「テボーの定理」の版間の差分
Neuberg 469 (会話 | 投稿記録) |
タグ: 2017年版ソースエディター |
||
14行目: | 14行目: | ||
ある[[三角形]]{{Mvar|ABC}}と、{{Mvar|BC}}上の点{{Mvar|M}}について、{{Mvar|BC,AM}}と三角形{{Mvar|ABC}}の[[外接円]]に[[接線|接]]する([[内接図形|内接]]する)[[円 (数学)|円]]を{{Mvar|AM}}の両側にそれぞれ作る。 2つの円の中心{{Mvar|P,Q}}と三角形{{Mvar|ABC}}の[[内心]]{{Mvar|I}}は[[共線]]である<ref>{{Cite book|洋書 |title=Geometry by Its History |publisher=Heidelberg ; New York : Springer |author=Alexander Ostermann, Gerhard Wanner |year=2012 |pages=226-230 |url=https://archive.org/details/geometrybyitshis0000oste}}</ref><ref>{{Cite web |title=Thébault's Problem III |url=https://www.cut-the-knot.org/Curriculum/Geometry/Thebault3.shtml |website=www.cut-the-knot.org |access-date=2024-05-18}}</ref>。'''Sawayama-Thébaultの定理'''とも呼ばれている。 |
ある[[三角形]]{{Mvar|ABC}}と、{{Mvar|BC}}上の点{{Mvar|M}}について、{{Mvar|BC,AM}}と三角形{{Mvar|ABC}}の[[外接円]]に[[接線|接]]する([[内接図形|内接]]する)[[円 (数学)|円]]を{{Mvar|AM}}の両側にそれぞれ作る。 2つの円の中心{{Mvar|P,Q}}と三角形{{Mvar|ABC}}の[[内心]]{{Mvar|I}}は[[共線]]である<ref>{{Cite book|洋書 |title=Geometry by Its History |publisher=Heidelberg ; New York : Springer |author=Alexander Ostermann, Gerhard Wanner |year=2012 |pages=226-230 |url=https://archive.org/details/geometrybyitshis0000oste}}</ref><ref>{{Cite web |title=Thébault's Problem III |url=https://www.cut-the-knot.org/Curriculum/Geometry/Thebault3.shtml |website=www.cut-the-knot.org |access-date=2024-05-18}}</ref>。'''Sawayama-Thébaultの定理'''とも呼ばれている。 |
||
2003年まで、学会はテボーの問題 IIIの[[証明]]はこれらの問題の中で最も難しいと考えていた。テボーの問題 IIIは1938年、{{仮リンク|American Mathematical Monthly|en|American Mathematical Monthly}}で紹介され、1973年に、[[オランダ]]の数学者H. Streefkerkによって証明された。しかし[[東京]]の[[陸軍 |
2003年まで、学会はテボーの問題 IIIの[[証明]]はこれらの問題の中で最も難しいと考えていた。テボーの問題 IIIは1938年、{{仮リンク|American Mathematical Monthly|en|American Mathematical Monthly}}で紹介され、1973年に、[[オランダ]]の数学者H. Streefkerkによって証明された。しかし[[東京]]の[[陸軍幼年学校 (日本)|陸軍中央幼年学校]]の教官であるY. Sawayamaが1905年に独自に証明を与えていたことが、2003年、Jean-Louis Aymeによって発見された<ref name=":0">{{Citation|title=Sawayama and Thébault's theorem|last=Ayme|first=Jean-Louis|year=2003|url=http://forumgeom.fau.edu/FG2003volume3/FG200325.pdf|journal=[[Forum Geometricorum]]|volume=3|pages=225–229|mr=2055379}}</ref><ref>{{Cite book |title=A New Geometrical Proposition |url=http://archive.org/details/jstor-2967716 |publisher=The American Mathematical Monthly |date=1905-12-01 |others=JSTOR |first=Y. |last=Sawayama}}</ref>。 |
||
テボーの問題 IIIの円を傍接に置き換えたもの、つまり内心を[[傍心]]に、2つの円を外接円に[[接する|外接]]するように置き換えたものは、2002年、Shay Gueronによって発見され、 [[ケイシーの定理]]を用いて証明された <ref name=":1">{{Cite journal|last=Gueron|first=Shay|date=April 2002|title=Two Applications of the Generalized Ptolemy Theorem|url=http://geometry.ru/articles/Two_Casey.pdf|journal=The American Mathematical Monthly|volume=109|issue=4|pages=362–370|doi=10.2307/2695499|JSTOR=2695499}}</ref>。Sawayama-Thébaultの定理は以下の様にも言い換えることができる<ref name=":1" />。 |
テボーの問題 IIIの円を傍接に置き換えたもの、つまり内心を[[傍心]]に、2つの円を外接円に[[接する|外接]]するように置き換えたものは、2002年、Shay Gueronによって発見され、 [[ケイシーの定理]]を用いて証明された <ref name=":1">{{Cite journal|last=Gueron|first=Shay|date=April 2002|title=Two Applications of the Generalized Ptolemy Theorem|url=http://geometry.ru/articles/Two_Casey.pdf|journal=The American Mathematical Monthly|volume=109|issue=4|pages=362–370|doi=10.2307/2695499|JSTOR=2695499}}</ref>。Sawayama-Thébaultの定理は以下の様にも言い換えることができる<ref name=":1" />。 |
2024年5月19日 (日) 06:05時点における版
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4e/Thebault_1_2_3.svg/220px-Thebault_1_2_3.svg.png)
テボーの定理(テボーのていり、英:Thébault's theorem、仏:Théorème de Thébault)は、フランスの数学者、ヴィクトル・テボーが提唱したいくつかの幾何学の問題の総称である。それぞれは、テボーの問題I, II, IIIとして知られている。
テボーの問題 I
ある平行四辺形の4辺の外側に正方形を作る。このとき、4つの正方形の中心は正方形を作る。
これはヴァン・オーベルの定理の特別な場合である[1]。
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/5b/Thebault_problem_I_tiling_pattern.png/220px-Thebault_problem_I_tiling_pattern.png)
テボーの問題 II
ある正方形の隣り合う二辺に正三角形を作る。ただし、双方ともに、外側または内側にあるとする。このとき、2つの正三角形の頂点でない正方形の頂点と、正方形の頂点でない二つの正三角形の頂点が成す三角形は正三角形である[2]。
テボーの問題 III
ある三角形ABCと、BC上の点Mについて、BC,AMと三角形ABCの外接円に接する(内接する)円をAMの両側にそれぞれ作る。 2つの円の中心P,Qと三角形ABCの内心Iは共線である[3][4]。Sawayama-Thébaultの定理とも呼ばれている。
2003年まで、学会はテボーの問題 IIIの証明はこれらの問題の中で最も難しいと考えていた。テボーの問題 IIIは1938年、American Mathematical Monthlyで紹介され、1973年に、オランダの数学者H. Streefkerkによって証明された。しかし東京の陸軍中央幼年学校の教官であるY. Sawayamaが1905年に独自に証明を与えていたことが、2003年、Jean-Louis Aymeによって発見された[5][6]。
テボーの問題 IIIの円を傍接に置き換えたもの、つまり内心を傍心に、2つの円を外接円に外接するように置き換えたものは、2002年、Shay Gueronによって発見され、 ケイシーの定理を用いて証明された [7]。Sawayama-Thébaultの定理は以下の様にも言い換えることができる[7]。
Sawayama-Thébaultの定理 ― ∠AMB=θ、AM,BCと△ABCの外接円に内接するB,C側の円の中心をそれぞれP,Q、内心をIとすると以下の式が成り立つ。
SawayamaとH. Streefkerkの証明
補題(Sawayamaの補題)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/5f/Proof_of_lemma_of_Thebault%27s_theorem.png/427px-Proof_of_lemma_of_Thebault%27s_theorem.png)
・円QとBC,AMの接点をE,Fとする。E,F,Iは共線である[5]。
円Qと△ABCの外接円Oとの接点をKとする。Kを中心とする円の相似からKEとOの交点Nは弧BCの中点、つまりAIとOの交点である。したがって、KEは∠BKCの二等分線である。またKFとOの交点をL、ANとEFの交点をJとして、EF//NLなのでReimの定理の逆から、A,J,F,Kは共円である。△AFJとF,E,Jに、ミケル点をKとしてミケルの定理を用いることで、AJと円JEKはJで接することが分かる。円Q,JEKはEKで共軸で、AJと円JEKが接することから、Nを中心としJを通る円と円JEK,Qは直交する。ところで、∠NKB=∠NCB=∠NBCと接弦定理の逆から円BKEはBNと接するので、共軸な3円Q,JEK,BEKは、すべてNを中心としJを通る円と直交する。したがってNB=NJ=NCである。ところでトリリウムの定理よりNB=NI=NCなのでI=J。したがってE,F,Iの共線が示された。
特にM=Bとすると、円QはBの混線内接円となり、この補題はニクソンの定理(theorem of Nixon)と呼ばれる[8]。
本題
・P,Q,Iは共線である。
円PとBC,AMの接点をG,Hとする。P,Qはそれぞれ∠AMBの内側、外側の二等分線上にあり、またGH,EFはそれぞれの垂線であるので、GH//MQ,EF//MPである。さらにPG//QEなのでパップスの六角形定理の逆より、P,Q,Iの共線が示された。
出典
- ^ “Thébault's Problem I”. www.cut-the-knot.org. 2024年5月18日閲覧。
- ^ “Thébault's Problem II”. www.cut-the-knot.org. 2024年5月18日閲覧。
- ^ Alexander Ostermann, Gerhard Wanner (2012). Geometry by Its History. Heidelberg ; New York : Springer. pp. 226-230
- ^ “Thébault's Problem III”. www.cut-the-knot.org. 2024年5月18日閲覧。
- ^ a b Ayme, Jean-Louis (2003), “Sawayama and Thébault's theorem”, Forum Geometricorum 3: 225–229, MR2055379
- ^ Sawayama, Y. (1905-12-01). A New Geometrical Proposition. JSTOR. The American Mathematical Monthly
- ^ a b Gueron, Shay (April 2002). “Two Applications of the Generalized Ptolemy Theorem”. The American Mathematical Monthly 109 (4): 362–370. doi:10.2307/2695499. JSTOR 2695499 .
- ^ Nguyen Chuong Chi (2018). “A Proof of Dao’s Generalization of the Sawayama Lemma”. International Journal of Computer Discovered Mathematics (IJCDM) Volume 3: 1-4 .
外部リンク
- Thébault's problems and variations at cut-the.knot.org