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*早稲田大学YMCA[[信愛学舎]]
*[[慶應義塾大学]]日吉寄宿舎
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2020年2月10日 (月) 12:19時点における版
自治寮(じちりょう)とは寮生自らが管理運営に関与している学生寮のことである。自治寮には必ず学生自治組織(以下、寮自治会)が存在する。一方、寮生以外の第三者、例えば学校が全面的に管理運営している学生寮を管理寮(かんりりょう)と言う。
概要
自治寮では寮生自らが寮の管理運営に関与している。国内には百以上の自治寮があり、北海道大学恵迪寮、京都大学吉田寮、東北大学明善寮、山手学舎はとくに有名である。
- 「どうすれば居住者の利便性を向上させられるか」という問題は、実際に寮に居住している寮生のほうが、居住していない学校よりもよく認識できる。ゆえに寮生が寮の管理と運営に関与できたほうが、サービスを細かい所にまで充実させられる。(寮生側)
- 学生寮には経済困窮学生の福利厚生施設の側面もあるが、将来、経済論理で動きがちな学校側が福利厚生の縮減(家賃の値上げなど)をしようとするかもしれない。そのときに備えて、寮生を守る防波堤的な互助組織――寮自治会を組織しておきたい。(寮生側)
- 自分たちのことは自分たちでやりたい。学校側の言いなりになりたくない。(寮生側)
- 自治寮の教育的効果に期待したい。(学校側)
- 寮にかかる経費や労力を削減したい。(学校側)
- 寮内のトラブルは、寮生に解決してもらいたい。(学校側)
- 寮生に求められた。(学校側)
一方で、自治寮はなくなることもある。自治をやめる(やめさせる)理由としては以下がある。
- 自治への寮生の協力が得られない。(寮生側)
- 学校に求められた。(寮生側)
- 寮生による管理運営に不満がある。(学校側)
- 学校側が目を光らせていないと、過激派が入り込むかもしれない。(学校側)
- (主に経済的事情で)学生寮自体を廃止することになった。(学校側)
近年、自治寮は全国的に数を減らしつつある。大学周辺の住宅事情が改善し学生寮を設置する必然性が薄れてきたこと、共同生活を嫌う風潮が強まったこと、自治寮は過激派の温床であるという固定観念、施設老朽化と建替に係る費用負担者問題などが原因とみられる。しかしながら新たに生まれる自治寮も少ないながら確認されている。
自治寮の過去と現在
寮によっては過去において学生運動の拠点として使用された事も有り、現在もなお影響の残る寮も存在する(学生自治会、全日本学生自治会総連合等を参照。東北大学有朋寮(2006年に廃寮)が最近の良い例)。 ただし現在では学生運動の反省から基本的には自治寮では政治・宗教・人種に関することはタブーとされていることが多い[要出典]。その場合、寮は個人の信条に立ち入ることはないが、他人にそれを勧誘したり押し付けることは固く禁じられている。 特に政治活動等がタブー視されていない寮では、むしろ政治活動に間近で接することでかえって免疫が寮生につくという教育効果が往々にして見られ、昨今の風潮および左翼思想の新陳代謝の停滞と合わせて結局活動家勢力があまり大きくならないというような力学が見られる。 干渉を嫌う学生が多い風潮の昨今、企業採用などにおいてむしろ、予定調和的でない共同生活を切り抜けられる人材であることが明瞭な自治寮経験者が珍重されるという現象も生じている。
寮自治会
自治寮にはその名の通り寮生からなる寮自治会が存在する。 寮自治会が強制加入団体である場合、寮生は入寮と同時に寮自治会に自動的に加入することになる。任意加入団体である場合もある。 寮自治会は多くの場合、直接民主制を基礎としている。したがって、寮生間の信義が重んじられる。 また自治寮には寮自治会運営のための独自の規約が通常存在している。寮によって内容は異なるが、これに自治会役員や選挙規定などが明記されてある事が多い。しかし、制度が体系的に明示化されず慣例の積み重ねによって運営されるケースもある。 自治会員は基本的に自治会規約を遵守せねばならない。大学によっては自治会規約によって大学の寮に関する規約が形骸化したケースすら有る(例:京都大学の入寮資格に関する項目)。もちろん自治会規約よりは一般法のほうが上位にあるが、一般法にも慣習の有効性は認められており、すでに長年通用している自治会規約等の場合すべてにおいて一般法の適用が優先するとは限らない。
自治寮は一般的に言って、入退寮権を寮自治会が有していることが多く、この入退寮権の保持によって自治が可能となっている。 入退寮権の保持は、寮自治会の構成員構成に外部から干渉を受けないことを意味し、独立した意思決定をしていくためには自治会にとって必須のものである。 自治寮が自治制度上構成員に課することのできる実質的最高罰は強制退寮処分である事が多い。その他の罰則は究極的には、強制退寮処分を回避するため被処分者が自治会の提案するものを自ら選択するという形式となる。
寮自治会では以下のような組織構成がなされているのが一般的である。
最高議決機関
寮自治会における最高議決機関は通常寮生大会(寮自治会によっては寮生総会・寮生会議・寮本部会議などとも称される)とされる。寮生大会は通常、極力多数の寮生の意見が反映される形式で行われる(全寮生の2/3以上の出席が必要であるなど)。これが、寮自治が直接民主制であることが多い、という理由である。
執行役員
寮生大会だけでは頻繁な意志決定ができないので、通常、寮自治会は役員を置いて自治に当たる。 役員は互選や選挙によって選出される。 寮役員は通常、自治会員の信任と委託によって寮自治の運営を行う。 寮役員はその役職に対する手当金を自治会の財政から受け取っていることがある[要出典]。
以下は執行役員組織の一例である(要出典:どこの寮か)。
寮自治会役員
寮長
寮自治会の長。寮自治運営の責任者である。寮の説教役であったりする。
副寮長
寮長を補佐することで寮運営に寄与する。対外的な交渉は副寮長が行うことが多い。
書記(庶務)
寮生大会や寮自治会役員の会議の記録を取り、また管理する。寮長、副寮長、書記を三役と呼ぶ。
専門役員
三役とは異なり、寮自治会における専門的かつ具体的な役務を担当する。 各寮で異なるが、一般的には
- 会計
- 厚生
- 文化体育
- 広報
- 寮内LAN運用
がなど。 しばしばこの役職は「厚生局」や「厚生部」といったように「局」や「部」の名称で存在している。具体的な組織の詳細や陣容は寮によって異なる。
寮自治会役員以外の役員
寮自治会には執行役員と独立な役職・期間が設けられていることが多い。これらには中立性の担保が期待されている。 例えば、議長(団)、選挙管理委員会、会計監査委員会などがある。
また寮によっては国政の司法にあたる懲罰委員会が存在することもある。懲罰委員会が存在しない寮は、寮役員会や寮生大会が司法機関にあたる。しかし懲罰に関する規約が著しく不十分なものであることも多い。特に寮生の法律知識の不足により、法的な解決策が制度的に組み込まれていることは少ない。
生活単位による組織
自治会によっては寮生大会の下位機関として寮内の生活単位(階や棟などで分かれている単位)で区分された組織がある場合がある。
その場合、生活単位にはそれを代表する代議員がおり、代議員の総会である代議員会が存在する場合が多い。またその生活単位内の問題はその構成員による会議で決定される。代議員会は、各生活単位の問題を寮役員に伝え、また寮役員を監視するような恒常的に機能を持つ場合や、寮生大会などのために臨時に組織される場合など寮により様々な形態がある。
寮生大会で扱うまでもないような議題に関しては代議員会で審議し、可決すれば施行することの出来る制度の寮自治会もある。
学生寮自治会の全国連合組織として「全日本学生寮自治会連合」(全寮連)も結成されていたが、2006年3月に解散した。
寮の行事
さまざまな行事が行われるのが自治寮の大きな特色のひとつである。
- 新入寮生歓迎行事(新歓・N歓)
- 寮生旅行
- 寮祭
- 退寮生追い出し行事、卒業生送別会(追いコン)
これらはどの寮でも行われている一般的な行事である。その形態は寮によって様々であり、その寮の性格をよく表すものとなっている。
基本的に寮自治会員は寮内は世間とは隔離されていると考える者が多く、寮の外部でやるとひんしゅくを買うようなことが堂々と行われているのが常である。全日本コール選手権に於ける男子寮(横浜市立大学)はそのよい例である。
特に新入寮生歓迎行事は、新入寮生の寮自治体制への理解を深め、新入寮生同士及び先輩寮生(寮によっては寮OBOG)との交流を深めるという意味で重要視されており、その目的の達成のために練られた寮独特の行事が行われている。
主な自治寮
2016年7月現在。抜け多数
国公立大学の寮
- 北海道大学恵迪寮
- 札幌キャンパス内にあり、男女学部生と男子院生、男子留学生対象の寮。
- 北海道大学霜星寮
- 札幌キャンパス付近にあり、女子学部生、院生対象の寮。
- 北海道大学北晨寮
- 函館キャンパス付近にあり、水産学部・水産科学院生対象の寮。
- 北海道大学YMCA汝羊寮
- 札幌医科大学望嶽寮
- 北海道教育大学札幌校紫藻寮
- 北海道教育大学釧路校鶴ヶ岱寮
- 室蘭工業大学明徳寮
- 北見工業大学北苑寮
- 東北大学に存在する(した)全ての学生寮
- 東北大学YMCA渓水寮
- 岩手大学同袍寮
- 岩手大学自啓寮
- 岩手大学北謳寮
- 岩手大学紅梅寮
- 山形大学白楊寮
- 弘前大学北溟寮
- 弘前大学北鷹寮
- 弘前大学朋寮
- 福島大学信夫寮
- 福島大学如月寮
- 福島大学葵寮
- 金沢大学北溟寮 (2016年閉寮)
- 富山大学新樹寮
- 管理寮化?
- 山梨大学芙蓉寮
- 信州大学こまくさ寮
- 信州大学思誠寮
- 信州大学思誠女子寮
- 信州大学芙岳寮
- 信州大学妻科寮(あけぼの寮)
- 信州大学若里寮
- 信州大学中原寮
- 信州大学修己寮
- 東京大学駒場寮(廃寮)
- 東京大学豊島学寮(廃寮)
- 東京大学YMCA寮
- 東京海洋大学(海王寮・朋鷹寮)
- 東京農工大学 欅寮
- 一橋大学YMCA一橋寮
- 一橋大学中和寮・院生寮・ISDAK
- お茶の水大学小石川寮
- 茨城大学水哉寮
- 茨城大学みずき寮
- 茨城大学吼洋寮
- 茨城大学さくら寮
- 茨城大学霞光寮
- 千葉大学浩気寮
- 管理寮化?
- 埼玉大学蒼玄寮・悠元寮(2010年3月廃寮)
- 名古屋工業大学恒和寮
- 静岡大学片山寮
- 静岡大学雄萠寮
- 静岡大学あかつき寮
- 岐阜大学黒野寮
- 三重大学安濃津寮
- 三重大学清和寮
- 滋賀大学平津ヶ丘寮
- 滋賀大学偲聖寮
- 京都大学吉田寮
- 日本最古の現役学生寮。1912年竣工。同年自治制導入
- 京都大学宇治寮(廃寮)
- 京都大学熊野寮
- 京都大学女子寮
- 管理寮化?
- 京都大学室町寮
- 京都大学大学院生の寮。
- 京都大学大学院思修館
- 京都大学YMCA地塩寮
- 京都教育大学 深草寮 露草寮
- 京都工芸繊維大学洛西寮
- 和歌山大学女子寮
- 和歌山大学男子寮
- 大阪大学もみじ寮
- 大阪大学向陽寮
- 神戸大学住吉寮
- 神戸大学女子寮
- 鳥取大学北斗寮
- 鳥取大学霞里湖寮
- 島根大学雄翔寮(廃寮)
- 山口大学吉田寮
- 香川大学屋島寮
- 香川大学若草寮
- 香川大学光風寮
- 愛媛大学拓翠寮
- 高知大学南溟寮
- 九州大学田島寮(廃寮)
- 九州大学松原寮(廃寮[3])
- 九州大学箱崎地区近くにある。箱崎地区に学籍がある男子学部生・院生が中心。ただし現在は学年・学部・学府の区別なく全学的に開放されている。
- 九州大学貝塚寮(廃寮[4])
- 九州大学箱崎地区近くにある。全学を対象とした九州大学唯一の女子寮である。
- 九州大学井尻寮
- 九州大学大橋地区近くにある。九州芸術工科大学の井尻寮を前身としている。大橋地区及び筑紫地区に学籍がある学部生・大学院生の寮。九州大学の寮で唯一入寮に学籍制限がある。
- 九州大学YMCA名島寮
- 福岡教育大学城山寮(女子寮)・武丸寮(男子寮)
- 熊本大学学生寄宿舎
- 熊本大学YMCA花陵会
- 長崎大学YMCA浦山寮
- 鹿児島大学学生寄宿寮
- 京都府立医科大学YMCA橘井寮
- ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計。映画「ヒポクラテスたち」の舞台となった。
- 会津大学短期大学部一箕寮
私立大学の寮
- 早稲田大学田無学生寮(管理寮化[5])
- 早稲田大学YMCA信愛学舎
- 慶應義塾大学日吉寄宿舎
- 創価大学友光寮
- 創価大学滝山寮
- 創価大学宝友寮
- 創価大学創春寮
- 創価大学白萩寮
- 創価大学桜香寮
- 創価大学朝霧寮
- 創価大学香峯寮
- 創価大学陽光寮
- 国際基督教大学学生寮
- 法政大学府中寮(2010年廃寮)
- 日本体育大学第一学生寮
- 日本福祉大学勢和寮
- 日本女子大学泉山寮
- 日本女子大学潜心寮
- 日本女子大学楓寮(2019年廃寮予定)
- 同志社大学松蔭寮
- 同志社大学大成寮
- 同志社大学此春寮
- 同志社大学壮図寮
- 同志社大学暁夕寮
- 同志社大学松蔭寮
- 関西学院大学啓明寮
- 関西学院大学静修寮
- 関西学院大学成全寮
- 関西学院大学清風寮
- 関西学院大学聖和寮
- 福岡大学自修寮
- 酪農学園大学 創世寮(2015年 北光寮との合併により管理寮化)
- 酪農学園大学 北光寮(2015年創世寮と合併)
県人寮その他
- 青森県学生寮
- 青森県の県人寮。東京都小平市。
- 米沢有為会東京興譲館寮
- 山形県置賜地方の県人寮。東京都調布市。
- 米沢有為会仙台興譲館寮
- 山形県置賜地方の県人寮。宮城県仙台市。
- 信州学生協会信濃寮
- 長野県の県人寮。東京都小金井市。
- 学生寮長善館
- 長野県の県人寮。東京都調布市。
- 学生寮上毛学舎
- 群馬県の県人寮。東京都世田谷区。
- 岐阜県学寮
- 岐阜県の県人寮。東京都文京区。
- 富山県学生寮
- 富山県の県人寮。東京都府中市。
- 高岡市萩布学生寮
- 富山県高岡市の県人寮。東京都小金井市。
- 輔仁会明倫学舎
- 福井県の県人寮。東京都武蔵野市。
- 水戸育英会学生寮(水戸塾)
- 茨城県の県人寮。東京都世田谷区。
- 三河郷友会学生会館(三河寮)
- 愛知県の県人寮。東京都文京区。
- 愛知県育英会愛知学生会館
- 愛知県の県人寮。東京都文京区。
- 湖国寮
- 滋賀県の県人寮。東京都武蔵野市。
- 奈良県奨学会養徳学舎
- 奈良県の県人寮。東京都文京区。
- 香川育英会東京学生寮
- 香川県の県人寮。東京都港区。
- 東予学舎
- 愛媛県出身者のための県人寮。東京都調布市。
- 東京土佐寮
- 高知県の県人寮。東京都三鷹区。
- 久敬社塾
- 佐賀県の県人寮。東京都小金井市。
- 岩崎育英奨学会岩崎学生寮
- 山手学舎
- 和敬塾
中学・高校の寮
- 自由学園東天寮
- 自由の森学園中学校・高等学校生徒寮
- 岡山中学校・高等学校教育寮みしま
- 青雲高等学校和敬寮
旧制学校の寮
- 第一高等中学校寄宿舎
- おそらく日本初の自治寮。1890年自治制導入
- (旧)京都帝国大学寄宿舎
- (新)京都帝国大学寄宿舎
- 吉田寮のこと
- 第三高等学校自由寮
- 旧制三高の自治寮。1946年焼失
著名な自治寮出身者
関連項目
- 管理寮
- 学生寮
- 学生自治会
- 大学の自治
- 全日本学生寮自治会連合(全寮連) - 寮自治会の全国組織。2006年3月解散。
脚注
- ^ 京都帝国大学における寄宿舎「自治」の成立とその変化 冨岡勝 1995年
- ^ 京都大学吉田寮の保存活動および類似施設への影響から見る学生寮の価値 近藤佑子 2012年
- ^ “「松原寮と貝塚寮の閉寮式」を開催”. 2020年2月10日閲覧。
- ^ “「松原寮と貝塚寮の閉寮式」を開催”. 2020年2月10日閲覧。
- ^ “早稲田大学田無学生寮 寮内規則”. 2020年2月10日閲覧。