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'''対艦誘導弾'''(たいかんゆうどうだん)は[[日本]]が独自開発し、[[自衛隊]]が制式採用した[[対艦ミサイル]]の[[自衛隊用語|日本語名]]である
'''対艦誘導弾'''(たいかんゆうどうだん)は[[自衛隊]]をはじめとする政府機関、文書における[[対艦ミサイル]]の公称


== 空対艦誘導弾 ==
== 空対艦誘導弾 ==
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=== ASM-1 ===
=== ASM-1 ===
式名'''80式空対艦誘導弾'''(はちまるしきくうたいかんゆうどうだん)。防衛庁(現 [[防衛省]])が開発した初の国産[[対艦ミサイル]]であり[[航空自衛隊]]が採用した
式名'''80式空対艦誘導弾'''(はちまるしきくうたいかんゆうどうだん)。防衛庁(現 [[防衛省]])が開発した初の国産[[対艦ミサイル]]。昭和48年開発開始、昭和54年開発完了


[[F-1支援戦闘機]]を発射母機とすることを前提に、同時開発されたもので、配備当時は[[ハープーン (ミサイル)|ハープーン]]に次いで射程が長い航空機搭載の[[空対艦ミサイル]]であった。[[F-4 (戦闘機)#日本|F-4EJ改戦闘機]]および[[F-2支援戦闘機|F-2戦闘機]]も携行能力を持つ
[[F-1支援戦闘機]]を発射母機とすることを前提に、同時開発されたもので、配備当時は[[ハープーン (ミサイル)|ハープーン]]に次いで射程が長いとされた。[[F-4 (戦闘機)#日本|F-4EJ改戦闘機]]および[[F-2支援戦闘機|F-2戦闘機]]運用される


* 全長:4[[メートル]]
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=== ASM-1C ===
=== ASM-1C ===
式名'''91式空対艦誘導弾'''(きゅうひとしきくうたいかんゆうどうだん)。
式名'''91式空対艦誘導弾'''(きゅうひとしきくうたいかんゆうどうだん)。


[[上自衛隊]]の対艦誘導弾[[#SSM-1B|SSM-1B]]の改良、[[P-3 (航空機)|P-3C哨戒機]]が携行する。航空機から発射ため初期加速用のロケットモーターを装備していない。
[[上自衛隊]]の対艦誘導弾[[#SSM-1|SSM-1]]の航空機発射。昭和61年開発開始平成2年開発完了。海上自衛隊の[[P-3 (航空機)|P-3C哨戒機]]で運用される。航空機から発射されるため、不要となった初期加速用のロケットモーターを装備しない。
*全長:4メートル
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*直径:0.35メートル
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=== ASM-2 ===
=== ASM-2 ===
式名'''93式空対艦誘導弾'''(きゅうさんしきくうたいかんゆうどうだん)。ASM-1の改良型で航空自衛隊が採用し、F-4EJ改よびF-2に搭載して撃する
式名'''93式空対艦誘導弾'''(きゅうさんしきくうたいかんゆうどうだん)。昭和63年開発開始、平成4年開発完了。ASM-1の改良型。ASM-1のロケットモーターからターボジェットへ変更したこと大幅な射程の延伸を果たした。また誘導方式を赤外線としたことでECMを無効とし、赤外線画像による個艦識別や命中箇所の選択も可能といわれる。退役したF-1にいても運用可能であったが、F-1のレーダーやFCSではASM-2程を生かせなかったため、F-2の制式採用前は主にF-4EJ改で運用された
*全長:4メートル
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*直径:0.35メートル
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=== XASM-3 ===
=== XASM-3 ===
ASM-1の後継となるミサイル。速力・命中率・[[ECCM]]力・射程距離等の面でASM-1を大幅に超える事計画されている。
ASM-1ならびにASM-2の後継となるミサイル。高性な対空火器搭載されている敵戦闘艦艇に対して、より効果的な対処を可能とするために開発される。


推進システムには[[ラムジェットエンジン]]と[[ロケットエンジン]]を組み合わせた、インテグラルロケットラムジェット(IRR)と呼ばれるシステムを採用し超音速飛翔能力を獲得する。また、[[ステルス (軍事)|ステルス性]]も考慮した弾体形状となる予定である
推進システムには[[ラムジェットエンジン]]と[[ロケットエンジン]]を組み合わせた、インテグラルロケットラムジェット(IRR)と呼ばれるシステムを採用し超音速飛翔能力を獲得する。また、[[ステルス (軍事)|ステルス性]]も考慮した弾体形状となるとされた


平成4年から研究試作が始められ、平成15年度からの研究開発への移行を目指したが予算が認められず、要素研究のみが継続された。平成22年度からの研究開発予算が請求されており、認められれば平成28年まで開発が行われる予定である。
実用化されればF-2および[[F-X (航空自衛隊)#現在のF-X (第4次F-X)|次期戦闘機F-X]]等に搭載しての運用が予定される。


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== 地対艦誘導弾 ==
== 地対艦誘導弾 ==
地上内陸から海上の艦艇を攻撃するミサイルである。
から海上の艦艇を攻撃するミサイルである。


=== SSM-1 ===
=== SSM-1 ===
式名'''88式地対艦誘導弾'''(はちはちしきちたいかんゆうどうだん)、愛称シーバスター。ASM-1の改良型で[[陸上自衛隊]]がしている[[地対艦ミサイル]]。ミサイル車、射撃統制装置車両[[レーダー]]搭載車等で構成され、射撃時には分離運用される。
式名'''88式地対艦誘導弾'''(はちはちしきちたいかんゆうどうだん)。陸上自衛隊の略称はSSM。2000年10月に防衛庁(当時)が公募し2001年4月に採用した愛称シーバスター。昭和57年開発開始、昭和63年開発完了。[[陸上自衛隊]]がる[[地対艦ミサイル]]。発射機、指揮統制装置、射撃統制装置、捜索標定レーダ装置などで構成される。ASM-1の改良型でターボジェットによる長射程を生かし、海岸線付近に進出した捜索標定レーダ装置の射撃データを内陸部に配置された指揮統制装置に送り、射撃統制装置がミサイルに発射指示を下すという世界でも例を見ない構成を採る。発射されたミサイルは地形に沿って飛行して被発見率を下げるほか、発射陣地を秘匿するように経路をプログラムされる。高度なECCM能力や、ミサイルの同着弾、特定目標に集中しないための独特の目標選択アルゴリズムを持つといわれる。最盛期には6個[[地対艦ミサイル連隊]]が整備されたが、新防衛大綱では3個連隊に縮小される見通しである。
*全長:5[[メートル]]
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*直径:0.35[[メートル]]
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=== SSM-1B ===
=== SSM-1B ===
式名'''90式艦対艦誘導弾'''(きゅうまるしきかんたいかんゆうどうだん)。SSM-1の改良型で、[[ハープーン (ミサイル)|ハープーン]][[ランチャー]]に置き換えて装備・運用できるように配慮された[[艦対艦ミサイル]]。[[海上自衛隊]]の[[むらさめ型護衛艦|むらさめ型]]、[[たかなみ型護衛艦|たかなみ型]]、[[あたご型護衛艦|あたご型]][[護衛艦]]・[[はやぶさ型ミサイル艇|はやぶさ型]][[ミサイル艇]]等が搭載している。[http://mmsdf.sakura.ne.jp/public/glossary/pukiwiki.php?plugin=ref&page=80%BC%B0%B6%F5%C2%D0%B4%CF%CD%B6%C6%B3%C3%C6&src=wepon016.jpg 画像]
式名'''90式艦対艦誘導弾'''(きゅうまるしきかんたいかんゆうどうだん)。昭和61年開発開始、平成元年開発完了。SSM-1の改良型で、[[ハープーン (ミサイル)|ハープーン]][[ランチャー]]に置き換えて装備・運用できるように配慮された[[艦対艦ミサイル]]。[[海上自衛隊]]の[[むらさめ型護衛艦|むらさめ型]]、[[たかなみ型護衛艦|たかなみ型]]、[[あたご型護衛艦|あたご型]][[護衛艦]]・[[はやぶさ型ミサイル艇|はやぶさ型]][[ミサイル艇]]等が搭載している。[http://mmsdf.sakura.ne.jp/public/glossary/pukiwiki.php?plugin=ref&page=80%BC%B0%B6%F5%C2%D0%B4%CF%CD%B6%C6%B3%C3%C6&src=wepon016.jpg 画像]
*全長:5[[メートル]]
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*直径:0.35[[メートル]]
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2010年1月16日 (土) 21:54時点における版

対艦誘導弾(たいかんゆうどうだん)は自衛隊をはじめとする政府機関、文書における対艦ミサイルの公称。

空対艦誘導弾

航空機に搭載して艦艇を攻撃するミサイルである。

ASM-1

制式名80式空対艦誘導弾(はちまるしきくうたいかんゆうどうだん)。防衛庁(現 防衛省)が開発した初の国産対艦ミサイル。昭和48年開発開始、昭和54年開発完了。

F-1支援戦闘機を発射母機とすることを前提に、同時開発されたもので、配備当時はハープーンに次いで射程が長いとされた。F-4EJ改戦闘機およびF-2戦闘機でも運用される。

ASM-1C

制式名91式空対艦誘導弾(きゅうひとしきくうたいかんゆうどうだん)。

陸上自衛隊の地対艦誘導弾SSM-1の航空機発射型。昭和61年開発開始、平成2年開発完了。海上自衛隊のP-3C哨戒機で運用される。航空機から発射されるため、不要となった初期加速用のロケットモーターを装備しない。

ASM-2

制式名93式空対艦誘導弾(きゅうさんしきくうたいかんゆうどうだん)。昭和63年開発開始、平成4年開発完了。ASM-1の改良型。ASM-1のロケットモーターからターボジェットへ変更したことで大幅な射程の延伸を果たした。また誘導方式を赤外線としたことでECMを無効とし、赤外線画像による個艦識別や命中箇所の選択も可能といわれる。退役したF-1においても運用可能であったが、F-1のレーダーやFCSではASM-2の射程を生かせなかったため、F-2の制式採用前は主にF-4EJ改で運用された。

  • 全長:4メートル
  • 直径:0.35メートル
  • 射程:150キロメートル(推定)
  • 最大速力:1150km/h
  • 弾頭重量:220kg
  • 動力:ターボジェットエンジン
  • 最終誘導方式:赤外線画像ホーミング

XASM-3

ASM-1ならびにASM-2の後継となるミサイル。高性能な対空火器が搭載されている敵戦闘艦艇に対して、より効果的な対処を可能とするために開発される。

推進システムにはラムジェットエンジンロケットエンジンを組み合わせた、インテグラルロケットラムジェット(IRR)と呼ばれるシステムを採用し超音速飛翔能力を獲得する。また、ステルス性も考慮した弾体形状となるとされた。

平成4年から研究試作が始められ、平成15年度からの研究開発への移行を目指したが予算が認められず、要素研究のみが継続された。平成22年度からの研究開発予算が請求されており、認められれば平成28年まで開発が行われる予定である。

地対艦誘導弾

陸上から海上の艦艇を攻撃するミサイルである。

SSM-1

制式名88式地対艦誘導弾(はちはちしきちたいかんゆうどうだん)。陸上自衛隊の略称はSSM。2000年10月に防衛庁(当時)が公募し、2001年4月に採用した愛称はシーバスター。昭和57年開発開始、昭和63年開発完了。陸上自衛隊が運用する地対艦ミサイル。発射機、指揮統制装置、射撃統制装置、捜索標定レーダ装置などで構成される。ASM-1の改良型で、ターボジェットによる長射程を生かし、海岸線付近に進出した捜索標定レーダ装置の射撃データを内陸部に配置された指揮統制装置に送り、射撃統制装置がミサイルに発射指示を下すという世界でも例を見ない構成を採る。発射されたミサイルは地形に沿って飛行して被発見率を下げるほか、発射陣地を秘匿するように経路をプログラムされる。高度なECCM能力や、ミサイルの同時着弾、特定目標に集中しないための独特の目標選択アルゴリズムを持つといわれる。最盛期には6個地対艦ミサイル連隊が整備されたが、新防衛大綱では3個連隊に縮小される見通しである。

  • 全長:5メートル
  • 直径:0.35メートル
  • 射程:150~200キロメートル(推定)
  • 動力:(射出時)ロケットモーター+ターボジェットエンジン
  • 最大速力:1150km/h
  • 弾頭重量:270kg
  • 最終誘導方式:レーダーホーミング

艦対艦誘導弾

艦艇に搭載し、海上で敵艦艇を攻撃するミサイルである。

SSM-1B

制式名90式艦対艦誘導弾(きゅうまるしきかんたいかんゆうどうだん)。昭和61年開発開始、平成元年開発完了。SSM-1の改良型で、ハープーンランチャーに置き換えて装備・運用できるように配慮された艦対艦ミサイル海上自衛隊むらさめ型たかなみ型あたご型護衛艦はやぶさ型ミサイル艇等が搭載している。画像

  • 全長:5メートル
  • 直径:0.35メートル
  • 射程:150~200キロメートル(推定)
  • 動力:ロケットモーター+ターボジェットエンジン
  • 最大速力:1150km/h
  • 弾頭重量:260kg
  • 海上飛行高度:5~6メートル
  • 最終誘導方式:レーダーホーミング

登場する作品

関連項目

外部リンク