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「移調楽器」の版間の差分

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実質的に移調楽器としての要件を備えている楽器であっても、一般に実音で記譜することになっている楽器もある。[[トロンボーン]]や[[ユーフォニアム]]などの低音部を受け持つ[[金管楽器]]等がそうである。<br>
実質的に移調楽器としての要件を備えている楽器であっても、一般に実音で記譜することになっている楽器もある。[[トロンボーン]]や[[ユーフォニアム]]などの低音部を受け持つ[[金管楽器]]等がそうである。<br>
また、[[リコーダー]]族のための楽譜は、<!--音響学的にDの楽器と呼ぶにふさわしい-->ソプラノ、テノール等の楽器も、Gの楽器と呼ぶにふさわしい-->管、それらよりそれぞれ完全5度低い管であるアルト、バス等の楽器も、in Cで記される。<br>
また、[[リコーダー]]族のための楽譜は、<!--音響学的にDの楽器と呼ぶにふさわしい-->ソプラノ、テノール<!--等の楽器も、Gの楽器と呼ぶにふさわしい-->管、それらよりそれぞれ完全5度低い管であるアルト、バス<!--等の楽器も、-->管も、in Cで記される。<br>
<!--[[フルート]]は実は音響学的にDの楽器であるが、Cで書かれ、他のフルート属の楽器もそれに準じている。<br>-->
<!--[[フルート]]は実は音響学的にDの楽器であるが、Cで書かれ、他のフルート属の楽器もそれに準じている。<br>-->
ごくまれに、一般的には移調楽器とされている楽器のための楽譜も全て実音で表記する作曲家もある。(プロコフィエフがその例。)
ごくまれに、一般的には移調楽器とされている楽器のための楽譜も全て実音で表記する作曲家もある。(プロコフィエフがその例。)

2004年10月4日 (月) 12:36時点における版

移調楽器いちょうがっき)とは、楽譜に書いてある音を演奏しても実際には別の音が出る楽器のことをいう。

たとえば、イングリッシュホルンで、楽譜上のハ(C、ド)の音を演奏すると、その音よりも完全5度低いヘ(F、ファ)の音が出る。これが移調楽器である。また、この楽器のように、ハ(C、ド)を演奏するとヘ(F、ファ)の出る楽器をヘ調の(F調の)楽器という。

他の楽器でも、楽譜上のハ(C、ド)を演奏したときの実際の音によって、移調楽器の種類を呼び表す。また、管楽器の場合にはF管のように音名に「管」を付けて呼ぶのが一般的である。楽譜では必要に応じEnglish Horn in Fのように書く。(実際にはイングリッシュホルンはFに決まっているのでわざわざ書かれることはあまりない)

移調楽器の楽譜を作るには、ピアノ等の楽譜を移調しないとならないので移調楽器の名があるが、移調楽器は「移調する楽器」という意味ではない。ましてやF調の楽器がF調の曲しか演奏できないという意味では決してない。(ただし、特に金管楽器の場合、歴史的には、演奏する曲の調性に合わせて楽器を取り替えることが行われた。)

同じ楽器でも移調楽器となるものとならないものとがある。たとえばトランペットは移調楽器のB♭管が多いが、現代の日本のプロオーケストラで使われるのはC管が多い。この場合のC管の楽器は移調楽器ではない。逆にC管でも移調楽器と呼ばれるものがあり、ピッコロは、楽譜上の音よりも実際に出る音が1オクターブ高いので、(楽譜が「移調」するわけではないが)移調楽器に分類される。

実質的に移調楽器としての要件を備えている楽器であっても、一般に実音で記譜することになっている楽器もある。トロンボーンユーフォニアムなどの低音部を受け持つ金管楽器等がそうである。
また、リコーダー族のための楽譜は、ソプラノ、テノール管も、それらよりそれぞれ完全5度低い管であるアルト、バス管も、in Cで記される。
ごくまれに、一般的には移調楽器とされている楽器のための楽譜も全て実音で表記する作曲家もある。(プロコフィエフがその例。)


用語

記音記譜音
楽譜上の音
実音
実際に出る音
○管
記音がCのときの実音が○である楽器


移調楽器の種類

楽器「調」(「管」)実音は記音より楽譜を移調するとき
調号を次のように変える
グロッケンシュピールC2オクターブ高い-
シロフォンC1オクターブ高い-
ピッコロC1オクターブ高い-
クラリネット(Esクラリネット)E♭短3度高い3♯
ソプラニーノサクソフォンE♭短3度高い3♯
トランペットD長2度高い2♭
C--
B♭長2度低い2♯
A短3度低い3♭
F完全5度低い3♭
ソプラノサクソフォンB♭長2度低い2♯
クラリネットC--
B♭長2度低い2♯
A短3度低い3♭
ホルンHigh B♭長2度低い
古い楽譜の場合ヘ音記号の時は短7度高い
2♯
A短3度低い
古い楽譜の場合ヘ音記号の時は長6度高い
3♭
A♭長3度低い
古い楽譜の場合ヘ音記号の時は短6度高い
4♯
G完全4度低い
古い楽譜の場合ヘ音記号の時は完全5度高い
1♭
G♭増4度低い
古い楽譜の場合ヘ音記号の時は減5度高い
6♯
F完全5度低い
古い楽譜の場合ヘ音記号の時は完全4度高い
1♯
E短6度低い
古い楽譜の場合ヘ音記号の時は長3度高い
4♭
E♭長6度低い
古い楽譜の場合ヘ音記号の時は短3度高い
3♯
D短7度低い
古い楽譜の場合ヘ音記号の時は長2度高い
2♭
D♭長7度低い
古い楽譜の場合ヘ音記号の時は短2度高い
6♯
C1オクターブ低い
古い楽譜の場合ヘ音記号の時は変わらない
-
B1オクターブと短2度低い
古い楽譜の場合ヘ音記号の時は短2度低い
5♭
Low B♭1オクターブと長2度低い
古い楽譜の場合ヘ音記号の時は長2度低い
2♯
オーボエダモーレA短3度低い3♭
アルトフルートG完全4度低い1♭
イングリッシュホルンF完全5度低い1♯
アルトサクソフォンE♭長6度低い3♯
ギターC1オクターブ低い-
コントラバスC1オクターブ低い-
テノールサクソフォンB♭1オクターブと長2度低い2♯
バスクラリネットB♭1オクターブと長2度低い
ヘ音記号のときは長2度低い
2♯
バリトンサクソフォンE♭1オクターブと長6度低い3♯
バスサクソフォンB♭2オクターブと長2度低い2♯
  • チェロは移調楽器でないが、ト音記号で書かれるとき1オクターブ低い音が出る。
  • 声楽では男性がト音記号で書かれるとき1オクターブ低い声が出る。しばしばト音記号の下に8と書いてオクターブ下げる指示とする。
  • リコーダーは、
    • ソプラノリコーダーはト音記号を用いて1オクターブ高い音が出る。多くト音記号の上に8と記して音をオクターブ高く上げる指示とする。ソプラニーノリコーダーも同様である
    • アルトリコーダーはト音記号を用いて1オクターブ高い音が出ることとするか、実音で書く。1オクターブ高い音が出るときは、ソプラノリコーダー同様、ト音記号の上に8と記すことがある。

この表の「楽譜を移調するとき調号を」の欄で「2♯」とは「♯を2つ増やすか、♭を2つ減らすか、♯を1つ増やして♭を1つ減らす」の意味である。

移調楽器の利点

移調楽器は、楽譜を他の楽器の合わせて読むには面倒なだけである。しかし、次のような利点があるので、現在まで使われてきている。

  • たとえば、オーボエとオーボエダモーレとイングリッシュホルンは、同じ楽譜に対し同じ指使いとなる。オーボエの記音のC音と、オーボエダモーレの記音のC音と、イングリッシュホルンの記音のC音の指使いは、同じなのである。サクソフォンの各楽器、クラリネットの各楽器もそうである。これにより、楽器の持ち替えが格段に楽になる。
  • ピッコロはもし実音を書くとしたら、その音のほとんどはト音記号の五線からはみ出してしまう。それらを五線の中に収める、または少なくとも近づけることができる。コントラバスやシロフォン、グロッケンシュピールも同じである。
  • コントラバスは、チェロとオクターブで平行して演奏することが多い。コントラバスが1オクターブの移調楽器ならば、同じ楽譜を見てオクターブで平行して演奏できる。

外部リンク

音程計算ツール