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「F-X (航空自衛隊)」の版間の差分

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* 前述のF/A-18E/Fと同様に給油方式がプローブアンドドローグ方式である。(ただし、日本仕様は独自仕様としてフライングブーム方式に対応できる可能性がほかの機種よりは高い)
* 前述のF/A-18E/Fと同様に給油方式がプローブアンドドローグ方式である。(ただし、日本仕様は独自仕様としてフライングブーム方式に対応できる可能性がほかの機種よりは高い)
* 搭載エンジンのEJ200系エンジンは騒音が比較的大きい。(とは言っても、日本の空を空自のF-15Jや[[アメリカ海軍]]のF/A-18E/F等が飛び交っている現状からして見れば、(離着陸時の環境騒音を除けば)さしたる問題ではないとする見方もある)
* 搭載エンジンのEJ200系エンジンは騒音が比較的大きい。(とは言っても、日本の空を空自のF-15Jや[[アメリカ海軍]]のF/A-18E/F等が飛び交っている現状からして見れば、(離着陸時の環境騒音を除けば)さしたる問題ではないとする見方もある)
*英国では財政難から購入予定数全数購入する目途が立たず、発注予定数に満たない場合、莫大な違約金の支払い義務が生じるため、購入予定数のうち数十機を日本やサウジアラビアに対し肩代わり購入をもちかけている。
*英国では財政難により、予定数のタイフーンを購入する予算の目途が立たなくなった。既に144機を発注してるが、開発計画参加国としてさらに88機を購入する義務がある。これをキャンセルする場合、莫大な違約金の支払い義務が生じる。そのため、英国国防部は、発注分のうち数十機を日本やサウジアラビア、インドに対し肩代わり購入をもちかけている<ref>[http://www.ft.com/cms/s/0/144f2f38-6e2e-11dd-b5df-0000779fd18c.html 'UK tries to offload Typhoon fighters', "Financial Times"online, August 19 2008]</ref>


=== [[ラファール_(航空機)|ラファール]] ===
=== [[ラファール_(航空機)|ラファール]] ===

2008年10月5日 (日) 11:11時点における版

F-Xまたは、FX(エフエックス)とは、Fighter-Xの略称で、日本国航空自衛隊次期戦闘機導入計画を指す略語。

F-Xの概念

F-Xは、あくまで次期戦闘機導入にかかわる計画を指す語であって、特定の機種を指す語ではない。機種が選定され導入が始められれば計画はその機種の名で呼ばれ、その次に導入する戦闘機の計画・概念が新たなF-Xとなる。

F-X計画と呼ばれていたことのある計画には現在のところ以下の4つが存在するが、厳密な意味でF-Xと呼ばれうるのはその時点で進行している「次期」の計画ただひとつだけである。

第1次F-X

ノースアメリカン F-86の代替となる戦闘機を導入する計画。

ロッキード F-104C/D改グラマン G-98J-11(F11Fの改造型)との争いになった。一旦G-98に内定したものの、ロッキード事件に伴い白紙化。再度選定となり、F-104Gをベースに日本向け仕様としたタイプをF-104J/DJとして採用した。導入数230機。

第2次F-X

ロッキード/三菱 F-104J/DJの後継となり、未だ残っていたノースアメリカン F-86の代替となる戦闘機を導入する計画。

マグダネルダグラス F-4E改ロッキード CL1010-2(F-104の発展型)、サーブ 37 ビゲンダッソー ミラージュF1の争いになったが、F-4E改をF-4EJとして採用した。導入数140機。

第3次F-X

採用されたF-15J

マグダネルダグラス/三菱 F-4EJの後継となり、未だ残っていたロッキード/三菱 F-104J/DJの代替となる戦闘機を導入する計画。

マグダネルダグラス F-15C/D改グラマン F-14ゼネラルダイナミクス YF-16ノースロップ YF-17ダッソー ミラージュF1サーブ 37 ビゲンパナビア トーネード ADVの争い(実質的にはF-14とF-15であった)になったが、F-15C/D改をF-15J/DJとして採用した。導入数213機。

3次までの総括

これら第3次までのF-Xでは、いくつかの騒動あるいは汚職疑惑(F-104J/DJ採用の逆転劇ダグラス・グラマン事件)がありながらも、結局は候補機の中で一番性能が高く、米軍でも運用しており有事の際の補給を受けやすい機種を採用してきた。

また、いずれの機種も導入前半の数~数十機は完成機購入やノックダウン生産で調達されたものの、すぐに日本国内の航空機産業によるライセンス生産に移行した。開発元に支払うライセンス生産料が高いことがネックであったが、生産が進行するにつれて徐々に国産化率が高められていき、国内航空機産業の技術向上と生産基盤維持に大きな貢献を果たしてきた。

3機種ともにライセンス生産の主契約企業は三菱重工業であったが、エンジンのライセンス生産をした石川島播磨重工はじめ、日本航空機産業におけるほぼすべての企業が何らかの形で生産にかかわっていた。

現在のF-X (第4次F-X)


2008年(平成20年)度中に退役がはじまるマグダネルダグラス/三菱 F-4EJ改の代替となる戦闘機を導入する計画である。平成17年(2005年)度から平成21年(2009年)度までを対象とした中期防衛力整備計画において、F-Xを期間内に7機調達するとされていた。将来的にマクダネルダグラス/三菱 F-15J/DJ初期型(Pre-MSIP)も置き換える可能性があるが、方針ははっきりしていない。

周辺諸国にSu-27などのF-15と同水準の第4世代機が拡散しつつある防衛環境にあって、現在FI任務についているF-4EJ改を代替する機体であるから、要撃任務の能力が高いことが第一の要求であるが、当然時代の趨勢といえるマルチロール化(任務の多様性)もある程度要求されているものと思われる。

防衛省アメリカF-22AF/A-18E/FF-15FXF-35フランスラファール欧州ユーロファイターの6機種をF-Xの候補として挙げ、調査を行っているとされている。各候補機については、その設計技術や機能・性能という機体本来の違いだけでなく、政治的・経済的要因から発生する各種問題が交錯しており、選定作業が難航している。

航空自衛隊は、次期戦闘機(FX)の調査対象機種に関する海外調査を行うため、平成19年2月から欧州と米国に調査団を派遣している。これまで調査された機種は、タイフーン、F-15FX、F/A-18E/F、F-35である。製造工場などを訪れ、性能や特性に関する調査を実施し、今後の検討に必要な情報を収集している。

以下に候補とされる機種をあげる。

F-22A・F-22J-Ex

F-22 ラプター

第5世代機。圧倒的なキルレシオを持ち、高いステルス性スーパークルーズ性能を持つことから、「航空支配戦闘機」と米軍が名付けた戦闘機/戦闘攻撃機。

  • F-22Aは米国空軍仕様、F-22J-Exはロッキード・マーティン社が輸出禁止措置に対抗し作成した航空自衛隊仕様であり、F-22Aに比べ若干の性能差を生じさせている。
  • 他の候補と比較しても圧倒的な戦闘能力を持ち、ロッキード・マーティン社からの売り込みもあり、日本政府は有力候補として、アメリカ側に輸出解禁を求めている。
  • 政府、省レベルでは、候補のひとつに過ぎない扱いではあるが、空自の現場サイドでは、現状で単機対10機を大幅に超えるキルレシオ第4世代ジェット戦闘機の約3倍の戦力(単純計算で敵機3機に対し、1機で対抗可能)という絶対的な能力故に、唯一の候補と考えている節が見受けられる。
  • 現在、米国の国防予算にはF-22Aの海外輸出を禁止する付帯決議が有るため、これが撤回されない限り取得することは出来ない問題があるが、ロシア中国などが次世代機を大幅に配備しているため、現在の米空軍の配備予定数を超えた発注が必要と2008年7月22日の上院軍事委員会で次期空軍長官M. ドンレイと次期空軍参謀長ノートン・シュワルツ空軍大将は証言した。この為、2010年11月で閉鎖する予定の生産ラインを維持する必要が生じる。このため、空軍の新規発注までのつなぎとして輸出型のF-22を生産する事も考えられる。
  • 日本政府は、国内航空産業の製造・技術基盤の維持という観点から、機体のライセンス生産が望ましいとしているが、米政府内に技術流出(及び、自衛隊での情報漏洩事件)を危惧する声があるため難しく、完成品輸入の場合、部品の調達や技術情報の制限から稼働率が大幅に低下する可能性がある。
  • 高価であるといわれているF-15以上に価格が高い機体(単体で約130億円)であるため、たとえ将来価格が下がったとしても、必要数をそろえ運用するにはライセンス料による機体単価の高騰や、機体メンテナンスコスト(実際これが一番価格が嵩む要因である)も含め今まで以上に莫大な費用がかかることになる。
  • 国産機器であるAAM-4AAM-5を搭載するには、対象となるミサイル、F-22、どちらかの機体改造が必要となるが、F-22側の改修はコストはもとより技術的側面からも困難である上、技術流出の観点などから米側が認めない可能性がある。また、対艦ミサイルが搭載できない。
  • イラク情勢や今後のアメリカ軍の再編次第では機体価格が高価なF-22の調達を取りやめる可能性がある。2008年中に新規の発注が無い場合、製造ラインが閉鎖されて選定自体出来ない可能性がある。
  • 日本にとって初のステルス機であると共に現状ステルス機そのものを保有するのは米国のみのため、保有には単なる最新鋭機導入以上の意味、価値があるとの声も内外から出ている。
  • 静粛性が高いため、基地周辺住民の負担軽減に寄与することが期待されている。
  • 米軍は航空自衛隊に ハイ・ローミックス案でこの機体とF-35を勧めている。
  • 航空自衛隊の ハイ・ローミックス案ではこの機体とF-15FXを検討している。

F-15FX

F-15E ストライクイーグル

第4.5世代機。F-15Eを対空戦闘重視に再々設計し高機動化した機体で、ボーイング社より提案中。機動性の高さや航続距離など、6機の中で最もデメリットが少ないが、最も設計が古い。

  • F-15Dと外形はほぼ同じだが、設計変更によって内部構造にほとんど共通点はなくなっている。それゆえ、ライセンス生産前に完成機の分解調査を行う必要がある(ただしこれは別の機種においても条件は同じである)。
  • 再設計とは言え、ベースのF-15Eの設計そのものが古いため、今後の発展は余り見込めない。
  • RCS(レーダー断面積)が他の候補に比べてあまりに大きく、レーダーを駆使した現代の戦闘では圧倒的に不利である。もしも、RCSを削減するならば、大幅な改修と多くの費用や時間がかかってしまう。
  • F-15Eは戦闘爆撃機として設計されており、F-15Jに比べ、完全装備時の翼面荷重は確実に増大するため、機動性の低下が問題となる可能性がある。ただし、グラスコックピットや16,000時間(現行F-15Jの場合は半分の8,000時間である)という非常に長い耐用寿命、JHMCSが使用可能であり、新型のPW F100や同世代型のF100より、中低高度での飛行に適したGE F110エンジン等、F-15J以上の戦闘力を得られるという利点もある。
  • 韓国空軍もF-15EをベースとしたF-15Kを導入しているため、周辺諸国の戦力対応としての不安が残る(ただしもっぱら対地・対艦攻撃をねらいとしたものである)。
  • F-15Jとは違い複座型であるため、WSO(兵器技術士官)を搭乗させる必要があり、人件費及び訓練に関してのコストが高くなってしまう。もっとも、現行のF-4EJ改は複座であることからさほど問題になる事項ではなく、ボーイングからは日本の運用状況によっては「単座型の開発は可能(元々オリジナルで単座型の生産計画があった)」との提案が出ている。
  • 事故が起こった場合、F-15J/DJを含めた全機飛行停止の措置がとられる可能性がある(ただし、従来のF-15と設計が全く異なるE型が同時に飛行停止になるとは考えにくい)。
  • F-15Eをこれから新規導入するよりは、F-15Jに近代化改修を行う方が先決ではないかという意見が存在する。
  • 韓国空軍の2020年代の運用開始を前提としたF-XX計画向けにアラブ首長国連邦向けに提案されていたF-15Uと同じ、F-15の垂直尾翼の廃止を含めた大規模発展型が提案されており、この計画が実現した場合に早期の陳腐化は免れない。[1](ただし韓国は2014年以降にF-35を導入することが確実視[2]されているが、どちらにしろ(電子戦の問題を除けば)戦力差が付いてしまう恐れがある)
  • 航空自衛隊の ハイ・ローミックス案ではこの機体とF-22を検討している。

F/A-18E/F

F/A-18E スーパーホーネット

第4.5世代機。亜音速域で良好な運動性を持つ。最新アビオニクスが搭載されている。

  • F/A-18C/Dが諸コストの高さでFSX商戦で敗れている。
  • 導入経験のない艦上戦闘機であり、航空自衛隊の機体として扱うには不要な装備がある(これもコストの高さの一因になっている)。
  • 加速性能・航続性能について問題があり、要撃機としては不向きと言われている。
  • 搭載されているGEF414-GE-400エンジンは、従来のF/A-18A-Dに搭載されているF404エンジンよりも騒音が大きく、他機種と比較しても一番騒音が大きい。(現行のマグダネルダグラス/三菱 F-4EJ改より騒音は小さいので問題視する必要はないという意見もある)
  • 給油装置がプローブアンドドローグ方式であるため、KC-767J空中給油・輸送機フライングブーム方式とは合わない。そのため、フライングブーム先端に取り付けるドローグアタッチメント(アタッチメントで簡単に変更できる)追加発注するか、イタリア空軍のKC-767Aのように機体にドローグ給油装置を取り付け両方式仕様に改造するかの必要がある。

F-35

F-35 ライトニングII

第5世代機。F-22に次ぐステルス性を持つマルチロールファイター。米軍などが推奨する最も政治色が濃い機体。また、軍事専門誌などでは最有力候補に挙げられている。

  • F-22には空対空ミッションでやや及ばないものの、空対艦ミッション、空対地ミッションではF-22を上回る能力を持ち、マルチロール性を求める航空自衛隊の要求に見合うだけの能力を持つ。
  • F-22にはやや及ばないが、それでも他機種と比較して圧倒的なステルス性を持つ。
  • 空対空ミッションでは、ウェポンベイ内には空対空ミサイルを最大4発搭載可能で、空対地ミッションでは2000ポンドJDAM2発搭載に加えて中距離空対空ミサイル2発を搭載可能であるが、爆弾架の部分に装着するタイプのラックを開発中であり、ウエポンベイに装着すれば空対空ミッション時において、胴体内の4発に加えさらに数発の空対空ミサイルを搭載可能になる予定である。
  • 空対地ミッションでは、F-22に比べ移動目標へのGPS誘導弾の投下も可能である。また、左右合計6箇所の翼下パイロンに各種兵装を搭載可能である。航空自衛隊が要求している空対艦ミッションに於いてはハープーン空対艦ミサイルの搭載が可能であるなど、F-22には無い能力を備えている。
  • 航空自衛隊内では、F-35Bが多様な空港、ヘリポートなどが使用できるため島嶼などにある既存の空港などを海上警戒時に於いて一時利用が出来るなどのF-35A/Cに比べ航続距離の不利をカバーできる利点が生じ、評価が上がっていると言われている。
  • 開発計画に参加していないため、輸出向けが2011年より出荷可能となる。F-X計画を大幅に遅らせざるを得なくなると思われていたが、アメリカ政府からアメリカ軍向けを先に売ってもよいとの話が出てきている。
  • 国際共同開発に参加した場合、武器輸出三原則等に抵触する恐れがあるなどの国内の政治的な問題もある。ただし、弾道ミサイル迎撃ミサイルRIM-161 SM-3ブロックIIシリーズの米国との共同開発を行った前例があるため、特例として参加が認められる可能性がある。
  • 開発の遅れにより、価格は当初より高騰中であり、2008年現在のコストは一機約150億円以上とF-15Jのライセンス料込みの生産コストやF-2支援戦闘機の価格よりも高価になる。国際共同開発であるため、F-22以上にライセンス生産の可能性は低いとされていたが、ロッキード・マーティンは「全プログラムをロッキード・マーティンがコントロールできることになれば、F-35を、ライセンス生産を含めて提案することが可能になる」としている。
  • 2007年8月17日、統合参謀本部議長ピーター・ペースは都内の米国大使館で記者会見し、米軍として米英などが共同で開発したF-35を日本のF-Xに推薦する立場を初めて公式に明らかにした。
  • 2007年11月7日から3日間、東京港区ニューピアホールで開催された第10回日米安全保障戦略会議にてロッキード・マーティンはF-22ではなく、F-35のコックピット型シミュレーターを展示し、同会議に集まった日本の国会議員や防衛産業関係者、防衛省関係者に対して積極的なアピールを行った。
  • 2008年6月、アメリカの有力な航空産業雑誌のAviation Weekは本機種が最有力と報じた[3]。また、同年7月チャールズ・デービス空軍少将は、ロイター通信に対し、2008年中に日本政府がF-35の価格、性能などの情報開示を求めてくることを明らかにした。[4]
  • 米軍は航空自衛隊に ハイ・ローミックス案でこの機体とF-22を勧めている。

ユーロファイター タイフーン

ユーロファイタータイフーン

欧州の第4.5世代機。アフターバーナーなしでのスーパークルーズに対応しており、F-22A程のステルス性能ではないものの、RCS(レーダー断面積)がF/A-18E/Fやラファールよりも小さいとされる。

  • 日本でのライセンス生産のほか、国産機器(アビオニクスや、空対艦ミサイル等)を搭載するための改造が大幅に許容されるという動きがある。また、日英の企業間で生産ライセンス供与に向けた交渉が進んでいるとの報道もある。ただし、開発各国政府の輸出許可についてなどの公的な発言はまだない。
  • 国産機器が搭載可能であることは、アメリカ製機器のコストの高さやアメリカ側の輸出規制等の問題の影響を受けないという点でアメリカ機よりも有利と受け取れる。したがって、アメリカ機の選定が不能になった場合には一番有利な機体である。
  • NATO規格の機体とはいえ、これまで空自に導入経験のない欧州機であり、整備面などで不安が残る。しかし、アビオニクス等については国産品が使用できるほか、大幅な改良が許容されるため他機種より比較的有利とも言える。(先進技術実証の結果を一番反映しやすい機と言える)
  • 空対空戦闘では、F-15・MiG-29・Su-27及びそれらの改良型よりも優位に立つとされる機体である。しかし、各国においてステルス性能を備えた第5世代機の開発が進められる中、性能面で、今後航空優勢を維持できるかに疑問が残る。(ただし、この点はF-22とF-35を除く他の機種においても同じことがいえる。)
  • 対地攻撃能力を完全に備えた機体(トランシェ3)がまだ実用化されておらず、現状では、マルチロールファイターとしての性能が他の同世代機よりやや劣るとされる。
  • 前述のF/A-18E/Fと同様に給油方式がプローブアンドドローグ方式である。(ただし、日本仕様は独自仕様としてフライングブーム方式に対応できる可能性がほかの機種よりは高い)
  • 搭載エンジンのEJ200系エンジンは騒音が比較的大きい。(とは言っても、日本の空を空自のF-15Jやアメリカ海軍のF/A-18E/F等が飛び交っている現状からして見れば、(離着陸時の環境騒音を除けば)さしたる問題ではないとする見方もある)
  • 英国では財政難により、予定数のタイフーンを購入する予算の目途が立たなくなった。既に144機を発注しているが、開発計画参加国としてさらに88機を購入する義務がある。これをキャンセルする場合、莫大な違約金の支払い義務が生じる。そのため、英国国防部は、発注分のうち数十機を日本やサウジアラビア、インドに対し肩代わり購入をもちかけている[5]

ラファール

ファイル:Rafale-ec-1-7.jpg
ダッソー ラファール

フランスの4.5世代機。元々は前述のユーロファイターをフランスが諸事情から蹴って独自開発した機種である。

  • ユーロファイター同様、これまで空自に導入経験のない欧州機、しかも完全なNATO規格ではなく、整備面などで不安が残る。
  • 国産機器搭載許可が出されていない。
  • アフターバーナーなしでのスーパークルーズに対応しているが、RCS(レーダー断面積)はユーロファイターより大きい。
  • 性能面で、今後航空優勢を維持できるかに疑問が残る
  • そもそもダッソー社が「採用の可能性が低い」としてF-Xへの提案自体をしていないため、採用はありえない。

F-Xの現状と展望

日本は特殊な防衛事情のため、航空自衛隊の採用する要撃機には他国の戦闘機を圧倒するレベルの戦闘力が要求される。日本の周辺国では、第4世代戦闘機の配備が進んできており、ロシアや中国ではSu-27Su-30、韓国においてはF-15E(第4.5世代ジェット戦闘機)の韓国版:F-15Kの配備が始まっている。さらに近い将来にロシアではSu-50、韓国と台湾ではF-35、中国ではJ-XXなどの第5世代戦闘機の配備が計画されている。

日本のF-15Jと同世代の戦闘機が周辺国に配備され、さらに第5世代戦闘機の配備計画もある中で、F-Xではそれ等の戦闘機を圧倒、または対等に渡り合えるだけの性能を持つ戦闘機(第5世代戦闘機)が必須になると思われるが、本命のF-22Aはアメリカ上院議会で輸出許可が一度却下されている。このため防衛省は2007年12月に、平成21年度までの中期防でのF-X調達をあきらめ、平成22年(2010年)度からの次期防で取得する方針とし、代替としてF-15近代化改修を急ぐこととしている。

国内産業面では、三菱が製造するF-2の調達数が減少したため、F-Xで決定された機体のライセンス生産が行えない場合、50年にわたり継続して戦闘機の生産を行ってきた部署が浮いてしまうことになる。その際、会社としては技術者を他部署に配置転換することを免れず、後継者の育成が滞り、再度生産の機会が訪れても、技術者が不足する或いは技術力が落ちる、技術が断絶しているなどの恐れがある。そのため、国内航空機産業保護の点から、今回のF-Xもライセンス生産が望ましいと三菱は指摘している。また、自衛隊の防衛秘密の漏洩がアメリカ議会で問題視されており、日本への最新鋭戦闘機輸出承認を認めない情勢が強まっており、問題を複雑化している。

また、現在、作戦機の総数が30機程度削減される見通しであり、この現状を踏まえて、以下の策が(『時間稼ぎ』として)検討されている。

F-4の運用スケジュール見直し
機体寿命は幾許もない(超えている物もある)が、再度の寿命延長はコスト的にも疑問であるため、採りうる方策としては、作戦使用時間の減少、機体寿命の精密な測定等で延ばした余裕、予備機の削減で、数年程度先送りする手段。
F-15の定数減
F-15部隊の部隊内定数減、予備機減により、同一の機数で部隊数を維持する手段。また、定数が減った分は、F-15の近代化改修(「形態一型」と「形態二型」参照)で補うものとする方針でもある。

脚注

  1. ^ STRATEGY PAGE Saab Offers Supercruising Stealth to South Korea このページ自体は、サーブが韓国空軍のF-XX計画向けに提案したグリペンの大規模改造機がメインであるが、対抗馬の一つとして、ボーイングのF-15大規模改造機の提案に言及している。
  2. ^ 中央日報
  3. ^ Japan Aviation & Railway News 2008年6月26日「米紙が報ずる次期戦闘機の有力候補は「F-35」
  4. ^ 「F35」日本が情報照会 『FX』選定 米軍高官見通し」産経新聞、7月15日
  5. ^ 'UK tries to offload Typhoon fighters', "Financial Times"online, August 19 2008

関連項目