「P-800 (ミサイル)」の版間の差分
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== 概要 == |
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オーニクスは、従来、長距離ミサイルと、中・短距離ミサイルの二本立てで開発が進められてきた[[ロシア海軍|ロシア(ソ連)海軍]]の対艦ミサイルを統合する新世代対艦ミサイルである。設計は、旧ソ連の長距離対艦ミサイルを手掛けてきたNPOマシノストローイェニェ(旧チェロメイ設計局)が担当し、1985年から開発が始まった。 |
オーニクスは、従来、長距離ミサイルと、中・短距離ミサイルの二本立てで開発が進められてきた[[ロシア海軍|ロシア(ソ連)海軍]]の対艦ミサイルを統合する新世代対艦ミサイルである。設計は、旧ソ連の長距離対艦ミサイルを手掛けてきたNPOマシノストローイェニェ(旧チェロメイ設計局)が担当し、1985年から開発が始まった。オーニクスは、旧ソ連の対艦ミサイルの正当な後継者という位置付けになる。 |
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マシノストローイェニェがソ連邦時代に設計した長距離大型対艦ミサイル[[P-700 (ミサイル)|「グラニート」]]SS-N-19)を小型化したような外見で、エンジンは |
オーニクスは、マシノストローイェニェがソ連邦時代に設計した長距離大型対艦ミサイル[[P-700 (ミサイル)|「グラニート」]]SS-N-19)を小型化したような外見で、エンジンはグラニートと同様に'''固体ロケット・ラムジェット統合推進システム(Integrated Rocket Ramjet、IRR)'''を採用しており、旧ソ連海軍では1980年代初頭から使われている推進システムである。ミサイル本体にはRAM(電波吸収材)が使用されており、被発見率の低下に注意が払われている。ミサイルは発射されると、固体ロケットで超音速まで加速し、その後、ラムジェットに切り替えるもので、固体ロケットの推進剤を燃焼させた後の空間が、ラムジェットエンジンとして使われる。射程は飛行プロファイルによって変化する。高度2万メートルの高空をマッハ2.5で飛行、目標の手前で降下、低空で突入した場合で約300キロ。低空のみを飛行した場合で120キロとされるが、速度はマッハ1.6に低下する上に空力加熱によって探知される可能性が上がる。通常、3発1組で運用され、その場合には「リーダー機」のみがレーダーを作動させ他のミサイルに指示を下す。またレーダー警戒装置が搭載され、必要に応じて回避運動も行う。オーニクスは、対艦攻撃が主任務であるが、この他に地上攻撃も可能とされている。 |
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ミサイルは、全長8.9m、直径70cmの発射コンテナに収められ、コンテナ込みの重量は3,900kgとなる。 |
ミサイル本体は、全長8.9m、直径70cmの発射コンテナに収められ、システムチェックはコンテナに収めたまま行うことが出来る。設置において遮炎板を必要としない。コンテナ込みの重量は3,900kgとなる。 |
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オーニクスは、1990年代に、水中発射型はプロジェクト670M(チャーリーII型)原子力潜水艦K-452「ベールクト」、水上発射型はプロジェクト1234(ナヌチュカIII型)ミサイル艇「ナカト」を改造して搭載され、各種テストが行われた。テストは1998年頃には一通り終え、同年に正式採用されたが、このミサイルを搭載する予定の新型艦艇の建造が遅れに遅れている為、ロシア海軍では、未だに実戦配備には就いていない。 |
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水上発射型はプロジェクト1234(ナヌチュカIII型)ミサイル艇「ナカト」を改造して搭載され、各種テストが行われた。 |
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水中発射型は1986年から1992年にかけてプロジェクト670M(チャーリーII型)原子力潜水艦K-452「ベールクト」を改造、SM-403[[VLS]](1基の発射筒に3発収納可能、発射筒8基を装備)を搭載して試験が行われた。 |
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航空機からの運用も可能であり、戦闘機[[Su-27 (航空機)|Su-27]]の各種発展型や、爆撃機[[Tu-22M (航空機)|Tu-22M]]などが、このミサイルを搭載できる。 |
航空機からの運用も可能であり、戦闘機[[Su-27 (航空機)|Su-27]]の各種発展型や、爆撃機[[Tu-22M (航空機)|Tu-22M]]などが、このミサイルを搭載できる。 |
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テストは1998年頃には一通り終え、同年に正式採用された。 |
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このミサイルを搭載する予定している艦艇にはヤーセン級(セヴェロドヴィンスク級)原子力潜水艦、スコルピオ級コルベット、キーロフ級巡洋戦艦などがあるが、新型艦艇の建造の遅延や資金難の為、ロシア海軍では未だに実戦配備されていない。 |
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オーニクスは、対艦攻撃が主任務であるが、この他に地上攻撃も可能とされている。 |
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オーニクスは、専用の[[VLS|垂直発射機]]もしくは、連装発射筒から発射されるが、この他に、ロシア原潜の650mm[[魚雷発射管]]からも撃ち出せる、と記述しているものも見受けられる。 |
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しかし、本当にオーニクスが650mm発射管に対応しているのであれば、1990年代に水中発射型のテストを行うに当たり、わざわざ670M型ミサイル原潜K-452を改造する必要など無く、当時、多数が在籍していた650mm発射管装備の原潜([[オスカー級原子力潜水艦|949A型]]、[[アクラ級原子力潜水艦|971型]]、[[シエラ級原子力潜水艦|945型]]、[[ヴィクター級原子力潜水艦|671RTM型]])でテストが行えたはずである。 |
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また、建造中の新型原潜セヴェロドヴィンスク級にしても、専用の3連装垂直発射機を搭載する必要は無く、650mm発射管を装備すれば事足りたはずであり、これらの事実から見ても、オーニクスは650mm魚雷発射管から撃てない事は明白である。 |
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== 諸元 == |
== 諸元 == |
2009年4月21日 (火) 14:12時点における版
P-800「オーニクス」Оникс(縞瑪瑙)は、ロシアで開発された超音速対艦ミサイルである。輸出型は「ヤーホント」Яхонт(宝石)と呼ばれており、一般には、こちらの名称の方が知られている。地上発射型は「バスチオン」Бастион(城塞)と呼ばれている。
アメリカ国防総省は、このミサイルに対し、SS-N-26(艦発射型)/SSC-5(地上発射型)のコード番号を与えたが、それは、ロシアがこのミサイルの存在と名称を公表した後の事だった。
概要
オーニクスは、従来、長距離ミサイルと、中・短距離ミサイルの二本立てで開発が進められてきたロシア(ソ連)海軍の対艦ミサイルを統合する新世代対艦ミサイルである。設計は、旧ソ連の長距離対艦ミサイルを手掛けてきたNPOマシノストローイェニェ(旧チェロメイ設計局)が担当し、1985年から開発が始まった。オーニクスは、旧ソ連の対艦ミサイルの正当な後継者という位置付けになる。
オーニクスは、マシノストローイェニェがソ連邦時代に設計した長距離大型対艦ミサイル「グラニート」SS-N-19)を小型化したような外見で、エンジンはグラニートと同様に固体ロケット・ラムジェット統合推進システム(Integrated Rocket Ramjet、IRR)を採用しており、旧ソ連海軍では1980年代初頭から使われている推進システムである。ミサイル本体にはRAM(電波吸収材)が使用されており、被発見率の低下に注意が払われている。ミサイルは発射されると、固体ロケットで超音速まで加速し、その後、ラムジェットに切り替えるもので、固体ロケットの推進剤を燃焼させた後の空間が、ラムジェットエンジンとして使われる。射程は飛行プロファイルによって変化する。高度2万メートルの高空をマッハ2.5で飛行、目標の手前で降下、低空で突入した場合で約300キロ。低空のみを飛行した場合で120キロとされるが、速度はマッハ1.6に低下する上に空力加熱によって探知される可能性が上がる。通常、3発1組で運用され、その場合には「リーダー機」のみがレーダーを作動させ他のミサイルに指示を下す。またレーダー警戒装置が搭載され、必要に応じて回避運動も行う。オーニクスは、対艦攻撃が主任務であるが、この他に地上攻撃も可能とされている。
ミサイル本体は、全長8.9m、直径70cmの発射コンテナに収められ、システムチェックはコンテナに収めたまま行うことが出来る。設置において遮炎板を必要としない。コンテナ込みの重量は3,900kgとなる。
発射プラットフォーム
水上発射型はプロジェクト1234(ナヌチュカIII型)ミサイル艇「ナカト」を改造して搭載され、各種テストが行われた。 水中発射型は1986年から1992年にかけてプロジェクト670M(チャーリーII型)原子力潜水艦K-452「ベールクト」を改造、SM-403VLS(1基の発射筒に3発収納可能、発射筒8基を装備)を搭載して試験が行われた。 航空機からの運用も可能であり、戦闘機Su-27の各種発展型や、爆撃機Tu-22Mなどが、このミサイルを搭載できる。 テストは1998年頃には一通り終え、同年に正式採用された。
このミサイルを搭載する予定している艦艇にはヤーセン級(セヴェロドヴィンスク級)原子力潜水艦、スコルピオ級コルベット、キーロフ級巡洋戦艦などがあるが、新型艦艇の建造の遅延や資金難の為、ロシア海軍では未だに実戦配備されていない。
諸元
- 全長:8.9m(コンテナ含む)
- 直径:0.7m(コンテナ含む)
- 翼幅:1.4m(展開時)
- 発射重量:3,900kg(コンテナ含む)、3,000kg(ミサイル本体)
- 射程:300km(低空巡航のみで120km)
- 速度:マッハ2.5
- 飛翔高度:高空巡航時14,000m、低空巡航時5~15m
- 推進装置:固体ロケット・ラムジェット統合推進システム
- 弾頭:250kg通常HE
- 誘導装置:慣性(高空巡航時)、アクティブ・レーダー・シーカー(終末時)
- 発射装置:コンテナ
- 搭載艦船:セヴェロドヴィンスク級原子力潜水艦、22350型フリゲート、キーロフ級ミサイル巡洋艦