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「建国義勇軍」の版間の差分

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'''建国義勇軍'''(けんこくぎゆうぐん)とは、[[刀剣]]愛好家グループ「刀剣友の会(日本人の会)」の[[村上一郎 (建国義勇軍)|村上一郎]]会長(当時)と一部幹部ら、[[北朝鮮による日本人拉致問題]]に対する政府の対応等に不満を募らせたメンバーで構成され、北朝鮮シンパといわれる団体や政治家の関連施設等にけん銃発砲や[[脅迫]]文送付等の犯罪を実行していたグループを指す呼称である。思想と行動を共にする少人数の同志の集まりであったため、犯人逮捕と同時に消滅した。
'''建国義勇軍'''(けんこくぎゆうぐん)とは、[[刀剣]]愛好家グループ「刀剣友の会(日本人の会)」の[[村上一郎 (建国義勇軍)|村上一郎]]会長(当時)と一部幹部ら、[[北朝鮮による日本人拉致問題]]に対する政府の対応等に不満を募らせた構成員で構成され、「[[親]]派や「[[反日]]」的といわれる団体や政治家の関連施設等に発砲や[[脅迫]]文送付等の犯罪を実行していた集団を指す呼称である。思想と行動を共にする少人数の同志の集まりであったため、犯人逮捕と同時に消滅した。


==概説==
==概説==
[[Image:Shakai-Minshu-to.jpg|200px|right|thumb|建国義勇軍によって実弾入りの脅迫状が送りつけられた社民党本部(現在は移転に伴い解体)]]
[[Image:Shakai-Minshu-to.jpg|200px|right|thumb|建国義勇軍によって実弾入りの脅迫状が送りつけられた社民党本部(現在は移転に伴い解体)]]
北朝鮮による日本人拉致問題で[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]に対する日本政府の対応への不満を募らせた「日本人の会」の幹部たちは[[2002年]]10月から[[2003年]]11月にかけて、[[在日本朝鮮人総連合会|朝鮮総聯]]、[[オウム真理教]]([[アレフ (宗教団体)|Aleph]])施設を銃撃、[[ハナ信用組合]](旧[[朝銀信用組合|朝銀]])や[[外務審議官]][[田中均]]の自宅に不審物を仕掛けたり、[[社会民主党 (日本 1996-)|社会民主党]]本部等に実弾入りの脅迫状を送りつけ
北朝鮮による日本人拉致問題で[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]に対する日本政府の対応への不満を募らせた「日本人の会」の幹部たちは[[2002年]]10月から[[2003年]]11月にかけて、[[在日本朝鮮人総連合会|朝鮮総聯]]、[[オウム真理教]]([[アレフ (宗教団体)|Aleph]])施設、広島県教職員組合書記局を銃撃、[[ハナ信用組合]](旧[[朝銀信用組合|朝銀]])や[[外務審議官]](当時)[[田中均]]の自宅に不審物を仕掛けたり、[[社会民主党 (日本 1996-)|社会民主党]]本部、元[[自民党幹事長]]・[[野中広務]]の事務所等に実弾入りの脅迫状を送りつけた。[[NHK]]や[[朝日新聞社]]も襲撃の標的であった<ref>http://www.asahi.com/special/giyugun/TKY200401090344.html</ref>


その際に、「'''建国義勇軍国賊征伐隊'''」、「'''建国義勇軍朝鮮征伐隊'''」等を名乗ったため一連の事件は「建国義勇軍事件」と呼ばれている。
その際に、「'''建国義勇軍国賊征伐隊'''」、「'''建国義勇軍朝鮮征伐隊'''」等を名乗ったため一連の事件は「'''建国義勇軍事件'''」と呼ばれている。


事件当時「日本人の会」は[[日本刀]]愛好者団体「'''刀剣友の会'''」と同じ団体として報道されたが、「刀剣友の会」は建国義勇軍事件の主犯・[[村上一郎 (建国義勇軍)|村上一郎]]が当時会長を務めていた刀剣・ナイフ販売会社の日本レジンの月刊通販カタログ誌「月刊刀剣・ナイフ情報」の定期購読者に対して日本レジンが付けた名称であり、「日本人の会」とは全く関係がない。規約や組織、行事、活動は一切存在せず、日本刀愛好者団体としての実態もなかった。当然入会手続もなく、年間購読料を支払って同誌の定期購読を申し込むと、自動的に「刀剣友の会」の「会員証(実態は購読者証)」が送られてくるシステムになっていた。日本刀の通販カタログ誌としては[[刀剣柴田]]や[[銀座長州屋]]のものよりも年間購読料が安かったため、思想に関係なく講読していた日本刀愛好家は多
事件当時「日本人の会」は[[日本刀]]愛好者団体「'''刀剣友の会'''」と同じ団体として報道されたが、「刀剣友の会」は建国義勇軍事件の主犯・[[村上一郎 (建国義勇軍)|村上一郎]]が当時会長を務めていた刀剣・ナイフ販売会社の日本レジンの月刊通販カタログ誌「月刊刀剣・ナイフ情報」の定期購読者に対して日本レジンが付けた名称であり、「日本人の会」とは全く関係がない。規約や組織、行事、活動は一切存在せず、日本刀愛好者団体としての実態もなかった。当然入会手続もなく、年間購読料を支払って同誌の定期購読を申し込むと、自動的に「刀剣友の会」の「会員証(実態は購読者証)」が送られてくるシステムになっていた。日本刀の通販カタログ誌としては[[刀剣柴田]]や[[銀座長州屋]]のものよりも年間購読料が安かったため、思想に関係なく講読していた日本刀愛好家は多かった


ただ、毎号巻末に村上の[[右翼]]思想が長々と掲載されており、刀剣業界の事情に疎い当時の日本マスメディアは「日本人の会」と「刀剣友の会」を混同した報道を行っていた。正確には、村上一郎が「月刊刀剣・ナイフ情報」の誌面等を利用し同志を募って結成したのが「日本人の会」であり、こちらの方は入会資格が定められていて、[[日本国籍]]を有しない者や[[左翼]]思想の持ち主は入会不可とされていた。
ただ、毎号巻末に村上の[[右翼]]思想が長々と掲載されており、刀剣業界の事情に疎い当時の日本マスメディアは「日本人の会」と「刀剣友の会」を混同した報道を行っていた。正確には、村上一郎が「月刊刀剣・ナイフ情報」の誌面等を利用し同志を募って結成したのが「日本人の会」であり、こちらの方は入会資格が定められていて、[[日本国籍]]を有しない者や[[左翼]]思想の持ち主は入会不可とされていた。
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犯行動機や実行に至るまでの活動に不可解な点が多く、主犯の村上一郎が[[脳]]疾患を患っており公判中に倒れている事([[検察]]側の求刑15年、2007年7月現在、公判停止中)や、村上の個人的な[[トラウマ]]や[[ルサンチマン]]が事件の動機と関係しているとの証言もある。
犯行動機や実行に至るまでの活動に不可解な点が多く、主犯の村上一郎が[[脳]]疾患を患っており公判中に倒れている事([[検察]]側の求刑15年、2007年7月現在、公判停止中)や、村上の個人的な[[トラウマ]]や[[ルサンチマン]]が事件の動機と関係しているとの証言もある。

実行犯も村上に「誘われて断り切れなかった」と供述するなど、「多くの容疑者は確固たる動機や信念もなく、成り行きで事件にかかわっていた」(捜査関係者)とみられている<ref>http://www.asahi.com/special/giyugun/TKY200401090342.html</ref>。


当時村上が経営していた日本レジンには莫大な負債があり、[[暴力団]]に債権を握られていた。
当時村上が経営していた日本レジンには莫大な負債があり、[[暴力団]]に債権を握られていた。
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尚、この団体が、警察の捜査により明るみに出る以前は、[[インターネット]]上の掲示板[[2ちゃんねる]]の[[ハングル板]]などにおいて、[[在日朝鮮人]]の[[自作自演]]ではないかという[[陰謀論]]も見られた。しかし事件の性質が明らかになるに従い、在日朝鮮人の自作自演の陰謀ではなく、主犯・[[村上一郎 (建国義勇軍)|村上一郎]]を中心とする組織的犯罪であった事が浮き彫りとなった。
尚、この団体が、警察の捜査により明るみに出る以前は、[[インターネット]]上の掲示板[[2ちゃんねる]]の[[ハングル板]]などにおいて、[[在日朝鮮人]]の[[自作自演]]ではないかという[[陰謀論]]も見られた。しかし事件の性質が明らかになるに従い、在日朝鮮人の自作自演の陰謀ではなく、主犯・[[村上一郎 (建国義勇軍)|村上一郎]]を中心とする組織的犯罪であった事が浮き彫りとなった。


当時、[[西村眞悟]]が「刀剣友の会」の名誉顧問として在籍。西村の事務所では、同議員は地元の支援者を通じて約4年前に村上を紹介され、「年に一、二回会ったり、会の講演を頼まれたりする間柄」であったが事件への関与は完全否定した。
当時、[[民主党]][[衆議院議員]]だった[[西村眞悟]]が「刀剣友の会」の最高顧問として在籍。西村の事務所では、同議員は地元の支援者を通じて約4年前に村上を紹介され、「年に一、二回会ったり、会の講演を頼まれたりする間柄」であったが事件への関与は完全否定した。一方で村上から受けた218万円の政治献金については「私の政治活動、政治信条に対する献金」と返還を否定。最高顧問も辞任する考えがないことを示していた。ただし、知人が「犯罪行為に加担したことへの道義的責任」として内定していた[[衆議院]]災害対策特別委員長のポストを辞退した<ref>http://www.asahi.com/special/giyugun/TKY200312290110.html</ref>


== 事件の内容と発生地域 ==
== 事件の内容と発生地域 ==
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* 放火(1件)
* 放火(1件)
** 福井(1)
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== 注釈・脚注 ==
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
*[[西村眞悟]]
*[[テロリズム]]
*[[テロリズム]]
*[[北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会]] ・・・ 同団体元理事の容疑者が田中均氏の自宅住所を実行犯に伝えていた。

== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [http://www.npa.go.jp/kouhousi/biki3/07.html 広域的なテロ活動を敢行した「建国義勇軍」の検挙](警視庁)
* [http://www.npa.go.jp/kouhousi/biki3/07.html 広域的なテロ活動を敢行した「建国義勇軍」の検挙](警視庁)

2022年3月3日 (木) 05:22時点における版

建国義勇軍(けんこくぎゆうぐん)とは、刀剣愛好家グループ「刀剣友の会(日本人の会)」の村上一郎会長(当時)と一部幹部ら、北朝鮮による日本人拉致問題に対する政府の対応等に不満を募らせた構成員で構成され、「親北派や「反日」的といわれる団体や政治家の関連施設等に発砲や脅迫文送付等の犯罪を実行していた集団を指す呼称である。思想と行動を共にする少人数の同志の集まりであったため、犯人逮捕と同時に消滅した。

概説

建国義勇軍によって実弾入りの脅迫状が送りつけられた社民党本部(現在は移転に伴い解体)

北朝鮮による日本人拉致問題で北朝鮮に対する日本政府の対応への不満を募らせた「日本人の会」の幹部たちは2002年10月から2003年11月にかけて、朝鮮総聯オウム真理教Aleph)の施設、広島県教職員組合書記局を銃撃、ハナ信用組合(旧朝銀)や外務審議官(当時)田中均の自宅に不審物を仕掛けたり、社会民主党本部、元自民党幹事長野中広務の事務所等に実弾入りの脅迫状を送りつけた。NHK朝日新聞社も襲撃の標的であった[1]

その際に、「建国義勇軍国賊征伐隊」、「建国義勇軍朝鮮征伐隊」等を名乗ったため一連の事件は「建国義勇軍事件」と呼ばれている。

事件当時「日本人の会」は日本刀愛好者団体「刀剣友の会」と同じ団体として報道されたが、「刀剣友の会」は建国義勇軍事件の主犯・村上一郎が当時会長を務めていた刀剣・ナイフ販売会社の日本レジンの月刊通販カタログ誌「月刊刀剣・ナイフ情報」の定期購読者に対して日本レジンが付けた名称であり、「日本人の会」とは全く関係がない。規約や組織、行事、活動は一切存在せず、日本刀愛好者団体としての実態もなかった。当然入会手続もなく、年間購読料を支払って同誌の定期購読を申し込むと、自動的に「刀剣友の会」の「会員証(実態は購読者証)」が送られてくるシステムになっていた。日本刀の通販カタログ誌としては刀剣柴田銀座長州屋のものよりも年間購読料が安かったため、思想に関係なく講読していた日本刀愛好家は多かった。

ただ、毎号巻末に村上の右翼思想が長々と掲載されており、刀剣業界の事情に疎い当時の日本マスメディアは「日本人の会」と「刀剣友の会」を混同した報道を行っていた。正確には、村上一郎が「月刊刀剣・ナイフ情報」の誌面等を利用し同志を募って結成したのが「日本人の会」であり、こちらの方は入会資格が定められていて、日本国籍を有しない者や左翼思想の持ち主は入会不可とされていた。

犯罪活動を行ったのは「日本人の会」の一部メンバーであり、一般会員は事件とは無関係である。「日本人の会」が現在存続しているかどうかは不明であるが、当時の一般会員の証言では犯行の事実は全く知らなかったという。

事件は全国各地、広域的に行われ、合計24件にものぼった。また、建国義勇軍メンバーはそれぞれ役割分担をして事件を起こしたため、組織的に計画を立て、実行したことが伺える。また犯行当時、村上から数千万円単位の出資を勧誘されていた「日本人の会」会員もおり、このような経緯に鑑みると「日本人の会」は村上一郎が資金調達のために、自らが経営する日本レジンの業務を利用した偽装組織であったと言える。

犯行動機や実行に至るまでの活動に不可解な点が多く、主犯の村上一郎が疾患を患っており公判中に倒れている事(検察側の求刑15年、2007年7月現在、公判停止中)や、村上の個人的なトラウマルサンチマンが事件の動機と関係しているとの証言もある。

実行犯も村上に「誘われて断り切れなかった」と供述するなど、「多くの容疑者は確固たる動機や信念もなく、成り行きで事件にかかわっていた」(捜査関係者)とみられている[2]

当時村上が経営していた日本レジンには莫大な負債があり、暴力団に債権を握られていた。

尚、この団体が、警察の捜査により明るみに出る以前は、インターネット上の掲示板2ちゃんねるハングル板などにおいて、在日朝鮮人自作自演ではないかという陰謀論も見られた。しかし事件の性質が明らかになるに従い、在日朝鮮人の自作自演の陰謀ではなく、主犯・村上一郎を中心とする組織的犯罪であった事が浮き彫りとなった。

当時、民主党衆議院議員だった西村眞悟が「刀剣友の会」の最高顧問として在籍。西村の事務所では、同議員は地元の支援者を通じて約4年前に村上を紹介され、「年に一、二回会ったり、会の講演を頼まれたりする間柄」であったが事件への関与は完全否定した。一方で村上から受けた218万円の政治献金については「私の政治活動、政治信条に対する献金」と返還を否定。最高顧問も辞任する考えがないことを示していた。ただし、知人が「犯罪行為に加担したことへの道義的責任」として内定していた衆議院災害対策特別委員長のポストを辞退した[3]

事件の内容と発生地域

  • 拳銃の発砲(7件)
    • 新潟(1)・東京(2)・愛知(1)・大阪(1)・岡山(1)・広島(1)
  • 偽の爆発物の設置(5件)
    • 新潟(1)・東京(2)・福岡(2)
  • 拳銃の実弾を同封した脅迫文の送付(11件)
    • 北海道(1)・山形(4)・東京(4)・神奈川(1)・大阪(1)
  • 放火(1件)
    • 福井(1)

注釈・脚注

関連項目

外部リンク