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「浅田農産」の版間の差分

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2004年、九州一円に[[鳥インフルエンザ]]の被害が拡大し全国への波及が危惧されていた中、京都府[[丹波町]]の同社船井農場では2月中旬より鶏の斃死が発生、同社社長(41)は17日の時点で鳥インフルエンザの可能性を疑う。20日に鶏1043羽が大量死、社長は22日には感染を確信したにもかかわらず事態を府に報告せず、翌23日には食肉処理業者に残った鶏すべての出荷を依頼した。約7000羽が死んだ26日になって、京都府南丹家畜保健衛生所に匿名の電話通報があり、翌27日に事態が発覚、府の調査で感染が明らかになった。ただちに出荷を停止しなかったことで感染の疑いのあるトリ肉や[[玉子]]が流通したことに加え、3月3日には農場から約5キロ北東の養鶏場で2次感染が判明するなど他府県にも被害を拡大させる結果となり、同社にはメディアによる批判が集中した。
2004年、九州一円に[[鳥インフルエンザ]]の被害が拡大し全国への波及が危惧されていた中、京都府[[丹波町]]の同社船井農場では2月中旬より鶏の斃死が発生、同社社長(41)は17日の時点で鳥インフルエンザの可能性を疑う。20日に鶏1043羽が大量死、社長は22日には感染を確信したにもかかわらず事態を府に報告せず、翌23日には食肉処理業者に残った鶏すべての出荷を依頼した。約7000羽が死んだ26日になって、京都府南丹家畜保健衛生所に匿名の電話通報があり、翌27日に事態が発覚、府の調査で感染が明らかになった。ただちに出荷を停止しなかったことで感染の疑いのあるトリ肉や[[玉子]]が流通したことに加え、3月3日には農場から約5キロ北東の養鶏場で2次感染が判明するなど他府県にも被害を拡大させる結果となり、同社にはメディアによる批判が集中した。


京都府警は31日、感染を認識しながら鶏の大量死を京都府に届けなかったとして、家畜伝染病予防法(届け出義務)違反の疑いで姫路市の本社など数カ所を家宅捜索、社長ら三人を逮捕した。翌3月8日、社長の両親で創業者であり、後の捜査で隠蔽を指示したとされる同社会長(67)と妻(64)が姫路市内で首を吊って死んでいるのを発見された。 自宅には「大変御めいわくをおかけしました」などと書かれた遺書が残されていた。
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農家の次男だった元会長は小学校を出てすぐ養鶏場で働きはじめ、鶏舎1棟と1500羽の鶏で同社を創業、営々50年をかけて同社を独立系では業界トップクラスの大手に育てた苦労人だった。また日本養鶏協会の理事と副会長を務めていたが、同協会からは事件の責任を問われて役員解任を通告されていた。
農家の次男だった元会長は小学校を出てすぐ養鶏場で働きはじめ、鶏舎1棟と1500羽の鶏で同社を創業、営々50年をかけて同社を独立系では業界トップクラスの大手に育てた苦労人だった。また日本養鶏協会の理事と副会長を務めていたが、同協会からは事件の責任を問われて役員解任を通告されていた。


3月31日、京都府警は、感染を認識しながら鶏の大量死を京都府に届けなかったとして、家畜伝染病予防法(届け出義務)違反の疑いで姫路市の本社など数カ所を家宅捜索、社長ら三人を逮捕した<ref>{{Cite news | url = | title = 浅田農産社長ら3人逮捕 京都府警 | newspaper = [[神戸新聞]] | date = 2004-04-01 | accessdate = }}</ref>。
2004年8月10日、京都地裁は同社社長に家畜伝染病予防法違反で懲役1年,執行猶予3年(求刑懲役1年)の有罪判決を下した。また一連の事件で同社の経営状態は著しく悪化し、従業員の大量解雇、また船井以外の各農場を同業者に売却するなどの資産処分・規模縮小で経営の再建を図ろうとしたが、最終的には[[2005年]][[1月]]に[[神戸地方裁判所]]姫路支部に関連企業2社とともに[[自己破産]]を申請し、廃業することになった。負債総額は26億5000万円になるという。


2004年8月10日、京都地裁は同社社長に家畜伝染病予防法違反で懲役1年,執行猶予3年(求刑懲役1年)の有罪判決を下した。また一連の事件で同社の経営状態は著しく悪化し、従業員の大量解雇、また船井以外の各農場を同業者に売却するなどの資産処分・規模縮小で経営の再建を図ろうとしたが、最終的には[[2005年]][[1月]]に[[神戸地方裁判所]]姫路支部に関連企業2社とともに[[自己破産]]を申請し、廃業することになった。負債総額は26億5000万円になるという<ref>{{Cite news | url = http://www.47news.jp/CN/200501/CN2005012501001404.html | title = 浅田農産が自己破産申請 鳥インフルエンザ問題で | agency = 共同通信社 | publisher = 47NEWS | date = 2005-01-25 | accessdate = 2012-10-29 }}</ref>
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(有限会社浅田農産と有限会社アーサープランニングの本社所在地が同一である上、有限会社浅田農産と有限会社アーサープランニングの社長も同一名義であり、また、[[2005年]][[12月]]に有限会社アーサープランニングは会社設立と同時に[[ネットショップ]]を立ち上げており、そのネットショップのトップページに社長の謝罪文が載っていた。なお、ネットショップは既に閉鎖されている)。
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== 脚注 ==
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2012年10月28日 (日) 16:00時点における版

有限会社浅田農産(あさだ・のうさん)は兵庫県姫路市にあった養鶏会社である。

1957年創業。2004年時点では兵庫県をはじめ、京都府岡山県の3府県に6ヶ所の養鶏場を運営して175万羽の鶏を飼育し、また「アサダエッグ」のブランドで近畿圏の大型スーパーを中心に鶏卵の販売を行っていた他、農業肥料も販売していた大手だった。

鳥インフルエンザ事件

2004年、九州一円に鳥インフルエンザの被害が拡大し全国への波及が危惧されていた中、京都府丹波町の同社船井農場では2月中旬より鶏の斃死が発生、同社社長(41)は17日の時点で鳥インフルエンザの可能性を疑う。20日に鶏1043羽が大量死、社長は22日には感染を確信したにもかかわらず事態を府に報告せず、翌23日には食肉処理業者に残った鶏すべての出荷を依頼した。約7000羽が死んだ26日になって、京都府南丹家畜保健衛生所に匿名の電話通報があり、翌27日に事態が発覚、府の調査で感染が明らかになった。ただちに出荷を停止しなかったことで感染の疑いのあるトリ肉や玉子が流通したことに加え、3月3日には農場から約5キロ北東の養鶏場で2次感染が判明するなど他府県にも被害を拡大させる結果となり、同社にはメディアによる批判が集中した。

3月8日、社長の両親で創業者であり、後の捜査で隠蔽を指示したとされる同社会長(67)と妻(64)が姫路市内で首を吊って死んでいるのを発見された[1][2]。 自宅には「大変御めいわくをおかけしました」などと書かれた遺書が残されていた[1]

農家の次男だった元会長は小学校を出てすぐ養鶏場で働きはじめ、鶏舎1棟と1500羽の鶏で同社を創業、営々50年をかけて同社を独立系では業界トップクラスの大手に育てた苦労人だった。また日本養鶏協会の理事と副会長を務めていたが、同協会からは事件の責任を問われて役員解任を通告されていた。

3月31日、京都府警は、感染を認識しながら鶏の大量死を京都府に届けなかったとして、家畜伝染病予防法(届け出義務)違反の疑いで姫路市の本社など数カ所を家宅捜索、社長ら三人を逮捕した[3]

2004年8月10日、京都地裁は同社社長に家畜伝染病予防法違反で懲役1年,執行猶予3年(求刑懲役1年)の有罪判決を下した。また一連の事件で同社の経営状態は著しく悪化し、従業員の大量解雇、また船井以外の各農場を同業者に売却するなどの資産処分・規模縮小で経営の再建を図ろうとしたが、最終的には2005年1月神戸地方裁判所姫路支部に関連企業2社とともに自己破産を申請し、廃業することになった。負債総額は26億5000万円になるという[4]

2005年12月より、「有限会社アーサープランニング」と名を変え、現在も営業中である(有限会社浅田農産と有限会社アーサープランニングの本社所在地が同一である上、有限会社浅田農産と有限会社アーサープランニングの社長も同一名義であり、また、2005年12月に有限会社アーサープランニングは会社設立と同時にネットショップを立ち上げており、そのネットショップのトップページに社長の謝罪文が載っていた。なお、ネットショップは既に閉鎖されている)。

脚注

  1. ^ a b “浅田農産の会長夫妻が自殺”. 読売新聞. (2004年3月8日) 
  2. ^ “浅田農産の会長夫婦自殺 鶏舎近くで首をつる”. 共同通信社. 47NEWS. (2004年3月8日). http://www.47news.jp/CN/200403/CN2004030801000329.html 2012年10月29日閲覧。 
  3. ^ “浅田農産社長ら3人逮捕 京都府警”. 神戸新聞. (2004年4月1日) 
  4. ^ “浅田農産が自己破産申請 鳥インフルエンザ問題で”. 共同通信社. 47NEWS. (2005年1月25日). http://www.47news.jp/CN/200501/CN2005012501001404.html 2012年10月29日閲覧。