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{{生代}}
{{生代}}
'''ジュラ紀'''(ジュラき、侏羅紀<ref>三省堂百科辞書編輯部編 「じゅらき」『新修百科辞典』 [[三省堂]]、1934年、1040頁。</ref>、英:Jurassic period)は、約2億130万年前から約1億4550万年前までにあたる中生代の中心時代となる<ref>{{Cite web|和書 |url=https://kotobank.jp/word/ジュラ紀-78319 |title=日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 |publisher=コトバンク |accessdate=2018-01-08}}</ref>[[地質時代]]の一つ。[[後期ジュラ紀|後期]]、[[中期ジュラ紀|中期]]、[[前期ジュラ紀|前期]]の2つの世に区分される。[[恐竜]]の時代ともいえる。
'''ジュラ紀'''(ジュラき、{{lang|en|Jurassic period}})は現在から約1億9960万年前にはじまり、約1億4550万年前まで続く[[地質時代]]である。[[三畳紀]]の次で[[白亜紀]]の一つ前にあたる[[中生代]]の中心時代、あるいは[[恐竜]]の時代と言える。ジュラ紀の名前は、[[フランス]]東部から[[スイス]]西部に広がる[[ジュラ山脈]]において広範囲に分布する石灰岩層にちなみ、1829年に[[アレクサンドル・ブロンニャール]]により提唱された。その後、1962年と1967年に開かれた国際ジュラ系層序小委員会により、11の階(期)の区分が確立された(時代区分参照)。なお、漢字を当てる場合は「侏羅紀」となるが、一般的ではない

== 名前 ==
ジュラ紀の名前は、[[フランス]]東部から[[スイス]]西部に広がる[[ジュラ山脈]]において広範囲に分布する[[石灰岩]]層にちなみ、[[1829年]]に[[アレクサンドル・ブロンニャール]]により提唱された。その後、[[1962年]][[1967年]]に開かれた国際ジュラ系層序小委員会により、11の階(期)の区分が確立された(時代区分参照)。

[[漢字]]表記の「侏羅紀」は、現代の[[日本]]ではほとんど使われていないが、[[中国語]]では正式名称として使われている。


== 時代区分 ==
== 時代区分 ==
ジュラ系の基底は、最初のアンモナイトが出現する層準によって定められている。ジュラ系の模式境界をどこに置くかは長年論じられてきたが、2010年のIUGS実行委員会において、オーストリアのクーヨッホ (Kuhjoch) GSSP とすることが決定された<ref>{{Cite book|和書|author = J. G. オッグ|coauthors = G. M. オッグ、F. M. グラッドシュタイン|translator = 鈴木久志|title = 要説 地質年代|origyear = 2008|year = 2012|publisher = 京都大学学術出版会|isbn = 978-4-87698-599-9|pages = 103 - 110}}</ref>。
ジュラ系の基底は、最初の[[アンモナイト]]が出現する層準によって定められている。ジュラ系の[[国際標準模式層断面及び地点|模式境界]]をどこに置くかは長年論じられてきたが、[[2010年]]のIUGS実行委員会において、[[オーストリア]]のクーヨッホ (Kuhjoch) GSSP とすることが決定された<ref>{{Cite book|和書|author = J. G. オッグ|coauthors = G. M. オッグ、F. M. グラッドシュタイン|translator = 鈴木久志|title = 要説 地質年代|origyear = 2008|year = 2012|publisher = 京都大学学術出版会|isbn = 978-4-87698-599-9|pages = 103 - 110}}</ref>。
{| class="wikitable" border="1" cellpadding=1 cellspacing=0
|-
| colspan="5" bgcolor="#efefef"| [[地質時代|周辺の時代]]
|-
| colspan="5"| [[新生代]]
|-
| rowspan="13"| [[中生代]]
| colspan="4"| [[白亜紀]]
|-
| rowspan="11" style="background-color:#DDDDDD;"|'''ジュラ紀'''
| rowspan="3"| 後期<br/>マルム
| [[:en:Tithonian|チトニアン]]|| 約1億5080万年前 - 約1億4550万年前
|-
| [[:en:Kimmeridgian|キンメリッジアン]]||約1億5570万年前 - 約1億5080万年前
|-
| [[:en:Oxfordian_(stage)|オクスフォーディアン]]||約1億6120万年前 - 約1億5570万年前
|-
| rowspan="4"| 中期<br/>ドッガー
|[[:en:Callovian|カロビアン]]||約1億6470万年前 - 約1億6120万年前
|-
|[[:en:Bathonian|バトニアン]]||約1億6770万年前 - 約1億6470万年前
|-
|[[:en:Bajocian|バジョシアン]]||約1億7160万年前 - 約1億6770万年前
|-
|[[:en:Aalenian|アーレニアン]]||約1億7560万年前 - 約1億7160万年前
|-
| rowspan="4"| 前期<br/>リアス</td>
| [[:en:Toarcian|トアルシアン]]||約1億8300万年前 - 約1億7560万年前
|-
|[[:en:Pliensbachian|プリンスバッキアン]]||約1億8960万年前 - 約1億8300万年前
|-
|[[:en:Sinemurian|シネムーリアン]]||約1億9650万年前 - 約1億8960万年前
|-
|[[:en:Hettangian|ヘッタンジアン]]||約1億9960万年前 - 約1億9650万年前
|-
| colspan="4"| [[三畳紀]]</td>
</tr><tr>
| colspan="5"| [[古生代]]</td>
|}


== 気候と生物 ==
== 気候と生物 ==
{{main|:en:Triassic–Jurassic extinction event}}
{{main|[[:en:Triassic–Jurassic extinction event]]}}
ジュラ紀の開始は三畳紀末の[[大量絶滅]]から始まった。絶滅は地上と海洋の両方でおき、地上の方が数百万年早かったと言われている。海洋生物の20%と恐竜[[翼竜]]ワニ以外の[[祖竜]]([[主竜類]])、[[獣弓類]]が死滅(最近日本で[[白亜紀]]の[[地層]]から化石が見つかっているのでの説は疑問視さているが、少なくと衰退しのは間違いない)、最後の巨大な[[両生類]]もこのときにほぼ姿を消した。この原因として隕石衝突など様々な説が提唱されているが、現在は[[中央大西洋マグマ分布域]](Central Atlantic Magmatic Province)における火山活動との関連が有力視されている<ref>{{Citation|last1=Hesselbo|first1=S.P.|last2=Robinson|first2=S.A.|last3=Surlyk|first3=F.|last4=Piasecki|first3=S.|year=2002|title=Terrestrial and marine extinction at the Triassic-Jurassic boundary. synchoronized with major carbon cycle perturbation: A link to initiation of massive volcanism|journal=Geology|volume=30|pages=251-254}}.</ref>
ジュラ紀の開始は三畳紀末の[[大量絶滅]]から始まった。絶滅は[[地上]][[海洋]]の両方でおき、地上の方が数百万年早かったと言われている。海洋生物の20%と[[恐竜]]・[[翼竜]]・[[ワニ]]以外の[[祖竜]]([[主竜類]])、大型[[獣弓類]]が衰退最近[[日本]]で[[白亜紀]]の[[地層]]から[[トリティロドン類]]が見つかっているが、これも小型種だっ、最後の巨大な[[両生類]]もこのときにほぼ姿を消した(例外は[[クーラスクス]])。この原因として[[隕石衝突]]など様々な説が提唱されているが、現在は{{仮リンク|中央大西洋マグマ分布域|en|Central Atlantic magmatic province}}における[[火山活動]]との関連が有力視されている<ref>{{Citation|last1=Hesselbo|first1=S.P.|last2=Robinson|first2=S.A.|last3=Surlyk|first3=F.|last4=Piasecki|first4=S.|year=2002|title=Terrestrial and marine extinction at the Triassic-Jurassic boundary. synchoronized with major carbon cycle perturbation: A link to initiation of massive volcanism|journal=Geology|volume=30|pages=251-254}}.</ref><ref>{{Citation|last1=McElwain|first1=J.C.|last2=Beerling|first2=D.J.|last3=Woodward|first3=F.I.|year=1999|title=Fossilplants and global warming at the Triassic-Jurassic boundary.|journal=Science|volume=285|pages=1386-1390}}</ref><ref>{{Citation|last1=McElwain|first1=J.C.|last2=Hesselbo|first2=S.P.|last3=Haworth|first3=M.|last4=Surlyk|first4=F.|year=2007|title=Macroecological responses of terrestrial vegetation to climatic and atmospheric change across the Triassic/Jurassic boundary in East Greenland.|journal=Paleobiology|volume=33|pages=547-573}}.</ref>。
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<ref>{{Citation|last1=McElwain|first1=J.C.|last2=Hesselbo|first2=S.P.|last3=Haworth|first3=M.|last4=Surlyk|first4=F.|year=2007|title=Macroecological responses of terrestrial vegetation to climatic and atmospheric change across the Triassic/Jurassic boundary in East Greenland.|journal=Paleobiology|volume=33|pages=547-573}}.</ref>


絶滅を生き残った恐竜が中生代に栄えた。ジュラ紀は現在よりも暖かく、降水量も多く、湿度も高かった。そのため動物、植物はともに種類が増え、大型化していった。植物では[[イチョウ]]、[[ソテツ]]などの[[裸子植物]]が大きく繁栄し、それまで植物が無かった内陸部まで生育範囲を広げていった。またジュラ紀の後半には[[被子植物]]も現れた。海洋では[[アンモナイト]]や、[[プランクトン]]が繁栄し、地上では恐竜が多種多様な進化を遂げた。小型の恐竜の一部が鳥類に至る進化を果たし、[[始祖鳥]]が現れたのもこの時代である。
三畳紀末期の絶滅を生き残った恐竜が栄えた。三畳紀から相次いだ火山活動の結果、大気中の[[二酸化炭素]]濃度は高く、ジュラ紀は現在よりも暖かく、[[降水量]]も多く、[[湿度]]も高かった。そのため[[動物]][[植物]]はともに種類が増え、大型化していった。植物では[[イチョウ]]、[[ソテツ]]などの[[裸子植物]]が大きく繁栄し、それまで植物が無かった[[内陸]]部まで生育範囲を広げていった。またジュラ紀の後半には[[被子植物]]も現れた。海洋では[[アンモナイト]]や、[[プランクトン]]が繁栄し、地上では恐竜が多種多様な進化を遂げた。小型の恐竜の一部が[[鳥類]]に至る進化を果たし、[[始祖鳥]]が現れたのもこの時代である。三畳紀に登場した哺乳類([[哺乳形類]]や、その母体である[[キノドン類]]の生き残り含む)は、小動物としてのニッチを確立していた。例として彼らが掘り上げた巣穴が見つかっている<ref>AN INVENTORY OF MESOZOIC MAMMALS AND NON-MAMMALIAN THERAPSIDS IN NATIONAL PARK SERVICE AREAS(JUSTIN S TWEET:2016)</ref>


ジュラ紀にもっとも進化した生命は海洋での[[魚類]]と、海洋で暮らす[[爬虫類]]([[魚竜]]、[[首長竜]]など)である。また[[無脊椎動物]]にはいくつかの新しいグループが現れた。
ジュラ紀にもっとも進化した生命は海洋での[[魚類]]と、海洋で暮らす[[爬虫類]]([[魚竜]]、[[首長竜]]など)である。また[[無脊椎動物]]にはいくつかの新しいグループが現れた。


== 古地形とテクトニクス ==
== 古地形とテクトニクス ==
前期ジュラ紀を通じて[[パンゲア大陸]]が、北の[[ローラシア大陸]]と南の[[ゴンドワナ大陸]]に分裂した。とはいえ、両者の距離は近く、隔絶は未だ完全ではなかった。温暖であったため海水準が高く、ローラシアはしばしば浅海により東西の陸塊に分かれていた。ジュラ紀の北[[大西洋]]は現在に比べて狭く、南大西洋はゴンドワナ大陸の分裂が始まる白亜紀まで開かなかった。[[テチス海]]は閉じ、新テチス海盆を形成した。
前期ジュラ紀を通じて[[パンゲア大陸]]が、北の[[ローラシア大陸]]と南の[[ゴンドワナ大陸]]に分裂した。とはいえ、両者の距離は近く、隔絶は未だ完全ではなかった。温暖であったため[[海水準変動|海水準]]が高く、ローラシアはしばしば浅海により東西の陸塊に分かれていた。ジュラ紀の北[[大西洋]]は現在に比べて狭く、南大西洋はゴンドワナ大陸の分裂が始まる白亜紀まで開かなかった。[[テチス海]]は閉じ、新テチス[[海盆]]を形成した。大規模な火山活動がみられ、[[太平洋]]海底の[[シャツキー海台]]はその一つであり、ジュラ紀後期から次の白亜紀前期にかけて形成された。


気候は温暖であり、氷河があった痕跡は認められない。[[三畳紀]]と同様に、極付近に陸地はなく氷冠の成長もなかった。
気候は温暖であり、[[氷河]]があった痕跡は認められない。[[三畳紀]]と同様に、[[]]付近に[[陸|陸地]]はなく[[氷冠]]の成長もなかった。


ジュラ紀の地質学的記録は、西ヨーロッパでよく保存されており、有名な[[ジュラシック・コースト]]や、後期ジュラ系のゾルンホーフェン石灰岩層を含む熱帯の浅海における堆積過程が観察できる。それとは対照的に、北アメリカでは中生界ジュラ系はほとんど分布せず、露頭も極めて少ない。
ジュラ紀の[[地質学]][[記録]]は、[[西ヨーロッパ]]でよく保存されており、有名な[[ジュラシック・コースト]]や、上部ジュラ系のゾルンホーフェン石灰岩層を含む[[熱帯]]の浅海における[[堆積]]過程が[[観察]]できる。それとは対照的に、[[北アメリカ]]では中生界ジュラ系はほとんど分布せず、[[露頭]]も極めて少ない。
<!-- その他の主要な地層の露出地域は[[中国]]、[[ロシア]]、[[インド]]、[[南アメリカ]]、[[日本]]、および[[オーストラリア]]などにある。しかし初期のジュラ紀の地層はあまり残っておらず、ジュラ紀後期から白亜紀にかけての地層がよく残っている。 -->
<!-- その他の主要な地層の露出地域は[[中国]]、[[ロシア]]、[[インド]]、[[南アメリカ]]、[[日本]]、および[[オーストラリア]]などにある。しかし初期のジュラ紀の地層はあまり残っておらず、ジュラ紀後期から白亜紀にかけての地層がよく残っている。 -->


== その他 ==
== その他 ==
SF小説およびそれをもとにした映画である『ジュラシック・パーク』の名は、このジュラ紀によるものであり、[[直訳]]すれば『ジュラ紀公園』であり、その映画の中国語のタイトルは、直訳にしたている。しかし、実際にそこに登場する恐竜はほとんどは[[白亜紀]]のものである。
[[サイエンス・フィクション|SF]][[小説]]およびそれをもとにした[[映画]]である『[[ジュラシック・パーク]]』の名は、このジュラ紀によるものであり、[[直訳]]すれば『ジュラ紀[[公園]]となる。この映画の[[中国語]]のタイトル『侏羅紀公園』も直訳が使われている。しかし、実際にそこに登場する恐竜はほとんどはジュラ紀より新しい[[白亜紀]]のものである。


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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== 参考文献 ==
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* {{Cite web |url=http://www.geosociety.jp/name/content0062.html |title=地質系統・年代の日本語記述ガイドライン 2014年1月改訂版 |publisher=日本地質学会 |accessdate=2014-03-19}}
* {{Cite web|和書|url=http://www.geosociety.jp/name/content0062.html |title=地質系統・年代の日本語記述ガイドライン 2014年1月改訂版 |publisher=[[日本地質学会]] |accessdate=2014-03-19}}
* {{Cite web|和書
* {{Cite web |url=http://www.geosociety.jp/uploads/fckeditor//name/ChronostratChart2014_1.pdf |title=INTERNATIONAL CHRONOSTRATIGRAPHIC CHART (国際年代層序表) |format=PDF |publisher=日本地質学会 |accessdate=2014-03-19}}
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}}
* {{Cite web|和書
|author = 仲田崇志
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2024年7月4日 (木) 23:04時点における最新版

地質時代中生代[* 1][* 2]
累代 基底年代
Mya[* 3]
顕生代 新生代 66
中生代 白亜紀 後期白亜紀 マーストリヒチアン 72.1
カンパニアン 83.6
サントニアン 86.3
コニアシアン 89.8
チューロニアン 93.9
セノマニアン 100.5
前期白亜紀 アルビアン 113
アプチアン 125
バレミアン 129.4
オーテリビアン 132.9
バランギニアン 139.8
ベリアシアン 145
ジュラ紀 後期ジュラ紀 チトニアン 152.1
キンメリッジアン 157.3
オックスフォーディアン 163.5
中期ジュラ紀 カロビアン 166.1
バトニアン 168.3
バッジョシアン 170.3
アーレニアン 174.1
前期ジュラ紀 トアルシアン 182.7
プリンスバッキアン 190.8
シネムーリアン 199.3
ヘッタンギアン 201.3
三畳紀 後期三畳紀 レーティアン 208.5
ノーリアン 227
カーニアン 237
中期三畳紀 ラディニアン 242
アニシアン 247.2
前期三畳紀 オレネキアン 251.2
インドゥアン 251.902
古生代 541
原生代 2500
太古代[* 4] 4000
冥王代 4600
  1. ^ 基底年代の数値では、この表と本文中の記述では、異なる出典によるため違う場合もある。
  2. ^ 基底年代の更新履歴
  3. ^ 百万年前
  4. ^ 「始生代」の新名称、日本地質学会が2018年7月に改訂

ジュラ紀(ジュラき、侏羅紀[1]、英:Jurassic period)は、約2億130万年前から約1億4550万年前までにあたる中生代の中心時代となる[2]地質時代の一つ。後期中期前期の2つの世に区分される。恐竜の時代ともいえる。

名前

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ジュラ紀の名前は、フランス東部からスイス西部に広がるジュラ山脈において広範囲に分布する石灰岩層にちなみ、1829年アレクサンドル・ブロンニャールにより提唱された。その後、1962年1967年に開かれた国際ジュラ系層序小委員会により、11の階(期)の区分が確立された(時代区分参照)。

漢字表記の「侏羅紀」は、現代の日本ではほとんど使われていないが、中国語では正式名称として使われている。

時代区分

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ジュラ系の基底は、最初のアンモナイトが出現する層準によって定められている。ジュラ系の模式境界をどこに置くかは長年論じられてきたが、2010年のIUGS実行委員会において、オーストリアのクーヨッホ (Kuhjoch) GSSP とすることが決定された[3]

気候と生物

[編集]

ジュラ紀の開始は三畳紀末の大量絶滅から始まった。絶滅は地上海洋の両方でおき、地上の方が数百万年早かったと言われている。海洋生物の20%と恐竜翼竜ワニ以外の祖竜主竜類)、大型獣弓類が衰退し(最近日本白亜紀地層からトリティロドン類が見つかっているが、これも小型種だった)、最後の巨大な両生類もこのときにほぼ姿を消した(例外はクーラスクス)。この原因として隕石衝突など様々な説が提唱されているが、現在は中央大西洋マグマ分布域英語版における火山活動との関連が有力視されている[4][5][6]

三畳紀末期の絶滅を生き残った恐竜が栄えた。三畳紀から相次いだ火山活動の結果、大気中の二酸化炭素濃度は高く、ジュラ紀は現在よりも暖かく、降水量も多く、湿度も高かった。そのため動物植物はともに種類が増え、大型化していった。植物ではイチョウソテツなどの裸子植物が大きく繁栄し、それまで植物が無かった内陸部まで生育範囲を広げていった。またジュラ紀の後半には被子植物も現れた。海洋ではアンモナイトや、プランクトンが繁栄し、地上では恐竜が多種多様な進化を遂げた。小型の恐竜の一部が鳥類に至る進化を果たし、始祖鳥が現れたのもこの時代である。三畳紀に登場した哺乳類(哺乳形類や、その母体であるキノドン類の生き残り含む)は、小動物としてのニッチを確立していた。例として彼らが掘り上げた巣穴が見つかっている[7]

ジュラ紀にもっとも進化した生命は海洋での魚類と、海洋で暮らす爬虫類魚竜首長竜など)である。また無脊椎動物にはいくつかの新しいグループが現れた。

古地形とテクトニクス

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前期ジュラ紀を通じてパンゲア大陸が、北のローラシア大陸と南のゴンドワナ大陸に分裂した。とはいえ、両者の距離は近く、隔絶は未だ完全ではなかった。温暖であったため海水準が高く、ローラシアはしばしば浅海により東西の陸塊に分かれていた。ジュラ紀の北大西洋は現在に比べて狭く、南大西洋はゴンドワナ大陸の分裂が始まる白亜紀まで開かなかった。テチス海は閉じ、新テチス海盆を形成した。大規模な火山活動がみられ、太平洋海底のシャツキー海台はその一つであり、ジュラ紀後期から次の白亜紀前期にかけて形成された。

気候は温暖であり、氷河があった痕跡は認められない。三畳紀と同様に、付近に陸地はなく氷冠の成長もなかった。

ジュラ紀の地質学記録は、西ヨーロッパでよく保存されており、有名なジュラシック・コーストや、上部ジュラ系のゾルンホーフェン石灰岩層を含む熱帯の浅海における堆積過程が観察できる。それとは対照的に、北アメリカでは中生界ジュラ系はほとんど分布せず、露頭も極めて少ない。

その他

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SF小説およびそれをもとにした映画である『ジュラシック・パーク』の名は、このジュラ紀によるものであり、直訳すれば『ジュラ紀公園』となる。この映画の中国語のタイトル『侏羅紀公園』も直訳が使われている。しかし、実際にはそこに登場する恐竜はほとんどはジュラ紀より新しい白亜紀のものである。

脚注

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  1. ^ 三省堂百科辞書編輯部編 「じゅらき」『新修百科辞典』 三省堂、1934年、1040頁。
  2. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説”. コトバンク. 2018年1月8日閲覧。
  3. ^ J. G. オッグ、G. M. オッグ、F. M. グラッドシュタイン 著、鈴木久志 訳『要説 地質年代』京都大学学術出版会、2012年(原著2008年)、103 - 110頁。ISBN 978-4-87698-599-9 
  4. ^ Hesselbo, S.P.; Robinson, S.A.; Surlyk, F.; Piasecki, S. (2002), “Terrestrial and marine extinction at the Triassic-Jurassic boundary. synchoronized with major carbon cycle perturbation: A link to initiation of massive volcanism”, Geology 30: 251-254 .
  5. ^ McElwain, J.C.; Beerling, D.J.; Woodward, F.I. (1999), “Fossilplants and global warming at the Triassic-Jurassic boundary.”, Science 285: 1386-1390 
  6. ^ McElwain, J.C.; Hesselbo, S.P.; Haworth, M.; Surlyk, F. (2007), “Macroecological responses of terrestrial vegetation to climatic and atmospheric change across the Triassic/Jurassic boundary in East Greenland.”, Paleobiology 33: 547-573 .
  7. ^ AN INVENTORY OF MESOZOIC MAMMALS AND NON-MAMMALIAN THERAPSIDS IN NATIONAL PARK SERVICE AREAS(JUSTIN S TWEET:2016)

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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