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「特定失踪者問題調査会」の版間の差分

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== 特定失踪者 ==
== 特定失踪者 ==
特定失踪者問題調査会の定義する「特定失踪者」とは、原則として家族・関係者等から調査依頼があった「[[夜逃げ]]をするような理由が全く見あたらないのに突然姿を消した人」で「北朝鮮による拉致の疑いが完全には排除できない人」を指す。従って同会が特定失踪者に認定することは直ちに同会が「北朝鮮による拉致の疑いのある失踪者」と認定したことを意味するのではない。同会の調査によって特定失踪者の消息や失踪の経緯が明らかとなり、北朝鮮による拉致の疑いが晴れれば失踪事件の解決に資するのであって、既に[[北朝鮮による日本人拉致問題|日本人拉致]]を行ったことを認めている北朝鮮による拉致の可能性を考慮すること自体には何ら問題はない。同会発足から[[2011年]]10月までに同会が調査した特定失踪者は470名以上にのぼる。特定失踪者にはその調査に際し「家族等が失踪者の情報公開を依頼した人」(同会では「0番台リスト」と称している)とそうではない(情報非公開)人がある。更にその中から「北朝鮮による拉致の確率が高い失踪者」(同会では「1000番台リスト」と称している。全員情報公開)が抽出されている。「1000番台リスト」に氏名の上がっている人については政府に対し北朝鮮による拉致事案として捜査するよう求めているが、特定失踪者すべてを「北朝鮮による拉致の確率が高い失踪者」として扱っているわけではない。家族・関係者等から同会に依頼や照会があり、「夜逃げをするような理由が全く見あたらないのに突然姿を消した人」で「北朝鮮による拉致の疑いが完全には排除できない人」に該当する場合は特定失踪者として調査を行っている。このため特定失踪者には同会発足以前に発生し公開捜査がなされている[[未解決事件]]の行方不明者なども含まれ、これらについては付帯情報として北朝鮮工作員に関わる事案等が示される場合もある。
特定失踪者問題調査会の定義する「特定失踪者」とは、原則として家族・関係者等から調査依頼があった「[[夜逃げ]]をするような理由が全く見あたらないのに突然姿を消した人」で「北朝鮮による拉致の疑いが完全には排除できない人」を指す。従って同会が特定失踪者に認定することは直ちに同会が「北朝鮮による拉致の疑いのある失踪者」と認定したことを意味するのではない。同会の調査によって特定失踪者の消息や失踪の経緯が明らかとなり、北朝鮮による拉致の疑いが晴れれば失踪事件の解決に資するのであって、既に[[北朝鮮による日本人拉致問題|日本人拉致]]を行ったことを認めている北朝鮮による拉致の可能性を考慮すること自体には何ら問題はない。
同会発足から[[2011年]]10月までに同会が調査した特定失踪者は470名以上にのぼる。特定失踪者にはその調査に際し「家族等が失踪者の情報公開を依頼した人」(同会では「0番台リスト」と称している)とそうではない(情報非公開)人がある。更にその中から「北朝鮮による拉致の確率が高い失踪者」(同会では「1000番台リスト」と称している。全員情報公開)が抽出されている。「1000番台リスト」に氏名の上がっている人については政府に対し北朝鮮による拉致事案として捜査するよう求めているが、特定失踪者すべてを「北朝鮮による拉致の確率が高い失踪者」として扱っているわけではない。家族・関係者等から同会に依頼や照会があり、「夜逃げをするような理由が全く見あたらないのに突然姿を消した人」で「北朝鮮による拉致の疑いが完全には排除できない人」に該当する場合は特定失踪者として調査を行っている。このため特定失踪者には同会発足以前に発生し公開捜査がなされている[[未解決事件]]の行方不明者や操業中に海上で行方不明となった漁師なども含まれ、これらについては付帯情報として北朝鮮工作員に関わる事案等が示される場合もある。


== 特定失踪者と拉致被害者等の扱い ==
== 特定失踪者と拉致被害者等の扱い ==

2011年12月29日 (木) 09:29時点における版

特定失踪者問題調査会
設立 2003年1月10日
種類 任意団体
目的 北朝鮮による拉致の疑いのある失踪事件について調査を行い、もって拉致事件の全面解決に資する。
本部 東京都文京区後楽2-3-8
第6松屋ビル401
関連組織 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
家族会
拉致議連
地方議員の会
法律家の会
予算 支援者のカンパ
ウェブサイト http://www.chosa-kai.jp/
特記事項 救う会失踪者調査部門が分離独立
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特定失踪者問題調査会(とくていしっそうしゃもんだいちょうさかい)は北朝鮮による拉致の可能性を調査する市民団体。代表は荒木和博

概要

特定失踪者問題調査会は2003年北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(通称「救う会」)から分離し設立された。役員は「理事」を称するが、任意団体であり、法人格は取得していない。

「救う会」から分離した理由は、「特定失踪者」についての調査活動を優先し、政治運動色を弱めること、失踪者が北朝鮮による拉致事件とは無関係だった場合の混乱を避けるためである。

特定失踪者問題調査会は、愛する家族が失踪したまま生死が分からないのことは悲惨なことであり、どのような原因であっても一日でも早く家族との再会や真相の究明がなされることを望んでいる。

特定失踪者

特定失踪者問題調査会の定義する「特定失踪者」とは、原則として家族・関係者等から調査依頼があった「夜逃げをするような理由が全く見あたらないのに突然姿を消した人」で「北朝鮮による拉致の疑いが完全には排除できない人」を指す。従って同会が特定失踪者に認定することは直ちに同会が「北朝鮮による拉致の疑いのある失踪者」と認定したことを意味するのではない。同会の調査によって特定失踪者の消息や失踪の経緯が明らかとなり、北朝鮮による拉致の疑いが晴れれば失踪事件の解決に資するのであって、既に日本人拉致を行ったことを認めている北朝鮮による拉致の可能性を考慮すること自体には何ら問題はない。

同会発足から2011年10月までに同会が調査した特定失踪者は470名以上にのぼる。特定失踪者にはその調査に際し「家族等が失踪者の情報公開を依頼した人」(同会では「0番台リスト」と称している)とそうではない(情報非公開)人がある。更にその中から「北朝鮮による拉致の確率が高い失踪者」(同会では「1000番台リスト」と称している。全員情報公開)が抽出されている。「1000番台リスト」に氏名の上がっている人については政府に対し北朝鮮による拉致事案として捜査するよう求めているが、特定失踪者すべてを「北朝鮮による拉致の確率が高い失踪者」として扱っているわけではない。家族・関係者等から同会に依頼や照会があり、「夜逃げをするような理由が全く見あたらないのに突然姿を消した人」で「北朝鮮による拉致の疑いが完全には排除できない人」に該当する場合は特定失踪者として調査を行っている。このため特定失踪者には同会発足以前に発生し公開捜査がなされている未解決事件の行方不明者や操業中に海上で行方不明となった漁師なども含まれ、これらについては付帯情報として北朝鮮工作員に関わる事案等が示される場合もある。

特定失踪者と拉致被害者等の扱い

特定失踪者認定・調査は民間団体である特定失踪者問題調査会が個人情報を扱うことからあくまで家族・関係者等が「失踪している」として同会に依頼した人であることが条件であり、身寄りがないなど家族・関係者等からの依頼がない場合は元より特定失踪者としては扱われない。また政府認定拉致被害者は日本国民であることが拉致被害者支援法の認定基準であるが、特定失踪者については民間団体が示した呼称でありそのような条件もないため、消息不明となっている在日朝鮮人等も含まれている。更に北朝鮮との関わりが疑われることが前提ではないため、拉致被害の疑いが濃厚とされ警察の捜査対象となっている人物であるという理由だけでは特定失踪者にはならない。北朝鮮工作員に関わる何らかの犯罪行為に巻き込まれているものとして警察当局が捜査し、北朝鮮工作員に関わる事件であると断定した事案の行方不明者で、且つ政府認定拉致被害者以外の行方不明者である田中実・小住健蔵については「救う会」が拉致被害者と指定しており特定失踪者ではない。田中実については家族がおらず、小住健蔵は家族はいるものの事件発生以前から当人と音信不通であった。両名については2002年10月、政府が非公式に北朝鮮に消息の照会を行ったいわゆる「未認定拉致被害者」であり、「救う会」が調査と真相解明及び救出活動を行い、政府による拉致認定を求めた。田中実についてはその後の警察の捜査を受けて2005年に政府認定拉致被害者となったが、北朝鮮から「入境していない」との回答があった。

またよど号ハイジャック事件実行犯岡本武と北朝鮮で結婚したという日本人女性福留貴美子についても、八尾恵の証言などから拉致の疑いが濃厚とされ、「救う会」が拉致被害者と判断しているため特定失踪者とは区別される。更に寺越昭二・寺越外雄・寺越武志については北朝鮮工作員に関わる何らかの犯罪行為に巻き込まれているものとして警察当局が捜査し、北朝鮮工作員に関わる事件の被害者であると断定した事案であるが、3名の消息が判明しているため特定失踪者とはなり得ず、「未認定拉致被害者」の状態である。ただ寺越武志については本人が生存し、拉致を否定したため拉致被害者ではない扱いとせざるを得なくなっている。これらの人々については「救う会」が調査と真相解明及び救出活動を行っており、政府による拉致認定を求めている。

一方2007年4月、警察庁は北朝鮮工作員と結婚した日本人女性渡辺秀子とその子供2名が1974年6月中旬に行方不明になった事案について「子供2名を北朝鮮による拉致被害者と断定した」と発表し(2児拉致事件)、容疑者を国際指名手配した。同月外務省が北朝鮮に対し正式に抗議と調査、子供2人の返還と容疑者身柄引き渡しを要求した。従って当事案については政府によって公式に認定された拉致事件であるが、その子供2人は朝鮮籍であり日本国民ではないことから、子供2名は政府認定拉致被害者とはなっていない。これ以前に渡辺秀子の親族が渡辺秀子と子供2名について特定失踪者問題調査会に公開調査を依頼しており、子供2名については特定失踪者「1000番台リスト」に記載されている。渡辺秀子については当該事件に関する警察の事情聴取を受けた被疑者が遺体を日本国内に遺棄したことを供述し、殺害についても証言したが、遺体は見つからないままとなっており、生死は不明である。

このほか特定失踪者「1000番台リスト」に記載された人のうち松本京子は政府が2002年10月、非公式に北朝鮮に消息の照会を行ったただ1人の特定失踪者であった。警察の捜査の結果拉致の疑いが極めて強くなり、2006年に政府認定拉致被害者に指定されたが、こちらについても北朝鮮から「入境していない」との回答があった。また調査の結果及び本人が同会に名乗り出るなどして日本国内において消息が確認できた人が46名おり、うち生存している人が43名、既に死亡していた人が3名、更にその中で別の犯罪により殺害されていた人が1名(「0番台リスト」に掲載、当該殺人事件自体は時効)であった。このほか山梨県警察本部が「1000番台リスト」掲載の特定失踪者1名について2004年3月「山形県内で発見された行旅死亡人DNAの型が一致した」と発表したものの、その後情報が公開されず真偽不明のままとなっている。

広報・啓発活動等

2005年10月から、拉致被害者への呼びかけを目的とした短波放送しおかぜを放送している。また、東京都と合同で、都民の「特定失踪者」48人に関する情報募集のポスターを制作した。また、書籍(後述)や携帯ストラップ、サポーターグッズ販売もおこなっている。

書籍

関連項目

外部リンク