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「大腸ポリープ」の版間の差分

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::II a(表面隆起型)
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:::LST-NG(側方発育型腫瘍-非顆粒型):flat elevated type(平坦隆起型)・pseudo depresed type(偽陥凹型)
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::II b(表面平坦型)
::II b(表面平坦型)
::II c(表面陥凹型)
::II c(表面陥凹型)

2010年10月14日 (木) 01:48時点における版

大腸ポリープColorectal polyp)とは、大腸直腸結腸)に生じるポリープの総称。

近年、大腸における「隆起性病変」ないし「大腸腫瘍」は、「大腸癌」や「ポリープ」を含めて一括の概念で総括され、総合的に評価される場合が多い。

名称

生じる部位別に正式には以下の通りの称される。

  • 直腸ポリープ
  • S状結腸ポリープ
  • 下行結腸ポリープ
  • 横行結腸ポリープ
  • 上行結腸ポリープ

分類

臨床的には大きく以下の2つの分類によって評価・診断される。以下の2つを駆使し悪性度を推察し治療方法を決定していく。

形態

形態観察分類には以下がある。基本的に表在型までを「ポリープ」と称し、隆起型以降は「」と称される場合が多い。

  • 表在型(0型)
  • I(隆起型)
I p(有茎型)
I sp(亜有茎型)
I s(無茎型)
  • II(表面型)
II a(表面隆起型)
II a + dep
LST-G(側方発育型腫瘍-顆粒型)
homogenous type(顆粒均一型)・nodular mixed type(結節混在型)
LST-NG(側方発育型腫瘍-非顆粒型)
flat elevated type(平坦隆起型)・pseudo depresed type(偽陥凹型)
II b(表面平坦型)
II c(表面陥凹型)
II c + II a
II a + II c
I s + II c
  • 隆起型(1型)
  • 潰瘍限局型(2型)
  • 潰瘍浸潤型(3型)
  • びまん浸潤型(4型)
  • 分類不能(5型)

表面構造

拡大内視鏡の開発により、5~100倍もの倍率観察が可能となり、ポリープの微細表面構造を観察し悪性度の評価が行われるようになった。以前は生検による病理検査にて良悪性の診断が施行されていたが、現在では臨床診断の指標として広く施行されている。

  • 色素観察:Pit pattern
インジゴカルミンやクリスタルバイオレット(ピオクタニン)による色素散布・色素染色を施行し、表面微細構造観察を行い病変の評価を行う。以下が主な分類として知られている。
  • I 型
  • II 型
  • III s 型
  • III L 型
  • IV 型(IV b 型・IV v 型)
  • V 型(V I 型軽度不整・V I 型高度不整・V N 型)
  • NBI観察:vascular pattern
NBI(Narrow Band Imaging)は、観察光の波長を狭小化することで、主に表面血管構造を中心に微細観察を施行する。現在様々な分類が提唱されている。

病理

大腸癌・大腸ポリープを含めて、「大腸腫瘍」は病理学的には以下に分類される。

tubular adenoma
serrated adenoma
  1. 良性上皮性腫瘍
    1. 腺腫(adenoma)
    2. 家族性大腸腺腫症(FAP)
  2. 悪性上皮性腫瘍
    1. 腺癌(adenocarcinoma)
    2. 内分泌細胞癌(ecc)
    3. 腺扁平上皮癌(asc)
    4. 扁平上皮癌(scc)
  3. カルチノイド腫瘍(Carcinoid tumor)
  4. 非上皮性腫瘍
    1. 平滑筋腫瘍
    2. 神経性腫瘍
    3. GIST(Gastrointestinal stomal tumor)
    4. 脂肪腫(lipoma)
  5. リンパ腫(Lymphoma)
    1. B細胞性リンパ腫
    2. T細胞性リンパ腫
    3. Hodgkinリンパ腫
  6. 分類不能の腫瘍
  7. 転移性腫瘍(metastatic tumor)
  8. 腫瘍性病変
    1. 過形成性ポリープ(hyperplastic polyp)
    2. 過形成結節(hyperplastic nodule)
    3. 若年性ポリープ・ポリポーシス(Juvenile polyp)

治療

本稿では主に「大腸ポリープ・早期大腸癌」に対する治療について記述し、「(進行)大腸癌」に対する治療は大腸癌の記述を参照。

治療対象

大腸癌の発生機序に「adenoma carcinoma sequence」という理論が存在し、腺腫が発生してくることを想定しているため、大腸ポリープの治療の目的は、「大腸癌」ないし「大腸癌の発生となりうる病変」を切除することにある。どのポリープがそれに該当するかは主に内視鏡的に臨床診断される。ポリープすべてが切除対象ということは無く経過観察の場合も多い。

治療選択

上記の通り、大腸における「隆起性病変」ないし「大腸腫瘍」は、「大腸癌」や「ポリープ」を含めて一括の概念で総括されている。治療においては主に以下の2つに大別して進められる。内視鏡的観察診断から上記のどちらが適応であるかを診断し治療を選択して行く。

  • 大腸ポリープ・早期大腸癌:経過観察・内視鏡的治療(主に本稿で記述)・外科的手術
大腸ポリープに関しては上記の通りに治療が必要と思われるポリープを治療して行く。稀に巨大ポリープ等の場合で内視鏡的切除が技術的に困難な場合に外科的手術治療が選択される場合もある。
早期大腸癌は「大腸癌が粘膜上皮内(m)または、粘膜下層(sm)までに留まるもの」を指し、このうち「粘膜下層に至ったものでも進達度が浅くリンパ節転移の確率が無いと思われる病変」に対してまでに、内視鏡的治療が行われる。たとえポリープの大きさが小さくても、それ以上の進行があると臨床診断されれば外科的切除・リンパ節郭清が適応となる。

治療方法

大腸ポリープ・早期大腸癌の治療法には大きく以下の3つの治療法が存在する。病変の形態・大きさによってそれぞれ治療方法が選択される。

  • ポリープ切除術(polypectomy)
  • EMR(内視鏡的粘膜切除術)
  • ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)

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