「ミフウズラ科」の版間の差分

ミフウズラ科
	ミフウズラ Turnix suscitator
分類
学名
	Turnicidae G. R. Gray, 1840
タイプ属
	Turnix
シノニム
	Turniciformes; Turnici Huxley, 1868
和名
	ミフウズラ
英名
	Buttonquail
属
	ミフウズラ属 Turnix; ハジロミフウズラ属 Ortyxelos;

履歴の双方向閲覧

← 古い編集新しい編集 →

削除された内容追加された内容

ビジュアルウィキテキスト

インライン

2012年6月9日 (土) 13:27時点における版

ミフウズラ科（ミフウズラか、Turnicidae）は、動物界脊索動物門鳥綱チドリ目に属する科。模式属はミフウズラ属 Turnix。

ミフウズラ（三斑鶉）と総称される^[1] 。ただし「ミフウズラ」は1種 Turnix suscitator の和名でもある。なおウズラとは近縁ではない。

特徴

分布

アフリカ大陸、インド、インドネシア、オーストラリア、スペイン南部、スリランカ、ソロモン諸島、タイ、中華人民共和国（台湾含む）、朝鮮民主主義人民共和国、日本（南西諸島）、ネパール、パキスタン、パプアニューギニア、フィリピン、ベトナム、マダガスカル、ミャンマー、ロシア南東部^[2]^[3]^[4]^[5]^[6]。

形態

最大種はオオミフウズラで全長16-21cm^[3]。最小種はヒメミフウズラで11-16.5cm^[3]。本科とは近縁ではないもの形態がキジ目のウズラ属 Coturnix に類似することが、ミフウズラ属の属名 Turnix や日本語での総称、英語での総称 Buttunquail（「小さいウズラ」の意）の由来になっている^[2]^[3]。翼は短く丸みを帯びる^[3]。

嘴は小型で細い^[3]。後肢や趾は発達するが、第1趾がない^[2]^[3]。英語で本科の構成種をさす総称hemipodeは「半足」の意で、第1趾がないことに由来する^[2]^[3]。

生態

草原や開けた森林などに生息する^[3]。地表性^[3]。単独から小規模な群れを形成して生活する^[3]。温帯に生息する種は渡りをするが、熱帯に生息する種は天候などにより放浪することもあるが基本的に渡りを行わない^[3]。

食性は雑食か動物食傾向の強い雑食で、昆虫、クモ、陸棲の貝類、植物の芽、種子などを食べる^[3]^[6]。後肢で地面を掘って食物を探す^[3]。頭部を上げずに嘴を水につけたまま水を飲む^[3]。

婚姻形態は一妻多夫^[3]。メスは繁殖期に縄張りを形成し、体を膨らませたり尾羽を広げる、地面を掘ったり叩いてオスに求愛する^[3]^[6]。地面の窪みに枯れ草などを敷いた巣を作り、1回に2-7個の卵を産む^[3]。主にオスが抱卵し、抱卵期間は11-12日^[3]。オスが育雛も行う。孵化した雛はすぐに歩行することができ（早成性）、孵化してから3-4週間で独立する^[3]。

系統と分類

系統

Baker et al. (2007)^[7]; Pereira & Baker (2010)^[8]より。

チドリ目

チドリ亜目 Charadrii

シギ亜目

	クビワミフウズラ科 Pedionomidae

カモメ亜目

ミフウズラ科

	ミフウズラ属 Turnix

	? ハジロミフウズラ Ortyxelos

	カニチドリ科 Dromadidae

	ツバメチドリ科 Glareolidae

カモメ科 Laridae

	トウゾクカモメ科 Stercorariidae

	ウミスズメ科 Alcidae

ミフウズラ科はカモメ亜目 Lari の基底的な科で、カモメ亜目で最初に分岐し、亜科の他の科全てと姉妹群である。

伝統的に、クビワミフウズラ科 Pedionomidae と近縁と考えられてきたが、同じチドリ目ではあるものの目の中では特に近縁ではない。

ミフウズラ科はミフウズラ属 Turnix とハジロミフウズラ Ortyxelos からなるが、ハジロミフウズラの系統位置は不確実で、ツバメチドリ科 Glareolidae に近縁とする説もある^[9]。

分類史

Gadow (1893) により、ツル目 Gruiformes に、クビワミフウズラ科 Pedionomidae と共に含められた。Wetmore (1960) では、それら2科はツル目ミフウズラ亜目 Turnices としてまとめられた。

頭骨の形態からハト目あるいはサケイ目に近縁とする説もあった^[3]。Sibley et al. (1988) は単型のミフウズラ目 Turniciformes に分類した。クイナモドキ科 Mesitornithidae（伝統的にはツル目、現在は単型目）を近縁としてミフウズラ目に含める分類もあった^[10]。

属と種

属と種は国際鳥類学会議 (IOC)^[9]より。

Turnix, ミフウズラ属
- Turnix sylvaticus, Common Buttonquail, ヒメミフウズラ（T. sylvatica）
- Turnix maculosus, Red-backed Buttonquail, アカエリミフウズラ
- Turnix hottentottus, Hottentot Buttonquail
- Turnix nanus, Black-rumped Buttonquail, アフリカミフウズラ（T. hottentottus から分離）
- Turnix tanki, Yellow-legged Buttonquail, キアシミフウズラ
- Turnix ocellatus, Spotted Buttonquail, オオミフウズラ（T. ocellata）
- Turnix suscitator, Barred Buttonquail, ミフウズラ
- Turnix nigricollis, Madagascar Buttonquail, マダガスカルミフウズラ
- Turnix melanogaster, Black-breasted Buttonquail, ムナグロミフウズラ
- Turnix castanotus, Chestnut-backed Buttonquail, セアカヒメミフウズラ（T. castanota）
- Turnix olivii, Buff-breasted Buttonquail, ムナゲミフウズラ
- Turnix varius, Painted Buttonquail, マダラミフウズラ（T. varia）
- Turnix worcesteri, Worcester's Buttonquail, フィリピンヒメミフウズラ（ムネアカミフウズラやスンバミフウズラのシノニムとする説もあり）
- Turnix everetti, Sumba Buttonquail, スンバミフウズラ
- Turnix pyrrhothorax, Red-chested Buttonquail, ムネアカミフウズラ
- Turnix velox, Little Buttonquail, マメミフウズラ
Ortyxelos, ハジロミフウズラ属
- Ortyxelos meiffrenii, Quail-plover, ハジロミフウズラ

人間との関係

生息地では食用とされることもある^[4]。

開発や野火による生息地の破壊、食用の狩猟などにより生息数が減少している種もある^[4]^[5]。

参考文献

[脚注の使い方]

^ 森岡弘之, “ミフウズラ”, 日本大百科全書, Yahoo!百科事典, 小学館
^ ^a ^b ^c ^d 安部直哉『山渓名前図鑑野鳥の名前』、山と渓谷社、2008年、309頁。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ ^o ^p ^q ^r ^s ^t ^u 黒田長久、森岡弘之監修『世界の動物分類と飼育10-II (ツル目)』、東京動物園協会、1989年、17-23、157-158頁。
^ ^a ^b ^c 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著『動物世界遺産レッド・データ・アニマルズ5 東南アジアの島々』、講談社、2000年、159頁。
^ ^a ^b 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著『動物世界遺産レッド・データ・アニマルズ7 オーストラリア、ニューギニア』、講談社、2000年、173-174頁。
^ ^a ^b ^c 『週間野鳥の世界』1号、デアゴスティーニ・ジャパン、2010年、13-00頁。
^ Baker, Allan J.; Pereira, Sérgio L.; Paton, Tara A. (2007), “Phylogenetic relationships and divergence times of Charadriiformes genera: multigene evidence for the Cretaceous origin of at least 14 clades of shorebirds”, Biol Lett. 3 (2): 205–209
^ Pereira, Sergio L.; Baker, Allan J. (2010), “The enigmatic monotypic crab plover Dromas ardeola is closely related to pratincoles and coursers (Aves, Charadriiformes, Glareolidae)”, Genetics and Molecular Biology 33 (3): 583-586
^ ^a ^b Gill, Frank; Donsker, David, eds. (2012), “Shorebirds and allies”, IOC World Bird Names, version 3.1
^ Livezey, Bradley C.; Zusi, Richard (2007), “Higher-order phylogeny of modern birds (Theropoda, Aves: Neornithes) based on comparative anatomy. II. Analysis and discussion”, Zoological Journal of the Linnean Society 149: 1–95

Template:Link GA

[1] 森岡弘之, “ミフウズラ”, 日本大百科全書, Yahoo!百科事典, 小学館

[example1-2] 安部直哉『山渓名前図鑑野鳥の名前』、山と渓谷社、2008年、309頁。

[example2-3] ^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ ^o ^p ^q ^r ^s ^t ^u 黒田長久、森岡弘之監修『世界の動物分類と飼育10-II (ツル目)』、東京動物園協会、1989年、17-23、157-158頁。

[example3-4] 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著『動物世界遺産レッド・データ・アニマルズ5 東南アジアの島々』、講談社、2000年、159頁。

[example4-5] 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著『動物世界遺産レッド・データ・アニマルズ7 オーストラリア、ニューギニア』、講談社、2000年、173-174頁。

[example5-6] 『週間野鳥の世界』1号、デアゴスティーニ・ジャパン、2010年、13-00頁。

[Baker-7] Baker, Allan J.; Pereira, Sérgio L.; Paton, Tara A. (2007), “Phylogenetic relationships and divergence times of Charadriiformes genera: multigene evidence for the Cretaceous origin of at least 14 clades of shorebirds”, Biol Lett. 3 (2): 205–209

[P&B-8] Pereira, Sergio L.; Baker, Allan J. (2010), “The enigmatic monotypic crab plover Dromas ardeola is closely related to pratincoles and coursers (Aves, Charadriiformes, Glareolidae)”, Genetics and Molecular Biology 33 (3): 583-586

[IOC-9] Gill, Frank; Donsker, David, eds. (2012), “Shorebirds and allies”, IOC World Bird Names, version 3.1

[L&Z-10] Livezey, Bradley C.; Zusi, Richard (2007), “Higher-order phylogeny of modern birds (Theropoda, Aves: Neornithes) based on comparative anatomy. II. Analysis and discussion”, Zoological Journal of the Linnean Society 149: 1–95

[1]

[2]

[3]

[4]

[5]

[6]

[7]

[8]

[9]

[10]

@@ 3行目: / 3行目: @@
 |名称 = ミフウズラ科
 |画像=[[ファイル:Barred_buttonquail_Nandihills_18July2006bngbirds.jpg|250px|ミフウズラ]]
-|画像キャプション = '''ミフウズラ''' ''Turnix suscitator''
+|画像キャプション = [[ミフウズラ]] {{snamei||Turnix suscitator}}
-|目 = [[ツル目]] {{Sname||Gruiformes}}
+|目 = [[チドリ目]] {{Sname||Charadriiformes}}
+|亜目 = [[カモメ亜目]] {{sname||Lari}}
-|科 = '''ミフウズラ科'''<br />Turnicidae　[[ジョージ・ロバート・グレイ|G. R. Gray]], [[1840年|1840]]
+|科 = '''ミフウズラ科''' {{sname||Turnicidae}}
+|学名 = Turnicidae {{AUY|[[ジョージ・ロバート・グレイ|G. R. Gray]]|1840}}
+|和名 = ミフウズラ
+|英名 = Buttonquail
+|シノニム = Turniciformes<br/>Turnici {{AUY|Huxley|1868}}
+|タイプ属 = {{snamei||Turnix}}
 |下位分類名 = 属
-|下位分類 = * [[ミフウズラ属]]
+|下位分類 =
+* [[ミフウズラ属]] {{snamei||Turnix}}
-* [[ハジロミフウズラ|ハジロミフウズラ属]]
+* [[ハジロミフウズラ|ハジロミフウズラ属]] {{snamei||Ortyxelos}}
+| 分布図 = ファイル:Turnicidae_rangmap.PNG
 }}
+{{Commonscat|Turnicidae}}
+{{Wikispecies|Turnicidae}}
-'''ミフウズラ科'''（ミフウズラか、Turnicidae）は、[[動物|動物界]][[脊索動物|脊索動物門]][[鳥類|鳥綱]][[ツル目]]に属する科。[[タイプ_(分類学)|模式属]]は[[ミフウズラ属]]。
+'''ミフウズラ科'''（ミフウズラか、Turnicidae）は、[[動物|動物界]][[脊索動物|脊索動物門]][[鳥類|鳥綱]][[チドリ目]]に属する科。[[タイプ_(分類学)|模式属]]は[[ミフウズラ属]] {{snamei||Turnix}}。
+'''ミフウズラ'''（三斑鶉）と総称される<ref>{{cite | author=[[森岡弘之]] | chapter=ミフウズラ | title=[[日本大百科全書]] | publisher=[[小学館]] | version=[[Yahoo!百科事典]] | url=http://100.yahoo.co.jp/detail/%E3%83%9F%E3%83%95%E3%82%A6%E3%82%BA%E3%83%A9/ }}</ref>
-== 分布 ==
+。ただし「[[ミフウズラ]]」は1種 {{snamei||Turnix suscitator}} の和名でもある。なお[[ウズラ]]とは近縁ではない。
-[[アフリカ大陸]]、[[インド]]、[[インドネシア]]、[[オーストラリア]]、[[スペイン]]南部、[[スリランカ]]、[[ソロモン諸島]]、[[タイ王国|タイ]]、[[中華人民共和国]]（[[台湾]]含む）、[[朝鮮民主主義人民共和国]]、[[日本]]（[[南西諸島]]）、[[ネパール]]、[[パキスタン]]、[[パプアニューギニア]]、[[フィリピン]]、[[ベトナム]]、[[マダガスカル]]、[[ミャンマー]]、[[ロシア]]南東部。<ref name="example1">安部直哉 『山渓名前図鑑 野鳥の名前』、[[山と渓谷社]]、[[2008年]]、309頁。</ref><ref name="example2">黒田長久、森岡弘之監修 『世界の動物 分類と飼育10-II (ツル目)』、東京動物園協会、[[1989年]]、17-23、157-158頁。</ref><ref name="example3">小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ5 東南アジアの島々』、[[講談社]]、[[2000年]]、159頁。</ref><ref name="example4">小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ7 オーストラリア、ニューギニア』、講談社、2000年、173-174頁。</ref><ref name="example5"> 『週間 野鳥の世界』1号、[[デアゴスティーニ・ジャパン]]、[[2010年]]、13-00頁。</ref>
-== 形態 ==
+== 特徴 ==
+=== 分布 ===
-最大種は[[オオミフウズラ]]で全長16-21cm。<ref name="example2"/>最小種は[[ヒメミフウズラ]]で11-16.5cm。<ref name="example2"/>本科とは近縁ではないもの形態がキジ目の[[ウズラ属]]（''Coturnix''）に類似することが、ミフウズラ属の属名''Turnix''や日本語での総称、英語での総称buttunquail（「小さいウズラ」の意）の由来になっている<ref name="example1"/><ref name="example2"/>翼は短く丸みを帯びる。<ref name="example2"/>
+[[アフリカ大陸]]、[[インド]]、[[インドネシア]]、[[オーストラリア]]、[[スペイン]]南部、[[スリランカ]]、[[ソロモン諸島]]、[[タイ王国|タイ]]、[[中華人民共和国]]（[[台湾]]含む）、[[朝鮮民主主義人民共和国]]、[[日本]]（[[南西諸島]]）、[[ネパール]]、[[パキスタン]]、[[パプアニューギニア]]、[[フィリピン]]、[[ベトナム]]、[[マダガスカル]]、[[ミャンマー]]、[[ロシア]]南東部<ref name="example1">[[安部直哉]] 『山渓名前図鑑 野鳥の名前』、[[山と渓谷社]]、[[2008年]]、309頁。</ref><ref name="example2">[[黒田長久]]、[[森岡弘之]]監修 『世界の動物 分類と飼育10-II (ツル目)』、東京動物園協会、[[1989年]]、17-23、157-158頁。</ref><ref name="example3">[[小原秀雄]]・[[浦本昌紀]]・[[太田英利]]・[[松井正文]]編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ5 東南アジアの島々』、[[講談社]]、[[2000年]]、159頁。</ref><ref name="example4">小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ7 オーストラリア、ニューギニア』、講談社、2000年、173-174頁。</ref><ref name="example5"> 『週間 野鳥の世界』1号、[[デアゴスティーニ・ジャパン]]、[[2010年]]、13-00頁。</ref>。
+=== 形態 ===
-嘴は小型で細い。<ref name="example2"/>後肢や趾は発達するが、第1趾がない。<ref name="example1"/><ref name="example2"/>英語で本科の構成種をさす総称hemipodeは「半足」の意で、第1趾がないことに由来する。<ref name="example1"/><ref name="example2"/>
+最大種は[[オオミフウズラ]]で全長16-21cm<ref name="example2"/>。最小種は[[ヒメミフウズラ]]で11-16.5cm<ref name="example2"/>。本科とは近縁ではないもの形態がキジ目の[[ウズラ属]] {{snamei||Coturnix}} に類似することが、[[ミフウズラ属]]の属名 {{snamei||Turnix}} や日本語での総称、英語での総称 {{En|Buttunquail}}（「小さいウズラ」の意）の由来になっている<ref name="example1"/><ref name="example2"/>。翼は短く丸みを帯びる<ref name="example2"/>。
+嘴は小型で細い<ref name="example2"/>。後肢や趾は発達するが、第1趾がない<ref name="example1"/><ref name="example2"/>。英語で本科の構成種をさす総称hemipodeは「半足」の意で、第1趾がないことに由来する<ref name="example1"/><ref name="example2"/>。
-== 分類 ==
-頭骨の形態から[[ハト目]]（サケイ目）に近縁とする説もある。<ref name="example2"/>核DNAの[[塩基配列]]による[[分子系統学]]的解析では[[チドリ目]]に含まれるとされる。<ref name="example5"/>
+=== 生態 ===
-[[ミフウズラ属]]　''Turnix''
+[[草原]]や開けた[[森林]]などに生息する<ref name="example2"/>。地表性<ref name="example2"/>。単独から小規模な群れを形成して生活する<ref name="example2"/>。温帯に生息する種は渡りをするが、熱帯に生息する種は天候などにより放浪することもあるが基本的に渡りを行わない<ref name="example2"/>。
-* ''Turnix castanota''　[[セアカヒメミフウズラ]]　[[w:Chestnut-backed_Buttonquail|Chestnut-backed buttonquail]]
-* ''Turnix everetti''　[[スンバミフウズラ]]　[[w:Sumba_Buttonquail|Sumba buttonquail]]（ムネアカミフウズラのシノニムとする説もあり）
-* ''Turnix hottentottus''　[[アフリカミフウズラ]]　[[w:Hottentot_Buttonquail|Black-rumped buttonquail]]
-* ''Turnix maculosus''　[[アカエリミフウズラ]]　[[w:Red-backed_Buttonquail|Red-backed buttonquail]]
-* ''Turnix melanogaster''　[[ムナグロミフウズラ]]　[[w:Black-breasted_Buttonquail|Black-breasted buttonquail]]
-* ''Turnix nigricollis''　[[マダガスカルミフウズラ]]　[[w:Madagascar_Buttonquail|Madagascar buttonquail]]
-* ''Turnix ocellata''　[[オオミフウズラ]]　[[w:Spotted_Buttonquail|Spotted buttonquail]]
-* ''Turnix olivii''　[[ムナゲミフウズラ]]　[[w:Buff-breasted_Buttonquail|Buff-breasted buttonquail]]
-* ''Turnix suscitator''　[[ミフウズラ]]　[[w:Barred_Buttonquail|Barred buttonquail]]
-* ''Turnix sylvatica''　[[ヒメミフウズラ]]　[[w:Kurrichane_Buttonquail|Little buttonquail]]
-* ''Turnix tanki''　[[キアシミフウズラ]]　[[w:Yellow-legged_Buttonquail|Yellow-legged buttonquail]]
-* ''Turnix varia''　[[マダラミフウズラ]]　[[w:Painted_Buttonquail|Painted buttonquail]]
-* ''Turnix velox''　[[マメミフウズラ]]　[[w:Little_Buttonquail|Tiny buttonquail]]
-* ''Turnix worcesteri''　[[フィリピンヒメミフウズラ]]　[[w:Worcester's_Buttonquail|Worcester's buttonquail]]（ムネアカミフウズラやスンバミフウズラのシノニムとする説もあり）
-ハジロミフウズラ属　''Ortyxelos''
-* ''Ortyxelos meiffrenii''　[[ハジロミフウズラ]]　[[w:Quail-plover|Quail plover]]
+食性は雑食か動物食傾向の強い雑食で、[[昆虫]]、[[クモ]]、陸棲の[[貝類]]、植物の芽、[[種子]]などを食べる<ref name="example2"/><ref name="example5"/>。後肢で地面を掘って食物を探す<ref name="example2"/>。頭部を上げずに嘴を水につけたまま水を飲む<ref name="example2"/>。
-== 生態 ==
-[[草原]]や開けた[[森林]]などに生息する。<ref name="example2"/>地表性。<ref name="example2"/>単独から小規模な群れを形成して生活する。<ref name="example2"/>温帯に生息する種は渡りを行うが、熱帯に生息する種は天候などにより放浪することもあるが基本的に渡りを行わない。<ref name="example2"/>
+婚姻形態は[[一妻多夫]]<ref name="example2"/>。メスは繁殖期に縄張りを形成し、体を膨らませたり尾羽を広げる、地面を掘ったり叩いてオスに求愛する<ref name="example2"/><ref name="example5"/>。地面の窪みに枯れ草などを敷いた巣を作り、1回に2-7個の卵を産む<ref name="example2"/>。主にオスが抱卵し、抱卵期間は11-12日<ref name="example2"/>。オスが育雛も行う。孵化した雛はすぐに歩行することができ（早成性）、孵化してから3-4週間で独立する<ref name="example2"/>。
-食性は雑食か動物食傾向の強い雑食で、[[昆虫]]、[[クモ]]、陸棲の[[貝類]]、植物の芽、[[種子]]などを食べる。<ref name="example2"/><ref name="example5"/>後肢で地面を掘って食物を探す。<ref name="example2"/>頭部を上げずに嘴を水につけたまま水を飲む。<ref name="example2"/>
+== 系統と分類 ==
-婚姻形態は一妻多夫。<ref name="example2"/>メスは繁殖期に縄張りを形成し、体を膨らませたり尾羽を広げる、地面を掘ったり叩いてオスに求愛する。<ref name="example2"/><ref name="example5"/>繁殖形態は卵生。地面の窪みに枯れ草などを敷いた巣を作り、1回に2-7個の卵を産む。<ref name="example2"/>主にオスが抱卵し、抱卵期間は11-12日。<ref name="example2"/>オスが育雛も行う。孵化した雛はすぐに歩行することができ（早成性）、孵化してから3-4週間で独立する。<ref name="example2"/>
+=== 系統 ===
+Baker ''et al.'' (2007)<ref name="Baker">{{cite | title=Phylogenetic relationships and divergence times of Charadriiformes genera: multigene evidence for the Cretaceous origin of at least 14 clades of shorebirds | first=Allan J. | last=Baker | first2=Sérgio L. | last2=Pereira | first3=Tara A. | last3=Paton | journal=Biol Lett. | year=2007 | volume=3 | issue=2 | page=205–209 | url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2375939/ }}</ref>; Pereira & Baker (2010)<ref name="P&B">{{cite | title=The enigmatic monotypic crab plover Dromas ardeola is closely related to pratincoles and coursers (Aves, Charadriiformes, Glareolidae) | first=Sergio L. | last=Pereira | first2=Allan J. | last2=Baker | journal=Genetics and Molecular Biology | volume=33 | issue=3 | pages=583-586 | year=2010 | url=http://www.scielo.br/pdf/gmb/v33n3/33.pdf }}</ref>より。
+{{Clade |style=font-size:small; line-height:1em; white-space:nowrap
-== 人間との関係 ==
+  |label1=[[チドリ目]]
-生息地では食用とされることもある。<ref name="example3"/>
+  |{{Clade
+    |[[チドリ亜目]] {{sname||Charadrii}}
+    |{{Clade
+      |label1=[[シギ亜目]]
+      |{{Clade
+        |{{Clade
+          |&nbsp;
+          |{{Clade
+            |[[クビワミフウズラ科]] {{sname||Pedionomidae}}
+            |&nbsp;
+          }}
+        }}
+        |&nbsp;
+      }}
+      |label2=[[カモメ亜目]]
+      |{{Clade
+        |label1='''ミフウズラ科'''
+        |{{Clade
+          |[[ミフウズラ属]] {{snamei||Turnix}}
+          |? [[ハジロミフウズラ]] {{snamei||Ortyxelos}}
+        }}
+        |{{Clade
+          |{{Clade
+            |[[カニチドリ科]] {{sname||Dromadidae}}
+            |[[ツバメチドリ科]] {{sname||Glareolidae}}
+          }}
+          |{{Clade
+            |[[カモメ科]] {{sname||Laridae}}
+            |{{Clade
+              |[[トウゾクカモメ科]] {{sname||Stercorariidae}}
+              |[[ウミスズメ科]] {{sname||Alcidae}}
+            }}
+          }}
+        }}
+      }}
+    }}
+  }}
+}}
+ミフウズラ科は[[カモメ亜目]] {{snamei||Lari}} の基底的な科で、カモメ亜目で最初に分岐し、亜科の他の科全てと[[姉妹群]]である。
-開発や野火による生息地の破壊、食用の狩猟などにより生息数が減少している種もいる。<ref name="example3"/><ref name="example4"/>
+伝統的に、[[クビワミフウズラ科]] {{sname||Pedionomidae}} と近縁と考えられてきたが、同じチドリ目ではあるものの目の中では特に近縁ではない。
-== 画像 ==
-<gallery>
+ミフウズラ科は[[ミフウズラ属]] {{snamei||Turnix}} と[[ハジロミフウズラ]] {{snamei||Ortyxelos}} からなるが、ハジロミフウズラの系統位置は不確実で、[[ツバメチドリ科]] {{sname||Glareolidae}} に近縁とする説もある<ref name="IOC"/>。
-ファイル:Turnicidae_rangmap.PNG|分布
-</gallery>
+=== 分類史 ===
+[[:en:Hans Friedrich Gadow|Gadow]] (1893) により、[[ツル目]] {{sname||Gruiformes}} に、[[クビワミフウズラ科]] {{snamei||Pedionomidae}} と共に含められた。[[:en:Alexander Wetmore|Wetmore]] (1960) では、それら2科はツル目ミフウズラ亜目 {{sname|Turnices}} としてまとめられた。
+[[頭骨]]の形態から[[ハト目]]あるいは[[サケイ目]]に近縁とする説もあった<ref name="example2"/>。[[シブリー・アールキスト鳥類分類|Sibley ''et al.'' (1988)]] は単型のミフウズラ目 {{sname|Turniciformes}} に分類した。[[クイナモドキ科]] {{sname||Mesitornithidae}}（伝統的にはツル目、現在は[[単型 (分類学)|単型]]目）を近縁としてミフウズラ目に含める分類もあった<ref name="L&Z">{{cite | title=Higher-order phylogeny of modern birds (Theropoda, Aves: Neornithes) based on comparative anatomy. II. Analysis and discussion | first=Bradley C. | last=Livezey | first2=Richard | last2=Zusi | url=http://biology-web.nmsu.edu/houde/Livezey&Zusi_2007.pdf | journal=[[:en:Zoological Journal of the Linnean Society|Zoological Journal of the Linnean Society]] | year=2007 | volume=149 | page=1–95 }}</ref>。
+== 属と種 ==
+属と種は[[国際鳥類学会議]] (IOC)<ref name="IOC">{{cite | url=http://www.worldbirdnames.org/n-shorebirds.html | chapter=Shorebirds and allies | title=IOC World Bird Names | version=version 3.1 | editor-link=:en:Frank Gill (ornithologist) | editor-first=Frank | editor-last=Gill | editor2-first=David | editor2-last=Donsker | year=2012 }}</ref>より。
+* {{snamei||Turnix}}, [[ミフウズラ属]]
+** {{snamei||Turnix sylvaticus}}, {{en|Common Buttonquail}}, [[ヒメミフウズラ]] （{{snamei|T. sylvatica}}）
+** {{snamei||Turnix maculosus}}, {{en|Red-backed Buttonquail}}, [[アカエリミフウズラ]]
+** {{snamei||Turnix hottentottus}}, {{en|Hottentot Buttonquail}}
+** {{snamei||Turnix nanus}}, {{en|Black-rumped Buttonquail}}, [[アフリカミフウズラ]] （{{snamei|T. hottentottus}} から分離）
+** {{snamei||Turnix tanki}}, {{en|Yellow-legged Buttonquail}}, [[キアシミフウズラ]]
+** {{snamei||Turnix ocellatus}}, {{en|Spotted Buttonquail}}, [[オオミフウズラ]] （{{snamei|T. ocellata}}）
+** {{snamei||Turnix suscitator}}, {{en|Barred Buttonquail}}, [[ミフウズラ]]
+** {{snamei||Turnix nigricollis}}, {{en|Madagascar Buttonquail}}, [[マダガスカルミフウズラ]]
+** {{snamei||Turnix melanogaster}}, {{en|Black-breasted Buttonquail}}, [[ムナグロミフウズラ]]
+** {{snamei||Turnix castanotus}}, {{en|Chestnut-backed Buttonquail}}, [[セアカヒメミフウズラ]] （{{snamei|T. castanota}}）
+** {{snamei||Turnix olivii}}, {{en|Buff-breasted Buttonquail}}, [[ムナゲミフウズラ]]
+** {{snamei||Turnix varius}}, {{en|Painted Buttonquail}}, [[マダラミフウズラ]] （{{snamei|T. varia}}）
+** {{snamei||Turnix worcesteri}}, {{en|Worcester's Buttonquail}}, [[フィリピンヒメミフウズラ]] （ムネアカミフウズラやスンバミフウズラのシノニムとする説もあり）
+** {{snamei||Turnix everetti}}, {{en|Sumba Buttonquail}}, [[スンバミフウズラ]]
+** {{snamei||Turnix pyrrhothorax}}, {{en|Red-chested Buttonquail}}, [[ムネアカミフウズラ]]
+** {{snamei||Turnix velox}}, {{en|Little Buttonquail}}, [[マメミフウズラ]]
+* {{snamei||Ortyxelos}}, ハジロミフウズラ属
+** {{snamei||Ortyxelos meiffrenii}}, {{en|Quail-plover}}, [[ハジロミフウズラ]]
+== 人間との関係 ==
+生息地では食用とされることもある<ref name="example3"/>。
+開発や野火による生息地の破壊、食用の狩猟などにより生息数が減少している種もある<ref name="example3"/><ref name="example4"/>。
 == 参考文献 ==
 {{脚注ヘルプ}}
 {{reflist}}
-== 関連項目 ==
-{{Commonscat|Turnicidae}}
-{{Wikispecies|Turnicidae}}
-* [[ツル目]]
 {{DEFAULTSORT:みふうすらか}}
 [[Category:ミフウズラ科|*]]
-{{Bird-stub}}
 {{Link GA|de}}