「小田急10000形電車」の版間の差分
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2010年3月23日 (火) 04:29時点における版
小田急10000形電車 | |
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10000形「HiSE」(新百合ヶ丘駅) | |
基本情報 | |
製造所 |
日本車輌製造 川崎重工業 |
主要諸元 | |
編成 | 連接式11両編成 |
軌間 | 1,067 mm |
電気方式 | 直流1,500V |
最高運転速度 | 110 km/h |
設計最高速度 | 140 km/s |
起動加速度 | 2.0 km/h/s |
編成定員 | 432名 |
編成長 | 146.1 m |
全幅 | 2,900 mm |
全高 | 4,190 mm |
駆動方式 | TD平行カルダン駆動方式 |
編成出力 | 4,480kW(140kW主電動機を32基搭載) |
制御装置 |
直列/並列指定式抵抗制御・弱め界磁 東芝MM-39A(直並列各13段、弱め界磁4段) |
制動装置 | 発電ブレーキ併用電気指令式ブレーキ |
保安装置 | OM-ATS |
備考 |
小田急10000形電車(おだきゅう10000がたでんしゃ)は、小田急電鉄の特急形車両(ロマンスカー)。車両愛称は「HiSE (High-decker/High-grade/High-level Super Express) 」[1]。
1987年12月に営業運転を開始した。1988年度鉄道友の会第31回ブルーリボン賞受賞。
概要
小田急開業60周年記念車両と21世紀に通用する次世代特急形車両として、1987年に11両1編成(11両)、1988年に11両1編成(11両)、1989年に11両2編成(22両)がそれぞれ製造された。7000形「LSE」の基本的構造を踏まえながら、展望席以外の部分が床面の高いハイデッカー構造を採用した。第1・第3編成は日本車輌製造、第2・第4編成は川崎重工業がそれぞれ製造を担当した。
なお、小田急ロマンスカーといえば「展望席」を連想する者が多く、2001年ごろより50000形「VSE」の登場までは、「小田急ロマンスカーのイメージリーダー」として、広告等にも使われていた。
車体構造
編成構成はMT比9M(電動車)2T(付随車)の連接式11両である。3100形「NSE」・7000形「LSE」に引き続き「展望席」を設置し、展望席前面の傾斜角度を37°までにすることにより、シャープなイメージを醸し出している。列車愛称表示器は、両先頭車の扉上部に移された。
カラーリングは従来の小田急ロマンスカー(オレンジバーミリオンとシルバーグレーに白色帯)と一線を画した「パールホワイトとワインレッド(オーキッドレッド)」の車体塗装を採用した。7000形「LSE」についても、後年車体更新を施工した際にこの塗装に変更した。
車内
前述したが、床面の高いハイデッカー構造を特徴とする。7000形「LSE」に対して41cmアップ(2ステップ分)となっている。 座席はリクライニング機構の採用が見送られたものの、形状や硬さを見直し、新宿 - 箱根湯本間1時間25分の旅を快適に過ごせるレベルに仕上がっている。具体的には、7000形「LSE」の簡易リクライニングシートをリクライニングさせた状態で固定しているもので、新宿駅などで7000形「LSE」と10000形「HiSE」が並ぶと、その差が分かる。
しかし、最終的な座り心地より「リクライニング機構があるかどうか」を重視する向きも多く、そういう意味では同年代に登場したJRや私鉄他社の特急車両と比較すると見劣りするのは否めない。その一方で、2次車では座席背面に収納式テーブルが設置されており、特に通路側席の居住性を評価する意見もある。
日本車輌製の編成は座席モケットの色が1 - 3・9 - 11号車は赤色系、4 - 8号車は青色系となっており、逆に川崎重工製の編成は1 - 3・9 - 11号車は青色系、4 - 8号車は赤色系となっている。展望席は、1次車は青色と赤色の座席が両方とも設置されていたが、2次車ではどちらか一方となっている。
昭和末期から平成初期にかけて製造された車両ではあるが、座席の壁面テーブルの下に栓抜きが設置されている(当時既に飲料は缶や、瓶でも栓抜き不要で開栓できるものが主流になっていた)。
また、売店やトイレの設置箇所は7000形LSEと同じであるが、当時の最新の設備を装備していた。「走る喫茶室」のオーダーエントリーシステムも、そのうちの一つであった。
小田急電鉄では初めて、「ラジオ受信システム」が採用された。
車内案内
- 座席定員:432名
号車番号/設備他
- 1/運転室(2階)・展望席(14席)・禁煙席(32席)・車掌室
- 2/禁煙席(44席)
- 3/禁煙席(28席)・車内販売カウンター・自動体外式除細動器 (AED)
- 4/禁煙席(32席)・男女共用洋式トイレ・男子小用トイレ・公衆電話
- 5/禁煙席(44席)
- 6/禁煙席(44席)
- 7/禁煙席(44席)
- 8/禁煙席(32席)・男女共用和式トイレ・男子小用トイレ
- 9/禁煙席(28席)・車内販売カウンター
- 10/禁煙席(44席)
- 11/運転室(2階)・展望席(14席)・禁煙席(32席)・車掌室
なお、2007年3月17日まで、6 - 8号車は喫煙席であった。
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1次車展望席風景
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1次車展望席座席
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車内
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普通座席(青色)
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普通座席(赤色)
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展望席後方に設置されている補助席
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2次車にて設置された座席テーブル
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各座席の壁側に設置されている栓抜き
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車内販売カウンター
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1988年鉄道友の会ブルーリボン賞受賞記念プレート
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扉付近。ステップがあることが分かる
性能
7000形同様、高速性能よりも中低速域の加速を重視した設定になった。基本的には7000形と同様の電装品を使用している。 台車については電動車はFS-533A(連接台車)・FS-533B(編成両端の通常台車)、付随車はFS-033(連接台車)である。基礎制動装置は全てシングル式である。いずれも小田急では2200形からの実績があるアルストムリンク式空気バネ台車である。
車内設備改良工事
1999年に、車内設備改良工事が実施され、空気清浄機の設置とトイレの処理方式を循環式から真空式に変更した。また、2001年には、トイレ内にベビーベッドを設置した。
運用
30000形「EXE」の登場後、7000形「LSE」と共通で運用されていて時刻表には「L/H」と表記される[2]。
10000形「HiSE」はハイデッカー構造のため、交通バリアフリー法の施行に伴い、それに適合させるバリアフリー工事もハイデッカー構造のため困難なことや[3]、車体更新時期が迫っていたこともあって、50000形「VSE」の運行開始を機に3本が運用離脱した。離脱した編成のうち、2本(10021F・10061F)が長野電鉄へ、残り1本 (10001F) が予備車として長期間運用を離脱していたが、2009年時点では復帰している。
2010年1月20日時点では、車両に不具合が見つかったため、一時的に運用を離脱していた[4]。なお、運行再開までは1か月以上を要する見込みと報道され[5]、修繕の完了した編成については同年3月1日から運行を再開した[6]。
長野電鉄への譲渡
前述したが、50000形「VSE」との入れ替えで運用を離脱した3本の編成のうち、2本が2005年8月12日付けで長野電鉄に譲渡された[7]。愛知県豊川市の日本車輌製造豊川製作所で4両編成に改修された長野電鉄1000系電車は、2006年12月9日より長野線長野 - 湯田中間のA特急「ゆけむり」にて運転を開始した。これによりA特急に運用されていた2000系を置き換えた。
小田急の特急形車両としては、2300形、3000形「SSE」に続く譲渡例で、譲渡後も優等列車に充当されるものとしては後者に続き2例目となった。
長野電鉄に譲渡された車両についても、臨時に検査を行なうため全編成運用を中止していたが、安全が確認されたとして2010年1月26日より運転を再開する旨が発表された[5][8]。
歴史
- 1987年(昭和62年)11月26日、第1編成 (10001F) 小田急線入線。
- 1988年(昭和63年)1月1日、「初詣号」に使用された際には、深夜時間帯の運転であるにもかかわらず「走る喫茶室」の営業が行なわれていた。
- 1月6日、第2編成 (10021F) 竣工。
- 1月14日、第2編成 (10021F) 就役。
- 9月11日、1988年鉄道友の会ブルーリボン賞受賞。新宿駅→小田急多摩センター駅間にて、受賞記念列車運行。
- 1989年(平成元年)6月19日、第3編成 (10041F) 小田急線入線。
- 2001年(平成13年)4月24日 - 2002年(平成14年)3月、第3編成 (10041F) が、「イタリアンエクスプレス」として運行され、イタリアの国旗をイメージした「赤・白・緑」のストライプを施した記念塗装となる。
- 2005年(平成17年)8月12日、第2・4編成(10021F・10061F)が、長野電鉄に譲渡される。
- 2010年(平成22年)1月、7000形LSE3本と本形式2本の合計5本の編成で車両の連結部分の金属に複数の傷が見つかり、全車検査のため運用離脱[5]。代走運用は30000形EXE4両単独運転や50000形VSE、20000形RSEなども使用。
脚注
- ^ 電気車研究会『鉄道ピクトリアル』通巻491号 p53によると、それまでのケースとは異なり特定の単語の頭文字を表したものではない。
- ^ そのため10000形「HiSE」目当てに特急券を購入したのに7000形「LSE」の運用だったということもある。2009年時点では小田急ロマンスカー空席照会[1]で乗車日、乗車時間、乗車駅、下車駅を入力すれば、その日の列車の運用がわかる。
- ^ 同様にハイデッカー構造であるJR東日本251系電車「スーパービュー踊り子」は、デッキの多目的室で対応している。
- ^ 「特急ロマンスカー・LSE(7000形)、HiSE(10000形)の車両変更について」 小田急電鉄公式サイト
- ^ a b c 「ロマンスカー連結部に傷 小田急、5編成の運転休止」朝日新聞社 asahi.com 2010年1月21日
- ^ 「特急ロマンスカー・LSE、HiSEの運転再開について(2010/3/1)」 小田急電鉄公式サイト
- ^ “小田急ロマンスカー10000形(2編成)の長野電鉄への譲渡について”. 長野電鉄 (2005年8月4日). 2009年2月13日閲覧。
- ^ 「1000系「ゆけむり」の運休について」 長野電鉄公式サイト