「トヨタ・86」の版間の差分
m →グレード: センタリング |
Marshall458j (会話 | 投稿記録) |
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2012年3月4日 (日) 14:57時点における版
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トヨタ・86(ハチロク)とは、トヨタ自動車が販売する乗用車。なお、2009年の第41回東京モーターショーに出展したコンセプトカーであるFT-86、FT-86 IIについても記述する。
「クルマ本来の運転する楽しさ、所有する歓びを提案する小型FRスポーツのコンセプトモデル」[1]のスローガンを掲げ、富士重工業(スバル)と共同で開発した[2]。なお、富士重工業では一部仕様が異なる「スバル・BRZ」が販売される。
概要
トヨタ・86 ZN6型 | |
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概要 | |
販売期間 | 2012年4月 - |
ボディ | |
乗車定員 | 4人 |
ボディタイプ | 2ドアクーペ |
駆動方式 | FR |
パワートレイン | |
エンジン |
FA20型:水平対向4気筒 ポート噴射+筒内直噴(D-4S) |
最高出力 | 147kW (200PS) |
最大トルク | 205N·m (20.9kgf·m) |
変速機 | 6速MT/6速AT |
前 |
前:ストラット 後:ダブルウィッシュボーン |
後 |
前:ストラット 後:ダブルウィッシュボーン |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,570mm |
全長 | 4,240mm |
全幅 | 1,775mm |
全高 | 1,300mm |
車両重量 | 1,220kg |
2012年2月2日発表[3]。同年4月6日から発売される予定である。販売についてはトヨタ全販売チャネル(ネッツトヨタ東四国は除く)での取り扱いとなるが、全国の各ディーラーから選ばれた1店舗のみが「AREA 86」として展示車・試乗車を設置し、専門スタッフを常駐させる。
2010年6月18日に北米での市販車名は『FR-S』が有力だと報道されていた[4]が、2011年4月20日のニューヨークオートショーにおいて『FR-S concept』の公開に伴い、サイオンブランドから販売されることが発表された[5][6]。
メインターゲットは、かつて「ハチロク」に乗っていた、あるいは憧れていた40歳代から50歳代の男性で、販売価格は、ベースグレードの「RC」で199万円、標準グレードの「G」で241万円、上級グレードの「GT」では279万円、最上級グレードの「GT “Limited”」は305万円となる[7]。
嗜好性の高いスポーツカーを開発するため、開発するにあたっては、“Built by passion, not by committee!”(合意してつくるのではない、情熱でつくるんだ!)がスローガンとして掲げられ、通常のトヨタの開発手法とは異なる意思決定の仕組みが採用された[8]。例えば従前の車両デザインの決定では、役員、営業、工場などの各部門の承認が必要な社内評価制度があるが、86の開発では社内のスポーツカーユーザー200名の意見を取り入れながら少人数で決定した[9]。この結果、超低重心の車体を強調したサイドビューや、獲物を狙う肉食系の動物をモチーフとし、知的で明晰な印象を与える「キーンルック」と呼ばれるフロントマスクのデザインが採用されている。
グレード
「RC」「G」「GT」「GT “Limited”」の4つのグレードが用意されている。
このうち「RC」はスピーカーやエアコンなどをカットした競技用車両である。バンパーやドアミラー、外側ドアハンドルなどは未塗装(素地)のものが使用されており、またルームランプやフロアサイレンサーなども省略された最小限の構成になっている。
「GT “Limited”」は、上級グレードである「GT」に加えて本革とアルカンターラのシート表皮、リアスポイラーなどが装備された最上級グレードとなる。
グレード | GT | G | RC | ||
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“Limited” | |||||
変速 | 6速AT (パドルシフト付き) / 6速MT | 6速MT | |||
外装 |
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電動格納式ドアミラー | 電動ドアミラー | ||||
照明 |
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車輪 |
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特別装備 | - | ||||
内装 | |||||
座席 | 本革×アルカンターラ | 上級ファブリック | ファブリック | ||
計器盤 |
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保安 |
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空調 | 左右独立フルオートエアコン | マニュアルエアコン | ヒーター | ||
音響 | 6スピーカー | 2スピーカー | - | ||
価格 | 297万円 | 279万円 | 241万円 | 199万円 | |
AT | 305万円 | 287万円 | 248万円 | - |
コンセプトモデル
トヨタ・FT-86 | |
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フロント | |
リア | |
室内 | |
概要 | |
デザイン | トヨタ ヨーロッパ デザイン デベロップメント |
ボディ | |
乗車定員 | 4人 |
ボディタイプ | 2ドアクーペ |
駆動方式 | FR |
パワートレイン | |
エンジン | 水平対向4気筒 2L |
最高出力 | 147kW (200ps) |
最大トルク | 205N・m (20.9kgf・m) |
変速機 | 6速MT |
前 |
前:ストラット 後:ダブルウィッシュボーン |
後 |
前:ストラット 後:ダブルウィッシュボーン |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,570mm |
全長 | 4,160mm |
全幅 | 1,760mm |
全高 | 1,260mm |
デザイン
独立したトランクを有する3ボックス・ノッチバックスタイルでサッシュレスドアを採用しており、ED2(Toyota Europe Design Development)がデザインを担当。そのエクステリアデザインの特徴は、2007年の第40回東京モーターショーに出展されたトヨタのコンセプトカーであるFT-HSを彷彿とさせるものが与えられ、従来のライトウェイトスポーツカーと大きく異なる、張り出しや重量感のあるものとなっている。
前面はヘッドランプが細く鋭く切れ上がり、その下部にある縦筋の窪みはエンジンルームへのエアインテークになっている[10]。フロントバンパーと一体化させたフロントグリルは、大きく六角形に開口させて奥まったところに設置し、Aピラーと共にブラックアウトさせている。Aピラーについては、重視される衝突安全性能を達成するため、市販車の多数に倣って太くなっているが、それと引き替えに大きくなってしまう死角領域の対策として、分割してガラスをはめ込むことで外観を損ねることなく死角領域の低減を図っている。
背面は、スポイラー状に形成されたトランクリッドとカーボン製のディフューザーが空気の流れを意識した立体感ある形状[11]に仕立てられており、ディフューザーに埋め込まれたマフラーエンドが左右1本ずつのぞかせている。
パッケージングの特徴は、全長に対して長くとられたホイールベースである。前後のオーバーハングは極限にまで切り詰められているため、ほかの2L級クーペより短い全長ながら2+2シート・4人定員の居住空間を確保している。
FT-86およびAE86、日本メーカーのクーペ(2L級)との寸法比較 | |||||
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車名 | 全長 (mm) |
全幅 (mm) |
全高 (mm) |
ホイールベース (mm) |
オーバーハング (mm) |
トヨタ・FT-86 | 4,160 | 1,760 | 1,260 | 2,570 | 1,590 |
トヨタ・スプリンタートレノ (AE86型) | 4,215 | 1,625 | 1,335 | 2,400 | 1,815 |
トヨタ・カローラレビン (AE86型) | 4,180 | 1,625 | 1,335 | 2,400 | 1,780 |
日産・シルビア (S15型・スペックR) | 4,445 | 1,695 | 1,280 | 2,525 | 1,920 |
ホンダ・インテグラ (DC5型・タイプR) | 4,385 | 1,725 | 1,385 | 2,570 | 1,815 |
[例外[12]] マツダ・RX-8 (SE3P型・前期タイプS) | 4,435 | 1,770 | 1,340 | 2,700 | 1,735 |
また、2011年に公開された「FT-86IIコンセプト」では、細部のデザインが変更されている。
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/bf/ToyotaFT-86II.jpg/200px-ToyotaFT-86II.jpg)
メカニズム
エンジンは低重心と重量配分を追求すべく、富士重工業が開発したFB20型をベースに、トヨタの直噴技術である「D-4S」を組み合わせた新開発の水平対向4気筒・NAの2.0Lエンジン(FA20型)である。[13]なお、車の性格上、高回転出力型を目指したため、FB20型と比べるとストロークが短縮された。その結果、このエンジンのボアxストロークは86x86mmとなっている[14]。
駆動方式はこれを縦置きに搭載して後輪を駆動するFRとし、3ペダル式の6速MTもしくは6速ATが組み合わされる。スバル「レガシィ」や「インプレッサ」が採用する駆動方式の主流である4WDのフロント駆動部分を取り除けばFRとすることが可能だが、FT-86 ConceptではFR専用にトランスミッションを新開発し、エンジン搭載位置も見直した上で、エンジン重心を前車軸よりも後方に搭載するフロントミッドシップ方式を採用することで、運動性能に大きく影響する前後の重量配分に気を配っている[15]。 ブレーキシステムは、トヨタの系列会社であるアイシンのグループ企業、アドヴィックスが開発した前4ポッド・後2ポッドのものが装着されている。
タイヤは16・17インチともこの手の車種としては珍しく、コストと”手の内感”を両立させるためにハイグリップ志向のタイヤではなくコンフォート志向のタイヤを採用。 16インチは4代目スバル・インプレッサと同じYOKOHAMA製「デシベル」(205/55R16)で、17インチは3代目プリウスのツーリングセレクション系と同じミシュラン製「プライマシーHP」(215/45R17)である。
Gスポーツ
2010年に発表されたコンバージョン車ブランド「Gスポーツ(通称;G's)」のモデルとして東京オートサロンにて公開されたのが「FT-86 Gスポーツコンセプト」である。 専用のエアロパーツやレカロ製バケットシート、専用開発のターボエンジンなどを搭載している。
沿革
- 2008年4月、小型FRスポーツ車をトヨタと富士重が共同開発し、両社で市場展開していくことで合意。
- 2009年10月、第41回東京モーターショーに世界初出展。
- 2010年1月、東京オートサロンにて、「FT-86 Gスポーツコンセプト」が初公開。
- 2010年11月25日、SCEから発売されたプレイステーション3専用ソフト『グランツーリスモ5』[16]にて「FT-86 コンセプト」と「FT-86 Gスポーツコンセプト」が登場。ゲームとしては初めての収録となった。
- 2011年2月、ジュネーブモーターショーにて「FT-86 IIコンセプト」が初公開。
- 2011年4月20日、ニューヨークオートショーにて「FR-S concept」が公開。サイオンブランドでの販売を公表。
- 2011年5月16日、SEGAのアーケードゲーム頭文字D ARCADE STAGE 6 AAにて、「FT-86 Gスポーツコンセプト」が登場[17]、ハチロクを起用して有名になった頭文字Dで新旧ハチロクの対戦も可能となった[18]。
- 2011年10月、ニュル耐久選手権に出場。
- 2011年11月11日から11月13日にかけて行われたSUPER GT JAFグランプリにおいて翌シーズンからBRZがGT300クラスにR&D SPORTから参戦することが発表された。
- 2011年11月27日、正式名称を「86(ハチロク)」とすることが発表された[19]。
- 2011年12月、第42回東京モーターショーにて「86(ハチロク)」を世界初出品。
- 2012年2月2日、発表。
- 2012年3月12日、生産開始(予定)。
- 2012年4月6日、発売(予定)。
車名
由来
AE86型カローラレビン/スプリンタートレノ(通称:ハチロク)のように、お客様に愛され、育てていただきたいという想いから命名[20]。
AE86との関係
車名の「86」部分は、AE86型 スプリンタートレノ・カローラレビンのようにフットワークが軽く、ユーザが育てる楽しみを味わえるような車にしたいという思いが込められており、開発コードとして86番を採番するためにタイミングを図って申請が行われた[21]。AE86の現代版というコンセプト[22]やリバイバル[23]とされるが、決してAE86を焼き直すという考えでは開発されておらず、ボディサイズや排気量はサイズアップした全く新しい車である[23]。
AE86が持っていた「比較的低価格でスポーツドライビングを楽しめるクルマ」「そこそこのパワーで、クルマ本来の運転する楽しさ」「ハイテクや制御に頼らないクルマ本来の気持ちよさ」といった部分を取り入れて開発しており[10][22]、その背景から「ハチロク復活」や「新ハチロク」と表現された[10][23]。
スバル・BRZとの違い
富士重工業でも、兄弟車となるスバル・BRZの販売を予定している。エンジンなどの基本部分は同じだが、フロント部の形状や設定カラー、オプションに一部違いがある。 また乗り味にも違いがあり、自動車評論家のレビューでは、86がリアを滑らせて楽しませる志向なのに対して、BRZはグリップを重視した安定志向のセッティングであると評されることが多い[24][25]。名称のBはボクサーエンジン(Boxer Engine)、Rは後輪駆動(Rear wheel drive)、Zは究極を意味している[26]。 また、モータースポーツベースグレードの両者の違いとしてはBRZはメーカーオプションでエアコンの設定があるが、86ではエアコンのオプション設定がない[27]。BRZは全グレートでディスチャージヘッドランプ標準装着である。
脚注・出典
- ^ TOYOTA、東京モーターショーに小型FRスポーツ、プラグインハイブリッド車、都市型EVの新たなコンセプトカーを出展 - トヨタ自動車・2009年10月6日
- ^ トヨタ・ダイハツ・富士重、開発・生産における新たな協力関係に合意 - トヨタ自動車・2008年4月10日
- ^ トヨタ、小型FRスポーツ「86(ハチロク)」正式発表、199万円から - Car Watch・2012年2月2日
- ^ トヨタの新型FRスポーツ、車名はFR-Sか - Response. 2010年6月18日
- ^ SCION INTRODUCES FR-S SPORTS COUPE CONCEPT AT 2011 NEWYORK AUTO SHOW - SCION News & Press、2011年4月20日
- ^ トヨタ自動車、ニューヨーク国際オートショーに小型FRスポーツカー「FR-S concept」を出展 - トヨタ企業サイト ニュース、2011年4月21日
- ^ トヨタ 86、価格は199万円から - Response.・2012年2月2日
- ^ トヨタ 86 (ハチロク) 開発ストーリー デザイン GAZOO
- ^ トヨタ 86 (ハチロク) 商品概要(エクステリア) GAZOO
- ^ a b c トヨタ「FT-86 Concept」、新ハチロクの開発目標はドリフト性能世界一(1/4ページ) - 日経トレンディネット・2009年10月26日
- ^ 【東京モーターショー09】トヨタ FT-86、造形のトライ - レスポンス・2009年10月21日
- ^ 4ドアクーペ。排気量は1,308cc(654cc×2)だが、ロータリーエンジンを搭載しているため、自動車税は1,962cc相当として扱われることから掲載。
- ^ その証としてエンジンのインマニ上面のカバーには「TOYOTA D-4S」と「BOXER SUBARU」が併記されている。
- ^ 【スバル BRZ 事前試乗】圧倒的低重心が生み出すスーパーカーフィールResponse 2011年12月15日(2012年2月7日閲覧)
- ^ トヨタ「FT-86 Concept」、新ハチロクの開発目標はドリフト性能世界一(2/4ページ) - 日経トレンディネット・2009年10月26日
- ^ 製作はポリフォニー・デジタル
- ^ 2011年5月のニュース 頭文字D ゲーム 公式サイト、2011年5月9日
- ^ 特定の条件を満たせば購入可能となる。ただしチューニングはできない。また、上述のグランツーリスモ5でも同様の対戦が可能。
- ^ “FT-86の正式名称は『86(ハチロク)』に決定”. AUTOSPORT web(オートスポーツweb) (イデア). (2011年11月27日) 2011年11月27日閲覧。
- ^ 86の車名の由来は何ですか?toyota.jp 車名の由来
- ^ 誰でも買えるスポーツカー「86」復活!トヨタ社長に直訴した多田氏 - [SankeiBiz] 2011年12月11日
- ^ a b トヨタ FT-86 コンセプト - carview.co.jp
- ^ a b c 「ハチロク」復活! トヨタFT-86コンセプト - アサヒ・コム編集部 2009年10月21日
- ^ 【スバル BRZ 試乗】超安定の BRZ とドリフトの 86 …竹岡圭、 2012年2月9日、Respose.
- ^ 【スバル BRZ 発表】トヨタ 86 との走りの違い、2011年12月9日、Response.
- ^ スバル・BRZ公式サイト
- ^ 86・BRZとも標準ではエアコンレス(ヒーター機能のみ)となっている。
関連項目
外部リンク