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=== 日本における体罰の扱い ===
=== 日本における体罰の扱い ===
日本の学校教育の場においては、[[学校教育法]](昭和22年法律第26号)の第11条において、校長および教員は、懲戒として体罰を加えることはできないとされている。この規定に対する(刑事上の)罰則はないものの、教員以外の者と同じく、[[スキンシップ]]と解せないものについては、[[暴行]]罪や[[傷害]]罪(死亡した場合は致死罪)となる。また、教員が職権として体罰を加えた場合は、刑事上の責任とは別個に民事上の責任も問われる。有罪判決を受けた教員<!--有罪なっても刑は通常の罪よりも軽くなる傾向がある-->は、[[公務員]]の[[免職#分限免職|信用失墜行為]]として懲戒<!--免職-->処分を受けることがある。<!--懲戒免職処分はまれです-->[[告訴|刑事告訴]]をおこされぬよう、示談を前提に加害教員と勤務校が被害者に“陳謝”する場合が多い。<!--陳謝を受け入れ告訴を取りやめるかどうかは被害者の任意である-->
日本の学校教育の場においては、[[学校教育法]](昭和22年法律第26号)の第11条において、[[校長]]および[[教員]]は、[[懲戒]]として体罰を加えることはできないとされている。この規定に対する(刑事上の)罰則はないものの、教員以外の者と同じく、[[スキンシップ]]と解せないものについては、[[暴行]]罪や[[傷害]]罪(死亡した場合は致死罪)となる。また、教員が職権として体罰を加えた場合は、刑事上の責任とは別個に民事上の責任も問われる。有罪判決を受けた教員<!--有罪なっても刑は通常の罪よりも軽くなる傾向がある-->は、[[公務員]]の[[免職#分限免職|信用失墜行為]]として懲戒<!--免職-->処分を受けることがある。<!--懲戒免職処分はまれです-->[[告訴|刑事告訴]]をおこされぬよう、示談を前提に加害教員と勤務校が被害者に“陳謝”する場合が多い。<!--陳謝を受け入れ告訴を取りやめるかどうかは被害者の任意である-->


一方、家庭内での体罰は慣習的に認められていた部分では在るが、1990年代より[[児童虐待]]が[[社会問題]]として取り上げられるようになり、教育的な意味のある体罰なのか、それとも単に保護者などの鬱憤晴らしなどに過ぎない虐待かは慎重に判断されるようになった。特に外傷の有無に関しては外傷の種類などや状態に関する判断基準が示されるなどしており、教師や小児科医といった普段子供を間近で観察する機会の多い職種を中心に、判断基準などの情報が提供されている。
一方、家庭内での体罰は慣習的に認められていた部分では在るが、1990年代より[[児童虐待]]が[[社会問題]]として取り上げられるようになり、教育的な意味のある体罰なのか、それとも単に保護者などの鬱憤晴らしなどに過ぎない虐待かは慎重に判断されるようになった。特に外傷の有無に関しては外傷の種類などや状態に関する判断基準が示されるなどしており、教師や小児科医といった普段子供を間近で観察する機会の多い職種を中心に、判断基準などの情報が提供されている。

2009年5月26日 (火) 21:44時点における版

体罰(たいばつ)とは、殴打等の、身体を通じたのことである。

概要

体罰は、父母教員などが、子供や生徒などの管理責任の下にあると考えられる相手に対し、教育的な名目を持って、身体刑を加えることを指す。軍隊や、部活動等における先輩から後輩への暴力も体罰とみなされることが多い。

体罰は古くより「注意をしても聞かない・もしくは理解できない」という子供に対する教育的な指導と認識されていた[1][2]。方法としては、動物に対すると同様の直接的な痛みを伴う行為がとられることが多かった(手で叩く・殴る・で打つなど)。また体罰を肯定する側には、明確な賞罰の形として、長く記憶に残りやすい体罰は、より教育効果が高いと考えている[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。

しかしその一方で、その罰がしばしば当人の人格否定に繋がったり、重大な負傷に至る事例が挙げられるにつれ、社会的に問題視され、その効果に疑問が投げ掛けられるようになった[3][4]。また、体罰の実施者に、そもそも罰を与える権利があるのかも問題となっている[5]

体罰には様々な方法が存在し、また実施される状況によって、あるいはこれを被る側の反応によって、その影響(や効果)は異なる。

ただ体罰であるか口頭での注意かを問わず「罰することによって許すこと」は、教育においても大切なことと考えられることもある[6]。体刑を科してその後のケアを怠れば、処罰された側は罰の手法によらず反省しない・自己憐憫にひたることで自分を正当化してしまうおそれもあるのではないかという意見も児童心理の研究の延長にある[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。すべての発達段階において、人間の人格形成・人間形成を促す方向での指導と、そのために学校組織としての方針の策定が求められている[7]

日本における体罰の扱い

日本の学校教育の場においては、学校教育法(昭和22年法律第26号)の第11条において、校長および教員は、懲戒として体罰を加えることはできないとされている。この規定に対する(刑事上の)罰則はないものの、教員以外の者と同じく、スキンシップと解せないものについては、暴行罪や傷害罪(死亡した場合は致死罪)となる。また、教員が職権として体罰を加えた場合は、刑事上の責任とは別個に民事上の責任も問われる。有罪判決を受けた教員は、公務員信用失墜行為として懲戒処分を受けることがある。刑事告訴をおこされぬよう、示談を前提に加害教員と勤務校が被害者に“陳謝”する場合が多い。

一方、家庭内での体罰は慣習的に認められていた部分では在るが、1990年代より児童虐待社会問題として取り上げられるようになり、教育的な意味のある体罰なのか、それとも単に保護者などの鬱憤晴らしなどに過ぎない虐待かは慎重に判断されるようになった。特に外傷の有無に関しては外傷の種類などや状態に関する判断基準が示されるなどしており、教師や小児科医といった普段子供を間近で観察する機会の多い職種を中心に、判断基準などの情報が提供されている。

家庭における体罰・躾

家庭内等において、子供が保護者と生活する時間は長い。特に就学前の乳幼児にとっては、親権者は、親権者であると共に、最初に出会う教師ともいえる。このため保護者は、それら幼児に日常生活を通じて、やるべき事やってはいけない事守るべきルール言葉を教育する。この教育の過程で、まだ言葉を十分に理解出来ない幼児にとっては、往々にして「言葉による賞罰」よりも、「肉体の感覚による賞罰」の方が効果的な事が多いという考えもある。しかし、過度な体罰は虐待になるため、そのさじ加減が難しいといわれる[8][9]

例を挙げれば、イギリスをはじめとする欧米各国では、幼児が触ってはいけない物(マッチライター刃物タバコ拳銃等の、家庭内にありふれた危険物)を玩具にしていたら、手の甲を赤くなるほど平手で殴ってから、「もう触りません」と言わせるが伝統的に存在した[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。しかし、1990年代から北欧諸国では体罰禁止運動が盛んになり、これらの国では全面禁止、イギリス、フランス、アイルランド、オーストラリアでは平手で身体(頬は除く)を打つこと以外は法律で禁止された。この当時、親からの体罰の有無と成人の社会的適応性の統計結果[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。で、親から体罰を受けていない者が親から体罰を受けたことがあるとした回答者よりも犯罪歴が低く(?)、学歴、収入などが高いとの統計結果が社会学者から発表された。家庭内の危険物に関しては、危険物を子供の手の届かないところに保管するのは親の責任であり、体罰は不必要と認識される[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。ようになる。さらに1990年頃に、過去の孤児院や少年院での虐待がつぎつぎと明るみにされ訴訟まで発展した[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。この頃から体罰の代わりに外出禁止などの代替罰が奨励されるようになる[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。

近年では、前述の統計結果の体罰を受けたとする回答者の内訳が親から過激な虐待を受けた者を含んでおり、あくまで躾として経度の体罰を受けたとするものは、体罰を一度も受けなかったとするものよりも犯罪歴が低く、学歴、収入が高いとの結果も出ている。

この場合においては微笑んだ表情を見せたり、抱きしめたり、頭を撫でたり、幼児が喜ぶ物品を与える等して行われ、は怒ったり悲しんだ表情を見せる、怒気を込めた口調で叱る、(手加減して・注意を喚起する程度に留めて)叩くといったような物が与えられる。しかし環境が閉鎖的である事もあって、他の要因から罰の方法がエスカレートし、拷問を科す事と混同されるケースも少なくない[10]

特に乳幼児は、言葉以前に善悪も理解出来ないため、初期の段階においての躾はほとんど不可能である。また空腹や孤独・便意・濡れた衣服にまつわる不快感に対して敏感であり、泣く事によってこれらの不快な状態の改善を(本能的に)要求する。自分では何も解決できない乳幼児が、このような手段を用いて要求するのは至極当然の反応であるが、性格的に未熟だったり、精神的疲労やノイローゼ状態にある保護者にとっては、これらの要求を煩わしく感じる事も少なくないためか、要求を減らすために、「我慢する躾」と称して体罰よりもエスカレートした児童虐待を行う場合がある。

このような場合、乳幼児にとってはその罰の意味がまったく理解出来ないものであったり、本能的に見て非常に理不尽極まりない事もあるために、事態が激化しやすい。また、体罰の倫理的問題も在って、体罰を受ける側も体罰を課す側も心理的に傷付いていくため、子供も保護者も不幸な結末に陥りやすい[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。特に乳幼児は、母親一人だけでは手に余る程の保護を必要としている部分に負う所も大きいため、問題解決には周囲の人間の理解や援助が必要である。児童相談所では、これらの悩みを持っているにも関わらず、身近に相談できる人間がいない人々の問題を解決する手助けを行っている。

学校内における体罰

学校における体罰では、教育という名のもとに体系化された罰則の一部に組み込まれていた。無論独自の罰の様式を開発する教師もいなかったわけではないが、その一部は明らかに児童虐待である[11][12]

正課教育において

日本の学校で、正課教育に関連して伝統的に行われている/行われていた体罰の主なものには、以下のものがある。なお、誤解が多いが下記のような体罰が行われ始めたのは主に戦後からであり、戦前は小学校令(戦時中に制定された国民学校令も同様)により体罰は一貫して禁止されており、小さな体罰でも教師が処分されることがあった。

  • 教鞭などで頭を打つ。
イギリスの学校では伝統的に手の平を木のへらで打つ体罰があるが、日本ではこれはまれであり、細長い教鞭、物差し等で頭を打つことが多かった。頭を打つ際には平手や、げんこつ、教科書などの教材道具を使うこともある。しかし、1990年代からイギリスを始め、スウェーデンでは体罰禁止運動が盛んになり、学校での体罰は禁止されている[13]
  • 廊下等に立たせる。
他に、教室の後部、黒板の前、自分の座席の脇などに立たせることがある。
かつては、両手にバケツを持たせるなどすることもあったが、現在では稀。宮沢賢治の逸話にあるように、水を入れたコップを長時間持たせることもあったようだ。水をこぼした場合、さらなる罰が科せられることが多かった。それが原因で、脱腸になった人もおり[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。、今ではほとんど見かけなくなった。
  • 頬を平手で打つ。
これは現在でもしばしば行われている。
  1. 片頬を一回打つ通常の平手打ち
  2. 1に続けて返し手(の甲)で反対側の頬も打つ平手打ち
  3. 両手で同時に両頬を挿むように打つ
  4. それぞれの頬を交互に(右手で左頬を、左手で右頬を)続けざまに打つ
といったやり方がある。頬を打たれた際に生徒が誤って舌を噛む危険を考慮し、「歯を食いしばれ」との命令が打擲に先駆けて下されることもある。1の場合、片頬を指で強くつねって顔を固定したまま、もう一方の頬を打つことがある。2以下は現在では減っていると思われるが、なお見られるものである。いずれも、平手打ちをする教師の指の先が耳にかかってしまうと、打たれる生徒の内耳に急激な気圧の変化をもたらし、鼓膜を損傷することがある。また強度や回数によっては生徒は頬の内側を切ることがある。明治から高度成長期くらいまでは、この体罰を受ける生徒は直立の姿勢をとり、両手を脇にそろえていなくてはならなかったが、現在では生徒が素直に罰を甘んじて受けることはむしろ稀であり、顔をうつむけて肩をすくめること等によって打擲の直接的な打撃を防ごうとすることが多い。したがって、以前と比べると、教師が前触れ無く叩くことが多くなったと言われている[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。
  • 顔を殴る。
上記の平手打ちよりもさらに打撃の強いものとして、顔面(主に頬)を拳で殴るものがある。これは生徒に与えるダメージも強いため、中学校の高学年や高等学校で行われることが多いようである。強い平手打ちと同様、頬の内側を切るほか、顎がずれたり鼻を折ったり転倒で負傷するといった危険がある。
  • を打つ(いわゆるケツバット)。
イギリスの伝統的な寄宿学校(既に寄宿学校の伝統は廃れているのが現状である。体罰禁止を始め、女子学生にも入寮を認めるなど、悪しき伝統といわれるものは廃止された)では、かつては校長あるいはマスターがケイン(杖)で生徒の尻を打つことが行われており、また代表生(プリーフェクト)と呼ばれる指導的な生徒が下位の生徒の尻を叩くことがあった。これが日本の軍隊における体罰としての尻打ちの起源とも言われるが、定かではない。特に予科練においては、ケツバッターと呼ばれる頑丈な木の棒を用いた尻打ちが日常的に行われており、戦後、軍隊上がりの教師が生徒の尻を叩くようになったことが、学校における尻打ちの源であるとも言われる[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。
学校においては、竹刀木刀・竹の物差しなどを用いて生徒の尻を叩くのが一般的であり、低学年においては平手で叩くこともある。また、一部の神社で土産物として売られているような尻叩き用の木のへらを用いることもある。
尻を打たれる生徒は黒板の桟などを両手でつかんで上体をかがめ、尻を突き出す格好をしなければならない。稀な姿勢としては、直立させたまま叩くほか、床に膝を開いて四つん這いをさせたうえで、両肘を床につけて尻を開いて突き出す姿勢をとらせるものや、水泳の飛び込みの構えのように、両脚をそろえて伸ばしたまま、両手でつま先をつかませるといった方法がある。
竹刀木刀などの強い道具を用いる場合は、生徒の坐骨尾てい骨にひびが入るなどの危険がある。教師はどの角度からどれくらいの強さで尻を打てば良いのか熟知していなければならないし、生徒のほうも痛みに対する恐怖から尻をすぼめて猫背にしたりすると、尾骨を損傷する危険が高まる[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。尻の斜め上から、尻の一番盛り上がったところに打ち下ろし、受ける生徒は背中を反らせて尻を思い切り突き出すのが最も安全な方法であるが、多くの教師はそのような知識無くこの体罰を行い、生徒も身体を動かして避けようとすることがあるため、しばしば重大な結果をもたらす[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。
教室の床の上、椅子の上、校庭の砂の上等々に生徒を正座させるということは、現在でも屡々見られる。かつては算数の授業用の大きなそろばんの上に正座させるなど、痛みの強い罰もあったようだが、昨今ではこのようなそろばん自体が教室になく、まずこのやり方は取られないと思われる[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。
他にも、過去の実績から効果が見られるとされた体罰が、罰した後に遺恨を残さないよう配慮するフォロー方法も含めて制度化されて残されているケースや、罰せられる生徒はほとんど肉体的にも精神的にも苦痛を被らない・当然負傷するおそれも無い形式的な方法など、教師が個人的に行うケースも見られる。

問題のある傾向

ただ体罰を加える側の性格的問題などに起因して、客観的に見て教員の鬱憤晴らしや単なる暴行にしか見られない行為が行われることがあり、それらは「事件」として扱われることも多い。具体的には以下のような行為がある。

  • 倒れる程の勢いで殴り飛ばす。
  • 床に身体ごと叩きつける。
  • 蹴り倒す。
  • 竹刀や清掃器具、指し棒バットといった棒状の物で突付いたり叩きのめしたりする。
    (中学校以上 相撲部屋の一部でも見受けられる)
  • 殴る・蹴るの連続的暴行を執拗に加える。
  • 最近ではスタンガン特殊警棒等も用いて体罰を行うケースも見られる。
  • 教員や上級生が1人に対して複数で暴行を加える(リンチ、袋叩き)。

以下のような、外傷を与えない種類の体刑を科すこともある。それらも状況や内容により問題視されることがある。

  • 与えた課題ができるまで放置する。あるいは、給食を残さず食べるまで次の時限に参加することを許さない。
  • 授業を受けさせずに他の課題を科す
校庭を一人で走らせたり、腕立て伏せうさぎ跳びスクワットなどの無駄な筋力トレーニングを科すなど
  • 常軌では考えられない範囲の掃除など、過度の労働を課す。
校庭全体のゴミ拾いを一人でさせる。
校内全てのトイレ掃除を一人でさせる。等

正課教育以外の場において

体育会系も参照。

日本の学校で、正課教育以外の部活動修学旅行等に関連して行われている/行われていた体罰は、上記の正課教育に関連したものと似たようなやり方をとるが、体罰を行うのは、指導者である教師などの大人の他、しばしば上級生である。部活動において上級生による「しごき」の名の下に行われる下級生に対する体罰は、肉体的な痛みを伴うものから、精神的、性的なものまで様々である。

上級生による体罰は、しばしば教師による体罰よりも過酷なものになるという指摘があり、これらを、高度経済成長期以降の教師の権威の低下と、相対的に低下していない部活動や生活における先輩後輩の上下関係に結び付けて論じることがある。

以下、簡単に種類を列挙し、正課教育における体罰との違いのみコメントを付す。

  • 頬を叩く
教室においては通常考えられないことであるが、一人の部員の過ちを「連帯責任」と称して部員全員、もしくは同じ学年の部員全員を横に並ばせて順番に頬を打ったりすることがある。
  • 顔面などを殴る
修学旅行などの宿泊施設内で、就寝時間に目を覚ましている部屋の生徒を教師が廊下に並んで正座させ(もしくは直立させ)、顔面を殴る、といったことはしばしば経験談として語られる。通常の教室においてはせいぜいが平手打ち程度であるとすれば、やはりこれは非日常的な空間において誘発せられるものと解せられる。しかし、体罰死も起きている。
  • 尻を打つ
特に、剣道や柔道の指導において竹刀で尻を打つことや、野球の指導においてバットで尻を打つ「けつバット」はよく行われる。またその亜流として、あらん限りの声で叫ばせたまま尻をバットで打つ「声出しケツバット」があるが、これは腹に力が入ることにより尻が強く突き出され、打擲をまともに受けさせるためのものと考えられる。現在では、注目度の高い高校野球等においてこのようなことが明らかになった場合には、学校に処分が下されることが多いが、かえってそれを恐れて、外の目のないところで行われるという弊害も指摘されている。また、針金ハンガーで尻を叩く「しりピン」なども、この部類の体罰に属するが、針金ハンガーで尻を打つことで重大な怪我をすることは考えられないものの、当然のことながらユニフォーム・パンツを下げて尻を剥き出しにさせて行うことになり、性的な要素も含むことになる。

体罰をめぐる状況

日本では、第二次世界大戦前に制定された教育令(1879年〔明治12年〕)には、体罰禁止規定があった[14]。さらに勅令である第2次「小学校令」(明治23年勅令第215号)[15]からは一貫して体罰禁止規定が見られ、第二次世界大戦後には、法律である学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定が引き継がれている。現在の日本においては、学校教育法(昭和22年法律第26号)の第11条で「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、学生、生徒及び児童に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」と定められており、校長および教員が懲戒として体罰を加えることはできない。

しかし、教育的効能を主張する者もあって、教育現場で体罰は、しばしば行われている。 1980年代には私塾などで体罰を積極的に科す所も現れた。

体罰が、対象者への傷害事件に発展したり、教員の性格的な問題が発覚したりした場合は、社会問題として取り上げられることも多い。

古くはそういう乱暴な教員を「侍(さむらい)教師」と呼んでいた。”侍”という呼称は、「教師は聖職である」として、ゴロツキ呼ばわり、やくざ呼ばわりを避ける為のものとも言われている。教職の経歴を持つ作家の灰谷健次郎は、自著で「教員やくざ」という呼び方を記している。

<1990年代以降は、学校での体罰の報告数が年々減少傾向にある。しかし「子供の人権を尊重するためにも体罰は絶対に禁止すべき」という意見がある一方で、「本来は学校教育と並行して行われるべき家庭教育が軟弱化した影響で、過剰に自己中心的な生徒が増えているので、罰を通して痛い目に遭わせる事も必要だ」と、教員の体罰を法律で認めるべきという意見もある。

日本国外での体罰をめぐる状況

殆どの先進国では、親以外による体罰を原則として禁止している。ドイツでは早くに懲戒権規定をなくし、子供は暴力によらないで教育される権利を有する、体罰、精神的侵害及びその他の屈辱的な処置は許されないとする規定を民法に設けている[16][17]。親の子供に対する虐待、児童ポルノなど子供が深刻な被害にあう事件が世界中で多発していることから、暴力を根絶しようというの世界的な流れがあるからだ。特に、「虐待」にいたるような暴力、服を脱がしたりする性的な体罰は世界的な非難が強い。そのため、体罰を肯定する勢力も、「虐待」や性的な体罰に関しては、醜い行為であるとして強く非難する傾向にある。 学校教育としての体罰を禁止している国は、日本のほか、ドイツなどのヨーロッパ諸国に多い。校長などが責任を持って体罰を与え、それを記録にとどめるとしている国もあるが、おおむねの国は言及していないというのが実態である。カナダでは父母と教員の体罰は合法という最高裁判決が存在する。もっとも、ここで言われている体罰は、一般に犯罪を構成しないものに限られていることは言うまでもない。上記、カナダの最高裁判決によれば、頭に体罰を加えることは許されない、定規やベルト等の道具を使うことも許されないとし、「合理的な範囲」での体罰のみ許容されるとする。この範囲を超えた場合には、刑事罰を課される。従って、怪我を負わせる恐れのある体罰、服を脱がせるなどの性犯罪じみた性的な体罰は刑事罰の対象となる。

他にも、イギリスでは「理由が告知される事」、「成人の第三者と校長が立ち会う事」、「他の生徒の目のないところで行なわれる事」という3要件が全て充足されている条件下において、懲戒としての体罰が容認されていたが、人権意識の高まりにより、体罰は禁止されるにいたった。今や、北欧についで人権意識が高いといわれるイギリスにおいては、教師による体罰どころか、親の体罰すら禁止する改正法律案が既に可決されている。今では、先進国で最も体罰を厳しく禁止している国の一つとなっている([4])。

韓国の学校では、定規出席簿モップホッケーのスティックなどの道具を使った体罰がしばしば行われてきた。これに対し、教育部(日本の文部科学省に相当)では体罰自体を禁止することはせず、道具を小・中学校では直径1㎝程度、長さ50㎝以下、高校では直径1.5㎝程度、長さ60㎝以下の直線型の木のだけ使うようにし、手足は使わないように指示している。このため、この基準に沿った棒を製作・販売する業者がおり、これを実際に使用する教員も多い。体罰を行使するのは主として男性教員が多いが、韓国の男性には兵役があり、軍隊生活の中で上級兵による苛烈な体罰が長い間横行してきたことから、その影響があると考えられる。しかし、最近の訴訟社会への流れ・人権擁護派の勢力拡大及び少子化による少ない子供への過保護化に伴い保護者からの抗議が増加、告訴告発も辞さぬ姿勢をとる親が増えた。携帯電話カメラ機能を使用して体罰現場を盗撮し、抗議時の材料にするのみでなく、インターネットに放流して社会的な批判を誘導すると言った行為も体罰を受けた側によって行われる。これに対して教師の中には思うように体罰を行えず「携帯カメラ恐怖症」(中央日報)ともいうべき症状になる、と主張する論調もある。そのため、登校の直後、携帯電話を回収する学校もある。またこの延長上で、韓国では中学・高校のサッカー部における体罰も常態化しており、2004年には中国昆明地方で合宿していた韓国の中学・高校サッカー部の選手に対する、棍棒による体罰が目撃されてもいる。ちなみに日本のサッカー部では南米の指導法を取り入れているため(ラテンアメリカでは家庭のしつけにおける体罰も少ない)、暴力による指導はあまり行われない[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。が、ヨーロッパでは体罰を振るう指導者が少なくないといわれる[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。

マレーシアインドネシアでは教師による鞭打ちが容認されている。これはイスラム教の刑法中の鞭打ちとの関連のほか、かつての宗主国である英国式教育の影響も挙げられよう。

2007年5月16日、ニュージーランド議会は、こどもに対する親の体罰を原則禁止する法案を120対113で可決、成立した。2005年のユニセフの報告のよれば、ニュージーランドの虐待死亡児童の割合は先進国平均の4倍以上と指摘されている。

法律で体罰を禁止している国

校内暴力と体罰

日本では第二次ベビーブーマー世代を含む中高年層にあって、学校教育の場で体罰を被った経験があるという人は多い。彼らの世代では不良行為少年校内暴力の問題が根強く、暴力や反社会的行為に対しては、権限を超える体罰で当たった教員も少なからず見られた。 しかし、一方で不良生徒の暴力や反社会的行為に対しては見てみぬ振りを決め込み、殴りやすい生徒だけ自分の感情の捌け口にする教師も数多く見られたという意見もある。

体罰への対処

暴行・傷害事件として刑事告発することが基本となる。体罰と思われる行為の前後の会話を録音したり、病院で診断書を貰ったりすることも事実関係を明確にするためは有効である。中学・高校受験を控えている学生は、体罰について各種機関・団体に告発をすることで、調査書に虚偽の記載やお礼参り等が行われるのではないか?と恐れる場合が多いが、最近では弁護士会が子ども専門の相談窓口を設置していることがある。普通の法律相談だと料金がかかるが、このようなケースだと費用がかからないときもある。

学校の職員が他の職員の行う恒常的・悪質な体罰を発見しても、従来は職場の人間関係や通報にともなうトラブルの発生に萎縮して黙認してしまうケースが想定されたが、公益通報者保護法の整備などにより通報・告発しやすい環境が整備された。

体罰の隠蔽

体罰はほとんどが閉鎖された空間で行われていることなので、隠蔽や偽装が行われやすいといわれている。教育委員会や文部科学省に報告されるケースは少なく、隠蔽を疑う意見がある。 [5][6]

体罰を受けた際または体罰を加えられそうになった際に、生徒が避けようとしたり抵抗するなどしてもみ合いになると、加害教師や学校によってその行為が一方的な対教師暴力と扱われることもある。私立の学校・高校などでは退学や転校を強要することがある。 [7][8]

また、体罰の行われた学校名を公表するよう、教育委員会に答申が行われているにもかかわらず、教育委員会が従わずに非公開とした事例も判明している。[9]

過去の関係する事件·事例

不登校や家庭内暴力といった問題行動のある児童を、スパルタ式教育により、生理機能を増進させ、健康で逞しく育てるとした私塾であったが、指導の方法は論理的根拠に欠ける部分があり、中には心理的な傷を負ったり、指導内容の問題もあって、暴力や遭難による死亡者・行方不明者まで出た(戸塚ヨットスクール事件)。このため戸塚宏校長らが逮捕・起訴され、有罪判決を受け服役したが、戸塚校長は出所後の記者会見でも「体罰は教育」と発言した。但し、現在では暴力的な指導はあまり行われていないといわれる。
体育授業における体力測定中、担当教員が手伝い係の生徒の頭部を激しく殴打し、生徒が1週間後に死亡した事件。加害教員は一審で有罪となるも、二審では生徒が風疹にかかっていたと説明し、無罪判決を受けた。学校側は被害生徒側に体罰の事実を告知せず、また生徒たちに被害生徒の通夜への参列を禁止するなど、不誠実な対応も問題になった。遺族が体罰の事実を知るのは荼毘に付した後で、級友から知らされて初めて体罰の事実を知った。学校は遺族に「土葬か火葬か」と意味深の発言をしてもいた[18]
陸上部顧問の教員が女子部員に執拗な体罰と言葉の暴力を加え、自殺に至らしめた事件。被害生徒は国体などへの出場経験を持つやり投の選手だったが、顧問教員から半年にわたり、成績不振やその他の些細な理由で執拗かつ激烈な体罰を受け続け、さらに進級のための追試験に合格したにもかかわらず県の強化合宿メンバーから外され、体育教官室で顧問ら2人の教員から長時間立たされたまま言葉の暴力を加えられ、翌日未明に自殺した。当時同校では、この顧問教員を中心とした体育科教員による「もう1つの生徒指導部」と呼ばれる生徒指導体制が確立されていた(一種の恐怖政治[19]
被害生徒の自殺後、顧問教員は「あの子はたたきよかった、殴りよかった」と話し、また焼香に訪れた際にも遺族に対し「バカとしか言えん」「死人にクチなし」などと半ば逆ギレとも思える暴言を浴びせた。遺族が県と加害教員を相手取り提訴し、県に対する請求は認められたが、加害教員への請求は認められなかった[20]
修学旅行国際科学技術博覧会を訪れた際、宿泊先である近隣の臨時宿泊施設で、持参が禁じられていたヘアドライヤーを使用した生徒に学級担任の教員が激しい体罰を加え、死亡させた事件。傷害致死罪で逮捕され実刑判決を受けた(事件後に懲戒免職)加害教員は転任したばかりで、普段体罰を振るう教員ではなかったが、生徒指導担当の教員から前任校での指導方針をなじられた事が、暴行とも見紛う激烈な体罰の引き金になったとされる。また、当校はゼロ・トレランス方式による生活指導を行っていた。校長は、「これは教諭の弱さだった」と発言。
岐阜県の教育委員会は、「信じられない特異なケース」「教師個人の体質、資質の問題」「体罰は日常化していない」と断言。しかし、後のアンケートの結果生徒の半数が体罰を受けているという結果も出た。判決後の記者会見で校長は、「学校側の管理上、教育上の責任が全くゼロとは感じていないが、教育現場では、教師の個々の生徒に対する力量が最後に出てくる」と発言[21]
遅刻や忘れ物の多い生徒に対し、学級担任の教員が4回の往復ビンタの後に柔道技を数回かけて転倒させ、3日後に死亡させた事件。加害教員は「明日も忘れ物をしたら本当に怒る」と被害生徒に伝えていたが、被害生徒は母親が病気入院中で、家事や弟の面倒も見ていたために遅刻が多くなり、「忘れ物」も家計が苦しいためそもそも持っていなかったという。さらに被害生徒は解剖の結果、動静脈に先天的な異常があることも判明した[22]。加害教員は執行猶予付き判決を受けた[23]
特殊学級の担任教師が指示に従わない児童の頭部を殴打し、死亡させた事件。生後6ヶ月の時に頭骨の手術を受けた被害児童は入学する際、絶対に頭を叩かないよう両親が学校側に申し入れていた。日常的に体罰を振るっていた加害教員は1988年11月26日に最高裁で懲役2年の実刑判決を受けた。[24]
学級副担任の教員が、指示に従わなかった生徒に激しい体罰を加え、死亡させた事件。加害教員は自らの公判で体罰を伴う指導方針を正当化したほか、学校内外で体罰を容認・正当化する風潮があり、被害生徒の遺族への嫌がらせもあった。加害教員は1、2審とも実刑判決を受けた[25]
新体操部顧問の度重なる体罰や「退部したければ退学しろ」などという暴言で、被害生徒は転校を余儀なくされた。また、同じ埼玉県戸田市の県立高校でも、生徒の意見を聞き入れない音楽教師の容赦ない体罰で、被害生徒は重い心的障害になる事件も起きている。
野球部が夏の全国高等学校野球選手権大会で2連覇を果たしたが、その陰で大会期間中部長による数十回にも及ぶ鉄拳制裁やスリッパでの殴打が行われていたことが発覚し問題となった。
元野球部監督の男性職員(35)が、部員に体罰を繰り返していたことや「メンタルトレーニング」と称して全裸でのランニングを強要していたことが発覚。保護者からの告訴により11月に強要罪・暴行罪で逮捕・起訴された。この性犯罪じみた体罰については、体罰肯定派が多い保守的な立場の論客からも、「性的な体罰は性犯罪者を生み出すだけだ」と強く非難されたため、どのような判決が出るか注目された。男は容疑となった事実関係そのものについては認めているが、それらの行為は正当だったとして無罪を主張。2007年3月、執行猶予付き有罪判決。[26]
  • 京丹後市の市立小学校(2007年
28歳の男性教諭が自分の担任クラスで、ある児童の外見をからかう動きがあることに気付き、「次にからかったらみんなを叩いて自分は教師を辞める」と宣言。しかし再び同様のからかいが発生した為、この教諭は宣言通りクラスの児童の頬を一人一回ずつ平手打ちをした後、その足で校長室に向かって体罰を報告した(この際、クラスの児童は泣きながらこの教諭を引き留めた)。校長は教諭を3日間の謹慎処分とし保護者を集めて謝罪したが、教諭は反省文と辞表を提出した。その後、この小学校の保護者の間で辞表の撤回を求める署名活動が始まり、ほぼ全児童の保護者が署名に応じる事態となった。校長はこの教諭が二度と体罰をしないと約束した為、辞表を返却した[27]
高等部サッカー部の合宿中に、当時の部長(教員)が「邪魔だから帰れ、サッカーのできない体にしてやる」と1年生キャプテンの両大腿部を20回にわたって蹴り、内出血させる怪我をさせていた事が発覚。キャプテンは内出血で腫れ上がった脚のままゲームに出ていた。この教員は自宅謹慎となり、のちに依願退職[28]。なお、同校では、野球部においても体罰や暴力があった事が判明している。
高等学校で体育祭の練習中に、体育担当の男性教師(36)が3年生を殴り、左眼球打撲、続発性緑内障発生の大怪我をさせた。生徒が所轄署に被害届を出し、傷害罪で逮捕[29]。無期限の自宅謹慎となっている。
広島弁護士会が広島県三次市のヤマギシズム学園花見山初等部に対して、「憲法や子どもの権利条約で保障された人権が侵害されている」として警告書を提出した。これに対し学校サイドは「子供を預かっている学校が、担任が子供たちを見ているときに、おなかがすいて輪ゴムを食べたりとか、あるいは体が悪くないのに長期に休ませるとか、放課後部活もできない、そういうことを見て、これは子供が普通じゃないんじゃないか」と、広島弁護士会の方に相談し、広島弁護士会も、「平手打ちなどの体罰、あるいは反省させる名目で数時間から数日間も狭い一室に一人で閉じ込めた。また、通学日に朝食を与えず、十八時間も食事をさせなかった、子供の手紙を無断で開封し閲覧した、無断で私物を検査し、取り上げた、家族との交流は月一回に制限され、休日も学園のスケジュールどおりで、テレビ、新聞の視聴、閲覧を制限した」と警告書を出した。同様の事例が過去に岐阜県の武並小学校でもあったと広島弁護士会はしている。岐阜では食事を抜く、雨の中裸で外へ出す、登校させない、会の中での暴力行為がある等が子供たちの様子から感じられて警告書を提出するに至ったとしている。[30]
小結双津竜の時津風親方が17歳の序ノ口力士をビール瓶で殴るなどして死亡させた。
相撲部屋では竹刀等で親方や兄弟子によって体罰が行使されることが多いが、この事件では69連勝の名横綱でもある創始者の双葉山の存在が大き過ぎた為に起きてしまったと思われる。ちゃんこなどの調理器具で殴る兄弟子もいたと思われる。これらの体罰は格闘技系には特有の物だと言う意見もあり、角界の体質改善は困難だと思われる。
なお、一門の陸奥部屋でも関取の弟弟子へのお玉での体罰が問題になったが、殴った本人は時津風部屋から独立した立田川部屋の出身でもある。要は立田川部屋自身が陸奥部屋の事実上の前身の一つだとも思われる。
現役時代でも後輩力士への粗暴な指導で鳴らしたという元横綱二代目若乃花の間垣親方は、以前から竹刀で弟子を殴るやり方を変えず、「いけない事をすればヤキを入れるのは必要」と話していた。
親方の出身部屋は二子山部屋で、二所ノ関一門特有の荒稽古で出羽海部屋等の古参の部屋に追いつけ追い越せと言った風潮もあり、ちゃんこの作法にも細かかったのは初代大関貴ノ花も証言している。
間垣親方自身、自分の師匠の娘と離婚して二子山部屋を継承出来なかったコンプレックスも強かったのではとの指摘もある。
時津風部屋事件以降背広組導入を目指していた矢先の事件で、相撲部屋での弟子への粗暴な指導への許容的意見が目立つ現実もある。
三重県の販売店「ネッツトヨタノヴェル三重」で33歳の店長が23歳の新入社員を殴って胸部と腹部を殴り肋骨を骨折させた。
  • 小学2年生への体罰訴訟(熊本県天草市、平成14年)
臨時教員の男性が当時小学2年生の男児の胸を掴んで叱責した行為について。1、2審は体罰と認定し市に賠償を命じていたが最高裁(第3小法廷、近藤崇晴裁判長)は2009年4月28日「教員の行為は体罰に当たらない」と判断し、1、2審判決を破棄、原告の請求を棄却した。教員の行為が体罰に当たるかどうかが争そわれた民事訴訟として、最高裁が判断を示した初めての事例。[31][32]

参考文献

脚注

  1. ^ たとえば第166回参議院文教科学委員会 公述人中島啓子
  2. ^ 少年保護施設における「虐待プログラム」については第166回参議院法務委員会・厚生労働委員会 下田敦子
  3. ^ 第166回参議院本会議 神本美恵子
  4. ^ 第147回参議院文教・科学委員会 林紀子
  5. ^ 「国際人権法の分野では、親が権利を持つ。したがって、国家が教育の中身を決めていくわけではないとする。体罰をするかしないかについても、親の考え次第で子供一人ずつについてやり方を変えなければいけないというヨーロッパ人権裁判所の判決がある」第165回参議院教育基本法に関する特別委員会 戸塚悦朗
  6. ^ 第147回衆議院法務委員会少年問題に関する小委員会 杉浦正健
  7. ^ たとえば第168回参議院文教科学委員会 亀井郁夫
  8. ^ 虐待をする親たちは、これは必要な体罰だと大体言う。第154回衆議院青少年問題に関する特別委員会 水島広子
  9. ^ 体罰をしている親に聞くと、悪いとは思うけれども仕方がなくというふうに言ったり、しつけのためには必要なことだと言いわけしながらやっているわけである。子供のころ多少たたかれて育った親にとっては、たたく以外の危機管理方法をなかなか知らないということがある、とする意見がある。第154回衆議院青少年問題に関する特別委員会 水島広子
  10. ^ いわゆる家庭内暴力。親には民法の親権の身上監護権の中の懲戒権に関して、822条懲戒権があり、懲戒権の中には一定の合理的な範囲内で体罰も含まれるわけあるが、この懲戒権が児童虐待を助長するのではないか、廃止したらどうか、こういう御意見がある。しかしこの懲戒権は親が子のためにやるものであって、子供を死に至らしめたりあるいは傷害をさせたりあるいは心理的な虐待を加えるというような、いわゆる児童虐待と言われるような行為がこの懲戒権の行使として許されないものであることは当然とされる。第153回参議院共生社会に関する調査会 田嶋陽子 また同意の回答を法務副大臣横内正明
  11. ^ 学校教育法第11条の禁ずる体罰は、懲戒の内容が身体的性質のものである場合を意味しており、殴る、ける等の身体に対する侵害や肉体的苦痛を与えるような懲戒がこれに該当すると解されている。第151回参議院文教科学委員会 岸田文雄
  12. ^ 日本の児童懲戒権の限界については昭和23年12月22日法事省法務調査意見長官回答がある。[1]
  13. ^ スウェーデンでは1977年[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。、子どもへの体罰を禁止する法律ができた。そのとき法律に反対した人は国民の75%。冗談じゃない、子どもを殴らなきゃならないときだってあるんだよという形、のようで、それが20年後の1990年代後半に、その法律に対して反対する人は15%になった、とする。第154回参議院共生社会に関する調査会 森田ゆり
  14. ^ 第46条「凡学校ニ於テハ生徒ニ体罰殴チ或ハ縛スルノ類ヲ加フヘカラス」
  15. ^ 第63条「小学校長及教員ハ児童ニ体罰ヲ加フルコトヲ得ス」
  16. ^ 第166回衆議院青少年問題に関する特別委員会 平湯真人
  17. ^ ドイツでは1979年の民法改正によって、従来の親権概念を廃止して監護という概念を採用し、1997年9月、2000年7月の改正を経て、現在は、身上監護は、子を世話し、教育し、かつ居所を指定する義務と権利を包含する、子供は、暴力を行使しない教育を受ける権利を有する、体罰、精神的に傷つけること及びその他の屈辱的な手段は許されないなどとしている。第162回衆議院青少年問題に関する特別委員会 水島広子
  18. ^ 「わたしの雑記帳」内「子どもに関する事件・事故 2」より
  19. ^ NHK取材班+今橋盛勝:『NHKおはようジャーナル 体罰』(日本放送出版協会,1986年)より
  20. ^ 上掲サイト「子どもに関する事件・事故 2」より
  21. ^ 上掲書『体罰』および上掲サイト「子どもに関する事件・事故 2」より
  22. ^ 上掲書『体罰』より
  23. ^ 上掲サイト「子どもに関する事件・事故 2」より
  24. ^ 上掲サイト「子どもに関する事件・事故 2」より
  25. ^ 上掲サイト「子どもに関する事件・事故 2」より
  26. ^ 朝日新聞07年3月23日付
  27. ^ 産経新聞記事
  28. ^ 西日本新聞2007年9月16日付
  29. ^ 朝日新聞2007年10月2日付
  30. ^ 第145回衆議院予算委員会 池坊保子
  31. ^ MSN産経ニュース2009.4.28 11:06[2]
  32. ^ 最高裁HPに掲げられている裁判例情報[3]

関連項目

なお、体罰は教育的指導の一環とみなされる場合と、単なる暴力行為と同一視される場合とを含むため、以下のような問題の延長にみなされる場合もある。

外部リンク