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*本国のアメリカでは興行的に失敗に終わったが、日本では興行収入96.3億円と大ヒットを飛ばして製作費を楽々と回収した。この結果を受け、スピルバーグは日本のマーケット的価値をより重視するようになる(スピルバーグ製作の「硫黄島」2部作もその流れの中にあると言える)。また、日本において[[ジュード・ロウ]]の人気が一気に上がった作品でもある。
*本国のアメリカでは興行的に失敗に終わったが、日本では興行収入96.3億円と大ヒットを飛ばして製作費を楽々と回収した。この結果を受け、スピルバーグは日本のマーケット的価値をより重視するようになる(スピルバーグ製作の「硫黄島」2部作もその流れの中にあると言える)。また、日本において[[ジュード・ロウ]]の人気が一気に上がった作品でもある。


*「モニカのテーマ」と題されたエンディング曲で[[ソプラノ]]の歌声が聴ける。[[ヴォカリーズ]](歌詞が無い)という形態はハリウッド映画の音楽では珍しいものであろう。ソロを担当したのはアメリカのソプラノ歌手[[バーバラ・ボニー]]である。ボニーが得意としていた役の一つに『[[ばらの騎士]]』([[リヒャルト・シュトラウス|R.シュトラウス]])のゾフィー役があるが、『ばらの騎士』のワルツ音楽も『A.I.』劇中で使用されている。R.シュトラウスは『[[2001年宇宙の旅]]』で知名度を上げた交響詩『[[ツァラトゥストラはこう語った (交響詩)|ツァラトゥストラはかく語りき]]』の作曲者でもある。
*「モニカのテーマ」と題されたエンディング曲で[[ソプラノ]]の歌声が聴ける。[[ヴォカリーズ]](歌詞が無い)という形態はハリウッド映画の音楽では珍しいものであろう。ソロを担当したのはアメリカのソプラノ歌手[[バーバラ・ボニー]]である。ボニーが得意としていた役の一つに『[[ばらの騎士]]』([[リヒャルト・シュトラウス|R.シュトラウス]])のゾフィー役があるが、『ばらの騎士』のワルツ音楽も『A.I.』劇中で使用されている(下記)。R.シュトラウスは『[[2001年宇宙の旅]]』で知名度を上げた交響詩『[[ツァラトゥストラはこう語った (交響詩)|ツァラトゥストラはかく語りき]]』の作曲者でもある。

*『ばらの騎士』の音楽を使うことはキューブリックの遺志だったが、どの場面で使うべきまでは伝わっておらず、最終的には音楽担当のジョン・ウィリアムズの独断でルージュ・シティに主人公達が入っていく場面で30秒間だけ使われた。結果的にはデカダンスな映像の雰囲気とマッチし、絶大な効果を挙げている。


[[Category:スティーヴン・スピルバーグの監督映画|えいあい]]
[[Category:スティーヴン・スピルバーグの監督映画|えいあい]]

2007年8月1日 (水) 13:32時点における版

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A.I.
A.I. Artificial Intelligence
監督 スティーヴン・スピルバーグ
脚本 イアン・ワトソン
スティーヴン・スピルバーグ
製作 スティーヴン・スピルバーグ
キャスリーン・ケネディ
ボニー・カーティス
製作総指揮 ヤン・ハーラン
ウォルター・パークス
出演者 ハーレイ・ジョエル・オスメント
ジュード・ロウ
フランセス・オコナー
音楽 ジョン・ウィリアムズ
配給 ワーナー・ブラザーズ
公開 2001年アメリカ合衆国の旗
上映時間 146分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $90,000,000
興行収入 $78,616,689 アメリカ合衆国の旗
\9,630,000,000 日本の旗
$230,000,000(全世界)
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概要

A.I.」(A.I. Artificial Intelligence)は2001年アメリカの未来版ピノキオ物語のSF映画


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


あらすじ

未来。 あるロボット会社が「愛情」を持つロボットの開発に成功する。少年型をしたそのロボットはデイビッドと名づけられ、試験的に同社の社員であるヘンリーの元に送られる。ヘンリーとその妻モニカの幼い息子が難病で死に瀕していたため、デイビッドは息子の身代わりとしてモニカに起動される。モニカへの絶対的な愛情を刷り込まれるデイビッド。しかし息子マーティンが奇跡的に病気から回復すると、デイビッドはマーティンからいじめられ始める。

そんな小競り合いの中で、マーティンの生命に関わる事件が起こり、デイビッドは森に捨てられてしまう。それでも「もう一度ママに会いたい」の一心でデイビッドは熊型ロボットのテディとさまよい歩く。そして、自分たちと同じように捨てられたロボットの一団とともにロボット狩りのグループに捕らえられ、ロボット破壊ショーのステージに引き出される。恐怖に怯えるデイビッド。あまりに人間に似たその姿にショーの観客たちが困惑するなか、デイビッドとテディは辛くも逃げ出す。

その後、街にたどり着いたデイビッドは陽気で親切なロボット、ジゴロ・ジョーと出会う。ジョーは寂しい女性の慰み者として春をひさいでいたが、殺人事件に巻き込まれたため街を逃げ出したいと考え、デイビッドに協力を約束する。こうしてデイビッドはテディ、ジョーと共にモニカの元へ戻るための旅を続けるのだが…。

解説

スティーブンスピルバーグ監督は、大衆に受ける作品を作る傾向があることで知られているが、本作は大衆受けは狙っていない内容になっている。本作品はCGの技術の高さを示すために作られたのではなく、作品の根底には「愛」そのものをロボットを通して客観的に描きだすという非常に哲学的な内容になっているからである。高度に哲学的な内容になっているのは、やはりキューブリック原案といえよう。

スタッフ

キャスト


メモ

  • キューブリックは1970年代より、原作となる「スーパートイズ」の映画化の計画を持っていたといわれ、1983年に正式に原作者から映画化に関する権利を取得した。
  • 1990年代初頭には、後に『ジュラシック・パーク』で少年ティムを演じたジョセフ・マゼロを起用してキューブリック自らテスト撮影を行ったが(これは関係者が認めている)、本撮影に入る前に話が消滅。この時点で既にキューブリックとスピルバーグはこの映画の制作に関する話し合いを複数回持っていたとされる。
  • キューブリックの死後、一度は企画が消滅しかかるが、キューブリックの遺族の強い希望でスピルバーグが製作を引き継ぎ、監督だけでなく自ら脚本を執筆する事となった。そのためこの物語の結末はスピルバーグによって描かれたものであり、キューブリック・ファンからの批判も少なくない。
  • 最終盤に登場する半透明・人型のキャラクターを宇宙人と誤解している評論も見かけるが、メイキング等からわかるように、あのキャラクターは絶滅した人類の遺物のロボット、すなわちデイビッドよりはるかに高度に進歩したA.I.である。
  • 本国のアメリカでは興行的に失敗に終わったが、日本では興行収入96.3億円と大ヒットを飛ばして製作費を楽々と回収した。この結果を受け、スピルバーグは日本のマーケット的価値をより重視するようになる(スピルバーグ製作の「硫黄島」2部作もその流れの中にあると言える)。また、日本においてジュード・ロウの人気が一気に上がった作品でもある。
  • 『ばらの騎士』の音楽を使うことはキューブリックの遺志だったが、どの場面で使うべきまでは伝わっておらず、最終的には音楽担当のジョン・ウィリアムズの独断でルージュ・シティに主人公達が入っていく場面で30秒間だけ使われた。結果的にはデカダンスな映像の雰囲気とマッチし、絶大な効果を挙げている。