭に投薬・注射・診断・治療の知識・技術・訓練・資格がないにもかかわらず、唯一の専門家として頼られる。</ref>。首都圏直下地震や連動地震などの大規模災害では最低数か月~最長数年間その状態が続く。
* 学校施設が無事であるとは限らない<ref>「避難場所」に指定されているため安心感が生まれるが、防災庁舎や病院と同様に油断も生まれる。耐震診断、耐震工事がされていない場合も多い。地域最大の鉄筋コンクリート建物・防災訓練実施場所・大卒公務員の集まっている場所という安心感が地域からあり、逆に隙もできる。</ref>。東日本大震災では学校そのものが消滅したり、大きな被害を受けたりした。阪神淡路大震災では校庭の約半分が崩れ落ちた学校もあるが、学校での過去の地震被害例が報道されていないので「学校なら安心」という考えが今まで普通であった。耐震化工事は予算不足でできていないところも多数ある<ref>平成23年度小中学校耐震化率80%、耐震性がないもの2.3万校。[http://www.mext.go.jp/component/b_menu/houdou/__icsFiles/afieldfile/2011/08/23/1310195_01_1.pdf 公立学校施設の耐震改修状況調査の結果について:【概要】調査結果の概要:文部科学省:平成23年8月24日]</ref><ref>今後少子化・予算不足により私立学校でも工事の遅れが出て来るとされる。</ref>。
* 東日本大震災では、紙、教科書、プリンタのインクも(被災地から離れた首都圏でも)不足した。
* 「在宅教育」「通信教育」という選択肢も考えられるが、放送・ネット・郵便・宅配便・印刷製本環境もかなり長い時間損傷していると考えられるので難しい。2011年現在は教材も揃っていない。
* 学校・公民館・地域センターなどは、集会・投票所・地域の大会などに使われるが、避難所や仮設住宅用地に使われると、それらの機能が使えない。代替施設も存在しない場合が多い。
* 避難所指定の公立学校で、自家発電装置設置は28%<ref>愛媛0.6、宮崎1、沖縄1.5。神奈川78、静岡74、東京66。</ref>だった。非常用通信装置整備率はは40%だった<ref>「災害時、公立校の自家発電設備27%どまり 地域差大きく」2013/1/12 0:40 日本経済新聞 電子版・34面</ref>。


; 建築物等の耐震化
* 東日本震災から2年たった2013年3月でも、復旧した校舎は多くない。原子力災害のなかった宮城県でも震災直後に使用不能な79校中元の校舎・園舎で再開したのは3校で間借りが43校、休園休校が24校である。特に石巻市では全小中高14校の内4校が2013年3月で閉校する。岩手県では43校中再開5、間借り36、休校2。福島県では153校中再開55、間借り60、休校38<ref>「東日本大震災2年 教育 校舎復旧3割以下」読売新聞 2013年3月10日33面</ref>。
* 災害拠点病院の整備費は病院自己負担だが、2012年度(平成24年度)から年間数百万円程度の収入増が見込めるようになった<ref>{{Cite news |title=解説スペシャル 拠点病院 津波備え急務 |newspaper=読売新聞 朝刊 |date=2013-01-15 |page=14 <!--|accessdate=2013年1月15日 (火) 14:40 (UTC)-->}}</ref><ref>{{Cite web|和書|author=渡辺理雄 |url=https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20130122-OYTEW51861/ |title=拠点病院 津波備え急務 |work=yomiDr. |publisher=読売新聞社 |date=2013-01-22 |accessdate=2016-06-24 |quote=''...災害派遣医療チーム (DMAT)...局長は...「整備費は病院側の負担になっているが、昨年度から拠点病院の指定で年間数百万円程度の収入増の措置が認められた...」と...話す。'' }}</ref>。災害拠点病院等の耐震化に関する補助金は、2009年度(平成21年度)から2011年度(平成23年度)まで交付金が予算措置されていたが、2012年度には特に重要とされる災害拠点病院などを対象とする交付金をもって耐震化を進めている<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2012/121214_1.pdf |author=厚生労働省医政局指導課 |title=平成24年12月14日 社団法人全日本病院協会御中「平成24年度予備費による災害拠点病院等の耐震化整備の推進について」 |publisher=全日本病院協会 |page=2 |format=PDF |accessdate=2016-06-24 |quote=''災害拠点病院等の耐震化整備については...平成23年度補正予算 (3号) (167億円)により医療施設耐震化臨時特例交付金を措置...平成24年度において、災害時医療の拠点として特に重要な災害拠点病院...を補助対象とする交付金を積み増し...'' }}</ref>。
** 2013年5月1日現在でも2万3693人の小中高生が避難中である。被災3県(宮城・福島・岩手)からが1万2803人、特に原発事故の被害が大きい福島県が1万2803人、宮城は1474人、岩手は343人だった<ref>[http://sankei.jp.msn.com/life/news/130806/edc13080621230006-n1.htm 被災の小中高校生ら受け入れ、全国になお2万人超]産経ニュース2013.8.6 21:21</ref>。
*2014年1月の教研集会<ref>[[日教組]]第63次教育研究集会第9分科会「保健体育」</ref>で、被災地の学級での問題行動やケンカやいじめなどの報告が相次いだ<ref>「被災地の学級 問題行動も」読売2014年1月25日37面</ref>


; 避難所
=== 液状化 ===
* [[東京都]]は2013年3月をめどに、避難場所を津波・液状化被害の点から見直す<ref>「都指定の避難場所189カ所、津波・液状化を調査」日本経済新聞2013年1月31日</ref>。
東日本大震災では世界最大の42km&sup2;が液状化した<ref>習志野市15.3、浦安市9.1(市域の86%)、千葉市5.7、船橋市5.6、市川市3.2、江東区1.6、江戸川区0.6、神奈川県1。震度5強が10秒、震度4が130秒続いた。第2位は[[クライストチャーチ]]</ref>。千葉県防災危機管理課は「震度5強でもほとんどゼロのはずだった。震度4で起きるという認識もなかった」という<ref>「港湾の液状化 新予測基準 「揺れ時間:加算 被害範囲2割増:2012年1月25日夕刊読売新聞</ref>。
::: 千葉県1.9万棟(うち浦安市9千棟)、茨城県9,338棟(31市町村)、福島県1千棟ほか9都県80市区町村の合計2.7万棟が液状化被害を受けた。浦安市では上下水道は仮復旧が1ヶ月でできたが、本格復旧には被災後3年かかる予定である。また大規模半壊以上の1,400棟では国の補助があるが、半壊などの建物には少額の補助しかなく、地盤強化には一戸あたり500-3000万円かかる上に、数十戸単位で同じ工法で施工しないと効果がない。境界石がなくなったり、境界線がわからなくなったりして権利関係が複雑化して、住民同士のトラブルだけではなく、復旧工事の妨げになったりしている<ref>「浦安液状化 遠い再建 住宅街に爪痕 地盤改良にも時間」読売新聞2012年10月17日35面復興掲示板</ref>。また水田に水を張ると液状化が進むので、水田と住宅地が混在している地域では利害関係が複雑で調整が難しい<ref>「古里 液状化に負けない 茨城・神栖」読売新聞2013年3月19日35面</ref>。
:::東日本大震災では防災科学研究所の先名重樹客員研究員などによる2013年の全国調査で、国の発表(2011年9月、国交省、3332地点)の約3倍である9678地点で液状化が起こっていることが分かった。新たに判明したのは千葉、茨城、埼玉、宮城の各県などであり、震源地から440km離れた神奈川県平塚市の田んぼでも起こっていた。
:::::関東地方では7都県、126市町村、9117地点で起こり、特に埋め立て地の23%で発生しており、海や川から遠い造成地でも発生していた<ref>「震災液状化9700地点 国発表の3倍 関東が9割超」読売新聞2014年2月6日朝刊1面トップ</ref>。


; 財源
東京湾岸には[[東京国際空港|羽田空港]]・発電所・[[東京湾横断道路]]など重要施設が密集しているし、[[東京ディズニーリゾート]]、[[八景島シーパラダイス]]、[[お台場]]など、子供などが集まる施設がある。大阪湾岸には[[USJ]]や[[関西国際空港]]などがある。
* [[自由民主党 (日本)|自由民主党]]は2012年12月に、同月の[[衆議院]]議員選挙のための同党の[[マニフェスト]]として発表した政策集の中で、「今後数年以内に、極めて高い確率で首都直下型や南海トラフの巨大地震が発生すると予想されています。」とし、これらの災害に備えるために「国土強靭化計画」という[[公共投資]]計画を発表した<ref>[http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/j_file2012.pdf 日本を取り戻す]J-ファイル2012 自民党総合政策集、p. 4.</ref>。
::: 千葉県は、2012年4月に液状化予測図を改正した<ref>[http://www.pref.chiba.lg.jp/bousaik/press/2012/201204ekijouka.html 千葉県:液状化しやすさマップ、揺れやすさマップ(平成23年度)]</ref>。それによると、巨大地震による液状化は広い範囲で起こる<ref>[http://www.pref.chiba.lg.jp/bousaik/press/2012/documents/eki252.pdf 千葉県液状化しやすさマップ:巨大地震:震度5強:平成23年度]</ref><ref>特に[[千葉街道]]([[国道14号線]])の[[東京湾]]側、[[浦安市]]全域、[[木更津市]]は[[小櫃川]]・木更津駅・木更津駐屯地付近、[[松戸市]]の[[常磐線]]の[[江戸川]]より、[[九十九里海岸]]の[[総武本線]]の太平洋岸、特に[[横芝光町]]など</ref>。


== 脚注 ==
:::「[[国土強靱化計画]]」の一環として、国は2013年から[[コンビナート]]の強化を目指す。コンビナートは1964年[[新潟地震]]以前の液状化対策がされていないものが多く、全国約80カ所の半数の約40カ所が地震・津波危険地帯の東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海に集中するため4地域を重点調査する。調査費は200-300億円、対策費は1兆円と見込まれる<ref>「コンビナート耐震強化」読売新聞2013年1月4日1面トップ</ref><ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0400I_U3A100C1000000/ 臨海コンビナートの耐震強化へ調査費 経産省]2013年1月4日18:50 日本経済新聞 電子版</ref>。
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=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注"|2}}
=== 出典 ===
{{Reflist|30em}}


=== 建設業者 ===
== 参考文献 ==
=== 書籍・論文 ===
復興の実務を担うのは主として建設業者と建築業者である。ところが、最近の建設不況で対応能力が落ちている。たとえば2011年東日本大震災や2011-12年の豪雪では、建設資材用具の不足が顕在化した。
<!--この節には、記事本文の編集時に実際に参考にした書籍等のみを記載して下さい。書籍の宣伝目的の掲載はおやめ下さい。-->
* {{Cite book |和書 |author=相川祐里奈 |title=避難弱者 - あの日、福島原発間近の老人ホームで何が起きたのか? 2011.3.11 |publisher=[[東洋経済新報社]] |date=2013-08 |isbn=978-4-492-22331-4 |ref=相川 2013 }}
* {{Cite journal |和書 |author=赤林隆仁 |title=東日本大震災における自治体のディザスタ・リカバリに関する考察 |journal=埼玉学園大学紀要経済経営学部篇 |publisher=[[埼玉学園大学]] |date=2014-12 |issue=14 |pages=pp. 33-44 |naid=40020365557 |ref=赤林 2014 }}
* {{Cite book |和書 |author=岡田義光 |title=日本の地震地図 南海トラフ・首都直下地震対応版 |publisher=[[東京書籍]] |date=2014-08 |isbn=978-4-487-80881-6 |ref=岡田 2014 }}
* {{Cite journal |和書 |author=小川裕克 |url=http://www3.chubu.ac.jp/documents/industrial_economy/content/5262/5262_1212e50b8810410b397516fbd59e37e5.pdf |title=実効力のある事業継続マネジメントの実現に向けて - 東日本大震災から学ぶ |publisher=[[中部大学]]産業経済研究所 |journal=産業経済研究所紀要 |volume=22 |pages=pp. 201-218 |format=PDF |date=2012-03 |accessdate=2016-06-23 |naid=120004929009 |ref=小川 2012 }}
* {{Cite book |和書 |others=[[鎌田浩毅]]監修 |title=地震と火山 - パーフェクト図解 地球・大地変動のしくみ |publisher=[[学研プラス]] |date=2014-10 |isbn=978-4-05-406165-1 |ref=鎌田監修 2014 }}
* {{Cite book |和書 |editor=ぎょうせい|editor-link=ぎょうせい |title=浦安のまち - ドキュメント東日本大震災 液状化の記録 |publisher=ぎょうせい |date=2012-08 |isbn= 978-4-324-09555-3 |ref=ぎょうせい編 2012 }}
* {{Cite book |和書 |author=小林一輔 |title=コンクリートが危ない |publisher=[[岩波書店]] |series=[[岩波新書]] |date=1999-05-20 |isbn=978-4-00-430616-0 |ref=小林 1999 }}
* {{Cite book |和書 |author=情報支援プロボノ・プラットフォーム編著 |title=3.11被災地の証言 - 東日本大震災情報行動調査で検証するデジタル大国・日本の盲点 |publisher=[[インプレス|インプレスジャパン]] |date=2012-03 |isbn=978-4-8443-3164-3 |ref=情報支援プロボノ・プラットフォーム 2012 }}
* {{Cite journal |和書 |author=舩木伸江, 河田恵昭, 矢守克也 ほか |url=https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10752046 |title=大規模災害時における遺体の処置・埋火葬に関する研究 |journal=自然災害科学 |volume=24 |issue=4 |pages=447-471 |date=2006-02-28 |publisher=日本自然災害学会 |naid=110004702805 |accessdate=2012-12-01 |ref=舩木ら 2012 }}
* {{Cite journal |和書 |title=首都の生命線(Newton Special 必ずやってくる首都圏巨大地震 : 「発生可能性は低い」とされているM8級も見すごせない) |journal=Newton |publisher=ニュートンプレス |date=2014-10 |volume=34 |issue=10 |pages=pp. 42-45 |naid=40020194878 |ref=首都の生命線 }}


=== 財源 ===
=== ウェブサイト ===
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日本の財政状況は、きわめて厳しいため、関東[[直下型地震]]や[[南海トラフ]]の地震など大規模地震にどこまで対応できるか不明である<ref>以下の計算には[[年金]]、老人医療費などの将来の増大、または[[経済成長]]などは加味されていない。またおのおのの数字や重要性については各種議論がある(例えば復興需要資金を海外から円で回収するため一時的な円高の可能性もある。東日本大震災では円高に振れなかった。)が、きわめて経済上の問題が大きいことに変化はない。</ref><ref>[http://diamond.jp/articles/-/16673 “巨大地震連発で被害総額100兆円超”に耐えられる?財政破綻しかねない「スケール感なき防災対策」の罠――目黒公郎・東京大学教授インタビュー ダイヤモンドオンライン 次世代に引き継ぐ大震災の教訓【第15回】 2012年3月21日]</ref>。また、大震災後には心理ストレスと収入減・資産減による消費意欲減退が起こり、逆に復興需要も発生するが復興のための資金・労働力・資材不足のための景気減速も予想される。
* {{Cite web|和書|author=科学技術・学術審議会、研究計画・評価分科会、防災分野の研究開発に関する委員会、地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会 |url=https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/045/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2010/06/04/1294452_2.pdf |title=地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会 報告書(案) |work=作業部会資料7-4 |publisher=文部科学省 |format=PDF |date=2010-05-25 |accessdate=2010-07-04 |ref=地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会 報告書(案) }}
:: 日本の借金総計は983兆2950億円<ref>平成12年9月末。国債全体が803兆7428億円。借入金54兆1853億円、政府短期証券125兆3669億円。2011年度末は960兆円、2010年度末924兆円、2009年度末883兆円、2008年度末846兆円。</ref><ref>[http://www.47news.jp/CN/201205/CN2012051001001483.html 国の借金、過去最大の959兆円 復興債増加で:2012/05/10 17:17【共同通信】]</ref>であり、[[GDP]]は約480兆円で対GDP比は先進国で抜群に高い236%に達する<ref>2013年度の基礎的収支(国・地方合計)は33.9兆円でGDP比6.9%。12年8月の試算では25.4兆円、5.2%。</ref><ref>2012年末。ギリシャは170%、債務大国アメリカは約100%。2008年末の日本は191%(日本経済新聞2012年11月21日「衆院選'12 データで見る論点(2)</ref>。また地方債の残高も多く、債務総額は1130兆円で、[[国民経済計算]]による日本全体の資産と同額である。国債発行額は新規債44兆円と借換債110兆円の合計155兆円、歳入・歳出は106兆円であり、東日本大震災の復興予算は23兆円である。被害額想定6-18兆円でこの規模である。関東地震の112兆円(2005年の試算)<ref>[[河田恵昭]]は首都直下地震の被害額を200-300兆円としている。「社会問題としての首都直下地震 国力衰退の危機認識が必要」2012年10月16日関西大学社会安全学部第3回東京シンポジウム・2012年11月27日日本経済新聞朝刊44面</ref>、[[東海・東南海・南海連動型地震|南海トラフ連動地震]]の220兆円(2013年)に対応する財政措置が難しい。日本のGDPを生み出す主要地域の被災であるから、税収の大幅な減収も見込まれるし、仮に予算があってもそれに見合う生産ができない。生産ができないため、輸出による[[外貨]]収入が少なくなる。生産ができても国内復興需要やサプライチェーンの復旧などに使われる。また国債のほとんどを国内でファイナンス(消化、調達)する<ref>2011年末の対外純資産は253兆円(対外資産582兆円、対外負債329兆円)、年間10-25兆円の経常収支黒字=国内貯蓄超過[http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPTYE8AS03Y20121129?sp=true コラム:日本はアルゼンチンと同じ道をたどるのか=斉藤洋二氏]ロイター 2012年 11月 29日 18:13 JST</ref>から円の価値が高いのであって<ref>2012年9月末現在、国債発行残高948兆円、うち日銀保有が105兆円(11.1%)、海外が86兆円(9.1%)。家計の金融資産は1,510兆円、家計の純金融資産は1,155兆円、一般政府の負債残高は1,133兆円。([http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE8BK01I20121221 9月末の国債保有は海外が過去最高に、日銀は初めて100兆円突破
* {{Cite web|和書|author=国土交通省水管理・国土保全局下水道部 |url=http://www.mlit.go.jp/common/001034368.pdf |title=下水道BCP策定マニュアル(地震・津波編) -第2版- |publisher=国土交通省 |format=PDF |date=2012-03 |accessdate=2016-06-11 |ref=国土交通省水管理・国土保全局下水道部 2012 }}
]ロイター 2012年12月21日 11:41 JST)</ref>、国内で国債を消化できる力がない場合は円の下落<ref>2013年初頭、円は1$90円前後まで下落しているが、石油の輸入価格上昇と原子力発電所休止に伴う輸入量増のため経常赤字が続いている。2013年3月の為替レートは約95円。2012年11月には80円であった。</ref>のため輸入も難しくなる。国債の強制割り当て(銀行・生保・損保・郵貯・簡保・地域・職場ノルマも)、日銀引き受け、[[建設国債]]名目、[[外債]]発行、[[増税]]、減給、教育福祉削減などのどの方策も難しい<ref>東日本大震災では、政府保証による借金(つまり政府の[[簿外債務]])という形で被災地の中小企業支援が進みつつある</ref>。「[[軍事ケインズ主義]]」も難しい。最大の地震対策は「[[減災]]」であるが、その予算の捻出も困難である<ref>学校の耐震強化費用は1校0.5-3億円である。毛布、暖房器具、[[発電機]]、非常用品のコストは膨大である。</ref><ref>2012年、自由民主党総裁の安倍晋三が日銀による[[建設国債]]の[[公開市場操作]]について言及したことが、東日本大震災を受けて同党が掲げた、10年間で200兆円を投じるとする「国土強靭化計画」を受けたものだと報道されている([http://mainichi.jp/select/news/20121118k0000m020037000c.html 毎日新聞 2012年11月17日]、[http://www.jiji.com/jc/zc?k=201211/2012112700807 時事通信 2012年11月17日])。</ref>。
* {{Cite web|和書|author=中央防災会議 |url=https://www.bousai.go.jp/jishin/pdf/daikibo.pdf |title=大規模地震防災・減災対策大綱 |publisher=内閣府 |format=PDF |date=2014-03-28 |accessdate=2016-06-04 |ref=大規模地震防災・減災対策大綱 }}
:: 2012年度は国債発行に対する収入がなく、償還するための収入の目途さえない「[[交付国債]]」という制度が使われた<ref>安住財務相の答弁では2014年度から[[消費税]]を8%に増税しまかなうという。</ref>。年金交付国債は2.6兆円であり、震災財源を振り替えている。復旧・復興事業費を、国と地方の合計で10年間で23兆円としており、復興債は臨時増税10兆円でまかなう。
* (日本トイレ研究所 2011a){{Cite web|和書|author=[[日本トイレ研究所]] |url=http://www.toilet.or.jp/dtinet/201108.pdf |title=国土交通省業務 災害時のトイレ機能の確保に関する調査報告書(概要版) |work=災害トイレ情報ネットワーク |publisher=日本トイレ研究所 |format=PDF |date=2011-08 |accessdate=2012-12-08 |ref=日本トイレ研究所 2011a }}
::: [[復興特別税|復興特別所得税]]は2013年1月から2037年末までの25年間に所得税額の2.1%と預金など利子利息に0.315%、他に住民税が10年間年間1,000円支払う。
* (日本トイレ研究所 2011b){{Cite web|和書|author=日本トイレ研究所 |url=http://www.toilet.or.jp/dtinet/gaiyo.pdf |title=地震時におけるトイレ機能確保のための調査研究 |work=災害トイレ情報ネットワーク |publisher=日本トイレ研究所 |format=PDF |date=2011-08 |accessdate=2012-12-08 |ref=日本トイレ研究所 2011b }}
:: 小黒一正・[[一橋大]]准教授([[公共経済学]])らは、[[首都圏直下地震]](66兆円被害の場合)により7割の[[確率]]で日本の財政が破綻するという研究を2012年にまとめた<ref>[http://mainichi.jp/select/news/20120420k0000e040140000c.html 首都直下地震試算:日本の財政、5年後7割の確率で破綻 毎日新聞 2012年04月20日 10時13分]直下地震がない場合は約3割。</ref>。
* {{Cite web|和書|author=兵庫県避難所等におけるトイレ対策検討会 |url=https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk42/documents/emergency_toilet.pdf |title=避難所等におけるトイレ対策の手引き |publisher=兵庫県 |format=PDF |date=2014-04 |accessdate=2016-06-11 |ref=兵庫県避難所等におけるトイレ対策検討会 2014 }}


== 関連資料 ==
==== 被災者生活支援制度と財源 ====
<!--この節には、記事の編集時に参考にしていないがさらなる理解に役立つ書籍などを記載して下さい。書籍の宣伝はおやめ下さい。-->
1998年[[被災者生活再建支援法]]による居住被災者に対する支援(全壊の場合最大300万円)がある。東日本大震災直前の積立金は552億円だったが、特例制度で支給は18.4万世帯に2,516億円であった<ref>2位は2004年新潟県中越地震の5207世帯、74億円。3位は2007年新潟県中越沖地震の3000世帯、66億円。</ref>。ところが首都直下地震の場合の支援金総額は最大3兆円、南海トラフ地震の場合はそれ以上<ref>概算で10兆円程度</ref>と想定されているので、制度の財源確保の議論が必要とされる<ref>「被災者の生活再建支援 巨大災害 財源どう確保」読売新聞2013年1月16日11面</ref>。
* {{Cite journal|和書|author=岩田貢 |date=2012-09 |url=https://hdl.handle.net/10519/2220 |title=地震津波に備えた学校防災教育 : 和歌山県広川町の事例 |journal=龍谷紀要 |publisher=龍谷大学龍谷紀要編集会 |volume=34 |issue=1 |pages=97 |naid=110009487909}}

* 大塚路子 「{{PDFLink|[https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_999935_po_064203.pdf?contentNo=1 地方自治体の地震防災対策 - 東南海・南海地震対策を中心として(現地調査報告)]}}」、『レファレンス』 国立国会図書館調査及び立法考査局、2004年7月、第54巻第7号、pp. 61-79。{{NAID|40006351367}}。
==== 生活保護 ====
* 環境省 巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会 『{{PDFLink|[http://kouikishori.env.go.jp/action/investigative_commission/grand_design/pdf/h2603report.pdf 巨大災害発生時における災害廃棄物対策のグランドデザインについて 中間とりまとめ]}}』 環境省、2014年(平成26年)3月。
収入手段を失った被災者に対する[[生活保護]]も重要であるが、居住地により運用が異なる上に、財源が乏しく、地方自治体の財政・事務・生活環境などへの影響が大きい。雇用や商売の基盤が失われるので、負担は長期間にわたると考えられている。
* 厚生労働省科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業【稀少性難治性疾患患者に関する医療の向上及び患者支援のあり方に関する研究】班(研究代表者 西澤正豊(新潟大学)) 『{{PDFLink|[https://www.nanbyou.or.jp/upload_files/saigai-manual-2013.pdf 災害時の難病患者対応マニュアル策定についての指針(2013年版)]}}』 難病情報センター、2013年12月。

* 国土交通省都市・地域整備局下水道部 『{{PDFLink|[https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/keizoku/pdf/000053136.pdf 下水道BCP策定マニュアル(地震編) -第1版-]}}』 内閣府、2009年11月。
=== 石油製品 ===
* 坂巻和男 「{{PDFLink|[http://www.sonpo.or.jp/archive/publish/bousai/jiho/pdf/no_252/yj25228.pdf 首都直下地震における下水道の防災対策]}}」、『そんぽ予防時報』 2013年、第252号、pp. 28-35。
災害時にきわめて重要なものの一つとして石油製品([[ガソリン]]、[[軽油]]、[[灯油]]、[[ホワイトガソリン]]<ref>キャンプ用品で使われる。</ref>、[[エンジンオイル]]<ref>[http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%83%AB#.E3.83.87.E3.82.A3.E3.83.BC.E3.82.BC.E3.83.AB.E8.BB.8A]</ref>、[[重油]]など)がある。ところが大規模災害時の石油確保には問題がある<ref>「車こまめに給油 習慣に 災害時輸送の備え」小嶌正稔東洋大学教授、読売新聞2013年8月15日朝刊11面「論点」</ref>。
* 震災時のトイレ対策のあり方に関する調査研究委員会 『[http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/eqb/book/11-284/html/ 阪神・淡路大震災の教訓 震災時のトイレ対策 - あり方とマニュアル]』 日本消防設備安全センター、1997年3月28日。
:必要性
* {{Cite book |和書 |author=田村康二 |title=「震度7」を生き抜く - 被災地医師が得た教訓 |publisher=[[祥伝社]] |series=[[祥伝社新書]] 003 |date=2005-03 |isbn=978-4-396-11003-1 }}<!--参考文献であったが対応する記述が削除されたため関連資料の節に移動-->
::東日本大震災時には、救急車、消防車、警察車両、給水車などでさえ燃料確保が大変であった。避難所・病院などでは暖房・送風用の灯油、発電用の燃料が必要である<ref>他に重要インフラで電力、燃料が必要なものは浄水場、下水処理場、ゴミ処理、役所、学校、警察、刑務所、穀物備蓄、消防、ガスタンク、都市ガス供給、放送局、新聞社などもある。</ref>。トラック、[[ショベルカー]]、[[ブルドーザー]]、[[エンジンカッター]]、[[ヘリコプター]]、船舶など救援に重要な役割を果たす機械類にも石油燃料が必要である。
* 内閣府防災担当 『{{PDFLink|[https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/pdf/guideline03.pdf 事業継続ガイドライン - あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応]}}』 内閣府、2013年(平成25年)8月改定。
:問題点
* 農林水産省農村振興局、同水産庁、国土交通省水管理・国土保全局、同港湾局 『{{PDFLink|[https://www.mlit.go.jp/common/001027865.pdf 津波・高潮対策における水門・陸閘等管理システムガイドライン (Ver.2.0)]}}』 国土交通省、2013年(平成25年)4月・2014年(平成26年)1月補訂版。
::①備蓄の中心となるガソリンスタンドが全国的に減少している<ref>2012年末は1994年末の半分の3.7万カ所である。また法律の改正で2013年1,2月にさらに多数が廃業したと考えられている。</ref>。過疎地域では給油のために10km以上走る必要がある<ref>福島県[[檜枝岐村]]では、村の補助を受けている唯一の給油所が消滅すると、30km先まで行かなければならない。</ref>。災害対策もとられているが、老朽化も進み、次の災害に耐えられるかどうか不明である。
* 本條晴一郎、[[遊橋裕泰]] 『災害に強い情報社会 - 東日本大震災とモバイル・コミュニケーション』 [[NTT出版]]、2013年1月。ISBN 978-4-7571-0330-6。
::②ガソリンスタンドでの給油にはポンプを動かす電気が必要であるが、大規模災害時には停電が長期間続く。
* 『{{PDFLink|[http://www.jica.go.jp/activities/issues/urban/ku57pq000019fbsv-att/reconstruction_standard.pdf 大規模災害からの復興に係る情報収集・確認調査最終報告書別冊 復興プロセス標準書]}}』 [[国際協力機構]] (JICA)、首都圏総合計画研究所、地域計画連合、2013年11月。
::③危険物であるので、輸送や取り扱いには専門資格が必要である。
* 『[http://isad.or.jp/cgi-bin/hp/index2.cgi?ac1=B934&ac2=&ac3=3908&Page=hpd2_view 防災パンフレット「自主防災組織の救助訓練用テキスト」]』 消防防災博物館。
::④石油価格上昇と不況なので、節約志向で車のタンクには半分以上給油しない習慣が広がっている<ref>燃料計ゼロでも数十km走れるという経験則から、ゼロになってから給油する人も多い。</ref>。しかしながら、東日本大震災という比較的遠隔地の災害でも首都圏で1週間程度給油が困難であった。これ以上の規模の大規模災害では、日本全国での長期間にわたる給油難が予想される。
* 『{{PDFLink|[http://www.jrc.or.jp/activity/saigai/pdf/saigaikyugo-3_document.pdf 災害時要援護者対策ガイドライン]}}』 [[日本赤十字社]]、2006年(平成18年)3月。
::⑤石油精製所・石油備蓄設備・石油輸入可能港はすべて海岸にあり、想定される大規模災害時には石油精製能力の大幅な減少が見込まれる。特に石油精製所の多くは南海トラフで大きな被害が予想される地域にある。
* 『調査研究・災害レポート [http://www.dri.ne.jp/research/ppt_index 「スーパー広域災害」の応急期における課題の特徴と災害対応のあり方]』 阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター、2011年3月11日。
::⑥大規模災害時の輸送経路には多くの障害が予想される。さらに、少ない危険で多くの(金銭的だけではない)利益が見込まれることから、タンクローリーが襲撃される可能性もあるが、警備は事実上不可能である。
* 『{{PDFLink|[https://www.jda.or.jp/dentist/disaster/pdf/Jda_Large_Scale_Disaster_Plan.pdf 大規模災害時の歯科医師会行動計画(改訂版)]}}』 日本歯科医師会 災害時対策・警察歯科総合検討会議、2013年6月。
::⑦原子力発電所の安全には、非常用燃料の確保がきわめて重要<ref>災害時には原子力発電所が停止する可能性が高いが、冷却水循環による燃料冷却の必要性が残る。冷却できない場合、原子炉または炉外部貯蔵の燃料や高濃度放射性物質が爆発し、放射能を周囲にまき散らす。もしそこまで行った場合、それ以上の事故の発展を止める手段は全くなく、人類全体の危機にまで発展する可能性が高い。</ref>であるが、備蓄は多くはなく<ref>燃料タンクやパイプの損傷も考えられる。</ref>、災害時には早急に大量の燃料確保をしなければならない。しかし給油所から遠隔地にある原子力発電所への輸送路がしっかり確保できるかどうか不明である<ref>日本の国家存続の危機であるのでヘリコプター輸送も考えられるが、大きな困難が見込まれる。</ref>。
* 『{{PDFLink|[http://www.jpnsh.jp/Disaster/guidelineall.pdf 2014年版 災害時循環器疾患の予防・管理に関するガイドライン]}}』 日本循環器学会/日本高血圧学会/日本心臓病学会合同ガイドライン(2012-2013年度合同研究班報告)

* 『{{PDFLink|[https://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/gijyutsu2.pdf 学校施設の非構造部材の耐震化ガイドブック(改訂版) 地震による落下物や転倒物から子供たちを守るために - 耐震点検の実施]}}』 文部科学省 国立教育政策研究所、2015年(平成27年)3月改訂版。
=== サプライチェーン ===
* 「{{PDFLink|[http://www.jil.go.jp/institute/reports/2014/documents/0169.pdf 復旧・復興期の被災者雇用 - 緊急雇用創出事業が果たした役割を「キャッシュ・フォー・ワーク」の視点からみる]}}」、『労働政策研究報告書』 [[労働政策研究・研修機構]]、2014年、第169号。
日本経済と生活は、網の目に広がった補給系統に頼っている。また在庫を持たない「[[カンバン方式]]」が広まり、スーパーの深夜営業や[[コンビニ]]の普及により、より新鮮なものを求めるためと狭さから家庭での備蓄も少ない。企業においても、部品の在庫は少なく、部品供給企業は限られている。
: 東日本大震災で明らかになったように、大手企業は2、3次サプライヤー(部品供給者)までは把握し、分散化を図っているが、分散したはずの2次、3次サプライヤーが実は同一の3,4次サプライヤーに頼っている場合が多数見つかった。
: 日本の生産品には世界を支えているものが多数ある。大震災で被害を受ければ世界経済に影響が出る。その上日本を含む世界中の企業は、調達の多様化および安全のために、日本から生産・調達を外国に移動したりして日本の産業が空洞化するおそれが高い<ref>最近では中国が世界を独占する[[レアアース]]を禁輸したための対策として、世界中が代替材料・代替資源の開発を急加速させたため、中国資源の重要性が低くなった例がある。</ref>。
: 日本の生活と経済の大動脈の一つである[[天然ガス]]の備蓄はほとんどない。[[原子力発電]]の代わりとなる[[電力会社]]の[[発電所]]でも[[自家発電]]でも、天然ガスを用いる場合が多い。地震や津波だけではなく、[[中東]]地域・[[東南アジア]]・[[シベリア]]での紛争<ref>2012年初頭で、イラン核開発、ガザ紛争、尖閣諸島、フィリピン対中国など[[南シナ海]]、テロ、インドネシア政治不安、[[ソマリア]]付近の[[海賊]]、[[マラッカ海峡]]付近の海賊、[[インドネシア]]地域での地震・津波・火山、中国での原子力事故、などの紛争や可能性</ref>により日本の天然ガスの受給は直ちに影響を受ける。
:* 2007年[[新潟県中越沖地震]]では、[[リケン・ピストンリング]][[柏崎]]事業所が被災し、国内自動車工場すべてが操業を停止した。
:* 2011年には、[[シリコンウェハ]](ほとんどすべての[[半導体]]の基本材料)の世界シェア6割をもつ2工場、[[信越半導体]]白河工場([[福島県]][[西郷村]])と[[SUMCO]][[米沢]]事業所が操業停止した。
:* 2011年には、マイコン<ref>マイクロコントローラー。高級車では1台に100個使うこともある。昔使われた「[[マイクロコンピュータ]]」の略ではない。</ref>の世界シェア25%、自動車用では4割のシェアを持つ[[ルネサス]][[茨城県]]・那珂工場([[ひたちなか市]])が3ヶ月完全停止した。自動車業界から1日最大2,500人が支援をした<ref>[http://toyokeizai.net/articles/-/6962 東日本大震災は半導体再編を招くか、ルネサス、エルピーダの葛藤]東洋経済ONLINE 2011年05月19日</ref>。
:* 2011年には国内建築ガラスの3割を生産する[[旭硝子]]鹿島工場が被災した上、専用港も破壊された。
:* 2011年には、復旧に欠かせない日本の合板生産能力の3割が失われた<ref>「AKG50」あすへの話題 [[双日]]会長 [[加瀬豊]]日本経済新聞2012年12月17日夕刊</ref>。
:* 2012年9月の[[日本触媒]]姫路工場の火災事故では、[[紙おむつ]]などの原料となる[[SAP]](高吸水性樹脂)とその原料の[[アクリル酸]]の生産が停止された。ここのSAP生産は世界シェアの2割、アクリル酸は日本シェアの7割を占める<ref>[[P&G]](パンパース)はSAPのほぼ全量、最大手[[ユニ・チャーム]](ムーニーパンツ)はSAPを主に住友精化から調達するが[[住友精化]]はアクリル酸を日本触媒から調達している。工場再開には4-12ヶ月かかると見込まれている。</ref><ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNZO46785540S2A001C1TJ2000/ 日本触媒の事故、紙おむつ供給網に打撃 価格上昇は必至]日本経済新聞2012/10/2 0:59</ref>。
生鮮食料品は、[[コールドチェーン]]<ref>冷蔵状態で生産者から消費者まで届ける仕組み。電気、道路、冷蔵トラック、燃料などが必要。</ref>に頼っている。例えば[[牛乳]]は[[搾乳]]を電気による[[ミルカー]]に頼っており、消費者まで冷蔵状態を保たなければならない。また搾乳されない乳牛は乳房が張って炎症を起こす。大量の水と飼料の補給も機械化されている。貯蔵された肉や魚は停電により腐敗するが、その処理や消毒に手間がかかり、一旦腐敗した後から再開まで時間と手間がかかる。仮に一般商店に届いたとしても、消費者が買える状態(冷蔵庫、お金、運搬手段など)にあるかどうか不明確である。

=== 重要な情報の保存 ===
* 戸籍など公的証明・・東日本大震災では、岩手県陸前高田市と大槌町、宮城県南三陸町と女川町で、3.8万件の戸籍データが流出・散逸した。一番基本となる個人情報ではあるが、その後どうなったか不明である。法務局(大体各県に一つ)にコピーが残って再製しているが、コピーに時期のずれがあり1ヶ月ごとの保存を義務づけた戸籍法施行規則第15条の規定にもかかわらず2010年分の保存がされていないため、一部の再製ができない。また法務局自体の大きな被災に対しては対策がなされていない。<ref>法務省の通信はすべて首都圏の拠点を通るため、2013年中に代替通信拠点を作る。バックアップ保存がされているか不明である。</ref><ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS08012_T11C12A0MM0000/ 法務省通信拠点を分散化 直下型地震対策で首都圏集中見直し]日本経済新聞2012/10/13 11:50</ref><ref>今回は住民同士の結びつきが強く、人口が比較的少ない地域の被災であったが、大都会では自分がそこに住んでいた証明さえ困難な場合が多数になると思われる。</ref>。不動産登記、公証人役場の公正証書原本、会社登記、弁護士事務所の遺言などバックアップ手段が少ないまたは全くない場合が多いとされる。
* 病院など・・東日本大震災では、多くの病院・診療所・介護施設で記録が失われた。例えば宮城県では163医療施設と200以上の介護施設で記録が失われた。個人情報が全く保護されていないばかりではなく、治療などにも支障が出ている<ref>通常体質、病歴、アレルギー、併用薬、検査結果などを考慮して、投薬が決定されている。医療知識が乏しく、記憶力が減退し、医療機関を信頼する高齢患者は、自分の医療について十分な記憶を持たない場合がある。</ref>。また専門医、医療器具、医薬品などが不足する中で輸送・配置計画がしっかり立ってられないため、病状が悪化したり死亡の増加も憂慮される。ネットワーク化やクラウド化の試みも始まっているが、個人情報の個人保存による流出やハッキングなどによる流出、地域センターの被災など検討課題は多い<ref>「カルテ電子化 災害に強く」読売新聞2012年10月6日夕刊</ref>。

=== 老朽化したインフラ ===
日本の[[インフラ]](道路、水道など)には、[[老朽化]]し地震に耐えられないもの<ref>「[[既存不適格]]」という。それを新しい基準に合わせることを「[[バックフィット]]」という。木造住宅の問題は遙かに重大であるが。</ref>がある。特に今後2020-2050年にかけて寿命を迎えるものが急増するが、更新・保守予算のめどはたたず、次の巨大地震は21世紀後半と予想されている<ref>次の巨大地震の時期は東日本大震災後早まったとされるが、時期は不明である。</ref><ref>[http://diamond.jp/articles/-/18347?page=2 「日本のインフラが危ない(上)」ダイヤモンド特別リポート【第266回】 2012年5月11日]</ref><ref>[http://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/0331/ 「シリーズ日本新生
橋が道路が壊れていく・・・インフラ危機を乗り越えろ」NHKスペシャル2012年3月31日]</ref><ref>[http://diamond.jp/articles/-/26538 道路が陥没し、首都高や地下鉄は危険地帯に!?
老朽化したインフラが“モンスター”になる日 ]ダイヤモンドオンライン 人口減少 ニッポンの未来【第3回】 2012年10月19日 </ref><ref>「朽ち始めたインフラ」週刊ダイヤモンド2012年41号p.114~</ref><ref>[http://www.soumu.go.jp/main_content/000144897.pdf 社会資本の維持管理及び更新に関する行政評価・監視結果に基づく勧告]平成24年2月 総務省</ref>。
: 日本のインフラは1960年代の[[高度成長期]]から1990年代の景気刺激策まで、一貫して整備されている。しかしコンクリートなどの寿命は約40-50年とされており、2010-2050年に一斉に寿命を迎える。その更新費用は今後40年で600兆円になると試算されているし。別の試算では2010年からの50年で毎年8兆円必要とされた。この費用は更新に必要なものだけであり、新しく作る分は含まれていない。特に耐震補強工事費用が含まれていない。
:: 問題は、[[南海トラフ]]地震や[[首都直下地震]]の予測が21世紀半ば以降とされていることである<ref>この時期についての確実性は高くない。2012年でも2100年でもあり得る。</ref>。財政危機だけではなく、少子高齢化が加わり、何らかの大きな国家的決断が求められている。
::: 例1. [[堺市]][[泉北ニュータウン]]にある特に耐久性の高いと言われる800mm[[ダクタイル]][[鋳鉄]]水道管(1976年)が完全に破裂した<ref>大昔海だったため。</ref>。
::: 例2. [[首都高速道路]]301km中、2012年現在で、40年以上が90km、30年以上が49km。
::: 例3. 15m以上の橋15.5万のうち、50年以上8%、40年以上18%、30年以上27%。
::: 例4. 高速道路9,000km中30年以上4割、10年後には6割。トンネルは30年以上は2割の359カ所。
::: 例5.全国の通行止めの橋は2012年現在約1,400カ所。
::: 例6.[[トンネル]]全国8,534カ所、総延長2,926km中、50年以上が18%、2029年には46%<ref>。[http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20121206/240649/?P=1 中央道事故は氷山の一角]日経ビジネス・時事深層 2012年12月10日</ref><ref>2012年12月2日の[[中央道]][[笹子トンネル (中央自動車道)|]]の[[笹子トンネル天井板落下事故|天井板崩落事故]]では、開通後35年で130mにわたる大規模崩落が起こった。</ref>。
::: 例7.[[東海道新幹線]]は、1964年完成でありもうすぐ50年となる。
::: 例8. [[東京メトロ]]は戦前からの路線([[銀座線]]など)さえあるが、改修工事が深夜の3時間しかできないので、工事が遅れている。新規路線建設には1kmあたり80-300億円かかるので、改修工事が欠かせない。
::: 例9. 東京都の上水道の8割をまかなう4大浄水場は、金町浄水場が1926年建設であるなど老朽化が進んでいる<ref>金町1926年、東村山1960年、朝霞1966年、三郷1985年。他に玉川1918年、砧下1923年、境1924年、砧1928年、杉並1932年など。</ref><ref>「都の浄水場、進む老朽化」日本経済新聞2013年2月1日朝刊31面</ref>。
地震を抜きにしても、これから[[少子高齢化]]時代を迎え、[[限界集落]]<ref>都会では「限界団地」などがある。都会の真ん中に住む高齢者が、坂のため孤立することもある。住宅街のスーパーやコンビニがなくなって、買い物が不便になって行く場合も多くなった。</ref>が増えていくが、居住地の援助も移住のための支援も難しい。[[年金生活者]]が[[マンション]]や戸建て住宅の更新をしていくのも難しい。
:: [[コンクリート]]の質の劣化が問題である。[[高度成長期]]以後の手抜き工事や製造法の変化により50年の寿命を待たずにはるかに早く劣化している場合がある<ref> コンクリートが危ない(岩波新書)小林 一輔(著) ISBN-10:4004306167,ISBN-13: 978-4004306160 発売日: 1999/5/20 </ref><ref>小林教授は全般的なコンクリート寿命の劣化について警告しているが、コンクリート製造法の変化による[[アルカリ骨材反応]]と異なる早期劣化要因を心配していた。</ref>。

=== 火葬・葬式・墓 ===
大震災時は大量の死体が出るが、火葬についての見通しがつかない。[[霊柩車]]も不足し、[[斎場]]の手配もできないし、緊急時に使える公民館・市民センター・学校等は避難所になっていると予想される。電気や資材が不足し、冷凍保存や[[ドライアイス]]<ref>ドライアイスを使わない場合が増え、例えばある大都市近郊の50万都市でドライアイスを売っているのは、小さい店一つだけである。</ref>・防腐剤も供給不安がある。平常時の現在でも火葬場が不足し、場合によっては火葬まで1週間待ちという場合がある。これから高齢化が進むが、火葬場の新設・増設は住民の反対が強く進んでいない<ref>[http://www.bousai.go.jp/kensho-hanshinawaji/chosa/sheet/055.pdf 055 遺体処理]</ref><ref>[http://www.mbs.jp/voice/special/201211/14_post-145.shtml 特命調査班 ~マル調~「火葬場が足りない!その現状とは」 ]毎日放送2012/11/14</ref><ref>「お葬式が出せない どうする“葬送の場”」NHKクローズアップ現代No.3282 2012年12月3日(月)放送</ref><ref>[http://ci.nii.ac.jp/lognavi?name=nels&lang=jp&type=pdf&id=ART0007444533 大規模災害時における遺体の処置・埋火葬に関する研究]自然災害科学 J. JSNDS 24-4 447-471(2006)舩木伸江・河田恵昭ほか </ref>。

::[[阪神・淡路大震災]]では、神戸市内の3カ所、51基の火葬場が無事(処理能力150件/日)であったにもかかわらず、3,860体の遺体のうち神戸市内で火葬できたのは2,200体であり、残りは他府県で広域処理した<ref>阪神・淡路大震災では被害地域が比較的狭く、特に神戸市の広い部分の損害が少ない上に隣接の大阪府が無事であったという特徴がある。関東地震、南海トラフなどの広域地震では、広域処理ができるかどうか不明である。</ref>。通常処理できるのは1日3体であり、炉の損傷の恐れもあり、緊急時として1日4体までの処理とした。法律的には、[[死体・埋火葬許可書]]の交付が進まないため[[死体検案書]]の原本を確認し火葬を行った(死体検案書コピー保管)。後、正規の許可書で火葬証明を発行した。火葬費用は一旦遺族が負担し、後から[[災害救助法]]の適用とした。

::日本では、遺体は火葬されるのがほとんどである(99.89%)。火葬場は1952年の26,089施設から2010年現在は4,899施設となっており、ここ15年で半減している。しかし高齢化が進み、[[厚生労働省]]と[[国立社会保障・人口問題研究所]]の死亡者推計によると、2009年の114万人、2011年126万人、2020年は143万人、2030年160万人、2040年にピークを迎え166万人になる。2012年現在でも葬式まで1週間待つ場合もある。
:::国内最多の46基の火葬炉を持つ[[名古屋市]][[天白区]]の[[八事]](やごと)火葬場では、2011年12月から[[友引]]の日も火葬を始めたが、フル稼働の日が多いので何かあったらお手上げという。

=== 水道 ===
[[南海トラフ]]の巨大連動地震を想定した[[京都大学防災研究所]]の研究によれば、30日以上の[[断水]]を経験する地域住民が数百万人以上発生し、最大90-500日に達する場所もある。これは各[[自治体]]当たり20修理班が活動するという設定であり、広域超巨大地震で確保できるか疑問である。また[[給水車]]の確保も課題となる。
:: 1日20班でも90-500日と想定されているのは、[[静岡県]][[静岡市]](旧清水市を含む)、[[浜松市]]付近である。1日10班では、[[静岡県]][[豊橋市]]と[[高知県]][[南国市]]付近が入る。ほかには[[富士市]]、[[磐田市]]、[[焼津市]]なども含まれる。

::[[東日本大震災]]での断水は19都道県約256.7万戸であり<ref>[http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/tantousya/dl/s05.pdf 東日本大震災 上下水道シンポジウム 水道施設被害の状況]2012年4月、厚生労働省水道課 熊谷和哉</ref>、停電の影響は約76万戸に過ぎず、19都道県で約6,600カ所の水道管の被害があった<ref>茨城県では80万戸(断水率80%)、宮城県64万戸(71%)、福島県42万戸(64%)、千葉県30万戸(14%)、岩手県20万戸(43%)、秋田県6万戸(17%)など。他に東京都2万戸など。遠くは岐阜県、静岡県、北海道など(0.3%)。</ref><ref>「震災影響で断水、19都道県256万戸 厚労省が調査」日本経済新聞 2012年12月5日 </ref><ref>[http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002qek5-att/2r9852000002qep4.pdf 東日本大震災水道施設被害状況調査の概要]厚生労働省2012年12月</ref>。復旧は早く、約25日後の4月7日には断水戸数は58万戸<ref>4月8日には震度6強の最大余震があり、78万戸に増加している。</ref>、60日後の5月11日には2.7万戸になっている<ref>4月8日には震度6強の最大余震があり、78万戸に増加している。</ref>。

=== 犯罪 ===
* 阪神大震災や東日本大震災での犯罪は少なかったと言われる。しかし東日本大震災では空き家荒らしが横行し、駐車中の車からのガソリン抜き取りも多かったと言われる。警察は救助に手一杯であり、広域警備は不可能であった。多数の人手を必要とする犯罪捜査に手が回らなかった犯罪(「暗数(あんすう)」という)は数多くあると言われる<ref>阪神大震災では、自動販売機の通貨判別機器を入手するために、多数の犯罪者やアマチュアがボランティアを装って侵入したと言われる。</ref>。
* 日本での[[検死]](死因究明)制度は遅れている<ref>政府の「死因究明等推進会議」の初会合が開かれたのは、2012年10月であった。</ref>。通常時でも多くの死亡事件は、通常の医師の[[死亡診断書]]か専門外の警察官の見かけによって決定され、検死官など病理・薬理・解剖・[[法医学]]の専門家に見られることが少ない。震災時にはとても手が回らないとされる(死体検案を待つ遺体を置いておく場所もない)。

=== 下水道 ===
<ref>[http://www.toilet.or.jp/dtinet/201108.pdf 災害時のトイレ機能の確保に関する調査報告書]2011年8月、災害トイレ情報ネットワーク、日本トイレ研究所</ref><ref>[http://www.toilet.or.jp/dtinet/gaiyo.pdf 地震時におけるトイレ機能確保のための調査研究]災害トイレ情報ネットワーク、日本トイレ研究所</ref>

[[下水道]]は、都市生活[[インフラ]]の中で水道に続く重要性を持つ。人間は必ず排泄し、適切に処理できないに場合臭いに耐えられないだけではなく[[感染症]]流行の原因となる。さらに復旧工事が上水道より難しい場合が多い。また都会・郊外・田舎でもほとんど水洗化されているため上水道が必要であり、下水道が整備されていない地域では電気を必要とする合併型浄化槽を用いる場合が多い。仮に上水道が復旧した場合でも、下水道管または下水処理場が損傷している場合には汚水を流すことができず、通常のトイレが使えないので簡易型トイレを使用する。その場合下水道の普及している大都市部では、バキュームカーがほとんど存在しないため、特に広域災害ではくみ取り不能からトイレ使用不可能となる。簡易型トイレでは、足の不自由な人やくみ取り式になれていない子供にとって大変不自由する。トイレを我慢するのがつらい高齢者・膀胱過敏症・大腸過敏症などに対する配慮も難しい。寒い、暑い、雨、雪などの場合、屋外簡易トイレ前の行列が被災者の健康被害を生む。簡易トイレの整備も進んでおらず、良くても150人に1基、場所によっては1,000人に1基以下である<ref>日中被災した場合には避難所自体が不足し(約29万人が利用する名古屋駅から避難する避難所の収容能力は1万人である(『大阪 帰宅難民「収容足りぬ」』読売新聞2013年3月19日朝刊39面。))。そこに避難民が集中しトイレを利用する。</ref>。またトイレの我慢と不衛生により[[膀胱炎]]、[[尿道炎]]患者も増加し、トイレを長時間使用せざるを得ない場合が増え、さらに不自由になるとされる。

: 2011年3月の[[東日本大震災]]では、1都10県の642kmの下水道、下水処理場120カ所が被災した。そのうち21カ所が稼働停止し、復旧に2~3年かかる<ref>福島第一原発の近隣の10カ所は原発事故の影響で調査ができていない。『下水道復旧は数年かかる見通し 沿岸部に集中、被害深刻』asahi.com</ref>。被害は下水処理場が海岸部に集中しているため津波の被害を受けて起こっているため、南海トラフ地震などでの被害が心配される。
: 特に[[浦安市]]では[[液状化]]による被害が深刻であり、「トイレ難民」も多数生じた<ref>「浦安のまち」ドキュメント東日本大震災-液状化の記録-、p16、20、39、平成24年8月、[[ぎょうせい]]、ISBN978-4-324-09555-3</ref>。
:: 浦安市は「下水道の復旧は困難を極めた。中でも高齢者・乳幼児施設は悪戦苦闘の日々が続いた。阪神淡路大震災の時もトイレを使えないのがもっとも難儀だったと言われる。」とまとめた<ref>「浦安のまち」ドキュメント東日本大震災-液状化の記録-平成24年8月、ぎょうせい、ISBN978-4-324-09555-3</ref>。
:: 大震災を2度経験した田村康二医師<ref>1964年の[[新潟地震]]を29歳で、2004年の[[新潟中越大地震]]を70歳で経験した内科医。</ref>は「尿瓶・大人用紙おむつ・携帯用簡易トイレ」の備蓄を、非常食より優先するように勧めている<ref>YomiuriWeekly2005.9.11 p14</ref><ref> 『「震度7」を生き抜く―被災地医師が得た教訓』2005年2月、祥伝社新書。ISBN-13: 978-4396110031 </ref><ref>ただし彼は非常食の備蓄が少なくて良い理由を「48時間経てば必ず全国から支援が来る」からとしている。</ref>。
::2013年3月に公表された南海トラフ地震の想定では、東海・四国・九州の9県で3-7割が1週間後に断水中であり、1ヶ月後でも約1割が断水したままである<ref>[http://www.bousai.go.jp/nankaitrough_info/20130318_shiryo2_2.pdf 資料2-2 南海トラフ巨大地震の被害想定について(第二次報告) ~施設等の被害 【定量的な被害量】~ p21]内閣府・南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)について 2013年3月18日</ref>。

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: 震災対策用品セットとしてトイレ用品は重要視されていない<ref>[http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/bou_topic/jisin/sonae10.htm#hijou 「地震に対する10の備え」(東京消防庁)]では、トイレの備えの記述は全くない。</ref><ref>[http://www.city.osaka.lg.jp/kikikanrishitsu/cmsfiles/contents/0000011/11873/24-p26.pdf 非常準備品・大阪市市民防災マニュアル]でもトイレ用品の記載はなく、非常持ち出し品として一人1枚以上の簡易トイレがあるだけである。「救援物資が届くまでの3日間程度」の備えであるが。</ref><ref>[http://www.fireman21.net/new/mpv/pageview/pageview.html?page_num=#page_num=0 東京都葛飾福祉工場]定番といえる避難キットの最上級セット(76,650円)にもトイレはない。帰宅困難者対策セット(12,600円)にはある。</ref>。

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: 2011年9月の[[国土交通省]]の調査結果によれば、重要下水道幹線5.6万km中耐震化済みは28%の1.6万kmであった。また河川上流にある15年以上の下水処理施設445カ所のうち、耐震化工事済みは約10%の47カ所であった。
: 大村達夫[[東北学院大学]]教授は、耐震化だけではなく簡易処理施設を避難拠点近くに分散設置することが大事であるという<ref>「重要下水道」耐震進まず:読売新聞2012年2月15日夕刊10面</ref>。

::トイレ・下水道の設計では、ある程度の水と、配管の傾きが必要とされる。震災の場合、仮に下水道系統に何の故障がないとしても、上水道に故障があると住宅内部配管から下水本管まで流れる水量が少ないので、内部に汚物などがたまる可能性が高い。汚物はガスを発生し、流れを妨げる。そのため全体を考えて下水道の使用を自粛するよう要請される可能性があるが、病人、子供、老人、[[過活動膀胱]]、大腸過敏([[過敏性腸症候群]])、[[思春期]]の少女などトイレの使用がきわめて重要な人たちが仕方なく使用する場合が考えられるし、その他の健常人も大変困り、時間がたつにつれて詰まったりあふれたりする。そうでない場合でも早急な配水管・下水管洗浄が必要とされる。しかし高圧洗浄ポンプ車と技術者は需要に比べてはるかに少ない。
:::上水道の運用には大量の電力が必要であり、特にマンション・アパート・オフィスビルでは水をポンプで屋上の受水タンクまであげてから配水するため、各建物まで電気が通っていなければならない。
:::以上の論議は、配管・下水管に何の故障もなかった場合であり、家が傾けば必要な配管の勾配が得られず、配管系統の各所に故障があると予想されるが、漏れ場所を特定し、掘り起こし修理するのには時間・費用がかかると見込まれる。
:::東日本大震災では、下水処理施設が破壊されて簡易処理で河川に流しても、下流域への損害は比較的軽微であった。しかし関東直下型地震・南海トラフ地震の場合、流域面積が広く下流域の人口が多い、人口密集地で屋外処理・自然処理が難しい、河川が内湾に流入する場合が多いなどの理由で下水道の問題ははるかに解決困難である。

=== 電気 ===
* [[発電所]]・[[変電所]]は沿岸部にある場合が多く、地震や津波の影響を受けやすい<ref>ある変電所は東京湾沿岸にあり、標高ゼロメートル地帯に近い場所の地下にある。そこは都心部に電力を供給する重要な拠点であるのも関わらず、津波被害は「想定外」である。この変電所は他にも重要な機能を持つ。</ref>。各電力会社はそれらをループ接続し一つの系統ではなく、複数の系統から供給する体制を整えている。しかし計画停電により一般国民にも明らかになったように、発電・送電能力が落ちたり給電能力を超える電気の需要が発生すると、ほぼ全地域が停電する。日本の東西で(富士川を境に)周波数が違うので、また各電力会社に供給余力がなくなってきたので、電力会社相互の助け合いが困難である。
** [[中部電力]]は全発電所が津波危険地帯にあり、供給地域が広く、弱い地盤である名古屋市西部や大きな河川地帯を通るので心配されている。

=== がれき処理 ===
[[がれき]]は復興の大きな妨げになるだけではなく、異臭・[[はえ]]などの[[害虫]]・[[伝染病]]([[感染症]])・有害ガス・海洋汚染・河川湖沼([[上水道]]の源)汚染などの発生源となり、[[たきぎ]]と同じように火事の原因にもなるため、迅速な処理が求められている。特に[[ダイオキシン]]、[[ポリ塩化ビフェニル|PCB]]、[[アスベスト]]<ref>9.11同時多発テロでは、飛散したアスベストのため多数の被害者が出ている。</ref>、[[塩素]]、[[水銀]]、[[有機リン]]、[[放射性物質]]などきわめて有害な物質が混入していたり飛散する可能性もあり、慎重な処理も求められている。
:: 阪神大震災のとき西宮市で2ヶ月がれき処理にあたり2011年10月に死亡した男性が、2012年8月10日に[[アスベスト]]([[石綿]])が原因となる悪性胸膜[[中皮腫]]で労災認定された。通常は1年以上で認定される<ref>「がれき処理で中皮腫 労災」読売新聞夕刊:2012年8月24日</ref>
東日本大震災では、通常時にくらべて宮城県19年分、岩手県11年分など岩手・宮城・福島3県に約2500万トンのがれきがある。東京都は[[東京湾]][[埋め立て地]]に50万tの受け入れを表明しているが、放射能汚染のおそれがあって処理は全く進んでいない<ref>東日本大震災から約1年たった2012年2月現在処理済みは153万tだけである。</ref><ref>有名な[[豊島 (香川県)」#豊島事件(産業廃棄物問題)]]は56万tであった。東京23区が50年かかって埋め立てた廃棄物が約1億t、現在は年間約100万t</ref>。
:: 福島県[[浪江町]]の採石場では、2012年2月に石1kgあたり21.4万[[ベクレル]]の放射性セシウムが検出された。
千葉県には約340件の[[旭市]]の全壊家屋があるが、処分場が一切ない。[[柏市]]・[[松戸市]]など「[[ホットスポット]]」と呼ばれる地域では、高濃度の放射性物質を含む焼却灰の処理に困っている。東日本大震災のがれきの多くは他の地域に比べて人口がまばらな地域の沿岸部で発生しており、[[首都圏]]の地震や[[南海トラフ]]地震などでははるかに多くなると見込まれている。

[[南関東直下型地震]]の被害想定では最大1億トンの[[がれき]]が発生すると予想され、[[南海トラフ]][[連動地震]]ではさらに大量の2.5億tのがれきが発生する<ref>「巨大地震想定しがれき対応指針 環境省、年度内に策定」日本経済新聞2013年10月7日38面</ref>と考えられているが、移動・運搬・処理・埋め立てがどのようにできるか分かっていない。また「がれき」の中には土砂崩れ・崖崩れなどの土砂は入っていないため、運搬する総量ははるかに多くなる。
:: 東日本大震災から約1年たった2012年2月現在処理済みは153万トンだけである。有名な[[豊島 (香川県)#豊島事件(産業廃棄物問題)]]は56万tであった。東京23区が50年かかって埋め立てた廃棄物が約1億t、現在は年間約100万tである。
::2012年11月現在、被災3県(福島、宮城、岩手)のがれき総量2,760万t<ref>津波堆積物を含まない。</ref>中、処理済みは490万tである。
::2013年1月現在、被災3県(福島、宮城、岩手)のがれきのうち、処理済みは岩手県24%、宮城県31%、福島県12%である<ref>がれき総量(「災害廃棄物」と「津波堆積物」の合計)は、岩手525万t、宮城873万t</ref><ref>目標は2013年3月で52%、2014年3月完了予定である。</ref><ref>阪神大震災では1年10ヶ月後に処理率が9割を超えた。</ref><ref>「がれき処理1~3割」読売新聞2013年1月11日1面</ref>。
::岩手、宮城、福島の3県で1,628万tと推計されるがれきのうち、1月末時点で465%754万tを処理した。宮城51%(563万t)、岩手39%(142万t)、福島31%(49万t)<ref>[http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130311/dst13031100180002-n3.htm 避難者いまだ31万人、不明者捜索続く 11日に追悼式2013.3.11 00:16 (3/3ページ)]産経2013.3.11 00:16 </ref>。
太平洋上に流れ出したがれきも問題である<ref>[http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120202/226790/ 「太平洋に広がる津波がれき」 生態系に打撃、環境汚染の恐れ]石弘之、日経ビジネスONLINE&gt; 環境・エネルギー &gt; 「地球危機」発 人類の未来 </ref><ref>[http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3286.html “震災漂流物”154万トンの衝撃]NHKクローズアップ現代No.3286 2012年12月11日(火)放送</ref>。
2,500万tのうち、約1割の300万tが太平洋今日に流れ出したと言われ、2012年には一部が北米に流れついたが、大部分は2014年3月には北米太平洋岸に漂着し、数年以内に太平洋各地に漂着する<ref>半分水没した板や漁船などのがれきの総量は推計で約133万t。2013年6月に3.3万tが北米大陸西岸に到着。[http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20121110&ng=DGKDASDG09048_Z01C12A1CR8000 漂流がれき、来月にも北米へ 環境省が予測修正]日本経済新聞2012年11月10日朝刊</ref>。この費用は国際法上漂着国の負担とされている。しかし、21世紀全般と予想される南海トラフ地震や第2次関東大震災のことを考慮した場合、がれき総量1億tの5%と仮定した場合、500万tものがれきが各国に漂着することになり、大きな国際問題になりうる<ref>漂着国は主にアメリカ(アラスカ、ワシントン、オレゴン、カリフォルニア、ハワイ州)、カナダという環境保護先進国・州であることも問題解決を難しくする。</ref>。
: 先進工業国の沿岸から大量のがれきが流れ出した前例が東日本大震災以外存在しないため、技術的・法律的・国際関係上などの諸問題は解決が難しい。
: さらに、日本国内の太平洋岸の広範囲の海岸や港湾(特に重要な伊勢湾・東京湾・大阪湾など)、さらには河川の出口などをがれきで塞ぐ可能性もあり、救援・環境問題・漁業問題・社会問題・物流問題・エネルギー問題<ref>火力・原子力発電所の多くは海水による冷却が必要である。広範囲に渡って河川・海岸が機能しない場合、複数基と推定される原子力発電所・貯蔵施設の冷却問題が即刻浮上する可能性がある。</ref>など影響は幅広いと考えられている。
: 500-1,000万tのがれきのうちどの程度の量が日本に漂着するかは明らかではないが、日本の沿岸全体のゴミの総量が最大15万t程度と推定されていることから見ても、問題は大きい<ref>[漂流・漂着ごみ]</ref><ref>[http://www.npec.or.jp/0_info/contents/003.pdf 海洋ごみ問題の現状と 今後の取り組みについて(東京海洋大学 兼広春之)]p5、2003年現在、全国海浜等清掃活動実施状況調査((社)海と渚環境美化推進機構)調査</ref>。

=== 二次被害 ===
最近数十年の地震<ref>大きく報道された外国の地震も含む。</ref>では、救援活動中に被害が発生し救援者が被害を受ける例がほとんどなかった<ref>東日本大震災の海岸の救援活動では、津波警報で避難することが比較的行われていた。しかし救助員が消防団員や警察官など比較的統制がとれた。</ref>。そのため、二次被害の経験が蓄積されていない。

=== 離島・山間僻地 ===
現在の居住可能地域(エクメーネ)は、膨大なインフラに支えられている。橋・トラック・電気・水道などである。しかし離島・山間僻地では、災害による社会的インフラからの隔絶がそのまま生命の危機に直結する。東日本大震災では大都市近郊の小島に救援が届かなかった例がいくつかある。また土砂崩れで交通が途絶し、自衛隊のヘリコプターで救出した例がいくつもある。

:: 例えば2012年の台風21号などで奄美地方の離島では欠航が続き生鮮食料品がなくなった。台風常習地帯であるので普通の食糧の備蓄が2週間程度あるが、2週間を超すと厳しい。郵便・燃料(電気)・医療・医薬品なども届かなくなる。地震や津波が襲った場合は、通信・放送などを利用した外部世界との連絡も長期間途絶えるおそれがある<ref>この状況は[[新型インフルエンザ]]などによる[[パンデミック]]でも懸念されている。</ref>。日本で離島が大きな地震災害にあった例が最近数十年なく(山間僻地は経験があるが、比較的小規模被害でありある程度の救援が可能であった。)、自給自足体制が崩れているので懸念されている。

=== 地盤 ===
見かけ上強固な台地でも、地盤が弱い場合があるが([[表層地盤増幅率]])、地震対策では後回しにされがちである。他の土地で、人口の少ない時代に被害が少ないとされていても、単に人家がなかったり報告されなかったのが理由である場合があり、この次の地震での被害が懸念されている。
* 2012年の[[防災科学技術研究所]]の研究によれば、[[表層地盤増幅率]]が2.0以上(特に揺れやすい)である地域に約2,200万人、1.6~2.0(揺れやすい)の地域に約1,700万人が居住している。また「30年以内に26%以上の確率で震度6弱以上の揺れに襲われる地域」に5,300万人が生活している<ref>[http://www.asahi.com/national/update/1006/TKY201210060266.html?google_editors_picks=true 軟弱地盤に3800万人居住 防災科研、分析結果発表へ]朝日新聞デジタル2012年10月6日20時44分</ref>。
* 東京の[[山の手]]は強固な[[地盤]]だと思われているが、そうではない。新しい[[火山灰]]が3-8mつもる[[関東ローム層]]<ref>「[[早川由紀夫]]の火山ブログ」によると「関東ロームは[[富士山]]の噴火堆積物ではない。ロームはホコリが積もってできた」という。</ref>の上にある。その後の[[浸食]]による[[段丘]]崖やその下の河川跡に[[市街地]]が密集している。道路や鉄道は段丘崖で寸断されるという<ref>東京「山の手」の地盤 「地震でも安全」過信は危険:読売新聞2008年10月16日11面「論点」:高橋学[[立命館大学]]教授</ref>。

* 東京の高層ビルを支える地盤の多くは、[[砂岩]]や[[泥岩]]である[[三浦層群]](上総層群)の上に「東京礫層<ref>とうきょうれきそう。[[古多摩川]]が運んだ小石が東京周辺にたまったもの。「礫」は小石のうち、直径2mm以上。東京礫層は直径1-3cmのものが多い。</ref>」と呼ばれる厚さ5m以下(一部20m以上)の主に締まった砂礫からできている地層がのっている。東京礫層は[[N値]]50以上という固い地盤であるが、関東全体を揺さぶる大きな地震に対してどうなるかははっきりしていない<ref>層が薄いこと、礫同士が完全に固着しているわけではないこと、固ければ固いほど揺れに弱く割れやすいことから地盤の安全性を疑問視する声もある。また固い地層では「サンドイッチ地盤」(1975年[[大分県中部地震]]での[[湯布院]]にある九重レークサイドホテル崩壊などの例)による揺れの増幅の可能性もある。</ref><ref>東京礫層の存在しないところでは、埋没段丘堆積礫層や七号地層中砂(N値90)を支持基盤にしている場合が多い。</ref>。

* 2011年[[東日本大震災]]では、特に[[仙台市]]のひな段造成地で、土砂崩れ・地盤崩壊の被害が多かった。ひな段ではない[[東北大学]]でも大きな被害が出た。ここは2008年(平成20年)[[岩手・宮城内陸地震]]の被災地でもあり、[[栗駒山]]の数千万年前からの火山灰の堆積地である。

* 日本全国に分布する[[四万十帯]]は斜面崩壊や地すべりが多く、構造的に脆弱な地質である<ref>[http://www2.famille.ne.jp/~mssm/20100215/20100123seminar_siryo.pdf#search='四万十帯 地盤' 宮崎県の地質・地盤概説-平成21年度第5回宮崎県技術研鑽セミナー資料-平成22年1月23日]</ref>。1889年(明治22年)[[十津川]]大災害や1953年(昭和28年)[[紀州大水害]]([[有田川]]災害)、2007年(平成19年)の[[国道169号]]岩盤崩壊や2004、2008、2011年には[[国道168号]]の[[地すべり]]による災害を起こしている<ref>[http://homepage2.nifty.com/kansaisogogc/rockfall.htm 関西地質調査業協会現地見学会「四万十帯における地形の発達、山体の変形」]</ref>。

* 津波被害を避けるために裏山に避難することができるが、裏山が安全であるとは限らない。東日本大震災では、石巻市立大川小学校の小学生が土砂崩れのおそれのため裏山に避難できず、74名が津波で死亡した。また福島第1原子力発電所事故では、裏山にある「免震」重要棟のドアが地震で外れ放射能が内部に侵入した<ref>ガラス窓は放射能防護がされていなかった。</ref>。

* [[深層崩壊]]という大規模な地滑りが近年知られるようになった<ref>[http://www.nhk.or.jp/special/onair/100627.html 「深層崩壊が日本を襲う」]2010年6月27日(日)午後9時00分~9時49分:NHK総合テレビ NHKスペシャル</ref><ref>[http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp321.html 深層崩壊 迫り来る巨大災害]NHKサイエンスZERO:2010年10月9日放送</ref>。2009年8月9日台湾南部の[[小林里]]で、台風が引き起こした深層崩壊で、約500人が犠牲になったことで世界中に知られるようになった。地震は、その引き金になるのではないかと言われている<ref>危険地帯のトップ3は長野県、高知県、宮崎県だが、過去の深層崩壊は日本の広い地域で起こっている。</ref><ref>[http://www.mlit.go.jp/common/000121614.pdf 別紙1深層崩壊推定頻度マップ]平成22年8月11日 国土交通省</ref>。

* 阪神淡路大震災による神戸の被災の中心地は「[[表層地盤増幅率]]」という地盤の堅さを表す数字から見ると、安全なように見える。しかし、六甲山側の大きな断層により地震波が跳ね返り共振し、帯状に被害が起こった。地盤の強さだけでは、地震に対して安全かどうかははっきりとはわからない<ref>「地盤が弱ければ地震に弱い」といえる。</ref>。

=== 木造住宅の耐震性 ===
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)が耐震診断した約2,000軒の全国の木造住宅のうち、1981年以前の旧耐震基準建物の98%、1981年以後の新耐震基準建物の85%が「耐震性に問題あり」という結果だった。特に「倒壊する可能性が高い」建物は、旧耐震基準の建築では86%、新耐震基準の建築でも経年変化による劣化などにより61%あった<ref>[http://www.mokutaikyo.com/data/20120420.pdf 耐震診断基本データ(東京都)」および「都道府県別 耐震診断評点詳細」(いずれも期間は平成18年4月~23年11月)2012年4月19日]</ref><ref>[http://www.47news.jp/CN/201204/CN2012041901001764.html 「震度6強で倒壊恐れ9割 木造住宅、東京も低い耐震性」2012/04/19 18:49 【共同通信】]</ref><ref>「木造住宅、震度6強なら倒壊の恐れ9割 業界団体」2012/4/20 12:08 日本経済新聞</ref>

=== マンションの損壊判定基準 ===
マンションの損壊判定基準がいくつもの基準といくつもの機関によって行われていることが、円滑な復興を妨げている。

: 2011年東日本大震災で仙台のマンションには「倒壊0棟」と「全壊100棟」という2つの評価が共存している。その理由は日本建築学会の被災度判定基準に従ったものである「高層住宅管理業協会調査」と、仙台市が罹災証明書を交付するための「内閣府が定める災害に係る住家の被害認定基準調査」に大きな隔たりがあるからである。また調査が何種類もあることが混乱を生んでいる。それには罹災証明発行のための調査、応急危険度判定のための調査、被災度区分判定のための調査の3種の他に、建築学会、土木学会、高層住宅管理業協会など行う調査がある他に、地震保険の調査がある<ref>[http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20120110/295713/?ST=safety 仙台市マンション被害の「重い現実」――「倒壊0棟」から「全壊100棟」へと評価が大逆転:SAFETY JAPAN 2012年 1月12日]</ref>。

=== 超高層ビル ===
* 日本建築学会小委員会によれば、M8.7 での計算で首都圏でも周期2~6秒の「長周期地震動」が[[南海トラフ]]の[[連動地震]]でも卓越し、告示波(模擬波より弱い)での規定より大きい毎秒50-100cm([[カイン]])の振動により通常の[[超高層ビル]]でも損傷の可能性があるという。<ref>{{cite news |title=超高層の揺れ、「東日本」の2倍…3連動地震 |newspaper=読売新聞 |date=2012-04-07 |url=http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120407-OYT1T00173.htm |accessdate=2012-04-09}}</ref>連動地震ではM9が予想されるので、さらに被害が大きくなる可能性がある<ref>読売新聞 4月7日(土)紙面</ref>。

==== 長周期地震動 ====
超高層建築物の設計思想は、短周期振動には建物の強さ<ref>100m以上の鉄とコンクリートの重さに耐えるには強い建物が必要である。免震構造は建物の強さ・コストを減らすことができるが、想定外の地震に対する余裕が減る。コンピュータ解析が発達したため、設計の地震動に対する余裕が減少した。</ref>で対抗し、長周期振動には[[柔構造]]による振動でエネルギーを吸収しつつ、固有周期を長くとることにより地震波との共振を避けるということである。また詳しい構造設計と厳しい建築監理によりきちんとした建築をすることである。ここには巨大地震や連動地震によるさらに長い時間の長周期地震との共振と建物内部の物体の移動による被害と恐怖心は考慮になかったし、1000-4000ガル、100カイン以上もの強い地震動は全く考慮外であった<ref>それ以前の建築基準は建物上部に重さの0.2倍の力が静的に(ゆっくりと)かかる場合に壊れなければ良かったので、格段の進歩ではあった。</ref>。
::: 日本初の超高層ビル<ref>超高層ビルの規制緩和からは9番目。1番目はホテル・ニューオータニ。</ref>である[[霞が関ビルディング|霞が関ビル]]は1965年起工である。その後想定の周期、地震速度、地震加速度、地表変位を超える地震が続発している<ref>[http://www.aij.or.jp/jpn/design/2010/pdf/ga_gijyutu2.pdf 「既存超高層建築の長周期・長時間地震動対策の技術開発とその実施」(大成建設の4人) 2010年日本建築学会賞(技術)受賞理由]</ref>。
::::: 1995年[[阪神淡路大震災]](神戸波):818[[ガル]]、90[[カイン]]。2004年[[新潟県中越地震]]([[小千谷]]波):1308ガル、129カイン。2004年[[新潟県中越地震]]2515.4ガル。2008年[[岩手・宮城内陸地震]]([[一関]]西)で4022ガル、316カイン。2011年東日本大震災([[栗原市]]築館<ref>K-NET MYG004 北緯38.7263東経141.0252。K-NET MYG012 塩竈 2,018.90ガル、64.22カイン。1,000ガル以上は合計10カ所。</ref>)2933ガル、103カイン<ref>[http://www.ejec.ej-hds.co.jp/sinsai/sinsai-03.pdf 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(M9.0)の強震動について]</ref>。東日本大震災における大阪府中之島庁舎のゆれは、想定外の代表である(警告していた人はいた)<ref>[http://www.aij.or.jp/jpn/design/2010/pdf/ga_gijyutu2.pdf 「既存超高層建築の長周期・長時間地震動対策の技術開発とその実施」(大成建設の4人) 2010年日本建築学会賞(技術)受賞理由]</ref>。
::: 長周期地震動の周期は一般的には数秒程度と考えられている。それでも高層建築や大きな橋などとの共振が予想できる。しかし東日本大震災では石巻や陸前高田でもっと長い40~50秒の地動位変位長周期のパルス2波が見られ、その振幅は50-100cm、加速度600-900ガルとなった<ref>[http://outreach.eri.u-tokyo.ac.jp/eqvolc/201103_tohoku/ 石巻と陸前高田での地動加速度と地動変位&lt;全国高密度強震計地震計(K-NET/KiK-net)が記録した揺れの広がり(3月16日古村他)&lt;2011年3月 東北地方太平洋沖地震&lt;広報アウトリーチ室&lt;東京大学地震研究所]</ref>。国土地理院は周期100-500秒の成分から3分以内に巨大地震かどうかを判定するシステムを開発している<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120504/t10014895931000.html 「巨大地震の規模 地盤の動きで推計」NHK:2012年5月4日 19時11分]</ref>。
::: 一般に構造設計に使われている地震波は元の地震波からフィルターをかけて長周期成分を取り除いている。特に周期7秒付近と25秒以上を取り除いている。数年前の東京都による[[元禄地震]]の想定では、周期10秒までを計算し、特に[[大田区]]全域で大きな地震が予想されている<ref>[http://news-sv.aij.or.jp/kouzou/s4/current/sympo/1127_2009matome.pdf p5「新宿で観測された周期7秒程度の波群→ 長周期パルス→ 高層建物に影響」第37回地盤震動シンポジウムまとめ]</ref><ref>[http://www.cuee.titech.ac.jp/21coe/Japanese/FEvents/Data/Esse94/07ohtat.pdf 5.3 東京101 の強震記録&lt;超高層ビルとやや長周期地震動]</ref>。7-8秒周期成分が削除された理由は、「観測値が大きいことは不合理である」ということである。
::::*[[石橋克彦]]は1994年に「[[東京湾]]域の[[盆地]]状の地下構造<ref>地下3-4kmの[[基盤岩]]まで堆積地層が覆っているため、盆地内部で地震動が屈折したり増幅されたりする。また地震動が長時間継続する。盆地の大きさと形が卓越周期を決定している([[定在波]]、[[固有周期]])。</ref>が、周期七~八秒の地震動を強く生ずる特性がある。」としている。また関東大震災の時の本郷の地震計記録では周期13秒の卓越周期を持つ地震動があり、最大振幅は1mであったという<ref>「大地動乱の時代」p205 、石橋克彦著、1994年、[[岩波新書]](新赤版)350。ISBN4-00-430350-4054</ref>。
::::* 堀川晴央は[http://unit.aist.go.jp/actfault-eq/seika/hapyokai05/oral.html 「巨大地震による長周期地震動」] で「揺れの卓越周期は、同じ平野内でも場所ごとに異なる」とし、「現行の特性化震源では、長周期地震動予測で重要な周波数帯域が過小評価となる可能性がある」ので、長周期地震に対する強度に不確実性があるという。
::::* 2011年の調査<ref>[www.aij.or.jp/jpn/databox/2011/20110309-1.pdf 長周期地震動対策に関する日本建築学会の取り組み]日本建築学会構造委員会 長周期建物地震対応WG・2011年3月4日(東日本大震災前)</ref>によれば3連動地震で、[[濃尾平野]]東部で3秒、[[大阪平野]]は5-9秒、[[関東平野]]西部では8秒前後の周期が大きくなることがわかった。特に関東平野では6-10秒周期で、大阪平野では4-12秒で[[告示波]]を上回ることが予想される。建物の揺れやすさを知る目安は固有周期の10倍の階数とされる(例えば8秒ならば80階、約250m)<ref>『3連動地震「長周期」ビル強震に地域差』2012年10月4日読売新聞夕刊・滝田恭子記者</ref>。
::::* 東日本大震災の時、大阪平野では周期6秒前後の地震波が周辺の地盤より30倍増幅された。また周辺の地盤でも周期6秒の波が多く、濃尾平野で増幅されたためであることがわかった。他の地震でも他地域の堆積層により増幅されるおそれがある<ref>[http://www.asahi.com/national/update/0307/TKY201303070109.html 大阪平野の長周期地震動、濃尾平野の波も原因 震災時]朝日新聞 2013年3月8日7時5分</ref><ref>柔らかい堆積層がレンズのように、また固有周期の増幅器として働く。濃尾平野と大阪平野は比較的近距離にある。</ref>。
::::* 東日本大震災において、仙台駅付近の高架橋で試運転中の新幹線が脱線した事故では、高架橋の1.8Hz付近の共振が原因だとされた。余震の観測では地表(基盤面)では9Hzの周期の地震であった<ref>[http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/railway/p-pdf/RA2013-1-1-p.pdf 東日本旅客鉄道株式会社 東北新幹線 仙台駅構内 列車脱線事故(平成23年3月11日発生)事故調査報告 説明資料 運輸安全委員会 平成25年2月]</ref>。
::::* 改正気象庁震度階<ref>[http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/kyoshin/kaisetsu/comp.htm ホーム > 気象統計情報 > 地震・津波 > 強震観測 > 震度と加速度]、図3</ref>では、長周期の[[地震動]]の影響を小さくしており、例えば均一な周期の振動が数秒間継続した場合、震度6強に対する[[加速度]]は周期1秒では約300[[ガル]]なのに対し周期8秒では約10,000ガル([[重力]]の10倍・世界中の[[地震計]]の記録には今まで存在しない<ref>1995年気象庁95型震度計は最大2048[[gal]]まで、[[K-NET]]95型強震計は最大2000galまで、2002年K-NET02型強震計は最大4000galまで計測可能である。それ以上の4022galという数字があるのは3方向(上下、東西、南北)の[[加速度]]成分を[[ベクトル]]合成したためである。現在使われていない1953年SMAC型強震計と1987年気象庁87型強震計は最大980gal(=1G、[[重力]])までしか測れなかった。4,000ガルが計測されたと言うことは、これ以上もあり得るが「想定外」であり計測できない。</ref>)必要である。[[気象庁]]がそのように決定したのは、今までの地震計観測地震で周期1秒前後の[[キラーパルス]]による被害が大きいという[[経験則]]にあわせたためである。現在大型建造物は意識的に[[固有周期]]が長周期になるように設計されており、震度が比較的小さくても大きな被害がある場合が考えられる。
::::::[[気象庁]]は2013年3月28日から、「長周期地震動に関する観測情報」を地点ごと、周期ごとに分け4段階で発表している。「1」は[[震度]]3〜4相当の5~20[[カイン]]、「2」は20~50カイン、「3」は50カイン、「4」は震度6強以上の100カイン以上とする予定である<ref>[http://mainichi.jp/select/news/20121213k0000m040039000c.html 長周期地震動:揺れの強さ4段階で表示…気象庁、来春から]毎日新聞 2012年12月12日 20時36分</ref>。情報の伝達は10分程度後に気象庁のサイトで行われる。
:: 巨大地震が連動した場合、[[マグニチュード]]の大きさだけではなく、長周期地震が20分以上続き超高層ビルに深刻な損傷を与える場合があることがある<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120430/t10014815191000.html 「長周期地震動 20分以上続く予測も」NHK 2012年4月30日 17時32分]東大古村孝志教授ほか</ref>。
::: 震源地から数百km離れた[[大阪府咲洲庁舎]]<ref>さきしまちょうしゃ。大阪市住之江区南港北一丁目。1995年の竣工、総事業費1,200億円。[[日建設計]]ほか。地下3階・地上55階建て・高さ256m。大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC)として、1995年に竣工。2010年府が大阪市第三セクターから80億円で購入。通称コスモタワー。想定(数回の)最大地震動25カイン、最大(建物寿命中1回)限界50カイン。</ref>では、東日本大震災で大きな損傷を受けた<ref>[http://www.pref.osaka.jp/otemaemachi/saseibi/bousaitai.html 「咲洲庁舎の安全性等についての検証結果」大阪府 総務部 平成23年5月]</ref>。最上階の短辺方向で片側振幅137cm(両側で約3m)、地震動131ガルであり、地表震度3にもかかわらず、エレベーター4基に5人が5時間ほど閉じこめられた<ref>30基中25基がP波管制運転で停止したが、ロープが絡まったため救助に時間がかかった。</ref>。
* 超高層ビルの内部の揺れは、激しい。特に巨大地震で起きる長周期震動に弱い。
** 初めて観測されたのが2003年[[十勝沖地震]]<ref>200km以上離れた[[苫小牧]]で[[スロッシング]]による石油タンクの火災が起こった。</ref>なので、対策が弱い。
** 兵庫の[[E-ディフェンス]]で行われた「長周期地震動による超高層建物の大振幅に備える実験」<ref>2008年1月24日</ref><ref>[http://www.bosai.go.jp/hyogo/research/movie/pdf/20080124_kenkyusiryou.pdf 「大地震を受ける超高層建物内部の被害様相と防災啓発」「建築防災」2009 年8 月号]</ref>によると、28階相当の住宅でベビーベッドが動き衝突したために破損し、テレビは宙を飛んだ。27階相当のオフィスでは、固定した家具は無事だったが、コピー機が動き回り壁などを破壊した。
** 2004年[[新潟県中越地震]]では、約200kmの[[六本木ヒルズ]]森タワーで、震度が4以下にもかかわらず、エレベーター6基が停止した<ref>[http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/ba/39/index.html 「超高層ビルが遭遇する『悪夢』の長周期地震動」SAFETY JAPAN 2008年3月25日]</ref>。
**工学院大学の久田嘉章教授が南海トラフ地震による新宿の超高層ビルである工学院大学での影響を調べると、揺れ幅が2.88mに達し揺れの継続時間が20分以上になりました。その結果柱と梁の接合部が大きくゆがみ、壁や天井が崩れることが予想されるということです<ref>{{Cite news |title=南海トラフ巨大地震 超高層ビルの対策を |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130501/t10014308381000.html |date=2013-05-01 |newspaper=NHKニュース |publisher=日本放送協会 |accessdate=2013-05-05 |archiveurl=http://megalodon.jp/2013-0505-0016-59/www3.nhk.or.jp/news/html/20130501/t10014308381000.html |archivedate=2013-05-05}}</ref><ref>1989年に落成した新宿キャンパスは、地上29階、地下5階、高さ143m。建築主:工学院大学、第一生命、日本生命。設計者:日本設計。施工者:清水建設、大林組、鹿島建設、大成建設、竹中工務店、戸田建設JV。隣のエステック情報タワーとツインになっている。</ref>。
*東京湾岸にある石油コンビナートから、南海トラフ地震の長周期地震動により大量の石油が出るおそれがある。浜田政則早大教授によれば、東京湾岸にある約1,500基のタンクのうち503基が地震の長周期震動による「[[スロッシング]]」による流出と発火のおそれがある「浮き屋根式」であり、うち115基から12万Klの石油が流れ出す可能性があるという<ref>[http://www.asahi.com/national/update/0202/TKY201302020031.html 東京湾岸、長周期地震で石油流出の恐れ 早大研究室調査]朝日新聞 2013年2月2日7時20分</ref><ref>判定方法は航空写真であり、実地調査ではかなり減ったり増えたりする可能性がある。他の港湾でもスロッシングの可能性がある。液状化などによる被害予測は含まれていない。各タンクには流出防止用の塀がある場合があるが、これの効果にも記事はふれていない。</ref>。

== 脚注・引用 ==
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
{{wikibooks|防災 地震|個人での地震対策}}
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* [[日本の地震年表]]
* [[南関東直下地震]]、[[南海トラフ巨大地震]]、[[相模トラフ巨大地震]]
* [[警戒宣言]]、[[東海地震に関連する情報]]
* [[地震観測網]]、[[日本海溝海底地震津波観測網]]、[[DONET2]]
* [[大規模地震対策特別措置法]]、[[地震防災対策強化地域]]、[[防災まちづくり]]、[[密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律]]
* [[日本の地理]]
* [[日本の地理]]
* [[日本の政治]]
* [[日本の政治]]、[[東京一極集中]]
* [[南関東直下地震]]
* [[東海・東南海・南海連動型地震]]
* [[地震の年表 (日本)]]
* [[地震]]
* [[東日本大震災]]
* [[阪神・淡路大震災]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [https://www.kantei.go.jp/jp/joho/large4/medium2/small1_2.html 国の政策(政策情報ポータル) 【2】地震対策] - 首相官邸
'''地震'''
* [http://www.jma.go.jp/jma/ 気象庁]
* [https://www.bousai.go.jp/ 内閣府 防災情報のページ] - 内閣府
** [https://www.bousai.go.jp/jishin/jishin_taikou.html 大規模地震防災・減災対策大綱]
** [http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/ 気象庁 気象統計情報 地震・津波] - 地震・津波に関する最新情報および資料等
** [https://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/ 避難所の生活環境対策]
** [http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin.html 気象庁 気象等の知識 地震・津波] - 地震や津波に関するメカニズム・観測・情報+過去の地震災害+東海地震などの解説
* [https://www.jishin.go.jp/ 地震調査研究推進本部] - 文部科学省の特別の機関
* [http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/ 中央防災会議] - 内閣総理大臣や閣僚、指定公共機関の代表者、学識経験者らで構成
* [http://www.jishin.go.jp/main/ 地震調査研究推進本部] - 文部科学省特別機関
** [https://www.jishin.go.jp/materials/ 防災・減災ため素材集]
** [https://www.jishin.go.jp/main/bosai/kyoiku-shien/bosai.html 防災教育支援推進ポータル]
* [http://cais.gsi.go.jp/YOCHIREN/ccephome.html 地震予知連絡会] - 省庁の代表者や学識経験者で構成
* [http://www.bosai.go.jp/ 独立行政法人 防災科学技術研究所]
* [https://www.jma.go.jp/jma/ 気象庁]
** [https://www.jma.go.jp/jma/menu/menuflash.html 気象庁 防災情報]
* [http://www.gsj.jp/HomePageJP.html 独立行政法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター]
* [https://www.fdma.go.jp/relocation/bousai_manual/index.html 防災マニュアル 震災対策啓発資料] - 総務省消防庁
** [http://unit.aist.go.jp/actfault/activef.html 独立行政法人 産業技術総合研究所 活断層研究センター]
* [https://www.mlit.go.jp/river/bousai/earthquake/index.html 国土交通省における南海トラフ巨大地震・首都直下地震対策] - 国土交通省
** [http://www.aist.go.jp/RIODB/activefault/cgi-bin/index.cgi 活断層データベース] - 日本の主な活断層の平均変位速度などのパラメータ+それらの算出根拠の調査データ
* [http://wwwsoc.nii.ac.jp/ssj/ 日本地震学会]
* [http://kouikishori.env.go.jp/ 災害廃棄物対策情報サイト] - 環境省
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* [http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/index-j.html 東京大学地震研究所]
* [https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook.html 災害時に備えた食品ストックガイド] - 農林水産省
** [http://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp/index-ja.html 東京大学地震研究所 地震予知情報センター]
* [https://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/bousai/main4_a12.htm 学校等の施設設備 防災への取組] - 文部科学省
* [http://www.adep.or.jp/ 地震予知総合研究振興会]
* [https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1323513.htm 「学校防災マニュアル(地震・津波災害)作成の手引き」の作成について] - 文部科学省

* [https://www.mod.go.jp/j/approach/defense/saigai/ 災害派遣について] - 防衛省・自衛隊
'''防災'''
* [https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/guidebook/hint.html 『BCP策定のヒント~中小企業が緊急事態を生き抜くために~』のご紹介について] - 中小企業庁(2009年4月)
* [http://www.bousai.go.jp/ 内閣府防災情報]
* [http://www.9tokenshi-bousai.jp/earthquake/ 地震対策] - 防災首都圏ネット 九都県市首脳会議 防災・危機管理対策委員会
** [http://www.bousai.go.jp/oshirase/h17/yureyasusa/ 「地盤のゆれやすさ全国マップ」] - PDF
** [http://www.bousai.go.jp/panf/saigai.html 「わが国の害対策」] - PDF
* [https://www.bosai.go.jp/ 独立行政法人 防科学技術研究所]
** [http://www.seis.bosai.go.jp/ 防災地震Web]
* [http://www.real-time.jp/ 特定非営利活動法人リアルタイム地震情報利用協議会] - 緊急地震速報に関する研究調査や普及活動
* [https://cais.gsi.go.jp/YOCHIREN/ccephome.html 地震予知連絡会] - 省庁の代表者や学識経験者で構成
* [https://www.gsj.jp/hazards/earthquake/index.html 地震・津波研究情報] - 独立行政法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
* [https://www.eri.u-tokyo.ac.jp/ 東京大学地震研究所]
** [https://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp/index-ja.html 東京大学地震研究所 地震火山情報センター]
* [https://www.adep.jp/ 地震予知総合研究振興会]
* [https://www.real-time.jp/ 特定非営利活動法人リアルタイム地震・防災情報利用協議会] - 緊急地震速報に関する研究調査や普及活動
* レファレンス協同データベース
** {{CRD|1000023298|町内会で防災について計画を立てたい。ついては参考になる資料を紹介してほしい(特に地震関係)|香川県立図書館}}(2005年07月24日登録)
** {{CRD|1000136866|災害時の仮設トイレ等について書かれている本|香川県立図書館}}(2013年9月8日登録)
** {{CRD|1000138804|阪神大震災の経験を踏まえて、医療や看護の現場で生かせる行動マニュアル作成についての本を探している。|相模原市立橋本図書館}}(2013年10月16日登録)


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2024年8月11日 (日) 17:47時点における最新版

日本の主な地震の震央。赤はM 7以上青は死者有り紫は最大震度6以上[1][2]。(2013年2月10日作成)

日本における地震の対策と体制(にほんにおけるじしんのたいさくとたいせい)は、日本における地震震災)への対策とその体制をまとめたものである。

地震対策とその体制

[編集]

地震対策とその体制について、本節では、個人や家庭、地域や防災組織、学校、企業や法人、国・自治体・公的機関に分けて説明する。

個人・家庭

[編集]
非常持出袋の中身の例(懐中電灯、非常食、簡易医療セット、衛生用品など)

文部科学省は2010年に退避行動の指針を示した[3][4]

推奨
  • 外に出ない
    • 大きな地震が起こった直後の行動として、耐震性の高い建物内にいる場合は屋外に出ず、安全な空間に移動する。もし耐震性に難のある建物の場合は、安全な空間を通って慌てずに屋外へ出る。移動が困難なほどの強い揺れの場合は無理に行動せず、可能なら安全な空間に移動する[5]
  • 頭を保護する
    • 屋内においても屋外においても、(動ければ安全な場所に移動し、動けなければその場所で)手の届くところに本やクッションなどがあればそれを使うなどして、頭を保護する[6]
  • 非常口の確保
    • 余震で建物に歪みが生じ、戸やドアなどが歪んで開かなくなって脱出困難になることを防ぐため、大きな揺れが収まったらドアなどを開けて避難口を確保する[7]
場合により推奨
  • 机の下など安全な空間に移動する
    • 自分から近い場所に机がある場合、また他にも安全を確保できる空間がある場合、頭を保護しながら移動する[8]。タンスなど倒れにくい形状の家具に身を寄せることは従来から推奨されているが、固定されていない家具の場合はかえって危険である。万一の際に安全空間となるような措置を事前に措置を講じていない家具には近づかない[9]
非推奨
  • 火を消す
    • 「地震が起きたらまず火を消せ」という呼びかけが盛んに行われていたが、近年はこれが推奨されなくなっている[10]。これは、都市ガスは地震が発生すると各家庭へのガスの供給を遮断し、また多くのLPガス事業者も一定以上の揺れを検知すると自動でガスを遮断するマイコン内蔵のメーターを設置していることから、ガスレンジからの火災の発生のリスクよりも、火を消す際に熱せられた鍋ややかんが落下して火傷を負うリスクを避けるほうを重視するようになったためである[10][11]。特に北海道など寒冷な地域で暖房器具を使用している時期に地震が発生した場合は、揺れが収まったら早急に暖房の火を消して火災を防ぐ[12]

現在居住される家屋でできる対策は、壁や筋交いを入れる補強などの事後措置に限られてくる[13]。既設の住宅については、耐震診断補強のための費用の一部が、自治体から補助される場合がある[14]家具の転倒を防止するために、家具自体をに金具で固定してしまう方法がある。また、夜間に地震がある場合に備えてすぐ外に逃げられる部屋を寝室にし、転倒や落下のおそれのある家具も置かないようにするとより安全であろう[13]

地域・自主防災組織

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地震による災害とその被害は、典型的には自然災害に分類され、対策を通じて被害を軽減する取り組みが古くより行われてきた。現存する耐震性の高い建築物や構造物がその時代の耐震技術を伝えている。また、地震の前触れや地震・津波への備えを謳った伝承や口承も残されてきた。しかし、19世紀から20世紀にかけての工業化、生活様式の変化、科学の発展といった様々な変化により、地震の被害やその対策は大きく様相が変化した。地震に強く復興が早いインフラ(生活基盤)の整備が求められるようになり、建物の耐震性能が法的に義務付けられ、地震被害の多い地域では耐震化などの対策が進んだが、人口や政治経済が集中する都市での地震対策が重要な課題となった。また、大規模な地震被害が発生するたびに、行政の対応、避難者の生活、復興支援など、次々と課題が生まれている。

地震発生時の避難場所として、各自治体により地域の公園や学校などが指定されている[15]

地域住民が協力し合って大地震などの災害対策に取り組むのが自主防災組織である。家庭単位では対応が困難な大災害が発生した場合には、住民同士が助け合って(共助)被害の軽減を図る。自主防衛組織はしばしば町内会単位、あるいは町内会の下部組織、もしくはマンション単位、学区単位で構成され、災害発生時はもちろん平時にも防災活動を行っている[16]。自主防災組織は、出火の防止や初期消火、住民の救出や避難誘導、負傷者の救護、食事や飲み水の配布、情報の収集や伝達といった対応を自主的に行う。被害が広範囲に及ぶような大地震では、行政や公的機関による救助や支援活動(公助)には限界があることから、自主防災組織の重要性・必要性が指摘されている[17]

南海トラフ巨大地震で生じた津波は、地域によっては早ければ5分で住宅地に到達する。高齢などで避難時に援助が必要となる人(要援護者)の多い地域では、近隣の世帯で言わば「防災隣組」をつくり、地震が起きたら行政からの情報を待たず互いに声を掛け合い、要援護者も含めてグループで避難することで、津波による死者を減らすことが期待できる[18]

学校

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2014年(平成26年)3月に中央防災会議が作成した『大規模地震防災・減災対策大綱』においては、小学生や中学生の世代は「今後、地域防災の主体を担い、防災活動に大きな役割を果たすこととなる」と表現され、大地震や津波に関する知識や発生時の対応、地域での貢献などについての組織的かつ体系的な防災教育の必要性が謳われている[19]。災害発生前から学校全体で防災意識を高める取り組みを続け、実際の災害時に児童・生徒が全員無事に避難できた例として、東日本大震災における岩手県の釜石市立鵜住居小学校、釜石市立釜石東中学校のケースがある。学校の校舎が明治・昭和の両大津波の浸水区域や想定浸水区域の外にあるにもかかわらず、より安全な場所へと避難場所を3回変え、避難中の保育園児や高齢者を助けながら、地震発生時に学校にいた児童・生徒は全員が高台に避難した[20][21][22]。釜石市内全体でも児童・生徒の多くは無事であった。この出来事は「釜石の奇跡」として広く知られることとなった[21]津波てんでんこ#近年の実践例も参照)。

2014年(平成26年)3月に文部科学省の「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」は、学校施設に関する津波対策や地域の避難所としての機能強化についての基本的な考え方や具体的な留意点などを取りまとめた。津波対策としては学校周辺に安全な場所がない場合は校舎の高層化や高台移転の検討、避難所としては3日分の非常食や簡易トイレなどの備蓄の推進、といった内容を挙げている[23][24][25]。この報告を受け、文部科学省では幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校すべての学校施設整備指針を改定した[26][27]

企業

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一般的に企業では、大地震をはじめとする大災害が発生し被災しても、社員の安全確保はもとより、社会的責任の観点から業務遂行や生産継続を一刻も早く再開することが求められる。東日本大震災の発生前から、政府や地方自治体は企業に対し事業継続計画 (BCP) の必要性を説明していた[28]。BCPは、事業継続マネジメント (BCM) に基づいて運用すべきとされている。BCPを業務内容の変化に合わせて弾力的に運用し、非常時に備えた準備や訓練も実施して、確実な効果を発揮するように管理していくのがBCMである[29]。BCPを策定していたある企業が大地震発生後も業務を継続できたとしても、その取引先が業務停止となった影響を受けて業務が滞ることも想定されるため、BCPは一企業だけではなくその取引先や顧客も策定するのが望ましい[30]。中小企業であっても、BCPはサプライチェーン・マネジメントの観点からも避けて通れないものとなっている[31]

消防法令が定める用途・規模の事業所には、自衛消防組織の設置が義務付けられており、地震や火災の際の活動を計画しておくことが求められている。地震発生の際は、自衛消防組織が来客の避難誘導等にあたることになる[32][33]

商業施設では来所した一般客を避難誘導する訓練も重視されている。たとえば、東京ディズニーリゾート千葉県)では開園時間前に、従業員の家族を一般客に見立てての防災訓練を実施している。会社内の事情を知らない人々が参加することにより、開園時間帯に地震などの災害が発生し一般客を対象に避難誘導などを行う状況に近い、実践的な訓練を行えるという[34]。2016年2月には、閉園後の時間に東京ディズニーシーで大地震を想定した防災訓練を実施し、利用客約2,700人が参加している[35]

国・自治体・公的機関

[編集]

[編集]

地震対策にあたる主な国の機関を挙げる。

地震調査研究推進本部
1995年の阪神・淡路大震災から、1995年7月に制定された地震防災対策特別措置法に基づいて設置された組織である(略称: 地震本部)。
地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進について総合的かつ基本的な施策を立案することなどを目的としている(同法第7条第2項)。発足当時は、総理府に設置されていたが、中央省庁再編によって文部科学省へ移管された。本部長は文部科学大臣である。本部の下に政策委員会と地震調査委員会が設置されている。
政策委員会は関係各省庁の局長級幹部、地方自治体の長、学識経験者によって構成されており、各省庁の地震に関する研究及び調査観測計画の調整、予算配分の方針、調査の成果を社会に広報するための方針など審議している。定められた観測計画に基づき、強震計高感度地震計GPS連続観測点が全国に各1,000点ずつ整備された。この観測体制は世界随一である。また、地方自治体に交付金を配分し、活断層や地下構造の調査をさせている。
地震調査委員会では国立大学法人国立研究開発法人などの研究者が毎月集まり、国内の地震活動の状況について検討し、評価文を毎回公表している。大地震が発生した場合には一両日中に臨時会が招集され、検討が行われる。また、地震調査委員会の下に設置される長期評価部会では、全国の97の主要活断層や主な海溝型地震についてその危険性を検討し、発生確率や規模などを公表している。同じく強震動評価部会では、長期評価部会での評価に基づき、それらの地震が実際に発生した場合の揺れの大きさをコンピュータシミュレーションによって試算した地震動予測地図を作成する作業を進めている。2005年3月末には全国を概観した地震動予測地図の第一版が完成し、表層地盤増幅率など、各地域で将来見舞われる地震動の大きさが把握できるようになった。これは「地震ハザードステーション」でも公開されている。
中央防災会議
災害対策基本法に基づいて設置された内閣総理大臣を長とする機関であり、事務局は内閣府である。
会議は内閣総理大臣、全ての閣僚、指定公共機関の長4名(2015年現在は日本銀行総裁、日本赤十字社社長、NHK会長、NTT社長)及び学識経験者5名によって構成されている。国の防災基本計画の策定や重要施策の決定、大規模地震対策特別措置法に基づく東海地震地震防災対策強化地域の指定(2002年4月見直し)、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法に基づく地震防災対策推進地域の指定(2003年12月)などを行っている。地震のほかにも火山災害や風水害などの政策も担っている。
気象庁
気象業務法に基づいて地震観測を行って、マグニチュード震度などの地震情報を発表している。
また、東海地震予知のための地震防災対策強化地域判定会(通称: 判定会)を設置しており、気象庁が行っている前兆現象の観測結果から東海地震の発生が予知された場合には内閣に報告し、内閣総理大臣が警戒宣言を発令する。

なお日本では、過去に震災のあった日を記念日に定めており、国民の防災意識を高めるためのさまざまな行事を実施している。

自治体

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地震による被害が発生した場合、救助・救急や火災の消火活動を行うのは主に市町村の消防本部消防団である。自治体による地震対策の1つとして、消防本部や消防団における、地震時の対応を想定した装備・設備の改良や訓練等が挙げられる。また、消防により定期的に行われている広報活動を通じて、地震への対策を市民に呼び掛ける手法も多用される。

自治体による防災活動の一環として、例えば耐震性の低い建物・構造物の調査・補修など、地震災害の危険箇所を調査してその対策を講じることも求められる。また、耐震性や危険箇所の情報公開を行うなどの対策も必要とされている。

一次避難場所・広域避難場所避難所等の設定を行うのも自治体であり、その責任を負っている。また、それに関連して防災倉庫等を設置することも求められる。

公的機関

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地震対策にあたる主な公的機関を挙げる。

地震予知総合研究振興会
地震予知と防災に関する研究を目的として、1981年1月22日に設立された公益財団法人。下部組織に地震防災評価機構地震調査研究センター東濃地震科学研究所がある。
地震予知連絡会
国土交通省国土地理院に設置されている。地震予知に関する観測データや研究成果などの情報交換のために設置されている。国立大学法人北海道大学東北大学筑波大学東京大学東京工業大学名古屋大学京都大学九州大学統計数理研究所、国立研究開発法人防災科学技術研究所、国立研究開発法人海洋研究開発機構、国立研究開発法人産業技術総合研究所海上保安庁、気象庁、国土地理院から選出された30人の委員及び若干名の臨時委員と名誉委員から構成される。
地震・火山噴火予知研究協議会
東京大学地震研究所に1978年に設置された機関である。東京大学の機関であるが、「地震予知のための新たな観測研究計画の推進について」という建議に基づき、各国立大学で行われている地震予知研究の方針、観測計画や予算に関する調整を大学間で行っている。大地震発生時の緊急対応のほか、政府と大学の間の窓口としての役割も担っている。2007年現在、国内の各地域を分担するように、北海道大学・弘前大学・東北大学・東京大学・名古屋大学・京都大学・高知大学・九州大学・鹿児島大学によって運営されている。

大規模地震の事前の対策

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想定

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日本列島周辺のプレートの分布
日本列島周辺のプレート境界と主な地震および活断層

日本では、地震に対する防災対策を進めるために調査観測体制がとられ、地震調査研究が行われてきた。

想定は、過去の歴史地震による。今後起こりうる南海トラフ巨大地震などの大地震やそれに伴う津波の規模、被害範囲などを想定することは非常に難しく、想定した規模が実際に起こる最大規模の地震・津波であるとは言い切れない[37]

地震予知

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地震の発生を予知する研究は続いているものの、地震が発生する場所や日時を厳密に予測することは不可能だとされている[38]。百年から千年といった間隔で起こる大地震の場合、震源域では地震発生前に地殻変動が観測されるものの、数日から数か月といった近い将来の地震発生の予測に結びつけることは困難である。また、地震予知の誤りは社会や経済に混乱を引き起こしかねない[39]

活断層の地震発生確率

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日本列島には2,000以上の活断層があるとされる[40][41]。阪神・淡路大震災の後に政府の地震調査委員会が全国約180か所の活断層の地震発生確率を公表したが、未確認の活断層もあって予測には不確実さがある[42] [注 1] 。活断層の活動間隔は数千年から数万年であるため、地震の発生が迫っていても30年から100年という短い期間での発生確率は低くなることから、あくまでも目安ととらえるべきだとされている[47]

被害想定

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2012年(平成24年)3月の参議院予算委員会公聴会において、藤井聡(京都大学大学院)は西日本と首都圏で震災が発生した場合の被害額の推計として、東日本大震災発生前に中央防災会議が試算していた、112兆円から350兆円という数字を挙げている[48]

M9.1の最大規模の南海トラフ巨大地震の想定震源域(2013年、地震調査研究推進本部 地震調査委員会)

2012年8月には、内閣府より南海トラフ巨大地震の被害想定が公表された[49]。最悪ケースでは、死者約32万人、負傷者約62万人、要救助者約34万人、倒壊・焼失約240万棟に上る。最小想定でも死者約3.2万人、全壊・焼失棟数約94万棟と見込まれる[50]。津波については、最大高34m、浸水面積は浸水深さが微弱以上で最大約1,000平方kmとされた[51]

この南海トラフ巨大地震による被害については、超広域に
わたる巨大な津波、強い揺れに伴い、西日本を中心に、
東日本大震災を超える甚大な人的・物的被害が発生し、
我が国全体の国民生活・経済活動に極めて深刻な影響が生じる、

まさに国難とも言える巨大災害になるものと想定される。 — 中央防災会議、2012年[52]

その後、2013年3月に内閣府より詳細な被害想定が公表された。被害総額は最大ケースの想定で約220兆円(内訳は建物とインフラで約170兆円、経済活動での損失が約45兆円、道路や鉄道の不通による損失が約5兆円)と見込まれた。人的被害では最大想定で、断水被害人口約3440万人、下水道利用困難人口約3210万人、停電約2710万軒、避難者最大約950万人、避難所収容必要数約500万人、エレベーター閉じ込め被害約2.3万人、帰宅困難者はピーク時で約1000万人、被災する可能性のある人口は総計約6800万人となった。ほか、固定電話の通話不可約930万回線、都市ガス供給不可約180万戸、災害関係廃棄物(がれきなど)約2.5億トン、津波による堆積物(土砂など)約6千万トン、道路施設被害約3-4万か所(いずれも最大想定被害)などとされた[53][54][55][56]

1923年大正関東地震(赤塗りの領域)と1703年元禄関東地震(赤点線内の領域)の想定震源域(地震調査委員会、2004年)

2003年、ミュンヘン再保険は、世界各国の大都市における自然災害リスクについて評価し、東京と横浜を最もリスクの高い都市だと発表している[57]。これらの都市を襲う南関東直下地震(首都圏直下地震)については中央防災会議が2012年7月に「首都直下地震対策は、我が国の存亡に関わるもの」と謳っている[58][59][注 2]。予想される最大被害は、死者約1.1万人、負傷者約21万人(うち重傷者約3.7万人)、家屋の倒壊や火災による損失約85万棟、被害額約112兆円。帰宅困難者約650万人[61][62]

ほか、北海道太平洋沖の千島海溝での大地震に関しては、「 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成十六年法律第二十七号)」 が制定されている。

建築物等の耐震化

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耐震補強工事の例。千葉大学事務局(2013年7月撮影)

2013年11月に改正耐震改修促進法が施行され、特定建築物の耐震診断と公表が義務づけられた[63]。1981年以降の耐震基準を満たす建物を、2015年をめどに全体の9割まで増やすことが目標である[64]。このうち、病院・旅館・福祉施設・学校といった多くの人が利用する施設で一定の規模以上のものなどは、2015年末までに耐震診断を受けることが義務づけられた。該当する建物は2013年現在で約4,000棟と見込まれている[65]

安全な地域への誘導

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目黒公郎(東京大学)らの研究によれば、2008年現在、活断層[注 3](総延長約10,300km)の周囲0.4km以内に住む人は全人口の2.3%に過ぎないという。研究では、大幅な人口減少によって空いた地域を活用し、地震や津波の被害のリスクが高い地域に住む人々を安全な地域に誘導することを提言している[67][68]

防災訓練と防災力の向上

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防災訓練

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東京都内のバス乗降場に貼り出された、防災ブック『東京防災』の広報ポスター(2015年9月撮影)

国や地方自治体、関係機関には、個人や地域を対象とした防災研修や防災関係の資格制度の充実化が求められている。発災時に自力での脱出が困難な人を地域住民で救出したり負傷者に応急処置を施したりする実践的な防災訓練や、過去の大災害に基づく教訓を語り伝える活動といった防災教育の推進も求められている[69]

また、国や地方自治体、関係機関には、住民や企業等への防災情報の提供が求められている。想定される被害や、非常食や日用品の備蓄の必要性、家屋などでの地震対策の勧めについて、パンフレットやマニュアルを作成・配布したり役所窓口やホームページなどで説明するなどして啓発を行なうべきとされている[69]。東京都の場合は、2015年9月に都内の各家庭に対し、防災ブック『東京防災[70]の配布を開始した。首都直下地震などさまざまな災害についての情報を提供し、災害への備えを万全にしてもらうことが狙いである[71]

備蓄

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大地震の影響で平時のような食事が用意できなくなる事態に備えて、各家庭での災害食・非常食の備蓄が推奨されている。最低3日分、可能なら7日分(1週間分)を備蓄するのが望ましい。1人分の7日分として、飲用水21リットル、アルファ米や即席ラーメン、ビスケットといった主食類を21食、肉や魚の缶詰、レトルト食品、乾物といった主菜類を21食(以上は必須)。ほかに梅干しや海苔、野菜の缶詰やジュース、即席の味噌汁やスープといった汁物、さらに果物の缶詰やジュース、調味料、嗜好品も備蓄する。非常食として特別に確保せずふだん購入している食品を多めに買い置きしたり、消費しながら買い足していくのも良い。熱源としてカセットコンロも用意しておく[72]。非常食は水分が少ない物や味の濃い物が多く、喉が渇きやすくなるため、飲用水を最優先に備蓄するのが望ましい[73]。しかし、キリンビバレッジが2013年に実施した調査によれば、家庭において飲用水のストックをしているのは調査対象の約半数であり、大地震発生後から救援が届くまでの3日間に必要だとされる、1人10リットル以上の備蓄をしている家庭は調査対象の約4%であった[74][75]

非常食は家の1ヶ所にまとめて置かずに分散して保管し、津波被害の予想される地域では2階にも保管するようにする。大規模災害が予想される地域に住んでいる場合、避難時に持ち出す最小限の非常食だけを自宅で保管し、残りの分は離れた地域に住む親戚などに預けて発災後に届けてもらう方法も考えられる[73]

経済産業省は、「日常のトイレットペーパーとは別に、1ヶ月分余分にトイレットペーパーを備蓄」することを推奨している。東日本大震災では被災地のみならず全国的にトイレットペーパー不足が発生したこと、トイレットペーパーの約40%は静岡県で生産しており東海地震等が起こると深刻な供給不足となるおそれがあることを理由として挙げている[76]

津波対策

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2014年(平成26年)8月開催の「第8回 日本海における大規模地震に関する調査検討会[注 4]」での報告によれば、日本海側で津波を引き起こす原因となる断層で大地震が発生した場合、30cmの高さの津波が沿岸の6道県15市町村には発震後1分以内に、14道府県の82市町村には10分以内に到達する(最大高の津波の到達時間は異なる)と予想されている[77][78][79][80][注 5]。文部科学省は、日本海側の防災対策策定のために「日本海地震・津波調査プロジェクト」(2013年-2020年度)で日本海側の沖合や沿岸の地下構造の調査を実施している[82][83]

防潮堤は、津波を防ぎきれるわけではないが、避難時間を確保するなど内側の地域の被害を軽減することができる。津波到達前に地震動で壊れることのないよう、海岸堤防への耐震対策が求められている[84]

東日本大震災では、水門を閉める作業にあたった消防団員の多数が津波の犠牲となった。水門は津波のおそれがある場合に何らかの方法で閉鎖する必要があるが、全国(岩手県・宮城県・福島県を除く)の水門等約1万か所のうち、遠隔操作や自動で閉まるものは、2012年3月末で6%である[85]。自動化できない水門は常時閉鎖としたり、地震発生時に閉鎖作業にあたる人の安全を確保できる体制を整えるなどの対策が必要であろう[86]

土砂災害・地盤対策

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2012年10月、防災科学技術研究所が、表層地盤増幅率が2.0以上(特に揺れやすい)である地域に住む人口が約2200万人であるとする分析結果を発表した。分析によれば、30年以内に26%以上の確率で震度6弱以上の揺れに襲われる地域に居住する人口は全人口の4割強にあたる約5300万人で、3%以上の確率であれば8割の約1億人であるという[87]

ライフラインとインフラの確保対策

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水道

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陸上自衛隊の東日本大震災災害派遣活動、断水地域での給水支援(2011年3月15日、陸上自衛隊撮影)

2013年3月に公表された南海トラフ地震の被害想定における、上水道の給水人口に対する断水人口は、地震発生直後は東海地方の3県(静岡県、愛知県、三重県)で約6-8割、四国の4県(徳島県、香川県、高知県、愛媛県)で約7-9割、九州の2県(大分県、宮崎県)で約9割と見込まれた。地震発生から1ヶ月後では、東海3県で約1-2割、四国で約1-2割、九州2県で約1割が断水したままである[88][注 6]

大地震による断水に備え、各自治体では、住民に給水するための給水拠点を地域ごとに設置したり、避難場所に災害時用の井戸を設置したりするなどの対策を行っている[89]。また、東京都が2015年に策定した「東京水道施設整備マスタープラン」のように、上水道の耐震化を進める例もある。東京都の場合はたとえば、管路の耐震継手率は2015年現在は35%だが2022年度までに59%に引き上げる[注 7]。これにより給水の復旧見込みも2015年現在の30日後を2022年度までに16日後に短縮する。また大規模停電時における給水確保率58%を2021年度までに100%に、優先避難所・主要駅へ給水する管路の耐震継手率31%を2019年度までに100%に、ろ過池耐震施設率76%を2018年度までに100%に引き上げることを目指している[90]

家庭での断水対策として、1人1日3リットルの3日分で9リットル程度の飲用水の備蓄が推奨されている。このほか、ペットボトルやポリタンクに水道水を貯めておいたり、浴槽にいつも水を張るなどして、日常生活に必要な水を確保しておくことも勧められている[89]。企業などでも、飲用水を備蓄するほか、受水槽や貯水槽の容量の見直し、地下水や雨水の利用といった対策が考えられる。また、社屋で水冷却式の空調設備を使用している場合は空冷方式への変更も検討課題となろう[91]

下水道

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東北地方太平洋沖地震の地震動により浮き上がったマンホール(千葉県浦安市、2011年4月1日撮影)

下水道はインフラの中で水道に並ぶ重要性を持つ[92]。各家庭等からの生活排水・汚水を排除して公衆衛生を保ち、汚水を処理して周辺地域の水質を保全する。さらに、雨水を排除して浸水被害を防ぐ機能もある[93]。ところが下水道が地震で被災しても、水道や電気・ガスのような代替手段・方法を確保することができない(トイレそのものは簡易トイレ等で代えられるが、汚水や生活排水を排除・処理する機能を代替するものはない)。また、下水管は道路に埋設されたり河川や鉄道路線を横断したりしており、下水管の破損が二次被害を招く可能性もある[92]。汚水が市街地に溢れることで、感染症の発生や上水道の水源の汚染のリスクも考えられる[94]

東日本大震災では、沿岸部にあった下水処理場やポンプ場が津波で被災して汚水処理ができなくなる事態が発生した[93][注 8]。同じく東日本大震災では、千葉県浦安市で大規模な液状化現象によって市内の下水道の管渠の8%以上に被害が生じ、下水道ポンプ施設の一部も停止して、1万戸以上が下水道の使用制限を受ける事態となった[97][注 9]。液状化については、新潟県中越沖地震でも新潟県内で下水道の被害が発生したが、その3年前の新潟県中越地震で被災して耐震工事を施していた下水道では被害がみられなかったという[100]。下水道設備の耐震化には長い期間を要し、多額の費用もかかる[93]。したがって、耐震化による防災だけでなく、被害をできるだけ減らす減災をも考慮した地震対策が必要となる[92][93]。大村達夫(東北学院大学)は、耐震化だけではなく簡易処理施設を避難拠点近くに分散設置することが大事であるという[101]

通信

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大地震による災害時には、各電話会社により、電話など通信の混雑への対策として災害用伝言ダイヤルが設置されるなどしている。災害用伝言ダイヤルは、直接の被災者を対象として設計されている。携帯電話PHSにおいても災害用伝言板サービス等の同様のウェブ上サービスがある[102]。また、自治体や民間が協力して臨時災害放送局を設置し、被災者への情報提供が行われた例もある[103]

エレベーター

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国は2009年9月に建築基準法施行令を改正し、新設エレベーターに安全装置の設置を義務づけた。この装置により、一定の地震動を検知するとエレベーターが最寄りの階に停止し自動的に扉を開くなどして、利用者のエレベーター内への閉じ込めを防ぐことができる[104]。2012年度には、既設のエレベーターへの対策を進めるため国が直接改修費を補助する「既設昇降機安全確保緊急促進事業」が実施された[105][106]

また、閉じ込めに備えて、エレベーター内に飲用水や乾パン、簡易トイレなどを収めた備蓄ボックスを設置している例もある。たとえば東京都港区は、区所有の156施設にある約300基のエレベーターに備蓄ボックスを設置するため、2012年度に約1450万円の予算を計上した[107][108]

長周期地震動対策

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長周期地震動については、2003年十勝沖地震による被害(苫小牧市にある石油タンクでスロッシングによる火災が発生)で広く知られるようになり、その対策が始まった[109]

2015年12月、国は南海トラフ地震による長周期地震動の揺れの想定を公表した。検討の対象となったのは、過去三百年以内に発生したM8クラスの地震5つと、これらの地震から推定したM9クラスの最大規模の地震である[110][111][112]。国土交通省は2015年に、南海トラフで百数十年に1回程度の頻度で発生する大地震の影響を受けるとみられる関東などの地域に建設する、高さ60mを超える建物や免震構造を備えた建物の設計にあたっては、構造計算の基準において「少なくとも周期 0.1 - 10 秒の成分を含み、継続時間が500秒以上の長周期地震動を用いる」とする方針を出した。また既存の建築物に対しても、安全性の再検証や必要な補強の実施を求めた[113]

液状化対策

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また、国土強靱化の一環として、国は2013年からコンビナートの地震対策を進めている。コンビナートは1964年新潟地震以前の液状化対策がされていないものが多い。全国約80か所の半数の約40か所が地震・津波危険地帯の東京湾伊勢湾大阪湾瀬戸内海に集中するため、同年よりこの4地域の重点調査を開始している。調査費は200-300億円、対策費は1兆円と見込まれる[114][115]

防災情報対策

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国や地方公共団体には、災害の情報や被災地地域の状況を的確かつ迅速に把握 [注 10] し、関係機関と状況を共有して連携して対応にあたることが求められている[119]。また、情報を即時かつ直接配信できる、インターネットのホームページやソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS) を活用しての情報提供についてもあらかじめ検討しておく必要がある[120]

東日本大震災ではインターネットや携帯電話での情報交換が注目されたものの、こうした通信機器の利用を苦手とする人は今なお少なくない。災害情報の提供手段としてインターネット等が主力になっていくと「情報弱者」が「社会的弱者」になりかねない。避難所に情報提供のためインターネット端末を置く場合は銀行の現金自動預け払い機の画面のようなわかりやすいユーザインタフェースにするなど、誰でも情報が得られる工夫も必要になるだろう[121]

重要な情報の保存

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2014年現在、日本のデータセンターの70%が関東地方にあるという。データセンターは建物を免震または制震構造としているが、首都直下地震が発生し大規模な停電が起きると機能を停止してしまう。停電に備えて自家発電装置もあるが、おおむね72時間で発電機の燃料がなくなると言われている。そうした事態に備えて、データセンターのデータは遠方の別のデータセンターにバックアップされているが、センターによってはバックアップを1日1回しか実施せず、そのため地震発生前の最後のバックアップ分までしか残せない可能性がある。また、データセンターのデータの利用者は、関東地方のデータセンターから遠方のデータセンターに切り替えれば直ちに業務を継続できるが、首都直下地震の影響で電話線光ケーブルが切断されている地域の利用者はデータセンターに接続できないという問題がある[122]

東日本大震災では戸籍データが津波で消失・滅失した事例があった。岩手県陸前高田市大槌町宮城県女川町南三陸町で、津波による浸水で庁舎内にあった戸籍システムサーバが水没し、磁気データとして記録されていた戸籍、計38,622件が失われた[123][124][125] [注 11] 。震災のあった時点では、戸籍データは磁気テープに記録されたその副本が市区町村から管轄法務局に年1回送付されていた[123]。法務局は副本に基づいて戸籍の再製データを作成して4市町に提供し、4市町において戸籍の再編が行われた[123]。副本データは震災の前年の3月分までしか残っていなかったが[124]、前年4月以降に提出された婚姻届や出生届などで補ったり[125]、住民に自己申告するように告知するなどした[125]。このように東日本大震災では副本データによって戸籍を再編することができたが、データがバックアップされていなかった部分の再編には時間と労力を要した。また、市区町村庁舎と管轄法務局が同時に被災すれば、戸籍データが正本も副本も滅失する事態が考えられた[注 12]。そのため、法務省は2013年(平成25年)1月に戸籍法施行規則の一部を改正し、市区町村で更新された戸籍の副本データを遠隔地にある戸籍副本サーバに送信することとした。副本データはセキュリティ性の高い総合行政ネットワーク (LGWAN) を利用して毎日送信される[133][注 13]。管轄法務局 [注 14] は副本データを保管せず、遠隔地のサーバに保管された市区町村の副本データを管理することとなった[136]。運用は2013年9月から始まった[137]。なお、以上は戸籍がデータ化されている市区町村についての説明であり、戸籍のデータ化を行っていない市区町村では異なる対応となる[136]

法務省は2013年に、首都直下地震などの大規模災害時にも日本各地にある所管施設(法務局、検察庁など)を相互に結ぶネットワークを維持するべく、通信回線の二重化を図ることとした[138]。情報の暗号化のために、法務省や所管施設間の通信は首都圏にある法務省の特定の施設を必ず経由していたが、大災害で首都圏の特定の施設や通信網が被災すれば、たとえば九州内の異なる施設同士でも通信ができなくなる。そのため、首都圏から離れた関西地方などに、首都圏の施設と同等の機能を備えた施設を併設することで、一方が被災しても一方が稼働して引き続きネットワークを運用できるようにする[138]

応援計画

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2014年6月の総務省の調査によれば、岩手・宮城・福島の3県を除く44都道府県と抽出した168市町のうち、都道府県の66%・市町村の93%が被災地に地方自治体が職員を送るための応援計画を作成していなかった。総務省は、2012年9月に「防災基本計画」[139]を修正し応援計画の作成を求めたが進捗していない旨を指摘した。また支援物資を一時集積する拠点を選定していないのが都道府県で20%、災害時に優先して燃料の提供を受ける協定を結んでいないのが、都道府県の18%・市町村の38%だった[140]

地震発生の警報と告知

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地震警報システム

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緊急地震速報のしくみ

地震が発生したのを即座に関知し日本中に知らせる地震警報システムとして、緊急地震速報がある。震源に最も近い地震計がP波初期微動)を感知するとそれを気象庁に伝え、気象庁は予想される地震の規模や震度4以上の揺れに見舞われる地域を自動計算して直ちに日本中に緊急地震速報を発信する。これにより、S波主要動)が到達する数秒から数分前には地震発生を知ることができる[141]。2004年2月に一部地域での試験運用が始まり、2006年5月に先行提供開始、2007年10月からは一般に向けての提供とNHK民間放送局での緊急地震速報の放送、および全国瞬時警報システム(Jアラート)の運用が開始された。[142]文部科学省は、2012年度(平成24年度)からの3年間で、国公私立の幼稚園と小中高校約5万2千校に緊急地震速報の受信端末を整備している[143]。携帯電話やスマートフォンで速報を受信するサービスとしては、2007年12月にNTTドコモエリアメール、2008年3月にau緊急速報メールの提供を開始し、他会社も追随した[142]防災行政無線が緊急地震速報を住民に知らせている市区町村もある[144]。直下型地震の場合は緊急地震速報の受信が間に合わないこともあるが、主要動が到達する前に、室内なら机の下などの安全な空間に入ったり、屋外では看板やブロック塀の側から離れたり、自動車の運転中であればゆっくり減速するとともにハザードランプで周囲に注意を促すといった対応をとることができる[144][145]

ほか、走行中の電車や新幹線に地震動が到達する前に地震発生を知らせて停止させるシステムとして、ユレダスとその後継の早期地震警報システムがある(その項参照)。また、コンピュータで地震や津波の情報を配信・共有するP2P地震情報などのソフトウェアや、感震計により強い揺れを観測した際に警告を発する手法もある。

テレビ・ラジオでの告知

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NHKでは、本震の最大震度が6弱以上の揺れを観測する地震の発生や、津波警報が発表された場合、国際放送(NHKワールド)を含むテレビラジオのすべての番組を中断して、地震や津波の情報を伝えている(九波全中)。テレビでの地震情報は総合テレビ、衛星放送全チャンネル(衛星放送は震度3以上のみ)でテロップ表示を行う(教育テレビでも稀に表示されるが、NHKワールドでは一切表示していない)。ラジオではラジオ第1放送で該当地域のみ番組を中断し放送される(FM放送ラジオ深夜便の放送時のみに限られる)。FM放送は日中の放送では地震情報は放送されないが、津波が発生する可能性がある地震に限り番組を中断して放送される。NHKワールド・ラジオ日本については全国一斉に流れる場合に限りそのまま放送される。なお、NHK以外の民間放送局でも、概ね震度3以上の地震発生時、あるいは津波情報発表時にはテロップ表示を行っている。

また、NHKなどでは津波警報発表時や東海地震警戒宣言発表時に緊急警報放送を行っている。

大規模地震発生時の対策

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受援体制

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援助をするためには援助の受け入れ体制が必要である。それを「受援体制」という。

医療対策

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医療機関での対策

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兵庫県南部地震で被災した神戸市立西市民病院(1995年1月19日撮影、神戸市提供)

大地震の発生時には、病院や介護施設などで医療や介護の記録が失われ、治療などにも支障が出るおそれがある[146]。東日本大震災では病院や施設が津波で被災するなどして多くの患者の情報が失われ、診察時には医師が患者自身から服薬中の薬を聞き取らなければならなかった事例もあった。震災後、宮城県医師会と東北大学が、県内の医療機関や介護施設などを結ぶ情報ネットワーク上でカルテ情報を共有化することを目指す「みやぎ医療福祉情報ネットワーク協議会」(リンク)を立ち上げている[146][147]。厚生労働省も、2012年度から十数か所の中核病院と周辺の医療機関をネットワークで結んでの同様のシステムを構築し始めている。クラウド化に伴い、ハッキングなどによる情報流出への対策が必要となる[146]

要医療者に関する対策

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陸上自衛隊の東日本大震災災害派遣活動、患者搬送の様子(2011年3月13日、陸上自衛隊撮影)

2015年8月に木全直樹(東京女子医科大学、血液浄化療法科)らが発表した調査結果によれば、首都直下地震では、医療施設の耐震性不足・自家発電装置無し・水不足などによって人工透析を受けられなくなる患者(いわゆる「透析難民」)が首都圏で2万人から3万人にのぼるおそれがあるという。透析なしの生活のタイムリミットは3日間とされる[148][149]が、東京都の計画によれば、大規模地震が発生し透析患者が避難する場合は、東京女子医大と杏林大学が患者の情報をまとめ、その報告を受けた都が患者の受け入れを他自治体に打診してからの避難となり[149][150]、その事務手続きに数日以上かかると見込まれている[149]

人工透析のほか、病院や自宅で人工呼吸器人工心臓装置吸引器を使用している場合も、停電によって生命維持が困難となるおそれがある。病院の場合は自家発電で機器を動かすことができるが発電機の燃料を入手できなくなる可能性もある。妊産婦や新生児の健康管理にも電気や水が不可欠である。こうした人たちは、ヘリコプターなどで電気も水も通っている病院に急いで運ぶ必要がある[151]

交通対策

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地震発生後、早期に新幹線を止める早期地震警報システムがある[152][153][154]

国土交通省は港湾法を改正し、東京湾、大阪湾、伊勢湾の各湾内の航路を「緊急保全航路」として事前に指定し、緊急時には輸送船の航路を阻むがれきを国の権限で撤去・処分できるようにする[155][156]

交通渋滞への対策

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大勢の人々が自動車で避難することにより大渋滞が生じ、逃げ遅れにより津波の犠牲者が増加するおそれがある[18]。また、三重県尾鷲市内で高齢者の多い地域を例にした避難のシミュレーションでは、車での避難者が15%を越えると渋滞がどんどんひどくなっていった(%は地域によって異なる)。東日本大震災後、市町村よりさらに細かい単位で防災計画を立てる「地区防災計画」が定められたが、計画で車使用者をあらかじめ定めるとしてもその線引きの難しさが指摘されている。高齢者なら車で避難する必要があるが、車使用の制限についての話し合いはほとんどなされていないという[18]。また、交通渋滞は救援側の進路も塞ぐ[157]ほか、避難中の車がガス欠となり路上に放置される原因ともなる[158]。国や地方公共団体には、自動車での避難の自粛を周知するとともに、発災時に一般車両の通行制限を実施することなどが求められている[159]

燃料の供給対策

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自動車の燃料は物資等の輸送に不可欠であるが、燃料を供給するには、各地へ安全に輸送する手段、燃料を保管する油槽所、自動車に給油するための施設といった物流システムが確立していなければならない。また、ガソリンスタンドは燃料を各地に分散して貯蔵する言わば「災害時インフラ」の役割もあるが、スタンド自体が全国的に減少している。従って、大地震が起きる前からの対策としては、個人では乗用車の燃料の残量が1週間分を切らないようこまめに給油する、自治体では公用車をガソリン車よりディーゼル車で配備する、といった対応が挙げられよう[160][161]

避難

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避難所

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陸上自衛隊の東日本大震災災害派遣活動、簡易浴場を設置しての入浴支援(2011年3月21日、陸上自衛隊撮影)

大地震などにより自宅にいることが危険となった場合に、地域住民や地域に滞在中の人々が一時的に移動して安全を確保できる、宿泊も可能な施設が避難所である。多くの自治体では、小・中・高等学校の校舎や公民館等が避難所に指定されている。発災後、自治体の職員がそれらの施設に出向いて避難所を開設・運営する準備を行い、避難してきた住民などを受け入れる[162]

巨大地震発生時には、避難所となるはずの施設に自治体職員が出向くことが困難となり、避難所の開設の遅れや運営に携わる人員の不足が予想されている。そのため、たとえば千葉市では地域住民(自治会や地域防災組織など)自身が避難所の開設・運営にあたる「避難所運営委員会」の設立を推奨している[162]

避難民と帰宅難民

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東北地方太平洋沖地震発生後の東京都・新宿駅南口の様子(2011年3月11日16時頃撮影)

三菱総合研究所の推計では、東日本大震災の際に首都圏にいて帰宅困難となった人々は、徒歩で帰宅した人が約600万人、当日の帰宅を断念した人が約260万人だったという[163]。また、首都圏の帰宅困難者のうち約3割は、買い物などの目的で外出中の人々であった。首都直下地震が発生した場合、都内に避難先のない人々は約100万人にのぼると推定されている[164]。さらに、南海トラフ巨大地震での帰宅困難者は、前述のように、ピーク時で約1000万人に達すると見込まれている[56]

鉄道各社は、大地震によって乗客などが駅構内や列車に一時的に留まらざるを得なくなる事態に備えた準備を進めている。たとえば西日本旅客鉄道(JR西日本)は、新幹線や在来線の主要駅58箇所(関西・北陸・中国地方)に、計5万食のビスケット・水と1万9千枚の断熱シートを2013年初めまでに備蓄する予定である[165]。また東日本旅客鉄道(JR東日本)は東京駅から30km圏内の200駅を震災時に開放する方針を打ち出すとともに、計6万人分の非常食や水、毛布の備蓄を進めている[166][167]小田急電鉄も、新宿駅や町田駅全ての駅に、計2.5万人分の飲用水とアルミ製ブランケットを配備した[168][169]

なお『大規模地震防災・減災対策大綱』は地方自治体に対し、帰宅困難となった人が健常であれば現在留まっている地域での救援活動にも参加できうるという観点での、救援活動計画における帰宅困難者の役割について検討することを求めている[170]

避難弱者・震災関連死

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2004年(平成16年)7月に新潟・福島豪雨福井豪雨が発生した際、高齢者や障害者など災害時に周囲の支援や保護を必要とする人々(災害時要援護者)への援護が不十分であることが問題となった。このことを機に、国は翌2005年(平成17年)3月に「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」を策定した(翌2006年(平成18年)3月に改訂、リンク[171][172]。地域に住む災害時要援護者の避難計画や支援計画を立てるにあたり、こうした人々の個人情報が必要となるが、閲覧や開示などの法令上の規定はなかった。そのため、個人情報を第三者に提供できる規定を利用して要援護者の情報を関係機関などが共有したり、要援護者として登録を希望する人のみ情報を収集したり、要援護者に該当する人に自治体の担当者や民生委員が直接働きかけて同意を得て情報を収集していた[172]。その後起こった東日本大震災では、被災地全体の死者の約6割は65歳以上の高齢者であり、障害者の死亡率も被災地全体での死亡率と比較すると約2倍であった[173]。そのため国は、高齢者など避難時に支援を要する人々の名簿(避難行動要支援者名簿)の作成を市区町村に義務づけ、名簿に登録される本人の同意を得た上で避難の支援にあたる民生委員などに情報を提供し、発災時には本人の同意を得なくとも情報を支援側に提供してより実効的な避難を行えるよう、2013年(平成25年)6月に災害対策基本法を改正し、「ガイドライン」を改定した「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」(リンク (PDF) )を策定した[172][173]。改正災害対策基本法は2014年(平成26年)4月に施行された。消防庁によると、2015年(平成27年)4月1日現在で避難行動要支援者名簿を作成済みの市町村(調査対象1,734団体)は52.2%で、2015年度末までには98.0%が作成済みとなる予定である[174]

ライフラインとインフラの復旧対策

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陸上自衛隊の東日本大震災災害派遣活動、米軍と協同で行われたがれき等の除去作業(2011年4月1日、陸上自衛隊撮影)

保健衛生対策

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陸上自衛隊の東日本大震災災害派遣活動での防疫作業(2011年4月7日、陸上自衛隊撮影)

トイレ

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地震後に下水道に被害がなく使用できても上水道が使えない時は、水洗トイレでは備え付けのタンクの水で汚物を流せなくなる。1回の排泄後に必要な水の量は約8-10リットルと言われており、バケツなどで水を便器内へ流し入れることになる。下水道も使えない時は、使い捨ての非常用トイレを使ったり、便器内にゴミ袋をセットし排泄後に袋ごと捨てるなどの対応をする[175]。大地震後は、停電や上下水道の使用不能を考慮すると汲み取り方式のトイレを用意せざるを得ないと予想されている[176]

避難所で必要なトイレの数は、状況によって変わるものの、おおむね100人に1台以上の割合とされている[177]。臨時的に設置された簡易型トイレを使用する場合、手すりやスロープがないと不自由する障害者や高齢者、汲み取り式に慣れていない子供に対する設備上の工夫や、女性や日本語を理解できない外国人が安心して使えるような配慮が必要となる[178][注 15]。トイレを使うのを避けるため水分の摂取を控える状態が長く続くと脱水症状に至り、脳卒中静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)などのリスクが高まる。さらに免疫力も低下して尿路感染症などを起こすこともある[180]。トイレの清掃が不十分だと感染症の流行の原因となり、不潔なトイレを嫌がって避難者がトイレの我慢をすることも考えられるため、トイレの清潔を保つことが望ましい[181]。感染症拡大防止のためトイレ使用後の手指消毒を励行する[182]

下水道が整備されていない地域では合併型浄化槽を用いていることが多いが、津波で浸水した場合、漏電とそれに伴う火災や、浄化槽内に設置された消毒剤の流失が予想される。また浄化槽の内部から汚物が漏れ出した場合は周囲を消石灰で消毒する必要がある[183]。浄化槽は各家庭や施設で設置していることが多く、地震対策は遅れがちである[176]

自治体のゴミ収集

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大地震の後は自治体によるゴミ収集がしばらくの間不可能になることが予想される。家庭から出るゴミは、通常の生活に伴うゴミに、地震で壊れた家財類や、トイレが使用できないことから生じる汚物が加わる。ゴミの出し方や分別方法は自治体からの指示に従い、ゴミ収集再開まで家庭でゴミを保管する場合は生ゴミや汚物に消臭剤を振りかけるなどして悪臭を防ぐ工夫が必要となる[184]

防犯対策

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大地震が起こった後の混乱のさなかでも治安を保つため、警察の警備体制を保持するとともに、警察OBや地域で防犯活動にあたるボランティアなどとの協力も必要となる。流言飛語は混乱を拡大するおそれもあることから、地方公共団体には、インターネットや地上デジタルテレビ放送をはじめとするさまざまな方法を用いた、誤った情報を訂正する情報や治安に関する地域ごとの情報を提供することが求められる[185]

遺体の火葬・埋葬

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東日本大震災の際、宮城県では火葬が間に合わず、一時的に土葬する仮埋葬が行われた(宮城県石巻市、2011年6月7日撮影)

南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震では数十万人の死者が予想されており、国や地方公共団体には、遺体の保管体制や仮安置所の確保、遺体の運搬体制の確保、火葬に必要な物資の確保、さらに火葬場の耐震化や津波対策が求められている[186]。阪神・淡路大震災では、死因の約90%が家屋倒壊であり自宅で亡くなった人が多かったため、遺体の身元確認が容易であったという[187]。また震災のあった地域には多数の火葬場が整備されており、その多くが地震の被害を免れて稼働することができ、1月という低温の時期であったため遺体の保存が1-2週間は可能であり、国や自治体も積極的に支援したため、6千以上の遺体の火葬・埋葬は、3週間ほどかかったものの概ね順調に進めることができたという[188] [注 16] 。しかし、首都圏直下地震や南海トラフ巨大地震の場合は被災地域が超広範囲であり、火葬場の稼働状況や気象条件によっては火葬・埋葬や遺体の保存が非常に難しくなることが予想されている[188]。多くの火葬場は燃料に灯油を用いているが、2012年現在東京都内にある24か所の火葬場のうち10か所は燃料に都市ガスを用い、その10か所で都内の1日の最大火葬数の80%をまかなっている[190]。都市ガスは大地震後の復旧に時間がかかることからプロパンガスに切り替えるなど、ライフラインの途絶への対応が必要だとの指摘がある[191]。発災が外気温の高い時期であれば遺体は早急に傷んでしまい、身元確認に支障を来すほか防疫上の問題も生じるため、遺体保存に必要なドライアイスを調達し各安置所に適正に配布するための体制を確立しておく必要性も指摘されている[187]。特に津波で亡くなった遺体はひどく傷んでいるため、遺体の身元確認にあたっては歯科医師も含めて多くの医師を全国から集める必要があるが、同時に、遺体の対応にあたる人々の心のケアを行うカウンセラーの派遣も事前に考慮しておく必要がある[186]。遺体を集中的に安置し遺族による確認を容易にする体制や[187]検死と身元確認を的確に実施し速やかに遺族に引き渡せるような体制を整えることが求められている[186]。さらに、自治体によっては大規模災害時の応援協定を葬祭関係の団体との間で締結している。全国霊柩自動車協会とは多数の遺体を緊急輸送する協定、全日本葬祭業協同組合連合会や全日本冠婚葬祭互助協会とは棺などの葬祭用品の供給協力の協定を締結するなどの事例がある[192][注 17]

複合災害対策

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東日本大震災、千葉県市原市コスモ石油千葉製油所でのLPGタンク火災[194]の様子(2011年3月11日撮影)

大地震の発生後の余震や降雨で、天然ダム(河道閉塞)の決壊による被害や地盤の崩壊などが起こりうる。台風暴風高潮集中豪雨土砂災害火山噴火[注 18]などの気象災害、原子力発電所や石油コンビナートなどでの事故や火災[注 19]、有害物質の漏洩による環境破壊や健康被害、といった災害が起きる可能性がある[200]。また、濱嶌良吉(元・前橋工科大学)によれば、首都直下地震では地震動によって南関東ガス田からメタンガスが噴出し、大規模火災で生じた火災旋風にさらに勢いを与える可能性もあるという[201]。このように、ある災害の後に同規模以上の異なる災害が連続して起こる状況は複合災害と呼ばれる[199]。国や地方公共団体は、これらの複合災害にも対応できる体制を構築する必要がある[200]

東京都江戸川区では、首都直下地震で堤防の沈下や破壊があった後に台風が来た場合、荒川や江戸川が氾濫し東京湾からは高潮が襲ってきて区の広範囲が水没する可能性があることを区民に伝え[199][202]、早期の避難や万一逃げ遅れた場合に備えた対策が必要だと説明している[202]

南海トラフ巨大地震や相模トラフ巨大地震では、東海道新幹線東名高速道路などの鉄道路や道路が破壊されて通行不能となる可能性がある。国や地方公共団体などには、こうした「東西分断」の事態を見越した長期的な交通網の整備が求められている[200]

大規模地震後の対策

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阪神・淡路大震災の際に設置された仮設住宅(仮設脇ノ浜住宅。1995年2月15日撮影、神戸市提供)

経済の復興

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スーパーマーケットコンビニエンスストアでは、地震によって店舗への商品の配送ができなくなる可能性がある。規模の大きな事業者であれば、被災が予想される地域以外にも店舗を置き、発災後も事業を継続できるようにする。中小規模の事業者は、複数の仕入れルートを確保しておき万一の際も商品が仕入れられるようにする、といった備えが必要であろう。製造業の場合も、中小規模の工場では遠方の工場と協力関係を結び、自社製品の設計情報や金型をお互いに相手方に預け、一方が被災や停電で操業できない場合はもう一方が製品を生産するといった対応が考えられる[203]

心のケア

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陸上自衛隊の東日本大震災災害派遣活動。名取市立閖上小学校の生徒の卒業式での慰安演奏(2011年3月29日、陸上自衛隊撮影)

震災が心身に影響を及ぼす場合が多い。特に子供たちに対する影響が大きいため、心のケアが大切である。想定される大震災時には、心理療法士が相当不足することが考えられ、また技能には相当な幅があるという。

  1. 過覚醒 - 眠れない、イライラ、物音に敏感になる。
  2. 侵入的な再体験 - 記憶がよみがえる、いやな夢や怖い夢を見る。
  3. 回避、まひ - 体験を本当と思えない、泣けない、震災のことを話さない。
  4. マイナス思考 - 罪悪感、無力感、不信感。

子供たちの気持ちが前向きになるような楽しい体験やチャレンジの機会を提供することは、こうした心理状態を解消する方法の一つであろう[204][205]

震災遺構の保存

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大地震と震災の教訓を伝えるには、実物による震災遺構の保存と展示が欠かせないとされる[206][注 20]。しかし震災遺構の保存には、費用がかかること、復旧の妨げになること、辛い記憶を思い出す遺構を見たくないという被災者からの意見が多いことなどの問題がある[206]

ペットの地震対策

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福島第一原発事故により全町民が町外へ避難した福島県浪江町に残された犬(2011年4月12日撮影、ボイス・オブ・アメリカ提供)

といったペットは多くの家庭で家族の一員となっており、大地震の際もペットを同行して避難することを希望する事例も少なくない[207]。東日本大震災をきっかけに、地方自治体が防災計画の中にペットの同行避難に関する定めを追加する事例が増えてきた。2015年6月には環境省が「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」(リンク)を作成している[208]。しかし避難所でペットの受け入れができない場合、飼い主もペットと共に車中泊をして体調を崩すことがある[209]。2016年4月の熊本地震では、ペットが避難所に入れなかったため車中泊を続けたところ、ペットが熱中症になった事例もあった[210]。避難時にやむを得ずペットと離れた飼い主が精神的に苦しむこともある[209]

避難所では多数の人々と一緒に暮らすことになるため、ペットの飼い主には発災に備えての準備や対策が求められている。たとえば、ペットに無駄吠えをしない、トイレを決められた場所でする、ケージに入る、といった基本的なしつけをしておく。予防注射や不妊手術を行う。迷子になる場合に備えて迷子札やマイクロチップを着ける。避難時にすぐ持ち出せるようにキャリーバッグや餌(5日分)や食器、予防接種日や健康状態などの情報をまとめたものなどを準備しておく、といった対策が勧められている[207][211]。熊本地震では、熊本市の避難所運営マニュアルに「避難所側がペット同行者に配慮」とあるものの、市民への周知が不十分だったこともありペットが入れなかった事例があった[210]。しかし、避難所には動物を嫌う人や、ペットに不用意に触れてくる子供もいるため、飼い主側には普段以上の配慮が求められる。平時から近隣の住民との良好な関係を保ち、災害時の対応について話し合っておくことも必要であろう[207]。ペットとしてはあまり一般的でない動物の場合は、避難所への同行が困難な可能性があるため、発災時の預け先を事前に確保しておく[212]

その他

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想定
  • 2012年12月、地震調査委員会は都道府県庁舎が30年以内に震度6弱以上の揺れに襲われる確率を公表した。最も確率が高いとされたのは、静岡市の89.7%であった[213][214]
建築物等の耐震化
  • 災害拠点病院の整備費は病院自己負担だが、2012年度(平成24年度)から年間数百万円程度の収入増が見込めるようになった[215][216]。災害拠点病院等の耐震化に関する補助金は、2009年度(平成21年度)から2011年度(平成23年度)まで交付金が予算措置されていたが、2012年度には特に重要とされる災害拠点病院などを対象とする交付金をもって耐震化を進めている[217]
避難所
  • 東京都は2013年3月をめどに、避難場所を津波・液状化被害の点から見直す[218]
財源
  • 自由民主党は2012年12月に、同月の衆議院議員選挙のための同党のマニフェストとして発表した政策集の中で、「今後数年以内に、極めて高い確率で首都直下型や南海トラフの巨大地震が発生すると予想されています。」とし、これらの災害に備えるために「国土強靭化計画」という公共投資計画を発表した[219]

脚注

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注釈

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  1. ^ 2016年4月の熊本地震でも想定外の状況があった。4月14日夜に発生したM6.5の地震は当初は本震とされたが、のちに前震に訂正された[43]。1926年から1995年にかけて発生したM5.5以上の内陸直下型地震153例の分析結果から政府の地震調査委員会が1998年にM6.4以上の地震を本震とする評価手法を作成[43][44]し、これに沿う形で作られた気象庁のマニュアルでは(最初に起こった地震が)「M6.4以上なら本震とみる」とされていた[43][45][46]。しかし同月16日夜半にM7.3の地震が発生したことから、同日に気象庁はこの16日の地震を本震だとし、14日の地震を前震に訂正した[43]
  2. ^ 2005年(平成17年)に「(軽減策の推進は)我が国の存亡に関わる喫緊の根幹的課題」と言われている[60]
  3. ^ 研究対象となった活断層は、152の活断層帯に属する断層16,447本である[66]
  4. ^ 国土交通省水管理・国土保全局、「第8回 日本海における大規模地震に関する調査検討会」での配布資料の一覧(リンク)、「日本海における大規模地震に関する調査検討会」の全8回の配付資料・議事要旨(リンク
  5. ^ 日本海側の沖合には、ユーラシアプレート北アメリカプレートとの幅の広い境界とされる「日本海東縁部のひずみ集中帯」があるが、ここに沿って連なる断層が内陸部の活断層と同様のメカニズムで地震を起こすと考えられている。津波堆積物や歴史記録が少ないこともあって研究は遅れがちであった。日本海側で津波を起こすような大地震は、太平洋側での同様の大地震に比べると発生頻度が低く規模も小さいものの、海底の地形が大きく変化して大津波となる傾向がある。また地震を起こす断層が海岸に近いため、津波は短時間で到達する[81]
  6. ^ 地震発生から1か月後の上水道の復旧状況を想定するにあたり、津波により全壊した家屋は復旧の対象外とされている[88]
  7. ^ 首都中枢・救急医療機関等へ給水する管路での耐震継手率は2015年現在は70%だが2019年度までに100%を達成する計画である[90]
  8. ^ 東日本大震災では、下水道の暗渠の被害は1都10県、総延長642kmに及び、下水処理場120か所が被災した[95]。そのうち21か所が稼働停止し、東日本大震災発生直後の国土交通省の発表では復旧に2-3年かかると見込まれた。この時点では、福島第一原発の近隣にある10か所の下水処理場は、原発事故の影響で調査ができていなかった[96]
  9. ^ 千葉県浦安市では液状化による被害が深刻であり、「トイレ難民」も多数生じた[98]。浦安市は「下水道の復旧は困難を極めた。中でも高齢者・乳幼児施設は悪戦苦闘の日々が続いた。阪神淡路大震災の時もトイレを使えないのがもっとも難儀だったと言われる。」とまとめた[99]
  10. ^ 千葉県船橋市が東日本大震災発生時の市の対応をまとめた資料によれば、市役所や関係機関では電話が繋がりにくくテレビやインターネットからの情報収集となり、市内の情報等が得にくかった[116]。部署によってはインターネットの接続制限がかかっており震災当日は情報がまったく得られなかったケースもあったという[116][117]。船橋市はまた、2012年2月に電気通信事業者ウィルコムと5年契約を締結し、約1700万円の補正予算を組んでPHS467台を市内の避難所376か所に配置した。PHSは東日本大震災後に通信規制がなかったためで、防災無線と併せて活用する[118]
  11. ^ 女川町では役場が浸水し、戸籍データを記録しているサーバも水没してデータが滅失した[124]。南三陸町では戸籍抄本などを記録しているサーバは防災対策庁舎にあり、津波被害を考慮して2階に設置していた[126][127]。本震発生時にサーバラックが倒壊し[126]、その後の想定以上の巨大津波により庁舎は骨組みを残して全壊し、データも消失した[127]。大槌町と陸前高田市でも戸籍データを記録したサーバは破損または流失している[128]。陸前高田市では市庁舎1階のサーバルームが水没し、サーバ自体は流失しなかったが、データは消失し、住民基本台帳システムをはじめとする行政情報システムが運用不可能となった[129][130]。大槌町では町役場庁舎2階のサーバ室が水没し、機器やメディアが一部流失したが、ラックに残っていた住基サーバからはデータを復元させることができた。住基データのバックアップテープは失われており、震災当日に職員がテープを回収して避難する途中で津波に巻き込まれて死亡し、テープも流失したと推定されている[126]
  12. ^ 南三陸町では、正本データのある町役場庁舎と副本データのある仙台法務局気仙沼支局がともに被災したため、発災直後は戸籍データの正副両方の消失が懸念されたが、気仙沼支局の副本データは合同庁舎の3階にあって津波での浸水を免れていた[131][132]
  13. ^ ネットワークを用いた送信については、法務省より、従前の磁気テープに記録した副本を送付する方法では事故などで個人情報の流出のおそれもあるためと説明されている[131][132]
  14. ^ 法務局自体の大規模災害への対策としては、法務省より業務継続計画策定の方針が示されている[134]。たとえば千葉地方法務局では非常時優先業務などの遂行に備えるべく、2016年度(平成28年度)までに全職員の非常食や簡易トイレ等を3日分備蓄し、その後も発災時に参集する要員の7日分の備蓄を進める予定である[135]
  15. ^ 東日本大震災では、LGBTなど性的マイノリティの人々が、避難所のトイレ・風呂などが男女別にしか分かれていなくて不自由したという事例があった[179]
  16. ^ 阪神・淡路大震災では、神戸市の市営斎場(3か所、火葬炉51基、処理能力は1日150体)では神戸市の遺体3,860体すべてに対応できず、市営斎場で火葬したのは約2,200体で、他は他都市や近隣の府県での火葬となった。神戸市での火葬が終了したのは2月4日頃であった。宝塚市の火葬場には7基の炉があり、通常は1日3-4体を火葬しており1つの炉で連続して処理したこともなかったが、炉の損傷の恐れもあったものの緊急時として1日4体までの火葬とし、地震発生の翌日から9日間で109体(震災以外の死因を含まない数)を火葬した。また神戸市では、発災直後は死体・埋火葬許可書の交付が滞り、死体検案書の原本確認で火葬を行った。死体検案書はコピー保管とし、その後、許可書を交付し火葬証明を発行した。大規模災害に伴う混乱期であり埋火葬は自治体が応急的に行うところ、神戸市や宝塚市では市が対応できる状況ではなかったため、遺族が実施・負担した埋火葬の費用であっても市が実施したものとし、後から災害救助法の適用とした[189]
  17. ^ 東日本大震災の際は厚生労働省から、葬祭関係の団体のほか、全日本トラック協会には遺体の搬送について、全国建設業協会には墓地の掘削などについて、被災3県の自治体から協力依頼があった際の支援を要請する通知が出された[193]
  18. ^ 大地震後には火山活動が活発化することが指摘されている[195][196]。1707年の宝永地震の場合、49日後に富士山宝永大噴火が起こった[197]。また2004年のスマトラ島沖地震では数ヶ月後に火山が噴火している[198]
  19. ^ 東日本大震災では、地震の他に津波と原子力事故が起こったため、極めて複雑な事態となり復旧の障害となっている[199]
  20. ^ 震災遺構の例として、東京にある関東大震災を記念する「東京都慰霊堂」、神戸市の「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」、濃尾地震を記念する岐阜県の「地震断層観察館・体験館」などがある。

出典

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参考文献

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書籍・論文

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ウェブサイト

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関連資料

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関連項目

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外部リンク

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