「ネヴァーマインド」の版間の差分
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『'''ネヴァーマインド'''』('''Nevermind''')は、[[アメリカ合衆国]]のロックバンド、[[ニルヴァーナ (バンド)|ニルヴァーナ]]のセカンド・アルバム。 |
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アルバム『ネヴァーマインド』は1990年から1991年にかけて録音された。[[プロデューサー]]はブッチ・ヴィグ、ミキサーは[[アンディ・ウォレス (プロデューサー)|アンディ・ウォレス]]がそれぞれ担当。より広い層にアピールするようボーカル/ギターを強調し、またラジオオンエアの際によりクリアに |
アルバム『ネヴァーマインド』は、1990年から1991年にかけて録音された。[[プロデューサー]]はブッチ・ヴィグ、ミキサーは[[アンディ・ウォレス (プロデューサー)|アンディ・ウォレス]]がそれぞれ担当。より広い層にアピールするようボーカル/ギターを強調し、またラジオオンエアの際によりクリアに聴こえるように中音域に音を集めたミックスとなった。また、ヒット曲「[[スメルズ・ライク・ティーン・スピリット]]」から始まる楽曲もメジャー市場を意識したものからアンダーグラウンド寄りのものまでバランスよく収録されており、[[ヘヴィメタル]]ファンから[[ロック (音楽)|ロック]]/[[ポップ・ミュージック|ポップ]]のファンまで幅広いリスナーを獲得するに至った。 |
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結果、『ネヴァーマインド』はベストセラーアルバムとなったが、ボーカルの[[カート・コバーン]]はこのアルバムを嫌悪しており、 |
結果、『ネヴァーマインド』はベストセラーアルバムとなったが、ボーカルの[[カート・コバーン]]はこのアルバムを嫌悪しており、1993年のインタビューでは「今では全く聴いていない」と語っている。また、本来のニルヴァーナの音からはかけ離れたものであることは否めない。特に「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」は、強烈なメッセージ性とシンプルでパワフルなリフで新たな若者達のアンセムであるといわれ、シングルは驚異的な売り上げを示したが、カート自身はこの楽曲をいわゆる「クールな」若者たちを皮肉ったものとして製作しており(馬鹿みたいな詞と馬鹿みたいなリフの組み合わせというつもりだった)、その意図が曲がって伝わってしまったことに不快感を示している。結果として、ニルヴァーナの最も有名な楽曲であるにも関わらず、カートが最も演奏したがらない楽曲となってしまった。 |
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とはいえ、このアルバムはビルボードにおいてナンバー1となり驚異的な売り上げを示した。[[シアトル]]のローカルバンドに過ぎなかったニルヴァーナを全米トップの人気バンドへと押し上げ、グランジ/オルタナティブロックムーブメントを全米に広げた。バンド解散後もアルバムは売れ続けその売り上げは現在までに全世界で |
とはいえ、このアルバムはビルボードにおいてナンバー1となり、驚異的な売り上げを示した。[[シアトル]]のローカルバンドに過ぎなかったニルヴァーナを全米トップの人気バンドへと押し上げ、グランジ/オルタナティブロックムーブメントを全米に広げた。バンド解散後もアルバムは売れ続け、その売り上げは現在までに全世界で2,600万枚を超える。 |
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[[RIAA]]によりゴールド、プラチナアルバムとして認定。しかしながら、保守的な[[グラミー賞]]には候補にも上らなかった。 |
[[RIAA]]により、ゴールド、プラチナアルバムとして認定。しかしながら、保守的な[[グラミー賞]]には候補にも上らなかった。 |
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2003年、[[ローリングストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500]]において17位に選出される。90年代以降のアルバムの中では1位。 |
2003年、[[ローリングストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500]]において17位に選出される。90年代以降のアルバムの中では1位。 |
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== 影響と評価 == |
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『ネヴァーマインド』の成功でニルヴァーナは一躍トップバンドの仲間入りを果たしたが、メジャー市場を意識した作りは後のニルヴァーナの活動に影を落としてしまうこととなる。特に |
『ネヴァーマインド』の成功で、ニルヴァーナは一躍トップバンドの仲間入りを果たしたが、メジャー市場を意識した作りは後のニルヴァーナの活動に影を落としてしまうこととなる。特にカートはこの成功を快くは思っておらず、度々本アルバムを否定するような発言を繰り返している(しかし完成当初は、サウンドプロダクションも含め非常に気に入っていたと、ブッチ・ヴィグは語っている。成功によるストレスからそのような発言が発せられたことも否定できない)。このカートの態度は、後にアンダーグラウンドへと回帰した『[[イン・ユーテロ]]』を生むこととなった。 |
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== クレジット == |
== クレジット == |
2011年1月6日 (木) 14:49時点における版
『ネヴァーマインド』 | ||||
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ニルヴァーナ の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
1990年~1991年 ノースハリウッド | |||
ジャンル | オルタナティブ・ロック/グランジ | |||
時間 | ||||
レーベル | DGC | |||
プロデュース | ブッチ・ヴィグ | |||
チャート最高順位 | ||||
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ニルヴァーナ アルバム 年表 | ||||
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『ネヴァーマインド』(Nevermind)は、アメリカ合衆国のロックバンド、ニルヴァーナのセカンド・アルバム。
経緯
アルバム『ネヴァーマインド』は、1990年から1991年にかけて録音された。プロデューサーはブッチ・ヴィグ、ミキサーはアンディ・ウォレスがそれぞれ担当。より広い層にアピールするようボーカル/ギターを強調し、またラジオオンエアの際によりクリアに聴こえるように中音域に音を集めたミックスとなった。また、ヒット曲「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」から始まる楽曲もメジャー市場を意識したものからアンダーグラウンド寄りのものまでバランスよく収録されており、ヘヴィメタルファンからロック/ポップのファンまで幅広いリスナーを獲得するに至った。
結果、『ネヴァーマインド』はベストセラーアルバムとなったが、ボーカルのカート・コバーンはこのアルバムを嫌悪しており、1993年のインタビューでは「今では全く聴いていない」と語っている。また、本来のニルヴァーナの音からはかけ離れたものであることは否めない。特に「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」は、強烈なメッセージ性とシンプルでパワフルなリフで新たな若者達のアンセムであるといわれ、シングルは驚異的な売り上げを示したが、カート自身はこの楽曲をいわゆる「クールな」若者たちを皮肉ったものとして製作しており(馬鹿みたいな詞と馬鹿みたいなリフの組み合わせというつもりだった)、その意図が曲がって伝わってしまったことに不快感を示している。結果として、ニルヴァーナの最も有名な楽曲であるにも関わらず、カートが最も演奏したがらない楽曲となってしまった。
とはいえ、このアルバムはビルボードにおいてナンバー1となり、驚異的な売り上げを示した。シアトルのローカルバンドに過ぎなかったニルヴァーナを全米トップの人気バンドへと押し上げ、グランジ/オルタナティブロックムーブメントを全米に広げた。バンド解散後もアルバムは売れ続け、その売り上げは現在までに全世界で2,600万枚を超える。
チャートアクション
ビルボード200において1位を獲得、また数々の批評家達からその年のベスト・アルバムに選出された。
RIAAにより、ゴールド、プラチナアルバムとして認定。しかしながら、保守的なグラミー賞には候補にも上らなかった。
2003年、ローリングストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500において17位に選出される。90年代以降のアルバムの中では1位。
収録曲
- スメルズ・ライク・ティーン・スピリット "Smells Like Teen Spirit" (Cobain/Grohl/Novoselic) – 5:02
- イン・ブルーム "In Bloom" (Cobain) – 4:15
- カム・アズ・ユー・アー "Come as You Are" (Cobain) – 3:39
- ブリード "Breed" (Cobain) – 3:04
- リチウム "Lithium" (Cobain) – 4:17
- ポリー "Polly" (Cobain) – 2:56
- 「レイプ犯から見た風景を歌った反レイプソング[1]」である。
- テリトリアル・ピッシングス "Territorial Pissings" (Cobain) – 2:23
- ドレイン・ユー "Drain You" (Cobain) – 3:44
- ラウンジ・アクト "Lounge Act" (Cobain) – 2:37
- ステイ・アウェイ "Stay Away" (Cobain) – 3:33
- オン・ア・プレイン "On a Plain" (Cobain) – 3:17
- サムシング・イン・ザ・ウェイ "Something In The Way" (Cobain) – 3:51
- エンドレス・ネームレス(ボーナス・トラック) "Endless, Nameless" - 6:44
影響と評価
『ネヴァーマインド』の成功で、ニルヴァーナは一躍トップバンドの仲間入りを果たしたが、メジャー市場を意識した作りは後のニルヴァーナの活動に影を落としてしまうこととなる。特にカートはこの成功を快くは思っておらず、度々本アルバムを否定するような発言を繰り返している(しかし完成当初は、サウンドプロダクションも含め非常に気に入っていたと、ブッチ・ヴィグは語っている。成功によるストレスからそのような発言が発せられたことも否定できない)。このカートの態度は、後にアンダーグラウンドへと回帰した『イン・ユーテロ』を生むこととなった。
クレジット
ニルヴァーナ
- カート・コバーン - ヴォーカル、ギター
- クリス・ノヴォセリック - エレクトリックベース
- デイヴ・グロール - ドラムス
ゲスト・ミュージシャン
- カーク・カニング - チェロ(「サムシング・イン・ザ・ウェイ」)
- チャド・チャニング - シンバル(「ポリー」)
技術スタッフ、アートワーク
- クレイグ・Doubet - アシスタント・エンジニアリング、ミキシング
- スペンサー・エルデン - カバー写真の幼児
- ロバート・フィッシャー - アートワーク、アート・ディレクション、デザイン、カバー・デザイン
- マイケル・レヴィン - 写真撮影
- ブッチ・ヴィグ - 共同プロデューサー、エンジニア
- アンディ・ウォレス - ミキシング
- ハウィー・ウェインバーグ - マスタリング
- カーク・ウェドル - カバー写真
脚注
- ^ 久保憲司『CROSSBEAT』(2007年4月号)37頁