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「単調写像」の版間の差分

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'''広義単調増加'''関数とは、x<yなら常にf(x)≦f(y)となる関数を指す。一方'''狭義単調増加'''関数とは、x<yなら常にf(x)<f(y)となる関数を指す。
'''広義単調増加'''関数とは、x<yなら常にf(x)≦f(y)となる関数を指す。一方'''狭義単調増加'''関数とは、x<yなら常にf(x)<f(y)となる関数を指す。
すなわち、x<yのとき、関数値f(x)とf(y)が等しくなる事を認めるのが広義単調増加で、そうでないのが狭義単調増加である。
すなわち、x<yのとき、関数値f(x)とf(y)が等しくなる事を認めるのが広義単調増加で、そうでないのが狭義単調増加である。
同様に'''広義単調減少'''関数とは、x<yなら常にf(x)≧f(y)となる関数を指す。一方'''狭義単調増加'''関数とは、x<yなら常にf(x)>f(y)となる関数を指す。
同様に'''広義単調減少'''関数とは、x<yなら常にf(x)≧f(y)となる関数を指す。一方'''狭義単調減少'''関数とは、x<yなら常にf(x)>f(y)となる関数を指す。


単に「単調増加」、「単調減少」と言った場合にそれが狭義のものを指すのか広義のものをさすのかは文脈による。
単に「単調増加」、「単調減少」と言った場合にそれが狭義のものを指すのか広義のものをさすのかは文脈による。

2009年6月25日 (木) 19:09時点における版

実数の集合から実数の集合への関数単調増加であるとは関数の値が一度増えたら二度と減らない事を指す。 より厳密に言えば、xよりyが大きいなら常にf(x)よりf(y)の方が大きい関数fを単調増加と呼ぶ。 これはすなわち、関数をグラフに書いたときに、グラフが常に右肩上りで、右肩下がりになっている部分がない事であると言い替える事ができる。 一方、実数の集合から実数の集合への関数が単調減少であるとは関数の値が一度減ったら二度と増えない事を指す。 より厳密に言えば、xよりyが大きいなら常にf(x)よりf(y)の方が小さい関数fを単調減少と呼ぶ。 これはすなわち、関数をグラフに書いたときに、グラフが常に右肩下がりで、右肩上りになっている部分がない事であると言い替える事ができる。 経済学の分野では、単調増加、単調減少の事をそれぞれ逓増逓減とも言う。

広義単調増加関数とは、x<yなら常にf(x)≦f(y)となる関数を指す。一方狭義単調増加関数とは、x<yなら常にf(x)<f(y)となる関数を指す。 すなわち、x<yのとき、関数値f(x)とf(y)が等しくなる事を認めるのが広義単調増加で、そうでないのが狭義単調増加である。 同様に広義単調減少関数とは、x<yなら常にf(x)≧f(y)となる関数を指す。一方狭義単調減少関数とは、x<yなら常にf(x)>f(y)となる関数を指す。

単に「単調増加」、「単調減少」と言った場合にそれが狭義のものを指すのか広義のものをさすのかは文脈による。 広義である事を強調する為に、広義単調増加、広義単調減少の事をそれぞれ単調非減少単調非増加とも呼ぶ。 関数が単調増加もしくは単調減少であるとき、その関数は単調である、もしくは単調性を満たすという。 ただし、文脈によっては単調増加の場合のみを「単調」と呼ぶ事もある。

関数fが常に可微分な場合、単調性の概念はfの導関数f'によって特徴づける事ができる。 fが狭義単調増加になるのはf'(x)が常に正な事と同値であり、fが広義単調増加になるのはf'(x)が常に非負な事と同値である。 一方fが狭義単調減少になるのはf'(x)が常に負な事と同値であり、fが広義単調増加になるのはf'(x)が常に非正な事と同値である。

上述の解説から分かるように、単調性の概念は(半)順序構造さえあれば定義できるので、より一般的に順序集合から順序集合への写像の場合に単調性の概念を自然に拡張できる。 この場合、単調増加な写像は順序を保つ写像 (order-preserving, isotone) であると言い替える事ができ、 一方単調減少な写像は順序を逆にする写像(order-reversing, antitone) であると言い替える事ができる。 単調性を満たす写像を単調写像と呼ぶ。

実数に値を取る数列は、自然数の集合から実数の集合への写像であると解釈できる。 その写像が単調なとき、その数列は単調数列と呼ばれる。

実関数での単調の定義

区間 で定義された関数 を考える。

に対し~が成り立つとき は区間 I で~である
語法1 語法2 語法3
単調増加 狭義単調増加 単調増加
広義単調増加 単調増加 単調非減少
単調減少 狭義単調減少 単調減少
広義単調減少 単調減少 単調非増加

等号の成り立つ場合の扱いは書籍によりさまざまで、統一が取れていない。

特に、定義域全体で単調増加/単調減少である関数を、単調増加関数/単調減少関数という。単調増加関数と単調減少関数をまとめて単調関数という。

実数列での単調の定義

実数列 を考える。(でも構わない)

に対し~が成り立つとき は~である
語法1 語法2 語法3
単調増加 狭義単調増加 単調増加
広義単調増加 単調増加 単調非減少
単調減少 狭義単調減少 単調減少
広義単調減少 単調減少 単調非増加

関数の場合と同様、等号の成り立つ場合の扱いは書籍によりさまざまで、統一が取れていない。

特に、定義域全体で単調増加/単調減少である数列を、単調増加数列/単調減少数列という。単調増加数列と単調減少数列をまとめて単調数列という。