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「備中手延べ麺」の版間の差分

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== 脚注・出典 ==
== 脚注・出典 ==

2009年6月16日 (火) 03:41時点における版

備中手延麺(びっちゅうてのべめん)とは、岡山県浅口市鴨方町(旧備中国)およびその周辺部で手延べ方式で生産されるの事である。主にうどんそうめんひやむぎが有名。

また「かも川」の商標も有名である。

歴史

古書に吉備国に「麦切」というものがあり、朝廷に特産品として献上したという記録があり、少なくとも9世紀頃には吉備地方でうどんやそうめんの原型のようなものが作られていた。

岡山・香川・兵庫(播磨)は古くから小麦の産地で、後に「三県物」とも呼ばれるようにまでなった。温暖・少雨という気候風土が良質な小麦栽培および製麺業に適していたといわれる。さらには良質な塩が瀬戸内地区で生産されていたのも製麺業が発達した要素であるといわれる。

江戸時代後期になると、浅口郡口林村(現里庄町)の原田敬助という人物が、播州よりそうめん職人を招聘し、小坂東村(現在の浅口市鴨方町小坂東)の杉谷川に水車を建設し製麺業を始めた。これが現在の備中手延麺の始まりであり、そうめんとともにひやむぎやうどんも製造された。浅口市北部にそびえる遥照山などから流れる鴨川などの清流の水が製麺業に適していたとされる。

特長

  • 備中手延べ麺の代表格としてうどん・そうめん・ひやむぎが挙げられる。特に「備中うどん」・「備中そうめん」はブランドとして地元に定着しており、人気である。
  • 上記の他、そば中華麺ラーメン冷やし中華焼きそば)・ちゃんぽんなども製造されている。
  • うどん・そうめん・ひやむぎともに、全て工場・製麺所で手延べ方式される。
  • 手延べの機械と一部工程に手作業で延ばし乾燥して作られる。しかし現在でも全工程手作業を貫く製麺所もある。このためうどん屋などの店頭での製造はできない。
  • 手延うどんの生産額は全国一位。手延そうめんの生産額は全国五位。
  • 一般家庭では今も備中手延うどんや備中そうめんがよく食べられており、多くが乾麺で流通しているためストックを常備している家庭も多い。
  • 岡山県内(特に中南部から西南部)では御中元御歳暮などの贈答品の定番の一つとして定着している。うどん・そうめん・ひやむぎなど他の備中手延麺と組み合わせて贈ったりもする。

流通

  • 大半は乾麺である(少数だが半生麺も売られている)。袋入りおよび、箱入りで販売されている。スーパーやみやげもの店等の小売店で売られており、岡山県内の店ならば大体の店で扱っている。
  • また、インターネット等の通信販売や製麺所での直売を行っているところもある。
  • 備中うどん・備中そうめんに関しては、県内(特に中南部から西南部)のスーパーではどの店も必ずある程度の品数を揃えており、夏場・冬場の売れ筋商品となっている。

備中うどん

備中うどんは、備中鴨方うどん鴨方うどんかも川うどんなどとも呼ばれる備中手延べ麺のうどんである。

「備中うどん」は、うどんの食べ方・調理法の事を指しているのではなく、麺そのものの事を指しており、食べ方や調理法は様々なものにできる。

特長

  • 讃岐うどんなどの手打ちうどんに比べると麺は細目で、やや平たい[1]
  • 食感は軟質で弾力がありややモチモチとしている。同時に適度なコシを保ちつつ喉越しの良さを持っている。
  • 岡山県内の多くのうどん店では備中うどんがほどんど使用されておらず、讃岐風やオリジナルの手打ち麺が使用されている事が多い。しかし、一般家庭では今も備中手延うどんがよく食べられており、県内(特に中南部から西南部)のスーパーではどの店も必ずある程度の品数を揃えている。

讃岐の男うどん、備中の女うどん

備中うどんは、前項の様な特徴があるのに対し、瀬戸内海対岸でうどんの名産地の代表格である讃岐うどんは、麺が太めで硬質な弾力を持つ力強いコシが特長である事から、両者を比較して讃岐の男うどん、備中の女うどんという言葉も生まれたという。

備中そうめん

備中そうめんは、備中鴨方そうめん鴨方そうめんかも川そうめんなどとも呼ばれる備中手延べ麺のそうめんである。

そうめんの三県物

関連項目

脚注・出典

  1. ^ 「うどん」の基準は、機械を用いた乾麺では日本農林規格(JAS規格)の乾めん類品質表示基準 (PDF) により直径を1.7mm以上に成形したもの(1.3mm以上~1.7mm未満に成形したものは「ひやむぎ」の基準でもあるが、それを満たしている場合「細うどん」とも表示可能)となっており、手延べうどんについては同基準により直径が1.7mm以上で丸棒状に成形した上で手延べ干しめんの日本農林規格 (PDF) を満たした物が該当する。