コンテンツにスキップ

「ミニ・リサーチ・モジュール1」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
Tnk3a (会話 | 投稿記録)
m コモンズリンク先調整
Uhock (会話 | 投稿記録)
19行目: 19行目:
# NASAはMLMを宇宙に運ぶ契約で手一杯だったこと。
# NASAはMLMを宇宙に運ぶ契約で手一杯だったこと。
# プログレス補給船、[[ソユーズ宇宙船]]、[[欧州補給機]]などの飛行が重なったことで、ISSのロシア区画にドッキング口を4箇所設置する必要性が考慮されはじめたこと。ロシアの二つの研究モジュールが中止され、またザーリャの下部口も''[[トランクウィリティー (ISS)|トランクウィリティー]]''が接合されてふさがったため、ISSの空いている共通結合機構は3個だけになってしまった。
# プログレス補給船、[[ソユーズ宇宙船]]、[[欧州補給機]]などの飛行が重なったことで、ISSのロシア区画にドッキング口を4箇所設置する必要性が考慮されはじめたこと。ロシアの二つの研究モジュールが中止され、またザーリャの下部口も''[[トランクウィリティー (ISS)|トランクウィリティー]]''が接合されてふさがったため、ISSの空いている共通結合機構は3個だけになってしまった。
MRM1を結合することで、上記の二つの問題は解決される。NASAは今のところこれ以上区画を増やす予定はないが、MRM1に追加の機器を接合することは可能である。またこれによりISSは、ズヴェズダ区画後部口、同区画下部のピス(Pirs)口、同ゼニス(zenith)側のMRM2口、そしてザーリャ区画下部のMRM1口と、使用可能なドッキング口を4箇所持つことになる。またロシアが研究モジュールを中止したことも、ISS計画全体の進行にはさほど影響は与えなかった。
MRM1を結合することで、上記の二つの問題は解決される。NASAは今のところこれ以上区画を増やす予定はないが、MRM1に追加の機器を接合することは可能である。またこれによりISSは、ズヴェズダ区画後部口、同区画下部の[[アー (ISS)|ピアース]](Pirs)口、同ゼニス(zenith)側のMRM2口、そしてザーリャ区画下部のMRM1口と、使用可能なドッキング口を4箇所持つことになる。またロシアが研究モジュールを中止したことも、ISS計画全体の進行にはさほど影響は与えなかった。


==設計および製造==
==設計および製造==

2010年5月10日 (月) 04:51時点における版

国際宇宙ステーションロシア区画におけるミニ・リサーチ・モジュール1(MRM1)の位置

ミニ・リサーチ・モジュール1(Mini-Research Module 1、ロシア語では『Малый исследовательский модуль, МИМ-1』と表記)は、国際宇宙ステーション(International Space Station, ISS)の一区画である。「ドッキング装置兼機器搭載区画(Docking Cargo Module, DCM)」とも呼ばれる。ロシア語名「Рассве́т」(ラスヴェット、『暁』の意)。MRM1の主な使用目的は物資の保管庫およびISSを訪れる宇宙船とのドッキング装置となることで、2010年5月にスペース・シャトル アトランティス号 STS-132によって打ち上げられる予定である[1]

詳細

フロリダ州ケネディ宇宙センターの宇宙ステーション組立施設にあるMRM1

ミニ・リサーチ・モジュール1(MRM1)は、カナダアーム2を使ってザーリャ区画の下部ドッキング装置に取りつけられる[2]。またNASAが用意した多目的実験モジュールのための外部機器や、欧州ロボットアームの関節部分、熱交換機なども持って行く予定である。MRM1を取りつけることによって、NASAはロシアの多目的実験モジュールに1.4トンの物資を運ぶという契約を完了させることになる[3]

MRM1は共通結合機構を二つ持っていて、一つはザーリャ区画との接合のために使用され、もう一つはソユーズ宇宙船やプログレス補給船とのドッキングのために空けておく。当初のISSの設計からすると、ドッキング装置兼機器搭載区画の役目を果たすことになる。MRM1を明らかにする際、ロシアは予定していた最後の二つの区画となる「ロシア研究モジュール」の製造を中止することも併せて表明した。

初期計画

当初は国際宇宙ステーション(ISS)のロシアの区画に、物資の保管庫と共通結合機構を持つドッキングおよび保管区画(Docking and Stowage Module, DSM)を接合することが計画されていた。DSMは追加の倉庫であると同時にソユーズ用のドッキング設備であり、大きさと形状はザーリャと同じもので、プロトンロケットを使ってISSまで運ばれ、ザーリャ区画の地球のほうを向いている下部ドッキング口に接合されるはずであった。

このISSの区画はロシアの予算的な問題でしばらくの間キャンセルされていたが、現行の計画ではドッキング装置兼機器搭載区画(MRM1)に変更され、当初の予定どおりザーリャの下部口に接合されて保管庫およびドッキング装置として機能することになっている。キャンセルされていた期間、同じ場所にエンタープライズと呼ばれる多目的モジュール(Multi Purpose Module, MPM)を接合すべきだとの提案がなされ、結局のところは多目的実験モジュール(Multipurpose Laboratory Module, MLM)がドッキングするのではないかと見られていたが、現行の計画ではエンタープライズは承認されず、代わりにMLMはズヴェズダ区画の下部口に取りつけられる予定である。

利点

MRM1は、他のISS参加国の以下のような二つの諸事情から実現されるに至った。

  1. NASAはMLMを宇宙に運ぶ契約で手一杯だったこと。
  2. プログレス補給船、ソユーズ宇宙船欧州補給機などの飛行が重なったことで、ISSのロシア区画にドッキング口を4箇所設置する必要性が考慮されはじめたこと。ロシアの二つの研究モジュールが中止され、またザーリャの下部口もトランクウィリティーが接合されてふさがったため、ISSの空いている共通結合機構は3個だけになってしまった。

MRM1を結合することで、上記の二つの問題は解決される。NASAは今のところこれ以上区画を増やす予定はないが、MRM1に追加の機器を接合することは可能である。またこれによりISSは、ズヴェズダ区画後部口、同区画下部のピアース(Pirs)口、同ゼニス(zenith)側のMRM2口、そしてザーリャ区画下部のMRM1口と、使用可能なドッキング口を4箇所持つことになる。またロシアが研究モジュールを中止したことも、ISS計画全体の進行にはさほど影響は与えなかった。

設計および製造

MRM1は、製造が中止された科学電力プラットフォーム(Science Power Platform, SPPF)の構造試験のために作られた予圧式の機体を元にして、S.P.コロリョフ社が設計・製造した[4][5]

機体と地上整備用の機器はアントノフ124に搭載され、2009年12月17日ケネディ宇宙センターに到着した[6]。装置類はアストロテック社が運営する発射準備施設に送られ、そこでソビエト連邦時代のエネルギア宇宙船やSPPFの技術者らの手によって独立電気系統や気密漏れの試験などが行われ、またハッチや熱交換機などが本体に取りつけられた。機体がNASAの宇宙ステーション機器組立施設に送られたのは2010年4月2日のことで、最終的な試験を受けた後、4月5日にシャトルの貨物室に乗せられた。MRM1を搭載したアトランティス号は、4月15日にケネディ宇宙センター39番発射台に設置された[7]

写真

関連項目

References

  1. ^ Chris Gebhardt (9 April 2009). “STS-132: PRCB baselines Atlantis' mission to deliver Russia’s MRM-1”. NASAspaceflight.com. 12 November 2009閲覧。
  2. ^ Docking Cargo Module”. NASAspaceflight.com. 2010年5月8日閲覧。
  3. ^ NASA Extends Contract With Russia’s Federal Space Agency”. NASA. 2010年5月8日閲覧。
  4. ^ NASA оплатило полёты своих астронавтов до 2011 года Novosti Kosmonavtiki №2007/6
  5. ^ Justin Ray (March 25, 2010). “Russian space module set for American launch aboard the shuttle Atlantis”. Spaceflight Now. March 31, 2010閲覧。
  6. ^ Mini-Research Module MRM1 At Cape For Shuttle Processing” (December 30, 2009). March 6, 2010閲覧。
  7. ^ Justin Ray (April 15, 2010). “Russian space station module shipped to NASA's space shuttle launch pad”. Spaceflightnow. April 25, 2010閲覧。

外部リンク