ドクター (スタートレック)

ドクターを演じたロバート・ピカード

ドクター(Doctor)は『スタートレック:ヴォイジャー』に登場する人物の一人。 メインキャラクターの一人として登場した。演じたのはロバート・ピカード、日本語版での声は中博史。

人物

ドクターは人間ではなくU.S.S.ヴォイジャーに搭載された緊急用医療ホログラムMark Iが長期間活動したことにより個性を手に入れた人物。U.S.S.ヴォイジャーでは『VOY』第1話で正規の医療部員が全滅してしまったため、本来は緊急時のみ使われるはずのEMH (Mark I)が、開発時の想定を越えた長期間稼動させられる事になった。 その結果、様々な経験を積んだEMHは次第に人間らしさを身につけた。また、長期運用への必要性から、プログラムへ様々な改変が行われ、趣味としてホログラム写真撮影やゴルフ、オペラのアリアを歌い、『ドン・カルロ』の練習をするまでになっていく（日本語版でも歌の場面はロバート・ピカードの声をそのまま使用）。さらに、単なる医務室の備品扱いから他の乗員と同等の権利を認められ、名実ともに医療主任ドクターとして親しまれるようになった。名称に関しては、「ドクター」以外の名前を名乗ろうとした事は何度かあったが、いずれもその回限りであった。

当初は医務室とホロデッキにしか現れる事が出来なかったが、あるエピソードで未来の惑星連邦の技術であるモバイルホロエミッタ（略称：モバイルエミッタ、エミッタ）を手に入れ、ホログラム投影装置の設置されていない場所へも移動できるようになった。性格は、ナルシストな傾向があり、自分自身をハンサムであると考えたり、オペラを歌っている自分に酔いしれたり、自ら企画・開催したホログラム写真鑑賞会で延々と自作の写真を映写し悦に入ったりする｡しかし、これらに巻き込まれた他クルーにはうんざりされていることがほとんどである。また、恋愛感情のようなものをも獲得し、セブン・オブ・ナインに恋心を抱いたこともある。念願であった生みの親であるジマーマン博士との対面は､バークレー大尉の尽力などにより果たされたが、博士の性格が元来、頑固で偏屈だった上に病気を患っていたことで、より短気で毒舌家になっており大喧嘩をしてしまうが、最終的にはバークレーやディアナ・トロイ、博士の助手ホログラムなどの助けもあって、ジマーマン博士と和解する事が出来た。 上記の追加プログラムには歌、絵画、写真撮影、ゴルフ、性交渉、チェスなど多数の物があり、通常のEMHを超えた存在になっている。

またデルタ宇宙域の敵に奪われたドクターのバックアップデータが、700年後に再起動された後その星の人々を和解へと導きその功績からかホログラムながら厚生大臣を務めた。 そして地球への強い思いからヴォイジャーの足跡を辿りながら故郷を目指した。

緊急司令ホログラム

緊急司令ホログラム (ECH, Emergency Command Hologram) は『VOY』124話に登場したドクターの追加プログラムの一つで、ヴォイジャーの士官全員が行動不能になった時などに艦を指揮するためのもの。姿はEMH-1と同じだが制服の色と階級章が異なる。元々はドクターの妄想（白昼夢）の産物で、その機能を実装するようジェインウェイ艦長に進言して却下されたが、その直後に接触してきた異星人（思考を読み取る技術によってヴォイジャーを監視していたが、ドクターの妄想を現実と勘違いしてしまった）との交渉のため外見だけECHモードになっている。

後のエピソードで、クルーが全員退避しなくてはならない状況になったため緊急司令ホログラムとしてジェインウェイから全権を委ねられるが、その時船外任務に出ていたキムと合流した後どちらが指揮を執るべきか揉めている。