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2008年3月3日 (月) 18:58時点における版

AH-1 コブラ

小松航空祭にて(AH-1S)

小松航空祭にて(AH-1S)

AH-1 コブラAH-1 Cobra)はベル・ヘリコプター・テキストロン(ベル・エアクラフト)社がUH-1を元に開発した、世界初の攻撃ヘリコプターである。アメリカ陸軍ではAH-64 アパッチに交代しているが、改良型がアメリカ海兵隊で運用されている他、イスラエル空軍イラン陸軍を初めとする諸外国でも現役で使用されている。

開発経緯

ベースとなった「UH-1」。形状がまったく異なるのが分かる。

1960年代アメリカ陸軍ベトナム戦争において、輸送用ヘリであるUH-1を大量に投入した。しかし、兵士を降下させる際のホバリング時や着陸時によく攻撃を受け、損失も大変多かった。対抗策として、ヘリに機銃やロケット弾を装備するといった事もなされたが、元が輸送用ヘリコプターである為、決して良策とは言えなかった。

ベトナムの情勢が悪化する中で、ベル社はUH-1をベースに攻撃ヘリコプター、「モデル209」の自主開発を行っていた。この機体は、エンジンは同じく単発で、ローターも二枚羽であるが、座席はタンデム(縦型)に並べた複座となっていて、正面から見ると極端に縦に細長い事がわかる。胴体側面に安定翼を配し、飛行安定性が向上した他、翼の下にはロケット・ポッドとミサイルを設置することができる。また機首には可動式ガトリング砲を標準装備することで、多方面への攻撃性を増している。

時を同じくした1966年、アメリカ陸軍は発達型空中火力支援システム(AAFSS)計画の選定機種として、ロッキード社の「AH-56Aシャイアン」を採用する事を決定していた。 しかし、戦争投入には間に合わないため、AH-56Aの実用化までのつなぎとして、ベルの再設計機体を開発する事を決定した。この機体の開発は短時間で行なわれ、1965年9月7日に初号機が初飛行した。そして1967年9月には、AH-1G ヒューイコブラと命名され、実戦に投入されている。

一方、本命であったAAFSS計画は、構想の大幅な見直しなどからキャンセルされてしまった為に、AH-1に主力攻撃ヘリの座を譲る事となり、今日に至る。

機体

「AH-1W スーパーコブラ」の機体正面
ファイル:IMG 1628.jpg
米海兵隊の「AH-1Z バイパー」

最大の特徴は、幅99cmという非常にスリムな胴体と、搭乗員をタンデムに配置した事である。前席が射手兼副操縦席、1段高い後席が操縦席となっている。

機首下面には、切り替えにより毎分680~750発もの発射速度を誇る20mmM197三砲身ガトリング砲が配置されているが、状況によりグレネードランチャーの発射機に換装することも可能である。胴体中央部のスタブ・ウイングには4ヶ所のパイロンがあり、ロケットランチャーや対戦車ミサイルなどを、最大700kgまで装備することが可能となっている。

改良型・発達型の開発と生産、運用

ベトナム戦争終結後には、AH-1GTOW対戦車ミサイル運用能力付与がなされた。TOW運用能力を付与された機体はAH-1Qと呼ばれ、機首部に光学望遠鏡方式の照準装置を装備しているのが特徴である。

米陸軍では、重量増加によるエンジンの出力不足が問題視されたため,ICAM(発展型コブラ俊敏性及び機動性)計画が立案され、エンジンを熱出力1,800shp(軸出力1485shp)のT53-L-703に換装、トランスミッション、機体各部の強化が施されたAH-1Sが登場する。 なお、AH-1Sはその後も段階的に改修が加えられており、いくつかのバリエーションがある。AH-1Qから改修した機体と初めからAH-1Sとして生産された初期生産型、初期生産型をより能力向上させた型、さらに、これに近代化改修を施した型で、AH-1S改修型(MOD)=AH-1SAH-1S量産型(PROD)=AH-1PAH-1Sアップガン型(ECAS)=AH-1EAH-1S近代改修型(MC)=AH-1Fと分類される。 1986年3月から実戦配備されているアメリカ海兵隊向けの「AH-1W スーパーコブラ」などの派生型もある。最新型は「AH-1Z バイパー」で、米海兵隊は2004年から2013年までに180機を「AH-1W スーパーコブラ」から「AH-1Z バイパー」にOH時に改造更新することを計画している。

なお、陸軍向け仕様のAH-1S系統だけは、太陽光の反射による発見を防ぐためキャノピーが角ばった平面型となっている。

日本での運用

日本陸上自衛隊では1979年昭和54)と1980年(昭和55)に研究用として1機ずつ導入して検討、1982年(昭和57)度から22機調達したのを皮切りに導入を開始した。7機目から富士重工業(エンジンは川崎重工業)によってライセンス生産され、2000年平成12)12月14日までに89機が生産された。なお、陸上自衛隊で使用されている「AH-1S」は、最初に輸入された2機が能力向上型の「AH-1E」に、富士重工業でライセンス生産された機体は発達型LAATの「AH-1F」に相当するもの(但しレーザーエアボーントラッカとチャフフレアディスペンサーは省かれた)である。73号機以降は"C-NITE"と呼ばれる夜間作戦能力向上形となり、72号機以前の機体も少数が改造されている。 数々のアップデートにより燃料満タンの状態で9300lbsにもなり、絶対離陸制限重量1万lbsとの差が少なくフル武装では飛べず、弾薬を多く搭載すると飛行時間が激減する二律背反現象がおきている。

エンジン不良によって数件の墜落事故が発生しており、2000年(平成12)に東富士演習場で発生した落着事故に関し、川崎は防衛庁によってPL法に基づき訴訟を提起された(2007年4月現在係争中)。これは単発機であるが故エンジン1基の故障が即座に危機的状況を生む為である。

2001年(平成13)8月27日に、防衛庁は陸上自衛隊の次期戦闘ヘリとして、三菱重工業が提案した最新型「AH-1Z」(双発・4ローターで性能・信頼性共に大幅に上昇、AH-1Wのダイナミックコンポーネントからの改造製作が基本)を下し、富士重工が提案したボーイングAH-64Dアパッチ・ロングボウを選定した。現行と桁違いの性能と共に、陸自と米陸軍の密接な関係により採用されたもので、現行AH-1Wと共通性はあってもAH-1Sとは機体構造が違う、元来が米海兵隊むけのAH-1Zは分が悪かった。

なお、AH-64はボーイングが2007年(平成19)に早期生産終了を発表した為、部品供給を前提とした富士のライセンス生産が不可能となり、13機で調達を打ち切った。後継機は再検討されるが、退役の迫るAH-1Sの運用がどうなるのかは未定である。

配備駐屯地

要目

AH-1Fの三面図

AH-1S

  • ロータ直径:13.41m
  • 胴体幅:3.28m
  • 全長/胴体長:17.44/13.59m
  • 全高:4.19m
  • 自重/最大重量:3,076/4,536kg
  • エンジン:ライカミングT53-K-703(1,485shp)×1
  • 最大速度/巡航速度:315/228km/h
  • 実用上昇高度:3,960m
  • 航続距離:456km
  • 武装
  • 乗員: 前席:ガナー(射撃手)、後席:操縦士(計2名)

AH-1W

米海兵隊の「AH-1W スーパーコブラ」
  • ローター直径:14.63m
  • 全幅:3.28m
  • 全高:4.11m
  • 全長(機体):13.87m
  • 全長(テイルローター含む):17.68m
  • 最高速度:170ノット
  • 最高巡航速度:152ノット
  • 武装
  • パワープラント:General Electric T700-GE-401 2基(1,690馬力)

派生型

  • AH-1G
  • AH-1P
  • AH-1E
  • AH-1F
  • AH-1S
  • AH-1Z

登場作品

映画

小説・漫画

アニメ・その他

関連項目

外部リンク