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「アグレッサー部隊」の版間の差分

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[[航空自衛隊]]では同様の部隊として[[飛行教導隊]]を編制しており、当初は[[T-2 (練習機)|T-2]]を使用していたが、同機の空中分解事故が発生した事により、現在は他部隊と異なる迷彩塗装の[[F-15 (戦闘機)#日本|F-15J/DJ]]を利用して訓練に参加している。
[[航空自衛隊]]では同様の部隊として[[飛行教導隊]]を編制しており、当初は[[T-2 (練習機)|T-2]]を使用していたが、同機の空中分解事故が発生した事により、現在は他部隊と異なる迷彩塗装の[[F-15 (戦闘機)#日本|F-15J/DJ]]を利用して訓練に参加している。


なお、[[1990年代]]の末、[[防衛庁]]に[[総合商社]]を通じて[[ロシア]]側から打診があり、[[スホーイ]][[Su-27]]を飛行教導隊にアグレッサー機として配備する計画があった。 その後もロシアは日本にSu-27の売り込みを続け、技術ライセンスを含む購入計画もあった。しかしながら、諸事情によりキャンセルとなった。
なお、[[1990年代]]の末、[[防衛庁]]に[[総合商社]]を通じて[[ロシア]]側から打診があり、[[スホーイ]][[Su-27]]を飛行教導隊にアグレッサー機として配備する計画があった。 その後もロシアは日本にSu-27の売り込みを続け、技術ライセンスを含む購入計画もあった。しかしながら、諸事情によりキャンセルとなった、とする内容を記載するサイトもあるが、実際に予算に盛り込んだり日本での代理店やライセンス生産を請け負う企業が名乗りを上げるなど「購入計画」と言えるほどに具体化したことは一切ない
スホーイ設計局のミハイル・A・ボゴジアンは平成12年8月の日経産業新聞のインタビューで「もし希望があれば所定の手続きにのっとって交渉できる。フランカーの開発、実用化の過程で膨大な国家資金を投じた。購入機数が数機程度では、商談に発展しないだろう。交渉を前進させるには一定の機数(十二機)確保が前提条件となる」と答えた。このことから(このインタビューの数年前にあったであろう)交渉は「所定の手続き」に至るだけの進展はなかったこと、自衛隊側が購入を意図したとしても数機以下の、かつてのヴァンパイア練習機のようなサンプル購入であり、ロシア側の望む(あるいはアグレッサー飛行隊の所用機数を満たす)数量ではなかったことが推察できる。


* '''旧日本軍'''
* '''旧日本軍'''
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* '''アメリカ海軍'''
* '''アメリカ海軍'''
[[アメリカ海軍]]航空隊では、[[ベトナム戦争]]における航空戦の苦戦から、1969年のNFWS(海軍戦闘機兵器学校)"[[:en:United States Navy Fighter Weapons School|トップガン]]"開校<ref>映画[[トップガン (映画)|トップガン]]は主人公が同校に入学しパイロットとしてのスキルを重ね、やがて教官になるストーリー<br><br>''詳細は[[トップガン (映画)]]を参照''</ref>を皮切りにVF-126VF-43、VA-127アドバーザリー部隊を編し、[[A-4 (航空機)|A-4]][[MiG-17 (航空機)|MiG-17]]空軍から借用した[[T-38 (航空機)|T-38]][[MiG-21 (航空機)|MiG-21]]に見立てての仮想敵任務に従事させてい。このうちNFWSはNSWC(海軍打撃作戦センター)に吸収される形でNSAWC(海軍打撃・航空作戦センター)として再編され、同センター内のN7部門”トップガン”として現在も活動している。また時の変化に伴い対抗勢力の高性能化([[Su-27 (航空機)|Su-27]]や[[MiG-29 (航空機)|MiG-29]]等)が見らた事か[[F-16 (戦闘)|F-16 A/B/N]]や[[F/A-18 (戦闘攻撃機)|F/A-18 A/B]]、F-14配備も行われ、F-16AやF/A-18は現在に至るも使用されて居るが、VFC-111、VFC-12、VFC-13等では現在も[[F-5 (戦闘機)|F-5]]を使用している
[[アメリカ海軍]]航空隊では、[[ベトナム戦争]]における航空戦の苦戦からアドバーザリー部隊を編制し、[[F-16 (戦闘機)|F-16 A/B/N]]、[[F/A-18 (戦闘攻撃機)|F/A-18 A/B]]、等を用いたアドバーザリー部隊を編ており、NSAWC(海軍打撃・航空作戦センター)N7部門”トップガン”での訓練に使用している。ここでは、[[F-5 (戦闘機)|F-5E]][[A-4 (攻撃機)|A-4]]、と言っ海軍の主力戦闘機の[[F-4 (戦闘機)|F-4]][[F-14 (戦闘機)|F-14]]と異なる飛行特性を持った航空機が用いらたが90年中盤から対抗勢力の保有する航空機の高性能化([[Su-27 (航空機)|Su-27]]や[[MiG-29 (航空機)|MiG-29]]等)により、これらの航空のシミュレートが可能なF/A-18F-14配備され


* '''アメリカ海兵隊'''
* '''アメリカ海兵隊'''
[[アメリカ海兵隊]]では、VMFT-401”スナイパーズ”がアドバーザリー飛行隊として編成され、ユマ海兵隊航空基地にて活動している。現在はF-5Eを装備しているが、かつてはイスラエル製の[[クフィル_(航空機)|クフィル]]戦闘機をF-21として運用していた事でも知られる。
[[アメリカ海兵隊]]では、VMFT-401”スナイパーズ”がアドバーザリー飛行隊として編成され、ユマ海兵隊航空基地にて活動している。現在はF-5Eを装備しているが、かつてはイスラエル製の[[クフィル (戦闘機)|クフィル]]戦闘機をF-21として運用していた事でも知られる。


* '''アメリカ陸軍'''
* '''アメリカ陸軍'''
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* '''ロシア空軍 (旧ソビエト空軍)'''
* '''ロシア空軍 (旧ソビエト空軍)'''
[[ソビエト連邦|ソビエト社会主義共和国連邦]]でも、[[ソ連空軍|空軍]]で[[ベトナム戦争]]、[[中東戦争]]での航空戦を教訓にアグレッサー部隊が編成されていた。[[1974年]]、[[トルクメニスタン|トルクメン]]軍管区に[[MiG-21_(航空機)|MiG-21bis]]を装備する2個飛行隊が編成された。両飛行隊には、ソ連各地から1級「狙撃手」の称号を有するパイロットが集められ、他部隊のパイロットの戦技の検閲に従事した。[[1975年]]秋には第2飛行隊に[[MiG-23M_(航空機)|MiG-23M]]([[1984年]]には当時最新鋭の[[MiG-23MLD_(航空機)|MiG-23MLD]])が、[[1987年]]には第1飛行隊に[[MiG-29_(航空機)|MiG-29]]が導入された。[[1991年]]秋、第2飛行隊の機種を[[Su-27_(航空機)|Su-27]]に換装することが計画されたが、ソ連崩壊、経済難、トルクメニスタンの独立等によって実現しなかった。現在の[[ロシア空軍]]において同種の部隊が存在しているかどうかは不明である。
[[ソビエト連邦|ソビエト社会主義共和国連邦]]でも、[[ソ連空軍|空軍]]で[[ベトナム戦争]]、[[中東戦争]]での航空戦を教訓にアグレッサー部隊が編成されていた。[[1974年]]、[[トルクメニスタン|トルクメン]]軍管区に[[MiG-21_(航空機)|MiG-21bis]]を装備する2個飛行隊が編成された。両飛行隊には、ソ連各地から1級「狙撃手」の称号を有するパイロットが集められ、他部隊のパイロットの戦技の検閲に従事した。[[1975年]]秋には第2飛行隊に[[MiG-23M_(航空機)|MiG-23M]]([[1984年]]には当時最新鋭の[[MiG-23MLD_(航空機)|MiG-23MLD]])が、[[1987年]]には第1飛行隊に[[MiG-29_(航空機)|MiG-29]]が導入された。[[1991年]]秋、第2飛行隊の機種を[[Su-27_(航空機)|Su-27]]に換装することが計画されたが、ソ連崩壊、経済難、トルクメニスタンの独立等によって実現しなかった。現在の[[ロシア空軍]]において同種の部隊が存在しているかどうかは不明である。

== 脚注 ==
<references/>



==関連項目==
==関連項目==

2008年11月3日 (月) 14:34時点における版

アメリカ空軍F-5Eアグレッサー戦闘機。アメリカ空軍ではF-5は退役したが、アメリカ海軍などでは現在もアグレッサー機として使用されている。

アグレッサー部隊(アグレッサーぶたい;英語:Aggressor squadron)とは軍の演習・訓練において敵部隊をシミュレートする役割を持った専門部隊のことである。アメリカ海軍においてはアドバーザリー部隊と呼称される。教官役でもあり、自軍のセオリーとは異なった戦術を理解・把握する必要があるため、優秀な人員が割り当てられ、エリート部隊となっている。また、アメリカ軍などにおいては、敵役をシミュレートするのみならず、鹵獲もしくは購入した仮想敵国の兵器を用いている場合がある。

各国のアグレッサー部隊

日本

  • 航空自衛隊

航空自衛隊では同様の部隊として飛行教導隊を編制しており、当初はT-2を使用していたが、同機の空中分解事故が発生した事により、現在は他部隊と異なる迷彩塗装のF-15J/DJを利用して訓練に参加している。

なお、1990年代の末、防衛庁総合商社を通じてロシア側から打診があり、スホーイSu-27を飛行教導隊にアグレッサー機として配備する計画があった。 その後もロシアは日本にSu-27の売り込みを続け、技術ライセンスを含む購入計画もあった。しかしながら、諸事情によりキャンセルとなった、とする内容を記載するサイトもあるが、実際に予算に盛り込んだり日本での代理店やライセンス生産を請け負う企業が名乗りを上げるなど「購入計画」と言えるほどに具体化したことは一切ない。 スホーイ設計局のミハイル・A・ボゴジアンは平成12年8月の日経産業新聞のインタビューで「もし希望があれば所定の手続きにのっとって交渉できる。フランカーの開発、実用化の過程で膨大な国家資金を投じた。購入機数が数機程度では、商談に発展しないだろう。交渉を前進させるには一定の機数(十二機)確保が前提条件となる」と答えた。このことから(このインタビューの数年前にあったであろう)交渉は「所定の手続き」に至るだけの進展はなかったこと、自衛隊側が購入を意図したとしても数機以下の、かつてのヴァンパイア練習機のようなサンプル購入であり、ロシア側の望む(あるいはアグレッサー飛行隊の所用機数を満たす)数量ではなかったことが推察できる。

  • 旧日本軍

他国と同様に不時着や占領地で入手した敵国の航空機を再生し、戦技教育に利用していた。

アメリカ

ロシアのSu-27の塗装をまねて使用される、F/A-18のアグレッサー機。
  • アメリカ空軍

アメリカ空軍においては、ネリス基地の第57航空団隷下の第57アグレッサー戦術群に第64及び第65アグレッサー飛行隊が編成されている。両飛行隊は冷戦終結に伴い一度は活動を停止、代わって414戦闘訓練飛行隊が編成されたが、その後第64アグレッサー飛行隊は2003年に第414戦闘訓練飛行隊のF-16を移管されて活動を再開し、また第65アグレッサー飛行隊も2005年に余剰となったF-15を受領して再編された。第414戦闘訓練飛行隊は現在ではレッドフラッグ演習の運営を担当している。

  • アメリカ海軍

アメリカ海軍航空隊では、ベトナム戦争における航空戦の苦戦からアドバーザリー部隊を編制し、F-16 A/B/NF/A-18 A/B、等を用いたアドバーザリー部隊を編成しており、NSAWC(海軍打撃・航空作戦センター)N7部門”トップガン”での訓練に使用している。ここでは、F-5EA-4、と言った海軍の主力戦闘機のF-4F-14と異なる飛行特性を持った航空機が用いられたが、90年代中盤から対抗勢力の保有する航空機の高性能化(Su-27MiG-29等)により、これらの航空機のシミュレートが可能なF/A-18やF-14が配備された。

  • アメリカ海兵隊

アメリカ海兵隊では、VMFT-401”スナイパーズ”がアドバーザリー飛行隊として編成され、ユマ海兵隊航空基地にて活動している。現在はF-5Eを装備しているが、かつてはイスラエル製のクフィル戦闘機をF-21として運用していた事でも知られる。

  • アメリカ陸軍

アメリカ陸軍にも敵部隊の戦術をシミュレートする部隊がある。大半は米国製装備による代用であるが、少数であるもののMi-24Mi-17An-2などを保有している。

  • 備考

なお一部で存在しているとされていた第三国を経由して入手したと思われる旧ソビエト製戦闘機を運用した部隊も1977年から1988年にかけて活動していたことが、関連文書の機密指定が解除されたことにより明らかになった。このような対抗勢力の航空機を入手し研究した航空機では、第二次世界大戦中の零戦等が存在する。また、最近ではモルドバ空軍で余剰となったMiG-29を大量購入した事が知られている(ただし、同機を使用するイラン空軍への機体・部品流出を防止する政治的側面が強かった)。

ドイツ

  • ドイツ空軍

ドイツ連邦共和国では、東西ドイツ統一後MiG-29を24機を編入する形で保有するに至った。この機体が配備されていた第73戦闘航空団は、(専従ではないが)西側が表立って保有する数少ないアグレッサー部隊であり、東側戦闘機として各国との共同訓練に頻繁に参加させていた。(アメリカ及びイスラエルは研究用に第三国経由で入手しているが、表立った運用を行っていない)しかし、後にポーランド空軍に一機あたり1ユーロという破格値で売却(実質的に譲渡)されている。

また、ナチス政権当時は西部戦線で撃墜したアメリカやイギリスの軍用機をレストアし、対抗戦術の開発を始めとする研究材料として扱った。

ロシア (旧ソビエト)

  • ロシア空軍 (旧ソビエト空軍)

ソビエト社会主義共和国連邦でも、空軍ベトナム戦争中東戦争での航空戦を教訓にアグレッサー部隊が編成されていた。1974年トルクメン軍管区にMiG-21bisを装備する2個飛行隊が編成された。両飛行隊には、ソ連各地から1級「狙撃手」の称号を有するパイロットが集められ、他部隊のパイロットの戦技の検閲に従事した。1975年秋には第2飛行隊にMiG-23M1984年には当時最新鋭のMiG-23MLD)が、1987年には第1飛行隊にMiG-29が導入された。1991年秋、第2飛行隊の機種をSu-27に換装することが計画されたが、ソ連崩壊、経済難、トルクメニスタンの独立等によって実現しなかった。現在のロシア空軍において同種の部隊が存在しているかどうかは不明である。

関連項目