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== 原理 ==
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理論研究の発表は[[1952年]]、[[ジョセフ・ウェーバー]]によって行われた。これは量子力学の応用に基づくものであった。実際の発振は[[1954年]]<!--1953説もあるようだが-->、[[コロンビア大学]]の[[チャールズ・タウンズ]]らによる。これはレーザーの発明 (理論:1958年・初の発振:1960年) に先行するもので、メーザーの開発発展がレーザーを生むことになった。


初の発振はアンモニアメーザーによって行われた。その後、[[1958年]]にルビー結晶メーザーが、[[1960年]]に水素メーザーが開発された
初の発振はアンモニアメーザーによって行われた。その後、[[1958年]]にルビー結晶メーザーが、[[1960年]]に水素メーザーが開発された<ref>{{Cite web
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これらの発見によって電磁波工学技術が飛躍的に発展した。また[[原子時計]]や極めて高精度の周波数カウント技術の発展に繋がった。
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* 長倉三郎、他(編)「岩波理化学辞典-第5版」岩波書店 (1998/02)


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2011年12月19日 (月) 13:22時点における版

メーザーを放出する水素メーザーキャビティ (注:ピンク色の光はメーザーではない。メーザーは肉眼では不可視である)

メーザー: MASER)とは、誘導放出によって発生するコヒーレントマイクロ波のこと。Microwave Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出によるマイクロ波増幅)の略称である。

メーザーはレーザー同様、非常に指向性・単波長性が高い。指向性の高さから、先端科学用ピンポイント加熱装置などに用いられることがある[1]。また、分子構造の解析にも利用される。

原理

水素メーザー発生装置の概要

レーザーと同様に反転分布を用いて発生 (発振) させる。固体メーザーにおいては常磁性共振による原子の放射を直接利用しており、適切なキャリアを封入したキャビティ (共振筒) 内にマイクロ波を照射し、キャリアの共振によって発生する特定波長・コヒーレンスなマイクロ波を取り出すことによって得られる。

フォノンを増幅・発振させたフォノンメーザーも存在する。たとえば超低温としたクロムイオン含有ルビーにマイクロ波でポンピングを行い、超音波を発振させる実験が1963年に成功している。

歴史

理論研究の発表は1952年ジョセフ・ウェーバーによって行われた。これは量子力学の応用に基づくものであった。実際の発振は1954年コロンビア大学チャールズ・タウンズらによる。これはレーザーの発明 (理論:1958年・初の発振:1960年) に先行するもので、メーザーの開発発展がレーザーを生むことになった。

初の発振はアンモニアメーザーによって行われた。その後、1958年にルビー結晶メーザーが、1960年に水素メーザーが開発された[2]

これらの発見によって電磁波工学技術が飛躍的に発展した。また原子時計や極めて高精度の周波数カウント技術の発展に繋がった。

天体

メーザーを発振している「メーザー天体」が宇宙には存在し、観測の対象となっている。

架空の兵器

フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』及びその後のゴジラシリーズにはメーザーを攻撃に転用した戦車、メーー殺獣光線車が登場する。

超電子バイオマン』のバイオロボによる必殺技 (剣技) は「スーパーメーザー」と呼ばれる。

機動戦士ガンダム』に登場するモビルスーツゾックには「フォノンメーザー砲」という名称の武装が装備されており、以降のシリーズにも同名の武装を装備したモビルスーツが幾つか登場している。

ファイナルファンタジーVIII』にて「メーザーアイ」という攻撃技が存在する。

またファミリーコンピュータビデオゲームサンサーラ・ナーガ」にて、主人公が装備できる最強の攻撃力を持つ武器として「メーザーほう」という武器が存在し、精密機器という説明がなされている。

Marathonシリーズのサードパーティーシナリオ「Rubicon」において、「ダンギ・メーザー」という武器が登場する。メーザーの特徴通り発射されても軌跡が見えず、威力の高い兵器となっている。

ただし、近年の作品では「(超高出力の) マイクロ波照射」という名称が一般的になっている。

脚注

  1. ^ 武藤敬、下妻隆「2. 高周波加熱技術ことはじめ(高周波によるプラズマ加熱技術入門)」(PDF)『プラズマ・核融合学会誌』第82巻第6号、社団法人プラズマ・核融合学会、2006年、376-390頁、ISSN 0918-7928NAID 110006282078 
  2. ^ 田幸敏治 (2007年11月1日). “フォトンテクノロジー技術部会講演要旨” (PDF). 社団法人日本オプトメカトロニクス協会. 2011年12月19日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク