コンテンツにスキップ

「トンクル (楽器)」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
リード文
m Bot作業依頼#Cite bookの更新に伴う修正
 
1行目: 1行目:
[[File:Tuŋkuř.jpg|thumb|220px|1920年代サハリンにおいて]]
[[File:Tuŋkuř.jpg|thumb|220px|1920年代サハリンにおいて]]
トンクル(Tuŋkuř)は[[ニヴフ]]に伝承される一弦楽器の名称。日本での俗称は「蝦夷胡弓」<ref>{{Cite book|和書|author=[[谷本一之]]|year=1958|title=アイヌの五弦琴(北方文化研究 第13輯より)|publisher=北海道大学|pages=244p}}</ref>。 [[インドネシア]]の[[ジャワ島]]や[[バリ島]]のソンタイや、[[エジプト]]のレバービエルムハ二、エジプト以外の[[アフリカ]]のレバーク等との類似性がある。
トンクル(Tuŋkuř)は[[ニヴフ]]に伝承される一弦楽器の名称。日本での俗称は「蝦夷胡弓」<ref>{{Cite book|和書|author=谷本一之|authorlink=谷本一之|year=1958|title=アイヌの五弦琴(北方文化研究 第13輯より)|publisher=北海道大学|page=244}}</ref>。 [[インドネシア]]の[[ジャワ島]]や[[バリ島]]のソンタイや、[[エジプト]]のレバービエルムハ二、エジプト以外の[[アフリカ]]のレバーク等との類似性がある。


==呼称==
==呼称==
古くから中国大陸の胡琴([[二胡]]の原楽器)の模倣楽器として知られ、[[アイヌ]]の五弦琴である「[[トンコリ]]」は「トンクル」とも発音され、混同されていたようだ<ref>{{Cite book|和書|author=谷本一之|year=1958|title=アイヌの五弦琴(北方文化研究 第13輯より)|publisher=北海道大学|pages=246p}}</ref>。[[樺太アイヌ]]、[[オロッコ]]が所有するトンクルの模倣楽器は「ウマ・トンコリ」という。
古くから中国大陸の胡琴([[二胡]]の原楽器)の模倣楽器として知られ、[[アイヌ]]の五弦琴である「[[トンコリ]]」は「トンクル」とも発音され、混同されていたようだ<ref>{{Cite book|和書|author=谷本一之|year=1958|title=アイヌの五弦琴(北方文化研究 第13輯より)|publisher=北海道大学|page=246}}</ref>。[[樺太アイヌ]]、[[オロッコ]]が所有するトンクルの模倣楽器は「ウマ・トンコリ」という。


==構造==
==構造==
胴の形状は中国大陸の胡琴とおなじく円筒形であり、[[シラカバ]]の樹皮を輪にし、筒の横から棹を貫き、その上を鮭の皮を張り馬の尻毛を弦とし、それを棹の両端から張る。弓に張る弦も同じ馬の毛を用いる。胴は[[竹筒]]に紙などを貼ったのもあるが、ブリキの空き缶の蓋を取り去ったものを使う場合もあった<ref>{{Cite book|和書|author=[[田辺尚雄]]|year=1927|title=島国の歌と踊り|publisher=磯部甲陽堂|pages=129p}}</ref>。音はきわめて細く弱い。 
胴の形状は中国大陸の胡琴とおなじく円筒形であり、[[シラカバ]]の樹皮を輪にし、筒の横から棹を貫き、その上を鮭の皮を張り馬の尻毛を弦とし、それを棹の両端から張る。弓に張る弦も同じ馬の毛を用いる。胴は[[竹筒]]に紙などを貼ったのもあるが、ブリキの空き缶の蓋を取り去ったものを使う場合もあった<ref>{{Cite book|和書|author=田辺尚雄|authorlink=田辺尚雄|year=1927|title=島国の歌と踊り|publisher=磯部甲陽堂|page=129}}</ref>。音はきわめて細く弱い。 


== 脚注 ==
== 脚注 ==

2022年6月4日 (土) 22:38時点における最新版

1920年代サハリンにおいて

トンクル(Tuŋkuř)はニヴフに伝承される一弦楽器の名称。日本での俗称は「蝦夷胡弓」[1]。 インドネシアジャワ島バリ島のソンタイや、エジプトのレバービエルムハ二、エジプト以外のアフリカのレバーク等との類似性がある。

呼称

[編集]

古くから中国大陸の胡琴(二胡の原楽器)の模倣楽器として知られ、アイヌの五弦琴である「トンコリ」は「トンクル」とも発音され、混同されていたようだ[2]樺太アイヌオロッコが所有するトンクルの模倣楽器は「ウマ・トンコリ」という。

構造

[編集]

胴の形状は中国大陸の胡琴とおなじく円筒形であり、シラカバの樹皮を輪にし、筒の横から棹を貫き、その上を鮭の皮を張り馬の尻毛を弦とし、それを棹の両端から張る。弓に張る弦も同じ馬の毛を用いる。胴は竹筒に紙などを貼ったのもあるが、ブリキの空き缶の蓋を取り去ったものを使う場合もあった[3]。音はきわめて細く弱い。 

脚注

[編集]
  1. ^ 谷本一之『アイヌの五弦琴(北方文化研究 第13輯より)』北海道大学、1958年、244頁。 
  2. ^ 谷本一之『アイヌの五弦琴(北方文化研究 第13輯より)』北海道大学、1958年、246頁。 
  3. ^ 田辺尚雄『島国の歌と踊り』磯部甲陽堂、1927年、129頁。 

  服部健『ギリヤーク』の「14芸術・娯楽・物語」