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「アスラクライン」の版間の差分

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GODLIGHT (会話 | 投稿記録)
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; 橘高 冬琉(きつたか とおる)
; 橘高 冬琉(きつたか とおる)
: 橘高秋希の同学年の妹。洛芦和高校の卒業生で前生徒会長。現在は普通の女子大生。生真面目な苦労人だが野太刀や片手用の短槍を自在に振り回す。
: 橘高秋希の同学年の妹。洛芦和高校の卒業生で前生徒会長。現在は普通の女子大生。生真面目な苦労人だが野太刀や片手用の短槍を自在に振り回す。
: 秋希と同じく塔貴也と幼馴染であるのだが、姉と非常に仲良くする彼の様子には寂しげな表情を見せる。塔貴也の関係する事柄については秋希よりも詳しい。二巡目の塔貴也を止めてもらうように頼み、智春に秋希の技を教える。
: 秋希と同じく塔貴也と幼馴染であるのだが、姉と非常に仲良くする彼の様子には寂しげな表情を見せる。塔貴也の関係する事柄については秋希よりも詳しい。
: 副葬処女になった二巡目の冬琉の意識が憑依することがあり、二巡目の塔貴也を止めてもらうよう智春に秋希の技を教える。
; 炫 塔貴也(かがやき ときや)
; 炫 塔貴也(かがやき ときや)
: 秋希や冬琉の幼馴染で洛芦和高校科學倶楽部の先代部長。非常に爽やかな見た目の好青年。
: 秋希や冬琉の幼馴染で洛芦和高校科學倶楽部の先代部長。非常に爽やかな見た目の好青年。
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: 一巡目の世界や二巡目の世界の事情も聞き及んでいるらしく、有能でもあるためアニアの信頼も厚い人物。
: 一巡目の世界や二巡目の世界の事情も聞き及んでいるらしく、有能でもあるためアニアの信頼も厚い人物。
; 佐伯 玲子(さえき れいこ)
; 佐伯 玲子(さえき れいこ)
: 洛芦和高校の2年生で風紀委員。
: 洛芦和高校の2年生で風紀委員。十字稜で二巡目の智春が見た一巡目の記憶では樋口に気があったような素振りをする
; 志津間 哀音(しずま あいね)
; 志津間 哀音(しずま あいね)
: 洛芦和高校の生徒。家庭科部に所属する小柄ながらも快活な少女。
: 洛芦和高校の生徒。家庭科部に所属する小柄ながらも快活な少女。

2009年11月19日 (木) 08:25時点における版

Template:継続中の作品

アスラクライン
ジャンル 学園ラブコメディ
小説
著者 三雲岳斗
イラスト 和狸ナオ
出版社 アスキー・メディアワークス
レーベル 電撃文庫
刊行期間 2005年7月 -
巻数 既刊 13巻
漫画
原作・原案など 三雲岳斗
作画 あきづきりょう
出版社 アスキー・メディアワークス
掲載誌 月刊コミック電撃大王
発表期間 2008年9月 -
巻数 既刊 2巻
アニメ
原作 三雲岳斗
監督 草川啓造
シリーズ構成 小出克彦
脚本 赤尾でこ
高橋ナツコ
キャラクターデザイン 和狸ナオ(原案)
小森篤
メカニックデザイン 福島秀機
音楽 田尻光隆
アニメーション制作 セブン・アークス
製作 洛高生徒会
放送局 放送局参照
放送期間 2009年4月4日 - 6月27日
話数 13話
ラジオ:カミラジオ!
配信期間 2009年5月8日(プレ放送)
2009年5月20日 - 2009年11月4日
配信サイト アニメイトTV
配信回数 全24回
パーソナリティ 入野自由(夏目智春 役)
野中藍(嵩月奏 役)
アニメ:アスラクライン2
原作 三雲岳斗
監督 草川啓造
シリーズ構成 赤尾でこ
脚本 高橋ナツコ
鴻野貴光
キャラクターデザイン 和狸ナオ(原案)
小森篤
メカニックデザイン 福島秀機
音楽 田尻光隆
アニメーション制作 セブン・アークス
製作 洛高生徒会
放送局 独立UHF局他(放送局参照)
放送期間 2009年10月3日 -
テンプレート - ノート
プロジェクト ライトノベル漫画アニメ
ポータル アニメ漫画ラジオ

アスラクライン』は、2005年7月より電撃文庫から出版されているライトノベル作品。著/三雲岳斗、挿絵/和狸ナオ。ジャンルは「ハイスクールパンク」。2009年にテレビアニメ化された。

概要

文庫本が長編主体であるのに対し、『電撃hp』において不定期連載された「アスラクライン・P(ポータブル)」及び「アスラクラインKLEIN(クライン)」は本編では語られなかった「サブキャラクター主体のストーリー」や「メインキャラクターのサイドストーリー」、「文庫本では描ききれない珍妙なストーリー」等の補完的な要素が強い。また、メディアワークス出版の公式海賊本『電撃hPa』(でんげきヘクトパスカル)に外伝「アスラクラインのようなもの」が掲載されている。なお、本編は13巻で完結であるが、後日談などの発売が予定されている。

また、あきづきりょうの作画による漫画が、『月刊コミック電撃大王2008年11月号(2008年9月発売)から連載中。また、2008年11月にアニメ化が発表され、2009年4月から6月まで放送。2009年10月より第2期が放送中である。詳細は後述。 


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


プロローグ

高校1年生を期に1人暮らしを始めることにした主人公・夏目智春。彼は3年前から自称守護霊で幼馴染の美少女水無神操緒に取り憑かれていた。 智春の兄、夏目直貴が暮らしていたオンボロ屋敷・鳴桜邸(めいおうてい)に引越した日、鳴桜邸に2人の美女が来た。兄、直貴から託されたという銀色のトランクを届けにきた黒のスーツの美女・黒崎朱浬、そしてその晩、トランクを奪いに鳴桜邸へ忍び込んだ巫女装束の美少女・嵩月奏。この銀色のトランク「イクストラクタ」を手にした事を契機に、智春は世界の隠された真実と向かい合う。第一生徒会会長佐伯玲士郎は言った。神は人間を見放し、この世界は1度滅び、「悪魔」の力を借りる事でやり直した「二巡目の世界」なのだと言う事を。

いずれ劣らぬ強烈なクセの持ち主である美女・美少女たちに囲まれた受難の主人公智春の、波瀾に満ちたハイスクールパンク。

舞台

"日本"ではあるがそれ以外は不明。

私立洛芦和(らくろわ)高校
本作の舞台となる「超教派」のミッション系の高校で、校名はフランス語で十字架を意味する「ラ・クロワ(la Croix)」からとられた。通称は「洛高」である。
ミッション系の進学校ではあるが、宗教活動については自主性に任せた自由な校風を唱っているが、実質は「超教派」故に「公認された生徒会」が3つも存在し、悪魔崇拝から仏教系といった非公認の生徒会をも交えた火器を使用した勢力争いを繰り返す治外法権的な異常事態に陥っている。それ故に性格破綻者や屈強な生徒が闊歩する様は文字通り「ハイスクールパンク」な状況である。しかも地下に眠る古代遺跡がこの学校の異質さを更に盛り上げている。
鳴桜邸(めいおうてい)
智春と操緒の下宿先。家賃はかつての住人である兄の直貴が大家の潮泉氏に納めてくれているが、近所からは心霊スポット「冥王邸」と呼ばれている。
兄の暮らしていた頃から科學部の部員たちにたまり場として利用されており、地下に隠された巨大な地下空間には機巧魔神の残骸や朱浬の武装の保管コンテナなどが置かれているが、エピソードを重ねるごとに幾度となく損壊・半壊・全壊の憂き目を見ている。

登場人物

※以下では、とくに断りがない限り「二巡目の世界」(第1巻の舞台の世界)の人物について述べる。

主要人物

夏目 智春(なつめ ともはる)
入野自由
洛芦和高校1年生。容姿・中身共に平凡だが幽霊憑きにしてつくづく運の無い不幸体質。3年前の飛行機事故がきっかけで同じ飛行機に搭乗していた幼なじみの操緒に守護霊を自称されて取り憑かれている。
家族構成は少々複雑で、幼少の頃に父親を亡くし、5歳上の兄である直貴とも長い間音信不通だった。数ヶ月前に母親が再婚して義父と義妹ができたが、ある一件で自分は嫌われてると思い込み、一人暮らしの道を選ぶことになる。しかし転居した初日に朱浬から謎のトランクを渡され、それがきっかけで機巧魔神(アスラ・マキーナ)・黑鐵の演操者(ハンドラー)となり、黒科学や悪魔、機巧魔神を巡る様々な事件に巻き込まれることで第一、第二生徒会やGDなどの各組織から注目されるようになり物語は展開していく。
多くの女性から好意を持たれる「ギャルゲーの主人公」のような特性があるが、本人は好意を寄せられていることをろくに自覚しておらず、その優柔不断で煮え切らない言動から、操緒に「ヘタレ童貞」とよくからかわれている。
また持ち前の不幸体質の故か、飛行機などに関わると墜落し、事件に関わると女装しなければならない事態に陥ったりする。しかも女装した姿の美しさから玲士郎に一目惚れされる羽目に陥ったこともある。
水無神 操緒(みなかみ みさお)
声:戸松遥
双子座、AB型の智春の幼馴染。だが前後とのことだが、本人は貧乳気味と気にしている。
喜怒哀楽がはっきりしており、ズケズケとものをいう性格。またかなりのヤキモチ妬きであり、智春の一挙手一投足に対しツッコミを入れてくる。
3年前の飛行機事故以降、守護霊と称して智春に取り憑いていたが、その正体は智春の機巧魔神・黑鐵の副葬処女(べリアル・ドール)であった。幽霊に見えたのは射影体と呼ばれる疑似感覚的情報入出力デバイスの力によって投影されていたからだが、投影された姿は特殊な人間にしか見ることが出来なかったことも幽霊と誤解される原因の一端になった。
身長:159cm。体重:0g(本体は推定41kgくらい)。スリーサイズは朱浬の目測ではB82、W57、H84と予想されている。誕生日:6月7日。血液型:AB型。趣味:智春いじり、ツッコミ。[1]
作者曰く、「幸薄ヒロイン」。
嵩月 奏(たかつき かなで)
声:野中藍
引越しの日の晩に智春を襲撃した美少女。智春とは同じ1年7組のクラスメイト。ストレートロングの黒髪、容姿端麗・スタイル抜群。成績優秀で頭の回転も早いのだが、喋りはトロくてやや天然が入っている。
高位の悪魔一族である嵩月家の令嬢で、自身の血液を2千度以上の地獄の業火に変える事ができ、懐剣を媒介に繰り出す「焔月」という技では最大で全長数十メートルにまでなる炎の剣も使える。しかし血液を武器としているため多用が出来ず、契約者がいないままに力を行使すると非在化を招く事にもなるのでまさしく諸刃の剣である。また悪魔の力を遣うときは左目が通常の黒から翠緑玉のような濃い緑色に変わる。
実家の嵩月家はヤクザであり、奏は家業を嫌って家を飛び出し、親戚の家に滞在中。母親は既に故人。父にはあまりいい感情を抱いていない。
性格は大変な人見知りで物怖じが激しい上、話すのも話しかけるのも苦手である。これは並みはずれた美貌が近寄りがたい雰囲気をかもし出していたことと、実家がカタギではないことに由来すると思われる。それ故に初めて気軽に接してくれた智春が救いとなり、恋愛感情を抱くことになった。
智春に危害を加えると判断した相手には、誰であろうと身の危険を顧みず戦う覚悟を持っているが、それが彼女の身を滅ぼすことにつながった。しかしジョニーさん(用語解説・その他を参照)だけは苦手で威嚇の為によく「うーっ」とうなっている。
巨乳悪魔巫女ネコ耳(低気圧だとそうなってしまうらしい)など、登場キャラ中最も多くの属性を持ち合わせている。
身長:161cm。体重:42kg。誕生日:12月17日。血液型:不明(該当なし)。趣味:料理、舞踊。[1]
ペルセフォネ
夏目智春と嵩月奏の契約による使い魔。嵩月一族の火蜥蜴(サラマンダー)を模しており、翼竜のよう翼も持ち、その姿はドラゴンに近い。自身を巨大な炎に変える力を持つ。名前は春の女神を表すペルセポネーから。

科學部・第三生徒会・王立科学狂会関連

黒崎 朱浬(くろさき しゅり)
声:田中理恵
引越しの日、夏目直貴の知人として智春に銀色のトランクを渡しに現れた、黒いコート姿に赤い眼鏡をかけたおっとりとした話し方と独特のイントネーションをつける美女。
洛芦和高校2年4組に在籍。科學部部長代理。かなり傍若無人な性格で事あるごとに智春ほか科學部員を振り回す。
彼女も智春と同じ飛行機で事故に遭い、瀕死の重傷を負った。その後、智春の兄、直貴の手により肉体を機巧化され、「機巧化人間(フェミナ・エクス・マキーナ)」となり一命を取り留める。全身にあらゆる装備・内蔵しているが、本人曰く、顔と胴体は自前らしい。左手にショットガン、右手には切り札である魔弾、その他にもミサイルなど数多の武器、兵器を内蔵し、有事の際には嬉々とした様子でそれらを振り回す。加えてジェットエンジン搭載個人用飛行ユニットを装備しての飛行も可能(詳細は用語解説・機巧化人間を参照)。この力を使いGDの仕事を肩代わりして請け負い、瑶に機巧魔神を使わせないようにしている。
いつも陽気な印象があり、こと智春の恋愛、男女関係に関しては、いつもニヤニヤしながら場を煽る。しかし奏の護衛、アニアの世話をするなど部員想いな面がある。
雪原瑶の前では過去の因縁があるため色々と余裕がなくなる。
ちなみに、原作第1巻にて未成年であるはずだが飲酒している描写がある。
身長:171cm。体重:50kg(武器弾薬等含まず)。誕生日:3月14日。血液型:B型。趣味:射撃、映画鑑賞。[1]
アニア・フォルチュナ・ソメシェル・ミク・クラウゼンブルヒ
声:矢作紗友里
北欧のルーマニア出身で運命確率を操作する能力を持つ運食らい(ラックイーター)という上位の悪魔。通称「ニア」。金髪碧眼の10歳の天才少女で、機巧魔神の制御系の研究を主とするクラウゼンブルヒ一族の出身。機巧魔神から副葬処女を開放する方法を知っていた。
スタビライザを取り込んだ機巧魔神がいること、日本で行方不明になった姉を捜すことが目的で王立科学狂会からの招集に了承、洛芦和高校に編入してきた。なお第三生徒会、並びに王立科学狂会の関係者で科學部に出入りしているが、正式な部員ではない。智春と共に鳴桜邸に下宿中。
性格は尊大で我侭。ただし、幼いながらも貴族らしく振るわなければならない中での「子供らしい願望」によるところが大きい。
知識はあるものの一般常識に疎く、プライドは高いが運動神経が鈍い上に運も悪くよく転ぶため、自他共に不安なのか塔貴也の機巧偶人がよくお供にされている。
大人になりたい年頃らしく、操緒とは打倒奏の必要性を確認しあった貧乳仲間(ただし年齢を考えると別に小さいというわけではない)。
彼女も立派な悪魔なのでもちろん悪魔契約を可能とするが、そういうことはまだ早いお年頃ということで、それに触れる話題が出てきた場合は奏が必死になってアニアが関る事を止められている(しかし、当初智春に警告しているため知識としては知っていると思われる)。
智春たち同様一巡目の世界に飛ばされるが、彼らよりも五年ほど前の時空に到着。智春が再会した頃には15歳に成長しており、鳴桜邸に住み、洛芦和高校の科學倶楽部に所属、「洛高の魔女」として畏怖される存在となっていた。成長した姿はクルスティナに似て樋口が興味を抱く程の絶世の美女となり、以前は気にしていた胸も成長している(ただし操緒と比べるとどちらが勝っているかは明確ではない)。
身長:134cm。体重:30kg。誕生日:9月27日。血液型:不明(該当無し)。趣味:古文書解読、ゲーム。[1](以上、10歳時のデータ)
橘高 冬琉(きつたか とおる)
声:甲斐田裕子
洛高の3年生で、現第三生徒会会長。 佐伯兄や六夏でさえ恐れる人物。通称「人斬り橘高」。持ち歩いている野太刀の銘は「冬櫻(トウオウ)」。鍔の無い拵えである。
やり手の生徒会長で、容姿は朱浬や奏に劣るが常識的な理由で非常識な人間を叩き伏せる。常に帯刀している点を除けば作中唯一とさえ言える常識人。ただ昔はタチが悪かったらしく、副葬処女だった姉・秋希を失ったことで性格が変わったそうだ。
元GD、元演操者で、黑鐵の先代の持ち主。紋章はEX-106(強引だが「トオル」と読める)。剣術の腕前と元演操者の魔力無効化能力も併せて、機巧魔神さえも凌駕する実力を誇り、その装甲をも一刀両断する。ただし元演操者であるため、スタビライザによって安定した操緒も認識できない。
現科學部部長の塔貴也とは浅からぬ仲。彼には異常に甘く、普段は冷静であるが彼が絡むと甘い性格になる。
炫 塔貴也(かがやき ときや)
声:川田紳司
冬琉の幼馴染で、現科學部部長。部を発足した直貴の後任ということになる。初登場はブサイクなコアラのぬいぐるみで、智春を次々に罠にはめていた。
幼馴染の橘高秋希を失ったことにより半年もの間、自宅の庭にある特別製のシェルターに引き籠っていた。
機巧師(きこうし)という黒科学のテクノロジーを利用した装置を設計する技術者で、朱浬の飛行ユニットや専用火器を設計したほか、機巧偶人(ガジェット)を開発するなど、科學部の活動の援助を行う。
樋口 琢磨(ひぐち たくま)
声:下野紘
智春の同級生で悪友。基本的に女好きのお調子者。玲士郎ほどはないが容姿は少し二枚目で、学力や運動神経も優秀。
重度のオカルトマニアで、そもそも智春に近づいたのも「幽霊憑き」の噂を耳にした為である。モテるのだが、その趣味のためフラれやすい。
情報の収集と分析(特にオカルトと女性関連)にかけては実に優秀。それに於ける行動力も含め科學部にとって欠かせない役回りである。画才もある模様。
外見は比較的まともなので、時には女性とつき合うこともある様だが、その折に持ち出す話題がオカルト限定である為、智春によれば年平均5回近くのペースで失恋している(ただし作中ではそれらしい描写は見られない)という。しかし、佐伯玲子には本気の想いを抱いている模様。そのため、佐伯の気持ちが向いている智春を警戒しており、智春と奏をくっつけようと画策したりする。
洛高生徒の順応性の高さを象徴するようなキャラクターで、使い魔や機巧魔神との直接遭遇こそまだないものの、謎の仮面の「呪い」で酷い目にあったりしても、それほど奇異な事とは認識していないらしい。ちなみに、その時の智春は「どんだけの幸運の星の下に生まれたんだ、この男は」と心の中で言っている。
顧問・市原と共に、悪魔や機巧魔神とは無関係な部内で数少ない人物。ただし真実を知らされていないだけで、それ関係の仕事を既にいろいろとやらされてはいる。
市原(いちはら)
洛高の化学教師。科學部顧問。
20代後半。ヘビースモーカー。身だしなみに気を使わないタイプ。
夏目直貴や黒崎朱浬に散々付き合わされている為、滅多な事では物事に動じない。また、そのおかげで「妙な特技」が多いとのことで、船舶免許まで所持している。炫塔貴也の補習にも付き合わされたりと科學部関連では苦労が絶えない。少なからず謎の多そうな人物であるが悪魔や機巧魔神についてどう認識しているかは不明。
夏目 直貴(なつめ なおたか)
声:入野自由
夏目智春の5歳年上の兄で、今の洛芦和高校科科學部の創設者。物語開始時点では海外留学中。
智春が小学生の頃から新聞やテレビで騒がれていた天才少年で、現在も数々の論文や特許を取得するなどしており、いろんな企業からも技術顧問として招かれたりしているらしく、智春はそんな彼にコンプレックスを持っていたようである。
世間では天才と言われつつも、智春にとっては傍若無人で傍迷惑な兄貴。彼が弟に与えた苦難は数知れない。
王立科学狂会をバックにつけて世界各国を転々としている。各所で彼の名前を知る様々な人物や悪魔が登場しているにも関わらず、智春側からは所在地が全く分からず連絡の取りようがない。智春には「バカ兄貴」「クソ兄貴」と言われていたが、面と向かったときは「直兄」、操緒からは「直君」と呼ばれている。
朱浬の改造、黑鐵の手配、アニアの留学など、何かと暗躍していることは序盤から語られてきたが、表舞台にはなかなか姿を現さなかった。
その正体は、鋼の演操者であり、その能力で二巡目世界に現れた一巡目世界の「夏目智春」。異世界を渡ることで悪魔化し、演操者でありながら悪魔という存在としての矛盾により特殊な非在化の影響を受け続ける。
演操者としての技術は圧倒的なもので、智春はそれを見たことで急激に強くなった。
悪魔化により得た能力は「認識操作」。これにより他人の記憶に自身の存在を捏造し、夏目直貴としての身分を確かなものとしていた。なお、二巡目の世界における夏目直貴は既に故人である。
第二期アニメにも第3話にシルエットだけ登場。その後第6話で顔も出ている。

第一生徒会・神聖防衛隊

佐伯 玲士郎(さえき れいしろう)
声:森久保祥太郎
洛高第一生徒会会長。常に気品のある微笑みを浮かべている。眉目秀麗という言葉がぴったりの二枚目。朱浬と同じ2年4組に在籍(このクラスは、真日和の言うところの「特殊監理クラス」であると思われる)。玲子の兄。智春は「佐伯兄」「佐伯会長」と呼ぶ。
智春に「二巡目の世界」について伝えたのも彼である。
己の「生徒会長」と言う立場と義務感については常に真剣である。かなりの自信家で誇り高く、常にリーダーシップをとっていることもあって融通の効かない性格をしている。反面そこが弱点でもあり、感情面では時に人よりも激しくなる。得意の澄ました笑顔もそこで1度ボロが出ると取り繕うのはむずかしい。
本来、生徒会長の任には3年生が当たるが、前任者の雪原遙がGDに引き抜かれた後を受けて就任した。
作中で佐伯会長または佐伯兄と呼ばれる事が多い為か、稀に士郎、士郎等と誤植されることがある。
危険にさらされた生徒たちを助けるために、哀音を失い、元演操者となる。紋章はEX-046。その後も、犠牲となった哀音のために働き続ける。
叔母により無理矢理にさせられたお見合いの席で、替え玉として女装した智春である夏目ともはに一目惚れしてしまう。
志津間 哀音(しずま あいね)
声:佐藤聡美
「翡翠」の副葬処女。佐伯兄妹の従姉妹で、幼馴染。
初登場時には、もうかなりの魂・感情を削り取られていたらしく、表情の変化があまりない静かな少女であった。ただ玲子によれば、「副葬処女」化する前はとても元気な少女で、玲士郎のことが大好きだったらしい。
記憶力や計算能力に優れ、玲士郎の秘書的役割を果たしていた。
常時白い衣服を着ている。豪奢で品高い装飾をあしらった服は玲士郎の好みである。
7巻にて、加賀篝の企みによって危険にさらされた生徒たちを助けるために、自らの魂を使い果たし消滅する。生来の性格が操緒と似ていたために、彼女の消滅は智春に黑鐡を使うことをより躊躇わせるようになった。
身長:151cm。体重:0kg(本体は推定40kgくらい)。誕生日:1月7日。血液型:A型。趣味:珠算、紅茶。[1]
佐伯 玲子(さえき れいこ)
声:こやまきみこ
玲士郎の妹。ブラコン。Bカップ。45kg。兄に似てプライドも高い。言い換えれば意地っ張り。智春は「佐伯妹」と呼ぶ。
普段の立ち振る舞いも兄を除く男子に対しては辛辣で攻撃的。自他共に認める「女子の味方」で、彼女の怒りの矛先は大抵男子生徒に向けられる。中学時代からしょっちゅうアタックをかけている樋口に至っては何度か一撃KOを食らわせたこともある。その振る舞いから百合であると噂され、中学時代は女子に言い寄られて辟易したこともある様子。
智春に気があり、その気持ちを智春に知られるのが怖いので、必要以上にキツく当ってしまうと「夏目ともは」につい本音を打ち明けてしまうが、直後にともはの正体に気づき、激怒した(ただし、鈍い智春は彼女が気になっている男子が自分であることに気づいていない)。
よって、夏目ともはが智春であることも知っているが、流石に場合が場合なのでその事実を玲士郎には明かしていない。
典型的な「委員長」。

第二生徒会・巡礼者商連合

倉澤 六夏(くらさわ りっか)
声:喜多村英梨
洛高第二生徒会会長。金の亡者で性格に少なからぬ問題あり。自己中心的でキレやすい。
普段は三つ編みメガネで偽装している。素顔は美人ではあるが、どちらかというと悪人面。
機巧魔神「翠晶」の演操者。演操者であることを差し引いても、太股に括り付けたホルスターで持ち歩いている二丁拳銃を使いこなし、戦闘力は非常に高い。
とんでもない甘党で、あんドーナツなら1日20個はいける、という。愛用の飲み物はバナナ牛乳砂糖増量。精神安定剤代わりにしているとの説も。
朱浬とは仲が悪いようで、事あるたびに「老け顔」「改造美人」「一人機甲師団」と悪口を叩いている。
かなりの守銭奴で、「時は金なり(タイム・イズ・マネー)」の意味を「お金は時間すら支配する」という意味で捉えている(どこまで本気かは不明)。 ファミレスでバイトもしているが、キャバクラ嬢まがいの接客までするなど、金を稼ぐ為には手段を選ばない。
姫笹(ひめざさ)
「翠晶」の副葬処女。六夏の親友。
哀音と同様、情報の収集・分析能力に優れ、六夏の秘書役を務めている。
真日和 秀(まひわ しゅう)
声:間島淳司
洛高第二生徒会会計。1年9組在籍。留年しており(洛高では留年する者が比較的多い)、佐伯兄や朱理と同い年である。
試験範囲のノートを交換条件として簡単に仕事の依頼にOKを出したりとつかみどころのない飄々とした性格。基本的に悪人ではないが、第二生徒会の一員として利益を一番に考えて行動する。仕事には殺人人形(ウィジェット)を好んで使っている様だがよく壊されてしまう。六夏の命令には逆らえない。
四名家のひとつ、風斎一族の悪魔である美里亜と契約し、戦闘力の高い「使い魔」の風獣ヴィヴィアンを使役する。
第二生徒会の仕事でよく智春たちの関わる事件のことを知っていたりするが、脅し等でただ同然で情報を引き出されたり、使いっ走りにされることが多々ある。
語尾に「ッス」をつける癖あり。
沙原 ひかり(さはら ひかり)[2]
洛高の2年生で六夏の友人(下僕とも)。校内美化委員会委員長。小動物属性で、智春は「垂れ耳(ロップイヤー)ウサギ」と形容する。
小柄で、童顔、幼児体型である上に、性格も気弱なのであまり先輩に見えない。モテるのだが気弱な性格から彼氏も契約者も未だいない。
地下水路では、六夏によって半ば無理矢理に智春とくっつけられそうになるが、その後、本当に彼に対して好意を持ったようである。
下位の悪魔で瞬間移動能力を持っている。第一生徒会に殺されかかったところを六夏や真日和に救われたらしい。
瞬間移動能力の発動時の呪文は「ふぁすたー・ざん・ざ・すぴーど・おぶ・らいと(faster than the speed of light)」。意味は「光よりも速く」。
六夏と同じファミレスでバイトしている。
おとなしい性格で、どちらかというと天然系だが、意外に鋭いところもある。六夏に対しては「猛獣使い」の如きポジションにあるとも言われている。智春の女装を見破った数少ない人物でもある。
アニメには登場しない。
風斎 美里亜(かざとき みりあ)
花鳥風月の四名家の1つ、風使い・風斎家の雌型悪魔。
第二生徒会風紀委員長で真日和の契約悪魔。彼を「シュウちゃん」と呼ぶ。とある理由で非在化が進み入院中である。
幼い頃に奏と会っている。
ヴィヴィアン
声:高橋研二
真日和と風斎美里亜の契約による使い魔。風獣。鎌鼬(カマイタチ)を模している。魚肉ソーセージ(カマボコとの表記もあり)と酒(カルーア)が好物。大型犬に似ているが、犬と呼ばれると怒る。

洛芦和高校1年7組

大原 杏(おおはら あん)
声:豊崎愛生
智春のバイト先である大原酒店の一人娘。陸上部所属。分け隔てのない明るい性格で、クラスのムードメーカー。病院嫌い。
自身が貧乳なのを少なからず気にしている。操緒とは貧乳の友。(本人曰く「貧乳の友は魂の友」とのこと)
なぜか頻繁に智春と朱浬が「誤解されかねない状態」にある時に遭遇する。その度に「誤解」し、智春がなだめるのに苦労することになる。
智春に好意を抱いているが、無理に彼の気持ちを自分に向けさせようとはしない。
柱谷 圭一郎(はしらたに けいいちろう)
声:興津和幸
1年7組担任。フルネームは第2巻口絵より。趣味は骨董品の収集。押しの弱い優男である。女子達からの人気も高い。「たにやん」の愛称を持っている。ただし妻の由璃子は第4巻で「かっちゃん」と呼んでいた。
由璃子の夫、即ち契約者で、第2巻の事件以降は使い魔「キャメロン」を従えている。
旧家の子息らしく、自宅はちょっとした屋敷である。

その他の悪魔や演操者、副葬処女

華島〈柱谷〉由璃子(かしま/はしらたに ゆりこ)
花鳥風月の四名家の1つ、雷使い・華島家の雌型悪魔。
柱谷圭一郎の妻にして契約悪魔。幼い頃、一族の後継ぎ問題で柱谷家に養女に出された。夫の圭一朗とは教師と教え子、義理の兄妹という関係にあった。
アニアの姉、クルスティナとは同級生で友人。悪魔同士、一般人には話せないことを話せる気の休まる相手だったようだ。
後に和解したが、柱谷教諭とは半年の間夫婦喧嘩をして別居状態だった。
趣味は陶芸。普段は気さくなお姉さんだが、興奮すると元ヤンキーの血が騒ぐのか言動が非常に乱暴になる。スクーターで暴走して事故を起こすことも度々で、智春を巻き込んだこともある。彼女のキャメロンへの「しつけ」は近所の主婦の名物となっている。
アニメには登場しない。
キャメロン
柱谷教諭と由璃子の契約による使い魔。華島一族の雷獣。(ヌエ)の一種と推測される。幼体時は龍のような巨大な爬虫類の姿だった。巨乳好き(D以上)。が、成獣になっても巨乳好きは変わらない。
雪原 瑶(すすぎはら よう)
声:石塚さより
関東学生連盟の武装生徒指導員(ガーディアン・ドラグーン、通称GD)で、最強とも言われる機巧魔神「白銀」の演操者。洛芦和高校の3年生で第一生徒会の前会長。隙無くシャープに整った秀麗な容姿は一見すれば美少年と見紛うが女生徒である。挙動はいちいち恰好よく様になっており、女生徒に非常にモテる。普段着も制服も男物。智春的あだ名はヅカ王子。冬琉には剣の手ほどきをして貰っていた。
朱浬とは中学時代からの先輩・後輩の関係にあり、そこからできた深い因縁が存在する。
アニメ版では機巧護衛機に父を殺されたというオリジナル設定が加えられている。
黒崎 紫浬(くろさき ゆかり)
声:田中理恵
白銀の副葬処女で、朱浬の双子の妹。顔は瓜二つだが、姉よりも髪は長め。
姉妹ともに3年前の飛行機事故に遭遇し、朱浬と同様に身体に深いダメージを負う。 事故後、瑶が紫浬として救おうとした彼女が副葬処女に選ばれた。
本人は3年前の時点で女優として活動しており、その天才的な演技力を高く評価されていた。
朱浬が記憶喪失になった際に、自分の名前と主張したが、その時の彼女は智春が憧れていた優しいお姉さんだった。
彼女の肉体は既に無く副葬処女としては魂だけが封印されていたため、瑶は彼女を生き返らせることを諦めている。対して、彼女を何としてでも生き返らせようとする朱浬は彼女の魂をできるだけすり減らさせないためにGDの仕事を肩代わりしていた。
千代原 はる奈(ちよはら はるな)
声:高木礼子
GDの一員で、機巧魔神「亜鉛華」の演操者。はんなりとした京都弁を使う。朱浬曰く「マロ眉」。劇中に魔神相剋者(アスラクライン)という言葉を最初に発したのは彼女。
加賀篝 隆也(かがかがり たかや)
声:中井和哉
機巧魔神「薔薇輝」の演操者にして悪魔・クルスティナとの契約者でもある魔神相剋者。本職は世界的に有名なギタリスト。副葬処女である琴里を解放する為には手段を選ばず、いかなる犠牲も厭わない。
クルスティナに対して、愛情を失っており(と言っても、これは彼自身が原因というより契約者と契約悪魔の代償のためという方が正しい)、クルスティナは非在化が進んでいる。
琴里(ことり)
声:日笠陽子
薔薇輝の副葬処女。本名は「新屋敷琴里」。2年前に洛高に教育実習生として訪れたことがあるとされている。
文学少女がそのまま成長したような美女。
クルスティナ・フォルチュナ・ソメシェル・ミク・クラウゼンブルヒ
声:大原さやか
アニアの姉で、加賀篝隆也の契約悪魔。2年前に交換留学生として洛高に在学していたとされている。容姿はアニアをそのまま成長させたような麗人。口調も似ている。
加賀篝からは「クリシィ」と呼ばれ、彼を邪魔するならば妹であっても許さないと言い放つ程の覚悟を示す。
イングリッド
加賀篝とクルスティナの契約による使い魔。不定形獣(スライム)。人間の女性や黒豹、翼竜などの生物のみならず、マントやドレスにまで擬態できる。軟体化してわずかな隙間にも潜り込む事ができ、触手と化して敵を攻撃する。契約者が魔神相剋者である為、通常より強力である。
鳳島 蹴策(とりしま しゅうさく)
花鳥風月の四名家の1つ、鳳島一族の雄型悪魔。氷の鳥の姿の魔精霊(サノバ・ジン)を操る。いろんなバカ呼ばわりされるが戦闘能力は非常に高い。加賀篝の協力者として智春達の前に立ちふさがった。
中途退学の元洛芦和高校生で朱浬や佐伯兄とも同じクラスだったそうだ。「妹」というものをこよなく愛する極度のシスコン。ちなみにエロい体型の妹はお呼びではなく、未熟な果実が好きだというのが本人の弁。氷羽子の実兄であるのだが、魔力の過剰使用により記憶を失っており、「記憶に無い」と言い張り彼女を妹とは認めていない。その事を考えると理想の妹について呟きながら頭痛にでも耐えるかのような様子で頭を抱える。
朱理には、なにかとミサイルやライフルなどをブっ放されることが多く(ほとんど自業自得ではあるのだが)、かなり敵視している。
現在はアニアを「妹」として愛でている(が、当のアニアは非常に鬱陶しく思っている)。
なお、彼の「妹」への執着の理由は、魔力の過度の使用により失った本当の妹=氷羽子に関する記憶を埋め合わせるためのものである。
鳳島 氷羽子(とりしま ひわこ)
声:高梁碧
炫塔貴也の契約悪魔。
花鳥風月の四名家の1つ、氷使い・鳳島一族本家の跡取り娘で鳳島蹴策の妹。その美貌と性格から洛高での二つ名は「氷姫」。その戦闘力は秀でており、氷鳳(ヒョウオウ)と言う氷の薙刀を武器として用いる。氷の不死鳥の姿の使い魔・シャーリーズを従えている。契約者を持つため、悪魔としての力は奏を上回る。
蹴策には「あんな冷たい女は妹なんかじゃない」などと言われているが……。
蹴策が魔力の酷使によって自分を忘れてしまったことを憂い、塔貴也の三巡目の世界をやり直す計画に賛同し契約をしていた。
身長:164cm。体重:45kg。誕生日:7月11日。血液型:不明(該当無し)。趣味:薙刀、音楽鑑賞。[1]
シャーリーズ
炫塔貴也と鳳島氷羽子の契約による使い魔。鳳島一族の氷獣。不死鳥(フェニックス)を模している。翼から人間大の氷柱を射出するほか、機巧化人間さえ一瞬で凍結、破砕するほどのブレスを吐く。
里見 恭武(さとみ きょうむ)
声:藤田圭宣
GDの一員で機巧魔神「蒼鉛」の演操者。自分より弱いものを虐げて悦に入るタイプの人間で、加賀篝を捕らえるためにアニアを人質として利用する、邪魔になった智春達を抹殺しようとするなど、指導員でありながら、その越権行為も平気で行う。マザコンの噂がある。
副葬処女になった少女に対しては、他の演操者と異なり特に執着はないようである。

夏目家(現、苑宮家)親族

苑宮 和葉(そのみや かずは)
主人公の実母が再婚した現父方の実娘で智春の義妹となる。射影体を認識できる(本人曰く、祖母の遺伝)数少ない一般人。
実は数年前に偶然出会った智春に助けられたことがあり、その一件から彼に恋心を抱いていたのだが、智春の方はその事を覚えていなかったようである。智春と食事会で2人になった際に緊張の為に話せなかった事を、智春が誤解してしまったことが、彼が1人暮らしを始める原因となった。
智春と接触する時は、何故か智春と親しい女性が智春と一緒にいることがほとんどで、途端に智春への態度が冷淡になってしまうため、智春には未だ嫌われていると思い込まれている。
苑宮 久沙子(そのみや ひさこ)
旧姓夏目。智春が幼い頃に夫を亡くしており、女手一つで直貴と智春の2人を育てた(ことになる)。智春の実母。第1巻以外に登場が無く、名前はアスラクライン・Pで登場。職業は看護師。息子(たち)の奇行にも我関せずの大人物(既に慣れてしまっているだけなのかも知れないが)。

嵩月家関係者

社長
声:津田英三
奏の父親。且つ近辺を締める広域指定悪魔結社「嵩月組」の社長。要はヤクザのトップ。
頬に傷を持ち、顔が厳つい、いかにもカタギには見えない人物で、実際ヒットマンの襲撃を返り討ちにしたりしている。
実は親バカと言えるレベルで一人娘・奏を溺愛しており、奏の成長アルバムを懐に仕舞って持ち歩いていたり、奏が暮らす庵を張っていたりする。
その他にも奏の嫌う家業の力を彼女のために使いたがるが、もともと奏はその家業が嫌で下宿をしているのでそれをする度に余計親子仲はこじれるという、焼きたい世話を焼けない悪循環状態に陥っている。
奏の慕う智春に対しては当初良く思っていなかったようだが、(もともと智春のこととなると過敏に反応する奏のこともあって)ある一件以降は「婿殿」と呼ぶほど好感度が上がっているようだ。
悪魔の能力の酷使で妻(=奏の母親)の記憶を失っており、奏はその父を見ることがつらく別居している。
潮泉 太秦(しおいずみ うずまさ)
声:石住昭彦
奏の母方の祖父にあたり、鳴桜邸の大家。渦巻き好き(律都曰く「いつもぐるぐるしている」)。機巧魔神を修理することができる。
本作でもかなり変わり者の老人。潮泉邸の敷地内は小さな山が丸々ひとつ入って余りあるという外れきった規模で、自分は山の中腹に小さな山小屋を造りそこで暮らしている。
山には神社跡まで備えていて、その祭具殿の中には「巨大なからくり人形」の残骸が眠っていた。その神社の一部を改装したところに嵩月奏が下宿している。
潮泉 律都(しおいずみ りつ)
声:日笠陽子
奏の従姉妹。即興で解熱剤を作ったり、破損した朱浬の右腕を修理するなど、芸が細かい。
体術においては奏以上であり、智春と杏を相手に稽古をした際には人差し指だけで智春を遥か後方へ吹き飛ばすという寸頸のような技を披露している。
嵩月祖母
奏の父方の祖母。誤解から、奏の教育に失敗したと思い込み、再教育のために転校させようとした。嵩月流炎舞の総師範であり、奏でも彼女には勝てない。が、「喧嘩で一度も負けたことがない」という操緒の敵ではなかった。
八伎(やぎ)
声:高橋研二
嵩月組若頭。顔の左側に大きな傷痕が残る。料理がうまい。悪魔の1人。やたら智春のことを買っていて、嵩月組総出で行っていた悪魔狩りからの奏の護衛を、あっさり智春に任せるほど智春に信頼しており、組員の割には非常に丁寧に接している。

その他キャラクター

大原 桜子(おおはら さくらこ)
第6巻でようやく名前が判明した杏の母親。35歳。智春が「母」と言う言葉から真っ先に連想するのが実母ではなく彼女だという。
奥沼(おくぬま)
佐伯家に使える執事。当初は勘違いと買い被りから智春を襲撃した。物腰は柔らかいのだが、マフィアっぽい見た目のせいで威圧感が倍増している。
志津間 霧絵(しずま きりえ)
声:北西純子
志津間哀音の母親で、佐伯兄妹の叔母。
水無神 環緒(みなかみ たまお)
操緒の5歳年上の姉。顔立ち、性格ともに操緒と良く似ている。2年前に英国在住の両親の許を離れて単身帰国し、現在は周央女子大に在籍中。
その正体は一巡目の世界で非在化を起こしそれを修復するために二巡目の世界に来た「水無神 操緒」。詳しくは、一巡目の世界の水無神 操緒に記載。
橘高 秋希(きつたか あき)
橘高冬琉の同学年の姉。先代の「黒鐵」の副葬処女として、既に魂を使い果たして消滅しており、名前のみ登場。

「一巡目の世界」におけるキャラクター

「二巡目の世界」とは置かれている状況が(年齢以外の原因で)大きく異なっており、こちらの世界にしか登場しない人物も存在する。
橘高 秋希(きつたか あき)
ペットのフクロウ「クロガネ」をいつも連れている洛芦和高校の卒業生。
パンクな髪型と服装である上、さも当然のように刀を持ち歩きフクロウまで引き連れている為、非常に目立つ。
四季櫻流橘高道場の娘であり「秋楓(シュウフウ)」「紅(クレナイ)」という刀を使う二刀流。拳銃を構えた集団はおろか、はぐれ眷属(ロスト・チャイルド)さえも一方的に斬り刻むほどに高い戦闘力を有する一般人。捨て犬に捨て猫にカラス、果てはニシキヘビや危機に陥っていた人間まで何でも拾ってくる悪癖を持ち、妹の冬琉にはその度に怒られている。
幼馴染でお隣さんの塔貴也の世話を焼いており、冬琉曰く彼を甘やかしているそうだ。
橘高 冬琉(きつたか とおる)
橘高秋希の同学年の妹。洛芦和高校の卒業生で前生徒会長。現在は普通の女子大生。生真面目な苦労人だが野太刀や片手用の短槍を自在に振り回す。
秋希と同じく塔貴也と幼馴染であるのだが、姉と非常に仲良くする彼の様子には寂しげな表情を見せる。塔貴也の関係する事柄については秋希よりも詳しい。
副葬処女になった二巡目の冬琉の意識が憑依することがあり、二巡目の塔貴也を止めてもらうよう智春に秋希の技を教える。
炫 塔貴也(かがやき ときや)
秋希や冬琉の幼馴染で洛芦和高校科學倶楽部の先代部長。非常に爽やかな見た目の好青年。
大学生ではあるが、学校にはほとんど行かずプレハブ小屋からネットワーク経由でバイト先の企業や研究室に入り浸っている。
智春たちに二巡目の世界の自分の所業を聞き、一応は謝罪しているが、理解はできるとして実際にはまったく悪いと思っていない。
雪原 瑶(すすぎはら よう)
洛芦和高校の卒業生で科學倶楽部の先代副部長。現在は役者をやっており、子供向けの特撮番組などに出演しているそうだ。
橘高姉妹や塔貴也はもちろん、アニアとも交友がある様子。二巡目の世界の智春の違いに気付いている様子。
樋口 琢磨(ひぐち たくま)
洛芦和高校の2年生で科學倶楽部の部長。漆黒のマントコートを羽織り、UMA予報機というゴーグルを装着しているため見た目はかなり怪しい。
一巡目の世界や二巡目の世界の事情も聞き及んでいるらしく、有能でもあるためアニアの信頼も厚い人物。
佐伯 玲子(さえき れいこ)
洛芦和高校の2年生で風紀委員。十字稜で二巡目の智春が見た一巡目の記憶では樋口に気があったような素振りをする。
志津間 哀音(しずま あいね)
洛芦和高校の生徒。家庭科部に所属する小柄ながらも快活な少女。
暴走する冷凍マグロに跨り、鳳島蹴策や二巡目世界の智春を撥ね飛ばす。
佐伯 玲士郎(さえき れいしろう)
洛芦和高校の3年生で生徒会会長。二巡目の世界の彼と同様、純白の改造制服を着用。哀音からは「シロくん」と呼ばれている。
黒崎 朱浬(くろさき しゅり)
洛芦和高校の3年生で生徒会副会長。純白の改造制服を着用。黒崎紫浬の双子の姉。モデルの仕事もしているとか。
黒崎 紫浬(くろさき ゆかり)
洛芦和高校の3年生で科學倶楽部の部員で元部長代理。黒崎朱浬の双子の妹。
独特のイントネーションや性格などが二巡目の黒崎朱浬に似ている。二巡目の世界の夏目智春を自身の知る一巡目の世界の夏目智春との違いに気付き、自身の境遇を打ち明けた智春に自分を朱浬と呼ぶことを許す。同時に本人曰く「女のカン」で智春が朱浬と呼んでいる少女が生きていると発言している。
鳳島 氷羽子(とりしま ひわこ)
洛芦和高校の生徒。鳳島蹴策の妹で、登校中に負傷した兄に付き添って保健室にいた。
兄妹仲は良好であるが、兄にとっての一番は自分でなければ許さない様子で蹴策に念を押している。
鳳島 蹴策(とりしま しゅうさく)
洛芦和高校の生徒。登校中に不幸にも冷凍マグロに轢かれ、保健室で妹の氷羽子に看護されていた。
妹の事は大事に思っているが、頭は上がらない。奇跡の生還を遂げた巫女っ子アイドルこと奏にご執心。
大原 杏(おおはら あん)
洛芦和高校の2年生で陸上部に所属。一巡目の世界の夏目智春と二巡目の世界の夏目智春の違いを見抜く。
沙原 ひかり(さはら ひかり)
洛芦和高校の3年生で生徒会の会計係。六夏に吹き込まれた噂により智春に対し怯えた態度を見せた。
真日和 秀(まひわ しゅう)
洛芦和高校を中退したパン屋の男。17歳ほどの妻と生後半年になる娘の美々安のために働くお父さん。
倉澤 六夏(くらさわ りっか)
洛芦和高校の卒業生。教会を改築した尼僧カフェなる怪しい店のオーナーをしている(姫笹の治療費を稼ぐために行った時の反動と思われる)。二巡目の六夏が朱浬のように姫笹を生き返らせる事もなければ玲士郞のように犠牲として割り切っていないのは、翠晶の副葬処女にすることで姫笹を生きながらえさせることができたからと智春は推測している。
姫笹(ひめざさ)
六夏の親友だったが既に故人。よく似た容姿の妹が六夏の店で働いている。六夏の性格は姫笹の治療費を稼ぐために相当無茶なことをしていたらしい。
潮泉 太秦(しおいずみ うずまさ)
潮泉律都や嵩月奏の祖父。高エネルギー物理学研究機構のという政府組織の機構長を務めていた。
夏目 直貴(なつめ なおたか)
二巡目の世界における自称「直貴」とは異なり一巡目の世界の夏目直貴本人。洛芦和高校の科學倶楽部の創設者。どういうわけか無駄に大量の時計を身につけている。
超弦重力炉によって形成されたブラックホールの「向こう側」にある次元潜航チェンバー「うずしお」の中にずっと留まっている影響で見た目は智春より年下。
「うずしお」のメンテナンスのためにクロエと共に「うずしお」の中に残っており、無限にループする時間を利用して「世界を滅ぼすモノ」への対抗手段を考える。
「二巡目の世界」からやってきた智春に「世界を滅ぼすモノ」の存在を見せた。
潮泉 律都(しおいずみ りつ)
見た目は女子大生風のお姉さんだが、高エネルギー物理学研究機構の研究本部である十字稜(ラ・クロア)の理事長。
夏目直貴の契約悪魔であり、確認された悪魔の中で最も強大な魔力を持っており、その大きさは単体で分離器を動かすほどである。ただし戦闘能力は皆無。その能力はあらゆる世界、あらゆる時間に存在する「潮泉律都」と感覚と思考の一部を共有する「意識共有」。「潮泉律都」が存在する範囲ならば全ての時間と世界での出来事を知ることができる。
直貴曰く非常に嫉妬深い。
クロエ
一巡目世界の夏目直貴と潮泉律都の契約による使い魔。「クロガネ」の正体であり、翼を広げると8メートルほどになる灰色の梟の姿。機巧魔神の修理が行える変わった使い魔。能力は「クライン空間の精製」。目を合わせただけで情報を脳に流しこめたりと、意識共有の力も持っていると思われる。
夏目 智春(なつめ ともはる)
洛芦和高校の2年生。夏目直貴の弟。アニアや律都らにより機巧魔神「鋼」を与えられた。二巡目の世界に時空移動したため不在。彼の彼女は「洛高の魔女」と噂されており、そのせいで知名度が割と高い。
水無神 操緒(みなかみ みさお)
世界の衝突による影響で悪魔化し、非在化が進行していたため十字稜(ラ・クロア)で治療を受けていたらしい。
悪魔としての能力は着弾箇所を消滅させる闇色の弾丸を放つ「神無(カンナ)」。
非在化の進行をリセットするために二巡目の世界に時空移動させられたため、既に不在。
悪魔化による非在化を抑えるために、一巡目の智春が契約を申し入れるが、彼女は自分への想いと思い出を智春に忘れてほしくないためにそれを断っている。おそらく、このことが彼女が二巡目世界で智春を「ふった」と言ったことであると思われる。
塔貴也の起動させた超弦重力炉を自分の命と引き換えに破壊した。
嵩月 奏(たかつき かなで)
洛芦和高校の2年生。高月神社の娘で、超弦重力炉の暴走よりただ一人奇跡の生還を遂げた美少女としてアイドルのような扱いを受けていた。
「供与者(ドウター)」として機巧魔神「鋼」の副葬処女となり二巡目の世界に時空移動してるため、既に不在。
ダルア・ミドラマルスィ・クラウゼンブルヒ
クラウゼンブルヒ財団の日本支部長。財団による塔貴也邸襲撃のお詫びに多額の慰謝料を支払い、智春に二巡目世界に戻るための活動を支援する代わりに機巧魔神の技術を譲ってほしいと取引を持ちかける。見た目は金髪ショートカットでエロい格好を好む、20代後半と推定される女性(操緒たちの感想としてはオバサン)。
故郷の非在化に伴い悪魔の力を手に入れており、可視光線を自由に操る力を持つ。
ヘザー
ダルアとその契約者(未登場)の契約による使い魔。大きな紅玉色の一本角を持つ全長6、7メートルのカメレオンに似た姿をしている。光を自在に操り幻影を作ったり姿を消したりする他、高熱のレーザービームを放射することも可能。

「アスラクライン・P」、「アスラクラインKLEIN」等のキャラクター

園生(そのお)
アスラクライン・P『いってらっしゃいの幽霊』に登場したゲストキャラ。苑宮の自宅マンションでは噂の自縛霊。
生前は演操者だった。凛という悪魔を愛してしまったが為に自身の副葬処女の怒りを買い、機巧魔神が暴走。世界を滅ぼしかねないその力を封印する為に機巧魔神の能力を使って封印、自縛霊となった。最期は智春と黑鐡の手によって眠りにつく。
露崎 波乃(つゆさき はの)
アスラクライン・P『ずっとキミを見てた』に登場したゲストキャラ。故人である。難病を抱え、中学2年の春から入院生活を送っていた。玲子とは仲が良かったらしい。
智春と樋口を題材にボーイズラブの小説を書いていた。その2年後に出版社によって日の目を見ることになり、一躍大ベストセラー。映画化も決定した。ちなみに、帯には「夭折(ようせつ)した少女が残した遺した究極の純愛小説」とあった。
ストーカーまがいの行為を働き、智春からは「ホモ好きの変態妄想少女」呼ばわりされるが、徐々に智春に好意を示す様になる。実は彼女はずっと入院中であったが時々無理をして学校へ行っていたようである(生霊の類であったとも考えられる)。危篤状態に陥り、死亡する直前に霊の状態で智春のもとを訪れ、教室で居眠りしている彼にキスをした。この時操緒は彼女の正体に気づいていた様子。
宮村 伊織(みやむら いおり)
アスラクラインKLEINのゲストキャラクター。塔貴也を「トッキー」と呼び、ストーカー行為を働く。
外見は甘ロリ風ファッションで髪の毛ふわふわの美少女であり、とてもストーカーには見えない。
臓物アニマル[3]のコレクター。ストーキング対象の相手に贈ったり、変わり身の術に使用したりもする。常に持ち歩いている模様。
智春の「活躍」により塔貴也を諦めた後は、玲士郎にターゲットを変更したらしい。
実は男。冬琉が智春に撃退を依頼したのも塔貴也が既にそのことを知っていたからだと思わせるようなセリフがある。

用語解説

黒科學

以下は本編での科學部部長代理・黒崎朱浬による黒科學についての説明である(第1巻を参照)。

古来において、魔術と科学は同一であった。錬金術の遺した物が今日の化学に大きく貢献した事は有名であるが、それだけではない。現在の科学は、多様に渡る分野を極限まで還元し追究していけば1つのみの公理が在るとされており、現在もそれを探すために日夜あらゆる試みが為されている。「黒科學」とは、その考えに対して異を唱えるものである。

錬金術が化学技術に成り代わったように、数学はカバラ数秘術と共に発達し、天文学も占星術が発祥である。此処であらためて考えると、前述に上げた「1つのみの公理」は実におかしい事なのだ。魔術に関わるあらゆるもの。占術・カバラ・錬金とあるが、魔術には黒魔術と白魔術が存在する。ともすれば、科学にも同じように相容れない2つの対立要素が必然的に存在しなければおかしいのである。

つまり、現在広く知られている現代科学に対立するもう1つの理論体系、それこそが「黒科學」なのだ。今や御伽噺でしか語られない過去のまやかしと認識されたあらゆる物達の探究。それこそが「黒科學」の本質である(世間一般体からみれば、「オカルトの研究」と言ってしまえば分かりやすいだろう)。とはいえ、「黒科學」によって研究されていることは全てにおいて事実なのである。

機巧魔神について

機巧魔神(アスラ・マキーナ)
模造品の悪魔。佐伯玲士郎曰く、悪魔によってもたらされた二巡目の世界において、その悪魔に対抗するために彼等の秘技を盗み出し、人間の手で生み出された、機械製悪魔と言うべき魔神(機神)。身長は4メートル前後。召還(呼び出すという意味では「召喚」だが、「還」の字が使われている)に応じて演操者(ハンドラー)の影を介して出現し、演操者の命令に従って動くが、時として暴走する場合もある。特に演操者の体調や精神状態に左右されやすく、心身の状態によっては召喚できない場合もある。その正体は、異なる世界との入れ替わりが進んだ未来の世界で、この世界の人間が渦過域と呼ぶ融合してしまった場所では生身の人間や電子機器では全滅してしまったため、この魔界を調査するために仮死状態の操縦者を体内に封印して闇に閉ざされた有人探査機である。と言われているが、それだけでは特殊能力を有する意味など説明がつかない部分もあるため真相は不明。
夏目智春が手に入れたトランク「イクストラクタ(ヒルベルト・イクストラクタ)」は、自らの質量と引き替えに並行宇宙から喪われた機巧魔神を召喚する、システムの一部。
機巧魔神には機体ごとに特性があり、それぞれ強力な特殊能力を有している。召還時や特殊能力使用時には各機ごとに異なる呪文を紡ぐ。
演操者側には決められた召還(喚起)呪文は存在しない。演操者は術式を既に「インストール」されていて、後はそれを発動させるだけで良いので、基本的に「呼ぶ」意味を有していればどんな詠唱詞でもよいようである。ここに演操者の嗜好、センスが出てくる。ただし唱えることができない場合、機巧魔神を呼び出すことはできない。また演操者の状態によって呼び出せない事がある。
副葬処女は組んでいる演操者の言霊を契機に呪文を詠い、そこで初めて機巧魔神が世界に出現する。
機巧魔神の数は少ないが、中でも10機しかない金属の名を冠したもの(鋼を含まない)は特に強力かつ貴重で、GD(ガーディアン・ドラグーン《一部に「ガイダンス・ドラグーン」との記述もあり》:関東学生連盟・武装生徒指導員)とは本来は金属名の機巧魔神を有している者のことを指す。
機巧魔神たちの動力源には、美しい少女を“核”に機関の心臓部へ封印し、機巧魔神の贄として人柱にされた少女を「副葬処女」と呼ぶ。そして機巧魔神は副葬処女のパートナーである演操者の命令に従う。
ただしその「命令に従う」という要素に限っては例外がある。造りものとて彼ら機巧魔神はれっきとした悪魔であり、独自の能力だけでなく、個体によって各々の性格と自我を持ち合わせている。悪魔としての本能を色濃く示すものほど強力だが反面危険な存在でもある。と言うのも、それだけ制御も困難となり暴走を起こしやすく、加えて演操者は苛酷な消耗を強いられるからだ。
演操者の死亡、あるいは副葬処女の消滅によりその機能を停止させ、操者不在の人形となり果てる。
ちなみに何種類かのプラグイン(機能拡張用の増設部品)(後述)という物も存在する。
機巧魔神は全部で21体存在し、2巡目の世界から1巡目の世界に飛ばされたアニアが2巡目の世界で得た機巧魔神の情報をもとに作りだしたものであった。
機巧魔神が作られた本来の目的は、世界を滅ぼさんとする神(デウス)の調査又は、可能であれば破壊するためだった。

これまでに登場した機巧魔神は以下の通り。

黑鐵(クロガネ)
演操者:橘高冬琉→夏目智春(二巡目)、副葬処女:橘高秋希→水無神操緒(二巡目)、能力:重力制御
漆黒の魔神。トルク(パワー)では機巧魔神達の中でも高いクラスの性能を誇る。
黑鐵の能力「黒の拳撃」は、高重力エネルギーを持った球体を生み出して敵を攻撃したり、空間を歪曲させて防御壁を構成する事ができる。その正体はブラックホールと思われ、空間を歪ませる重力体は光の速度を凌駕し、恐らくは時の流れすらも変えられる。ともすれば、その核は無限重力の状態となっている事になる。
時間停止状態でも動くことが可能なのはそのためと考えられる。事象の地平面では時間の流れが存在しない、とする仮説による。
かつての演操者は第三生徒会会長・橘高冬琉で、その副葬処女は彼女の姉の橘高秋希。彼女はGDの1人で盟主の側近「左手(シニストラ)」と呼ばれていた。冬琉が元演操者となった後、関東学生連盟からの横流しで主人公・夏目智春の手へと渡ることとなる。
召喚の掛け声は「来い、黑鐡!」
呪文は「闇より暗き深淵より出でし…其(そ)は、科学の光が落とす影!」
黑鐵・改(クロガネ・かい)
演操者:夏目智春(二巡目)、副葬処女:水無神操緒(二巡目)、能力:重力制御・空間切断
自己修復できないほど完膚無きまでに破壊された黑鐵が、一巡目の世界の夏目直貴とその使い魔クロエにより、同じく大破した同型機である白銀のパーツを使って修復・強化された機巧魔神。白銀のパーツを流用したため、ところどころ装甲色が白銀と同じである。
同型機である白銀のパーツと空間切断能力の元である剣を流用されており、黑鐵本来の能力である重力制御に加え、白銀の空間切断の能力を使用できる。また、この2つの能力が1つの機体で使用可能となることで時空移動の能力をも使うことができるようになり、名実ともに「鋼のスペア」として機能し、鋼と同様の能力を手に入れた(ただし全体的な性能では鋼の方が上)。智春は白銀の剣と剣状に変化した自らの使い魔を使い、一巡目の冬琉(二巡目の冬琉が憑依していると思われる)から教わった秋希の二刀流の技を鋼との最終決戦で使用している。
召喚の掛け声、呪文は強化前と同様。
翡翠(ヒスイ)
演操者:佐伯玲士郎、副葬処女:志津間哀音、能力:極低温化
透きとおった淡緑色(アイスグリーン)の魔神。
高周波を発して絶対零度近い極低温を作り出す「凍てつく音色(おと)<一部に「凍てつく波動(おと)」との記述あり>」という能力を持ち、氷弾、吹雪、氷壁、凍結などその戦術は多彩である。加賀篝に乗っ取られた飛行機の墜落を阻止するために氷結能力で滑走路を造り終えた後、哀音が消滅しその役割を終えた。
召喚時の掛け声は「出ろ、機巧魔神- 翡翠!」
呪文は「闇より静けき氷海に眠る…其は、科学の音色に凍てつく影!」
藍銅(ランドウ)
演操者:元第一生徒会会長、副葬処女:不明、能力:不明
土琵湖の湖底に沈んでいた腕の持ち主。柱谷由璃子及びキャメロンと交戦して引き分け、損傷した。
2年前に卒業した当時の第一生徒会長が演操者であった事以外の詳細は不明。
「銅」という金属の名前を含むが、GD所属の機巧魔神だったかは不明。
白銀(シロガネ)
演操者:雪原瑶、副葬処女:黒崎紫浬(朱浬)、能力:空間切断
銀色の魔神。武器である銀色の剣で、物質ではなく空間そのものを切断する「白の剣撃」という能力を持つ。
その剣撃は空間そのものを切断する為、障壁等を無視して対象を切り裂く。複数の斬撃を同時に放ち切断した空間で檻のように対象の動きを封じたり、切断された空間の断層に対象を呑み込み何処か別の空間へ消失させることも可能。
遙の技量ならば本体を影の内に収めたままでも能力を使用できる。
黒鐵と対になる機巧魔神。体色を除いてはそっくりの形状で、相互に共鳴する。かつてはその演操者はGDの1人「右手(デストラ)」と呼ばれていた。科學部を裏切った冬琉によって紫浬(朱浬)が消滅させられ、一巡目の世界に飛ばされた後に残ったパーツが黒鐵の修理に使われた。
召喚時の掛け声は「白銀、抜刀!」
呪文は「闇より深き深淵より出でし…其は、科学の幻影(かげ)を裁く剣!」
薔薇輝(ロードナイト)
演操者:加賀篝隆也、副葬処女:琴里、能力:時間停止
薔薇色の魔神。両腕から伸びる鉛色の鎖(少なくとも6本を装備)は、縛った物体の時間を停止させる。演操者が魔神相剋者である為、他の魔神より強力である。
GDとの戦闘で加賀篝がクルスティナとイングリッドを失ったことで戦闘力が大幅に低下し、蒼鉛によって破壊され琴里も消滅する。最初に量産機の攻撃を受けた時に既に琴里が消滅していたにも関わらず動いた理由は定かではない。
召喚時の掛け声は「目覚めろ、薔薇輝!」
呪文は「闇より永き悠遠より覚めし…其は、科学の鎖が縛る刻!」
亜鉛華(アエンカ)
演操者:千代原はる奈、副葬処女:不明、能力:物質爆砕
白い魔神。両手の指先から伸びる糸は、巻きついた対象物を爆発物に変える導火線となる。切断したところから点火する為、一度巻きつかれたら糸を切っても逃げられず、防御は困難。
召喚時の掛け声は「おいでやす、亜鉛華」
呪文は未登場。
翠晶(スイショウ)
演操者:倉澤六夏、副葬処女:姫笹、能力:物質液化
翠(みどり)色の魔神。水を自在に操る他、物質液化能力「清浄なる融解(クリスタリン・メルトダウン)」は、物質の分子結合を解いて液状に分解する。物質の液化をあえて中途半端な状態に留め、ジェル状にした壁や床を抜け、その後に液化をキャンセルし元の固体に戻すということも可能。
白銀と同様、本体を影に収めたままでも能力を行使できる模様。
召喚時の掛け声は「翠晶、ショウダウン!」
呪文は「闇より刮(きさ)ぎし氷晶(ひょうしょう)より出でし…其は、科学の涙が融かす翳(かげ)!」
蒼鉛(ビスマス)
演操者:里見恭武、副葬処女:不明、能力:魔力拡散
暗蒼色の魔神。ドリルのような突撃槍をもっており、槍の回転によって魔力を拡散、消滅させることができる。機巧魔神のあらゆる防御、攻撃をも無効化することのできる強力な能力だが、「槍が回転している状態でしか能力を行使できない」という弱点を持ち、その力に見合わぬ精神力の演操者である里見では制御に余裕がなかった。
里見の暴挙に怒りが頂点に達した智春の黒鐵に槍を抑え込まれ、氷羽子の不意打ちによって破壊される。
召喚時の掛け声は「開演だ、蒼鉛!」
呪文は不明。魔力拡散は槍の能力なので別の能力を持っていた可能性もある。
量産機(カーバイド)
演操者:狭浦高校上院生徒会、クラウゼンブルヒ財団、武装生徒指導員、副葬処女:なし、能力:なし
里見の指揮する量産型の機巧魔神。本物と同じ護法装甲を持ち、対悪魔用の重火器で武装している。また、腰部には電動式のウインチが内蔵されている。副葬処女や魔力装置を持たないため、通常の機巧魔神のような特殊能力は無い。蒼鉛のプラグイン・分配装置(ディストリビュータ)によって操作される子機であるため、単独では動かせず、里見が演操者の資格を失えば動かせなくなる(尤もその前に全機が大破していたが)。
後に鋼に搭載されていた分配装置を用いて武装生徒指導員(GD)が操ることになる。ちなみにカーバイドとは炭化物の総称。
鋼(ハガネ)
演操者:夏目智春(一巡目)→炫塔貴也、副葬処女:嵩月奏(一巡目)→橘高冬琉、能力:完全なる空間制御
最終形の完成された最強の機巧魔神。黑鐵と白銀の能力を共に使え、それらを組み合わせて発動させる時空間転移、時間の巻き戻しが可能。
製作段階ですべての機巧魔神のプラグインが組み込まれており、スタビライザやディストリビュータを使用できる。
召喚時の掛け声は「来い、鋼!」(智春)、「おいで、鋼」(塔貴也)
呪文は「闇より深き融炉より出でし…其は、科学の鎚が鍛えし玉鋼」

この他、洛高以外の所属と思われる名称不明の演奏者が2名登場している(第4巻)。

また、『電撃hp』掲載の「アスラクラインP」には、暴走して封印された名称不明の魔神が登場する(第12巻までの文庫には未収録)。

副葬処女(べリアル・ドール)
機巧魔神を動かすための「贄」として機巧魔神の中枢部に収められている少女(「処女」との呼称通り、現在までに作中に登場した副葬処女は全て女性である。ただし、性別や純潔等の条件については作中では明言されていない)。機巧魔神はこの少女らの魂の質量を削って演操者の願いを叶え続ける。魂を削られた副葬処女はそのたび感情をすり減らし、全ての感情を無くしたとき消滅する。また、当然ながら機巧魔神の中枢部が破壊されれば死んでしまう。
彼女たちは、演操者の脳の一部を媒介として「射影体」と呼ばれる疑似感覚的情報入出力デバイスを投影し、演操者とコミュニケーションをとる。これは一種の幽霊のような立体映像であり、通常その姿は悪魔か演操者、あるいは電子的に視力を増幅したものでなければ見ることはできない(稀に写真やビデオには写ってしまう事がある)。「声を聞くのはもっと簡単」との事である。いずれにせよ一般人には知覚できないが、稀に知覚できる者もいるらしい。
演奏者が機巧魔神を呼び出す際には射影体は消え、機巧魔神と一体化して戦う。
なお、機巧魔神は副葬処女の魂のみを必要とするため、肉体の状態がどうなっていても魂さえあれば副葬処女になることは可能(例:黒崎朱浬(魂のみ)、橘高冬流(元演操者))。
演操者(ハンドラー)
機巧魔神を召喚し「演操(ハンドリング)」することの出来る人間。副葬処女とは異なり、性別は特に関係ないらしい。演操は演操者の心身を消耗させ、過度の消耗は魔神の暴走につながる為、長時間あるいは連続使用は危険である。機巧魔神を制御するためのナノマシンを体内に注入されている。
元演操者(エクス・ハンドラー)
機巧魔神の演操者だった人間。副葬処女の消滅などにより機巧魔神を失った時、「魔法無効化能力」という悪魔や機巧魔神などの魔力を無効化し、全く受け付けない能力が身に付く。そのため、スタビライザで一般人にも見えるようになった射影体でさえ認識することができない。
元演操者は身体のどこかに炎の様な紋章が浮き上がる。冬琉曰く、「元演操者の紋章は愛する者の魂と引き換えに悪魔の能力を行使した呪われた罪人の烙印」。
なお「魔法無効化能力」の正体は、演奏者の体内のナノマシンが副葬処女を失ったことで変質し皮膚に表出、紋章の形になることで、周囲の魔力を拒絶する電波妨害的な働きをしていることによるもの。
機巧化人間(フェミナ・エクス・マキーナ)
いわゆるサイボーグである。肉体に黒科学の理論、すなわち魔導理論より成る機巧を組み込まれた者達をそう呼ぶ。
黒崎朱浬もその1人。彼女の場合は骨格と筋肉と感覚器官の一部を黒科学の装置で置き換え、更にショットガンやミサイルなど多数の武装を内蔵し、ユニットの接続で飛行も可能。それらに加えて機巧魔神の魔術機関までもが移植されており、自分自身を副葬処女として機巧魔神と同等の力を振るうことができるが、構造上使用した際の負荷に耐えられない為、1度の使用ごとに総交換に近い修理が必要。
なお、本人いわく「顔と胴体は自前」とのこと。
朱浬の能力は、右腕から発射して目標を破壊する弓矢状の魔力弾。ただし使用後には右腕が大破して修理するまで使用不能になる。
呪文は「闇より昏(くら)き絶望より射ゆし…其は、科学の罪に嘆く牙!」。
機巧護衛機(カスタス・マキーナ)
蟹に似た自動戦闘機械。何種類かが確認されており、チェーンソー状のハサミや強酸性の泡などの武器を装備している。
護法装甲で身を固め自己修復能力も持つため完全な撃破は困難。加えて特殊能力を有す機体も多いとか。
二巡目の世界に残された、一巡目の世界の遺跡の防衛に当たっていた。
機能拡張/拡張機能(プラグイン)
機巧魔神達の拡張機能(プラグイン)として装着するために創られた装置の総称。あくまで機能を拡張させるためのものであり、これをわざわざ着けなくても機巧魔神は稼動する。様々な種類のプラグインが存在し、その機能も応々に異なっているらしい。
また、哀音や姫笹は、情報収集や解析の面で明らかに操緒より高性能であり、何らかのプラグインを内蔵しているのではないか、と智春は推測している。
安定装置(スタビライザ)
正式名称「副葬処女安定装置(ベリアル・ドール・スタビライザ)」。「副葬処女と演操者の接続を強化する」機能を持つプラグインで、副葬処女の感じた苦痛や疲労が、演操者にもダメージとして感知できるようになる。また、副葬処女が演操者に憑依し、身体を操る(完全に肉体を支配することはできないが、腕や脚など部分的になら可能)機能もある。副次効果として、射影体が一般人の視覚・聴覚でも認識可能になる。
搭載機は黑鐵、鋼の2機。黑鐵には追加機能として成り行きで内蔵されたが、鋼に内蔵されているものは「機巧魔神の完成型」として制作段階から組み込まれたため、通常より効果が強いものになっている。
その本来の力は別の世界に存在する副葬処女の同一人物に「憑依」し操ることで、短時間ながら別の世界で活動を可能にすること。操緒が使う「演操者への憑依」は本来のものではない。
分配装置(ディストリビュータ)
搭載機は蒼鉛、鋼。カーバイドを操作するために使用されたプラグインだが、それ以外の効果や詳細は不明。
点火装置(イグナイター)
外見的には、緑色の筒状に笠がついた、卑猥な道具を連想させる形状。
明蓮寺高校の生徒会が二巡目の世界の遺跡で発見し、のちに洛芦和高校の研究者であるアニアの手に渡った。
アニアをして用途も搭載可能な機巧魔神も不明。何故か奏に反応し、魔神相剋者・加賀篝隆也が執拗に狙っていたが、その理由も不明だった何から何まで謎のプラグイン。
その正体は、「二巡目の世界からアニアが一巡目の世界に持ち込み、遺跡から二巡目の世界で発見される」という、タイムパラドックスが生み出したオーパーツ。成長したアニアでもその機構の全ては解明できなかったためにそれ一個きりの品。
対「神」戦におけるキーアイテム。機巧魔神の魔力を暴走させ爆弾に変えることができる。魔神相剋者の魔力で点火装置を使用することで、「神」すらも破壊することができるとされているがその反動で演操者も命を落とすことになる。

悪魔関連

悪魔
男性の雄型悪魔と女性の雌型悪魔が存在。佐伯玲士郎曰く「一巡目の世界が終わる時、世界人口の全てを生贄に二巡目の世界をスタートさせた存在。契約の代償として、二巡目の世界においては肉体を持つ存在となった」。事実は、異なる世界にいた人間が世界の入れ替わりや世界跳躍の過程でこちらの世界に来た人間とその子孫。また、それ以外で普通の人間が自然と悪魔化してしまうケースもある。彼らの行使する魔力とは自らの肉体を媒介として呼び出す異なる世界の影響力である。また彼らは、魔力を行使する際に世界からの反動を抑えるために契約者の魂を消費する。雄型は自身が愛している者に関する記憶を、雌型は契約者の悪魔に対する愛情を喰らうことで、この世界に存在し続ける。故に悪魔は自分を最も愛してくれるであろう人間に対して終生の愛を誓う。しかし過ぎた魔力の行使は非在化を招く。ちなみに雌型は使い魔の召喚が可能で、対してそれができない雄型悪魔は基本的な戦闘能力が高いそうだ。
なお、嵩月家は高位の悪魔の一族である「華鳥風月の四名家」のひとつ。他に風斎(かざとき)一族・華島(かしま)一族・鳳島(とりしま)一族などがある。また、各悪魔の持つ能力や、契約時に生まれる使い魔の種類は家系によって決まる模様(嵩月一族なら炎の能力など)。
非在化
異世界の影響力である魔力を行使する度に、この世界が自身にとって異物である悪魔を排除しようと働くために、その反動を受けること。その結果、体が透明な硝子のような結晶体にかわり、消滅していく。力が弱い幼いころは、他人よりも体調を崩しやすい程度で済むが、強力な魔力の行使では彼らの肉体も無事ではすまない。また、前述の通り契約した悪魔は能力の使いすぎに加え、契約者の心が悪魔から離れることで非在化する。
契約者(コントラクタ)
悪魔と「契約」を結んだ人間のこと。使い魔を従え、それに守られる。契約者の心が悪魔から離れると、悪魔の「非在化」を引き起こしてしまう。
使い魔(ドウター)
雌型の悪魔が契約者に与える力の具現化した象徴として、契約者に従属する獣。悪魔の属性によって様々な特殊能力を有し、機巧魔神に匹敵する戦闘力を持つ。初めて人間と契約(性行為)を結んだ雌型悪魔だけが、異世界(ヒルベルト空間)から自分の分身として使い魔を召喚できる(即ち悪魔1人につき1体のみ)。幼体と成体の2つの形態があり、成長の条件は不明であるが、親の悪魔と契約者の関係が悪いとなかなか成長しないようである。契約者に見捨てられた使い魔を「はぐれ眷属(ロスト・チャイルド)」と呼ぶ
魔精霊(サノバ・ジン)
雄型の悪魔が自身の魔力から生み出し操る、生物に似た魔力の塊。生み出した悪魔の能力がそのまま反映される模様。
使い魔とは異なり意思は持たず、複数体の同時召喚も可能で、大きさも小鳥サイズからリムジン大まで様々。
作中では登場した魔精霊は以下の通り。
  • 鳳島蹴策の魔精霊
鳳島蹴策が操る4枚の翼をもつ氷の妖鳥。冷気による空気の収束を利用しジャットエンジンのような加速が可能で、瞬間的には人を乗せたままでも航空中のジェット旅客機にさえ追いつけるほど。
  • 夏目智春の魔精霊
一巡目に渡り悪魔化した二巡目世界の夏目智春が操る漆黒の妖鳥。乗せた魔力に応じて触れた対象と対消滅する能力を持つ。魔法攻撃に対する抵抗力が高い使い魔などには高い効果を発揮できないものの、量産機(カーバイド)程度ならば容易く飲み込み消滅させる。爆発による衝撃や炎に対しても有効。智春が二巡目の世界に帰還した際に人間に戻ったため、この力も同時に失われた。

アスラ・クライン

魔神相剋者(アスラ・クライン)
機巧魔神と使い魔、本来相反し打ち滅ぼし合う筈の2つの力を手に入れた危険な存在。演操者であり契約者でもある。演操者と契約者、どちらの立場から見ても本来の在り方とは違うイレギュラーであり、世界の仕様の裏をついた存在。
洛高第一生徒会は特にこれを認めていない(佐伯玲士郎らが嵩月奏と夏目智春を特に危険視しているのはこの為である)。
魔神相剋者の機巧魔神と使い魔は互いに共鳴し魔力を無限に増幅させるため、その機巧魔神や使い魔は通常の個体よりも遥かに強い力を発揮する。この状態を「慟哭する魔神(クライング・アスラ)」と呼ぶ。

その他

殺人人形(ウィジェット)
遠隔操作が可能な機械仕掛けの脳波で操る機械人形。洛高第二生徒会、本編中では主に真日和が使用する。そこそこ高価な品で、六夏によれば、16体分で「スポーツカーの新車がポンと買える」程の金額になるらしい。
護法装甲 / 護法弾頭
祝福法儀などの術式で強化された装甲及び弾頭。機巧魔神の外装などは護法装甲である。これによって強度を上げたものは非常に強靭で、通常の手段では破壊する事は困難である。
護法弾頭には銃弾、榴弾、徹甲弾などが有り、「座天使級」など天使の階級名で威力がランク付けされている。強力なものになると所持や使用には許可が必要となるらしい。
機巧偶人(ガジェット)
炫塔貴也が引きこもったまま自由に外を出歩く為に黒科学の技術を使い作り上げた脳波で操る機械人形。見た目は非常に不細工なコアラのヌイグルミ。射影体と同様の擬似感覚入出力デバイスで、塔貴也と五感を共有している。もちろん喋れるし痛覚も持つ。センサーにより結界等を感知したり、飛行機の操縦まで行えたりとかなり高性能。塔貴也はこの姿で智春達に同行することが多かったせいか、操緒はこのコアラ人形自体を部長と認識している節がある。
ジョニーさん
ある害虫の隠語。女性陣は(智春も)これが大の苦手で、特に奏は暴走して爆炎を放ち、周囲に多大な被害を出してしまうほど。
これに偽装した機械人形(擬似感覚入出力デバイス)が水無神家や鳴桜邸などを徘徊し、何者かが水無神環緒の居所を探していた模様。

以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。


既刊一覧

小説
巻数 / タイトル 初版発行日付 ISBN
1 アスラクライン 2005年7月25日 ISBN 978-4-8402-3090-2
2 アスラクライン 2 夜とUMAとDカップ 2005年10月25日 ISBN 978-4-8402-3179-4
3 アスラクライン 3 やまいはきから 2006年2月25日 ISBN 978-4-8402-3308-8
4 アスラクライン 4 秘密の転校生のヒミツ 2006年6月25日 ISBN 978-4-8402-3449-8
5 アスラクライン 5 洛高アンダーワールド 2006年9月25日 ISBN 978-4-8402-3550-1
6 アスラクライン 6 おしえて生徒会長! 2007年1月25日 ISBN 978-4-8402-3685-0
7 アスラクライン 7 凍えて眠れ 2007年5月25日 ISBN 978-4-8402-3842-7
8 アスラクライン 8 真夏の夜のナイトメア 2007年8月25日 ISBN 978-4-8402-3934-9
9 アスラクライン 9 KLEIN Re-MIX 2007年12月25日 ISBN 978-4-8402-4118-2
10 アスラクライン 10 科學部カイメツ 2008年6月10日 ISBN 978-4-04-867088-3
11 アスラクライン 11 めぐりあい異世界 2008年10月10日 ISBN 978-4-04-867267-2
12 アスラクライン 12 世界崩壊カウントダウン 2009年4月10日 ISBN 978-4-04-867763-9
13 アスラクライン 13 さくらさくら 2009年11月10日 ISBN 978-4-04-868242-4
漫画
巻数 初版発行日付 ISBN
1 アスラクライン 1 2009年3月初版発行 ISBN 978-4-04-867715-8
2 アスラクライン 2 2009年9月初版発行 ISBN 978-4-04-868110-0

テレビアニメ

2009年4月から6月(局によっては7月初旬)にかけて独立UHF系列BS11デジタルAT-Xにて放映。2009年10月1日からは第2期『アスラクライン2』の放映が開始された。なお、話数カウントは第1期から継続しており、第2期での初回放送は第14話(EX014)となる。

第1期は原作第7巻まで、第2期は第8巻以降のストーリーを元にしているが、以下のような変更点がある。

  • 一部キャラクターが登場しない、または登場時期が異なる。そのため、そのキャラクターがメインとなるエピソードが所々カット、わずかに関わる場合でも微修正が加えられている。
  • イグナイターの入手経路が異なる。

スタッフ

  • 監督:草川啓造
  • シリーズ構成:小出克彦(第1期)、赤尾でこ(第2期)
  • キャラクター原案:和狸ナオ
  • キャラクターデザイン:小森篤
  • メカデザイン:福島秀機
  • メカ総作監:小田裕康
  • 美術監督:海津利子
  • 美術設定:青木薫
  • 色彩設計:篠原愛子
  • 撮影監督:北岡正
  • 音響監督:明田川仁
  • 音楽:田尻光隆
  • アニメーション制作:セブン・アークス
  • プロデューサー:中西豪、上村修、湯澤啓幸
  • 製作:洛高生徒会

主題歌

第1期

オープニングテーマ「Spiral」(第1話 - 第12話)
作詞 - atsuko、作曲 - atsuko・KATSU、編曲 - KATSU、歌 - angela
エンディングテーマ「Link」(第1話 - 第13話)
作詞 - atsuko、作曲 - atsuko・KATSU、編曲 - KATSU、歌 - angela
挿入歌「Spiral」(第13話)
歌 - angela

第2期

オープニングテーマ「オルタナティヴ」(第14話 - )
作詞 - atsuko、作曲 - atsuko・KATSU、編曲 - KATSU、歌 - angela
エンディングテーマ「彼方のdelight」(第14話 - )
作詞 - atsuko、作曲 - atsuko・KATSU、編曲 - KATSU、歌 - angela

各話リスト

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督
アスラクライン
EX001 機巧魔神(アスラ・マキーナ) 小出克彦 草川啓造 中山敦史 小森篤
EX002 未来に滅びるということ 小坂春女 孫承希 松村拓哉
EX003 科学の光が落とす影 斉藤良成 斉藤良成
(石山寛<補佐>)
EX004 行き場を無くした想い 下田正美 佐藤清光
(進藤有人)
EX005 交わり合う心と身体 赤尾でこ 櫻井美知代 奥野耕太 清水空翔
(七尾京)
(嵩本樹<補佐>)
(砂川正和<補佐>)
EX006 闇の向こうに浮かぶ贄(いけにえ) 東一 高橋秀弥 近岡直
EX007 無情な空に散った夢 小出克彦 福田道生 信田ユウ 竹谷徹平
EX008 災厄の王の末娘 赤尾でこ 登坂晋 相坂ナオキ
EX009 存在するはずのない禁忌の存在 高橋ナツコ 西本由紀夫 岸川寛良 内原茂
高橋敦子
EX010 刻の鎖につながれて 小出克彦 福田道生 友岡新平
EX011 隣にいてくれる日常と非日常 赤尾でこ 小平麻紀 八尋裕子
鈴木美音織<補佐>
EX012 世界が枯れるまで 坂田純一 奥野耕太 小田裕康
石山寛
EX013 呪われた罪人の烙印 小出克彦 草川啓造
福田道生
小平麻紀<br />草川啓造 小森篤
アスラクライン2
EX014 消滅の世界と記憶の残骸 赤尾でこ 草川啓造 玉田博 小田裕康
小森篤
EX015 悪魔に喰われた副葬処女 櫻井美知代 小林浩輔 坂本龍典
宮井加奈
EX016 自由で不自由な選択肢 小平麻紀 矢花馨 相坂ナオキ
EX017 生け贄の名を喚ぶ代償 福田道生 内山まな
天野久児
井口忠一
(砂川正和<補佐>)
EX018 愛と魔力のせつない関係 高橋ナツコ 坂田純一 玉田博 南慎一郎
EX019 君に捧ぐ真実 赤尾でこ 中山岳洋 小林浩輔 池田広明
坂本龍典
西野沙忠
EX020 カイメツの刻 ショウメツの闇 高橋ナツコ 福田道生 小平麻紀
信田ユウ
七星京
(井口忠一<補佐>)
(竹谷徹平<補佐>)
EX021 思い出の消えた未来 鴻野貴光 登坂晉 宮崎修治
(山口飛鳥<補佐>)
(牛島希<補佐>)
(山崎輝彦<補佐>)

放送局

放送地域 放送局 放送期間(第1期) 放送日(第2期) 放送日時 放送区分 備考
日本全域 AT-X 2009年4月2日 - 6月25日 2009年10月1日 - 木曜 09時30分 - 10時00分
(リピート放送あり)
CSチャンネル
神奈川県 tvk 2009年4月4日 - 6月27日 2009年10月3日 - 土曜 24時30分 - 25時00分 独立UHF局
千葉県 チバテレビ 2009年4月5日 - 6月28日 2009年10月4日 - 日曜 23時30分 - 24時00分
埼玉県 テレ玉 日曜 25時00分 - 25時30分
兵庫県 サンテレビ 2009年4月6日 - 6月29日 2009年10月5日 - 月曜 24時00分 - 24時30分
東京都 TOKYO MX 月曜 25時30分 - 26時00分
愛知県 テレビ愛知 2009年4月7日 - 6月30日 2009年10月6日 - 火曜 25時28分 - 25時58分 テレビ東京系列
京都府 KBS京都 2009年4月8日 - 2009年10月7日 - 水曜 25時00分 - 25時30分 独立UHF局
日本全域 BS11 2009年4月10日 - 7月3日 2009年10月9日 - 金曜 24時30分 - 25時00分 BS放送 ANIME+』枠

Webラジオ

テレビアニメ『アスラクライン』に関連したWebラジオ『カミラジオ!』として、プレ放送(2009年5月8日)を経て、2009年5月20日より配信されている。

1度終了してしまったが復活した(という設定で)『カミラジオ!』が、なぜ、「一巡目の世界」では終了してしまったのか、打ち切りを回避するために、「二巡目の世界」の人々(リスナー)とともに、「一巡目の世界」とその頃の『カミラジオ!』の謎を紐解いてゆく。

パーソナリティ
コーナー
カミメール!
「ふつおた」の募集。
一巡目の記憶
一巡目のラジオがどのようなものだったかを回想するコーナー。
二巡目ざんげ
日常あるいは一巡目での失敗を懺悔するコーナー。
ハンドラーのリスト
500円で買えるワンコインマキーナをパーソナリティが持ち寄り、
プレゼン勝負をするコーナーです。
本日のイクストラクタ
パーソナリティに対して、お題を募集する。
ゲスト
配信リスト
  • 第00回(2009年05月08日)「プレ放送をお届けマキーナ」
  • 第01回(2009年05月20日)「リンゴの皮むきマキーナ!」
  • 第02回(2009年05月27日)「かたかな禁止・・・・!」
  • 第03回(2009年06月03日)「お誕生日をお祝いマキーナ!!」
  • 第04回(2009年06月10日)「癒しが満載マキーナ!!」
  • 第05回(2009年06月17日)「折り方教室をお届けマキーナ!」
  • 第06回(2009年06月24日)「関西弁でしゃべりマキーナ」
  • 第07回(2009年07月01日)「願いを書きマキーナ」
  • 第08回(2009年07月08日)「インパクトが足りないマキーナ?」
  • 第09回(2009年07月15日)「声をそろえて、いただきマキーナ!!」
  • 第10回(2009年07月22日)「…入れ替わりマキーナ!?」
  • 第11回(2009年07月29日)「我輩は…アクマキーナ?」
  • 第12回(2009年08月05日)「暑中見舞い申し上げマキーナ!」
  • 第13回(2009年08月12日)「あいぽん遂にキレマキーナ!?」
  • 第14回(2009年08月19日)「入野自由の みゆージック!?」
  • 第15回(2009年08月26日)「絶望しマキーナ!!」
  • 第16回(2009年09月02日)「…何か挟まってマキーナ?」
  • 第17回(2009年09月09日)「陸が見えマキーナ!!」
  • 第18回(2009年09月16日)「SHIGOの世界でユニット結成しマキーナ!?」
  • 第19回(2009年09月30日)「覚えてマキーナ? あの夏の日のことを…」
  • 第20回(2009年10月07日)「“チューヘル”って知ってナーマキ!?」
  • 第21回(2009年10月14日)「なんで毛糸を入れマキーナ!?」
  • 第22回(2009年10月21日)「「強豪国」って言えマキーナ…TдT」
  • 第23回(2009年10月28日)「岩手とカナダからいらっしゃいマキーナ!!」
  • 第24回(2009年11月04日)「お金のご利用は計画的にしマキーナ」

関連項目

出典・脚注

  1. ^ a b c d e f 一部「アスラクライン・ヒロインズ」より抜粋。ただし操緒の血液型のみ誤植あり(「ヒロインズ」ではO型と表記)。
  2. ^ 第5巻の口絵では「沙原ひかる」となっているが、これは誤植。
  3. ^ 出典に関しては、本作の9巻あとがき及び『けんぷファー』5巻あとがきを参照。

外部リンク