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== 経歴 ==
== 経歴 ==
西北インドの[[ガンダーラ]]国(現在のパキスタン、[[ペシャーワル]]地方)に[[バラモン]]の子として生まれた。
西北インドの[[ガンダーラ]]国(現在のパキスタン、[[ペシャーワル]]地方)に[[バラモン]]の子として生まれた。父はカウシカ(kauCika、去尸迦)、母はビリンチ(viriJci、比隣持)、兄弟3人のうちの長男であった。実弟は[[説一切有部]]から[[唯識派]]に転向して大成したバスバンドゥ([[世親]])
父はカウシカ(kauCika、去尸迦)、母はビリンチ(viriJci、比隣持)、兄弟3人のうちの長男であった。実弟は[[説一切有部]]から[[唯識派]]に転向して大成したバスバンドゥ([[世親]])。


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初め[[部派仏教]]の[[化地部]](けじぶ)において出家し、瞑想に基づく欲望からの離脱法を修得した。「[[空 (仏教)|空]]」の教理が理解できないため自殺しようと悩んでいたとき、東方、ビデーハ国(現在のビハール州北部)のピンドーラ(piNDola、賓頭羅)阿羅漢に出会い、ようやく小乗の空観をも体得した。

2011年3月10日 (木) 12:36時点における版

無著(無着)
310 - 390年
興福寺の無著像
尊称 無著菩薩
生地 インド
宗派 唯識
弥勒
弟子 世親
著作摂大乗論』他
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無著無着 むぢゃく、サンスクリット:asaNga アサンガ)はインドの大乗仏教唯識派の大学者。生没年は不詳だが、310 - 390年ころの人。

経歴

西北インドのガンダーラ国(現在のパキスタン、ペシャーワル地方)にバラモンの子として生まれた。父はカウシカ(kauCika、去尸迦)、母はビリンチ(viriJci、比隣持)、兄弟3人のうちの長男であった。実弟は説一切有部から唯識派に転向して大成したバスバンドゥ(世親)。

初め部派仏教化地部(けじぶ)において出家し、瞑想に基づく欲望からの離脱法を修得した。「」の教理が理解できないため自殺しようと悩んでいたとき、東方、ビデーハ国(現在のビハール州北部)のピンドーラ(piNDola、賓頭羅)阿羅漢に出会い、ようやく小乗の空観をも体得した。

しかし、これに満足できないアサンガは、インド中部のアヨーディヤー(現在のアウド)に赴き、大乗仏教の修行の一つである瑜伽行に努めた。そこでマイトレーヤ(弥勒)菩薩から大乗仏教の空思想を学び、大乗仏教徒となった。また、他の人々にも、マイトレーヤが直接『瑜伽師地論(ゆがしじろん)』(『十七地経』)を説くように要請し、アサンガがその解説をすることにした。これが唯識思想流布の端緒とされる。彼はマイトレーヤから日光三昧を教えられていたので、大乗の教義を容易に理解し、記憶することができたという。晩年には、大乗を誹謗する弟バスバンドゥをアヨーディヤーに呼び寄せ、偉大なる大乗仏教者に育てた。

主な著作

  • 摂大乗論』(しょうだいじょうろん)
  • 『顕揚聖教論』(けんようしょうぎょうろん)
  • 『大乗阿毘達磨論』(だいじょうあびだつまろん)
  • 『順中論』
  • 『六門教授習定論』(ろくもんきょうじゅしゅうじょうろん)