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「エクメーネ」の版間の差分

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[[ファイル:Claudius Ptolemy- The World.jpg|thumb|300px|エクメーネのイメージ。[[クラウディオス・プトレマイオス|プトレマイオス]]の地図より。]]
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'''エクメーネ'''([[ドイツ語]]:Ökumene)とは人間が居住している地域を指す[[地理学]]の用語である。語としてが居住していない地域指す[[アネクメネ|アネクメーネ]]があ。'''エクメネ'''、'''オイクメネ'''
'''エクメーネ'''([[ドイツ語]]:Ökumene)とは[[人間]][[居住]]している[[地域]]を指す[[地理学]]の[[用語]]である。厳密に定すれば、「[[類]]が居住し一定の[[社会]]形成し,経済生活を営み,規則的な[[交通]]を行ってい生活空間」なる<ref name="kz">今井(2003):24ページ</ref>

[[対義語]]として人間が居住していない地域を指す[[アネクメネ|アネクメーネ]]がある。'''エクメネ'''、'''オイクメネ'''とも称する。


== 語源 ==
== 語源 ==
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[[アレクサンダー・フォン・フンボルト]]がこの概念を提唱し、[[フリードリヒ・ラッツェル]]が研究を進めた<ref>[[平凡社]]『[[世界大百科事典]]』「エクメーネ」の項。</ref>。
[[アレクサンダー・フォン・フンボルト]]がこの概念を提唱し、[[フリードリヒ・ラッツェル]]が研究を進めた<ref>[[平凡社]]『[[世界大百科事典]]』「エクメーネ」の項。</ref>。


エクメーネは地球上の全陸地のうち、約88%を占めている。
エクメーネは[[地球]]上の全[[陸地]]のうち、約88%を占めている。


エクメーネの範囲は主に気条件によって決定される。アネクメーネとエクメーネの境界を決定する限界として「極(寒冷)限界」「乾燥限界」「高距(垂直限界」である。限界[[栽培限界]]の一致し、垂直限界は低緯度域ほど高度限界が高い世界最北の人間の居地域は[[ノルウェー]]の[[スバールバル諸島]][[ニーオーレスン]]、ある[[グリーンランド]]北西部の[[チュレ空軍基地]]いわれる。世界最高地の首都は[[ボリビア]]の首都[[ラパス]]
エクメーネの範囲は主に[[候]]条件によって決定される。アネクメーネとエクメーネの境界を決定する限界として水平限界垂直限界ある<ref name="kz"/>また、人間が居住できる地域の限界と、[[食料]]生産が可能な地域の限界はおおむね一致する<ref>日本地誌研究所『理学辞典』</ref>。人間むこと可能だが[[農業]]には適さな地域を[[:de:Subökumene|Subökumene]]<!-- 訳語不明。「ズペクメネ」か? -->呼ぶ


=== 水平限界 ===
人間が居住できる地域の限界と、食料生産が可能な地域の限界はおおむね一致する<ref>日本地誌研究所『地理学辞典』</ref>。人間が住むことは可能だが農業には適さない地域を[[:de:Subökumene|Subökumene]]<!-- 訳語不明。「ズペクメーネ」か? -->と呼ぶ。
水平限界はさらに「寒冷(極)限界」と「乾燥限界」に分けることができる<ref name="kz"/>。寒冷限界は[[栽培限界]]の極限と一致する。世界最北の人間の居住地域は、[[大航海時代]]からほとんど変化することなく、おおむね[[北緯]]70〜72度であるとされる<ref name="kz2">今井(2003):25ページ</ref>。[[20世紀]]になるとこれを超える北緯78度にある<ref name="kz2"/>、[[ノルウェー]]の[[スバールバル諸島]][[ニーオーレスン]]、あるいは[[グリーンランド]]北西部の[[チューレ空軍基地]]がエクメーネとなった。世界最南の人間の居住地域は、[[フエゴ島]]([[南緯]]45度)から[[南ジョージア諸島]](南緯55度)のあたりとされる<ref name="kz2"/>。[[南極大陸]]はまだ完全なエクメーネとは言い難い<ref>今井(2003):25 - 26ページ</ref>。


=== 垂直限界 ===
エクメーネの拡大は気候の変化による境界域の変化、技術の進歩による居住地域の拡大、人口増加による他地域への移住や入植などによって起こる。エクメーネには人が定住する恒常的なものと、一時的なものの2種がある。たとえば[[南極大陸]]や[[宇宙空間]]はかつてはアネクメーネであったが、現在は一時的エクメーネの一種である。
「高距限界」とも言い、低[[緯度]]地域ほど高度限界が高い。世界最高地の[[首都]]は[[ボリビア]]の[[ラパス]](3632[[メートル|m]])、最高地の[[都市]]は[[ポトシ]](4040m)<ref name="kz3">今井(2003):25 - 26ページ</ref>。垂直限界にある都市はいずれも高山都市である<ref name="kz3"/>。

== エクメーネの拡大 ==
エクメーネの拡大は[[気候]]の変化による境界域の変化、技術の進歩による居住地域の拡大、人口増加による他地域への移住や入植などによって起こる。大航海時代には[[羅針盤]]や[[航海]]技術の発達の影響で、世界各地に分散されていたエクメーネが結ばれ、次々とアネクメーネがエクメーネに編入されていった<ref>今井(2003):24 - 25ページ</ref>。

エクメーネには人が定住する恒常的なものと、一時的なものの2種がある。たとえば南極大陸や[[宇宙空間]]はかつてはアネクメーネであったが、現在は一時的エクメーネの一種である。


== 脚注 ==
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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
* 今井清一『改訂増補 人文地理学概論<上巻>』[[晃洋書房]]、2003年5月10日、151pp. ISBN 4-7710-1459-0
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2011年8月25日 (木) 07:28時点における版

エクメーネのイメージ。プトレマイオスの地図より。

エクメーネドイツ語:Ökumene)とは人間居住している地域を指す地理学用語である。厳密に定義すれば、「人類が居住し一定の社会を形成し,経済生活を営み,規則的な交通を行っている生活空間」となる[1]

対義語として人間が居住していない地域を指すアネクメーネがある。エクメネオイクメネとも称する。

語源

このエクメーネという語は、ギリシア語で「人の住む全地」を意味する語・エクメーネー(οἰκουμένη γῆ)に由来している。これは元々、古代ギリシア人が自分たちの住んでいる空間を指して用いていた語であった。

キリスト教で用いられる語エキュメニカルも同語源であり、エキュメニズム世界教会協議会はoikoumeneを名乗る。

概念

アレクサンダー・フォン・フンボルトがこの概念を提唱し、フリードリヒ・ラッツェルが研究を進めた[2]

エクメーネは地球上の全陸地のうち、約88%を占めている。

エクメーネの範囲は主に気候条件によって決定される。アネクメーネとエクメーネの境界を決定する限界として水平限界と垂直限界がある[1]。また、人間が居住できる地域の限界と、食料生産が可能な地域の限界はおおむね一致する[3]。人間が住むことは可能だが農業には適さない地域をSubökumeneと呼ぶ。

水平限界

水平限界はさらに「寒冷(極)限界」と「乾燥限界」に分けることができる[1]。寒冷限界は栽培限界の極限と一致する。世界最北の人間の居住地域は、大航海時代からほとんど変化することなく、おおむね北緯70〜72度であるとされる[4]20世紀になるとこれを超える北緯78度にある[4]ノルウェースバールバル諸島ニーオーレスン、あるいはグリーンランド北西部のチューレ空軍基地がエクメーネとなった。世界最南の人間の居住地域は、フエゴ島南緯45度)から南ジョージア諸島(南緯55度)のあたりとされる[4]南極大陸はまだ完全なエクメーネとは言い難い[5]

垂直限界

「高距限界」とも言い、低緯度地域ほど高度限界が高い。世界最高地の首都ボリビアラパス(3632m)、最高地の都市ポトシ(4040m)[6]。垂直限界にある都市はいずれも高山都市である[6]

エクメーネの拡大

エクメーネの拡大は気候の変化による境界域の変化、技術の進歩による居住地域の拡大、人口増加による他地域への移住や入植などによって起こる。大航海時代には羅針盤航海技術の発達の影響で、世界各地に分散されていたエクメーネが結ばれ、次々とアネクメーネがエクメーネに編入されていった[7]

エクメーネには人が定住する恒常的なものと、一時的なものの2種がある。たとえば南極大陸や宇宙空間はかつてはアネクメーネであったが、現在は一時的エクメーネの一種である。

脚注

  1. ^ a b c 今井(2003):24ページ
  2. ^ 平凡社世界大百科事典』「エクメーネ」の項。
  3. ^ 日本地誌研究所『地理学辞典』
  4. ^ a b c 今井(2003):25ページ
  5. ^ 今井(2003):25 - 26ページ
  6. ^ a b 今井(2003):25 - 26ページ
  7. ^ 今井(2003):24 - 25ページ

参考文献


関連項目

外部リンク