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「タカ目」の版間の差分

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餌となる動物を捕まえるために大きな脚に湾曲した鋭く長い脚爪をもつ。また、鋭くとがったクチバシをもつ。多くのタカ目は一夫一妻で、オスよりもメスのほうが大きく体力も優れているという特徴がある。
餌となる動物を捕まえるために大きな脚に湾曲した鋭く長い脚爪をもつ。また、鋭くとがったクチバシをもつ。多くのタカ目は一夫一妻で、オスよりもメスのほうが大きく体力も優れているという特徴がある。


==分類説==
==分類・系統の各説==
日本や[[アメリカ合衆国|アメリカ]]においては、フクロウ類を除いた猛禽類を'''タカ目''' Falconiformes にまとめるのが一般的な分類である。
日本や[[アメリカ合衆国|アメリカ]]においては、フクロウ類を除いた猛禽類を'''タカ目''' Falconiformes にまとめるのが一般的な分類である。


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'''タカ目'''という分類は昼行性の大型肉食鳥類をひとまとめにしたものであり、その単系統性については形態学的研究からも[[分子生物学]]的研究からも疑問が提示されている。
'''タカ目'''という分類は昼行性の大型肉食鳥類をひとまとめにしたものであり、その単系統性については形態学的研究からも[[分子生物学]]的研究からも疑問が提示されている。


===Sibley分類===
1990年代に提出された[[DNA - DNA分子交雑法]]を用いた[[Sibley-Ahlquist鳥類分類]]は、コンドル科を[[コウノトリ目 (Sibley)|コウノトリ目]][[コウノトリ亜目 (Sibley)|コウノトリ亜目]][[コウノトリ下目 (Sibley)|コウノトリ下目]][[コウノトリ科 (Sibley)|コウノトリ科]]の1亜科とし、その他のタカ目をコウノトリ亜目[[ハヤブサ下目 (Sibley)|ハヤブサ下目]]とした。しかしこれは、コウノトリ目とタカ目が共に根からの遺伝子距離が短いなど、DNA - DNA分子交雑法では間違った結果が出やすい系統関係だったためである。
1990年代に提出された[[DNA - DNA分子交雑法]]を用いた[[Sibley-Ahlquist鳥類分類]]は、コンドル科を[[コウノトリ目 (Sibley)|コウノトリ目]][[コウノトリ亜目 (Sibley)|コウノトリ亜目]][[コウノトリ下目 (Sibley)|コウノトリ下目]][[コウノトリ科 (Sibley)|コウノトリ科]]の1亜科とし、その他のタカ目をコウノトリ亜目[[ハヤブサ下目 (Sibley)|ハヤブサ下目]]とした。しかしこれは、コウノトリ目とタカ目が共に根からの遺伝子距離が短いなど、DNA - DNA分子交雑法では間違った結果が出やすい系統関係だったためである。


==系統==
===Hackett説===
Hackett等による系統にては、ハヤブサ科は他のタカ目と離れており、[[スズメ目]]や[[オウム目]]と近縁とされる。
Hackett等による系統研究にては、ハヤブサ科は他のタカ目と離れており、[[スズメ目]]や[[オウム目]]と近縁とされる。
残りのタカ目はコンドル科を含め互いに近縁と思われるが、コンドル科の位置づけには多少の不確実性がある。また、いずれの科もコウノトリ目とは特に近くない。<ref>{{lang|en|{{cite
残りのタカ目はコンドル科を含め互いに近縁と思われるが、コンドル科の位置づけには多少の不確実性がある。また、いずれの科もコウノトリ目とは特に近くない。<ref>{{lang|en|{{cite
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上のツリーが示すように、この説はタカ類をハヤブサ目 Falconiformes とタカ目 Accipitriformes に分けるイギリス流の分類に親和性がある。


==下位分類と国内種==
==下位分類と国内種==

2009年5月16日 (土) 06:55時点における版

タカ目
イヌワシ Aquila chrysaetos
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
上目 : 新顎上目 Neognathae
: タカ目 Falconiformes
学名
Falconiformes Sharpe1874
シノニム

Accipitriformes

タカ目 Falconiformes は、鳥類分類群の一つ。ワシタカ類とも呼ばれる。タカ目は多くが肉食の大型鳥類(猛禽類)であり、生態系における高次捕食者の地位を占めている。南極大陸を除く全世界に分布している。

学名の直訳はハヤブサ目で、本来のタカ目 Accipitriformes はそのシノニムである。ただし、ハヤブサ目 Falconiformesハヤブサ科のみ)とタカ目 Accipitriformes に分ける説もある。

特徴

餌となる動物を捕まえるために大きな脚に湾曲した鋭く長い脚爪をもつ。また、鋭くとがったクチバシをもつ。多くのタカ目は一夫一妻で、オスよりもメスのほうが大きく体力も優れているという特徴がある。

分類・系統の各説

日本やアメリカにおいては、フクロウ類を除いた猛禽類をタカ目 Falconiformes にまとめるのが一般的な分類である。

しかし、イギリスなどヨーロッパではこれらを2目に分割し、ハヤブサ目 Falconiformes とタカ目 Accipitriformes に分けて扱うことが多い。

タカ目という分類は昼行性の大型肉食鳥類をひとまとめにしたものであり、その単系統性については形態学的研究からも分子生物学的研究からも疑問が提示されている。

Sibley分類

1990年代に提出されたDNA - DNA分子交雑法を用いたSibley-Ahlquist鳥類分類は、コンドル科をコウノトリ目コウノトリ亜目コウノトリ下目コウノトリ科の1亜科とし、その他のタカ目をコウノトリ亜目ハヤブサ下目とした。しかしこれは、コウノトリ目とタカ目が共に根からの遺伝子距離が短いなど、DNA - DNA分子交雑法では間違った結果が出やすい系統関係だったためである。

Hackett説

Hackett等による系統研究にては、ハヤブサ科は他のタカ目と離れており、スズメ目オウム目と近縁とされる。 残りのタカ目はコンドル科を含め互いに近縁と思われるが、コンドル科の位置づけには多少の不確実性がある。また、いずれの科もコウノトリ目とは特に近くない。[1]

Coronaves

スズメ目オウム目

ハヤブサ目

ハヤブサ科

ノガンモドキ科

ブッポウソウ目キツツキ目キヌバネドリ目

フクロウ目

ネズミドリ目

タカ目(狭義)

タカ科

ヘビクイワシ科

コンドル科

チドリ目など

コウノトリ目など

上のツリーが示すように、この説はタカ類をハヤブサ目 Falconiformes とタカ目 Accipitriformes に分けるイギリス流の分類に親和性がある。

下位分類と国内種

ミサゴ属は体の構造の違いからタカ科と別科のミサゴ科 Pandionidae とすることも多いが、系統的にはタカ科に含まれる。

ヘビクイワシ科 Sagittaridae

ヘビクイワシ Sagittarius serpentarius の1種のみが属する。ツルのような長い足を持つ。飛行能力はあるが、ほとんど飛ぶことは無い。地上を歩きまわり、ヘビなどを捕食する。国内にはいない。

屍肉を食べるため、嗅覚が発達している。北米および南米大陸に生息する。コンドルなど。伝統的な分類ではコンドル類をタカ目に含ませるが、他のタカ類とは解剖学的に大きく異なる。国内種はなし。

1990年代のDNA分析ではコンドル類はタカ類よりもコウノトリ類が近縁であることを示した(現在から見れば間違いである)。これに従い、近年ではコンドル科をコウノトリ目に編入することも多い[2]

タカ科と外見は似ているが、骨格等に著しい相違がある。そのためイギリスなどの国では、ハヤブサ目 Falconiformes をたてることが多い。ハヤブサ類とカラカラ類を含む。国内種は前者のみ。

関連項目

注釈

  1. ^ Hackett, SJ.; et al. (2008), “A Phylogenomic Study of Birds Reveals Their Evolutionary History”, Science 320: 1763-1768 
  2. ^ アメリカ鳥学会の分類など。AOU - Check-list of North American Birds