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「キングコブラ」の版間の差分

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'''キングコブラ'''(''Ophiophagus hannah'')は、[[動物|動物界]][[脊索動物|脊索動物門]][[爬虫類|爬虫綱]][[有鱗目_(爬虫類)|有鱗目]][[コブラ科]]に分類されるヘビ。本種のみでキングコブラ属を形成する。<!--学名は「予言するユダヤの女」を意味する。-->
'''キングコブラ'''(''Ophiophagus hannah'')は、[[動物|動物界]][[脊索動物|脊索動物門]][[爬虫類|爬虫綱]][[有鱗目_(爬虫類)|有鱗目]][[コブラ科]]に分類されるヘビ。本種のみでキングコブラ属を形成する。<!--学名は「予言するユダヤの女」を意味する。-->


日本では「[[特定動物]]」に指定されている。
[[日本]]では「[[特定動物]]」に指定されている。


== 分布 ==
== 分布 ==

2010年5月9日 (日) 14:05時点における版

キングコブラ
キングコブラ Ophiophagus hannah
保全状況評価
ワシントン条約付属書II類
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: 有鱗目 Squamata
亜目 : ヘビ亜目 Serpentes
: コブラ科 Elapidae
: キングコブラ属 Ophiophagus
Günther, 1864
: キングコブラ O. hannah
学名
Ophiophagus hannah
(Cantor, 1836)
和名
キングコブラ
英名
King cobra
赤で示した地域に分布する
赤で示した地域に分布する

キングコブラOphiophagus hannah)は、動物界脊索動物門爬虫綱有鱗目コブラ科に分類されるヘビ。本種のみでキングコブラ属を形成する。

日本では「特定動物」に指定されている。

分布

インド東部、インドネシアカンボジアタイ中国南部ネパールバングラデシュフィリピンベトナムマレーシアミャンマーラオス

形態

雄のキングコブラ

成体の平均的な全長は3mほどで、大型の成体が最大限に鎌首をもたげた場合には、大人の胸元に迫る高さに達する。興奮したり外敵を威嚇したりする際には鎌首をもたげて頚部を広げるが、フードコブラ属のように甚だしく広げることはない。

体色は暗緑色や暗褐色で、濃褐色もしくは淡黄色の不鮮明な横縞が入り、いずれの体色のものも腹部は比較的明るい黄褐色である。虹彩は暗い金褐色で、瞳は丸い。体色は暗緑色及び黒色の系統のものと、暗褐色及び暗橙色の系統のものに大きく分かれている。インドコブラタイコブラのような特徴的な頸部の紋様はない。幼体は全身が黒く、横縞が明瞭である。ただし、成体でも頭部だけが暗緑色で、ほぼ全身が黒い配色の個体も存在する。

神経毒で、毒自体の強さは他のコブラ科のほうが強いが、毒腺が大きいため、一咬みで注入される毒量は、他のコブラとは比較にならないほど多い。そのため、現地では「をも倒す」「咬まれたら、まず助からない」と言われている。

しかし無闇に人を咬むわけではなく、人との接触が多い他のコブラ類と比べても、被害は多くはない。

生態

インド亜大陸の東部からインドシナ半島インドネシアにかけての山地の森林に生息する。

食性は動物食で、ヘビやトカゲ等の爬虫類を主に食べる。飼育下ではマウスを食べた記録もある。属名Ophiophagusは、「蛇を食べるもの」の意。英名の"キング”も、他のヘビを食べることから、ヘビの王様と考えられたことに由来する。

繁殖形態は卵生で、枯葉を集めた巣に20-51個の卵を産む。卵は60-80日程で孵化する。メスは卵に枯葉をかぶせて保温し、巣の周りにとぐろを巻いて孵化するまで卵を保護する。この様な習性を持つヘビは、キングコブラしか知られていない。

体の大きさとその毒の危険性の割には温和で、普段は好戦的な性格ではないが、抱卵時はメスは巣に近づく者を激しく威嚇して容赦なく攻撃する。

世界最大の毒蛇

これまでに捕獲された個体の記録には全長400cmを超えるものが何例かある。明確な学術的記録が残されているものとしては、1951年シンガポールで捕獲された、全長475cm、体重12kgの個体や、ニューヨーク動物園にて飼育されており1973年2月に死亡した、全長440cm 体重12.7kg の個体がある。

その他、1937年マレーシアで捕獲された個体で全長554cm、1924年、タイ南部で捕殺された個体で全長559cmという記録があり、これらは確認された現生の毒蛇としては世界最大である。

人間との関係

山地の森林に生息している為、インドコブラなどに比べれば人との接触は多くはないが、山間部にある村や人家には、餌となるヘビが等を追って侵入するのを更に追う形で出没することもある。タイ王国ではキングコブラは「神聖な動物」として無闇に殺すことが戒められているため、キングコブラが頻繁に出没する地域では、屋内に侵入した個体を傷つけずに捕獲して人里離れた場所へ放す専門の職業が存在している。

基本的には温和な性格であるために飼育下や研究下で人への咬傷例は少ないが、パスツール研究所で研究員が餌をやろうとした際に指を咬まれた事例がある。幸い他の研究員たちの適切な処置によって一命を取り留めたが、実に1リットルもの抗毒血清を使ったという。

日本で飼育実績のある施設

参考文献

  • クリス・マティソン 『ヘビ大図鑑』、緑書房、2000年、181頁。
  • 『爬虫類・両生類800図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、131頁。
  • 『小学館の図鑑NEO 両生類はちゅう類』、小学館、2004年、131頁。
  • 山田和久 『爬虫・両生類ビジュアルガイド ヘビ』、誠文堂新光社、2005年、107頁。

関連項目

外部リンク

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