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2010年4月29日 (木) 03:37時点における版
セイヨウリンゴ | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Malus pumila | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
リンゴ(林檎) | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Apple |
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/c0/Rosaceae_Malus_pumila_Malus_pumila_Var_domestica_Apples_Fuji.jpg/200px-Rosaceae_Malus_pumila_Malus_pumila_Var_domestica_Apples_Fuji.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/5f/Apple_Farm.jpg/200px-Apple_Farm.jpg)
リンゴ(林檎、苹果、学名:Malus pumila)は、バラ科リンゴ属の落葉高木樹。また、その果実のこと。植物学ではセイヨウリンゴと呼ぶ。
植物学上の特徴
原産地はカザフスタン南部、キルギスタン、タジキスタン、中国の新疆ウイグル自治区など中央アジアの山岳地帯、カフカスから西アジアにかけての寒冷地だといわれている。現在、日本で栽培されているものは、明治時代以降に導入されたもの。病害抵抗性、食味、収量などの点から品種改良が加えられ、現在7500以上の品種が栽培されている。亜寒帯、亜熱帯及び温帯で栽培可能だが、暑さに弱いため熱帯での栽培は難しい。
リンゴの木は落葉高木で晩春頃に白い5弁花が開花する。リンゴの果実は直径約3 - 15cm、重さ約35 - 1000gで、色は赤や緑色をしており、熟すると蝋状の分泌物に覆われる。
栽培法と品種
栽培法
リンゴに限らず商品価値の高い果実を収穫するためには、開花直前から開花時期に優位な花を残す「花摘み」、結実後30日程度を目安に実を間引く「摘果」作業が必要。 リンゴには果実に袋をかける有袋栽培とかけない無袋栽培がある。無袋の方が日光が多くあたり糖度も上がるが、ふじ等の一部の品種は果実の色を鮮やかにし商品価値を上げるため有袋栽培を行う。[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。また、有袋栽培には貯蔵性が向上する効果もあり、さび防止のためには遮光度の弱い袋を使用し、着色向上のためには遮光度の強い新聞紙や二重袋などを使用する。名称の頭に「サン」が付くリンゴは無袋で栽培されたことを示し 見栄えは悪いが甘く美味しいリンゴが収穫される。着色には太陽光が大きな役割を果たすため、果実の日当たりをよくするため摘葉および玉まわし(着色ぐあいを均一にするため、樹上の果実を回転させること)、太陽光を反射させるためのシートの敷設などが行われる(参考画像参照)。なお、これらの作業は農家にとって大きな負担となるため、近年では着色促進剤が使われることもあるが、着色系と呼ぶ色付きの優れた選抜亜種への更新も行われる。省作業になる「葉とらずリンゴ」は摘葉を行わない。樹形は矮性が主流となっている。近年は、花粉を媒介する昆虫の減少から、人手による人工授粉も広く行われている。また、摘花の省力化目的でギ酸カルシウム剤を散布する場合もある[1]。
樹形と台木
日本にリンゴ栽培が伝えられた頃と同様な伝統的な樹形で栽培する場合、台木はマルバカイドウが用いられる。矮性栽培法は、1975年頃より普及が始まった樹高を低くし矮性栽培を行う方法で、台木はM26、M9、JM7等を使用する[2] [3]。矮性栽培により、生産者の肉体的負担の軽減や農薬散布の機械化に大きく貢献した。
品種
2008年現在、登録品種は 163種[4] 。多くの有名品種は誕生年が古く、品種登録されていない。
富士りんご
「ふじ」は日本で最も一般的に栽培される品種で、日本国外にもさかんに輸出され、名前も日本同様「Fuji」の名で親しまれている。中国・北アメリカ・オーストラリアなどでの栽培も多く、世界的にも最も生産量の多い品種であることが2001年に米国人学者達による調査によって確認された。無袋で日光を十分に浴びさせて栽培したものは「サンふじ」の名で出荷される(「サンふじ」はJA全農長野の登録商標)[5]。早い時期に市場に出回る早生(わせ)ふじは同じ糖度の果実であっても甘みや酸味にばらつきがあり、見た目はふじの様ではあるが、ふじらしい食味がないことがあるので注意が必要である。その他、品種改良をし、小玉のふじ「姫ふじ(ひめふじ)」もある。
品種と特徴
品種名 | 誕生年 誕生地 |
元となる品種 | 収穫時期 | 特徴 | 備考 |
富士 (ふじ) |
1939年 青森県農林省園芸試験場東北支場 |
国光 × デリシャス |
10月中旬 - | 年間生産量約1230万tで、日本・世界的にも最も多く生産される品種。「新津宏」らにより1958年に「東北七号」と仮称命名され1962年に「ふじ」と命名された。品種名の由来は、育成地である青森県藤崎町(ふじさき)にちなみ、「富士山」にもかけている[6]。甘みが強く歯ごたえも良く日持ちもする。 | |
デリシャス | 1870年 アメリカアイオワ州 |
偶発実生 | 9月中旬 - 10月上旬 | 年間生産量約930万t。1913年に岡山県「花房省吾」の手によって日本に導入。 とされるが、1911年カリフォルニア州より北海道大学が導入[7]との説もある。 似た名前にゴールデンデリシャスがあるが、系統的には、無関係。 |
|
ゴールデンデリシャス | 1914年 アメリカウェストバージニア州 |
GrimesGolden × GoldenReinette |
9月中旬 - 10月上旬 | 年間生産量約880万t。1923年日本に導入された。 | |
王林 (おうりん) |
1952年 福島県大槻只之助 |
ゴールデンデリシャス × 印度 |
10月中旬 - | 緑色に斑点のついた外見が特徴の晩生品種で、香りと甘みが強い。 貯蔵性が非常に優れており、春先まで出荷される。 |
|
紅玉 (こうぎょく) 英名:Jonathan (ジョナサン) |
1800年頃 アメリカニューヨーク州リック農園 |
偶発実生 | 9月下旬 - 10月中旬 | 1871年に開拓使によって導入され、1900年に邦名を紅玉と命名された。 美味しいリンゴの代名詞として、国光とともに一世を風靡する。 その名の通り艶やかな深紅のリンゴで、やや小玉で酸味が強く果肉のきめは細かい。 芳香があり焼菓子(アップルパイ)などへの加工用途に用いられることが多い。 |
|
国光 (こっこう) |
アメリカバージニア州原産 | 不明 | 10月下旬 - | 1871年日本に導入、戦前から1950年代にかけては「紅玉」と並ぶ、日本ではもっともポピュラーな品種であった。 原名はRall's Janett. 果皮は黒ずんだ赤色で、果肉はかたく、甘みは少なく比較的さっぱりした味わい。 「ふじ」などの交配親として利用されたが、現在は黒石市でネット販売のみ。 |
|
津軽 (つがる) |
1930年 青森県りんご試験場 1975年 種苗登録 |
ゴールデンデリシャス × 紅玉 |
8月下旬 - 9月中旬 | 果汁が多く、甘みが強いが果肉は比較的柔らかい。 1970年に「青り2号」と仮称命名され、1973年に「つがる」と命名。 |
|
千秋 (せんしゅう) |
1966年 秋田県果樹試験場 1980年 種苗登録 |
東光 × ふじ |
9月中旬 - 10月中旬 | 果汁が多い深紅のリンゴ。千秋公園の名から品種名がとられた。 | [8] |
アルプス乙女 ( -おとめ) |
1964年 長野県松本市波多腰邦男 |
ふじ × ヒメリンゴ 偶発実生 |
9月下旬 - 11月中旬 | 最小級の大きさのミニりんご。実の重さは、30gほど。 | |
世界一 (せかいいち) |
1930年 青森県りんご試験場 |
デリシャス × ゴールデンデリシャス |
9月中旬 - 10月上旬 | 最大級の大きさ(500 - 1000gほど)の品種。 | |
印度 (いんど) |
1875年 弘前市 |
不明 | 9月中旬 - | 水分が少なく歯ごたえに欠けるが、甘味が強くて酸味はほとんどない。 戦後、高級リンゴとして出回ったが、他品種が広がると共に一時姿を消す。 2002年頃より再び出荷されるようになった。料理用として焼きリンゴに向く。 |
[9] |
旭 (あさひ) 英名:McIntosh (マッキントッシュ) |
1870年 カナダアラン・マッキントッシュ農園 |
偶発実生 | 10月中旬 | 北米ではポピュラーな品種。早生で強い芳香があるが、日持ちがしない。 日本では、ほとんど生産がされないが、積雪に強いことから北海道でわずかの農家で栽培されている。 アップルのパソコン「Macintosh」の名前の由来。 |
|
ジョナゴールド | 1943年 アメリカニューヨーク州立農業試験場 |
ゴールデンデリシャス × 紅玉 |
9月中旬 - 10月上旬 | 1970年に秋田県果樹試験場によって日本に導入された。 シャリシャリ感のある果肉で酸味と甘みのバランスが良く(比較的酸味が勝る)、生食の他、酸味がある為、お菓子・料理用に向く。 |
|
祝 (いわい) |
アメリカ | 7月中旬 - 8月上旬 | 早生の小玉リンゴ。8月下旬に熟するが、8月上旬に未熟な状態で収穫される。 青リンゴ・供物用のりんごとして売られている。 |
||
フラワー オブ ケント | 俗称、ニュートンのリンゴ。落ちる実を見て、ニュートンが万有引力の法則についてヒントを得たという逸話(後述)で知られる。 落果しやすい性質を持ち、生食用ではなく、料理用として使われる。味は渋みと酸味が強いが追熟させると甘く、酸の利いたいい味になるという。 |
[10] | |||
シナノスイート | 1978年 長野県果樹試験場 1996年 品種登録 |
ふじ × つがる |
10月中旬 | 果汁が多く、甘さも強く、香りも良い。「つがる」と「ふじ」の間を埋める品種として開発された。 | [11] |
シナノゴールド | 長野県果樹試験場 1999年 品種登録 |
ゴールデンデリシャス × 千秋 |
10月中旬 - 11月中旬 | 黄色く色付く。果汁が多く、甘さと酸味のバランスが良く、濃厚な味わいが楽しめる。 蜜が入らないことから貯蔵性に非常に優れる。日本国内よりヨーロッパでの評価が高く、2007年12月27日SKズードチロルへの栽培許諾の契約がなされた。 |
[12] |
秋映 (あきばえ) |
1993年 品種登録 長野県中野市小田切健男 |
千秋 × 津軽 |
9月下旬 - 10月上旬 | 甘さと酸味のバランスがよく、濃厚な味わいが楽しめる。色は濃厚な赤色。 リンゴの産地でも比較的温暖で低標高な地帯でも栽培に適す。つがるの特性を引き継いで、果肉がしっかりしていることと、食味が優れている。 |
[13] |
ぐんま名月 ( -めいげつ) |
1971年 群馬県 1991年 品種登録 |
あかぎ × ふじ |
9月下旬 - 10月下旬 | 果汁が多く密入、糖度は15度程度で食味も良好。 | [14][15] |
陽光 (ようこう) |
群馬県 1981年 品種登録 |
10月中旬 - 10月下旬 | 大玉で甘さと酸味のバランスがよく、濃厚な味わいが楽しめる。 大玉なうえ、日持ちがするため贈答品としても使われる。歯ざわりが良く、食味が優れている。 |
[16] |
その他日本で生産される品種
- 茜(あかね) - 皮は、赤色。大きさは、比較的小振りで酸味が強い。
- 北上(きたがみ・きたかみ) - 皮は、赤色。大きさは、比較的小振り。命名の由来は、同名の地名より。
- 金星(きんせい) - 皮は、黄色系クリーム色。大きさは、比較的大振り。命名の由来は、同名の惑星より。
- 昴林(こうりん) - 皮は、赤色。大きさは、比較的小振り。「ふじ」の自然交配から生まれた品種。
- さんさ
- スターキング - 皮は、黒味の強い赤色。大きさは、比較的小振りで酸味もあるが甘味が強い。蜜入りのもある。
- 姫神(ひめかみ)
- ハックナイン
- 北斗(ほくと) - 皮は、斑模様の赤色。大きさは、比較的大振りで甘味と酸味のバランスが良く甘い。
- 陸奥(むつ) - 皮は、ピンク色系。大きさは、比較的大振り。贈答用の飾りりんごとしても用いられる。命名の由来は、同名の旧地名より。
- レッドゴールド
-
アルプス乙女
-
ぐんま名月
-
王林
貯蔵
一般家庭
- 水分の蒸発を抑えるため、出来るだけ密閉し冷蔵庫の野菜室などで。
生産地
産地
2006年現在世界では年間約6千万tのリンゴが栽培されている。生産量は中国がトップでアメリカ合衆国、フランスなどが続く。
日本国内での主な産地
リンゴの歴史
トルコで紀元前6000年頃の炭化したリンゴが発見されている。スイスでは遺跡から紀元前2000年頃のリンゴの化石が見つかっており、その時点で既にリンゴは栽培されていたとする研究がある。16 - 17世紀頃になるとヨーロッパでリンゴの栽培が盛んになり、17世紀前半にはヨーロッパからアメリカへ持ち込まれ、現在では世界中の寒冷地でリンゴが栽培されている。[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。
日本へは中国から最初に持ち込まれ「和りんご」などと呼ばれていたが、西洋から西洋リンゴが持ち込まれると日本でも西洋リンゴの方が一般的になった。現在、和リンゴは長野県上水内郡飯綱町で一軒の農家が栽培してその姿を伝えている[18]。 和リンゴの実は、大きさ直径3 - 4cm、重さは30gぐらい。熟すると赤くなり、収穫適期はお盆前である。
初めて西洋リンゴが輸入されたのは明治4年(1871年)に明治政府の命を受けた北海道開拓使次官の黒田清隆がアメリカから75品種の苗木を持ち帰った時だった。それが広がり出したのは明治7年(1874年)、内務省による配布が始まってからになる。さらに生産が軌道に乗ったのは明治20年代といわれる。
また2003年より「彦根りんごを復活する会」が、全国に残存するワリンゴや野生種を調査し数十種類の木(数百本)を育て、収穫した実はお盆に各地の寺社に奉納している。
中国の書物『本草綱目』に「林檎一名来禽,言味甘熟則来禽也。」(林檎(りんきん)の果は味が甘く能く多くの禽(鳥の意)をその林に来らしむ。故、来禽(らいきん)の別名がある)との記述がある。
平安時代中頃の書物『和名類聚抄』には「利宇古宇(りうこう、りうごう)」としてリンゴが記述されており、これが訛って「りんご」になったと考えられている。
食品としての利用
100 gあたりの栄養価 | |
---|---|
エネルギー | 218 kJ (52 kcal) |
13.81 g | |
糖類 | 10.39 g |
食物繊維 | 2.4 g |
0.17 g | |
0.26 g | |
ビタミン | |
ビタミンA相当量 |
(0%) 3 µg |
チアミン (B1) |
(1%) 0.017 mg |
リボフラビン (B2) |
(2%) 0.026 mg |
ナイアシン (B3) |
(1%) 0.091 mg |
パントテン酸 (B5) |
(1%) 0.061 mg |
ビタミンB6 |
(3%) 0.041 mg |
葉酸 (B9) |
(1%) 3 µg |
ビタミンC |
(6%) 4.6 mg |
ミネラル | |
カリウム |
(2%) 107 mg |
カルシウム |
(1%) 6 mg |
マグネシウム |
(1%) 5 mg |
リン |
(2%) 11 mg |
鉄分 |
(1%) 0.12 mg |
亜鉛 |
(0%) 0.04 mg |
| |
%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 出典: USDA栄養データベース |
栄養
- 食物繊維やビタミンC、ミネラル、カリウムが豊富。1日1個のリンゴは医者を遠ざける (An apple a day keeps the doctor away.)という諺があるように、リンゴは栄養価が高い果実として食されてきた。
- リンゴに含まれるリンゴポリフェノールには脂肪の蓄積を抑制する効果があるともいわれる。[19]
- 生産者の間では広く知られているが、「5月〜6月に摘果した直径3cm程度の未熟果の一部は、秋まで土の上で腐らず残っている。」この成分はポリフェノールの一種が関係していることが研究の結果明らかになった。
食用
- 表面には薄い皮があり、皮に付着する農薬等の問題や、食べやすさの点から、皮をむいて食べられることが多いが、便秘の改善のため、皮ごと食されることもある。皮むきにはナイフや包丁などが用いられるが、回転式のアップルピーラーが用いられることもある。また、リンゴを放射状に切り分けるアップルカッターが用いられることもある。味は酸味と甘みが強い。日本におけるリンゴの収穫は品種によるが9月中旬から11月中旬である。各品種とも収穫期間は約1ヵ月程度と短いが、リンゴは高湿度低酸素状態で冷蔵保存することにより長期の貯蔵(およそ9ヶ月間)が可能である。このため、リンゴの出荷は9月 - 翌年7月ごろまで約10ヶ月間行われほぼ一年中食べることができる。
- 生のまま食用にするほか、ジュース(リンゴジュース)やアップルパイ、ジャム、焼きリンゴ、リンゴ酒(シードル、カルヴァドスなど)などにする。また、まるごと飴で覆ったリンゴ飴が、縁日の出店などで売られている。
- リンゴの「蜜」は、ソルビトールである。成熟の過程で生成されるもので、蜜そのものは甘いわけではない。また、蜜が多くても、その実が甘いとは限らない。「ゴールデンデリシャス」「つがる」は蜜ができにくく、「ふじ」「スターキング」は蜜ができやすい。近年市場では蜜入りが好まれるが、長期保管したものは蜜が褐色に変化しやすいので注意を要する。
実験への利用
リンゴはそれ自身が熟成するにつれてエチレンガスを多く発生する。そのためエチレンガスを必要とする実験によく使われる。
- 花の開花実験
- まだつぼみの状態の花を2本それぞれ別のビニール袋に密閉し、片方にリンゴを入れる。すると、リンゴを入れた方が先に開花する。
- キウイフルーツの熟成
- キウイフルーツはそれ自身のみで追熟しないため、リンゴと同じ場所に保管することで熟成の促進が行われる(食品総合研究所での研究参照)。その他の追熟しにくい果物(バナナやオレンジなど)も同様である。
- ツバキの落葉実験
- 葉のついたツバキの茎2本をリンゴと一緒にしたものとそうでないものそれぞれ別の袋に密閉する。すると、リンゴと一緒にした方が先に落葉する。
このようにリンゴから発生するエチレンガスは植物の熟成を促進するので、促進させたくない場合はそれぞれ別々に密閉して保存する必要がある。ただし、下記のような効果もある。
- ジャガイモの発芽抑制
- 熟成したリンゴとジャガイモを密閉状態に置くと、ジャガイモの発芽が抑制される。
- もやしの生育
- 熟成したリンゴともやしを密閉した状態で育てる。リンゴと一緒に育てると太いもやしができ、リンゴと一緒に育てない場合は細くて長いもやしとなる。
リンゴにまつわる話
- ニュートンのリンゴ
- 近代理論科学の先駆者であるアイザック・ニュートンは、木から落ちるリンゴを見て万有引力の法則に気づいたといわれるが、この良く知られた逸話は史実ではないとされる(詳しくはアイザック・ニュートンの項参照)。最初に「ニュートンのリンゴの木」と言われたものは既に枯れてしまったが、接木をして増やした2世代以降の木は世界各地で今も栽培されている。なお、この「ニュートンのリンゴ」は「ケントの花(華)」といい、生食用ではなく料理用である(#主な品種を参照)。
- 1964年3月、イギリス物理学研究所より日本学士院に対してニュートンのリンゴの苗が寄贈されたが、防疫検査により、この苗木はすでに高接病ウイルスに汚染されていることが発覚。一時は焼却処分が検討されたが、学術上貴重なものであること等から例外的に東京大学理学部附属小石川植物園に隔離され、ウイルス除去の研究対象となった。1980年、ようやくこの木からウイルスに汚染されていない接ぎ穂の切り出しに成功。これ以降、ニュートンのリンゴは国内各地に移植されている。
- 聖書におけるリンゴ
- 旧約聖書に登場するアダムとイヴが、蛇にそそのかされて食べた善悪を知る果実がリンゴであるというのは、後の時代に創作された俗説である。当時旧約聖書の舞台となったメソポタミア地方にはリンゴは分布せず、またその時代のリンゴは食用に適していなかった。なお、あわてて飲み込もうとしたアダムが善悪を知る果実をのどにつかえさせ、これがのどぼとけの始まりであるとの故事から、男性ののどぼとけは「アダムのリンゴ」ともいわれる。
- ギリシャ神話におけるリンゴ
- ギリシア神話には、「最も美しい女神に与えられる」と言われた黄金のリンゴを巡って3女神が争い、遂にトロイア戦争に至るエピソードがある(パリスの審判)。また、ヘラクレスの12の冒険の中にも黄金のリンゴを取ってくる話がある。
- ウィリアム・テルとリンゴ
- ウィリアム・テルが息子の頭の上にリンゴを置き、クロスボウで一発で射抜いたという逸話は有名である。この「矢の刺さったリンゴ」というのがスイス人の好きなモチーフの一つであり、イラストなどになって様々な場面で登場する。児童福祉慈善切手に2回、普通切手にもテルの息子と共に登場していた他、1957年に発行され、1980年まで流通した第5次紙幣の最高額面1000フラン紙幣の裏面の地模様として矢の突き刺さったリンゴが描かれていた。また、電話や地下鉄の代用コインにも描かれたものがあった。
- アップル・レコード
- 英国のロックバンド ビートルズが1968年に設立したレコード会社であるアップル・レコードのマークは、日本ではあまりポピュラーではない「グラニースミス・アップル」という品種がモデルである(形は丸ではなく若干横長の楕円形)。アップル・レコード名義のレコードジャケットには一部を除いて、目立つ位置にリンゴマークが描かれており、一目でアップル・レコードと分かる。このリンゴマークはポール・マッカートニーが所有するベルギーの画家、ルネ・マグリットの青いリンゴの絵がヒントになっている。ちなみにアップル・レコードの影響を受けて、食べ物を題材にしたマークのレコードレーベルが日本にもいくつか設立されている。
- アップル(コンピューターメーカー)
- コンピューターメーカーであるアップル社 (Apple Inc.) は、リンゴを会社のロゴマークとしている(1997年頃までは6色、1999年以降はほとんど単色で用いられる)。ちなみに「バイト」と呼ばれる左上の囓られた様な跡は、元々「Apple」の社名ロゴが重なっていた部分である。また同社の主力製品であるパソコン「マッキントッシュ(Macintosh、マック)」もリンゴの品種名「McIntosh」(日本名:旭)から採られている(オーディオメーカーの商標と区別する都合で綴りが変えられている)。
- その他
-
- リンゴの産地である青森県の藤崎園芸高校は「りんご科」という学科を設置している。
- リンゴを素手で握りつぶす、割ることは握力自慢芸としては有名。なおつぶし方にはコツが必要な部分もあり、リンゴの種類によって難易度が違ってくる。詳細は握力の項目を参照。
- リンゴの果実は空気に触れると変色する。これはリンゴに含まれるポリフェノールが空気中の酸素と結合するために起こる現象である。これを防ぐために古くから知られているのが塩水に晒す方法である。これは塩素イオンが、ポリフェノールを酸化する際に働く酵素を阻害する作用を持つことを利用したものである。もっとも効果的に変色を防ぐにはレモン汁に晒すとよい。レモン汁に含まれるビタミンCが酸素と結びつき、ポリフェノールと結合した酸素をも奪うため、変色したリンゴも元の状態へと戻すことができる。
- リンゴの蜜は比重が大きいため水の中に入れると沈む。他の果実の部分は比重が小さいため水に浮かぶ。
- 青森県が「ふじ」に並ぶ新たな品種として24年間におよぶ歳月をかけて開発した「あおり21」 は、2006年3月に登録申請をし、2008年3月に官報に載ったが、農林水産省へ登録手数料6,000円を2回に渡り国から期限内に納めるように電話を受けたのにもかかわらず、県の担当者が納めず、同2008年10月17日に登録は抹消され幻の品種となった。これにより登録品種の名称は登録年月日に遡って育成者権の消滅日ともなった[20][21][22]。
リンゴ(林檎)が題名及び歌詞に出てくる楽曲
- りんごのひとりごと - 作詞:武内俊子、作曲:河村光陽
- リンゴの唄 - 並木路子
- リンゴ追分 - 美空ひばり
- 初恋 - 小林旭・舟木一夫
- 林檎殺人事件 - 郷ひろみ&樹木希林
- 過ぎてしまえば - 森田公一とトップギャラン
- センチメンタルな私小説 - 大塚博堂
- 林檎の皮 - 大塚博堂
- 帰ってこいよ - 松村和子
- ガラスの林檎 - 松田聖子
- 踊り子 - 村下孝蔵
- 林檎をかじりながら - あさみちゆき
- りんごのうた - 椎名林檎
- Sweets time - 安保さゆり
- アダムの林檎 - 聖飢魔II
- りんごの泪 - 人間椅子
- カチューシャ - ソビエト歌謡(作詞:イサコフスキー、作曲:ブランテル、日本語訳:関鑑子)
- リンゴ日和 - ROCKY CHACK
- 風花 - 森山直太朗
- りんごの木の下で - ディック・ミネほか
- 林檎もぎれビーム! - 大槻ケンヂと絶望少女達
参考画像
-
リンゴの花
-
台木として使われるカイドウ類
-
幼果
関連項目
- 食物アレルギー
- シードル(アップル・ワイン)
- カルヴァドス(りんごの蒸留酒)
- ビッグアップル(ウォッカとリンゴジュースで作るカクテル)
- りんご娘.(日本の青森県弘前市を中心に活躍している、ダンス&ボーカルユニット)
- リンゴ事件
- マロン酸(マロンはクリではなく、ギリシア語でリンゴを意味する)
脚注
- ^ 荒川 修, 石川 勝規, 小原 繁, 小野田 和夫, 福田 博之. 2002. ギ酸カルシウム剤によるリンゴの摘花 . 園学研. 1: 259-262園芸学会
- ^ 低樹高栽培農林水産研究成果ライブラリー
- ^ M.26 わい性台木利用リンゴ樹における生産構造と光環境に及ぼす栽植密度の影響農林水産省北海道農業試験場
- ^ 登録品種情報農水省
- ^ JA全農長野 信州農産物
- ^ 育種者の一人が山本富士子のファンだったことも由来の一つ
- ^ 『りんごを拓いた人々』斎藤康司著(筑波書房、1996年)ISBN 4-8119-0140-1
- ^ 農林水産省
- ^ 印度
- ^ ニュートンのりんご
- ^ 農林水産省
- ^ 農林水産省
- ^ 農林水産省
- ^ 農林水産省
- ^ 群馬県
- ^ 農林水産省
- ^ 青森県りんごCA貯蔵研究会 - リンゴ貯蔵の発達史
- ^ 牟礼村 - 高坂リンゴ
- ^ アサヒビール - リンゴ・ポリフェノールの脂肪蓄積抑制作用 2004
- ^ 読売新聞2008年10月25日38面13S版
- ^ “登録品種データベース「あおり21」”. 農林水産省. 2009年3月4日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “品種登録抹消の5種9業者と協定”. メディアジャム (2008年11月4日). 2009年3月4日閲覧。
外部リンク
- 青い森の片隅から - 青森県のりんご (約160種についての特徴、歴史、写真)
- りんご果汁におけるパツリンの規格基準設定 神戸市保健福祉局環境保健研究所(移転)
- リンゴ害虫生態画像データベース 農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
- りんご名人 長野県上伊那地方事務所農政課