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「単調写像」の版間の差分

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2011年6月15日 (水) 10:18時点における版

実数関数 f が、x の増加につれて常に関数値 f(x) も増加するという性質を持つとき、f単調に増加するまたは単調増加関数であるという。これはすなわち、fグラフが常に右肩上りで、右肩下がりになっている部分がない事であると言い替える事ができる。一方、 x の増加につれて常に関数値 f(x) が減少するという性質を持つとき、f単調に減少する(単調減少関数)という。

経済学の分野では、単調増加、単調減少の事をそれぞれ逓増逓減とも言う。(例:限界効用逓減

上記の「単調性」を一般化すると、順序集合の間の写像が順序を保つ、といえる。このような単調性を持つ写像を単調写像(monotone function)と呼ぶ。

単調性

実数から実数への関数 f

x < y ならば f(x) < f(y)

をみたすとき、f は(狭義)単調増加するという。また、

x < y ならば f(x) ≦ f(y)

をみたすとき、f は広義単調増加するという。f(x) と f(y) の間の不等号の向きを逆にすることで単調減少の定義が得られる。文脈によって明らかなときは「広義」/「狭義」を省略することも多い。広義単調増加のことを「単調非減少」と呼ぶこともある。

上記の単調性の定義は定義域値域が実数全体の集合でなくても(半)順序集合一般で意味を持つ。この場合、単調増加する写像は順序を保つ写像 (order-preserving, isotone) であると言い替える事ができ、単調減少する写像は順序を逆にする写像(order-reversing, antitone) であると言い替える事ができる。

単調性を満たす写像を単調写像と呼ぶ。

単調性は有界性と併せて使われることが多い。つまり、つねに上限を持つ順序集合への単調写像 f が上に有界であるとき、列 x1 < x2 < ... に対して {f(xi)}i=1,2,... は上限を持つ。このことから上に有界な単調増加実数列は常に収束し、自然数上の再帰関数は必ず不動点を持つ(領域理論)。

実関数での単調性

部分集合 で定義された関数 を考える。

に対し~が成り立つとき は区間 I で~である
語法1 語法2 語法3
単調増加 狭義単調増加 単調増加
広義単調増加 単調増加 単調非減少
単調減少 狭義単調減少 単調減少
広義単調減少 単調減少 単調非増加

等号の成り立つ場合の扱いは書籍によりさまざまで、統一が取れていない。

特に、定義域全体で単調増加/単調減少である関数を、単調増加関数/単調減少関数という。単調増加関数と単調減少関数をまとめて単調関数という。

関数が常に可微分な場合、単調性の概念は導関数によって特徴づける事ができる。 が広義単調増加になるのはが常に非負な事と同値であり、が広義単調減少になるのはが常に非正な事と同値である。 更にの零点が存在しない場合、狭義の単調性が言える。


実数列での単調性

実数に値を取る数列は、自然数の集合(全順序集合である)から実数の集合への写像であると解釈できる。 その写像が単調なとき、その数列は単調数列と呼ばれる。

実数列 を考える。(でも構わない)

に対し~が成り立つとき は~である
語法1 語法2 語法3
単調増加 狭義単調増加 単調増加
広義単調増加 単調増加 単調非減少
単調減少 狭義単調減少 単調減少
広義単調減少 単調減少 単調非増加

関数の場合と同様、等号の成り立つ場合の扱いは書籍によりさまざまで、統一が取れていない。

特に、定義域全体で単調増加/単調減少である数列を、単調増加数列/単調減少数列という。単調増加数列と単調減少数列をまとめて単調数列という。