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[[Image:Swiatlomierz1968rok-Leningrad4.jpg|thumb|right|電気機械式露出計(1968)]]
[[Image:Swiatlomierz1968rok-Leningrad4.jpg|thumb|right|電気機械式露出計(1968)<br>旧ソビエト連邦製のレニングラード4型、反射光式単体露出計である。]]
'''露出計'''('''ろしゅつけい''')は、[[写真]]や[[映画]]の撮影において光の強度を測定し、設定すべき[[露出 (写真)#露出値|露出値]]を割り出すための機械。
'''露出計'''('''ろしゅつけい''')は、[[写真]]や[[映画]]の撮影において光の強度を測定し、設定すべき[[露出 (写真)#露出値|露出値]]を割り出すための機械。


== 露出計の歴史 ==
== 露出計の歴史 ==
電気的な露出計の登場以前は[[印画紙]]や[[計算尺]]を活用した測定方法を使っていた。電気露出計が発明されてからはほぼ露出計=電気露出計である。
電気的な露出計の登場以前は[[印画紙]]や[[計算尺]]を活用した測定方法を使っていた。また、透過率が違う数字が印刷された透明板が並べてあり、目視で読み取れなくなる限界から露出を求める光学露出計もあった。しかし精度や信頼性、速写性などが圧倒的に優れる電気露出計が発明されてからはほぼ露出計=電気露出計となっている。
当初は単体露出計として、その後カメラに内蔵されるようになり、さらには絞りやシャッター速度と連動するようになった。最初に電気露出計を内蔵したカメラは[[ツァイス・イコン]]の[[コンタフレックス]]。ただし当然のようにカメラに露出計が内蔵されるようになった現在でも単体露出計は販売されている。
当初は単体露出計として、その後カメラに内蔵されるようになり、さらには絞りやシャッター速度と連動するようになった。最初に電気露出計を内蔵したカメラは[[ツァイス・イコン]]の[[コンタフレックス]]。ただし当然のようにカメラに露出計が内蔵されるようになった現在でも単体露出計は販売されている。
入射光式と反射光式があり、カメラに内蔵されるのは極僅かの例外を除いて反射光式である。単体露出計の上位機では入射光式・反射光式両方とも測定が可能なものが存在する。
入射光式と反射光式があり、カメラに内蔵されるのは極僅かの例外を除いて反射光式である。単体露出計の上位機では入射光式・反射光式両方とも測定が可能なものが存在する。


== 電気露出計の素子による分類 ==
== 電気露出計の種類 ==
=== 形状による分類 ===
==== 単体露出計 ====
*'''セレン光電池式''' - 19世紀初期[[セレン|セレニウム]]が光により起電することを応用し、セレニウムを光に当てて取り出した電流を測定することで電気的な露出計ができた。電池が不要である。故障しにくいようで、CdSより古い時代の製品が多いにも関わらず動作している確率が高い。
[[Image:Digital ambient light meter.jpg|150px|thumb|right|ミノルタオートメーターIVF]]
*'''CdS式''' - 測光素子に[[硫化カドミウム]]を使用する。セレン光電池式と比較し暗い場所でも測光できるようになった。電池は必要である。
露出計が単独の製品となっているもの。入射光式露出計はほとんど必ずこのタイプであるが、反射光式、さらにどちらにも対応可能なものもある。もっとも古くからあるタイプの露出計で、カメラに露出計が内蔵されるのが当たり前になった現在でも精度の高さや内蔵露出計が持っていない高機能から需要が多い。
*'''SPD式''' - 測光素子に[[シリコン]][[ダイオード#フォトダイオード|フォトダイオード]]を使用する。精度が高く、また反応速度が速くなってフラッシュの光量も測定できるようになった。電池は必要である。GPD式は素子がガリウムフォトダイオードになるだけでほぼ同等である。


入射光式の代表的な製品はセコニックのスタジオデラックスシリーズなど、反射光式の代表的製品はペンタックススポットメーターなど、両用の代表的製品はミノルタオートメーターなどが有名である。
== 露出計の形式による分類 ==
{{-}}
*'''入射光式''' - 被写体に当たる光量を測定する形式。被写体の反射率や、被写体に近い方向の強い光源に左右されることなく適正な露出が得られる。極僅かの例外を除いて単体露出計である。現在は太陽光等の定常光だけではなく、フラッシュ光も測定できるフラッシュメーターが主流。
==== 着脱式露出計 ====
:被写体に当たっている光量を測定するので、光に透けた紅葉を撮影する、夕焼けを撮影する被写体自体から光が来ている場合の測光には向かない。また森の中から遠くの山を撮影する等で被写体の場所とカメラの場所の光線状態が違い、被写体の場所に行けない場合には使えない。
[[Image:P-Meter.jpg|150px|thumb|right|キヤノンメーターIIを装着したキヤノンP]]
*'''反射光式''' - 被写体に当たって反射した光量を測定する形式。カメラ内蔵型も反射光式露出計であ([[TTL露出計]]。→[[AEカメラ]])。単体の反射光式露出計の場合は中心のごく小さな測定点で露出を測定するスポットメーターが主流。
クリップオンメーターとも呼ばれる、カメラに着脱できる露出計である。単体露出計と同様の一切連動機構が無いものもあるが、多くはカメラに装着するとシャッター速度ダイヤルなどと機械的に連結し、あらかじめ設定しておいたフィルム感度と測光結果から現在のシャッター速度で適正露出になる絞り値を表示する。基本的に着脱式露出計はカメラの機種ごとに専用のものが用意されている。
:被写体に当たって反射した光量を測定するので被写体の反射率や、また被写体に近い方向にある強い光源に左右される。具体的に言うと、白くて反射率の高い被写体を測光すると「明るい」と判断し露出を減らし、黒くて反射率の低い被写体を測光すると「暗い」と判断し露出を増やし、結果どちらも灰色に写されてしまう。逆光のポートレート等で露出計にその光が入る場合には「明るい」と判断され人物が暗く写されてしまう。
カメラの内蔵露出計が一般化すると廃れていったが、現在でも旧式カメラ向けの着脱式露出計がわずかながら販売されている。

代表的なものにライカM3・M2用のライカMCメーター、キヤノンVIT・VIL・P用キヤノンメーター、ニコンF用ニコンメーターFなどがある。
{{-}}
==== カメラ内蔵露出計====
カメラに内蔵されている露出計。カメラ側のシャッター速度や絞りと完全に連動させることが可能で、特に[[AEカメラ]]には必須となる。[[レンズ付きフィルム]]をのぞく現代の一般撮影用カメラにはほとんど必ず露出計が内蔵されている。
受光部の位置、測定結果の表示方式などでさらに細かく分類できる。

===== 受光部の位置による分類 =====
;外光式
カメラに受光窓を設け、撮影レンズに関係なく決まった測定角度で測光する方式。
;TTL式
撮影レンズを実際に透過した光を測光する露出計。
:''詳細は[[TTL露出計]]の記事を参照''
===== カメラとの連動方式による分類 =====
;非連動式
:単体露出計をそのままカメラに組み込んだもので、実際に設定したシャッター速度や絞りには連動せず、露出計算専用のシャッター速度目盛り・絞り目盛りを持つ。このタイプの露出計を世界で初めて搭載したカメラはツァイス・イコンのコンタックスIII型である。
;ライトバリュー式
:LV式と略されることもある。基本的に非連動式露出計と同じものだが、フィルム感度・シャッター速度・絞りの組み合わせから[[ライトバリュー]]を表示する仕掛けがある。カメラのシャッター速度設定部・絞り設定部にもライトバリューを表示する仕掛けがあり、両者の数字を一致させると適正露出になる。
;半連動式
[[Image:FX-Meter.jpg|thumb|150px|right|半連動露出計 - キヤノンFXのもので、シャッター速度やフィルム感度を変更するとメーター部分の絞りが書かれた部分が左右に移動する]]
:カメラのフィルム感度とシャッター速度、あるいはフィルム感度と絞りにのみ連動し、適正絞り値またはシャッター速度を表示する方式。前者は絞りと連動させることが難しかったレンジファインダーカメラや初期の一眼レフカメラに、後者は初期の絞り優先AEカメラのマニュアルモード用によく用いられた。
{{-}}
;追針連動式
[[Image:SRT101finder.jpg|thumb|right|150px|追針連動露出計 - ミノルタSR-T101のファインダー内に装備されているものである。右側の2本の針が追針連動露出計で、環がついた針が追針、普通の針が露出計指針である]]
:ライトバリュー式の発展型で、ライトバリューを数字の代わりに追針と呼ばれる指針で表示する。追針は実際のシャッター速度・絞り・フィルム感度と連動しており、露出計指針と重ねて表示される。露出計指針と追針を一致させると適正露出となる。完全な両連動露出計のひとつである。露出計は電気的には単体露出計であるため信頼性は高いが、複雑な機械連動機構が必要になるため、あまり搭載されなかった。この連動方式を採用している代表的なカメラにミノルタのSR-T101などが挙げられる。
{{-}}
;定点合致連動式
[[Image:ELCA-Meter.jpg|thumb|150px|right|定点合致連動露出計 - マミヤ・エルカのもので、中央の黒い部分に針が合致すると適正露出となる]]
:ゼロメソッド式とも呼ばれる、完全な両連動露出計である。露出計指針そのものをフィルム感度・シャッター速度・絞り値に連動させ、指針が中央の定点にあったときに適正露出になる方式である。露出計とフィルム感度・シャッター速度・絞りの連動は[[抵抗器#機能による分類|擦動抵抗(可変抵抗器の一種)]]を使う場合が多いが、[[TTL露出計#絞込み測光|TTL絞り込み測光式]]カメラでは実際に絞りを絞り込むことで光学的に連動させる。また旧式の一眼レフカメラの場合、フィルム感度・シャッター速度と露出計は機械的に連動させる場合が多い。構造が追針連動式に比べ簡単にできるため、両連動露出計を装備したカメラのほとんどがこの方式である。この方式の連動露出計を世界で初めて搭載したカメラは[[1958年]]発売のマミヤ・エルカとミノルタ・オートワイド(同時発売)である。

:また現在のカメラでは、シャッター速度・絞り・フィルム感度等をデジタル通信によって連動させているものがほとんどである。
{{-}}
;自動露出式
:AEまたはEEとも呼ばれる。カメラが露出計の算出結果から自動的に絞りやシャッター速度を設定する方式。
:''詳細は[[AEカメラ]]を参照''

===== 測定結果表示方式による分類 =====
;針式
:指針が測光結果を指し示す方式。暗所では見づらくなるが、[[LED]]による表示と異なり無段階表示が可能である。

:電磁メーターを使用しているため、強い磁気を帯びたものに近づけると故障する可能性がある。
;LED式
:[[LED]]によって測光結果を表示する方式。+・-のみの二点表示型、+・○(適正)・-の3つのランプがある3点表示型、多くのLEDを用いた多点表示型、絞りに対する適正シャッター速度を数字で表示する数値表示型などがある。

:AF一眼レフカメラなど基本的にAE撮影が前提のカメラでは、マニュアル露出モード時に表示される露出計は2点または3点表示型のものがほとんどで、針式や多点表示型などに比べると操作性は劣る。
=== 受光素子による分類 ===
==== セレン光電池式 ====
[[Image:Selenium Sensor.jpg|thumb|150px|right|セレン光電池受光部 - キヤノンメーターIIのもの]]
[[セレン]]を塗布した金属板を受光部に用い、セレン板と接続された検流計で光量を計測する露出計。
もっとも原始的な電気露出計である。通常は格子と複眼レンズをセレン板に重ねてあり、計測角度を制限・集光している。セレン板の面積が広ければ広いほど、計測精度・暗所での応答性が向上する。
素子自体が発電するため、電源を必要としない。耐久性が高いが、一般的に計測精度はCdS式より劣る。また受光量に対し起電力の増加量が完全には比例しないため、明所と暗所で感度切り替えを必要とするものが多い。
{{-}}
==== CdS式 ====
[[Image:Cds-Meter.jpg|thumb|150px|right|CdS受光部 - コニカC35のもの]]
測光素子に[[硫化カドミウム]]を使用したCdSセルを用いる方式。セレン光電池が光によって起電力を変化させるのに対して、CdSセルは電気抵抗値を変化させる。セレン光電池式と比較し暗い場所でも測光できるようになった。また、起電力の直線性も優れているが、電源を必要とする。電源に電池を用いる場合、基本的に電池の残容量が少なくなってくると起電力が低下して測光精度が低下するため、起電力が安定している電池を用いる必要がある。[[ブリッジ回路]]などを用いて起電力変化の影響を受けないようにしているものもある。
{{-}}
==== SPD式・GPD式 ====
測光素子に[[シリコン]][[ダイオード#フォトダイオード|フォトダイオード]]を使用する。フォトダイオードは受光量に比例して導電性が上がる光半導体素子である。精度が高く、また反応速度が速くなってフラッシュの光量も測定できるようになった。CdS式同様、源が必要である。GPD式は素子がガリウム砒素フォトダイオードになるだけでほぼ同等である。
CdSより微弱な電流で動作するため、[[トランジスタ]]などの増幅回路と組み合わせて使用される。また起電力の変化による影響がきわめて大きく、電源の安定化回路が必須となる。

=== 測定形式による分類 ===
==== 入射光式 ====
被写体に当たる光量を測定する形式。被写体の反射率や、被写体に近い方向の強い光源に左右されることなく適正な露出が得られる。極僅かの例外を除いて単体露出計である。現在は太陽光等の定常光だけではなく、フラッシュ光も測定できるフラッシュメーターが主流。

被写体に当たっている光量を測定するので、光に透けた紅葉、夕焼け、テレビ画面・ネオンサイン・夜景等を撮影する場合など、被写体自体から光が来ている場合の測光には向かない。また森の中から遠くの山を撮影する等で被写体の場所とカメラの場所の光線状態が違い、被写体の場所に行けない場合には使えない。

==== 反射光式 ====
被写体に当たって反射した光量を測定する形式。カメラ内蔵露出計として適すためカメラ内蔵用に広く採用されている。単体の反射光式露出計の場合は中心のごく小さな測定点で露出を測定するスポットメーターが主流である。入射光式に対して、被写体に向けるだけでどのような場所でも測光が可能である

通常、反射光式露出計は測定対象物の反射率が18パーセントであると仮定して測光する仕組みになっているため、反射率が18パーセントから外れた測定対象を測定した場合、測光精度が落ちるという短所がある。黒い低反射率のものは実際より暗いと判断し、白い高反射率のものは実際より明るいと判断する。
また、逆光などでは入射光によって被写体が実際より「明るい」と判断され、適正露光より暗い測光結果を算出する。


== 主な露出計メーカー ==
== 主な露出計メーカー ==
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[[Category:写真用品]]
[[Category:写真用品]]
[[Category:計測機器]]
[[Category:計測機器]]

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[[de:Belichtungsmesser]]
[[de:Belichtungsmesser]]

2008年5月11日 (日) 20:10時点における版

電気機械式露出計(1968)
旧ソビエト連邦製のレニングラード4型、反射光式単体露出計である。

露出計(ろしゅつけい)は、写真映画の撮影において光の強度を測定し、設定すべき露出値を割り出すための機械。

露出計の歴史

電気的な露出計の登場以前は印画紙計算尺を活用した測定方法を使っていた。また、透過率が違う数字が印刷された透明板が並べてあり、目視で読み取れなくなる限界から露出を求める光学露出計もあった。しかし精度や信頼性、速写性などが圧倒的に優れる電気露出計が発明されてからはほぼ露出計=電気露出計となっている。 当初は単体露出計として、その後カメラに内蔵されるようになり、さらには絞りやシャッター速度と連動するようになった。最初に電気露出計を内蔵したカメラはツァイス・イコンコンタフレックス。ただし当然のようにカメラに露出計が内蔵されるようになった現在でも単体露出計は販売されている。 入射光式と反射光式があり、カメラに内蔵されるのは極僅かの例外を除いて反射光式である。単体露出計の上位機では入射光式・反射光式両方とも測定が可能なものが存在する。

電気露出計の種類

形状による分類

単体露出計

ミノルタオートメーターIVF

露出計が単独の製品となっているもの。入射光式露出計はほとんど必ずこのタイプであるが、反射光式、さらにどちらにも対応可能なものもある。もっとも古くからあるタイプの露出計で、カメラに露出計が内蔵されるのが当たり前になった現在でも精度の高さや内蔵露出計が持っていない高機能から需要が多い。

入射光式の代表的な製品はセコニックのスタジオデラックスシリーズなど、反射光式の代表的製品はペンタックススポットメーターなど、両用の代表的製品はミノルタオートメーターなどが有名である。

着脱式露出計

キヤノンメーターIIを装着したキヤノンP

クリップオンメーターとも呼ばれる、カメラに着脱できる露出計である。単体露出計と同様の一切連動機構が無いものもあるが、多くはカメラに装着するとシャッター速度ダイヤルなどと機械的に連結し、あらかじめ設定しておいたフィルム感度と測光結果から現在のシャッター速度で適正露出になる絞り値を表示する。基本的に着脱式露出計はカメラの機種ごとに専用のものが用意されている。 カメラの内蔵露出計が一般化すると廃れていったが、現在でも旧式カメラ向けの着脱式露出計がわずかながら販売されている。

代表的なものにライカM3・M2用のライカMCメーター、キヤノンVIT・VIL・P用キヤノンメーター、ニコンF用ニコンメーターFなどがある。

カメラ内蔵露出計

カメラに内蔵されている露出計。カメラ側のシャッター速度や絞りと完全に連動させることが可能で、特にAEカメラには必須となる。レンズ付きフィルムをのぞく現代の一般撮影用カメラにはほとんど必ず露出計が内蔵されている。 受光部の位置、測定結果の表示方式などでさらに細かく分類できる。

受光部の位置による分類
外光式

カメラに受光窓を設け、撮影レンズに関係なく決まった測定角度で測光する方式。

TTL式

撮影レンズを実際に透過した光を測光する露出計。

詳細はTTL露出計の記事を参照
カメラとの連動方式による分類
非連動式
単体露出計をそのままカメラに組み込んだもので、実際に設定したシャッター速度や絞りには連動せず、露出計算専用のシャッター速度目盛り・絞り目盛りを持つ。このタイプの露出計を世界で初めて搭載したカメラはツァイス・イコンのコンタックスIII型である。
ライトバリュー式
LV式と略されることもある。基本的に非連動式露出計と同じものだが、フィルム感度・シャッター速度・絞りの組み合わせからライトバリューを表示する仕掛けがある。カメラのシャッター速度設定部・絞り設定部にもライトバリューを表示する仕掛けがあり、両者の数字を一致させると適正露出になる。
半連動式
半連動露出計 - キヤノンFXのもので、シャッター速度やフィルム感度を変更するとメーター部分の絞りが書かれた部分が左右に移動する
カメラのフィルム感度とシャッター速度、あるいはフィルム感度と絞りにのみ連動し、適正絞り値またはシャッター速度を表示する方式。前者は絞りと連動させることが難しかったレンジファインダーカメラや初期の一眼レフカメラに、後者は初期の絞り優先AEカメラのマニュアルモード用によく用いられた。
追針連動式
追針連動露出計 - ミノルタSR-T101のファインダー内に装備されているものである。右側の2本の針が追針連動露出計で、環がついた針が追針、普通の針が露出計指針である
ライトバリュー式の発展型で、ライトバリューを数字の代わりに追針と呼ばれる指針で表示する。追針は実際のシャッター速度・絞り・フィルム感度と連動しており、露出計指針と重ねて表示される。露出計指針と追針を一致させると適正露出となる。完全な両連動露出計のひとつである。露出計は電気的には単体露出計であるため信頼性は高いが、複雑な機械連動機構が必要になるため、あまり搭載されなかった。この連動方式を採用している代表的なカメラにミノルタのSR-T101などが挙げられる。
定点合致連動式
定点合致連動露出計 - マミヤ・エルカのもので、中央の黒い部分に針が合致すると適正露出となる
ゼロメソッド式とも呼ばれる、完全な両連動露出計である。露出計指針そのものをフィルム感度・シャッター速度・絞り値に連動させ、指針が中央の定点にあったときに適正露出になる方式である。露出計とフィルム感度・シャッター速度・絞りの連動は擦動抵抗(可変抵抗器の一種)を使う場合が多いが、TTL絞り込み測光式カメラでは実際に絞りを絞り込むことで光学的に連動させる。また旧式の一眼レフカメラの場合、フィルム感度・シャッター速度と露出計は機械的に連動させる場合が多い。構造が追針連動式に比べ簡単にできるため、両連動露出計を装備したカメラのほとんどがこの方式である。この方式の連動露出計を世界で初めて搭載したカメラは1958年発売のマミヤ・エルカとミノルタ・オートワイド(同時発売)である。
また現在のカメラでは、シャッター速度・絞り・フィルム感度等をデジタル通信によって連動させているものがほとんどである。
自動露出式
AEまたはEEとも呼ばれる。カメラが露出計の算出結果から自動的に絞りやシャッター速度を設定する方式。
詳細はAEカメラを参照
測定結果表示方式による分類
針式
指針が測光結果を指し示す方式。暗所では見づらくなるが、LEDによる表示と異なり無段階表示が可能である。
電磁メーターを使用しているため、強い磁気を帯びたものに近づけると故障する可能性がある。
LED式
LEDによって測光結果を表示する方式。+・-のみの二点表示型、+・○(適正)・-の3つのランプがある3点表示型、多くのLEDを用いた多点表示型、絞りに対する適正シャッター速度を数字で表示する数値表示型などがある。
AF一眼レフカメラなど基本的にAE撮影が前提のカメラでは、マニュアル露出モード時に表示される露出計は2点または3点表示型のものがほとんどで、針式や多点表示型などに比べると操作性は劣る。

受光素子による分類

セレン光電池式

セレン光電池受光部 - キヤノンメーターIIのもの

セレンを塗布した金属板を受光部に用い、セレン板と接続された検流計で光量を計測する露出計。 もっとも原始的な電気露出計である。通常は格子と複眼レンズをセレン板に重ねてあり、計測角度を制限・集光している。セレン板の面積が広ければ広いほど、計測精度・暗所での応答性が向上する。 素子自体が発電するため、電源を必要としない。耐久性が高いが、一般的に計測精度はCdS式より劣る。また受光量に対し起電力の増加量が完全には比例しないため、明所と暗所で感度切り替えを必要とするものが多い。

CdS式

CdS受光部 - コニカC35のもの

測光素子に硫化カドミウムを使用したCdSセルを用いる方式。セレン光電池が光によって起電力を変化させるのに対して、CdSセルは電気抵抗値を変化させる。セレン光電池式と比較し暗い場所でも測光できるようになった。また、起電力の直線性も優れているが、電源を必要とする。電源に電池を用いる場合、基本的に電池の残容量が少なくなってくると起電力が低下して測光精度が低下するため、起電力が安定している電池を用いる必要がある。ブリッジ回路などを用いて起電力変化の影響を受けないようにしているものもある。

SPD式・GPD式

測光素子にシリコンフォトダイオードを使用する。フォトダイオードは受光量に比例して導電性が上がる光半導体素子である。精度が高く、また反応速度が速くなってフラッシュの光量も測定できるようになった。CdS式同様、電源が必要である。GPD式は素子がガリウム砒素フォトダイオードになるだけでほぼ同等である。 CdSより微弱な電流で動作するため、トランジスタなどの増幅回路と組み合わせて使用される。また起電力の変化による影響がきわめて大きく、電源の安定化回路が必須となる。

測定形式による分類

入射光式

被写体に当たる光量を測定する形式。被写体の反射率や、被写体に近い方向の強い光源に左右されることなく適正な露出が得られる。極僅かの例外を除いて単体露出計である。現在は太陽光等の定常光だけではなく、フラッシュ光も測定できるフラッシュメーターが主流。

被写体に当たっている光量を測定するので、光に透けた紅葉、夕焼け、テレビ画面・ネオンサイン・夜景等を撮影する場合など、被写体自体から光が来ている場合の測光には向かない。また森の中から遠くの山を撮影する等で被写体の場所とカメラの場所の光線状態が違い、被写体の場所に行けない場合には使えない。

反射光式

被写体に当たって反射した光量を測定する形式。カメラ内蔵露出計として適するためカメラ内蔵用に広く採用されている。単体の反射光式露出計の場合は中心のごく小さな測定点で露出を測定するスポットメーターが主流である。入射光式に対して、被写体に向けるだけでどのような場所でも測光が可能である。

通常、反射光式露出計は測定対象物の反射率が18パーセントであると仮定して測光する仕組みになっているため、反射率が18パーセントから外れた測定対象を測定した場合、測光精度が落ちるという短所がある。黒い低反射率のものは実際より暗いと判断し、白い高反射率のものは実際より明るいと判断する。 また、逆光などでは入射光によって被写体が実際より「明るい」と判断され、適正露光より暗い測光結果を算出する。

主な露出計メーカー

外部リンク