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「ブックカバー」の版間の差分

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'''ブックカバー'''とは、[[日本]]では、書籍にかける紙や布などでできた覆いのことである。英語では "dust jacket"、"book jacket"、"dust wrapper"、"dust cover" などと呼ぶ。"book cover" は[[表紙]]のことである。工場出荷時からついているものと、購入時または購入後につけられるものとがある。共につけられ二重になることもある。
'''ブックカバー'''とは、[[日本]]では、書籍にかける紙や布などでできた覆いのことである。英語では"dust jacket"、"book jacket"、"dust wrapper"、"dust cover"などと呼ぶ。"book cover"は[[表紙]]のことである。工場出荷時からついているものと、購入時または購入後につけられるものとがある。共につけられ二重になることもある。


== 工場出荷時のカバー ==
== 工場出荷時のカバー ==
工場出荷時から付いているカバーで、当然、流通時や店頭陳列時にもついている。本という商品の一部である。
工場出荷時から付いているカバーで、当然、流通時や店頭陳列時にもついている。本という商品の一部である。
=== カバーのある本とない本 ===

===カバーのある本とない本===
上製本(ハードカバー)では基本的にカバーが付けられるが、[[皮装本]]では手触りが損なわれるためカバーがないことも多い。[[雑誌]]は、コスト削減と製造工程の簡素化のため、カバーはない。[[洋書]]の並製本([[ペーパーバック]])には基本的にカバーがない。
上製本(ハードカバー)では基本的にカバーが付けられるが、[[皮装本]]では手触りが損なわれるためカバーがないことも多い。[[雑誌]]は、コスト削減と製造工程の簡素化のため、カバーはない。[[洋書]]の並製本([[ペーパーバック]])には基本的にカバーがない。


[[文庫本|文庫]]・[[新書]]などの並製本は、かつてはカバーはなかったが、一般的にはカバーと呼ばれないが[[グラシン]]製の薄い半透明のカバーが付いていた。1950年代に[[カッパブックス]]がそれぞれにデザインの異なったカバーを付けて話題となり、カバーの付いた新書が出はじめた。文庫の場合も[[映画化]]に合わせて増刷する場合などにカバーを付けるなど徐々に増えはじめ、1990年代以降は文庫・新書のカバーが一般的となった。
[[文庫本|文庫]]・[[新書]]などの並製本は、かつてはカバーはなかったが、一般的にはカバーと呼ばれないが[[グラシン]]製の薄い半透明のカバーが付いていた。[[1950年代]]に[[カッパブックス]]がそれぞれにデザインの異なったカバーを付けて話題となり、カバーの付いた新書が出はじめた。文庫の場合も[[映画化]]に合わせて増刷する場合などにカバーを付けるなど徐々に増えはじめ、[[1990年代]]以降は文庫・新書のカバーが一般的となった。


===カバーの役割===
=== カバーの役割 ===
紙のカバーをかけると外観はカバーしか見えないため、通常なら本の[[表紙]]・[[裏表紙]]・[[背表紙]]が果たす機能がカバーに求められる。カバーには[[題名|タイトル]]、[[著者]]、[[出版社]]、[[価格]]、[[バーコード]]、[[ISBN]]、[[レーティング]]など、本を売る上で必要な情報が書かれる。また、購入者に訴求力のあるデザインが凝らされる。そのため装幀家にはその作品を理解した上でのカバーデザインが求められる。それに対し、本体の表紙・裏表紙・背表紙のデザインは非常に簡素になる。無地や、簡単な幾何学模様、カバーを[[モノクロ]]にしたデザインなどが多い。
紙のカバーをかけると外観はカバーしか見えないため、通常なら本の[[表紙]]・[[裏表紙]]・[[背表紙]]が果たす機能がカバーに求められる。カバーには[[題名|タイトル]]、[[著者]]、[[出版社]]、[[価格]]、[[バーコード]]、[[ISBN]]、[[レーティング]]など、本を売る上で必要な情報が書かれる。また、購入者に訴求力のあるデザインが凝らされる。そのため装幀家にはその作品を理解した上でのカバーデザインが求められる。それに対し、本体の表紙・裏表紙・背表紙のデザインは非常に簡素になる。無地や、簡単な幾何学模様、カバーを[[モノクロ]]にしたデザインなどが多い。


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[[画像:ブックカバー.JPG|thumb|right|ブックカバー]]
[[画像:ブックカバー.JPG|thumb|right|ブックカバー]]
本の痛みや汚れを避けるための、あるいは読んでいる本が何かを周囲に分からせないようにするためにかける。[[書店]]で購入する際に店側がかけてくれるもの、書店や文具店などで売られているものに大別出来る。
本の痛みや汚れを避けるための、あるいは読んでいる本が何かを周囲に分からせないようにするためにかける。[[書店]]で購入する際に店側がかけてくれるもの、書店や文具店などで売られているものに大別出来る。

=== 購入時のカバー ===
=== 購入時のカバー ===
ほとんどの場合紙だが、稀に透明フィルムのカバーも存在する。一部では「書皮」という呼ばれ方もする。
ほとんどの場合紙だが、稀に透明フィルムのカバーも存在する。一部では「書皮」という呼ばれ方もする。
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その書店のオリジナルデザインのものや取次店が出しているもの、出版社が出しているもの、1990年代より広まった広告が印刷されているものなどがあり、バラエティに富んでおりブックカバーのコレクターなども存在する。ただし経費削減のため、オリジナルのブックカバーを使う本屋は少なくなっている。
その書店のオリジナルデザインのものや取次店が出しているもの、出版社が出しているもの、1990年代より広まった広告が印刷されているものなどがあり、バラエティに富んでおりブックカバーのコレクターなども存在する。ただし経費削減のため、オリジナルのブックカバーを使う本屋は少なくなっている。


書店でカバーをかけるのは日本だけの習慣である。かつては[[大韓民国|韓国]]でも同じ習慣があったが、1993年頃に「ゴミ減量運動」が起こり、無くなった<ref>出版ニュース社編『「カバー、おかけしますか?」‐本屋さんのブックカバー集』出版ニュース社、2004年、21頁。ISBN 4785201150</ref>。
書店でカバーをかけるのは日本だけの習慣である。かつては[[大韓民国|韓国]]でも同じ習慣があったが、[[1993年]]頃に「ゴミ減量運動」が起こり、無くなった<ref>出版ニュース社編『「カバー、おかけしますか?」‐本屋さんのブックカバー集』出版ニュース社、[[2004年]]、21頁。ISBN 4785201150</ref>。


=== 購入後のカバー ===
=== 購入後のカバー ===
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== 出典 ==
== 出典 ==
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2011年3月10日 (木) 12:01時点における版

ブックカバーとは、日本では、書籍にかける紙や布などでできた覆いのことである。英語では"dust jacket"、"book jacket"、"dust wrapper"、"dust cover"などと呼ぶ。"book cover"は表紙のことである。工場出荷時からついているものと、購入時または購入後につけられるものとがある。共につけられ二重になることもある。

工場出荷時のカバー

工場出荷時から付いているカバーで、当然、流通時や店頭陳列時にもついている。本という商品の一部である。

カバーのある本とない本

上製本(ハードカバー)では基本的にカバーが付けられるが、皮装本では手触りが損なわれるためカバーがないことも多い。雑誌は、コスト削減と製造工程の簡素化のため、カバーはない。洋書の並製本(ペーパーバック)には基本的にカバーがない。

文庫新書などの並製本は、かつてはカバーはなかったが、一般的にはカバーと呼ばれないがグラシン製の薄い半透明のカバーが付いていた。1950年代カッパブックスがそれぞれにデザインの異なったカバーを付けて話題となり、カバーの付いた新書が出はじめた。文庫の場合も映画化に合わせて増刷する場合などにカバーを付けるなど徐々に増えはじめ、1990年代以降は文庫・新書のカバーが一般的となった。

カバーの役割

紙のカバーをかけると外観はカバーしか見えないため、通常なら本の表紙裏表紙背表紙が果たす機能がカバーに求められる。カバーにはタイトル著者出版社価格バーコードISBNレーティングなど、本を売る上で必要な情報が書かれる。また、購入者に訴求力のあるデザインが凝らされる。そのため装幀家にはその作品を理解した上でのカバーデザインが求められる。それに対し、本体の表紙・裏表紙・背表紙のデザインは非常に簡素になる。無地や、簡単な幾何学模様、カバーをモノクロにしたデザインなどが多い。

ただしこれらは紙のカバーだった場合で、透明フィルムのカバーの場合は、何もデザインされないものとその透明性を生かし本体の表紙をいかしたデザインに二分される。

本を保護する機能が求められる。既に作られた本の汚れを取る事は困難でもカバーの汚れは交換すれば良い。そのためにカバーの交換によって本は再び新品に近いものとなる。また、本の価格改定時や消費税率改定の際にも、カバーの差し替えだけで対応できるよう、価格はカバーにしか書かれない。カバーのない本の場合は、がその役割を果たすことがある。

購入時・購入後のカバー

ブックカバー

本の痛みや汚れを避けるための、あるいは読んでいる本が何かを周囲に分からせないようにするためにかける。書店で購入する際に店側がかけてくれるもの、書店や文具店などで売られているものに大別出来る。

購入時のカバー

ほとんどの場合紙だが、稀に透明フィルムのカバーも存在する。一部では「書皮」という呼ばれ方もする。

その書店のオリジナルデザインのものや取次店が出しているもの、出版社が出しているもの、1990年代より広まった広告が印刷されているものなどがあり、バラエティに富んでおりブックカバーのコレクターなども存在する。ただし経費削減のため、オリジナルのブックカバーを使う本屋は少なくなっている。

書店でカバーをかけるのは日本だけの習慣である。かつては韓国でも同じ習慣があったが、1993年頃に「ゴミ減量運動」が起こり、無くなった[1]

購入後のカバー

書店や文具店などで販売されており、布、革、プラスチックなどで出来ている事が多い。中には自作のブックカバーを用いる者もいる。書店や出版社の中には、サイトでブックカバーの画像を配布しているところもあり、そうしたブックカバーを印刷し、使用する場合もある。

出典

  1. ^ 出版ニュース社編『「カバー、おかけしますか?」‐本屋さんのブックカバー集』出版ニュース社、2004年、21頁。ISBN 4785201150