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「輸入車」の版間の差分

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=== その他のインポーター ===
=== その他のインポーター ===
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=== 過去のインポーター ===
=== 過去のインポーター ===

2008年4月17日 (木) 15:55時点における版

日本における輸入車(ゆにゅうしゃ)とは、日本国外で生産され、日本輸入される自動車である。

概要

日本では、1965年に自動車の輸入が自由化された。以後、年間の新規登録台数は数万台規模で推移していたが、1980年代後半から急激に増加した。1996年、史上最高となる42万7,525台でピークを迎えたが、2年後の1998年には275,869台まで減少した。以後は日本車と同様、ゆるやかな減少傾向となっている。2006年の新規登録台数は26万2,274台であり、乗用車販売に占める輸入車のシェアは7.9%であった。(以上、日本自動車輸入組合統計資料)


日本は自動車販売台数で世界第2位の規模を持つ巨大市場(2005年)であるにも関わらず、第二次世界大戦後、日本で現地生産を行う日本国外の自動車メーカーはない。これは、アメリカ合衆国やEU(欧州連合)の市場との大きな相違である。結果として、日本においては「自国外のメーカー・ブランドの自動車イコール輸入車」という関係がほぼ例外なく成り立っている。

なお、自国内で販売される自動車を「輸入車/国産車」と明確に大区分したうえで、それぞれ異なる基準で評価・認識するのは、日本独特の慣行である。日本語版以外のウィキペディアには、「輸入車」に相当する記事は存在しない。

輸入関税

日本では、完成車に対する輸入関税は、1978年に撤廃されており、税制上は世界で最も解放された自由市場となっている。日本の乗用車輸入関税が0%であるのに対して、同じく自動車生産国であるアメリカ合衆国では2.5%、EUでは10.0%、韓国では8.0%の乗用車輸入関税を課しており、不公正な状態が続いている。[1]

日本における輸入車の歴史

1945年以前

20世紀の初頭には、すでに日本には自動車が輸入されていた。しかし、当時の日本では自動車が売れなかった。外国商館が輸入していたが、米国の価格に比べ日本での卸値を通常4倍ほどに設定していた。そのため日本の販売店は一般に販売する価格が見込めなかった。買い手がつかないのでレンタカーにしようとしたが、それでも借り手がつかなかったという。日本自動車会社花柳界を中心に売り出したところある程度の販売が見込めるようになったが、その反動で一般人からは金持ちの道楽だというイメージが焼きついてしまった。当時の一般の人々の憧れは自動車よりも豪華できれいな馬車であったという。

しばらくして大正時代になる頃には直接外国との取引に乗り出す日本の商社が現れるようになった。価格が安くなり商社という商社があらゆる自動車を輸入するようになり、商社で自動車を取り扱っていないところは無い程であった。ほとんど手当たり次第に各種自動車が輸入されその多くがタクシー用途に使われた。この頃の運転手は特殊技術者であり花形職業で、一方自動車のセールスマンは運転手から転進する者が多かった。花柳界や大会社を相手に販売するセールスマンは一匹狼であり丁々発止で大金を稼いだ。パッカードのその年の新車の第1号車を購入するのに毎年複数人が全身全霊をかけて販売店経営者と営業を接待したとか、さらにそれらを出し抜くために購入者自身が米国に乗り込み手続きをし日本の輸入元が売った際の販売手数料もきちんと支払い船賃滞在費などすべて合わせても接待するより安かったというような話がのこっている。しかし程なくして官公庁が自動車を求めるようになると信用が求められるようになり、見積書の提出も必要になったため輸入代理店は会社として信用のあるところになっていった。

1923年関東大震災のため路面電車が使えなくなった東京市代替バスの種車としてフォード社に1000台のT型を発注した。フォードは800台しか対応できなかった。ここに商機をみたフォード社は1925年に横浜に組立工場を建設。2年後、ゼネラルモーターズがフォードを追って、大阪シボレー組立工場を建設。この2社により日本での初期のモータリゼーションが始まった。トラックバスへの架装も多かった。乗用車の多くはタクシー用途に使われた。しかし軍部の影響力が強まるに従い1930年代半ばから徐々に国外の状況に疎くなっていった。

1945年以降

第二次世界大戦の敗戦で、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が日本で活動するようになると、東京を中心に大量の車が持ち込まれた。GHQ関係者が使用するためである。当初はジープも多かったが日本人はすぐに大量の洗練された米国車を目の当たりに見るようになった。日本人高官や企業関係者もそういった車にのって走り回るようになった。米国車が多かったが、スポーツカーに乗るGHQ関係者は欧州製を持ち込むものもいた。アメリカで乗られている自動車とはどんなものなのかを日本人はこのとき知った。

1950年代から1960年代はアメリカの自動車の最盛期であり、アメリカ車は憧れの対象であった。しかし、1950年代当初の国レベルでの乗用車生産すべきか否かの大議論を経て、最終的にすべきと判断した国と自動車メーカーが国産車技術取得のためにライセンス生産した車は欧州車であった。1950年代は欧州車が日本のメーカーにより組立(ノックダウン生産)および販売されていた時代であった。日本車はマイナーな存在であり日本では乗用車イコール輸入車、という時代が続いていた。1950年代末ごろまでは乗用車販売のほとんど、つまり輸入車の多くがハイヤー・タクシー用途への販売だった。

1960年代後半、本格的なモータリゼーションを迎えるが、それを担ったのは日本国産の乗用車であった。1970年代、2度のオイルショックを経て「大きい」、「燃費が悪い」などの理由でアメリカ車の人気は凋落、輸入車への需要は欧州車へと移行した。1970年代半ばにはランボルギーニ・カウンタックに代表される「スーパーカーブーム」も起こり、国産車の普及とは対照的に日本における輸入車は「高価で特殊・特別な自動車」となった。

1980年代後半、バブル景気とも相まって輸入車の販売は大幅に増加した。1985年には約5万台であった年間販売台数が、1990年には約22万台となった[2]。同時期には、BMW3シリーズが「六本木カローラ」、メルセデス・ベンツ190Eが「小ベンツ(こべんつ)」などと皮肉られることもあった。

従来ヤナセなど日本国内資本が輸入者と販売者を兼ねていたが、メルセデス・ベンツ(1986年)、フォルクスワーゲン・グループ(1991年)など、メーカーが設立した日本法人が直接に輸入・販売をコントロールすることが主流となった。希少性の低下したドイツ車に対するアンチテーゼとして、ジャガーボルボ(現ボルボ・カーズ)、サーブプジョールノーアルファ・ロメオフィアットランチアといった欧州車への注目もあった。マツダによるシトロエンランチアなど、日本車ディーラーが輸入車を取り扱う傾向もみられた。

バブル景気崩壊に伴い、早くも1991年には販売減少に転じた。貿易摩擦回避など政治的な意味合いで、ホンダによるジープ・チェロキーの販売(1993年-)、トヨタによるシボレー・キャバリエの販売(1996年-)などがあった。トヨタ系列ではフォルクスワーゲンの販売店展開(DUO店)も開始された。1996年、輸入車販売台数は史上最高を記録したが、これはホンダ・アコードなど国外生産された日本車の販売増加に拠るところが大きかった。

2000年、韓国車の本格展開としては初めてヒュンダイが参入したものの販売は極めて低調であり、2006年の年間登録台数は1,651台(日本自動車輸入組合統計)に留まる。

現状の輸入車販売は、2003年以降4年連続での前年販売割れとなっている。2007年、日産自動車が英国で生産するSUVデュリアスの輸入販売が好調(7月には、日産の輸入台数がフォルクスワーゲンに次ぐ第2位であった[3])であり、輸入車販売統計に貢献している。

ハンドルの位置

世界の自動車のハンドル位置

通常、日本を含む左側通行の国では右ハンドル車が、右側通行の国では左ハンドル車が使用される。 これは、対面通行でのすれ違い時の安全性や右左折時、追い越し時の視界を考慮した結果である。

現在、全世界での左側通行圏と右側通行圏の比率は人口比で34対66。道路総延長距離での比率は27.5対72.5となっている。→対面交通

右側通行圏が数の上では多数派である。しかし、世界各国への輸出を行う自動車メーカーにとっては左側通行圏も無視できない市場であり、輸出先の各国の状況にあわせ、同一の車種でも左右両方のハンドル位置を設計・生産し対応するのが一般的である。

こうした場合、本国の工場で輸出用右ハンドル車を生産するのみならず、場合によっては右ハンドル圏の国に対し右ハンドル車専用工場を建設することもある。北米ビッグスリーのオーストラリア工場が代表的であり、そこでは長らく左側通行のオーストラリア向けとして、アメリカ国内向けの車種を右ハンドル仕様に設計変更した車が製造されてきた。また、近年ではメルセデス・ベンツの南アフリカ工場(ダーバン)、プジョーのイギリス工場(コベントリー)なども建造され、日本を含めた右ハンドル市場へ商品が輸出されている。

日本の自動車メーカーも、同一の車種において、日本国内向け及び左側通行圏へ輸出するための右ハンドル車と、右側通行圏へ輸出するための左ハンドル車とを生産することもある。

日本における輸入車のハンドル位置

日本国内では、自動車は左側通行をすることが道路交通法により規定されている。

しかし、日本では一部の輸入車が左ハンドル仕様のままで販売されている。これは「左ハンドル」に対し、ごく一部において「ステータスシンボル」「高級外国車の象徴」といった、自動車本来の機能とは無関係な要素を見出している日本独特の現象であり、輸入販売元がそれにあわせ対応している結果である。通常とは逆側の、運転席が歩道側に面する自動車が、ごく一部であるとはいえそのような地位を得ていることは、先進国の中では日本のみであり極めて特殊な現象といえる。これには本項にて記述するとおり、輸入車の受容に関する日本独特の歴史的経緯が原因である。

第二次世界大戦以前の日本では、国内で販売されているほとんどの自動車が輸入車であるか海外メーカーのライセンス生産により製造された車両であった。実際には、このころからフォードやGMの日本国内工場においてイギリス仕様を基本とした右ハンドル車の生産が行われていた。

しかし、敗戦を迎えると進駐軍により北米仕様そのままの軍用ジープ、そしてシボレー、ビュイック、キャデラックといった豪奢なアメリカ車が直接持ち込まれた。そういった車両を目の当たりにした戦後すぐの日本人は、それら左ハンドルのアメリカ車に対し憧れの車としてのイメージを形成した。それに加え、日本国内のマーケットにおいても、大衆車・実用車の市場は国内メーカーが受け持ち、高級車は欧米からの輸入車が受け持つという構造が早くから形作られていた。日本政府も特にハンドル位置に対する規制を敷かなかったこともあり、「舶来物」のエキゾチックな印象あるいは日本車に対する輸入車としての象徴として、日本人は「左ハンドル」に対し強いイメージを持ち続けることになった。

このため、かつては日本に輸入される大半の輸入車が、日本と同じ左側通行圏であるイギリスの車を含めて左ハンドル車であった。日本での大衆レベルへの販売に力を入れていたフォルクスワーゲンなどは1950年代から右ハンドル車を輸入していたが、これは稀な例であった。

1970年代、新設された排気ガス規制昭和50年排ガス規制~昭和53年排ガス規制)に対し、大半の日本国外のメーカーは同等の規制をクリアしていた北米カリフォルニア州仕様車をベースにすることで対応したため、結果的にますます左ハンドル車が多くなることになった。

1980年代中盤、バブル景気によって活性化した日本市場を一層開拓するため、まずヨーロッパ車を中心に右ハンドル車が徐々に増え、1993年にはクライスラージープチェロキーが戦後ビッグスリーのアメリカ生産車では初めて右ハンドル車を投入した。

2000年代となった現在では、日本自動車輸入組合(JAIA)の統計調査によると、輸入車全体の8割超が右ハンドル車であり、左ハンドル車の輸入を行っていない車種(ハッチバックモノスペース (ミニバン)ステーションワゴンが多い)も非常に多い。

従来、右ハンドルの輸入車には、ドライビングポジションやペダル配置、ペダルの感触などに問題がある場合がみられたが、現在ではメーカー側でも改善努力や設計時点からの考慮、操作システム電子化などにより改善を見せており、今は広く受け入れられることとなった。

一方、心情としての「輸入車は左ハンドルであるべき」という信仰も年配層を中心に今なお根強く、スポーツカーや高級車では左ハンドル仕様車のみ輸入されているケースがある。中には、右ハンドル仕様車が存在するにもかかわらず、それが日本向けとしては用意されない車種すら存在している。また、ジャガーなどに代表されるイギリス製高級車は、イギリス本国では右ハンドル仕様車であるにもかかわらす、輸入車としてのイメージを強調するため、右側通行圏向けの左ハンドル仕様車を輸入・販売・所有するケースがある。→ジャガーのハンドル位置

メーカー側の事情もある。GMフォードの北米生産車では、1990年代の後半には積極的に右ハンドル仕様車を用意し好評を博したが、2000年代後半に入り再び左ハンドル車に戻した。(キャディラック・セヴィルの後継車種であるSTS、フォード・エクスプローラーがその代表例)これは、両メーカーの業績が悪化し、右ハンドル車を製造し国外へ展開する余力が無くなった為である。ただし、キャディラックSTSに関しては2008年モデルから右ハンドル仕様車が再投入されている。

ハンドルの位置で価格が変わる車種は、マイバッハアルピナ(共に右ハンドル車が割高)といった少数輸入される高級車があるが、一部には、低価格車としてはGM大宇・マティス(こちらは左ハンドル車が割高)の例があった。かつて輸入されていたアルファロメオ・156や、クライスラー・300C(2006年モデルまで、2007年モデルは左右とも同一価格)は、装備品の違いにより同一グレードでも価格が異なっていた。

現在では、前述の通り右ハンドル仕様の販売が大半を占め、「左ハンドル」への特別視は一部を除き無くなりつつある。これについては、日本市場への輸入車の普及が本格化・一般化したものとみる意見もある。

ウインカーレバーの位置

ハンドルの位置に関わらず、基本的にウインカーレバー(スイッチ)の位置は、日本車の逆の左側となる。これはISO規格で取り決められているからである。→ウインカースイッチの位置

主な輸入車の例

正規輸入車と並行輸入車

法的には「正規輸入車」と「並行輸入車」とは称さない。

日本において公道を走行するための自動車は、道路運送車両法に基づき、国土交通大臣に対して自動車の型式ごとに安全性、環境性などを申請し認可(型式認定)されている必要がある。型式認定には、 国産車の量販車種同様の一般的な量産自動車は「型式指定自動車」に、また大型商用車などでは「新型届出自動車」、年間輸入台数が2,000台以下の車種では「輸入車特別取扱自動車」という3種がある。このいずれかで認定された輸入自動車を、一般的に「正規輸入車」とよび、またこれらを取得していない輸入自動車を一般に「並行輸入車」とよんでいる。

「型式認定されている車」と「そうでない車」の違いは個別車種が法律上の車両規定に合致しているかどうかを「事前に登録されている型式」で見るか「実際の個別車両」で見るかの違いである。公的な自動車検査機関がおこなう検査のために要する時間が、同一仕様が大量に生産される車両であれば「型式」というもので簡略対応できるという用途のものである。その代わりに個別車両での車両規定合致検査は一台一台厳格な検査が要求されるが、実際は法的措置によって一部簡略化されている。

「並行輸入車」とは、一般の商品で「並行輸入」といわれる「日本の正規代理店が取り扱っている商品を別の業者が別のルートで輸入し販売すること」をさす意味とは異なる。「並行輸入」は「正規代理店があるのにそれを通さずに輸入すること」である。しかし、この意味での「並行輸入」の自動車を指し「並行輸入車」と言う場合も多い。「"正規代理店が存在しない車種"を輸入すること」に用いられ、また「メーカーとしての正規代理店はあるが日本国内で販売されていない車種」を他の輸入業者が輸入販売する際にも用いられる。

正規輸入車

「正規輸入車」とは法的には正式な呼称ではない。

自動車検査独立行政法人は、「輸入自動車のうち、自動車製作者又は同製作者から自動車を購入する契約を締結して日本への輸出を業としている者が国土交通大臣に対して自動車の型式ごとに安全性、環境性などを申請又は届出し、これを認められた場合は、これらの自動車を「型式指定自動車」、「新型届出自動車」又は「輸入車特別取扱自動車」(いわゆる「ディーラー車」)として取り扱っています。」と定義している。

基本的には日本の型式指定を受けるため、外国での製造時点で排ガス基準や気候の違いなど日本の状況に対応するため、一部仕様変更がされている。後述する、日本メーカーの外国工場で生産されて日本に輸入され、国内の自社販売網で販売される、いわゆる逆輸入車もこれに該当する。

「正規インポーター」が輸入したものであろうとなかろうと、上記3通りの型式指定を受けていないければ法的名称として下記の「並行輸入自動車」となる。『多くは』「国外メーカーの指定する(または設立した)正規インポーター」であり、『多くは』型式指定を受けて「正規輸入車」として販売されているということである。

近年では、販売数の多い主要な外国自動車メーカーでは日本法人を設立し、そこを正規インポーター(輸入元)としていることが多い。日本法人がある自動車メーカーの場合、日本車に劣らない販売・サポート体制が完備されているケースが多い。(一部部品の取り寄せに時間がかかる可能性はある)

並行輸入車

「並行輸入車」とは法的には正式な呼称ではない。

自動車検査独立行政法人は、「日本で未登録の自動車を個人で日本に輸入した場合は、原則として「並行輸入自動車」として取り扱われます。」と定義している。

型式は「不明」もしくは型式が「--」(ハイフン)で囲まれる。(このハイフン文字は業界では「ヒゲ」と呼ばれる。) ハイフンで囲まれる場合の具体例としては、フェラーリF355の場合、正規輸入車では「GF-F355」となるべき型式が、並行輸入車の場合「-F355-」と記される。 これは、「指定自動車等と同一」または「指定自動車等と類似」として登録される為である。

また、上記の「指定自動車等と同一」「指定自動車等と類似」以外の輸入車に関しては、「その他」とされ、型式「不明」として登録される。

車体番号については、審査事務規定5-2-2の(1)以外の並行輸入自動車及び製作者の特定が困難等の理由で車名が「不明」となる場合には、国土交通省による職権打刻が必要であることを規定されている。職権打刻で車体番号を刻印する場合、容易に交換できない金属部分(エンジンルーム内のフレームなど)に「申01234申」 などと打刻され、「神[42]01234神」と車検証に記載される。 打刻と車検証の表示が異なるのは字の簡素化等が行われているためである。 打刻された車体番号(車検証に記載された番号)の内容については、上記の場合、(神)申=神奈川、コード42=神奈川運輸支局、西暦末尾0年、事務所1番・横浜、234番目の打刻を表している。

「指定自動車等と同一」「指定自動車等と類似」「その他」の3通りのいずれの場合であっても、国が定めた衝突安全性や排出ガス基準に適合していなければ国内で登録することはできない。しかし、現地での登録書類等により製造年が特定できれば、その製造年に対応する安全基準・排出ガス基準が適用される。例えば1950年製の車を並行輸入する場合、シートベルトは不要で触媒もないままで日本国内での登録ができる。

近年は生産国の安全・技術基準を「同等外国基準等」と規定し、適用される技術基準について適用対象・適合性を証する書面を省略できる。 尚、型式認定との違いは、同型式の車両を複数台輸入した場合においても、原則それぞれ一台毎に国が定めた衝突安全性や排出ガス基準等の適合性についての証明や届出が必要であるという点である。(尚、輸入者が同一な同型式、同重量区分の車両の場合、一台の適合性の証明で複数台の基準適合性を証明できる場合がある。これは通常「排ガス枠」等と呼ばれるものである。)

詳しくは自動車検査独立行政法人[4]の審査事務規定を参照いただきたい。

並行輸入自動車では、日本未投入車種が輸入されることが多い。また、日本で設定されていない仕様(マニュアルトランスミッションやディーゼルエンジン、左/右ハンドル仕様など)やブランド(ランチアなど)もある。

販売店区分

正規輸入代理店

後述の正規インポータ(輸入元)(多くは外国自動車メーカーの日本法人)が輸入し、輸入元と契約したディーラ網(例:メルセデスの場合、ヤナセシュテルン店)で販売されるケース。

並行輸入業者

一般の商品で「並行輸入」といわれる「日本の正規代理店が取り扱っている商品を別の業者が別のルートで輸入し販売すること」をさす意味での「並行輸入車」は、一般に「並行輸入業者」とよばれる販売店(自動車整備業の団体が多い)が販売する。

未走行の新車を並行輸入した場合「新車並行」、現地で登録済みの中古車等の場合「中古並行」と区別されることがある。これは法令上の定義ではなく、通常、販売者が宣伝のためにおこなう区別である。新車でも販売奨励金を受けるために日本国外のディーラーにおいて登録し「新車並行」として販売するケースがある。この販売のための区別に厳密な定義はない。 いずれの場合においても、日本の法令上の車両登録では「新規登録」となり初回車検が適用される。

「並行輸入」の観点では、ヨーロッパ車の場合は、ユーロ高の影響や日本法人ができたことによる間接費の節減により、正規輸入車が安いといった逆転現象がある。

個人輸入

一部のマニア・企業が、日本で正規輸入代理店で取り扱われていない車種をスポット的に輸入するケースがあるほか、稀な例として、外国滞在中に現地で自動車を購入して、帰国時に日本に持ち帰るケースがある。個人の乗用車ではないが、ジェイアールバス関東がサンプル輸入したドイツ製超大型バス「ネオプラン・メガライナー」も、この類例に近い。

ただ、自動車の個人輸入については、通関手続き以外にも各種排ガスなどの対応・検査や登録などの膨大な手続きが伴い、実際に日本国内を正規に走行できる自動車として登録を取るのは、技術力などを持つ整備業などの協力がないと不可能である。過去に、某整備業者がデモンストレーションを兼ねて、旧東ドイツ製乗用車「トラバント」を輸入し、登録を試みたことがあったが、排ガスがクリアできなかった実例がある。

輸入車の購入

輸入車は販売するディーラーによって販売時のサービス、および、保証・修理などのアフターサービスに差異があることが一般的である。日本全国でその1店のみといったサービスネットワークの限定もある。輸入のみのディーラーでありアフターサービスを行わない個人輸入をサポートする販売店もある。購入時には注意が必要である。また、使用部品が異なる、仕様の違いに対応できない等の理由で、正規ディーラーで修理を受け付けないケースもある。並行輸入車の購入は、修理やリコール時の対応へのリスクは承知の上での購入であることもある。但し、並行輸入車であるという理由のみでディーラーが修理等を拒絶することは独占禁止法上の不公正な取引方法に当たり、違法行為となる。

並行輸入車の場合、以下のような問題が発生しやすい。

自動車保険の車両保険の保険金額・保険料、事故の場合、相手からの対物賠償保険金

保険会社では、型式ごとに料率クラスを、型式と初度登録年で車両標準価額を定めて車両保険を引き受けているため、この基準に合致しない並行輸入車の場合、希望する補償内容を断られたり、引き受け交渉が必要なケースが多い。また、相手方の保険会社から車両損害の賠償保険金を受ける場合にも、資料が乏しいため、損害額を算定できなかったり、実際の損害とかけ離れた金額しか賠償されないようなケースもある。

補修部品の供給などの問題が発生しやすい

メーカーが、仕向地によって仕様や部品を変えている場合も少なからずあり、補修部品の入手が困難なケースも多い。

ただし、欧米では部品メーカーによる補修部品の供給が特定メーカーに結びつくことなく行われており、特にに米国では国土の広さから歴史的にユーザーのDIYレベルが高く通信販売が古くより普及しており、販売車両数が多く長期に使用されることから補修部品の安価な流通がなされており、メーカー部品供給が切れても部品メーカーによる代替品が長期に発売されてもいる。これに近年のインターネットの普及によって、米国からの補修部品の取得は大変容易になっているため、米国で販売されている車両では、日本においても、自車の部品の特定、および、実際の補修サービス実施の技術が確保できるのであれば日本車以上に長い年月の補修も可能となる場合がある。一般的な日本車のサービス形態とは異なるユーザー意識が求められることとなる。

特徴

日本車との比較において、以下のような特徴を指摘されることがある。これらの多くは根拠が不明確なイメージに過ぎない場合が多く、特に輸入車は多様な国や地域の多様な車種を含むため、一概に論ずることは本来適切ではない。

プラス面

  • 衝突安全性が高い車種がある(→ユーロNCAP)。
    • 自動車評論家である徳大寺有恒は、著書「間違いだらけのクルマ選び」にて、日本のメーカーは安全性よりも性能や見た目を優先していたと繰り返し指摘していた。
  • 一部のドイツ車やスウェーデン車は凍結防止剤対策を行っている。
  • 特にヨーロッパ車は早くから部品のリサイクルを行うなど、環境に配慮していると言われる。オペルにおける水性塗料や再生樹脂の積極導入がその代表例である。
  • 高速性能やブレーキ性能、サスペンション性能が高いことがある。
  • エンジンの出力特性に関し、トルクバンド(高い出力の出る回転数のエリア)が広く設計されている場合が多く、最高出力から予想されるほど非力でなく実用性も高いことがある。
  • 比較的モデルチェンジの周期が長い(時に7~8年程度)例があり、その場合は新型車の登場による不利益が少ない。
  • ステータスシンボルとなり得る高級車スーパーカーなどが含まれる。
  • 耐久性に優れた車種がある。(ボルボ、メルセデス・ベンツ、ポルシェなど。走行距離世界一は1966年型ボルボP1800で、約270万キロでギネスブックに認定されているとのこと )
  • デザインが優れているものがある(→ピニンファリーナジョルジェット・ジウジアーロベルトーネ等)
  • 日本車では用意されない車種がある。
  • 左ハンドルの場合、狭い道での側溝に注意しやすく脱輪を回避しやすい。
  • 欧州車では、コンパクトカーであっても横滑り防止機構や、燃費計が標準装備されている車種が多い。(プジョー、VW、BMW1シリーズ、メルセデス・ベンツAクラスなど)
  • シトロエンのサスペンション・システム「ハイドラクティブ」など、ユニークな技術を採用している場合がある。
  • 先進的なテクノロジーをいち早く享受出来る車種がある。

マイナス面

  • 日本車と比べ、各種トラブルが多いとされることがあり、高温多湿という日本の気候に対応し切れていないことが一因という意見がある。
    • 電気系統の故障が多いという意見がある。
    • 冷却装置が不備なものでは、夏の渋滞時などにオーバーヒートを起こしやすい。
    • 品質の不良から、雨漏りが起こることがある。
  • エアコンの性能や信頼性が低いことが多い。特に小型車では、エアコン容量の性能不足が指摘される場合がある。
  • ナビゲーションシステムの性能が日本車と比べて劣る場合がある。
  • 内外装の品質に問題がある場合がある。
    • 現在ではかなり改善されたが、10年ほど前までは塗装品質の低さや樹脂パーツの品質不足から、経年変化による塗装の色あせや樹脂部品の退色が著しい車種があった。これは水性塗料やリサイクルパーツを導入し始めた時期のオペル各車で特に顕著である。
    • 内装の品質が低い場合がある。(パネルの変形など)
    • 外装パネル間の(「チリ」と呼ばれる)隙間が大きかったり、不揃いであったり、塗装にムラがあることが多い。ただし、これは一部の日本車も同様。
    • 輸入の際に長時間かけて海を渡ってくるため、運搬中に傷やへこみ等がつく場合がある。これらは販売前に補修されるが、見落としに関してユーザーからのクレームに発展する場合もある。
  • 室内の使い勝手などに対する考慮が足りないことがある。
    • 独自性に拘るばかりに、非合理的なレイアウトに固執していることがある。→サーブにおけるキーシリンダーの位置(センターコンソール部分にある)、アルファロメオ75におけるパワーウインドーのスイッチ位置(天井のルームミラー手前に設置されている)など。
    • 輸出を考慮していない車種に関しては、他国の地域性を考慮していないために実用上・安全上の問題が生じる場合がある。アメリカ車における速度計距離計の表示がその代表例。主体単位がキロメートルではなくマイルであり、50マイル/hを50km/hと誤認すると制限速度超過となる。
  • 価格面で購入者にとって不利益を生じる場合がある。
    • 車両価格が国産車に比べ高めに設定されている場合がある。
    • 定価ベースでの利幅が大きいために、しばしば非常に大きな値引き販売が行われ、購入者間に不公平が生じることがある。
    • 値引きの横行や、流通量の少なさにより、リセール価格が同価格帯の国産車に比べて低くなることがある。
  • オートマチックトランスミッションに関し、特に小型車において同クラスの日本車と比べ性能や変速プログラムに不満が出る場合がある。ただし、高級車やスポーツカーに関しては、近年オートマチックトランスミッションの性能向上が目覚ましい。
  • 欧州車の場合、小型車を含めほとんどがハイオク指定となるため、レギュラーガソリン仕様の日本車と比較するとランニングコストの面で不利である。
  • 各種部品や整備費用が高いというイメージがある。ただし、正規代理店で購入した場合、購入後のサービスを低価格で受けられる場合もある。
  • 比較的モデルチェンジの周期が長い(通常7~8年程度)例があり、その場合新車で購入してもデザインや機能に古さが生じる場合がある。
  • 左ハンドルの場合、利便性・安全性のマイナス面がある。
    • 追い越しや右左折時、高速道路での合流時、狭い道路でのすれ違いにおいて、前方・側面の安全が確認しづらい。
    • 助手席乗員が車道側に座るため乗降時にリスクを伴う。対向車との衝突時は運転席側に代わり助手席側が危険である。逆に、運転席は歩道側になるため狭い所やガードレール沿いなど、ドアを広く開放できない場所での乗降は不便である。乗り降りが車道側ではないため、比較的安全に行えるという意見もあるが、こうした場所でスムーズに乗降するためには左側に空間を空けて駐車する必要があり、周囲の邪魔になる場合もある。
    • 高速道路ゲート式時間貸駐車場の料金支払いや、ファストフード店のドライブスルーでは、右ハンドル車を想定しているために利用の際は不便。なお、高速道路の料金支払いについては、一部の入口に左ハンドル用の通行券発券機が設置されている場合もあるが、根本的にはETCを取り付けると解決する。
    • アメリカ製ミニバンでは、後部スライドドアが右側にしか設けられていないことがある(シボレー・アストロが典型例)。この場合、左側通行の日本では後部座席には車道側から乗降することになるため非常に危険である。なお、シボレー・アストロの販売を行っていたヤナセは、「このドアは後席用スライドドアではない。車道から運転席へ乗り込むための運転席アクセスドアである。後席へは歩道側から運転席ドアを介し、ウォークスルーして乗り込んで欲しい」という極めて不条理な説明を用意していた。ヤナセで販売されていたシボレー・アストロの後部スライドドアには、同様の内容を記したステッカーが貼られている。
  • 横開きのリアゲートを持つRVなどではヒンジが左に位置している場合があり、車道寄りに歩み出て開ける必要がある。歩道側から開閉できる日本車に比べて利便性や安全性で劣る。
  • ディーラー網やメーカー・ブランドが撤退した場合、保守面の不安が生じる(例:「礼を尽くす車」というキャッチフレーズで日本に進出したものの、短期間で撤退した「サターン」や、好調期を経た後に販売が激減して撤退したオペルローバーなど)。
  • ステータスの裏返しではあるが、地域や職種によっては輸入車に対する偏見を持たれることがある。
  • 一般に国産車よりディーラー数が少ないため、メンテナンスや転居の際に困ることがある。
  • ハイブリッド車は、現在、日本においては日本メーカーのみが販売しているため海外メーカーによるテクノロジーは享受出来ない。

主な輸入車インポーター

外国メーカーの日本法人

その他のインポーター

過去のインポーター

逆輸入車

正式な呼称ではない。国内で生産した国外向け輸出モデルを再輸入した車両。または日本メーカーの国外工場から輸入された車両 (現地生産車) のことを指すこともある。二輪車は前者が多く、四輪車は後者が多い。メーカーが正式に発売していない(型式認定を受けていない)自動車は前項の「並行輸入自動車」となり、メーカーが正式に発売する(型式認定を受けた)自動車は前々項の正規輸入車として扱われる。したがって、輸入車統計の中にトヨタやホンダなどの外国工場から輸入された車も集計される。

四輪車の逆輸入車の場合は、日本メーカーの車種の一つとして、日本では販売台数が少ないと見積もられる大型ファミリーセダンや5ドアハッチバックなどの毛色の変わったモデルといった品揃えの充実が主で、輸入車であることが前面に打ち出されることは少ない。当然、外国メーカー製輸入車(純輸入車)と同様に排ガスや気候の相違などの日本市場に向けた対応がされており、扱いディーラで販売している他車種とほぼ同等のアフターサポート体制が受けられる。

二輪車の場合、日本仕様車では750cc規制(現在は撤廃)、出力規制(継続中)、速度リミッター(継続中)、速度表示規制(現在は撤廃)、他国仕様に比べ厳しい音量規制など、各種規制が厳しかったため、規制を受けない利点から逆輸入車が広まった。

ホンダの大型オートバイGL1000CBX1000、スズキカタナGSX1000/1100GSなどが先鞭を切ったが、逆輸入の勢いに火をつけたのは、カワサキGPZ900Rである。750ccの「自主規制」がなくなった現在でも、フルパワーを求めて、または(縮小してしまった国内市場を見切った)輸出専用車に乗るために、逆輸入が広く行われている。しかし日本国内の排気ガス規制により入手し難い車両も存在する。

メーカーのラインナップに含まれた逆輸入四輪車の主な例(過去のものも含む)

トヨタ自動車
トヨタ・アベンシス(2004年型)
日産自動車
ファイル:Nissan Dualis 20G Four 001.jpg
日産・デュアリス(2007年型)
本田技研工業
ホンダ・MDX(2005年型)
三菱自動車工業
三菱・エクリプス(2代目)

その他

のような、国外メーカーによる日本向けOEM車種もあるが、あまり売れていない。これ以上に特殊な例として、車体のみをオーストラリア・ホールデンから輸入しロータリーエンジンを搭載したマツダ・ロードペーサーも存在した。

関連項目

外部リンク