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== 現状 ==
== 現状 ==
現在の海軍情報は、組織的に海軍作戦部に入っている。海軍情報長は、海軍作戦部長補佐官の地位を有し、海軍長官に直属する。この外、海軍省内には、通信担当海軍作戦部長補佐官が指揮する'''海軍保安群'''が存在する。海軍保安群は、ONIと密接に協力し、暗号解読機能を遂行している。
現在の海軍情報は、組織的に海軍作戦部に入っている。海軍情報長は、情報担当海軍作戦部長補佐官の地位を有する。海軍には、通信担当海軍作戦部長補佐官が指揮する'''海軍保安群'''が存在する。海軍保安群は、ONIと密接に協力し、暗号解読機能を遂行している。1993年に設立された'''国家海事情報センター'''は、ONIが入手した電子、写真、電波、音響情報の解析を行い、全海洋の軍民を問わず全艦艇の移動をリアルタイムで追跡している。


海軍情報局は、他の軍情報機関と異なり、独立した防諜部署を有していない。必要な場合、ONI職員が艦隊内発生た犯罪捜査を行う。1993年に設立された'''国家海事情報センター'''は、ONIが入手た電子写真電波、音響情報の解析を行い、全海洋の軍民問わず全艦艇の移動をリアルタイムで追跡している。
ONIは、各地区の情報部、各艦隊の情報科から構成されているが、他の軍情報と異なり、防諜要員を有していない。各地区の情報部は、ONIの作戦統制下にあり、所属地区活動ている。各艦隊の情報は、艦隊司令官に直属し、戦術・作戦偵察防諜保障任務遂行する。


海軍[[駐在武官]]は、赴任前、ONIで特殊訓練を受け、ONIの指導下で活動するが、全軍の駐在武官を調整する[[アメリカ国防情報局|国防省情報本部]](DIA)にも監督されている。
海軍情報局の下位機関は、3つの主要構成要素から成る。各地区の海軍情報部は、ONIの作戦統制下にあり、米本土と所属地区で活動している。地区の情報科は、艦隊司令官に直属する。科士官は、主として防諜と安全保障任務を遂行する。情報士官と並行して、地区の情報科には、安全保障問題に従事し、艦隊内の刑事事件の捜査を行う軍属が含まれる。

航海中の艦隊の情報部門は、艦隊司令官に従属する。航海中の艦隊、及び在外海軍基地では、艦隊司令官は、その本部に情報部門を有して、戦術・作戦偵察を行っている。情報部門の士官は、ONIのための情報収集任務を遂行することもある。

海軍[[駐在武官]]は、ONIの指導下で活動するが、出向先の[[アメリカ合衆国国務省|国務省]]の監督下にある。海軍駐在武官はまた、全軍種の駐在武官の業務を調整する[[アメリカ国防情報局|国防情報局]](DIA)にも監督されている。海軍駐在武官は、赴任前、ONIで特殊訓練を受け、在任時、ONIのための諜報情報を収集するが、国務省の任務も遂行している。


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2010年9月8日 (水) 05:44時点における版

アメリカ海軍情報局(Office of Naval Intelligence;略称ONI)とは、アメリカ海軍情報機関であり、アメリカ合衆国情報共同体の一員である。ONIは、極めて強力な暗号暗号解読)機関を有する外、広範囲な電波傍受網も有しており、外国の探知システム、海洋監視システム、潜水艦及び潜水武器システムに関する音響情報の収集(SOSUS)、分析に従事している。

また、ONIは民間船舶の移動に関する情報を収集できるアメリカ唯一の情報機関であるため、世界武器市場の情報に関する主要情報源の1つともなっており、麻薬密輸密漁放射性廃棄物の海洋投棄の監視等の問題も担当している。

ONI本部は、メリーランド州シュトランドの国家海事情報センター(National Maritime Intelligence Center)に位置する。

歴史

創設期

1882年3月3日、アメリカ合衆国海軍省令により航法局に情報課が編成され、しばらく後に海軍情報局となった。この日付は、海軍情報局の創設日と考えられている。海軍情報局は、アメリカの情報機関中最古の情報機関である。

海軍省令に先立ち、海軍情報の経験獲得のため、セオドア・メイソン中尉ヨーロッパに派遣された。この際、当時のイギリス海軍が独立した情報機関を有していなかったため、フランス海軍が模範に取られた。1882年から1888年の間、駐ロンドン、パリ、ローマのアメリカ大使館に海軍駐在武官職が制定された。

両大戦間

第一次世界大戦時、アメリカ海軍の情報需要の大部分は、イギリス海軍の助けにより満たされた。海軍情報局は、1920年から独立部署となったが、外国の無線の傍受、暗号解読を非倫理的であるとみなした政府の意向のため、その職員数は削減された。この結果、1934年当時、海軍情報局は、20人の職員しか有していなかった。

海軍情報局の両大戦間における最も輝かしい成果は、日本の外交及び海軍の電報の傍受・解読であった。特に同局の努力のおかげで、1940年に導入された日本の「パープル」暗号が解読された。アメリカ政府は、駐ワシントン日本大使館のほぼ全ての電文を読むことができた。

1941年12月7日の真珠湾奇襲は、海軍情報局が非常に限定的な役割しか果たしていなかったことを示した。仮想敵に関する諜報情報の収集が日々の任務ではあったが、収集した情報の分析及び配布は許可されていなかった。この権限を有していたのは、海軍作戦部であった。それ故、奇襲についてワシントンには適時に通報されたにも拘わらず、ハワイ太平洋艦隊司令官は何も知らなかった。空襲警報は、空襲終結後に彼に手渡された。

海軍情報局の第二次世界大戦における最も輝かしい成果と考えられているのは、日本海軍暗号のほぼ完全な解明とその事実の秘匿の成功であった。日本海軍の暗号の解読は、ミッドウェイ海戦時に日本空母の正確な所在地を確定し、その勝利に大きく貢献した。1943年4月18日の連合艦隊司令長官山本五十六海軍大将搭乗機の撃墜(海軍甲事件)も、その成果の1つである。日本軍に対しては数々の戦果を挙げており、マキン島コマンド奇襲による暗号書類の奪取、ガダルカナル島に座礁したイ-1潜水艦内部からの暗号書類、暗号装置の奪取、海軍乙事件における作戦関係書類の情報分析など情報戦での貢献は非常に大きなものがある。この情報戦の分野で日本は、陸軍の堀栄三少佐が中心となり対策を講じたが、戦勢挽回には至らなかった。

またドイツ海軍のUボート潜水艦の暗号無線機エニグマの奪取作戦に参加し、その解読に成功した結果、Uボートを大西洋から駆逐することに成功した。

戦時中、一連の独立部署が創設された。特に海軍写真解読センターは、艦隊の作戦準備に顕著な影響を与えた。

現状

現在の海軍情報部は、組織的に海軍作戦部に入っている。海軍情報部長は、情報担当海軍作戦部長補佐官の地位を有する。海軍には、通信担当海軍作戦部長補佐官が指揮する海軍保安群が存在する。海軍保安群は、ONIと密接に協力し、暗号解読機能を遂行している。1993年に設立された国家海事情報センターは、ONIが入手した電子、写真、電波、音響情報の解析を行い、全海洋の軍民を問わず全艦艇の移動をリアルタイムで追跡している。

ONIは、各地区の情報部、各艦隊の情報科から構成されているが、他の米軍情報部と異なり、防諜要員を有していない。各地区の情報部は、ONIの作戦統制下にあり、所属地区で活動している。各艦隊の情報科は、艦隊司令官に直属し、戦術・作戦偵察、防諜、安全保障任務を遂行する。

海軍駐在武官は、赴任前、ONIで特殊訓練を受け、ONIの指導下で活動するが、全軍の駐在武官を調整する国防省情報本部(DIA)にも監督されている。