コンテンツにスキップ

「チベット語のカタカナ表記について」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
後置字と母音の変化の表を記事に収録
m編集の要約なし
85行目: 85行目:


== 表 ==
== 表 ==
===1. 語頭子音と母音結合の基字===
===1. 語頭子音と母音結合===
====「ka」、「kha」、「ga」、「nga」の用例====
====「ka」、「kha」、「ga」、「nga」の用例====
→[[チベット語のカタカナ表記について#1. 語頭子音と母音結合|記事本文にもどる]]
→[[チベット語のカタカナ表記について#1. 語頭子音と母音結合|記事本文にもどる]]
286行目: 286行目:




===2. 終止子音およびそれに伴う母音の変化記事===
===2. 終止子音およびそれに伴う母音の変化」の表===
====「第1群」の用例====
====「第1群」の用例====
→[[チベット語のカタカナ表記について#2. 終止子音およびそれに伴う母音の変化記事|記事本文にもどる]]
→[[チベット語のカタカナ表記について#2. 終止子音およびそれに伴う母音の変化|記事本文にもどる]]
{| class="wikitable"
{| class="wikitable"
!群
!群

2009年12月2日 (水) 03:07時点における版

チベット語のカタカナ表記について」は、今枝由郎によって2005年に提案された、チベット語カタカナ表記するための転写方式。

仏教学者の小野田俊蔵の原案に「部分的な修正・追加をほどこしたもの」で、「チベット語の人名、地名、固有名詞などを、できるだけ日本人に抵抗のない形で日本語に定着させることを念頭において(中略)作った」とされ[1]、今枝が訳者となったロラン・デエ『チベット史』の巻末付録として最初に発表された[2]。提案者の今枝は、チベットブータン中世史の研究者で、ゾンカ語(チベット語の南方方言でブータンの国語)テキストの著作もある。

特徴と構成

チベット文字は、元来は表音文字として7世紀ごろに制定されたが、時代がくだるにつれ、綴りと発音の乖離がいちじるしくなった。そのため、諸外国語によるチベット語の転写方式には、大別して発音を写そうとするものと、文字のつづりを写そうとするものが生じることとなった[3]。本転写方式は、「おおむね現在の中央チベットラサ方言の発音を基準」としてカナ転写するための基準」である[4]

「チベット文字の綴り」を「おおむね現在の中央チベットのラサ方言の発音を基準」としてカナ転写するための基準であり、この転写方式を用いるにあたっては、使用者がチベット語とチベット文字の綴り字についての知識を持ち、カナ転写したいチベット語の単語のチベット文字による綴りが判明していることが必須である。

本転写方式では、伝統的な配列の順序に則してチベット文字の綴り字と対応するカナ転写が提示されている(1.を参照)。ただし、添後字・再添後字については2.に、母音で終わる音節に前置字・接頭字を持つ音節が続く場合の音韻変化については3.に、まとめて切り分けられている。

1. 語頭子音と母音結合

ka kha ga nga ca cha ja nya
ta tha da na pa pha ba ma
tsa tsha dza wa zha za 'a ya
ra la sha sa ha a - -

2. 終止子音およびそれに伴う母音の変化

____事____例____  発音 用例
1群 -g, -gs -ク(発音されないこともある) 用例
-ng, -ngs -ン 用例
-b, -bs -プ 用例
-m, -ms -ム 用例
-r -ル 用例
2群 -' (発音されない) 用例
3群 -n -ン(先行する母音はア段がエ段に変わり、ウ段はそのまま、オ段は原則的にそのままであるが、ウ段に変わる場合もある) 用例
3群 -l -ル(先行する母音はア段がエ段に変わり、ウ段はそのまま、オ段は原則的にそのままであるが、ウ段に変わる場合もある) 用例
4群 -d 発音されないで、先行する母音はア段がエ段に変わり、ウ段はそのまま、オ段は原則的にそのままであるが、ウ段に変わる場合もある。また、母音は時として長音化する。 用例
4群 -s 発音されないで、先行する母音はア段がエ段に変わり、ウ段はそのまま、オ段は原則的にそのままであるが、ウ段に変わる場合もある。また、母音は時として長音化する。 用例
原則 用例
主に母音で終わる音節に、前置字・接頭字を持った音節が続く場合に起こる 用例

4. 意味上のまとまりをいかに区切るか

2005年版では「人名、地名、署名等で数音節に及ぶものは、意味上のまとまりを区切りに、・(中黒)を挿入した」と述べ、8つの用例が示されている。

収録

  1. ^ 「チベット語のカタカナ表記について」、掲載はこちらを参照。p.66, ll.14-16.
  2. ^ こちらを参照
  3. ^ 詳細は「チベット語」を参照。後者の1例として「ワイリー方式」がある。
  4. ^ 「チベット語のカタカナ表記について」、掲載はこちらを参照。p.66, ll.17-18.


「1. 語頭子音と母音結合」の表

「ka」、「kha」、「ga」、「nga」の用例

記事本文にもどる

ka ka ki ku ke ko
kya キャ kyi kyu キュ kye キェ kyo キョ
kra kri ティ kru トゥ kre kro
kla kli klu kle klo
kwa kwi kwu kwe kwo
dkya キャ dkyi dkyu キュ dkye キェ dkyo キョ
dkra dkri ティ dkru トゥ dkre dkro
bka bki bku bke bko
bkya キャ bkyi bkyu キュ bkye キェ bkyo キョ
bkra bkri ティ bkru トゥ bkre bkro
bkla bkli bklu bkle bklo
rka rki rku rke rko
lka lki lku lke lko
ska ski sku ske sko
rkya キャ rkyi rkyu キュ rkye キェ rkyo キョ
skya キャ skyi skyu キュ skye キェ skyo キョ
skra skri ティ skru トゥ skre skro
brka brki brku brke brko
brkya キャ brkyi brkyu キュ brkye キェ brkyo キョ
bskra bskri ティ bskru トゥ bskre bskro
kha kha khi khu khe kho
khya キャ khyi khyu キュ khye キェ khyo キョ
khra khri ティ khru トゥ khre khro
khwa kgwi khwu khwe khwo
mkha mkhi mkhu mkhe mkho
mkhya キャ mkhyi mkhyu キュ mkhye キェ mkhyo キョ
mkhra mkhri ティ mkhru トゥ mkhre mkhro
'kha 'khi 'khu 'khe 'kho
'khya キャ 'khyi 'khyu キュ 'khye キェ 'khyo キョ
'khra 'khri ティ 'khru トゥ 'khre 'khro
ga ga gi gu ge go
gya キャ gyi gyu キュ gye キェ gyo キョ
gra gri ティ gru トゥ gre gro
gla gli glu gle glo
gwa gwi gwu gwe gwo
dga dgi dgu dge dgo
dgya ギャ dgyi dgyu dgye ギェ dgyo ギョ
dgra dgri ディ dgru ドゥ dgre dgro
bga bgi bgu bge bgo
bgya ギャ bgyi bgyu bgye ギェ bgyo ギョ
bgra bgri ディ bgru ドゥ bgre bgro
rga rgi rgu rge rgo
lga lgi lgu lge lgo
sga sgi sgu sge sgo
rgya ギャ rgyi rgyu rgye ギェ rgyo ギョ
sgya ギャ sgyi sgyu sgye ギェ sgyo ギョ
sgra sgri ディ sgru ドゥ sgre sgro
brga brgi brgu brge brgo
brgya ギャ brgyi brgyu brgye ギェ brgyo ギョ
bsga bsgi bsgu bsge bsgo
bsgya ギャ bsgyi bsgyu bsgye ギェ bsgyo ギョ
bsgra bsgri ディ bsgru ドゥ bsgre bsgro
nga nga ngi ngu nge ngo
dnga dngi dngu dnge dngo
rnga rngi rngu rnge rngo
lnga lngi lngu lnge lngo
snga sngi sngu snge sngo
brnga brngi brngu brnge brngo
bsnga bsngi bsngu bsnge bsngo
mnga mngi mngu mnge mngo


「ca」、「cha」、「ja」、「nya」の用例

記事本文にもどる

ca ca チャ ci cu チュ ce チェ co チョ
cwa チャ cwi cwu チュ cwe チェ cwo チョ
gca チャ gci gcu チュ gce チェ gco チョ
bca チャ bci bcu チュ bce チェ bco チョ
lca チャ lci lcu チュ lce チェ lco チョ
cha cha チャ chi chyu チュ che チェ cho チョ
mcha チャ mchi mchu チュ mche チェ mcho チョ
'cha チャ 'chi 'chu チュ 'che チェ 'cho チョ
ja ja チャ ji ju チュ je チェ jo チョ
rja ジャ rji rju ジュ rje ジェ rjo ジョ
lja ジャ lji lju ジュ lje ジェ ljo ジョ
mja ジャ mji mju ジュ mje ジェ mjo ジョ
'ja ジャ 'ji 'ju ジュ 'je ジェ 'jo ジョ
brja ジャ brji brju ジュ brje ジェ brjo ジョ
nya nya ニャ nyi nyu ニュ nye ニェ nyo ニョ
nywa ニャ nywi nywu ニュ nywe ニェ nywo ニョ
gnya ニャ gnyi gnyu ニュ gnye ニェ gnyo ニョ
mnya ニャ mnyi mnyu ニュ mnye ニェェ mnyo ニョ
rnya ニャ rnyi rnyu ニュ rnye ニェ rnyo ニョ
snya ニャ snyi snyu ニュ snye ニェ snyo ニョ
brnya ニャ brnyi brnyu ニュ brnye ニェ brnyo ニョ
bsnya ニャ bsnyi bsnyu ニュ bsnye ニェ bsnyo ニョ


「2. 終止子音およびそれに伴う母音の変化」の表

「第1群」の用例

記事本文にもどる

事例 発音
1群 -g, -gs -ク - - -
gnag ナク g-yag ヤク bdag ダク gcig
gzigs 'jug ジュク tsheg ツェク thog トク
1群 -ng, -ngs -ン - - - - -
dbang ワン snying ニン gzhung シュン steng テン
stong トン rdzong ゾン        
1群 -b, -bs -プ - - - - -
khab カプ skabs カプ zhib シプ nub ヌプ
deb テプ sleb レプ gseb セプ thob トプ  
1群 -m, -ms -ム - - - - -
gnam ナム byams チャム rim リム gsum スム
yum ユム bem ペム khrom トム goms コム  
1群 -r -ル - - - - -
mar マル gcir チル zur スル mgur グル
gter テル sger ゲル khor コル